CFM「空中分解」 #0115の修正
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装甲自転車バイカーン 第2話「ターボとの対決」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 電車は豊田駅に入り静かに止まった。もう日は低い。杉原明は電車を降りると階 段を軽快に昇っていった。ホームから大勢来るのがみえる。彼は改札を抜けると自 転車置場へ向かった。駅前ではどこかの車のエンジンが低いうなり声を上げている。 音の具合からするとたぶんターボなんだろう。杉原は置場に入り自転車を取り出し て道に出した。 「銀行強盗だぁ。」駅の方で叫び声がした。 杉原は自転車に乗ると声のした方に走った。大通りに出ると黒い車がものすごい音 を立ててこちらに向かって走ってきた。その後ろから″とみん銀行″と横に書かか れた車が前の黒いのを追って走ってきた。 「あれか、」 杉原はつぶやいた。 「銀行強盗とはまた派手な事をやってくれるぜ。」 そう言うと杉原は周辺を見わたした。案の定、やじ馬が多くてとても変身出来るよ うな状態じゃなかった。杉原は裏道に行き周辺に人がいないのを確認して″輪行″ した。ディスクホイールが手足を包み車体が分れ中にあった装甲が身体を覆いハン ドルが頭に被さり透明なフードが出た。自転車が変形した装甲に包まれ杉原はバイ カーンに変身した。 黒い、強盗の車は駅前大通りを走っていた。後ろからは銀行の車が追ってきてい るようであった。 「さて、遊びはこの位で止めておくか。」 車に乗っている男、藍山、はそう言うと車のコンソール丁度スピードメーターの下 にあるターボスイッチを押した。途端に加速しメーターが300をさした。バック ミラーに映る銀行の車がどんどん小さくなってゆく。強盗の車とメーターとを見く らべて銀行員は言った。 「なんて車だ、こっちも150は出しているというのに、」 そのとき銀行の車の横を一瞬、何かが通った。銀行員が慌てて外を見ると、もうか なり前にいっていたが、銀色に輝く人間が見えた。 「バ、バイカーンか?」銀行員はつぶやいた。 バイカーンは軽く走って強盗に追い着くと脇腹のところのチェーンを取り、突き 出すようにして投げた。チェーンはナンバープレートを突き破り車に絡み付いた。 バイカーンの足と道路とで火花が散る。車は次第に動きを止めた。 「んん、どうしたんだ。」 藍山はこう言いそれからバックミラーに映ったバイカーンを見て言った。 「ふふん、なかなか手ごたえがありそうだな。」 プシュという小さな音がして後ろ半分の車体を作っている金属がとれ、それにとも ないチェーンもとれた。前半分も同じようにとれた。中から現われたのは乗用車の 形をした装甲車であった。 「人型め、ホッパーのホバリング型装甲戦闘車に勝てるかな。」 う言うと装甲車を変形させた。車輪が内側に引っ込み、横から機関砲のよ うなものがせり出してきた。 「日野の秩序を乱す奴はこのバイカーンが許しはしない。銀行強盗、奪った金を置 いて早く消えうせろ。」 バイカーンは戦闘車に向かいこう言った。が戦闘車が動く気配はない。 「そうか、それなら仕方ない。貴様!バニッシュしてやる。」 戦闘車からは答えの代りにエンジンを吹かす低音が返ってきた。 ″戦闘車だな。それも軍のものにはないような形だ″ バイカーンはそう思った。次の瞬間、バイカーンと戦闘車は同時に動きだした。戦 闘車は横の機関砲でバイカーンを狙った。が、バイカーンの動きが速く追いつかな い。バイカーンは戦闘車に向かって走り、擦れ違いざまチェーンを叩き付けた。 「!?」 バイカーンは思った。物が壊れた感触がなかったのだ。振りむいてみると戦闘車は まったく、壊れていなかった。 「ははははは、この戦闘車は全身が衝撃吸収材と熱エネルギー吸収体、それに50 mmの装甲で覆われているのだ。そんな攻撃では傷もつかん。」 バイカーンが気を許した一瞬、戦闘車の横の機関砲が180゜回転し火を吹いた。 威力におされバイカーンは一歩も動けない。まわりから土煙が上がる。機関砲は依 然として火を吹いており15秒程撃ち続けた。機関砲が止まるとあたりは急に静か になった。辺り一面が土煙で覆われていた。 「ふっ、たいした事はないな、ただの見かけ倒しか。」 だが土煙の中から何かが飛び出してきた。それは戦闘車の左に瞬時に移動しそこに あった機関砲をもぎ取った。そして戦闘車の前方10m程に軽く飛んで、車の方に 振り返り、言った。 「このバイカーンはその程度の攻撃では傷すらつかん。だがその行為からして、貴 様はヴァニッシュされたいようだな。」 「ふ!何を言ってるんだか。」 藍山は何かの操作をし、戦闘車の前部から小型の爆弾のようなものが放出された。 だがその物体はバイカーンの近くて破裂したが土煙を立てた位だった。金属片が宙 を舞った。 「今度はこっちの番か。」 バイカーンは言った。が、戦闘車からミサイルが出、バイカーンに向けて発射され た。バイカーンによって増幅された視力はミサイルを瞬時にとらえ、バイカーンは 上空へ跳躍した。一旦は過ぎ去ったミサイルは方向を変え再びバイカーンへと向か ってきた。 「誘導か、ならば、」 バイカーンは空気入を取り外すと前後に動かし始めた。空気入は支軸の前後運動に より発生したエネルギーによってビームを放出するバイカーンの武器の一つなのだ。 ピッという音がしてチャージ完了を知らせる。バイカーンはそれを路上に停めてあ る自動車に向けビームを発射した。拡散しないようになっていたのか、直径10c m程のビームは車に命中し、路上で火災が起こる。 バイカーンはそう言い、次第に落下に移っていた。だがミサイルは依然としてバイ カーンに向かってくる。 「赤外線誘導ではなかったのか。」 バイカーンはビームのチャージをしようとしたが遅すぎた。ミサイルはバイカーン にまともに当たり、爆発で20m程飛され、バイカーンはショックで空気入を落と した。 「ほう、あの爆発で壊れないとはたいしたものだ。がビームが使えないのなら勝目 はないな。」 藍山はそう言うと再びミサイルを発射した。倒れていたバイカーンは間一髪のとこ ろでそれをかわした。 「赤外線でも動体誘導でもないらしいな、では何だ?」 そう思う間にも3発目が発射された。バイカーンはチェーンを握るとミサイルの近 づくのを待った。バイカーンは増幅された反射速度を使い、ミサイルを壊して同時 にそこから飛びのいた。横から爆発音が響いてくる。バイカーンは体勢をたてなお そうとしたが、そこに戦闘車が突進してきた。よけようとしたがとっさの事で間に 合わず戦闘車にすっ飛された。しかし同時に残っていた機関砲を壊した。 「ふふふふふふ、どっちかが壊れるまでやってやる。」 藍山が不気味な笑いとともに言う。 「空気入を拾わないかぎり、勝てそうにないな。」 バイカーンは思った。だが空気入は戦闘車の後方200m程に落ちていた。取りに 行くことはまず不可能だ。戦闘車が全速で突っこんできたらバイカーンの装甲は大 丈夫だとしても中の人間はまず気絶するだろう。そんなこととは関係なく前にいる 戦闘車はホバリングをしている。空気が排出される音が辺りに響く。 「この音は、ホバリングか・・・」 バイカーンは言う。 「ホバリング・・・ホバリングか。つまり・・・。賭けてみるか。」 バイカーンは戦闘車に向かって走りだした。それを受けて藍山のほうも動きだした。 衝突の寸前、バイカーンは片手で戦闘車を受け止めた。そして戦闘車を持ち上げ、 下に入った。 「何をするつもりだ。」 藍山は言った。バイカーンは片手で戦闘車を支えながらもう一方の手を空気の排出 溝に打ちこんだ。手は排出溝にやすやすと入っていく。 「思ったとうりだ。ここには装甲はない。」 バイカーンの手はさらに中に入りエンジンを壊した。そして手を引抜き戦闘車を裏 返しにした。 「う、うわぁぁ、爆発しちまう。」 藍山は叫びながら戦闘車から出てきた。するといつの間にか来ていた警官隊に取り おさえられた。バイカーンは空気入を拾うと何処ともなく走りさっていった。 後に残った警官隊は形式的に現場検証をしていた。突然、壊れた戦闘車を見てい 「危ない。爆発するぞ。」 そばにいた警官隊や野次馬が一斉にそこから離れた。その直後、大音響と共に戦闘 車は爆発した。だが警官の警告で怪我人はいなかった。皆が一息ついたときに、ひ ときわ高い叫び声が上がった。銀行員が空をさして叫んでいた。皆、一斉に空を見 上げた。空からは、燃えてしまいかろうじてそうだと判別できる、紙幣が降ってき ていた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Written By 時神蕗霧
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