CFM「空中分解」 #0129の修正
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「久し振りに、どうだい ?」 長山に呼ばれた私は、彼を訪ねることにした。 彼は、いつものようにウイスキーで私をでむかえてくれた。 「このウイスキーにはねぇ・・・」 彼は、飲みだすといつも話しをするのだった。 「きれいな娘さんがね・・・ そう、いつだって笑ってた・・・」 少し変だった。彼が女の話しをするなんて。 彼は、このとしになっても落ち着こうとしない。女嫌いなのである。 「ところがね、あれは・・・ あれは、10年前の晴れた日だった。 いつものようにその娘にあったんだよ。ところが、その日に限って暗い顔をしてるんだ。おれは、『変だな。』 と思ったね。で、聞いてみたんだ。 『何か、あったんですか ?』 なんて・・・ うむ、ちょっと惚れてたしね・・・」 なんだ、初恋の話しか・・・ と、私は思った。ところが・・・ 「彼女、何て言ったと思う ? 『私、死ぬんです。』 なんて言ったんだ。 おれゃびっくりして、『どうして ? どうして死ぬんですか。御病気でも・・・』 そこまで言ったとき・・・ なんと彼女が、おれの方にたおれてきたんだよ。 だきかかえてみると、 もう彼女は、死んでいたんだ・・・ おれゃもう必死で彼女の家に走った。『お嬢さんが・・・ お嬢さんが・・・』 なんて叫びながら、家に駆けこんだんだよ。」 これだっ!! これである。いつも彼のはなしはミステリアスなのだ。 「ところが、驚くじゃないか。家じゃパーティーの真っ最中だったよ。 娘の姿をみた親父さんなんて、 『さあさあ祝いだ、酒を飲んでくれ!!』 なんて、言いだすんだ。 おれは頭が変になりそうだった。きっと、何かあるんだなって思ったよ。 すると親父さんは、こんな話しをしだしたんだよ・・・」 彼は、私がウイスキーを飲みほすのを見て 「もう一杯いるかね。」 と聞いてから、つづけた。 「『娘は、死んだんじゃないんだ。あいつは、旅にでたんだよ。 あいつは、あんたに惚れていた。それで、あんたを試す旅にでたわけだ。 10年間、あんたが他の女のひとに惚れなかったら、娘がまた戻ってこれるように このウイスキーに呪いをかけてね。 今のままの、若い娘としてね・・・ どうだね、あんた』 おれは馬鹿々々しいと思ったんだが、その呪いの効果はてきめんだったよ。 女を好きになれなくなってしまったんだ。 どうしても好きになれない。 で、10年間、呪いのとけるのを待った。 え ? 娘の呪いのとける方法かい ? それはね・・・ それはこのウイスキーを、10年たったら誰にでもいい。誰にでもいいから、女に飲ませればいいんだ。そうすればその女が死んで、彼女がまた戻ってくる。 おもしろいね。 あんたが、おれが選んだ女ってわけだよ・・・ 」
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