◇フレッシュボイス過去ログ #6485の修正
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「疑心−−隠蔽捜査3」今野敏 新潮社 2009年3月刊 最近、古本屋さんでこのシリーズ最初の「隠蔽捜査」をゲットしたので、ついでに図 書館で借りてみた。 予断ながら、「隠蔽捜査」とその続編の「果断」もドラマ化されている。両方とも観 たが、個人的には期待はずれ以前のキャスティングミスとしか思えなかった。 主人公は警察庁のキャリア組で、エリートの意識の塊のような男。しかし、同期入庁 者のなかに小学校で自分をいじめていた男がいて、彼にだけは必要以上のコンプレック スを感じている。 なのに、主人公がどんな役でも怪演してしまう陣内孝則、昔はいじめっ子で主人公に プレッシャーを与え続ける同期役が柳葉敏郎。体格からして、違うだろ! とツッコミ を入れたくなった。カメラワークも、ふたりの顔を同時に画面に映そうとして苦労して いるのがありありとわかる。 身長差があっても構わないが、後者にはせめて横幅のある人物をキャスティングしな ければ、画面上、違和感がありすぎるのだ。そもそも陣内孝則はいじめられっ子に見え ないし……。もっと細くて弱そうな俳優はいなかったのだろうか? この「疑心」も遠からずドラマ化されるだろうが、もはや小説からして漫画の文字 バージョンにすぎない。すかすかの文章に薄っぺらな登場人物たちが踊らされ、できご とのすべては主人公が正しかったというオチでまとまる。2時間で終わらせるドラマ化に は最適な分量だが、ハードカヴァーにカネを払うのはもったいない。費用に見合った読 後感を回収できないからだ。 今回、主人公はアメリカ大統領の来日の警護責任者に任じられたが、秘書としてやっ てきた若い女性キャリアに恋心を抱き、仕事が手につかず……というのがメイン・ス トーリーか。作者は大統領の来日の下準備がどういうものか知らないし、わからないま ま調べもせず、最後まで書き進めたらしい。 やってきたシークレットサービスは監視カメラの映像を見ただけで空港を閉鎖せよと わめきはじめ、主人公はその行動が正当だと感じて現場に乗り込む。無茶苦茶だ。 逆の立場なら、と作者は考えなかったのだろうか。アメリカではケネディ空港の閉鎖 が、シークレットサービスひとりの決断で即座に実行されるのか? 絶対にノーであ る。こういう行動をさせるなら、この男(作者が知らないため、肩書なし)に別の目的 があって……という展開にしなければおかしい。 世間の高評価が納得いかない作品だった。個人的に、ぎりぎりうなずけるのは「隠蔽 捜査」のみである。
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