AWC 深夜連載小説 「イルージョン」 クエスト


        
#607/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG     )  87/12/19  17:52  ( 30)
深夜連載小説 「イルージョン」 クエスト
★内容
 サチには幼なじみがいた。ルナという少女である。
ルナはまあ、美人という程ではないが、可愛らしい顔立ちで、
性格がおっとりしている。
だいたいがこの南の島は暮らしやすいので、大抵の人間はおっとりしているのだが。
狭い島のこと、物心がついた時には、将来を約束する相手は決まってしまっているのが
普通でもある。
サチはルナとなんとなく夫婦になるんだなあと、思っている。
そんな訳で、サチはルナの家によく遊びに行くし、ルナの両親とも仲がいい。
最近は同性のグループで遊んだりすることが多いので、昔みたいに毎日一緒に
遊んだりはしないが、捕まえた魚をルナの家に届けたりはしている。

 「おい、サチ。お前ルナともう寝たんか」
サチの仲間のタマでは猫みたいだから、タムが尋ねた。
「ええー、なんですかー、それ」と応えると吉川理恵子そのままであるが、サチは
驚いた。
なお、この作品では便宜上、現地語は大阪弁で記載している。
雰囲気が出やすいのではないかと、作者は思っている。
「いや、ルナとはまだそういう感じと違うし...」
「おいおい、まだそんなこと言っとんか。どうせ結婚するんやし、かめへんやんか。
僕はもうリーナと寝たで」
「そうかなー。まあ、そのうちそういうことも...」
「ほんま、サチはどんくさいなー。魚とるのは素早いのに。ルナも期待してるんと
違うか。そうや、きっとそうやで。そうに決まってる。」
「ほっといたら、他の男が攫って行きよるで。ええんか、サチ」
「そんなー、それは困るけど、まあそうなったら仕方ないんやろか。」
「サチ、長生きせいよ。」
タムはサチの肩をどついて行ってしまった。
どうもサチは優柔不断というか、はっきりしない性格なのである。

                    つづく




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