CFM「空中分解」 #0470の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
どうもこんばんは。 例によって、僕、美森禎夫です。 えっと…あれからいくみさんとは、写真がきっかけで、学校で話をするくらい まで発展したんだけど、残念ながらクラス替え。しかも5つか6つくらい教室が 離れてしまって…最悪、なのだ。 しかし、学年が変って、移り気な僕はまた、ある女の子に目をつけた。名前は 美波(みわ)さん。もちろん顔とかしぐさとかはかわいいんだけど、美波さんの 特徴は、その「声」なんだよね。 ギャーギャーピーピー騒ぐ、そのへんの女の子たちの声とちがって、キンキラ 声じゃないのにツ〜ンと通った声で、ソプラノすぎないでほどよいトーンで、そ れでいて、やわらかな声でもの静かに話す。非常に魅力的。 例によって僕は、「電話しよう!」と思い、帰り道、公衆電話から何か話をし ようとTELしたんだけど…。 プルルルルッ。 「もしもし。」 「も、もしもし…」うっ、声を聞いたとたん、何かが来た。あがっちゃった… 。 「…み、美森ですけど」 「…ああ、同じクラスの。何か用?」 「ああ、あの、…でっでっ、電話番号を教えてもらおうと…」 「…今、電話してるんじゃ…ない?」 「…あ、ああ、そうか。ちがった…住所だっ。そうだ、住所、住所。」 「聞いてどうするの?」 「…う、うん、年賀状出すのにさ、困るじゃない。」 「…名簿ないの?」 「…なくしたんだ。」 「…年賀状…ねえ。(まだ5月なのに…。)まあ、じゃ言うわよ。」 「うん。…〇×△町の…うん。15の……13。いやっ、どうもありがと。」 「うん…じゃ、バイバイ……」 …はああっ。疲れたあ。結局、住所聞いただけか…。ま、しょうがない。手紙 を出すことにしよ。 まあ、交換日記とはちょいと趣がちがうけど、このようにして、彼女との手紙 のやりとりが続いた。大体、1ヶ月に1〜2通のペース。いや、もっと多かった かな? こんなこともあって、学校では誰よりも先に微笑んでくれたけど、な〜んとな く寂しいんだよね。あまり声をかけてくれなくて。でも、近くに来てしゃべる声 を聞くだけで、うっとり。気が休まるなぁ。いつまでも一緒にいたい…。 こう思ったとたんに、おおよそつきまとう事柄ではあるけれど…。 美波さんは転校することになった。 いろいろ事情はあるのだが、もしかしたら戻ってこれるかもしれないと言う。 しかし、僕の今迄の片思いの相手って、まず転校して帰って来たためしがない。 みんなそろって裏切ってんだ。皆んなそろっていじめているんだ…そう思ってた 。 今も、同じ心境。もうあの声が聞こえないと思うと…。また人工金属音の中で 過すなんていやだ。騒音の中の一輪の花が枯れてゆくような、種が飛んでいって しまうような…そんな気分、です。 「あははっ、その電話、そうだったわよね。」 この僕の手紙を彼女は、遠方の電話の向こうから、いつもの声でそう言った…。 <終>
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