#614/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (BMD ) 87/12/22 22:45 ( 87)
くずれた青春> ス パ ー ト (5) COLOR
★内容
まだ続いている「スパート」一体どこまで続くかは誰にもわからない・・・
もちろん僕にもわからない。
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目覚まし時計が俺の頭の上で騒ぐ、俺は布団の中から手をのばす。
「「「あれ??
普段ならば時計の冷たい感触がある筈なのに今日は何故かそれがない。
あっ、今日は時計の配置を遠くしといたんだ。俺は布団から抜けだし時計のスイッチを
切る。
「う・・・んっ、もう7時かぁ」
軽く伸びをして俺は階段を降りる。朝食を口にし(一日は朝食に始まるのだよ)、新
聞を開く。どう控えめに見たって気持ちのいい目覚めとはいえない。でも新聞を読まな
いと学校の話題についていけないのだ。そして2階へ昇り時計を見る。
なんだ・・・まだ7時40分じゃないか、うぅ寒っ! 8時まで布団の中に埋もれて
いるかな。
『バタァンッ』
「いってきまぁっすっっ!!!」
あぁ、よせばよかった。あの時あんな考えさえ持たなければな・・・
俺は朝の連続ドラマなんて観たくないぞ。くそっ、もう8時29分じゃないか。
「「「ゲっ、もぅチャイムが鳴ってやがる。鳴り終わるまでが勝負だ。こ、こら門を
閉めるんじゃない。まだチャイムはなってないぞ!! 俺はピッチをあげる。
「アウトォォォォォォっ!!!」
週番の担当、あの嬉しそうな声・・・げげぼっ、今日は老鶴だ。
こうなりゃ仕方がない、強行突破だ!!
俺はスピードを緩めずにかすかに一人だけなら通れそうな門を突き抜けた!!
『勝利「「「VICTORY』の単語が俺の頭を駆け巡る。これで英語の試験もバッチ
リだな。と思った瞬間前方にいたもう一人の週番、体育教師の古矢にブン殴られた。
あまりに突然で悲鳴をあげるこ暇さえなかった。
「ちくしょう、体罰はいけないんだぞ!」
俺は倒れながら叫んだ。もちろん心の中でである。声にしたところで体罰が黙認され
ている神郷中では意味もなかったが。
『負ける「「「lose』 どうやら本当に英語の試験は大丈夫みたいだ・・・
「大丈夫?」
静野が声をかけてきた。なんだよ、その顔は。どーせ俺は負けたよ。
遅刻の記録をのばしたんだよ。心配そうな顔なんて迷惑だね。もっと素直に喜べよ。
俺は立ち上がると静野をにらみつけた。
「くそっ!」
俺はそう吐き捨てると生徒手帳を静野へ投げつけると昇降口へ入っていった。
殴られた右の頬が熱く、痛かった。
「おい、あれはないんじゃないか?」
教室に入るなり山倉が俺に言ってきた。
「なんだよ、うるせぇな」
俺は気にもとめずに椅子に座る。まったく今日は誰とも話したくないね。
あぁ、イライラするなぁ!
「八つ当たりなんてみっともないぜ、あれじゃ静野が可哀想だよ」
「なにがだよ」
人がイラついている時に少しくらい静かに出来ないのか、こいつは。
「みろよ、静野をよ。今にも泣きだしそうな顔をしてるぜ」
もちろん俺は振り向いたりなんかしない。俺は表情を変えずに言った。
「だから一体どーしたんだよ、俺には関係ないね。心配だったらおまえが慰めてやれば
いいだろ。『心配するな、俺がついてるよ』って言えばおまえの株があがるぜ。ハッハ
ッハッハ・・・」
俺は大声で笑った。みんながこっちを見るくらいに。
「友岸、まさか本気で言ってるんじゃなだろうな」
山倉の顔が急に険しくなる。
「本気じゃないと思うのかよ」
俺は言いきった。頭の中では先の展開が容易に予想が出来たがもう止まらない。
長い沈黙があった。クラスはいつの間にか静まりかえっていた。
ピーンと張りつめた雰囲気の中、山倉の拳が微かに動いた。
「「「「はい、そこまで」
教室に入ってきた老鶴そう言わなかったら俺は殴られていたに違いない。
「後で二人とも指導室へくるように」
老鶴はそうつけくわえた。
<つ・づ・く> 1987/12/22・COLOR
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なんか友岸君の性格が急に悪くなってしまいましたね。これからどうるのかはわかり
ませんが・・・もう少し付き合って下さいね。
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