CFM「空中分解」 #0320の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
<脣(くちびる)の赤い少女 35行> 脣(くちびる)の赤い少女 睡りの前に少女のかかとを見る ガラスのように尖った神秘が眼 の中を疾る ほそい骨とアンスリウム、夢を充たす妖しい香り 階段は世界の貌 風とともに日々を駈ける えたいの知れない白 い影が背中を蔽う 喉が渇く 手を伸ばして冷たい水を啜(す す)る ビールは明方のためにとっておこう 烟草(たばこ)が 沁(しみ)る 隣には裸の女が眠っているので音楽は流せない あなたのために父の通夜を準備するわ、死者の肉を刺身にすると 魂は永劫(えいごう)不滅よ 扉を敲(たた)く音は精神に悪い 掌は手首のために造られ、指は心臓を掴むためにある 電車の中 で黄色のブラウスを着た娘を眺め、返された視線に頭がかすむ 西瓜の種が絨緞(じゅうたん)に埋っている 鳩尾の疼(うず) き、力のない咳 ほそい露地で自殺した男の密葬が行われる 夏 らしくもない長い雨、一人三合と書かれた貼紙を見ては独酌の手 もふるえる あたたかな女児の膝に触れて見上げると、童女は死 体を刺身にしている 澄んだ瞳と真赤な脣(くちびる)の童女の 首はない 羽蟻が涌き出し建物は水蜜桃のように朽ちてゆく 夜 明の晩、後ろの正面、童女の群が不吉な輪を作る 教室で食事を している子供らの前で、禿頭の男がコッペパンを御幣にして神妙 に坐っている 扇風機から洩れる古い風、呼吸をおびやかす風 絨緞(じゅうたん)に埋った骨は見つからない 戸棚から銅貨を 盗み出した少年は翌日まで帰らない 化石を採りに山へ登ると強 姦現場に達していた ハンカチーフには血のしみがつき、後ろに 置かれた少女の指先には涙 睡魔とともに雨が降る 軒下の下着 が盗まれる 少女の膝は成長にしたがい冷えてゆく 地下鉄のホ ームで会ったときには疲労の色が濃い 緋色の衣裳が翻る 顕微 鏡を覗くと、尻尾のある無数の悪魔が蠢(うごめ)いている 教 師は少女を集めて秘密の講義をする 数日後、辞令が出て僻村に 逼塞する 色の黒い女生徒が後をつける ほそい脚には投げやり な愛、シャツを破ってからは二度と出会わない 漁港で身を持ち 崩しているに違いない 肌色の鳥が四肢を広げて夢の空を翔けて ゆく 醜くもあり美しくもあり、眼の中はいびつに
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「CFM「空中分解」」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE