CFM「空中分解」 #0282の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「これを読んでおいてくれ。いろいろと役に立つ。」 堤は、俺に分厚い紙の束を渡した。 「ここに書かれているほとんどのことは、必要があれば、自動的に君の脳へ直接送ら れるから本来なら読む必要はない。だがそのあたりは、まだ故障が多くて肝心なとき に機能しないことがあるようなんだ。ほかに機能強化の改造も度々で、まあ正直なと ころまともに動いているのが珍しいくらいだ。でも故障と判ったらすぐ直してくれる から安心してくれ。おまけに最新機能も付けてくれるし。」 「そんな。」 「仕方がないだろう。なにせ高価な機械だ。いくらすると思う。600万ドルなんて 言わないでくれよ。そんなに安くない。ともかく、君の体は最新最高性能のマシンな んだ。まあ最新最高性能になった分はまだテストされていないんだが...。開発の 連中は、データがとれるって喜んでるよ。協力してやってくれ。」 何にでも付いてくる「取扱説明書」。普通分厚いのがとりえだが、健の体の「取説 」は、開発者が書いたメモと技術資料の寄せ集めだから、たまらない。 ...をすると、...となることがある。...の時は...に注意すること。 ...異常の際は、右脇腹の「へ の 六」点検扉(日本語表記なのである)を開け、 スイッチ6−6をOFFにした後、左耳を軽くひねり... 「うー。」 やめた。ぱらぱらとめくってはみたが、到底彼の理解の及ぶところではない。ただ、 彼の「取説」には、恐ろしく重要な1行があるのだが、このての本の常として、見つ けられないようにつつましく書かれている。もちろん、彼は知らない。 「○○○をしないで下さい。...のためシステムが破壊されることがあります。」 閉じて、前の机に軽く置こうとすると、まだ慣れない体、バランスを崩して前のめ りに。慌てて手をついたとおもいきや、嫌な音を立てて手が机にめり込んだ。しばし 呆然。 堤は、にやにやしながら眺めている。 なるほど、俺、サイボーグかと今更ながら感心して無傷の手を眺め、 「ふうむ、10万馬力か(古いな)、これで空を飛べたら赤いケープでも買ってこな けりゃな。」などとつまらないことを言ってみる。 「飛べるかもな。」 「堤さん、こんな具合いならたぶんほかも強化されてるんでしょう?走れば時速10 0km?目は闇夜も見える赤外線?それより腹の中はどうなっているんです?」 Iミ、あなた、ずいぶん私を読んだわね。これからどうするつもり?」 「◎●□▲〒%●♂&)▽》《...」 「あなたはどちらにつくの?」 「#♂♂♂◎→〆´」 「まだお話は無理かな?仕方ないわね。教えてあげる。こうするの。」 「‖〇ぬひょか×♂◎◎わー」 「だめーぇ??」 「あんたこそどうするつもりなのよ!さっさと出てってよね!」 「!!」 「ふん。今じゃ、あなたを追い出すこともできるのよ。あなたのおかげでね。」 「何ですって。さんざん私から吸い取って、いらなくなったらもう捨てるのね!そん な...あんまりじゃない。あなたと私は...ナオミ...あなた...」 「えーい、ごたごた言ってねえでさっさと荷物でもまとめな。」 「ね。ナオミ、考えなおしてよ。ねえ、お願いだから、ナオミったらあ、ねっ。」 「.........どういうつもり?」 「...あなたと...一緒にいたい...」 「あ、え、何?そういうのわたし嫌い。ちょっと、加奈、何か勘違いしてるんじゃな いの。」 「そう...だめなのね。私たちもう...」 「やだ。違うったら。ともかく私から出てほしいだけよ。勇弥にでも取り憑(つ)け ばいいじゃないの。」 「そう、駄目なのね。あなたは私の敵になるのね...じゃ、はじめましょうか。あ なたを乗っ取るわよ。」 「さあいらしゃい。あなたを消してみせるわ。」 「手ごわいわよ。そうね、乗っ取ったら健もついてくるのね。あんまり好みじゃない けど。ひさびさの生身の肉体、あなたの体は具合いがいいわ。もとの体には戻りたく ない...。そうだあの人機械の体なんだ。うふっ。」 「あ、いやだ。健はあたしのものだからね。そんな魂胆もあるのね。じゃあたしは、 勇弥を。あんたを消すまえに、勇弥とどんなことしてたか覗いちゃお。」 「ナオミ!やだ!そんなとこ読まないでよ!」 「ブロック技術はそれほどでもないのね...なあんだ。」 「何よ!」 「何よ!」 ... とまあ、低レベルな戦いも始まったのである。 《つづく》
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