CFM「空中分解」 #0482の修正
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すくらんぶる交差点 小嶋 淳 2 眠い目を擦りながら冷房の目一杯効いた教室に入ると、すでに 250、60人の 雑談したりヘッドフォン・ステレオをRUNさせたりして、始業までの時間を潰してい た。 平和なもんさ、受験生ってのも。 結局、受験戦争ってのは、周りの大人達が勝手にハッスルしているだけなのかもな。 でも、まあ、世が世だけにしかたないか。 と、いう理由で、おれは7月の末から、渋谷にある予備校の夏期講習に通っている理 由なんだけど……。 どういう理由かクラス・メートの軟派芹沢やら美樹本なんかも一緒でさ。 奴等は常におれの足を引っ張りたいらしいんだ。 で、もうひとり、小・中・高校と6,3,3で12年間クラス・メートというほと 腐れ縁の西川宏美。 クラスじゃ文句なく『BEST3』に入るプリティー・ガールなのはいいんだけど さ、いつだっておれのことを苛めてくれるんだ。 今だって、 「あら、プレイ・ボーイの松本君。いったいどういう風の吹き回し?」 なんてさ。 おれが2,3日サボってたもんだから、皮肉たっぷりに挨拶をしてくれちゃって。 「よ、松本。何やってたんだ?」 宏美の前で、美樹本が振り向いた。 「あ、ちょっと、な」 宏美の手前、碧と逢ってた、なんて言えないからな。 「美樹本、そこ詰めてよ」 午後の授業だからさ、おれみたいに直前に来る奴はもうほとんど外野席でさ、いい席 が残ってないんだ。 「無理だよ。西川の隣が空いているじゃないか」 美樹本はニヤニヤしながら答えた。 うー、お前なんか嫌いだ! ほんと良い友達だぜ。 そのくせ、しっかり宏美の隣に座ったりしてさ。 分からないな、おれって。 で、おれがノートやらテキストやらをゴソゴソやってると、 「彼女は? もういただいちゃったの? プレイボーイ君」 宏美が茶化す様に言った。 「なんの事だよ、彼女って……」 「とぼけちゃって。今度は中女高の娘だって?」 宏美は呆れた様な瞳で、おれを見ている。 ほら、碧の事だよ、宏美が言ってるのは。 「顔が引きつってるわよ、松本君」 そう言っておれの前に鏡を立てた。 「処で、軟派芹沢はどうした?」 おれは明後日の方向に話を逸らせた。 「さあ、城西あたりの娘と……じゃないの」 美樹本は意味シンに言った。 「またか?」 最近奴が南高から城西の娘に乗り換えて、城西の処女率低下に貢献しているらしいっ て噂聞いたもんな。 そのうち城西から功労賞なんか貰ったりしてさ。 そんなわけないか。 「ったく、軽薄なんだからぁ、うちの男子は……」 宏美は呆れて、視線を窓の外に向けた。 2時限目の数2はエスケープして青山通りを挾んだ『アモアー・ブックショップ』 で、読書の時間にした。 美樹本や宏美と違って、何事にも飽きっぽいんだよ、おれは。 で、『陽あたり何とか』ってのを読んでると、 「あれ? 松本君じゃない」 と、聞覚えのある声がした。 振り向くとクラスメートの香坂由美が、小首をチョンと傾けて立っていた。 「あれ? どうしたの? 美樹本ならほら、そこでまだ講義受けてるよ」 そ、由美ちゃんは美樹本の……なんだ。 まったく、美人てのはどういう理由か不細工がお好みらしい。 「うん、6時に『プチモンド』で、待ち合わせしてるの」 「そっか、そっか」 「ね、松本君、今、暇?」 「別に暇というほど忙しくはないけどね。何で?」 「プレゼント選ぶの付き合ってくれない? 今日、美樹本君の誕生日なの」 「ふーん。あ、いいよ別に」 「わあ、ありがと」 由美ちゃんは、瞳をパチパチさせた。 「でも美樹本妬かないかな。おれやだよ、トラブルの」 「多分、ね」 おれにはその『多分』の意味が、いまいち分からなかった。やっぱり『多分妬くん じゃないの』の『多分』だろうな。 そんな暇なことを考えながら、由美ちゃんの後に付いて『東急ハンズ』に向かった。 全国的に夏休みとあって、駅前のすくらんぶる交差点なんかにも、やたら人が溢れて てさ、肩と肩をピッタリ寄せて歩いていくカップルなんかがやたら目立つんだよな。 で、おれは由美ちゃんとの間に、微妙な距離を保ちつつ(これが異常に疲れるんだよ な)、そんなカップルを横目に見て……『ブーブー』だった。 −Screen2 end…To be continu
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