●連載 #0236の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
本作品は、戦国時代を舞台にif的な要素を盛り込んだものです。史実を求める方にはお 勧めできません。 山が燃えていた。山村が賊に襲われている。家の金目のものは悉く奪われ、女は攫わ れ、歯向かう男は殺されている。そんな村を尻目にかけはぎの安くできた服を着ている 少年は己の身丈よりも大きな剣を持って村から逃げていた。この剣は少年にとって生命 の次に貴重な物だった。少年の名は竹千代。そういう風に村では言われていた。草鞋が 殆ど形を残してはいない。其れほど山の中を翔けていた。その時後方から馬の翔けてく る音がした。 「おぅい。」 竹千代は叫んだ。村人かも知れない。しかし賊であるかも知れない。竹千代の予感は的 中した。賊だった。賊が竹千代を取り囲んだ。獣の反物を羽織っていて合戦後の合戦場 の屍体からかすめた具足や脇差を装備していて、はたして野武士という井出達だった。 「頭、こいつぁどうしますか?」 いかにも下っ端といった男がいった。装備も脆そうだ。 「そうだな・・・。おい、お前、名はなんと言う?」 頭と呼ばれた男だ。 「・・・・・竹千代。」 竹千代だ。なかなか冷静だった。 「そうか、たった一人の村の生き残りといったようだな。こんなに幼い。どうだ、荷駄 として使ってやろう。」 なんとか命は奪われずにすんだ。ただ竹千代は装飾の美しい命の二番目に大切な剣が奪 われまいかと心配だった。賊の一行は近くの山寺に宿泊した。山寺では部屋の隅に藁を 被って寝た。賊は竹千代の村から奪った酒や食物を貪るように食した後、女を嬲り、犯 したしていた。酷い。この世は地獄だと小鳥丸は感じた。竹千代は剣を強く抱いた。 で、明くる日。山を一つ越えた先の賊の巣窟に向かった。竹千代は米と陶磁器が収容 された荷物を背中に乗せた。まだ齢十二の体で尚且つ土民だった竹千代には重かった。 賊は頭と呼ばれる男を先頭に列で動いた。一歩一歩歩くたびに背中の荷物が『チャッカ チャッカ』と音をたてた。とても耳障りだった。昼過ぎ。いかにも荒らされたような山 寺で休憩をした。山寺の中にはミイラのような法師が横たわっていた。 「おい、坊主。酒と食べ物を持ってこい。頭はお疲れだ。」 下っ端が怒鳴った。 「・・・無い。何もここにはない。」 「無いだと?今ここでぶった切ってやろうか、さぁ出すのだ。」 「無い。」 「しらを切るのか。何かあるだろう。」 「お前さん達のような野蛮な輩がすべて持っていってしまったよ。」 法師の目に恨みのようなものを竹千代は見えた。下っ端は頭と会話をしに外へ出た。竹 千代はその場に残った。法師は竹千代の剣を見るなり、 「おぉ。私は生きていて良かった。貴方です。この世の地獄を救い、楽園を築くのは 。」 竹千代には何がなんだか分からなかった。 「法師様、御止めください。私なぞには勿体のないお言葉です。」 「いいえ、止めません。近々将来貴方の右腕となる若者が現れます。あなたの築く楽園 は百年は続くでしょう。いえ、もっと。ご子息の代、お孫の代、と。」 法師に圧倒されていると下っ端の呼ぶ声が聞えた。 「竹千代。」 「はい。只今。」 竹千代は法師を振り払い外へ向かった。とたんに山寺に火がかけられた。 -------------------続く。
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