#266/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (JYE ) 87/ 8/21 16:23 ( 62)
野獣のおきて 第二章 (3)
★内容
(3)
草薙は眠りから覚めていた。
2本目のボトルを空にしてしまったのが午前2時半頃であるから、かれこれ
11時間近く眠っていたわけだ。
レストル−ムにある、大画面のテレヴィジョンが臨時ニュ−スを報道してい
た。
40インチ程もあろうか、その大画面に映し出された映像は宛ら映画館のス
クリ−ンを見ている様である。
腔な目でそれを見ていた。
目覚めたばかりであるから、目の焦点が定まらない。
無償に喉が渇いている。
まるで、喉から胃袋がウイスキ−のアルコ−ルで溶けてしまったような感じ
がした。
冷たい氷水が飲みたかった。
徐に立ち上がろうとした時だ。
「 草薙さん、」
振り向くと、大橋がロッカ−ル−ムの前で手招きをしている。
このサウナの支配人で、小柄だががっしりとした体格ををしている。
常連であるから当然、草薙の名前を知っている。
警視庁の刑事だということも大橋には話してある。困った事があったら何時
でも相談しろと。
ふたりは妙に気が合った。
「 どうした? 」
歩み寄りながら話しかけた。
大橋は目線をロビ−の方に向け、草薙に合図を送った。
フロントの前に男が二人、一見して自分と同業者であることを草薙は察した
。
「 ありがとう。」
大橋に礼を云ってレストル−ムを出た。
「 非番だというのに、クソッ」と草薙はつぶやいた。
なにかの事件だということは察知できた。