AWC K&D 「叫びのICE・TEA」秋本


        
#261/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (FXG     )  87/ 8/17  19:29  ( 94)
K&D 「叫びのICE・TEA」秋本
★内容
 喫茶店「閑古鳥」−いつもは静かなこの喫茶店も今しがた入ってきた若いカップルに
よってその静寂が破られてしまった。
「わたし、ICE・TEA!」
 ウエイトレスに向かって髪型を流行のワンレングスにしているその女の方がつっけん
どんにオーダーをした。
「じゃあ、僕もそれ」DCブランドの男の方も素っ気ない
「何よ!」
「何だよ」
「ICE・TEAたのんだじゃないの」
 言われた男の方は訳のわからないようなポカンとした表情になった。
「いつだって、わたしの真似ばかりなんだから」
「俺は、アイスティーをたのんじゃいけないのか、それじゃあ!」
「ちょっとぉ、大きな声出さないでくれる。まわりの人みてるじゃないの、それにいつ
わたしがICE・TEAたのんじゃいけないって言った。あなたったらいつだってそう
よ」
「言ったじゃないか」
「言ってないわよ」
「馬鹿言え」
「あのう・・・御注文は」ウエイトレスがしびれをきらして訊ねた。
「アイスティー2つ!」お前はまだいたのかといわんばかりの剣幕で男が応えた。
 言われたウエイトレスはなんでわたしが怒られなきゃなんないのといった表情になっ
て尻を勢いよくふりあおいで戻って行った。
「早く用件言いなさいよ」女が言った。
「なんだよ、その言い草は」男が言った。
「何よ、あんたが話をしようって頼んだからきてやったんじゃないの」
「・・・・・・・」
「なによぉ、その顔」
「わるかったな、こんな顔で」
「いっとくけどさぁ」
「何だよ」
「ちょっと、その何だよと言うのやめてくんない?」
「な、な、・・」
「ほらまた」
「いってないじゃないか」
「言ったも同じよ」
「違うさ」
「・・ちょっとぉ、一体私たちここでなにやってるわけぇ」
「何って」
「電話してきたのタカの方なんだからね」
「ああ」
「ああじゃないでしょう」
「そんな言い方すんなよな」
「じゃあ、どういう言い方すればいいの。いつだってそうなんだから」
「違うさ」
「ちがわない」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「アイスティーは」
「まだよ」
「何だよ」
「別れたんだからね、、、わたしたち」
「ああ」
「だから・・・」
「こんなことくりかえしてるだけじゃん」
「ああ」
「もう、あきちゃったわ」
「ああ」
「この話先がないしぃ」
「ああ」
「だって、本当にハワイにいけるの?」
「いまさらひっこめるかよ」
「何だよ、おれのせいじゃないだろ」
「あんたにも責任あるんだからね」
「そんなこというんならお前にだってあるだろうが」
「わたしはね、、このためにわざわざ美容院で髪セットしてきたんだからね」
「何だよ」
「何だじゃないわよ。少なくともこんなことくり返してるだけじゃあ、わたしたち」
「もういい!やめだ、やめ」
「ハワイはどうすんのよ」
「だから、やめだと言ったろうが」
「いやよ、そんなの。中途半端じゃないの。それにさ、ICE・TEAだってまだ飲ん
でないのよ」
「そうだ、アイスティーだ。おおいアイスティー」
「来そうにないわね」
「オオィ、アイスティー!」
「ちょっとぉICE・TEAまだですかぁ」
「アイスティー」
「ハワイがかかってんだからもっと大声だしてよ」
「アイスティー!」
「ちょっとぉ、もう行数ないわよぅ」
「アイスティー!早く」
「ICE・TEAお願いしまーす」
「アイスティー!」
「ICE・TEAお願いしまーす」
「アイスティー!」
「ICE・TEAお願いしまーす」
「アイスティー!」
「なによっ、もう。終わっちゃったじゃないの」
「ICE・TEAお願いしまーす、ばかっ! 」
                     −規定行数終了
 はじめまして。ハワイに行けると聞いたので応募します−秋本

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