●連載 #0435の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
[春の芽] 月と出逢ったのは去年の春――高校一年生の入学式のことだった。 月は入学試験を首席で突破したらしく、新入生の挨拶で堂々と作文を読み上げていた。 そのとき月が読んでいた作文の内容は、私の記憶には欠片も残ってはいない。 聞いているどころではなかったからだ。 月の姿に目を奪われていた。 壇上までゆったりとした足取りで歩いていく姿…。 校長先生の前でお辞儀をしたときの涼しげな顔…。 優雅で、儚くて…例えようもないくらいに魅力的で、惹かれたのだった。 初めてだった。 恋など何度もしたことはあったのに… あそこまで急速に私の心を奪っていった人は初めてだった。 運命なんて感じたことは一度もなくて…信じたことすらなかったはずなのに。 そのときばかりは、頭の中に素直に浮かんできたのだった。 ―― ああ、これこそが運命に違いない…と。 入学式を行う前に配られたクラス分けの紙も、 少なからず私の心に影響を及ぼしたのかもしれない。 “月” という聞きなれない魅力的な名前。 その美しい響きに興味が湧いた。 いったいこの素敵な名前を持つ人は誰なのだろうか、と。 そんな出会いだった。 月にとっては違ったとしても、少なくとも私にとっては十分すぎるほどの衝撃だった。 その一ヵ月後―― 私は初めて月と二人っきりで会話をした。 そのときのことは今でも鮮明に覚えている。 風のにおい、太陽の日差し、葉が重なり合って作り出すざわめき―― なんでもないことのはずが、すべて輝かしいもののような気がしていたのだった。
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