◇フレッシュボイス過去ログ #3348の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
・『ヴェロニカの鍵』(飛鳥部勝則 文藝春秋)13/4450 七月一日の夜、絵描きの久我は、知人で同じく絵描きの郷寺の家を車で訪ね る途中、奇怪なものを目撃する。首のない人間のような怪物が、暗闇を歩いて いたのだ。 その翌日、画商の香田庄乃とともに、再び郷寺の家を訪問した久我は、郷寺 の死体をアトリエで発見して驚愕する。現場は密室状態で、凶器の千枚通しは 被害者自身の物。しかも郷寺は凶器を握り締めていた。遺書はなかったものの、 状況から自殺と判断された。が、郷寺が利き手ではない左手に凶器を握ってい た点など、不可解なことはいくつか残った。 郷寺の死後、久我の前には死者と関わりのあった人物が、次々と姿を見せる。 偶然なのか、何かの意図が働いているのか。そして、久我は久しく諦めていた “ヴェロニカ”を絵に描こうとし始める。 芸術家のミステリ、だなあ。この辺りを掘り下げると、ネタバレにつながり かねないので省略しますが、注意深く読めば、少なくとも最後に残る謎は、簡 単に想像が付くと思います。 芸術家のミステリではありますが、それをつづる文章が、いま一つ。退屈と までは行かないにしても、あまりにも思わせぶりで、伏せていることが多すぎ ます。そのほとんどが、伏せるほどのことじゃないように思えたし。 ただまあ、読みにくいんですけど、ぐいぐいと引き付ける力を持っている道 行きでした。読了すると物足りなさを感じてしまう物語、といったところでし ょうか。 ではでは。
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