CFM「空中分解」 #0124の修正
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彼は今、とても冷静になれる気分ではなかった。 就職は希望どおりの大企業に決まり前途揚々の彼にとって、今日という日の大切さは計り知れない。 そう、卒業をかけた英語の試験があと30分後にせまっている。彼は、大学への坂道を急いでいるのだった。 今日は、坂を下ってくる若者の姿がいつもより多いようだ。 「何か、あったかな ・・・ そうそう、今日は入試の発表や ・・・」 自分自身の4年前を思い出してつぶやくと、あの日のことが目の前にありありと浮か できた。 「あんなコピー屋あのころにはなかったなぁ。そうや、あっこでかわいいねーちゃんが、わあわあ泣いとった・・・ そや、藤井が『おまえの番号あったでぇ!!』いうてくれたんや。あの、パン屋の前で・・・ あれっ、あそこにおるの藤井や・・・」 パン屋の前には、親友の藤井がたっていた。 「まいどっ!!」 なぜか藤井は悲しい目をしていた。そして、こうつぶやいたのである。 「おまえの番号なかったで・・・」 「おまえ、なにゆうとんねんや・・・わしゃ今日は合格発表に来たんやないでぇ・・・」 「おまえこそ、何ゆうとる。夢でもみとんとちゃうか ?」 夢 ・・・ なにやら胸騒ぎがしてきた ・・・ 今までの4年間はもしかしたら夢やったんとちゃうやろか ・・・ 彼は駆け出した。 「受験番号、何番やったかな ? そやそや 3358 や ・・・・」 正門を入って、左にまがる・・・ 白鳥がおよぐ池の前・・・ 掲示版だ・・・ 「えぇぇっと・・・ 3200・・・ 3300・・・ 3350・・・ 3354・・・ 3360・・・ んっ!! ・・・ 3354・・・ 3360・・・・・ ないっ!! わしの番号ないやないかっ!! ・・・・・・ 」 彼は大声をあげて・・・ 目が覚めた。 「ん ? ここはどこや ??」 そこは、教室だった。 英語の試験はいまにも終わろうとしている。 彼の前には白紙の答案があった。 彼は気付いた。 「3358番って・・・ 就職試験の番号やったんや ・・・」
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