#3705/3706 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 25/11/29 20:28 ( 26)
出し遅れ気味のツイスト 永山
★内容
テレビ朝日系で放送のドラマ「緊急取調室」シーズン5第六回を録画視聴。ネタバレ
注意です。
取り調べ対象者がクロであることを立証するのではなく、シロであることを立証する
パターン。このドラマのシリーズでは、まだなかったのかな。こういう捻りは、もう少
し早い段階で使うものだと思ってた。今回が初なら、それはそれで良く引っ張ったなあ
と妙に感心する。
取り調べる相手を演じるのはイッセー尾形。これ以上ないほどの適役だったなという
印象を受けました。のらりくらりとした喋りといかにも裏がありそうな態度、それでい
て誠実さや正直さも漂わせる。単なるカメレオン俳優ではない、得体の知れないキャラ
クターを演じることに長けているとすら言ってよさそう。
ストーリーそのものも結構面白かったんですが、真相が見えやすいというのはやや難
点かな。分かり易さや黄金パターンは否定しませんが、“隠された真相”が(メタ的な見
方故であっても)あまりに見え見えだと、作中の探偵役の能力が劣って映ることがあり
ますから。
引っ掛かったのは二点。まず、尾形演じる山田は当初、有力な容疑者だったのだか
ら、当然、私物を徹底的に調べたはず。にも関わらず、終盤になって、真犯人の落とし
た眼鏡を山田が拾い、会社の自分用のロッカーに仕舞っておいた、というくだりには、
正直ずっこけるレベル。私用のロッカーなんて真っ先に調べるんじゃないの?
二つ目は、山田が犯行を否認しなかった理由。確かに面白い、ユニークな設定だった
ことは認めますが、ちょっと弱い。確実性の乏しさは拭えないし、所轄刑事の取り調べ
の時点では、罪を認めるかのような言動に終始したのも気になる。キントリが関わって
こなかったら、どうするつもりだったのか。
そんなこんなで、捻りを入れる試みは買う一方で、本作ならもっともっとよくできた
話が創れるはずとも感じた回でした。
ではでは。
#3706/3706 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 25/11/30 19:39 ( 35)
しがしでない 永山
★内容
BSフジで放送の松本清張ドラマ「異変街道」を録画視聴。ネタバレ注意です。
松本清張の推理物はドラマ化された物をよく観ているのですが、時代物となるとあま
り食指が動きません。本ドラマは、あらすじ紹介を読む限り、時代物でありながらミス
テリの要素が強めのように感じられたので、視聴してみることに決めました。
とりあえず、字幕対応していないのが辛かった。(^^; 旧いドラマで出演者も達者な
人達が揃っているのに、何故か聞き取りにくい。その上、昔ながらの言葉が頻出する
し、専門用語と表現するのは言い過ぎかもしれませんが、日常的でない単語も多かった
気がします。こういうドラマにこそ、字幕をきっちり付けてほしいもの。本放送時には
字幕がなくて当たり前だったのかもしれないけど、再放送に際して、字幕を付ける手間
を掛けてもいいんじゃないのかと。
ストーリーの方は……ミステリ的には、「死んだはずの鈴木栄吾だが、その後、目撃
した者が出た。その目撃者が殺され――」というのが興味の端緒になっているのです
が、早い段階でちょっとがっかりするようなくだり(説明)がありました。主人公は
「栄吾は病死した」と知らされていたが、現地を訪ねてみると実際は病死ではなく、山
に入ってそのまま戻らなかったというもの。だったら事故死かというと、そうでもな
く、遺体は見付かっていない。土地柄や侍という栄吾の身分を慮って病死とされたと。
いくら江戸時代だかって、そんなことあるの? 人の生死の扱いがいい加減に過ぎる。
これでは、死んだ者を見たというのは謎として成立しません。
かような訳で、ミステリ的な興味は早々に薄れていき余したが、全体の話の運びはエ
ンタメ要素が強めで、結構楽しめたかも。武田信玄の一族が秘匿する黄金がすべての始
まりというのは冒険活劇っぽい設定で、これなら忍者めいた面々が登場してきてもさほ
ど違和感がない。
俳優陣も主人公の探偵?役・三浦銀之助に古谷一行、その三浦に途中から関わってい
く河村に火野正平。この二人の組み合わせって、現代物の二時間サスペンス(温泉×殺
人のやつ)でよくあったので見馴れており、しかも古谷の入浴シーン(湯治名目)が何
度もあるとあっては、制作サイドは分かっていてやっているとしか思えません。(^^)
岡っ引きに蟹江敬三というのも、いかにもな配役。
この手のドラマで、引っ掛かった点を挙げるのは野暮ですが、あえて一つだけ挙げる
としたら……うーん、暗い山道で敵に襲われ、逃げる三浦が、それなりに高さのある場
所から飛び降りる場面かな。一応、乏しいながら月明かりはあるものの、初めて入った
夜の山道で、何があるか分からないところを飛び降りるなんて正気の沙汰じゃないので
は。追い詰められて、そうするほかにどうしようもないという訳でもなし。あの程度な
ら物陰に隠れてやり過ごす方がよほど現実的だと思った次第。
ではでは。