CFM「空中分解」 #0483の修正
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小嶋 淳 3 『ハンズ』を出た途端、強力な太陽ビームがおれを攻撃してきた。 応戦の術もないまま、おれがフーフー言ってると、 「ね、松本君も一緒に来ない?」 由美ちゃんが、おれの腕を小さく引いた。 「でも……おじゃま虫だからさ」 って断ったんだけど、由美ちゃんが、 「どうしても、ね」 って言うもんで、おじゃま虫も『プチモンド』まで、お供することになった。 『プチモンド』ってのは、道玄坂にあるカフェ・バーでさ。 落ち着いた明るい雰囲気が若い連中に結構ウケてるんだ。 で、おれと由美ちゃんが扉を押し開けると、奥で美樹本が合図した。 「あれ? 美樹本だけじゃないのか」 奴の向いには、しっかり宏美が座ってたんだ。 「その松本君はどうしてよ」 宏美が、まるでおれが好きで付いてきた様な言い方をした。 「おれはただ、由美ちゃんがさ……」 言い訳になってない言い訳をしてる。 何なんだ、おれは……。 「まあまあ2人共、顔合わせる度に口喧嘩もないだろ。もっとも『喧嘩するほど仲か良 い』っていうけど、な」 由美ちゃんがいるから奴は御機嫌なんだ。 「そうよね、宏美と松本君ならお似合いよ、とっても」 由美ちゃんまで……。 よくいるんだよな、やたら他人をくっ付けたがるカップルが。 余計な御世話だぜ。 「よしてよ悪い冗談。な、宏美」 隣の宏美に同意を求める。 ただの友達だからね、おれと宏美は。 当の宏美は、涼しい顔でストローをいじくっていた。 結局、問題のバースデ−・パーティーは、予想通り約2名が勝手に盛上がっちゃっ て。 もちろんそれが、美樹本と由美ちゃんだってことは言うまでもない。 傍から見て、これ以上つまらないものはないよ……。 で、おれがぼんやり壁にかかった時計を眺めてたら、 「外に出ようか?」 宏美が耳元でささやいた。 おれも、いい加減、 「もう勘弁」 て気分だったからさ、軽く相槌を打つと、 「じゃ、おれ達そろそろ引き揚げるから」 と、2人っきりの世界に水没している美樹本達に、声を掛けた……んだけど。 「そっか残念だな。じゃまた明日」 「残念ね、バイバイ」 なんてさ。 残念なら残念そうな顔をしろよな。 宏美も呆れた様に、肩をすくめた。 「あーあ、アホらしい!」 おれは、賑やかなイルミネーションのしたを、ブーブー言いながら足取り重く歩いて いた。 宏美は、 「いいじゃない。傍から見たらあんなものよ、恋人同士なんて」 だってさ。 寛大な性質なのかね、宏美は。 「そんなもんかね」 おれは、欠伸を噛み殺しながらつぶやいた。 そんなおれの顔を、覗き込む様にして、 「ね、もう一軒行かない?」 宏美がおれの腕を引きながら言った。 渋谷の大時計は、もう9時を回っていた。 「え? これから?」 「晶子がね、いいお店見付けたんだって」 「大丈夫か? 家の方は」 宏美は、茶目っぽく舌を出した。 −Screen3 end…To be continu
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