●連載 #0277の修正
★タイトルと名前
親文書
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
リクト・ベルガニアは今日も絶壁の上に立つ居城の裏のベルガニアの森で狩りをしてい た。この時、リクトは十四だった。馬の腹を蹴り、獲物を追う。そして城下町の名工に 作らせた弓で射抜く。これがリクトにとって快感でしかなかった。 評定の時間になった。 今回の評定は異例で分家のミク・ナウ両家が参加した。と云うのもウッドミドガルド の猛者、クヅギがベルガニア平原に攻めはいるという噂が世間に流れていたからだ。 「ナウ家、情報は手に入ったか?」 リクトが云った。 「はっ。此方の密書でございます。」 ナウ家は世間には知られていない。何故なら、ベルガニア家の隠密を司っていたから だ。さながら、『影のベルガニア』といったところだ。後に、このナウ家からテンガマ と名の忠臣が生まれる。 「ウッドミドガルドの猛者、現在、着々と軍備を整えているように候。又、緑が豊富な 土地故に兵糧は有り余る勢いで候。大工を集めウッドミドガルド城築城に着手した様子 で候。」 リクトは軽く読み上げた。立ちあがると、 「皆者、ウッドミドガルドの猛者どうやって倒してやろうか。」 家臣がざわついた。 「我々はどう掻き集めても少数。奇襲はどうでしょう。」 「いや、駄目だ。我々は降りる。」 云うや否や、一人の家臣から反論がとんだ。 「何を仰いますか!殿は御家のことを考えていますのか!」 するとリクトは其の家臣に近づき家臣の頬に力いっぱいの拳を叩きこんだ。其の家臣は いきなりの出来事で物を云えなくなり泡を食って倒れた。リクトは其の家臣の顔を踏み つけ、 「貴様に俺は発言権を与えていない。貴様はいつも俺の策を馬鹿にしたよな。」 と云って家臣の顔を二度三度蹴った。十四の少年がすることとは思えない。戦慄した家 臣等は俯いたままだった。 * * 「御館様が今度手に入てようとしているベルガニア平原のベルガニア宗家の主君は評定 で家臣を殴り倒したらしい。」 同僚とカラスは話していた。今度攻める土地のこと。つまり其れはカラスにとって初陣 になるのであった。軍備と整えるために特別に設けた倉で門番をしていた。領民は米を 献上した。又、武器は全国の刀鍛冶をよびよせて城で毎日作らせた。領民は門番のカラ スにも頭を下げて倉に入る。それがカラスにとっては嬉しくてたまらなかった。この領 民の行為もクヅギが民政に力を注いでいるためだとカラスは悟った。 そんな事を思っていると、地響きがした。『ドスン、ドスン』と響く。又、怪鳥に似 た叫びも聞える。果たしてその騒ぎの張本人は、ヌーグヴェルだった。 ヌーグヴェルは普段人々が移動手段として使用している馬を一踏みで殺してしまう程 の巨大な体の持ち主。動物だ。鼻が長く垂れていて、その隣からは牙が生えている。体 毛はなく皮を露にして体色はペパーミントグリーン。 上の方で声がした。 「これが天下の動物のヌーグヴェルとやらか。」 クヅギだった。
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