AWC これまた青春> ス パ ー ト (3)      COLOR


        
#594/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (BMD     )  87/12/17   0:12  ( 93)
これまた青春> ス パ ー ト (3)      COLOR
★内容
 まだ今回はエピローグではありません。続く限りがんばんぞーーーーーっ!
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 あぁ、次の授業は老鶴だ。あいつの授業ほど辛いものはないね。なんと言っても眠く
なる。下手な催眠術師よりも上手いんじゃないか? その魔術をまじかで受ける俺とし
ては1時間中、拷問を受けている気分だ。もちろん俺はノーマルなんで拷問は有り難く
ない。だから素直に寝たいのだが・・・俺の席になるとサーチライトの出力が強まって
いるんで寝られない。極めてつらい。おっとちなみに老鶴は国語の教師である。

「はい、そこまででいいですよ。次は友岸君、読んで」
 老鶴がニヤリと笑う。ちくしょう、俺がボンヤリしてたの見ていたな。

 俺はうつむき加減で立ち上がる。そして目は隣の女の子の教科書へサッといく。もう
慣れたものでその女の子、垣本 めぐみはそのラインを指でさりげなく指しているとい
う抜群のチームワークのよさ? そして俺は教科書を読み始める。老鶴に突け込むスキ
を与えないようにできる限り大きな声で・・・

『−−−空が私を呼んでいる! 宇宙が私を招いている!私は空へでた。わけがわから
ないまま空へでた。私がどうやっても外せなかった足かせが外れた。そう、私は本当の
自由になったんだわ。』

 俺はスラスラと教科書を読む。あの老鶴のくやしそうな顔を見ているとつい顔がほこ
ろんでしまう、あ、しまった、次のホームルームは陸上競技会の選手選考だ!


 長い拷問時間も終わって、いよいよ陸上競技会の選考である。陸上競技会とはつまる
ところの運動会だ。この神郷中は春に体育祭があるクセに12月になると陸上競技会が
ある。昔の球技大会で怪我人が出たから陸上に変わったという噂もまんざら嘘ではある
まい。俺としては球技の方が楽でいいんだけどなぁ。
 ともかくこうなったら平和主義返上だ。長距離などのバテバテ競技にビシバシと推薦
を決めていく。多少恨みを買ってもしかたがない。これはいうところの自衛権、そう自
分を守るための手段は憲法によって認められているのだ、俺だって涙を飲んで推薦して
いるんだ。みんなこんな俺を許してくれぇ。「田中君を10キロメートルマラソンに推
薦します!」

 さぁて・・・残り物には福があるので。50メートル走に立候補しようかな。ゲ、リ
レーも残ってるじゃないか、あれだけは絶対に嫌だね。責任重大だもんな「「「「「「
「はぁい、友岸君を400メートルリレーのアンカーに推薦しまぁす」

 じょ、じょーだんじゃない! 誰だ? 俺は声のした方へ振り向いた。するとそこに
は世にもしあわせそうな顔をした老鶴の顔があった。あいつ、前の授業のこと、まだ根
に持っていやがるな、しつこいなぁ。おっと、ボヤボヤしていると決まってしまうな。

「タイム、俺、50メートルに立候補!」
 俺は急いで立ち上がると叫んだ。

すると敵もさるもの
「でも友岸君は毎朝走ってるから早いんじゃないの? その足を是非クラスの為に活か
して欲しいわね」

と切り返してきた。
 うぅ・・・嫌味だ、得意の嫌味が出て来たぞ。しかし俺だってこれだけは引けないん
だ。負けたら全ての責任がくるんだぜ、じょーだんじゃないよ、まったく。

 俺は言った。
「早かったら遅刻なんてしません」
一瞬、水をうったように静まる。やばい、この雰囲気だけは絶対にやばい。
口ごたえした生徒は地獄のフルコースが口を広げて待っている。飲み込まれたらいかに
俺といえども待つのは精神的恐怖だけだ。

「あんた、たまには私の言う事を聞きなさいっ!大体あなたはね普段は役に立たないんだから「「「クドグド」
 う、恐怖の鉄砲水が出やがった。こ、こりゃ避けようがないぞ。

「「「しかたがない。風邪でもひくかな。
「せんせぇ、やっぱしリレーやります」


 これで俺のリレーは決定した。アンカーとかいうプレッシャー付きでだ。誰かにノシ
つけて贈ってやりたいよ、まったく。

 ところが話はまだ終わっちゃいなかったんだ。突然、山倉が手を挙げてこう言いやが
った。
「推薦しまぁす。リレーに静野さん!」

 再びクラスは静かになった。そしてその静寂は30秒とたたないうちに大爆笑となりかわりクラス全体を揺るがした。
 な、なんだ? なんでクラス全員で笑うんだよ。
皆の笑いはなかなかおさまらない。くそぉ、泣いてる奴までいやがる。
 俺は山倉の方を振り向く・・・あれ? あの野郎どこへいったんだ。
俺は後方を目をやり山倉の姿を探した。

 いたいた、あいつあんな所にやがった。
よりによって静野の後ろに。あれは絶対にワザトだろう。

「「「「「「「」
 山倉くん。どーやら君とはいちどジックリと「話し合う」必要があるみたいだね。
俺は心の中でそうつぶやいた。
      <つ・づ・く> 1987/12/16 BMD66811/COLOR
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 う〜ん、なかなか元気なキャラですね。この「軽さ」でどこまで行けるのか粘ってみ
たいと思います。

                         BMD66811/COLOR




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