CFM「空中分解」 #0233の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
堤さんは、しばし立ちすくんではいたが、すぐ我に返り外へ。外の電話ボックスに 向かう彼を目で追う。小さな窓から見える。ボックスの扉を勢いよく開ける。ポケッ トをさぐっている。 「あの子??!」 どうしていいかわからず、ともかくおれも外に出た。彼女の家にかけているのだろう、 がつながらないようだ。受話器を握り締める、左手が白い。 思い切って扉を開け、声をかける。 「堤さん、新聞社の報道部あたりへ聞いてみましょう。おれが代わります。」 「...。」 「じゃ受話器。104か。」 ... 「どうも、ありがとうございました。」 電話を切り、おれは無言でメモをわたした。 堤さんは、どうやら落ち着いたようだ。メモをいちべつするとゆっくりと歩き出した。 「堤さん。おれも一緒に...。」 「ああ。」 その頃、ナオミの家では。父親からの電話がはいっていた。母親がすぐさま受ける。 「はい?」 「ああ、わたしだ。絶望らしい。」 「いいえ。いるのよここに。乗らなかったそうなの。」 「なんだと!...え、いるのか?そうか、今はどこにいる?...知っているのは? ...誰もいない?よし、近所は?いいか家から出すな。どこへも電話してはいかん! 1時間後にまた電話する!...マスコミがうるさいからな...。」 何も言わなくなった受話器をみつめるばかり。 そうそう、そのナオミの父親だが、官民合同の次世代コンピュータ開発のプロジェク トに関わっている企業のお偉いさんらしい。人と機械との緊密な意志疎通を目指してい るそうだが、もともとコンピュータなんぞ興味が無いおれだから、ナオミから聞いて初 めて知った。 俺なんかにも関係するところでは、家庭端末機が、キーボードを使わなくてもいいよ うになるようだ。 噂では脳波入力で操作するらしい。アルバイトを探すときぐらいしか端末には触らない が、こちらの名前を仮名で入れるときなど実にうっとうしい。 脳波でどうのこうのといったって俺の知ったことじゃない。だが、楽になるのなら有 難い。 それでも気になりだして新聞など注意してみると結構、世間の話題になっているらし い。 「脳波をコンピュータに読ませるなんて人権侵害だ」、はては、「魂が吸い取られる」 などと文明開化ごろのカメラのようなことをいっている宗教団体も出てくる始末だ。 詳しいことは、公表されていないようで、なにかあるのか、マスコミも歯切れが悪い。 以前、ナオミのやつが、親父にしつこく頼まれて、開発中の装置の試用ということで バイトをやったといっていた。その時、一度だけ体中に電極を貼り付けられて半日、ベ ッドに寝かされた、なんてことをいってたっけ。 馬鹿ではない彼女だからそのアルバイトの意味が分かっていたようで、更に親父さんか ら、口止め料もせしめているようだ。また、うとうとして、やけに痛い注射をうたれる 夢をみた、といってもいたようだ。 そのほかは話してくれなかったが、随分おかしなことをやらされたようだ。でも、本 当の目的は、見当もつかないらしい。 それではナオミの部屋へ。昨日からの出来事を思い起こすと、無性に人恋しくなり寂 しさがこみ上げてきた。 知らず知らずに指が、這ってゆき××××××××××××××××××××。 ×××××××。 10行程伏せ字にしたところで、気分が落ち着き「加奈」のことを考えてみた。 (「(乗ってはいけない)」) なぜ、未来が見えたの?それともあなたが、どっかーん?なぜわたしを?あなたは誰? あなたは、死んだの?”ゆうや”ってだあれ?「力」って何のこと? 私は、どうしたら...。 どうしたら...。 眠ってしまったらしい。軽い寝息が静かにもれている。 つづく
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「CFM「空中分解」」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE