●短編 #0226の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
そこへいくとなぜか元気がでるという場所。ワタシにとってバン コクはそんな街のひとつである。 バンコクのドンムアイ空港に着く。タラップが近づいてくる。ド アが開く。外にでる。とたんにむあっという南国の空気がワタシを 包む。あれは何のにおいだろう。南国特有のフルーツか何か、ある いは唐辛子か何かのような独特のにおい。 来た、来た、来たっ。 そんな思いに包まれる。 バスに乗って市内中心部に向かう。その途中からすでに、バンコ ク特有の熱気とエネルギーを感じる。バンコクは街中が脈動してい るみたいな激しさである。 ワタシのバンコクでの宿は、鉄道の発着駅、ファランポン駅のそ ばの中華街のなかにある。楽宮旅社という。4階建ての3階と4階 が旅社になっている。旅社というのは中国語で旅館くらいの意味ら しい。まあ旅館というのもおこがましいほどの安宿である。 部屋自体は8畳くらいの洋室で、汚いベッドがひとつあるだけの 殺風景な部屋である。シャワーの設備があり、天井には大きな扇風 機が回っている。 すでに夜である。荷物を置くとワタシは食事にでかける。近くに 屋台街みたいなところがある。20店以上の屋台が密集していると ころがあって、そこで何でも安く食べられる。 行ってみるとひとがいっぱいで大混雑である。そこへ割り込んで 座る。いろんなものがある。ラーメンみたいなもの。焼きめし。野 菜炒め。貝やら魚やら。およそあらゆるものが調理されている。 ワタシは焼きめしと魚を煮込んだものを頼む。もちろん言葉がわ からないから、指で差して、「これこれ」というわけである。あっ という間にできあがって持ってくる。食べる。うまいんだな、これ が。まあ、これほど密集しているわけだから、まずければたちまち 誰も注文しなくなる。 食べ終わって腹がくちくなり、周りを見渡す余裕ができた。何だ ろうなこれは。うん、ブレードランナーの世界だ、これは。アパー トの建て込んでいる一角に屋台が密集していて、そこに大勢のタイ 人、中国人、日本人がいて、一斉に食べている。大混乱の極地みた いな風景である。これはブレードランナーだ。 バンコクの夜はまだ生ぬるいような熱気である。そのなかを楽宮 まで帰っていく。ああ、バンコクに来たんだなあとしみじみ思う瞬 間である。旅っていいなあ。
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