CFM「空中分解」 #0040の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
泉はバッグの中から8201と呼ばれるタイプライターのキーボードみたいな パソコンを取り出した... 「朝食の時マイルドセブンライトを吸っていましたし、私は昨日のうちに名古屋の 義兄の所にメールを出して、犯人の会社の同僚にも当たってもらったのです.. その答えがこれです」 ダウンロードしたファイルが液晶ディスプレイに浮かび上がった... 「カレハ タバコハ マイルドセブンライト ヲ スッテイテ ナイバアイデモ マイルドセブンシカスワナイ」 確かにタバコの好みというものはそう簡単に変えられるものではないらしい、本当は 買った真似だけでもよかったのだが、自販機がすぐそばにあるデッキでタバコを 買いに行くよう頼まれたのが誤算の始まりであった。 自販機は最近の物でもガタンという音がするので、本当に買わないわけにはいか なかったようだ。 しかもその時正直にもロングピースを買ってしまい、もったいないので一雄や泉の 前で吸ったのが運のつきである。 「なぜ貴女は、あんな危ない事をしたんですか?我々に知らせれば事は済んだ 筈なのに???」 「だって考えて下さい、こんどの事件でどこに物証があるんですか? 警察で聞かれたら犯人だって必死に知らないっていいはりますよ... 相手が私みたいな小娘だから、ついしっぽをだしたんでしょ?」 「しかし殺されていたかもしれないのに...」 泉も少し笑って... 「私もそこまでは考えていませんでしたわ、気の弱そうな人だからなんとか説得して 自首させられると思ったんですけど」 ペロッと舌をだして頭に手をやる仕草はたしかに19才の娘のものだ。 さらに最後の疑問を水野主任は問いただした。 「それで動機だけど??」 泉はあっさりと答える... 「そこまで私に分かったら警察なんていらないんじゃありません?」 芝原婦警がクスクスと声を出して笑っている..水野主任も照れくさそうに 頭をかいた。 「すまんすまん、あんまり見事な推理なのでつい手間をはぶこうとしてしまった、 後は月給もらっているこちらで調べるよ」 人間はきちんとセロファンで包装してあると、 つい中身まで信用してしまう癖がある..まさか日本たばこ産業の製品に毒物が 入っているとは気が付かないであろう。 注射器でフィルターの部分に青酸カリをたっぷり染み込ませれば、 注射針の跡も銀紙を破るとき1/2の確率で消えてしまう... 大抵の人は取り出し口の銀紙を破って捨ててしまうから。 運悪く最後に残るほうの端に毒入りタバコが有ったとしたら、 きっと箱もくしゃくしゃだし最後の一本を出したところで空箱も捨ててしまうだろう。 どちらにしても注射針の跡のある証拠の空箱はなくなってしまうのだ... 警察の調べの結果、動機は長谷山部長が山本晴彦の作った画期的なDOSを他社に 横流ししようとしたのを山本が気付いて、過去再々自作のソフトを他社に流された 恨みからの犯行と判明した。 また最近の長谷山部長の体調が悪いのは、ヒ素のせいであり、 この犯行も山本は自供した...数カ月前から注射器を持っていたらしい。 プログラマーにとってソフトとは自分の子供のようなものらしい... その愛着はとても常人のうかがい知るものではない。 あのEP−ROMは、そのソフトをROM焼きしてあったのが後日あきらかになった。 帰りの宇高連絡船も『伊予丸』である...とんでもない思い出が出来た高松の街が 遠くなって行く... 後部デッキには、行きと同じく泉と一雄がベンチに腰掛けていた。 服装は泉がT−シャツにジーンズのミニスカートで一雄もT−シャツにジーパン というペアルックだ...恥しいからいやだという一雄を強引に買わせて泉は満足気 である。 「タバコ捨てなさいよ...」 「長谷山部長みたいに海に落ちるとでも思ってるのか?」 白く泡だつ航跡に半分ほど吸ったタバコを投げ捨てるとまぶしそうに泉の顔を見る。 「キスできないでしょ..それじゃ」 一雄はそっと辺りを見回した...誰もいないようだ。 泉の髪が瀬戸内海を渡る潮風にサッと広がった時、二人の影が一つになった。 マストの日章旗も風にあおられてバタバタと音をたてた..夏も終わりである... −−−−−< 完 >−−−−− 皆様、今回の連載小説『瀬戸内海は殺人日和』をご愛読いただきまして有難う ございました。 高村刑事と泉ちゃんの楽しい会話をお楽しみいただけましたでしょうか? ミステリーとしてはトリックがいまいちだと思いましたが、テレビのように二人の 姿が皆様の目に浮かべば今回の作品は成功だと思っています。 エンディングのシーンで映画のラストのような感じをもっていただけました でしょうか? 最後で陽光あかるい瀬戸内海の潮風と太陽の光を感じていただけば、 私としては何も言うことはありません... 著作権も確立されていないBBSでは、今の所本物の作家の小説は望み薄なので 私ごとき素人が、こうして書かせていただいていますが今後ともよろしくお願い いたします。
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