CFM「空中分解」 #0333の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
暇だから、小説でも書いてみようかと思った男がいた。 六畳一間のアパート。当然と云えば当然の所に住んでいた。金がないのだ。 働いてもいない。遊んでもいない。つまり、何もすることがない。する気もない。 テレビもない。電話もない。あるのは暇と目の前の何枚かの紙切れだった。 はじめはその紙で折り紙でもしようかと思った。でも、やめた。 そして、小説を書こうと思った。 「いい考えだ」男はうなづいた。 「何を書こうか」男は考えた。 何もなかった。 これじゃあ、いかん。男はさらに考えた。 しかし、何も思い浮かばなかった。それで、とりあえず、ボールペンを捜し出し、テ ーブルの上の紙切れの上に置いた。そしたら、どうしたことだろう。ボールペンが一 人でにピョンと起き上がりスラスラと文字を書いていくではないか−となるとこれは もう、MACKさんの独壇場になるので、ここではならない。 男は自分自身が情けなくなってきた。ああ、ボクには何もない。ボクは一体、今まで 何をしてきたんだろう。ボクには書くことのできる思い出さえも残されてはいないの だ。ふと、見上げると窓の外には真っ白い雪が−と暗くつづくと、これはもうCOL ORさんの専門分野に入るのでここではこうも続かない。第一、今は夏だ。 その時、男は急にトイレに行きたくなった。実を云うと先程から我慢していたのだが、 これをやってしまうと、今日一日、他にやることがなくなってしまうと思ったから、 もう少し後に回そうと考えていたのだった−といった塩梅の展開にしてしまうと、そ れこそ秋本パターンになってしまうので、今回は見送りにして。 それこそ、何を書いたものか、男は途方にくれてしまった。 実を云うと、その男ばかりではない。秋本氏本人も途方にくれてしまっていたのだ。 これはえらいことになってしまった。もう、後には引けない。書くと決めたからには 書かなくてはいけない。男はボールペンをにぎりしめ、うむむと唸った。さらに唸っ た。眉間に皺を寄せ、脳細胞をフル回転させて、考えに考えた。そのうち頭が混乱し てきた。ボールペンがグニャリと柔らかくなり、白い紙が手にまとわりついてきた。 不条理だ。不条理の白い抱擁は斟酌された天涯の独白。痛身に付属せし頭蓋骨の甘美 な無音舞踏に真紅(しんく)の逆流。フォルテシモに明日はない−なんてぇ、自分で も分からんことを書いてしまうと緑字斎さんに怒られる。 「はじめまして」と書いた。これがいい。男は思った。手紙を書くつもりになれば、 後に続けるのも楽だろうと。ところがそうはいかなかった。その後に何を書いていい のか、やはり分からなかったのだ。今や幻となったKITさんと同じ心境と云ってよ い。KITさーん!みなさーん!小生の責任でボードが冷めてしまったよぉぉ−と、 もう、男はメガネさんの役までこなし始めた。さあ、本当に書くことがない。こうな ったら、もう悲劇だ。男の悲劇。 おとこ おお おとこ おまえ おとこか おんな おとこか おんなじ おとこか おとこだ おれはよ おれなら おわりだ ここまでくると、もうクエストさんの盗作と云ってよい。 男はもう何もかもがいやになっていた。嗚乎、やはり、小説なんか書くのはやめよう。 男はボールペンを置くとトイレに向かった。最後はやはり秋本調で決めるしかない。 便器にしゃがむと先ず、前からショウーショウーショウ・・セツセツ うしろから、でかいやつが、ムリッ!ムリムリ おわり
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