#274/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XFG ) 87/ 8/25 18:37 ( 20)
リレーB>第9回 賢者の剣 :TOMO
★内容
次の瞬間、僕の体は青白いぼんやりとした光に、包まれていた。体にまとわ
りつくような感じの光だ。そして、驚くべき事に、僕の腹には、金色に輝く剣
が突き刺さっていた。痛みは更に増し、叫びも声にならずに喉元をのたうち回
っている。体が粉々に碎け散るのではないかとさえ思える。傷口からは血がに
じみだし、意識は深く暗い海の底へしずもうとしていた。
その時である、ジャンさんの手が、僕の腹を貫いている剣に伸び、その剣を
ゆっくりと引き抜いた。それと同時に傷からは真っ黒な血が勢いよく噴き出し
た。僕は、血を止めたい一心で、傷を押さえた。すると、さっきまで噴水のよ
うに噴き出していた血は、たちまち止まり、なんと傷口までが溶接をするよう
に塞がってしまった。僕は、何がなんだか判らずに、しゃがみ込んだままジャ
ンさんを見上げた。ジャンさんは、金色の剣を高く振り上げ
「これは、賢者の剣だ。君にも、御許しが出たのだ。」
と僕に向かって呟いた。そのジャンさんはまるでさっきまでとは別人のように
見え、僕は嫌な夢でも見ているような気持ちになった。気持ちの整理もつかず
放心状態の僕を彼は、洞窟の更に奥へと導いて行った。
<つづく>