AWC ●連載



#993/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/07/14  23:44  (394)
◎2013年6月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         14/09/15 15:57 修正 第3版

4.考察

    家庭でのこうした省エネの取組はピーク電力の低減にどの位貢献できる
   のでしょうか。東京電力の7月14日のでんき予報によると

    ピーク時供給力4869万KWに対して予想最大電力は4190万KW
   となっており、供給力の86%つまり14%の余力があるとのことです。

    これに対して、我が家で最近行った省エネ対策による節電量は次の通り
   です。(KWhの電力量ではなくKWの電力で見ます)

    @DKの32インチ液晶テレビを46インチLED液晶に買い替え
      27W

    A自室の26インチ液晶テレビを32インチLED液晶に買い替え
      40W
    
    B冷蔵庫を省エネNO.1冷蔵庫に買い替え
      83W

    C自室照明のネオボール6個をLED電球に交換
      35W

    合計 185W

    我が家で行ったこれらの節電を仮に東京都の全世帯で行ったとしたら
   どの位の節電量になるか計算して見ます。

    東京都の世帯数は平成22年では6403219なので
   0.185KWx6403219≒118万KWとなります。これは
   火力発電機2基分位の電力に当たります。

    4190−118
    −−−−−−−−− = 83.6%
      4869

    つまり供給能力の余力が14%から16.4%に増えたことになります。
   あるいは火力発電機が2基分いらなくなったことになります。
    テレビや冷蔵庫や照明器具を買い替えることはお金は掛かりますが、何
   かを我慢しなければできないことではありません。また生活の質を低下さ
   せることでもありません。だから万人が楽に実行できることです。これに
   更に買い替えると経済的にも得するという制度を設ければ皆が進んで行う
   ようになります。エコポイントでも良いですし、環境税等グリーン税制で
   も良いです。とにかく政府がエネルギー問題や環境問題を解決させるため
   に確実に結果を出せる政策を実施する必要があります。

  ★エコノミック・アニマルではいけない

    自動車の輸出増しが景気回復に貢献していますが、それは同時に環境破
   壊を輸出しているようなものです。基本的には企業は金儲けのためなら何
   でもやります。一時的には経済的に潤いますが、世界的なエネルギー問題
   や深刻な環境問題を悪化・加速させる原因となります。だから単純には喜
   べません。日本は原発もどんどん輸出しようとしていますが、これは同時
   に原発事故や放射性廃棄物による深刻な地球規模の放射能汚染の危険性を
   高めることにつながり、喜ぶというより震える程の恐怖を感じます。
    だからエコノミック・ヒューマンにならなければいけません。

  ★環境保護教育が足りない

    学校やテレビでの環境教育が足りません。環境問題に対する関心がない
   か、または知っていても実行しない人が増えています。心にゆとりがなく、
   自分のことしか考えない人が増えています。学校はもっともっと実践的な
   環境保護教育を増やすべきです。テレビはもっと番組を増やすべきです。
   民放には政府が予算を増やして放送させるべきです。全ては人から始まり
   ます。環境を守れる人材を増やさなければなりません。心を育てることが
   重要です。心があれば技は自ずと付いて来ます。環境破壊は加速していま
   す。一刻の猶予も許されません。

  ★6月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @6/01
     ・PCの暑さ対策にUSBファン導入
       省エネAtomPCで毎日バックアックを行っていますが、エア
      コンを使わない我が家では暑くなって来ると室温が34度、35度
      になることが度々あります。そうするとハードディスクの温度もそ
      れに連れて上がって、ある限度を超えるとI/Oエラーを起こして
      正常にバックアップを続けられなくなることがあります。フロント
      ファン直下に置いてあるシステムHDDは大丈夫なのですが、5イ
      ンチベイのリムーバブルHDDについてはHDDケースに小型ファ
      ンが付いていても加熱してI/Oエラーを起こしてしまいます。
       そこで導入したのがUSBファンでした。フレキシブルアームの
      先端に2枚羽根のファンが付いており、根元にはUSB端子(オス
      )が付いています。これをPCケースのフロントパネルのUSB端
      子(メス)に刺して使います。ファンをHDDトレイ前面の真ん前
      に移動させてスイッチを入れると回ってグリルのすき間から風が送
      り込まれトレイ内のHDDが冷やされます。バックアップが終わっ
      たらファンのスイッチを切ってからフレキシブルアームを曲げてフ
      ァンを邪魔にならない位置に移動させれば片付け終了てす。

   @6/04〜10
     ・照明のLED化
       PCラックの前に座る時に点けているクリップライトのネオボー
      ルが6/4に突然小刻みにチカチカするようになり、調べたら駄目
      になったことが分りました。まだ1カ月半しか使っていませんでし
      たが、6月になり日中室温が25度以上になり、手で触れるとずっ
      と触っていられない程熱くなっていました。器具の傘の中は狭くネ
      オボールの片側が傘に接触する形で取付けられています。またここ
      のライトは日に何度も点けたり消したりするので、蛍光灯である
      ネオボールには寿命を縮める使い方だったからかも知れません。い
      ずれにしろ僅か1カ月半で切れてしまいました。
       早速、近くのホームセンターに買いに行きましたが、ネオボール
      だとまた同じにことになると考え、ちょうど安く売っていたLED
      電球を購入しました。40W相当(485ルーメン)の昼白色のも
      ので値段は998円でした。60W相当で同じ値段のものもありま
      したが、省エネも考え40W相当の方を購入しました。
       使って見たら以前の60W相当のネオボールに引けを取らない明
      るさでまた電球が熱くなりませんでした。熱くならないから寿命も
      長くなるのでしょう。問題の消費電力は下記の通りです。

       +−−−−−+−−−−+−−−−−−+−−−−−−+
       |     |販売価格| 明るさ  |消費電力  |
       +−−−−−+−−−−+−−−−−−+−−−−−−+
       |ネオボール|298 |60W相当 |12W   |
       |LED電球|998 |40W相当 |6.2W  |
       +−−−−−+−−−−+−−−−−−+−−−−−−+

       LED照明は高価だからとこれまでは問題にしていなく、省エネ
      は蛍光灯化やネオボール化で十分だと考えていました。しかし、こ
      れが切っ掛けとなりLED電球やLED照明が安くなっていること
      を知り、我が家の照明のLED化に火が着きました。
       この直後に天井のスポットライトのネオボールとシーリングライ
      トのネオボール4本も全て同じLED電球に交換しました。最初の
      クリップライトの分も含め今回、合計6個交換で一気に348Wの
      省エネになりました。仮に使用時間が5時間なら日に174Wh、
      月に5.2KWh、年間では63.5KWhも節電できることにな
      ります。今後は20Wの蛍光灯6本を使っているDKのシーリング
      ライトもLED化したいと考えています。
 
   @6/07
     ・玄関サッシ格子に目隠しネット設置【毎年恒例】
       ベランダ用の目隠しネットの流用です。外からは室内が見えなく
      なるのでサッシを目いっぱい開けて外の涼しい風を取り入れられる
      ようになります。

     ・浴室サッシ格子に目隠しネット設置【毎年恒例】
       玄関の目隠しネットと同様

     ・ベランダ屋根の遮光ネットを開く【毎年恒例】
       ベランダの並板の屋根の西端に束ねてあった遮光ネットをほどい
      てベランダの屋根全体を被いました。遮光率70%の遮光ネットを
      2枚重ねにしたものなので遮光率は91%で、張った途端に涼しく
      なりました。

     ・ベランダ東内側の遮光カーテンを開く【毎年恒例】
       ベランダの東側側面1mと更に1m延長した合計2mの長さの遮
      光カーテンを広げました。夏は朝日も暑いですから。【毎年恒例】

     ・ベランダ西内側の遮光カーテンを開く【毎年恒例】
       ベランダの西側側面1mと更に1m延長した合計2mの長さの遮
      光カーテンを広げました。夏の西日は特に暑いですから。

   @6/15
     ・サッシ吸気口使用開始(冷風扇も出しました)【毎年恒例】
       5/12にサッシのガラスを吸気口付塩ビ板に交換していました
      が、6/15の就寝時より外サッシを少し開けて、内サッシの吸気
      口の前に冷風扇を置いて、天井埋込形換気扇かまたは天井排気ファ
      ンを点けて寝るようにしました。それまでは天井の給気口から吸気
      していましたが、次第に暑くなりそれでは済まなくなって来たから
      です。
       サッシの吸気口から吸気すると風が寝床の辺りを通るので涼しく
      なるからです。吸気口の前に動作させていない冷風扇を置くのは、
      風だけ入れて光は入らないようにするためです。寒く感じる時は外
      サッシの開け幅を少なくすることで調節できます。また吸気口を目
      いっぱい開けても暑く感じる時は、天井埋込形換気扇の風量を増や
      したり、それでも暑ければ天井排気ファンの方を点けます。そして
      7月になり更に暑くなったら、いよいよ冷風扇の出番です。

   @6/17
     ・自室の換気扇壁掛け送風機を今年初使用【毎年恒例】
       換気扇を流用して作った扇風機を換気扇扇風機と呼んでいます。
      換気扇扇風機は自室のこれと壁掛け扇と@6/18の項に書いた
      2台の合計4台です。
       何故、手間暇掛けてこんな物を作るのかと言えば、市販されてい
      る普通の扇風機より消費電力が圧倒的に小さいからです。省エネに
      なるからです。具体的には「◎2012年8月度 CO2削減実績
      報告 〜そのB〜」の「★換気扇扇風機による省エネ」を参照して
      ください。

   @6/18
     ・DK用25Cm換気扇扇風機を出す【毎年恒例】
       屋根裏から25Cm換気扇扇風機を出して組立てDKに設置しま
      した。

     ・妻用20Cm換気扇扇風機を出す【毎年恒例】
       屋根裏から20Cm換気扇扇風機を出して組立て居間に設置しま
      した。

   @6/20
     ・トイレの環境整備と省エネ
       トイレの暑さ対策と衛生を考え、換気扇(パイプファン)を取付
      けました。また電気配線の都合で照明を白熱灯からLEDシーリン
      グライトに替え省エネにもなりました。(40W→6.3W)
       換気扇はトイレの照明と連動して電源が入るように配線しました。
      トイレシャワーについては電気を喰うということで従来から照明と
      連動して電源が入るようにしていましたが、今回は個別スイッチを
      追加して普段は電源が入らないようにしました。照明がオンでかつ
      必要な時だけ電源が入るよう機能強化しました。
       それから換気扇による換気を効果的に行うためトイレのドアーの
      下部に室内用の換気ガラリを取付け、換気口→換気扇に向かう空気
      の流れを作り、トイレが涼しくなるようにしました。

              トイレ用パイプファンの仕様
       +−−−−+−−−−+−−−−−−+−−−−−−−−−+
       |パイプ径|消費電力| 風  量 | その他の特長  |
       +−−−−+−−−−+−−−−−−+−−−−−−−−−+
       |100Φ|3.3W|50m3/h |電気式シャッター付|
       +−−−−+−−−−+−−−−−−+−−−−−−−−−+

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    6月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 	日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
          前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                      0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がないためです。ただし、シャワー入浴は行っていたので衛生上は問
   題ありません。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが5回、妻一人で行ったのが1
   回、妻と二人で行ったのが4回でした。温浴と水浴の交互入浴やマッサー
   ジ風呂による気晴らしのためです。週に1度の休日に行くようにしていま
   す。そういうわけで休日にも内風呂は立てられず、内風呂回数が0回にな
   ってしまうのです。

    注1)ガスの6月度とは今年は5月23日から6月21日の29日間
       でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は

       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    6月度の14台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        32360  18.92
    PC関係       28950  16.93
    水槽         25210  14.74
    46V液晶       8020   4.69
    AV機器        5850   3.42
    オーブンレンジ     4710   2.76
    オーブルトースター等  3590   2.10
    炊飯器等        2470   1.45
    妻コンセント      2330   1.36 【14/09/15 修正 第2版】
    天井換気扇       1560   0.91 2300→ 1560  1.35→0.91
    冷風扇アンカ等      640   0.37              0.37→0.38
    洗濯機等         630   0.37
    DKテーブルコンセント  230   0.13
    屋根裏換気扇         0   0.00
    その他        54450  31.84 53710→54450 31.41
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−                 →31.84
    全体        171000 100.00

    注1)電気の6月度とは今年は5月30日から6月27日の28日間
       でした。東京電力の検針日に合わせています。

    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット14台の合計を
       差し引いて求めています。

    DKの46インチLED液晶(「46V液晶」)は、今月も節電に貢献
   しています。旧32インチ非LED液晶だった昨年6月が15429Wh
   (29日間15980Whの28日換算)だったものが、今月は8020
   Whと48.0%も少なくなりました。
    自室32インチLED液晶(「AV機器」)は導入から3カ月目の今月
   は、旧26インチ非LED液晶だった昨年6月が13720Wh(29日
   間14210Whの28日換算)だったものが、今月は5850Whと
   57.4%も少なくなりました。
    そして先月17日に導入した注目の省エネNO.1冷蔵庫は、今月初め
   て丸1カ月使用し結果が出ました。旧冷蔵庫だった昨年6月が57815
   Wh(29日間59880Whの28日換算)だったものが、今月は
   32360Whと44.0%も少なくなりました。先月17日から30日
   の14日間の節電率42.3%より少し上がりました。7月度前半の実績
   を先行して調べて見ましたが、節電率は更に大きくなっていますから、節
   電率は暑い季節程大きくなるようです。ということは年間の節電量も先月
   の報告書で計算した300KWh以上になることが見込まれます。

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標215KWhのところ実績171KWhと目標より大幅に少
   なくなりました。使用日数を加味しても177KWhなのでやはり昨年よ
   り大幅に削減できたことになります。原因は勿論、「★今月の用途別電力
   使用量」で述べた削減の取り組みによるものです。
    年初からの累計で見ても目標1305KWhのところ実績1225KW
   hと目標より大幅に削減でき、達成率106.53%で目標をクリアーす
   ることができました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標3m3のところ実績は2m3と目標より大幅に削減できまし
   た。
    年初からの累計でも目標23m3のところ実績17m3と目標より大幅に
   削減でき、達成率135.29%で目標をクリアーすることができました。

  ★水道の削減実績

    水道は目標10m3のところ実績17m3と目標を大幅にオーバーしまし
   た。これについては先月と同様です。
    年初からの累計でも目標38m3のところ実績50m3と目標を大幅にオ
   ーバーし達成率は76.00%でした。
    2011年以前の1月〜6月の実績を見るとどの年も今年並みになって
   いるので、むしろ昨年の実績が異常に少なくなっていることが分ります。
   その昨年の実績を今年の削減目標にしたからです。来年は水道の目標値だ
   け改訂する予定です。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標29.32Kgのところ実績24.
   52Kgと目標内に収まりました。
    年初からの累計でも目標177.40Kgのところ実績165.88
   Kgとなり、達成率106.94%で余裕を持って目標をクリアーするこ
   とができました。


   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html

私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                   |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                    |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。

14/09/15 修正 第2版-第3版
  「★今月の用途別電力使用量」の表中の「天井換気扇」の値を修正
   修正前  2300  1.35
   修正後  1560  0.91
  これに関連して「その他」や「冷風扇アンカ等」の値も変わりました。




#994/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/08/18  10:58  ( 24)
●新・権力の陰謀272 悪いようにはしないから、は  ヨウジ
★内容

昔、太巻が春子に言った「悪いようにはしないから」は
「悪人の言葉だ」とスナックのマスターは言った。
警察が私に陰で言った「今度から実態調べてからやるから」も
自分の立場を守るためのその場凌ぎの悪人の言葉だ。
この11年間手を替え品を替えた悪人の言葉を幾度となく聞いてきた。
法の定めもないのに不正行為の連発で親権を奪われ続け子供を取られた。
子供を返さないことが仕返しされない最大の防御になるということもある。
何も知らない娘を騙して嘘を書かせ判を突かせ
ここまで親子を分断させた。
娘は物事の善悪を判断できず人に聞いて決めることが習慣になっている。
親で付いていれば好ましくないことはやらせないこともできるが、
親権を奪われていたからいいようにされた。
娘が家出してから無通告・無手続きで何の関門(裁判)も通らず
11年間も引き伸ばして不祥事を手柄にでっちあげた。
これが地方警察の実態だ。

                       ヨウジ

*--------------------------------------------------------------------*
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*--------------------------------------------------------------------*




#996/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/08/20  19:35  (153)
◎2013年7月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 そして今年2013年はいよいよ省エネ冷蔵庫を導入します。機器の買い替え
による省エネとしてはこれまでで最大の省エネ量になることが見込まれます。
またプチ太陽光発電の導入も検討しており、電力の一部を自然エネルギーで賄う
試みも始めます。これを元に以後、ソーラーパネル等の機器の増設を進めて行け
ばCO2 の削減を飛躍的に進めて行くことが可能になります。
 それで今年の削減目標ですが、省エネ冷蔵庫の導入時期が未定ですし、省エネ
効果も実際に使用して見ないと分らないので数値化できません。このため昨年、
2012年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしました。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2012年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減目標 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2792x0.12= 335.04Kg
  (2) ガス=  38x0.64=  24.32Kg
  (3) 水道=  98x0.16=  15.68Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2013年のCO2 排出目標 375.04Kg(炭素換算)
             (削減率 65.46%)

そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#997/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/08/20  19:36  (457)
◎2013年7月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −48.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
    累  246    450    661    847   1090   1305   1577   1850   2114   2357   25
70   2792   2792
  (CO2)  29.52  54.00  79.32 101.64 130.80 156.60 189.24 222.00 253.68 282.84 3
08.40 335.04 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  237    215    194    215    193    171    204                          
            1429
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48                       
             171.48
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429                          
            1429
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48                       
             171.48
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率103.80  99.56 102.32  98.37 103.42 106.53 110.36                       
             110.36
                                                                               
             ^^^^^^

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −93.8%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
    累    6     10     13     16     20     23     26     28     30     33     
36     38     38
  (CO2)   3.84   6.40   8.32  10.24  12.80  14.72  16.64  17.92  19.20  21.12  
23.04  24.32  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    5      3      3      2      2      2      2                          
              19
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28                       
              12.16
    累    5      8     11     13     15     17     19                          
              19
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16                       
              12.16 
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率120.00 125.00 118.18 123.08 133.33 135.29 136.84                       
             136.84
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −59.5%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29,28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
    累    -     14      -     28      -     38      -     58      -     81     
 -     98     98  
  (CO2)   -      2.24   -      4.48   -      6.08   -      9.28   -     12.96  
 -     15.68  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     16      -     17      -     17      -             -            
 -            50   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -             -            
 -             8.00
    累    -     16      -     33      -     50      -             -            
 -            50   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -             -            
 -             8.00
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率000.00  87.50   -     84.85   -     76.00   -             -            
 -            76.00
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −65.46%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28 652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32 589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60 509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96 467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28 455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72 477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72 457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64 457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40 443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72 412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36 392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  目標   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
    累   33.36  62.64  89.88 116.36 148.08 177.40 211.96 249.20 282.16 316.92 3
44.40 375.04 375.04
  実績   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76                       
             191.64
  累計   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64                       
             191.64
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率105.44 101.16 103.17  99.52 104.75 106.94 110.60                       
             110.60
                                                                               
             ^^^^^^
注)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の水
  道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用量は
  0とします。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#998/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/08/20  19:38  (499)
◎2013年7月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容

4.考察

    「人類の使っている車(マイカー)とエアコンが地球環境を破壊し人類
   自身も滅亡へと向かって進んでいるのではないか」

    記録的猛暑に耐えながらテレビを見ていたら、エアコンを点けないで暮
   らしていたお年寄りが熱中症と見られる原因で亡くなったというニュース
   が日々、何度も何度もあったのでそう思った。

    都会はヒートアイランド現象で尚更暑く熱中症になり易い。しかし、そ
   のヒートアイランド現象は大量のエアコン使用に伴う室外への大量の熱気
   の排出が主原因であるから、もうこれは加速度的環境破壊と加速度的異常
   気象化による危機的事態が加速度的に進行していることを意識せざるを得
   ない。それなのに誰一人として問題意識を持たず楽で安易な旧態依然の文
   明生活を続けている。そう遠くない未来に危機的事態が待ち受けているの
   に何も対策せず同じ過ちを繰り返すだけ。私はたまらず声を挙げざるを得
   なくなった。
    一部屋ごとの個別冷房で本当に良いのだろうか。夫婦子供3人の5人家
   族ならエアコンは3台以上使うことになるのではないか。たった1世帯で
   扇風機の10倍以上の電力を喰うエアコンが3台も使われているのである。
   今やこのような文化的生活は途上国にまでも広がり更に急拡大し続けてい
   る。これではいくら発電所を増やしても足りないし、化石燃料の使用量も
   急増する。危険な原発も導入したいという動きも出るわけだ。シェールガ
   スや未開拓のメタンハイドレートで需要をカバーするのは良いが、そこま
   で行ったらもう地球は暑くなり過ぎて生命を支え切れなくなるのではない
   か。自動車メーカーや電機メーカが儲かり景気が良くなれば良い的な経済
   理論は破綻する。
    だから私は思う。地域で地域全体を涼しくする画期的な冷房システムを
   構築すべきてあると。例えば地域全体で自動的に打ち水を行うシステムを
   作ったり、今のエアコンの原理でない省エネなまったく新しい冷房システ
   ムを開発したり、動力を全面的に自然エネルギーに転換したり、都市から
   排出される熱を動力源に再利用する等々の画期的なシステムである。これ
   が良いと決め付けるわけではなく、危機が目前に迫っているのだから今す
   ぐに取り組みを始めるべきである、と言いたいのです。

  ★7月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @7/04〜05
     ・冷風扇新製品の試用
       冷風扇は我が家にとってはエアコンの代わりとなるとても大切な
      季節家電です。1台しかなく心細いので予備機を探していました。
      昨シーズンも新製品1台と中古2台を購入しテストしましたが、期
      待した性能のものではありませんでした。最近流行しているスリム
      タイプの冷風扇はコンパクトで低消費電力ですが、モーターがパワ
      ー不足で給水フィルターも小さく薄く冷却不足の物ばかりです。こ
      れでは猛暑は乗り切れません。開発される方はエアコンの使用を断
      って開発中の冷風扇で寝て見て涼しく眠れるかどうか良くテストし
      てから製品化して欲しいものです。モーターの効率を高めて低消費
      電力化するなら良いですが、モーターのパワーを落として低消費電
      力化するのでは意味がありません。最近の冷風扇はそういうものば
      かりになったのでがっかりしています。
       今回テストした冷風扇は下記のものです。

       メーカー名      華芝ジャパン株式会社
       型番         KJF−25A
       消費電力 50Hz  25W
            60Hz  26W
       タンク容量      2.2L
       製品寸法       465mmx180mmx340mm
       重量         4.6Kg
       購入価格       5427円

        注)販売はエスケイジャパンが行っているようです。

       構造がユニークでスタイリッシュで使って見たくなるデザインで
      す。コンパクトでボックス扇のような形をしています。給水フィル
      ターが丸くて水車のように回転する面白い作りになっています。給
      水フィルターの材質もユニークで緑色の硬い紙見たいなものが組み
      合わさってできています。給水フィルターが回転して底に溜った水
      の中を通る時にその緑色のフィルターが濡らされ回転して上に上が
      りファンに引っ張られて背面から入って来る風を冷やす仕組みにな
      っています。しかし、フィルターは水を吸収しない材質で水がフィ
      ルターの表面に付着するだけで一部は垂れてしまいますし、風との
      接触面積も余り大きくなく気化は多くは起こりません。これに対し
      て一般の冷風扇のフィルターは網状の繊維でできていて水を良く吸
      収し風が多数の網状の繊維のすき間を通るので風との接触面積が非
      常に大きくより多くの気化が起こります。どうもこのフィルターは
      ある厚みを持った円盤の形状を維持させるためにハードな材質を選
      んだようで、結果的に吸水性や空気との接触面積が小さくなり冷却
      能力が小さくなってしまったようです。後、ファンの風量も消費電
      力25W相当なので小さく気化量を小さくする原因になっていると
      考えられます。
       ユニークでスタイリッシュなところが気に入ってせっかく購入し
      たものなのでどうにか生かしたいと思い、その円盤状のフィルター
      を例の洗濯ネットを使って自作して試して見ましたが、それでも十
      分な冷却能力が得られませんでした。風量も足りないからです。た
      だの扇風機として使っても風が弱く涼しくありませんでした。普通
      の扇風機の方が涼しいです。普通の扇風機並みの消費電力40〜
      50Wのファンを装備しないと駄目です。その上で、フィルターの
      改良をすれば良く冷える冷風扇になります。
       アイデアに富んだユニークで面白い形状の冷風扇ですが、残念な
      結果となりました。

   @7/06
     ・遮光カーテンを閉める
       いよいよ暑くなって来たので遮光カーテンを閉めました。そうし
      たらお昼のNHKニュースで気象庁が関東甲信地方が梅雨明けした
      と発表したと報じられたので「グッドタイミング」と心でつぶやき
      ました。閉めた遮光カーテンは次の通りです。

       ◇ベランダ南側遮光カーテン
       ◇ベランダ東外側遮光カーテン
       ◇ベランダ西外側遮光カーテン
       ◇ベランダ下東外側遮光カーテン
       ◇ベランダ下西内側遮光カーテン
       ◇ベランダ下西外側遮光カーテン

     ・今年初めて水風呂に入る
       室温35度以上の部屋で換気扇扇風機だけ点けて生活しているの
      で暑くて1日中汗をかいています。それで体を冷やしたり汗疹(あ
      せも)の防止のため1日に数回、水シャワーを浴びたり、水風呂に
      入ったりして凌いでいます。着ている柄パンとランニングシャツは
      水で軽くすすいで洗濯機で1/3脱水してまた着ます。気化熱で体
      が冷やされるので暑さが緩和されます。
       水風呂は最初、シャワーヘッドや蛇口から水を出して風呂桶に溜
      めながら入り、必要水位に達したら止めてしばらく浸かって体を冷
      やします。入り終わったらすぐに風呂水清浄剤を入れておきます。
      雑菌の繁殖を抑えるためです。2度目以降に入る時は溜めている水
      にそのまま浸かります。翌日以降も同じです。そして週に2、3度
      の洗濯の時に水風呂に使った水をバスポンプで洗濯機に汲み上げて
      再利用します。洗いとすすぎの1回目〜2回目または1回目〜3回
      目までに使用して100%再利用しています。そんなわけで水風呂
      に使用する水道水はほぼゼロ、コストもほぼゼロであるのと同じな
      ので水風呂を使わない手はありません。
       ちなみに水分補給はスポーツドリンクで行うようにしており、こ
      れも夏バテ防止に役立っていると思います。ケース(2Lx6本)
      で安く買って常備させています。    

     ・冷風扇使用開始
       私のホームページでも紹介している2004年から使用している
      冷風扇を今シーズン初めて点けて寝ました。冷風扇を使用する時は
      天井扇は天井埋込形換気扇より風量の大きい天井排気ファンの方を
      併用します。冷風扇を回すと湿度が高くなるので換気を良くする必
      要があるからです。湿度が高いことは人間にとっても不快ですし、
      冷風扇内部での気化が起こり難くなり冷却能力が低下するからです。
      昨年作った枕ストッパーも屋根裏から出して使いました。

   @7/10
     ・Ra43#2のフロントファンの回転数を上げる
       PCケース内の温度がある限度を超えるとメモリエラー等深刻な
      障害が発生します。これを防ぐためです。

     ・AtomPCのリアファンの電源を繋いで回す
       AtomPCの場合はフロントファンとリアファンを装備させて
      います。普段はフロントファンのみ回してシステムHDDを冷却し
      ながらケース全体も冷却していますが、真夏はこれだけでは冷却が
      追い付かず、温度がある限度を超えるとRa43の場合と同様にメ
      モリエラー等深刻な障害が発生します。これを防ぐためです。

   @7/17
     ・中古冷風扇の入手と試用と本使用
       前述した「冷風扇新製品の試用」でも言いました通り、真夏の必
      需品である冷風扇が1台しかなく心細いので予備機を探していまし
      たが、最新型は小型化・スリム化した余り冷えないものばかりにな
      ってしまったので、オークションで古い中古の冷風扇を探していま
      した。そんなある日にオークションに現在使用しているものと同じ
      メーカー製の冷風扇が出品されたので仕様を確認したところ、これ
      までのものが2004年製のものであるのに対して、出品されたも
      のは2005年のもので、造りや仕様が良く似ていることが分りま
      した。それでこれならパワーもあり代替機にできると判断しました。
      おまけに安価だったのですぐに購入に踏み切りました。購入したの
      は次のような冷風扇です。

       メーカー名       株式会社アイテック
       型番          MA−208
       消費電力        60W
       タンク容量       8L
       マイナスイオン発生装置 入/切
       風量切替        強・中・弱
       タイマー        30分〜9.5時間
       モード切替       連続/おやすみ/リズム
       オートルーバー付
       キャスター付
       製品寸法        326mmx304mmx670mm
       重量          6.6Kg
       付属品         リモコン

       届いてから実物を見たところ、以前のMA−125と良く似た造
      りで、フィルター回転方式で回転の機構も良く似ていました。フィ
      ルターの材質もサイズも同じなので共用できることが分りました。
      ただフィルターの着脱が容易になるよう少し改良されていました。
      ファンモーターも似ていて定格は54Wと同じでした。大きな違い
      は操作パネルに液晶画面が追加されたことと、リモコンの切れが良
      くなり使い勝手が良くなった点です。以前のリモコンは押しても反
      応しないことが度々ありました。外形の違いは高さが少し大きくな
      った点と、前面吹出口が以前のものが左に寄った位置にあったもの
      が中央になった点です。
       実際に動かして見たところ音はやや大きくなりましたが、風量は
      以前の物より大きくなっていました。これが肝心なのです。ただ、
      フィルターは以前のと同じフェルト状のすき間のないものなので、
      通気性が悪く冷えが甘いので本当に暑い日は物足りなくなります。
      何日も試用して確かめた上てフィルターを自作しました。
       フィルターは例の洗濯ネットを流用して手縫いで作りました。洗
      濯ネットでも大きな部類の毛布洗濯用ネット(50x115Cm)
      を1枚使って作りました。長手方向に2つに折ると幅25Cm弱、
      長さ115Cm位の長方形になります。これの短い方の辺同士を縫
      って繋いで輪にすれば出来上がりです。ただし長手方向は長過ぎる
      ので回転機能部の寸法に合わせてカットしました。洗濯ネットは繊
      維なので伸縮するのでかなり伸ばした状態で寸法取りするのが骨で
      す。そうすれば機構部に良くフィットした弛まずスムーズに回るフ
      ィルターが作れます。
       洗濯ネットは袋状でこれを2つ折りして使ったのでネットは4重
      になります。そしてこれが輪になるのでこちら側とあちら側とで2
      重になるので合計8重のフィルターになります。これにより背面か
      ら入って来る風との接触面積が非常に大きくなるので大きな気化冷
      却が起こります。だから手間暇掛けてでも自作するのです。どうも
      メーカーがフェルト状の素材を使っているのは生産上の都合のよう
      です。弛まない素材でないと上手く回転しない。しっかりした素材
      でないと機械縫いしにくいという事情からのようです
       MA−208は良く冷えるので以来ずっと毎日使い続けています。
      この夏の最高気温が出た8月10日(東京37.4、練馬38.6
      )や8月11日(東京38.3、練馬37.9)もこの冷風扇で乗
      り切りました。(フィルターを自作したのは8月初旬で、先行して
      8月度のことも書きましたが)

      P.S.大電力を喰うエアコンが当たり前になっている時代に「冷
          風扇体験ツアー」なるものがあっても良いのではないでし
          ょうか。「消費電力十分の一でこんなに涼しく眠れます!
          」なんていうキャッチフレーズがついた。

   @7/24
     ・DKのシーリングライトのLED化で省エネ
       6月度の報告で予告しましたDKのシーリングライトのLED化
      を早速実施しました。約11畳のDKなので12畳用のLEDシー
      リングライトを購入しました。器具光束(明るさ)5000lm、
      消費電力53Wでリモコンで明るさを100%/75%/50%/
      25%の4段階に切換られるようになっています。一番暗い25%
      で使っています。器具が消費電力を計れる作りになっていないので
      この明るさでの消費電力は分りませんが、半分の25W以下にはな
      っているのではないでしょうか。以前のも調光で絞って使っていま
      したが、元が20Wの蛍光灯6本の120Wだったので消費電力が
      2倍以上あったことは確かで、傘がかなり熱くなりました。夏は暑
      い部屋が更に暑くなるので、傘がまったく熱くならないLEDに早
      く交換しようと考え導入に踏み切りました。3年半前に購入した蛍
      光灯シーリングライトの半値位で買えましたからLED照明は随分
      安くなったものです。

       注)LED照明共通の仕様ですが、寿命は40000時間で1日
         10〜11時間位使用すると10年位使えることになります。
         器具とLEDが一体化しているのでLED電球のようにLE
         Dだけ交換することはできませんが、寿命が10年もありま
         すし安価でおまけに省エネにもなるので、コストパフォーマ
         ンスは従来照明より格段に良くなっています。

   @7/29
     ・LED液晶モニターの導入で省エネ
       またLEDによる省エネになりますが、PC用液晶モニターを
      バックライトがLEDの液晶モニターに買い替えました。PCは我
      が家の家庭電化製品の中で消費電力が冷蔵庫に次いで2番目か3番
      目になる主要な電力消費源となっています。これまでPC本体の消
      費電力については最大限省エネに取り組んで来ましたが、液晶モニ
      ターはそのままになっていました。ネットワーク関連機器は常時電
      源を入れておく必要があるので削減の余地がありません。残ったの
      は液晶モニターの省エネのみでした。
       これまで使用して来た液晶モニターはスクウェアタイプの17イ
      ンチ液晶で、消費電力は30W位でした。ブラウン管モニターに比
      べれば消費電力は格段に小さいですが、その後に出て来たバックラ
      イトをLED化した液晶モニターに比べると約倍の消費電力があり
      ます。今回はここを削減しました。以前の液晶モニターはしばらく
      使っているとモニター上部がかなり熱くなりましたが、LED液晶
      はわずかに温まる程度で消費電力の少なさが表れています。夏は室
      温が35度以上になるのでモニターのためにも人間のためにも熱が
      出ないことは良いことです。同じスクウェアタイプの17インチの
      もので1万円弱で購入できました。液晶モニターも随分安くなった
      ものです。
       消費電力の測定結果は次の通りです。

            +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+
      |   機 器 名    | Ra43  | AtomPC|
            +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+
      |PC全体        | 91.8W | 70.3W |
      |内、LED液晶モニター | 14.3  | 13.2  |
      |ネットワーク関連(常時)| 17.2  | 17.2  |
            +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+

      注1)PC全体:PC+LED液晶モニター+外付USB−HDD
      注2)ネットワーク関連:回線終端装置+ルーター+ネットワーク
         HUB(3つ共24時間電源ON)

      今月はまだほとんど使用実績がないので省エネの効果については来
     月度の報告書で報告する予定です。

  ★省エネNO.1冷蔵庫の使いこなし

    今年5月16日に導入した省エネNO.1冷蔵庫はエコモードになるよ
   うデフォルトの設定で使っています。冷凍室「中」で冷蔵室「中」の温度
   設定の時にだけエコモードになります。ただし、新鮮凍結ルームの新鮮凍
   結運転中と製氷室の速氷中はエコモードにはなりません。我が家ではその
   ような機能を使う必要性がありませんし、省エネしたいので使いません。
   普段から氷の在庫管理をしていれば急に氷を作らなければならない事態は
   起こりません。またパーシャル/チルド切替室の温度設定はエコモードに
   は無関係ですが、今のところは一番温度の高いデフォルトの「チルド」で
   使っています。肉魚等は傷まない内に使い切れば良いことですし、凍らし
   てしまったら不味くなるのでチルドが一番良いからです。近くの店でいつ
   でも新鮮な肉や魚が買えるので買い溜めする必要性もありませんし。

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    7月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 	日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
          前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                      0

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がないためです。ただし、シャワー入浴は行っていたので衛生上は問
   題ありません。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが2回、妻一人で行ったのが0
   回、妻と二人で行ったのが3回でした。温浴と水浴の交互入浴やマッサー
   ジ風呂による気晴らしのためです。週に1度の休日に行くようにしていま
   す。そういうわけで休日にも内風呂は立てられず、内風呂回数が0回にな
   ってしまうのです。

    注1)ガスの7月度とは今年は6月21日から7月23日の32日間
       でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は

       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    7月度の14台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        41860  20.52
    PC関係       31540  15.46
    水槽         29260  14.34
    46V液晶       9320   4.57
    AV機器        5780   2.83
    オーブンレンジ     5220   2.56
    オーブルトースター等  3070   1.50
    炊飯器等        2280   1.12
    妻コンセント      4840   2.37
    天井換気扇       3050   1.50
    冷風扇アンカ等    11100   5.44
    洗濯機等         910   0.45
    DKテーブルコンセント 1990   0.98
    屋根裏換気扇         0   0.00
    その他        53780  26.36
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        204000 100.00

    注1)電気の7月度とは今年は6月27日から7月29日の32日間
       でした。東京電力の検針日に合わせています。

    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット14台の合計を
       差し引いて求めています。

    DKの46インチLED液晶(「46V液晶」)は、今月も節電に貢献
   しています。旧32インチ非LED液晶だった昨年7月が16780Wh
   (使用日数同一、以下省略)だったものが、今月は9320Whと44.5
   %も少なくなりました。
    自室32インチLED液晶(「AV機器」)は、旧26インチ非LED
   液晶だった昨年7月が13310Whだったものが、今月は5780Wh
   と56.6%も少なくなりました。
    そして5月17日に導入した省エネNO.1冷蔵庫は、旧冷蔵庫だった
   昨年7月が88100Whだったものが、今月は41860Whと52.5
   %も少なくなりました。先月の44.0%より大幅に節電率が上がりまし
   た。消費電力量が半分以下になったわけです。
    冷蔵庫の「日電力使用量新旧比較表」を掲載しておきます。参考に気象
   データとして東京練馬の7月の平均気温も掲載しました。

          日電力使用量新旧比較表

          2012年   2013年   節電率
           旧冷蔵庫 省エネNO.1冷蔵庫   
           (Wh)    (Wh)   (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    6/28           1090
    6/29   1990    1220  −38.7
    6/30   2540    1160  −54.3
    7/01   2120    1150  −45.8
    7/02   2060    1200  −41.7
    7/03   2250    1090  −51.6
    7/04   2670    1350  −49.4
    7/05   2680    1100  −59.0
    7/06   2770    1420  −48.7
    7/07   2400    1270  −47.1
    7/08   2140    1480  −30.8
    7/09   2270    1310  −42.3
    7/10   2480    1460  −41.1
    7/11   2940    1450  −50.7
    7/12   3030    1590  −52.5
    7/13   2600    1650  −36.5
    7/14   3360    1530  −54.5
    7/15   3090    1250  −59.5
    7/16   3170    1230  −61.2
    7/17   3390    1280  −62.2
    7/18   3070    1230  −60.0
    7/19   3170    1310  −58.7
    7/20   2390    1260  −47.3
    7/21   1890    1360  −28.0
    7/22   2340    1150  −50.9
    7/23   2120    1500  −29.2
    7/24   2520    1280  −49.2
    7/25   2910    1380  −52.6
    7/26   3380    1300  −61.5
    7/27   3390    1180  −65.2
    7/28   3470    1330  −61.7
    7/29   3710    1300  −65.0
    7/30   3790    
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     合 計  88100   41860  −52.5

     練馬
    平均気温   26.5    26.8

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標272KWhのところ実績204KWhと目標より大幅に削
   減できました。原因は勿論、「★今月の用途別電力使用量」で述べた削減
   の取り組みによるものです。
    年初からの累計で見ても目標1577KWhのところ実績1429KW
   hと目標より大幅に削減でき、達成率110.36%で目標をクリアーす
   ることができました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標3m3のところ実績は2m3と目標より大幅に削減できまし
   た。
    年初からの累計でも目標26m3のところ実績19m3と目標より大幅に
   削減でき、達成率136.84%で目標をクリアーすることができました。

  ★水道の削減実績

    水道は偶数月以外は検針がないので今月は実績がありません。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標34.56Kgのところ実績25.
   76Kgと目標より大幅に削減できました。
    年初からの累計でも目標211.96Kgのところ実績191.64
   Kgとなり、達成率110.60%で余裕を持って目標をクリアーするこ
   とができました。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html

私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                   |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                    |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#999/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/10/15  11:41  (153)
◎2013年8月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容                                         13/10/15 11:43 修正 第2版

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 そして今年2013年はいよいよ省エネ冷蔵庫を導入します。機器の買い替え
による省エネとしてはこれまでで最大の省エネ量になることが見込まれます。
またプチ太陽光発電の導入も検討しており、電力の一部を自然エネルギーで賄う
試みも始めます。これを元に以後、ソーラーパネル等の機器の増設を進めて行け
ばCO2 の削減を飛躍的に進めて行くことが可能になります。
 それで今年の削減目標ですが、省エネ冷蔵庫の導入時期が未定ですし、省エネ
効果も実際に使用して見ないと分らないので数値化できません。このため昨年、
2012年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしました。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2012年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減目標 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2792x0.12= 335.04Kg
  (2) ガス=  38x0.64=  24.32Kg
  (3) 水道=  98x0.16=  15.68Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2013年のCO2 排出目標 375.04Kg(炭素換算)
             (削減率 65.46%)

そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1000/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/10/15  11:42  (457)
◎2013年8月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −48.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
    累  246    450    661    847   1090   1305   1577   1850   2114   2357   25
70   2792   2792
  (CO2)  29.52  54.00  79.32 101.64 130.80 156.60 189.24 222.00 253.68 282.84 3
08.40 335.04 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  237    215    194    215    193    171    204    193                   
            1622
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16                
             194.64
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622                   
            1622
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64                
             194.64
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率103.80  99.56 102.32  98.37 103.42 106.53 110.36 114.06                
             114.06
                                                                               
             ^^^^^^

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −93.8%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
    累    6     10     13     16     20     23     26     28     30     33     
36     38     38
  (CO2)   3.84   6.40   8.32  10.24  12.80  14.72  16.64  17.92  19.20  21.12  
23.04  24.32  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    5      3      3      2      2      2      2      1                   
              20
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64                
              12.80
    累    5      8     11     13     15     17     19     20                   
              20
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80                
              12.80 
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率120.00 125.00 118.18 123.08 133.33 135.29 136.84 140.00                
             140.00
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −59.5%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29,28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
    累    -     14      -     28      -     38      -     58      -     81     
 -     98     98  
  (CO2)   -      2.24   -      4.48   -      6.08   -      9.28   -     12.96  
 -     15.68  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     16      -     17      -     17      -     19      -            
 -            69   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -            
 -            11.04
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -            
 -            69   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -            
 -            11.04
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率000.00  87.50   -     84.85   -     76.00   -     84.06   -            
 -            84.06
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −65.46%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28 652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32 589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60 509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96 467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28 455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72 477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72 457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64 457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40 443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72 412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36 392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  目標   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
    累   33.36  62.64  89.88 116.36 148.08 177.40 211.96 249.20 282.16 316.92 3
44.40 375.04 375.04
  実績   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84                
             218.48
  累計   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48                
             218.48
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率105.44 101.16 103.17  99.52 104.75 106.94 110.60 114.06                
             114.06
                                                                               
             ^^^^^^
注)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の水
  道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用量は
  0とします。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1001/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/10/15  11:45  (498)
◎2013年8月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容

4.考察

   地球環境の保護は人類一人一人の努力の積み重ねにより達成されます。
   企業と企業に支持されている政治家は
   利害に縛られ必要な改革ができないでいます。
   だからいつまで経っても政府は法制化できず、
   国際的合意も得られません。
   その間に地球環境の破壊はどんどん進んでいます。

    ・北極の海氷減少と極端気象の頻発(世界規模で連鎖する異常気象)
    ・南極の氷床溶融による海面上昇、都市水没、原発の福島化
    ・異常気象、猛暑、大雨、洪水、干ばつ、台風や竜巻の大型化と多発
    ・農作物の不作、海流異常、漁業資源の異変、生物種の絶滅
    ・サンゴ礁の白化・死滅と生態系の破壊
    ・森林の消失と砂漠化と温暖化の加速的進行

   だからそんな政府の政策や国際条約の締結を待っていたら
   私たちの大切な地球環境を守ることはできません。
   国際条約が締結されなくても締結前でも
   国が法制化しなくても法制化前でも
   個人は心掛け一つで環境に優しい生活をすることができます。
   たった一人の努力による成果は微々たるものですが、
   それが1億、10億と集まれば大きな成果となります。
   自分一人の努力から始め、人に呼び掛け伝えることで
   環境に優しい生活を広げて行くことができます。
   多くの個人が変われば経済にも大きな影響を与えることかできます。
   環境に良い物が伸び悪い物が衰退し経済がグリーン化します。
   そしてそれは自国の政府にも影響を与え、
   国際条約の締結にも繋がります。

   一人一人の生活と環境破壊との関係を意識しましょう。
   自分一人の努力から始めましょう。
   そして実行しながら人にも呼び掛け広めましょう。
   誰も自分の家庭が崩壊しつつあることに
   無関心ではいられません。
   地球は宇宙のマイホームなのですから。

  ★8月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @8/03〜05
     ・冷風扇MA−208のフィルター自作
       7月度の報告書の「@7/17 中古冷風扇の入手と試用と本使
      用」でも先行して書きましたが、中古冷風扇MA−208用のフィ
      ルターを自作しました。最初は8月3日に以前に材料として使った
      ことのある60Cmx60Cmの洗濯ットを2枚使用して作りま
      したが、サイズが合わず使っている内に端に寄ってしまったり、弛
      んで回らなくなってしまいました。糸で縫うと縮まって幅が足りな
      くなったり、縦は長過ぎたり、左右で長さに差が出たりしたからで
      す。それで8月4日に別の店に行き大きな毛布洗濯用ネット(50
      x115Cm)を購入し、これを1枚使用して再度自作しました。
      前の洗濯ネットの場合は2枚を縫って繋いで長くしてから輪にした
      のでそれだけ寸法の狂いも大きくなりましたが、今度は1枚の長い
      ネットの端と端を縫って繋ぐだけになったので狂いも小さくできま
      した。また縦の長さはかなり伸ばした状態で寸法取りしたので弛ま
      ず良くフィットしスムーズに回るフィルターができました。幅につ
      いては縫うと縮まることを見込んで2、3Cm位大きめに寸法取り
      したので縫い上がると幅がちょうど良いか少し大き目となり左右を
      目いっぱい被う理想的なフィルターが出来上がりました。「失敗は
      成功のもと」。人は失敗から学び進歩して来たのですね。

   @8/06〜08
     ・冷風扇新製品の試用
       Web検索していたら最近の製品としては珍しくパワーがあり冷
      えそうな冷風扇が一つだけ見つかりました。本当のところは実際に
      使って見ないと分らないので購入しました。と言ってもこの日に購
      入したわけではなく6月下旬に注文しておいたものがこの日に届い
      たのです。受注生産だからです。今回テストした冷風扇は下記のも
      のです。

      @メーカー名      株式会社マサオコーポレーション
       型番         MSO−F1103S
       消費電力 50Hz  60W
            60Hz  60W
       タンク容量      8L
       製品寸法(W/D/H)260mmx335mmx730mm
       重量         7.3Kg
       購入価格(送料込み) 10290円

       一見すると最近流行のスリム冷風扇のように見え、幅が260
      mmと狭いですが、奥行きが335mm、高さが730mmもあり、
      重さも7.3Kgと重量級なので真面目に作られたものと分りまし
      た。ですから幅や奥行きや高さ等、漠然と長さを比較するだけでは
      スリムタイプであるかどうかは分りません。それで私が2004年
      夏から愛用して来た非スリム冷風扇であるアイテックのMA−125
      の仕様を基準として各社の現行の冷風扇の仕様を比較して見ました。

         −−−−− 各社の冷風扇の仕様比較表 −−−−−
      +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------+
      |  製品型番 |消費| サイズ(mm)  | 容積  容積| 重量|Filter |
      |           |電力|  W x D x H  | (Cm3)  率 | (Kg)|Size(Cm|
      +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------*
      | @MSO-F1103S| 60W| 260x335x730 | 63583 0.94| 7.3 | 15x32 |
        +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------+
      | AMA-125    | 60W| 320x320x660 | 67584 1.00| 6.6 | 22x33 |
      +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------+
      | BMA-208    | 60W| 326x304x670 | 66400 0.98| 6.6 | 22x33 |
      +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------+
      | CTK-AC08R  | 33W| 230x300x+640| 44160 0.65| 4.5 | 15x25 |
      +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------+
      | DSKJ-FM33R | 40W| 230x306x685 | 48053 0.70| 6.0 | 不明  |
      +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------+
      | EFCR-C403  | 40W| 220x305x672 | 45091 0.67| 5.5 | 不明  |
      +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------+
      | FTC-006    | 40W| 305x230x670 | 47005 0.70| 5.5 | 不明  |
      +-------------+----+-------------+-----------+-----+-------+

       注1)各機種のメーカー名は次の通りです。
                :@株式会社マサオコーポレーション
                :A株式会社アイテック
                :B株式会社アイテック
                :CEUPA
                :Dエスケイジャパン
                :E山善(YAMAZEN)
                :Fテクノス

       注2)消費電力  :定格消費電力です。実使用ではこれより
                 小さくなります。
       注3)Filter Size :フィルターの布のサイズではありません。
                 気流が通過可能な有効面のサイズです。
                 AとBはフィルター回転方式なのでこちら
                 側と向こう側の両方を通過するので面積が
                 この倍になりますが、気化量は1倍以上に
                 はなりますが2倍にはならないと考えられ
                 ます。

       愛機であるAMA−125の容積は67584Cm3 です。これ
      を基準にしたので容積率は1.00です。C〜Fの各社の現行機種
      はいずれも容積が4万Cm3 代で容積率が0.65〜0.70と明
      らかにスリムタイプの冷風扇であることが分ります。これに対して
      今回テストした@MSO−F1103Sは容積が63583Cm3 、
      容積率が0.94と明らかに他社の機種より大きく非スリムタイプ
      の冷風扇であることが分ります。重量や消費電力もスリムタイプよ
      り大きくなっています。重量が軽いということはモーターにパワー
      がないということであり、だから消費電力も小さいのです。ちなみ
      に7月度に報告したBMA−208についても計算して見たところ
      容積が66400Cm3 、容積率は0.98でした。見た目には
      MA−125より大きく感じましたが、僅かに小さいことが分りま
      した。
       @MSO−F1103Sを実際に使用したところ、風量がまあま
      ああり、冷え具合もまあまあでした。明らかに昨年テストした
      BTK−AC08Rより風量、冷却能力共に優れていました。
       ただし、AMA−125と比べると風量がいまいち物足りなく感
      じました。風量が@MSO−F1103Sの強とAMA−125の
      中とが同じ位に感じました。風量が小さい分冷却能力も小さいよう
      に感じました。だから8月上旬から中旬の暑さのピーク時にはちょ
      っと苦しいかなという感じです。このことはタンクの水の消費量に
      も表れています。AMA−125が一晩でタンクの半量位(3.5
      L)が消費されるのに対して、@MSO−F1103Sは4分の1
      (2L)しか消費されません。これは冷却能力が2/3.5つまり
      57.1%しかないことを表しています。去年テストしたCTK−
      AC08Rについては、容積率0.65で消費電力も33Wと小さ
      く、風量もないですしタンクの水の消費量もほんの僅かだったので
      まったく冷えませんでした。スリム冷風扇の代表のような冷風扇で
      した。C〜Fの冷風扇はすべて最近流行のスリム冷風扇であり、暑
      さ対策にはまったく役に立ちません。今回テストした@MSO−
      F1103Sだけが現行機種の中で唯一まあまあ使える冷風扇とな
      っています。風量がもう少しアップすれば申し分ない冷風扇になる
      のですが。
       最後に実使用時の消費電力(W)を掲載しておきます。いずれも
      冷風OFFの時の値です。(所有していないものは測定できないの
      で掲載していません)

            −−− 消費電力 −−−
      +−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
      |   型   番   | 強  | 中  | 弱  |
      +−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
      |@MSO−F1103S| 49 | 43 | 36 |
      +−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
      |AMA−125    | 51 | 41 | 34 |
      +−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
      |BMA−208    | 46 | 39 | 31 |
      +−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+
      |CTK−AC08R  | 30 | 28 | 26 |
      +−−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−+−−−−+

   @8/21
     ・自室46インチ液晶テレビをLED化
       以前から言って来ました通り、私の部屋には2台のテレビがあり
      ます。映画等を見る場合はやはり大画面でないと臨場感や迫力が出
      ないということで大きなテレビで見ます。しかし、大きなテレビは
      消費電力も大きいので私が取組んでいるCO2 削減に反してしまい
      ます。そこで考えたのが、普段は小さなテレビで見て、これはとい
      う時だけ大きなテレビで見るということでした。これなら娯楽と環
      境保護が両立します。
       初代のテレビ2台体制は40インチのプロジェクションテレビと
      14インチブラウン管テレビでした。その次の時代は46インチ液
      晶テレビと26インチ液晶テレビでした。そして今回は46インチ
      LED液晶テレビと32インチLED液晶テレビの時代となりまし
      た。今年3月31日に32インチLED液晶テレビ、8月21日に
      46インチLED液晶テレビを導入したことで新しいテレビ2台体
      制の時代が始まりました。
       下記にこれまで自室で使用して来たテレビの消費電力を示します。

        −−−−− 自室歴代使用テレビの消費電力 −−−−−
      +−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−+
      | 導入年月 |SIZE|種別(上:大 下:小)| 消費電力 |
      +−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−+
    *2|81年09月|26|ブラウン管      |定格 96W|
      |   −  | −|   −       |   −  |
      +−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−+
      |89年12月|40|リアプロジェクション |定格250W|
    *3|04年02月|14|ブラウン管      |実用 45W|
      +−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−+
      |06年12月|46|液晶         |実用130W|
    *4|08年05月|26|液晶         |実用 65W|
      +−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−+
    *5|13年08月|46|LED液晶      |実用 40W|
      |13年03月|32|LED液晶      |実用 26W|
      +−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−+

       *1 消費電力欄に「定格」と書かれているものは定格消費電力
          を示します。まだワットメーターを導入していない時代
          なので測定できなかったからです。「実用」と書かれてい
          るものは実使用時の消費電力を示します。

       *2 初めて自室用に購入したテレビです。チューナーを内蔵し
          てしないモニターテレビと呼ばれるものでした。
          A(Audio)のみだったところへV(Visual)が加わり、
          次第にAV(Audio & Visual)の時代に移って行きました。

       *3 99年11月からの節電対策で84年03月に購入した古
          い14インチブラウン管テレビ(定格51W)を併用する
          ようになりました。ここからテレビ2台体制が始まりまし
          た。そして04年02月に音声多重の14インチブラウン
          管テレビ(定格64W、実用45W)に買い替えました。
          旧14インチは妻の部屋で使うようになりました。

       *4 08年05月に小さい方のテレビを26インチ液晶テレビ
          (65W)に買い替えたので、14インチ音声多重テレビ
          (45W)は妻の部屋で使うようになりました。旧14イ
          ンチ(51W)は09年3月に家電リサイクルしました。

       *5 46インチLED液晶テレビの消費電力は外部スピーカー
          を使用しない場合の省エネモード時の消費電力です。外部
          スピーカー使用時は47.8W位になります。映像モード
          はスタンダードで明るさ自動調整モードONで天井のスポ
          ットライトだけ点けた薄暗い部屋で測定しました。(番組
          やシーンで最高2、3W位まで変動するので大体ですが)

       以前の46インチ液晶テレビは消費電力が130Wにもなるので
      これはという時にしか使いませんでした。特にLED液晶テレビの
      消費電力の少なさを知った最近は罪悪感のようなものを感じてまっ
      たくと言って良い程使わなくなっていました。省エネbPの32イ
      ンチLED液晶テレビで我慢していました。それだけに早く買い替
      えて心置きなく見たいと思っていました。そして今回とうとう導入
      に踏み切りました。
       今回の46インチLED液晶テレビは、DKの46インチより新
      しい製品であることもあり、音ごもりはほとんどなくなりましたが、
      音か良いかと言えばそうとも言えません。スピーカーが背面に取付
      けられ後向きに音が出ていることもあり、音の厚みや艶や迫力は足
      りていません。このテレビはこれはという映画やドラマを見るため
      のテレビなので、音もHi−Fiでなければ画面とバランスが取れ
      ません。というこでDKの46インチLED液晶テレビと同様の外
      部スピーカーも導入しました。
       このテレビは、以前の46インチ液晶テレビと同時期に購入した
      AVラックの上に乗せましたが、メーカーが推奨する置き方だと画
      面の下側のフレームにある電源ランプやリモコン受光部が隠れてし
      まいます。外部スピーカーを画面より手前側にずらして置けば確か
      に光は届くようになりますが、格好が良くないですし、AVボード
      の上の手前側のスペースが使えなくなってしまいます。
       そこで何か便利グッツはないかとWeb検索したらテレビスペー
      サーというのがありました。しかし、簡素なものなのに高価で、で
      きるスペースの幅が足りないか、またはAVラックのサイズと合う
      ものがありませんでした。そこで考えたのがテレビスペーサーの自
      作でした。スペーサーをAVラックの上に置いて、スペーサーの上
      に液晶テレビを置くことで、スペーサーの中に横長の外部スピーカ
      ーを収納するスペースができます。幅30Cmx長さ120Cmと
      幅30Cmx長さ60Cmの黒い棚板を購入し、幅114Cmで、
      高さ(内寸)10Cmのコの字型のテレビスペーサーを作りました。
      スペーサーは左右2個のダボでAVボードに固定しました。AVボ
      ードの上でスペーサーが滑るとテレビがスペーサー諸共転倒・落下
      する危険性があるからです。
       流石に黒です。茶色のAVボードにも銀縁の液晶テレビにも良く
      マッチする高級感のある収納システムが完成しました。(下図)

            +−−−−−−−−−−−−+
            |            |
            |   32インチ    |
            |  LED液晶テレビ  |
            |            |
            |   (サブテレビ)  |
            |            |
            +−−−−−−−−−−−−+
    音波反射板 → ■■   □□□□   ■■ ←音波反射板
              ==========   ←吊り棚
      +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
      |                  |
      |                  |
      |                  |
      |   46インチLED液晶テレビ  |
      |                  |
      |     (メインテレビ)     |
      |                  |
      |                  |
      |                  |
 サブ   +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
 ウーハー        □□□□□□ ←テレビスタンド 
  | ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■←自作スペーサー 
  ↓ ■ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■
+−−++−−−−−−−−−−−+−−↑−−−−−−−+←ダボで固定 
|XX||           | 外部スピーカー  |
|XX|+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+←AVラック
|XX||           |          |
+−−++−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
////////////////////////////////////
    ←−−−−−−−− 114Cm −−−−−−−→

   @8/22
     ・ペダルペールを丸型12Lに切替え
       4月30日から大量に溜っていた小さなレジ袋が使えるよう丸型
      5Lのペタルペールを導入・使用して来ました。しかし、ここへ来
      てあれだけあった小さなレジ袋が底を突いてしまったので、また中
      位のレジ袋が使える丸型12Lのペタルペールに切替えました。
       やはりペダルペールは大きい方が使い易いです。ゴミを投入し易
      いですし、次の収集日まで満杯になりませんから。しかし、どのよ
      うな大きさのレジ袋も毎日使えばいずれなくなります。この中位の
      レジ袋がなくなったらまた大きなレジ袋が使える角型15Lに切替
      えるか、小さなレジ袋が使える丸型5Lに切替えるよりありません。
      物を大切に使うことは環境保護に繋がりますから。

   @8/23
     ・自室32インチLED液晶テレビの省エネ化に取組む
       3月31日に導入した32インチLED液晶テレビですが、取り
      あえずこれまではデフォルトの設定で使って来ました。そうすると
      部屋の明るさに応じて自動的に画面の明るさが調整されるモードに
      なります。どのような場面でも画面が明るく綺麗に鮮やかに見えま
      すが、部屋が明るくなる程、画面も明るく調整され消費電力も大き
      くなります。これでも以前のテレビに比べれば遥かに省エネになっ
      ていたのでこれまではこれでよしとして使って来ました。
       しかし、一つ気になる問題がありました。テレビの右1m位の位
      置の天井に取付けているスポットライトの灯りが画面に映り込み見
      るのに邪魔になっていることです。映り込みが起こる原因はテレビ
      を高い場所に置いているからです。良い場所はメインテレビが使っ
      ているので、サブテレビは140Cmという高い場所にしか置けな
      いからです。テレビにフードを取付けることも考えましたが、合う
      ものが市販されていまんし、自作するにしても大きな物になってし
      まい邪魔になります。それで打つ手がなく不都合なまま使って来ま
      した。
       そんなある日に思い付いたことがありました。半透明なスポット
      ライトの傘をボール紙で被うことでした。テレビのある左側だけ被
      えばPCラックの側は明るいままテレビ画面への映り込みを防げる
      のではないか。早速、やって見ました。被う範囲を微妙に調節する
      と映り込みが起こらなくなりました。良く見るとテレビを消した状
      態では映り込みは起こっていましたが、テレビを点けるとテレビの
      明るさに敗けて見えなくなりました。月食の時に肉眼では地球の影
      になる部分は良く見えないのに似ています。スポットライトのボー
      ル紙で被った部分は暗いので目立たないからです。
       事の始まりは気になるスポットライトの画面への映り込みを無く
      することでしたが、部屋の明るさが変わると消費電力も大きく変動
      することは省エネに苦心する私には気掛かりです。スポットライト
      の映り込みをなくしてもシーリングライトや手元を照らすクリップ
      ライトを点ければやはりテレビの消費電力が大きくなってしまいま
      す。ここは明るさを自動的に調整するモードの使用は止めてスッキ
      リさせることにしました。10W前後の節電となりました。

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    8月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 	日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
          前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                      0

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がないためです。ただし、シャワー入浴は行っていたので衛生上は問
   題ありません。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが4回、妻一人で行ったのが0
   回、妻と二人で行ったのが4回でした。温浴と水浴の交互入浴やマッサー
   ジ風呂による気晴らしのためです。週に1度の休日に行くようにしていま
   す。そういうわけで休日にも内風呂は立てられず、内風呂回数が0回にな
   ってしまうのです。

    注1)ガスの8月度とは今年は7月23日から8月23日の31日間
       でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    8月度の14台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        43590  22.59
    PC関係       29630  15.35
    水槽         28070  14.54
    冷風扇アンカ等    14520   7.52
    46V液晶       8300   4.30
    AV機器        6630   3.43
    妻コンセント      5070   2.63
    オーブンレンジ     4740   2.46
    天井換気扇       3270   1.69
    DKテーブルコンセント 2590   1.34
    炊飯器等        2340   1.21
    オーブルトースター等  1690   0.88
    洗濯機等         810   0.42
    屋根裏換気扇        70   0.04
    その他        41680  21.60
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        193000 100.00

    注1)電気の8月度とは今年は7月29日から8月29日の31日間
       でした。東京電力の検針日に合わせています。

    DKの46インチLED液晶(「46V液晶」)は、今月も節電に貢献
   しています。旧32インチ非LED液晶だった昨年8月が16192Wh
   (30日間15670Whの31日換算)だったものが、今月は8300
   Whと48.1%も少なくなりました。
    「AV機器」は、自室のテレピとオーディオ機器を合わせた消費電力を
   示しますが、近年はオーディオ機器はほとんど使用しないのでテレビの消
   費電力になります。ここは省エネのためテレビは代々大きいテレビと小さ
   いテレビの2台体制になっています。(詳細については前述した「★8月
   度の主なCO2削減関連の取り組み」の「@8/21 自室46インチ液
   晶テレビをLED化」の「自室歴代使用テレビの消費電力」表を参照して
   ください)
    旧26インチ非LED液晶と旧46インチ非LED液晶の2台体制だっ
   た昨年8月が12596Wh(30日間12190Whの31日換算)だ
   ったものが、今月は6630Whと47.4%も少なくなりました。今月
   8月20日までは大きい方のテレビは旧46インチ非LED液晶でしたが、
   8月21日に46インチLED液晶に買い替えたので、更に省エネ化が進
   みました。消費電力が旧46インチ非LED液晶が130Wだったものが
   LED液晶では40数Wにまで少なくなったからです。つまり映画やドラ
   マ等のこれはという番組を観る時にだけ使う大きい方のテレビの消費電力
   が約3分の1になったからです。また小さい方のテレビの消費電力も2分
   から3分の1位になったので、どのような使い方をしても大幅省エネでき
   ることになります。
    そして5月17日に導入した省エネNO.1冷蔵庫は、旧冷蔵庫だった
   昨年8月が95831Wh(30日間92740Whの31日換算)だっ
   たものが、今月は43590Whと54.5%も少なくなりました。先月
   の52.5%より更に節電率が上がりました。暑い季節程節電率が高くな
   ることが確かめられました。

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標273KWhのところ実績193KWhと目標より29.3
   %も少ない大幅削減となりました。原因は省エネのため冷蔵庫やテレビ等
   を買い替えたからです。言うまでもなく省エネは温暖化防止や脱原発に資
   するものです。
    年初からの累計で見ても目標1850KWhのところ実績1622KW
   hと目標より大幅に削減でき、達成率114.06%で目標をクリアーす
   ることができました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標2m3のところ実績は1m3と目標より大幅に削減できまし
   た。1m3 は2010年9月と並ぶ月使用量の最少記録です。
    年初からの累計でも目標28m3のところ実績20m3と目標より大幅に
   削減でき、達成率140.00%で目標をクリアーすることができました。

  ★水道の削減実績

    水道は目標20m3のところ実績19m3と目標内に収まりました。
    しかし年初からの累計では目標58m3のところ実績69m3と目標を大
   幅にオーバーし達成率は84.06%でした。これは2、4、6月の目標
   値を異常に使用量が少なかった昨年実績から取ったため、これまでの使用
   量の超過分があるからです。来年は目標値を改めますが、今年は目標未達
   成のまま推移する見込みです。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標37.24Kgのところ実績26.
   84Kgと目標より大幅に削減できました。
    年初からの累計でも目標249.20Kgのところ実績218.48
   Kgとなり、達成率114.06%で大きな余裕を持って目標をクリアー
   することができました。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
    http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算

私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
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#1002/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/12/07  13:16  (153)
◎2013年9度月 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容                                         13/12/07 13:20 修正 第2版

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 そして今年2013年はいよいよ省エネ冷蔵庫を導入します。機器の買い替え
による省エネとしてはこれまでで最大の省エネ量になることが見込まれます。
またプチ太陽光発電の導入も検討しており、電力の一部を自然エネルギーで賄う
試みも始めます。これを元に以後、ソーラーパネル等の機器の増設を進めて行け
ばCO2 の削減を飛躍的に進めて行くことが可能になります。
 それで今年の削減目標ですが、省エネ冷蔵庫の導入時期が未定ですし、省エネ
効果も実際に使用して見ないと分らないので数値化できません。このため昨年、
2012年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしました。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2012年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減目標 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2792x0.12= 335.04Kg
  (2) ガス=  38x0.64=  24.32Kg
  (3) 水道=  98x0.16=  15.68Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2013年のCO2 排出目標 375.04Kg(炭素換算)
             (削減率 65.46%)

そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1003/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/12/07  13:17  (457)
◎2013年9月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −48.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
    累  246    450    661    847   1090   1305   1577   1850   2114   2357   25
70   2792   2792
  (CO2)  29.52  54.00  79.32 101.64 130.80 156.60 189.24 222.00 253.68 282.84 3
08.40 335.04 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  237    215    194    215    193    171    204    193    190            
            1812
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80         
             217.44
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812           
            1812
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64  217.44        
             217.44
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率103.80  99.56 102.32  98.37 103.42 106.53 110.36 114.06  116.67        
             116.67
                                                                               
             ^^^^^^

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −93.8%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
    累    6     10     13     16     20     23     26     28     30     33     
36     38     38
  (CO2)   3.84   6.40   8.32  10.24  12.80  14.72  16.64  17.92  19.20  21.12  
23.04  24.32  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    5      3      3      2      2      2      2      1      2            
              22
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28         
              14.08
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22            
              22
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08         
              14.08 
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率120.00 125.00 118.18 123.08 133.33 135.29 136.84 140.00 136.36         
             136.36
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −59.5%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29,28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
    累    -     14      -     28      -     38      -     58      -     81     
 -     98     98  
  (CO2)   -      2.24   -      4.48   -      6.08   -      9.28   -     12.96  
 -     15.68  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     16      -     17      -     17      -     19      -            
 -            69   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -            
 -            11.04
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -            
 -            69   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -            
 -            11.04
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率000.00  87.50   -     84.85   -     76.00   -     84.06   -            
 -            84.06
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −65.46%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28 652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32 589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60 509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96 467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28 455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72 477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72 457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64 457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40 443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72 412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36 392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  目標   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
    累   33.36  62.64  89.88 116.36 148.08 177.40 211.96 249.20 282.16 316.92 3
44.40 375.04 375.04
  実績   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08         
             242.56
  累計   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56         
             242.56
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率105.44 101.16 103.17  99.52 104.75 106.94 110.60 114.06 116.33         
             116.33
                                                                               
             ^^^^^^
注)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の水
  道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用量は
  0とします。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1004/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/12/07  13:19  (443)
◎2013年9月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容

4.考察

    政府が温暖化防止対策を打ち出しても、これまでは別枠の予算でエコポ
   イントを付与したり、省エネ機器導入に助成金を出す等、まるで景気対策
   のような部分的一時的な効果しか出ないものばかりでした。こうした対策
   は財政負担になるため基準を厳しくして対象を絞ったり、期間が限定され
   長続きしませんでした。この地球温暖化という人類の存亡に関わる重大な
   問題は人類のあり方を変えなければ解決できない問題です。世の中の事ほ
   とんど全てが速さや大きさや軽さや小ささや便利さや安さや綺麗さや格好
   良さ等を競い、経済効率や経済成長を追求するものばかりで、肝心の環境
   破壊を食い止めるための発想が欠落しています。確かに家電の「年間消費
   電力」や「待機電力」と車の「燃費」を仕様の一部として表示して環境性
   能を競うことは省エネに役立ち有益ですが、地球環境保護の観点から国際
   会議によりトップダウンさせて決められる削減目標とは直接関係のないも
   のです。この問題は機械の効率を高めるだけで解決できる程生易しい問題
   ではあません。生活の手段として機械を使うべきか否か、別の手段に切り
   替えるべきか否かという、私たちのライフスタイルに関わる、人類の在り
   方が問われている問題だからです。 
    人々は自然環境の悪化に慣れっこになってしまってまったく無視して旧
   態依然の生活や事業を続けています。政府もまたそういう企業を後押しし
   ています。EUの一部の国以外の先進国はどこの国も同じような傾向です。
   途上国もそういう先進国を真似ています。それで未だに危機を回避できる
   国際的合意には至っていません。
    世界第三位の経済大国である日本が模範を示さなければ国際的合意は得
   られないと思います。もっと根本的で経済のグリーン構造改革を促すよう
   な革新的な対策が必要です。あらゆる物品に環境税を掛け環境性能で自由
   競争させると同時に、その税収で持続的な環境対策を行うのです。そのよ
   うな社会にならなければ地球温暖化問題は解決できないと思います。最初
   は極低率でも良いから環境税を導入してそういう社会に導くための下地を
   作り、企業や家庭等の対応状況を観て次第に税率を引き上げ、危機回避の
   ための目標を達成して行くのです。方法はこれしかないと思います。
    改革が遅れれば遅れる程対策にコストが掛かり、環境悪化による経済的
   損失が増大します。早ければ早い程より少ないコストで危機を回避できま
   す。こうしている間にも絶え間なく環境破壊が進行しています。「人がや
   らないから自分もやらない」、「他国がやらないから自国もやらない」が
   集まったら世界はどうなるのでしょうか。誰かが先にやらなければ何も変
   わらないし守れないのではないでしょうか。日本が先頭を切って行って欲
   しいと思います。

  ★9月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @9/01〜30
     ・冷風扇の使用状況
       今月も7/17に導入した中古冷風扇MA−208を使用しまし
      た。南サッシの左端の吸気口の前にMA−208を置き、天井の北
      端に設置している天井排気ファンまたは天井埋込形換気扇との併用
      で。初旬はMA−208を風量[強]で天井排気ファンと併用して
      いましたが、次第に未明になると気温が下がるので途中で弱に切り
      替える日が多くなりました。そして次には最初から風量を「弱」に
      して寝て未明に消したり、点けないで天井排気ファンだけで寝る日
      も多くなって行きました。また中旬を過ぎると天井排気ファンに代
      わって天井埋込形換気扇(弱)を使う日が多くなりました。更に下
      旬になるとMA−208を風量[弱]で点けても消灯前には消す場
      合が多くなって行きました。また給気口もサッシ吸気口に代わって
      天井給気口を使う日が多くなりました。暑くなったり涼しくなった
      りするので一方向的には変わらず行き戻りするわけですが。
       下記に暑さ対策(部屋全体を冷やすわけではないので冷房ではあ
      りません)のため自室で使用した冷風扇、天井換気扇、扇風機等に
      掛かった一日毎の電力(量)を示します。1カ月合計で10KWh
      位ですが、エアコンを使用すればこの10倍以上にはなることと思
      います。

       月 日   冷風扇等  天井換気扇   合 計
             (Wh)   (Wh)   (Wh)
      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       8/30  450    100    550  
       8/31  440    110    550
       9/01  520     90    610
       9/02  630    100    730
       9/03  420    120    540
       9/04  490     80    570
       9/05  410    110    520
       9/06  400    130    530
       9/07  260    100    360
       9/08  350    120    470
       9/09   50     70    120
       9/10   40     70    110
       9/11  210     60    270
       9/12  120    100    220
       9/13  340    100    440
       9/14  470     90    560
       9/15  470    100    570
       9/16  390    110    500
       9/17   20    100    120
       9/18   30     60     90
       9/19   30     70    100
       9/20   20    100    120
       9/21  170    110    280
       9/22  220    170    390
       9/23   70     60    130
       9/24   20     30     50
       9/25   80     40    120
       9/26   30    110    140
       9/27   20     80    100
       9/28   20     70     90
       9/29    0     50     50
       9/30   30     50     80
      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
            7220   2860  10080
 
       注1)「冷風扇等」とは下記の機器の消費電力量の合計です。
          この内、冷風扇は夜間睡眠時、その他の機器は昼夜の起き
          ている時に使用しました。

           ・冷風扇MA−208 強46W 中39W 弱31W
           ・壁掛け換気扇扇風機  12W
           ・壁掛け換気扇送風機  14W

       注2)「天井換気扇」とは下記の機器の消費電力量の合計です。
          どの機器も大抵は夜間睡眠時に使用しました。

           ・天井排気ファン    12.4W
           ・天井埋込形換気扇 急速13.4W
                      強 8.9W
                      弱 6.1W
           ・電動気密シャッター   1.0W
            (天井給気グリルと換気フード間のダクトの中間点に
             設置。シャッター開の時だけ電力を消費します)

       注3)注1と注2の各機器の消費電力は実測値で天井排気ファン
          と天井埋込形換気扇については定格より大きくなっていま
          す。

   @9/03
     ・居間の26インチ液晶テレビをLED化
       妻の居間の26インチ液晶テレビを32インチのLED液晶に
      買い替えました。自室のサブテレビと同じものです。理由は安くて
      消費電力が一番小さいからです。旧26インチが画面が暗く見えに
      くくなる程明るさを絞って65.9Wだったものが、今度の32イ
      ンチLED液晶では26.4Wと6割も省エネできました。自室の
      と同じように明るさを自動的に調整するモードをオフに設定し、そ
      の他は規定値(工場出荷時の値)のままで計りました。この設定で
      は部屋が明るいと画面がやや暗く感じるかも知れませんが、その差
      は2つのモードを瞬時に切替えて比べて分る程度のもので、普通に
      見ていて画面が暗いとか見にくいということはありません。それ程
      明るい照明器具は付けていませんし、普通に使えば綺麗に鮮明に見
      ることができます。
       これにより家中のテレピのLED化が完了し、テレビの省エネが
      MAXとなりました。
       
   @9/07〜29
     ・25Cm換気扇扇風機を壁掛け扇化
       2010年9月に25Cm換気扇を流用して製作してDKで使
      って来た25Cm換気扇扇風機ですが、9月7日にウッドポールの
      付け根が破損して使えなくなってしまいました。破損部分の部品を
      交換すれば直せることは直せましたが、20Cm換気扇扇風機と比
      べて重量が倍以上あるので支える部品の強度不足が故障の原因と考
      えられます。なのでこのままでの修理は取り止めました。それにこ
      れまで丸3年使って来て、大きいので通るのに邪魔になったり、重
      いので移動させるのが大変だったりと使いにくい面もあったので作
      り替えることにしました。省エネのためこれからも長く使い続ける
      ものなので、一手間お金掛けても惜しくないと考えたからでした。
       それで考えたのが、通るのに邪魔にならず移動させる必要のない
      壁掛け扇風機に変身させることでした。最初は既に作って使ってい
      る自室用の20Cm換気扇壁掛け扇と同じ構造にすることを考えま
      したが、設置場所からして風を人のいる方向に向けるには構造上の
      制限から無理がありました。それで必要性を満たす別の構造を考え
      ました。作り替える以前のように換気扇本体を水平にして左右と上
      下の首振りができるようにすれば良いことが分りました。それから
      高い位置に設置するので上下の首振りはかなり下方に向けた状態が
      標準になるので、その方向に自身の突起物があると風を妨げ弱めて
      しまうので考慮する必要があること。これらを考慮しながら作って
      試しては改良し、結果的にできたものはこれまで見たことのない形
      の物になりました。これについては言葉では上手く説明できないの
      で私のホームページをご覧ください。

      http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/ecology.htm#25ksen

       使いながら構造を改良し、本体ができ上がってから専用コンセン
      トやワットメーターやスイッチも取付け配線し、本体の表面をサン
      ドペーパーで研いてニスを三度塗りし、その後にまた小型軽量化し
      て部分的に再度ニス塗ったりし、間を置きながら少しづつ進めたこ
      ともあり、最終的に全て終わったのは9月29日のことでした。
       現在は100円ショップで購入したファンヒーターカバーに包ま
      れ冬眠しております。きっと来夏に活躍する日々のことを夢見てい
      ることでしょう。(^_^;)

   @9/07〜30
     ・自室46インチLED液晶関連の取組
       8月21日に導入した自室46インチLED液晶テレビに関連し
      ていくつかの取組を行いました。

      ◇自作テレビスペーサーの補強
        テレビスペーサーは厚い棚板で作りましたがテレビの重みで中
       央がたわむので中央に縦板を追加しました。

      ◇古い機器はS端子接続やD端子接続になっているものがあるので
       HDMI端子に統一しました。(最近の機種はレガシー端子を省
       いているものが多くなりました)

      ◇46インチと32インチとでブルーレイレコーダー等の外部機器
       を共用するため4入力・2出力のHDMIマトリックスセレクタ
       ーを導入しました。ついでに32インチテレビの入力端子の少な
       さを補いました。テレビ2台体制は省エネのためですが、テレビ
       が2台になれば省エネとは直接関係のないこういう取組みも必要
       になります。

      ◇普段サブウーハーの電源が入らないよう連動タップを追加
                           (待機電力カット)
        この外部スピーカーは、テレビ本体からHDMIケーブルを介
       して外部スピーカーのアンプ部に制御信号が送られることでアン
       プ部の電源が入り、更にアンプ部からサブウーハー部に信号が送
       られることでサブウーハーの電源が入るようになっています。そ
       れでサブウーハーはいつでも信号を受け付けられるよう待機して
       います。この時の待機電力は1W未満なので問題にする必要性は
       ないのですが、時々、テレビを点けていない時にサブウーハーの
       電源が入り電源ランプが点滅することがあるので気になります。
       これを止めるために連動タップを導入しました。アンプ部の電源
       が入った時だけサブウーハーに電源が供給されるようにしました。

        注)連動タップには「パソコンなどOA機器専用でパソコン口
          にはパソコン以外は接続しないでください」という注意書
          きがありますが、感度設定により設定した電流以上の電流
          が流れると連動口に接続した機器に電源が供給されること
          には変わりがないのでAV機器にも使用できます。

   @9/16
     ・台風18号でベランダ遮光ネットを緊急避難
       9月16日の8時前に台風18号が愛知県豊橋市付近に上陸し、
      昼頃、関東に最接近するという予報が出たので、屋根型遮光ネット
      を下ろし、ベランダ東西内外の遮光カーテンをたたみ束ねて強風に
      備えました。無事に済みましたが、その後も暑い日が続いたので、
      9月20日にまた遮光カーテンを張り直しました。

   @9/27
     ・DK東側サッシに取付けていたスペーサーを外し、今シーズンの
      冷蔵庫向け換気を終了させました。以後は壁の換気口からのみの
      換気となりました。

   @9/28
     ・また禁酒しました
       CO2 削減には直接関連ありませんが、2012年12月2日か
      ら禁酒を解除していましたが、9月28日からまた禁酒に踏み切り
      ました。理由は、9月になり涼しくなって来たら体調がおかしくな
      ったからです。今年も夏バテしないで済んだと思っていた矢先のこ
      とでした。だるくてなんとなく元気が出なかったり食欲が余りなく
      なったりして来て、その内に喉が痛くなり風邪を引きそうになりま
      した。普通なら気を付けることで喉の痛みが1、2日で治り風邪を
      引かないで済むのですが、引きそうな状態が1週間以上も続いてか
      ら引いてしまいました。以後、風邪の症状がいつまでも続いて治ら
      なくなりました。免疫が弱くなったのではないかと思いました。数
      カ月前にも同様のことがありました。試しに栄養ドリンクを買って
      飲んで見たら幾分体調が良くなりましたが、完全ではないし風邪も
      治りませんでした。それで試しに酒(発砲酒)を止めて見ました。
      そうしたら途端に効果が出て風邪が治り体調も良くなったではない
      ですか。意外な結果に驚きました。
       私は20歳になってからずっと飲酒をして来て、どちらかという
      と酒に強い体質でした。酒に強い人というのはアルコールの消化酵
      素を持っている人で、弱い人はそれがないから飲めないと言われて
      います。どうやら私は2010年8月から2年以上禁酒をして来た
      ことでアルコールを飲めない体質に変わったようです。
       それはそれとしてノンアルコールビールがあったのでスムースに
      禁酒ができました。何故かと言えば、夕食前に数百ml位の白い泡
      の出る黄色く苦みのある液体を飲むことは数十年来の習慣であり、
      これを続けながらアルコールを止められたからです。とにもかくに
      も体調が回復できて本当に良かったと思っています。

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    9月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 	日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
          前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                      0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がなく、内風呂を立てられる日がありませんでした。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが1回、妻一人で行ったのが0
   回、妻と二人で行ったのが6回でした。足りない分はソーラー湯によるシ
   ャワー入浴で補いました。

    注1)ガスの9月度とは今年は8月23日から9月21日の29日間
       でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は

       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    9月度の15台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        40570  21.35 
    水槽         28780  15.15 
    PC関係       27890  14.68 
    46V液晶       9820   5.17 
    AV機器        7330   3.86 
    冷風扇アンカ等     7220   3.80 
    オーブンレンジ     5870   3.09 
    妻コンセント      4180   2.20 
    炊飯器等        2940   1.55 
    オーブルトースター等  2920   1.54 
    天井換気扇       2860   1.51 
    DKテーブルコンセント 1000   0.52 
    洗濯機等         790   0.41 
    25Cm換気扇壁掛扇	 240   0.13 
    屋根裏換気扇       120   0.06 
    その他        47470  24.98 
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        190000 100.00

    注1)電気の9月度とは今年は8月29日から9月30日の32日間
       でした。東京電力の検針日に合わせています。

    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット15台の合計を
       差し引いて求めています。

    注3)前述しました「★9月度の主なCO2削減関連の取り組み」の「
       @9/07〜29 25Cm換気扇扇風機を壁掛け扇化」により
       これまでの25Cm換気扇扇風機が「DKテーブルコンセント」
       から電源を取っていたものが、場所の関係で今回、独立したワッ
       トメーターを割り当てたので、結果的にワットメーターが1台増
       えて15台となりました。
        この季節「DKテーブルコンセント」で使用する機器は25
       Cm換気扇扇風機だけですから、形と使用場所は変わりましたが、
       「25Cm換気扇扇風機」の使用電力量の合計は1240Whだ
       ったことになります。(下記)

        DKテーブルコンセント 8/29〜9/10 1000Wh
        25Cm換気扇壁掛扇	9/15〜9/30  240Wh
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
           合 計                1240Wh

    DKの46インチLED液晶(「46V液晶」)は、今月も節電に貢献
   しています。旧32インチ非LED液晶だった昨年9月が16715Wh
   (30日間15670Whの32日換算)だったものが、今月は9820
   Whと41.3%も少なくなりました。
    「AV機器」は、旧26インチ非LED液晶と旧46インチ非LED液
   晶の2台体制だった昨年9月が16160Wh(30日間15150Wh
   の32日換算)だったものが、32インチLED液晶と46インチLED
   液晶の新2台体制の今月は7330Whと54.6%も少なくなりました。
    そして5月17日に導入した省エネNO.1冷蔵庫は、旧冷蔵庫だった
   昨年9月が90016Wh(30日間84390Whの32日換算)だっ
   たものが、今月は40570Whと54.9%も少なくなりました。


   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標264KWhのところ実績190KWhと目標より大幅に削
   減できました。削減された電力量74KWhに対しての寄与率は、冷蔵庫
   が43.8KWhで59.2%、自室26インチLED液晶と46インチ
   LED液晶が7.8KWhで10.6%、DKの46インチLED液晶が
   5.85KWhで7.9%、その他が16.5KWhで22.3%でした。
   やはり24時間動き続ける冷蔵庫による節電が6割近くと圧倒的ですが、
   残りの4割はその他の削減努力によるものですから、あらゆる電気器具の
   節電を行わなければ駄目なことが分りました。
    年初からの累計で見ても目標2114KWhのところ実績1812KW
   hに収まり、達成率116.67%と大きな余裕を持って目標をクリアー
   することができました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標2m3のところ実績も2m3と目標通りに削減できました。
    年初からの累計でも目標30m3のところ実績22m3と目標より大幅に
   削減でき、達成率136.36%で目標をクリアーすることができました。

  ★水道の削減実績

    水道は偶数月以外は検針がないので今月は実績がありません。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標32.96Kgのところ実績24.
   08Kgと目標より大幅に削減できました。
    年初からの累計でも目標282.16Kgのところ実績242.56Kg
   と目標より大幅に削減でき、達成率116.33%で余裕を持って目標をク
   リアーすることができました。


   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html

私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
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*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#1005/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/12/15  19:15  (153)
◎2013年10月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 そして今年2013年はいよいよ省エネ冷蔵庫を導入します。機器の買い替え
による省エネとしてはこれまでで最大の省エネ量になることが見込まれます。
またプチ太陽光発電の導入も検討しており、電力の一部を自然エネルギーで賄う
試みも始めます。これを元に以後、ソーラーパネル等の機器の増設を進めて行け
ばCO2 の削減を飛躍的に進めて行くことが可能になります。
 それで今年の削減目標ですが、省エネ冷蔵庫の導入時期が未定ですし、省エネ
効果も実際に使用して見ないと分らないので数値化できません。このため昨年、
2012年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしました。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2012年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減目標 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2792x0.12= 335.04Kg
  (2) ガス=  38x0.64=  24.32Kg
  (3) 水道=  98x0.16=  15.68Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2013年のCO2 排出目標 375.04Kg(炭素換算)
             (削減率 65.46%)

そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1006/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/12/15  19:16  (457)
◎2013年10月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −48.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
    累  246    450    661    847   1090   1305   1577   1850   2114   2357   25
70   2792   2792
  (CO2)  29.52  54.00  79.32 101.64 130.80 156.60 189.24 222.00 253.68 282.84 3
08.40 335.04 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166     
            1978
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
             237.36
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978     
            1978
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36  
             237.36
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率103.80  99.56 102.32  98.37 103.42 106.53 110.36 114.06 116.67 119.16  
             119.16
                                                                               
             ^^^^^^

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −93.8%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
    累    6     10     13     16     20     23     26     28     30     33     
36     38     38
  (CO2)   3.84   6.40   8.32  10.24  12.80  14.72  16.64  17.92  19.20  21.12  
23.04  24.32  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
              24
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
              15.36
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
              24
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
              15.36 
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率120.00 125.00 118.18 123.08 133.33 135.29 136.84 140.00 136.36 137.50  
             137.50
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −59.5%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29,28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
    累    -     14      -     28      -     38      -     58      -     81     
 -     98     98  
  (CO2)   -      2.24   -      4.48   -      6.08   -      9.28   -     12.96  
 -     15.68  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -            87   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -            13.92
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -            87   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -            13.92
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率000.00  87.50   -     84.85   -     76.00   -     84.06   -     93.10  
 -            93.10
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −65.46%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28 652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32 589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60 509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96 467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28 455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72 477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72 457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64 457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40 443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72 412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36 392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  目標   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
    累   33.36  62.64  89.88 116.36 148.08 177.40 211.96 249.20 282.16 316.92 3
44.40 375.04 375.04
  実績   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
             266.64
  累計   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64  
             266.64
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率105.44 101.16 103.17  99.52 104.75 106.94 110.60 114.06 116.33 118.86  
             118.86
                                                                               
             ^^^^^^
注)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の水
  道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用量は
  0とします。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1007/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  13/12/15  19:17  (336)
◎2013年10月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         13/12/15 19:44 修正 第2版

4.考察

    放射性物質が無害になるまでの時間より温暖化で海面上昇が起こるまで
   の時間の方が遥かに短いから原子炉そのものや貯蔵プールに保管されてい
   る使用済み核燃料やそれを再処理して作ったガラス固化体(高濃度放射性
   廃棄物)は速やかに始末しておかないと世界中の大気や大地や海が放射能
   汚染され単なる海面上昇の問題だけではなくなります。人類滅亡につなが
   る深刻な未来が待ち受けています。原発が地球温暖化対策になるなんてと
   んでもない話です。何も心配のないところに人類滅亡の危険性を作り出す
   狂気の沙汰です。原発は経済性が高いと言いますが、放射性廃棄物の処理
   に莫大なコストとエネルギーが掛り、その上まだ安全な処分方法が確立さ
   れていない代物です。安全が確保されていないのに次々に原発を建設して
   危険な核のゴミを増やし続けて来ました。福島のようなことが起こっても
   懲りずになお原発を推進しようとしている様は狂っているとしか考えよう
   がありません。先ごろのNHKの世論調査でも大多数の国民が再稼働反対
   の意思表示をしているのにです。

   >>> あなたは安全が確認された原発から再稼働させるという政府の
   >>> 方針に賛成しますか?
   >>>
   >>>  賛成する:16% 反対する:46%
   >>>  どちらとも言えない:33%

P.S.中間貯蔵施設というのは、原発から出た強い放射線と熱を出す使用済み
    核燃料が増えて原発内の貯蔵プールに置ききれなくなったものを一時的
    に保管する施設です。貯蔵プールに空きがなくなると原発を稼働停止し
    なければならなくなるからです。使用済み核燃料を再処理施設に送るま
    での間保管する施設です。どこの原発も使用済み核燃料でいっぱいなの
    で、共通の貯蔵施設を建設してそこへ移すためです。危険極まりない物
    が置ききれなくなる程溜まっているのに更に増やしてまでして原発を稼
    働させて国民の安心・安全な生活を脅かすことにつなかる計画です。狂
    っているとしか考えようがありません。

    再処理して作ったガラス固化体(高濃度放射性廃棄物)はなお強い放射
    線と熱を出すので、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで30年〜
    50年間保管し、それから地下300mより深い安定な地層に埋設する
    処分方法が検討されていますが、まだ研究段階であり決まっていません。
    それにガラス固化体は永久的なものではなく外側の金属部分が腐食して
    破損すると放射性物質が漏れ出てしまうので、その前にガラス固化体を
    作り直す必要が生じます。貯蔵管理センターに置いている間はある程度
    管理できるでしょうが、埋設後は管理できないので、人里離れた場所(
    地下深くにとしか考えられていない)に埋設することが検討されていま
    すが、地震火山列島である日本に何万年もの間、安全が保てる地層はあ
    るでしょうか。確かめようがありません。想定外どころか想定すること
    さえできません。

  ★10月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @10/01〜30
     ・天井扇の使用状況
       夜間睡眠時の話になりますが、冷風扇の使用は先月までで終わり、
      今月は天井排気ファンや天井埋込形換気扇を回すだけで眠れるよう
      になりました。上旬は風量の大きい方の天井排気ファンとサッシ吸
      気口の組み合わせで、中旬以降は風量の小さい方の天井埋込形換気
      扇と天井給気口(電動シャッター作動)の組み合わせで涼しく眠れ
      るようになりました。日別の使用電力量は下記の通りでした。

        月 日  天井換気扇
             (Wh)
      −−−−−−−−−−−−−
       10/01   60  
       10/02   60  
       10/03  130  
       10/04   90  
       10/05   50  
       10/06   60  
       10/07   50  
       10/08   40  
       10/09  110  
       10/10  110  
       10/11   60  
       10/12  100  
       10/13  120  
       10/14   60  
       10/15   70  
       10/16   50  
       10/17   20  
       10/18   50  
       10/19   60  
       10/20   50  
       10/21   60  
       10/22    0  
       10/23   50  
       10/24   30  
       10/25   50  
       10/26   60  
       10/27   10  
       10/28   60  
       10/29   40  
       10/30   60  
      −−−−−−−−−−−−−
             1820Wh

   @10/16
     ・台風26号接近でベランダ遮光ネットを緊急避難
       台風26号が来るので前日の15日にベランダとベランダ下の
      東西の遮光カーテンを畳み束ねて来襲に備えました。風は大したこ
      ことはなく遮光ネットが壊れる程てはありませんでした。しかし、
      伊豆大島では集中豪雨による土石流で死者35名、行方不明6名を
      含む大きな被害が出ました。また町田市や神奈川県や千葉県でも死
      者が出ました。温暖化に起因する気象災害がまた起こりました。

   @10/29〜30
     ・5.1chサラウンドや音楽鑑賞をするための環境整備
       自室に46インチLED液晶テレビを導入したことを切っ掛けに
      古いオーディオアンプやAVアンプは接続を切り離し退けましたが、
      以前から持っているCDコレクションがあり、また聴いて見たくな
      りました。それでCDをDVDプレーヤーにセットしてテレビの外
      部スピーカーで聴いて見ました。それなりに良い音がしました。た
      だし、映像がなくても46インチLED液晶テレビの電源は入れる
      必要がありました。HDMIケーブルで音声を送るからです。それ
      で余計な電力を喰うことが分りました。(光端子もありますが、接
      続していなかったので)それから音楽を聴くにはテレビの外部スピ
      ーカーでは物足りなく感じました。そこで外部スピーカーを外して、
      代わりに昔オーディオに凝っていた時代に購入した大きなスピーカ
      ーに繋ぎ替えて見ました。そうしたらどうでしょう。目が覚めるよ
      うな生々しくクリアーが音に変わりました。ならばこれで映画を見
      たらどのような音がするのか試して見たくなりました。そこでブル
      ーレイレコーダーの録画の中から「スーパーマン・リターンズ」を
      再生して見ました。やはりいつもの外部スピーカーで聴く音とはま
      ったく別次元の音でした。「こんな音まで入っていたのか」と思う
      程のその場の地響きや空気感までもが伝わるような鮮明で臨場感の
      ある音でした。ここから音楽や映画を楽しむ環境を整備することを
      思い立ちました。
       現在の外部スピーカーのアンプ部とサブウーハー部と良い音のし
      た大きなスピーカーを組み合わせて使う方法もありますが、外部ス
      ピーカーはテレビの補助的機器でこれをオーディオアンプ代わりに
      使うには機能が足りなく使い難いこと。アンプ部のスピーカー端子
      からは中高音域しか出ておらず、ここに大きなスピーカーを接続し
      中高音域だけを出し、低音域はサプウーハーから出したのでは大き
      なスピーカーの音の良さを生かし切れないこと。最新の映画を楽し
      むには最低5.1chサラウンドを再生できるデジタルアンプが必
      要なところ、外部スピーカーのアンプ部はデジタルではありますが
      2.1chまでの機能しかないこと。これらのことからデジタルア
      ンプの導入が必要という結論に達しました。ただしデジタルアンプ
      はハイパワーのものでなくても十分に音質が良いので最低のもので
      良く、かつその方が省エネになること。また外部スピーカーのアン
      プ部と切替使用できるよう最新のHDMIコントロール(3D映像
      やARC)に対応したものであること、という方針を決めました。
      (導入は来月になるので続きは来月度の報告書に書く予定です)

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    10月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 	日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
          前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                      0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がなく、内風呂を立てられる日がありませんでした。どういうことか
   と言えば、妻の帰りが毎日遅いので、お風呂を立てて私が入ってから妻が
   入るまで5時間以上も間が空き、その間に湯温が15度以上も下がってし
   まうので、妻が入る前にガスを使って追い焚きしなければならなくなるから
   です。これでは太陽熱温水器を導入した意味がなくなるので内風呂を立てな
   くなりました。それで一週間に一度の休日に近くの銭湯に行くようになりま
   した。気晴らしも兼ねて。後は早く帰れる日があれば妻が一人で銭湯に行く
   ようになりました。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが1回、妻一人で行ったのが1
   回、妻と二人で行ったのが3回でした。秋になりシャワーで済ませられる
   季節は終わったので1週間に1回は少な過ぎ衛生上問題ありでした。

    注1)ガスの10月度とは今年は9月21日から10月23日の32日
       間でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は

       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    10月度の15台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        31190  18.79
    PC関係       30070  18.11
    水槽         27850  16.78
    46V液晶       8520   5.13
    AV機器        8180   4.93
    オーブンレンジ     5270   3.17
    オーブルトースター等  4380   2.64
    炊飯器等        2290   1.38
    天井換気扇       1820   1.10
    妻コンセント      1580   0.95
    洗濯機等         720   0.43
    冷風扇アンカ等      640   0.39
    DKテーブルコンセント   60   0.04
    25Cm換気扇壁掛扇	   0   0.00
    屋根裏換気扇         0   0.00
    その他        43430  26.16
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        166000 100.00

    注1)電気の10月度とは今年は9月30日から10月30日の30日間
       でした。東京電力の検針日に合わせています。

    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット15台の合計を
       差し引いて求めています。

    DKの46インチLED液晶(「46V液晶」)は、今月も節電に貢献
   しています。旧32インチ非LED液晶だった昨年10月が16631W
   h(32日間17740Whの30日換算)だったものが、今月は8520
   Whと48.8%も少なくなりました。
    「AV機器」は、旧26インチ非LED液晶と旧46インチ非LED液
   晶の2台体制だった昨年10月が13266Wh(32日間14150Wh
   の30日換算)だったものが、32インチLED液晶と46インチLED
   液晶の新2台体制の今月は8180Whと38.3%も少なくなりました。
    そして5月17日に導入した省エネNO.1冷蔵庫は、旧冷蔵庫だった
   昨年10月が60000Wh(32日間64000Whの30日換算)だ
   ったものが、今月は31190Whと48.0%も少なくなりました。涼
   しくなったので節電率は先月の54.9%より小さくなりましたが。

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標243KWhのところ実績166KWhと目標より大幅に削
   減できました。削減された電力量77KWhに対しての寄与率は、冷蔵庫
   が28.8KWhで37.4%、DKの46インチLED液晶が8.1K
   Whで10.5%、自室26インチLED液晶と46インチLED液晶が
   5.1KWhで6.6%、その他が16.7KWhで21.7%でした。
   今月も24時間動き続ける冷蔵庫が1位になりましたが、率としては37
   .4%と先月の59.2%より大分下がりました。その分、他の機器の節
   電の重要性が高まりました。

          −−使用電力量(Wh)−  削減電力量   削減率
           今 月   昨年10月   (Wh)   (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫   31190  60000  28810  37.4
    46V液晶  8520  16631   8111  10.5
    AV機器   8180  13266   5086   6.6
    その他   71280  87956  16676  21.7

    年初からの累計で見ても目標2357KWhのところ実績1978KW
   hに収まり、達成率119.16%と先月より更に大きな余裕を持って目
   標をクリアーすることができました。

    注1)「昨年10月」の使用電力量は32日間の30日換算です。
    注2)上表の「その他」の今月の使用電力量は、「★今月の用途別電力
       使用量」の「その他」と「水槽」を加えた値です。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標3m3のところ実績も2m3と目標より削減できました。
    年初からの累計でも目標33m3のところ実績24m3と目標より大幅に
   削減でき、達成率137.50%で目標をクリアーすることができました。

  ★水道の削減実績

    水道は目標23m3のところ実績18m3と目標より大幅に削減できまし
   た。
    しかし年初からの累計では目標81m3のところ実績87m3と目標を大
   幅にオーバーし達成率は93.10%でした。これは2、4、6月の目標
   値を異常に使用量が少なかった昨年実績から取ったため、これまでの使用
   量の超過分があるからです。来年は目標値を改めますが、今年は目標未達
   成のまま推移する見込みです。(今月も同じ説明を付け加えました)

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標34.76Kgのところ実績
   24.08Kgと目標より大幅に削減できました。
    年初からの累計でも目標316.92Kgのところ実績266.64
   Kgと目標より大幅に削減でき、達成率118.86%と先月より更に
   大きな余裕を持って目標をクリアーすることができました。


   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                     |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                       |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#1008/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/02/11  19:34  (153)
◎2013年11月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 そして今年2013年はいよいよ省エネ冷蔵庫を導入します。機器の買い替え
による省エネとしてはこれまでで最大の省エネ量になることが見込まれます。
またプチ太陽光発電の導入も検討しており、電力の一部を自然エネルギーで賄う
試みも始めます。これを元に以後、ソーラーパネル等の機器の増設を進めて行け
ばCO2 の削減を飛躍的に進めて行くことが可能になります。
 それで今年の削減目標ですが、省エネ冷蔵庫の導入時期が未定ですし、省エネ
効果も実際に使用して見ないと分らないので数値化できません。このため昨年、
2012年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしました。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2012年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減目標 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2792x0.12= 335.04Kg
  (2) ガス=  38x0.64=  24.32Kg
  (3) 水道=  98x0.16=  15.68Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2013年のCO2 排出目標 375.04Kg(炭素換算)
             (削減率 65.46%)

そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1009/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/02/11  19:36  (457)
◎2013年11月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −48.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
    累  246    450    661    847   1090   1305   1577   1850   2114   2357   25
70   2792   2792
  (CO2)  29.52  54.00  79.32 101.64 130.80 156.60 189.24 222.00 253.68 282.84 3
08.40 335.04 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60          2138
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20        256.56
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978   21
38          2138
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36 2
56.56        256.56
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率103.80  99.56 102.32  98.37 103.42 106.53 110.36 114.06 116.67 119.16 1
20.21        120.21
                                                                               
             ^^^^^^

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −93.8%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
    累    6     10     13     16     20     23     26     28     30     33     
36     38     38
  (CO2)   3.84   6.40   8.32  10.24  12.80  14.72  16.64  17.92  19.20  21.12  
23.04  24.32  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2            26
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28         16.64
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
26            26
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
16.64         16.64 
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率120.00 125.00 118.18 123.08 133.33 135.29 136.84 140.00 136.36 137.50 1
38.46        138.46
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −59.5%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
    累    -     14      -     28      -     38      -     58      -     81     
 -     98     98  
  (CO2)   -      2.24   -      4.48   -      6.08   -      9.28   -     12.96  
 -     15.68  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -            87   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -            13.92
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -            87   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -            13.92
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率000.00  87.50   -     84.85   -     76.00   -     84.06   -     93.10  
 -            93.10
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −65.46%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28 652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32 589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60 509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96 467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28 455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72 477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72 457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64 457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40 443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72 412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36 392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  目標   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
    累   33.36  62.64  89.88 116.36 148.08 177.40 211.96 249.20 282.16 316.92 3
44.40 375.04 375.04
  実績   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48        287.12
  累計   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64 2
87.12        287.12
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率105.44 101.16 103.17  99.52 104.75 106.94 110.60 114.06 116.33 118.86 1
19.95        119.95
                                                                               
             ^^^^^^
注)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の水
  道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用量は
  0とします。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1010/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/02/11  19:38  (499)
◎2013年11月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         14/02/11 19:45 修正 第2版

4.考察

    業界の人々(学者や政治家や官僚や経営者)は原子力が職業であり好き
   でやっているので原子力と心中しても良いと思っているでしょうから、万
   難を排して原子力を推し進めようとするでしょう。けれども私たち国民は
   否応なし知らぬ間に原子力に付き合わされているわけで、たかが電気を起
   こすために生命や健康が脅かされることなどまったく望んでいませんし、
   業界の人々の巻き添えにもなりたくありません。危険極まりないエネルギ
   ーは原子力だけなのであって、他のエネルギーはまったく安全であり安心
   してこれまでの生活を続けられます。だから安心・安全を脅かす原子力は
   即刻止めて貰いたいということです。
    それはこれまでに建造してしまった原子炉を廃炉にする作業や出してし
   まった高濃度放射性廃棄物(核のごみ)を安全に保管する作業は今後とも
   続けなければなりませんし、その技術は維持しなければなりません。しか
   し、だからと言って原発を再稼働させて当面は続けて良いという理屈は成
   り立ちません。国民の安心・安全を第一に考え、危険極まりない原発はこ
   のまま廃炉にすることを決定し、二度と福島のような惨禍が起こらないよ
   うにすると同時に、これ以上危険極まりない核廃棄物を増やさないように
   して貰いたいということです。これが現時点での最良の道であり、最も安
   心・安全な道だからです。
    99.99%安全であるという理屈を並べても駄目なのです。100%
   安全でないと駄目なのです。多くの国民の生命や健康が掛かっているから
   です。原子力は原理的に絶対に安全とは言い切れないエネルギーです。電
   源がなくなるだけでメルトダウンして福島のようになってしまう安全性が
   脆弱なエネルギーです。原発保有国と戦争するのに核爆弾や核ミサイルは
   必要ありません。電源ケーブルを切るだけで大きな被害が出るからです。
   発電機を壊すのも簡単です。水を止めるのも簡単です。人為的なくても、
   今後、温暖化が爆発的に進行する予測が出ています。これまで想定してい
   なかったような天変地異が起こる可能性が高まります。原発への隕石の落
   下も起こり得ます。
    核廃棄物の処理・処分は未踏の分野であり、まだ安全性が実証されてお
   らず安全であったという実績もない分野です。理屈を言わなくても100
   %安全だと万人に分らるものでないと駄目なのです。他のエネルギーはど
   れも皆そういう安全なエネルギーです。危険極まりないエネルギーは原子
   力だけなのです。
    危ないものは置いておかない方が良いのです。物が物だけに万が一のこ
   とも考えておかないといけないのです。原発さえなければ、突然、理由も
   なく命や生活が奪われることはなくなります。
   
   P.S.原発を推進する理由は経済性にあると言いますが、本当に経済性
       があるのでしょうか。安全性を高めるのにコストが嵩み割りが合
       わなくなると言われています。また原発のコストには廃炉に要す
       るコストが含まれていないと言われています。更に廃炉できるよ
       うに設計されていないとも言われ、予想以上のコストや時間が掛
       かると言われています。これに加えて高濃度放射性廃棄物という
       厄介物が排出されますから良いことは何もありません。

  ★11月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @11/01
     ・南サッシ吸気口付塩ビ板を元のガラスに付け替える

   @11/02
     ・ベランダ南遮光カーテンを西端で束ねる

   @11/02〜09
     ・5.1chサラウンドや音楽鑑賞をするための機器整備
       8月に自室のテレビを46インチLED液晶に買い替え、音声も
      同一メーカーの外部スピーカーで鳴らすようにしましたが、2.1
      chなので最近の5.1chの映画には対応できませんし、音楽を
      聴くには音質や機能が足りません。そこで5.1chに対応したデ
      ジタルAVアンプを導入し、これはという映画を観る時とCD等で
      音楽を聴く時だけ音声はこのデジタルAVアンプで鳴らすようにし
      ました。
       下記がそれを可能にする接続図です。接続にはスピーカー以外は
      全てHDMIケーブルを使用しました。

  【2台のテレビと2台のアンプを切替使用できるAVシステム接続図】

           スピーカー
         L←フロント→R
          サブウーハー
             ↑
       セ          セ
       レ  外部スピーカー レ  4入力  ← BDレコーダー1
46インチ  ク→  付属アンプ ←ク  2出力  ← BDレコーダー2
LED液晶 →タ          タ← HDMI ← DVDプレイヤー
 テレビ   |→  デジタル  ←|  セレクター← BDプレイヤー
       @  AVアンプ   A   ↓

             ↓      32インチ
           スピーカー    LED液晶
         L←フロント →R   テレビ
                 L←サラウンド→R
             ↓
           BACK

      注1)各HDMIセレクターの役割
          ・4入力/2出力HDMIセレクター(アクティブ型)
            再生又は操作する外部機器の選択とHDMI信号の
            2台のテレビへの分配
          ・セレクター@
            テレビの音声を鳴らすアンプの選択
            (46インチ視聴時)
          。セレクターA
            外部機器の音声を再生するアンプの選択
            (46インチ視聴時)

      注2)「セレクター@」と「セレクターA」には1:2又は2:1
         のメカニカルなパッシブ型HDMIセレクターを使用しまし
         た。アクティブ型HDMIセレクターでは逆向きの信号を流
         すことができず、ARCに対応できないからです。アクティ
         ブ型HDMIセレクターでは1:2のものと2:1のものは
         別製品だからです。

      注3)「スピーカーのフロントLR」は2つのアンプで共用します。
         このためスピーカーセレクターで2台のアンプを切替えてい
         ます。またこのスピーカーは外部スピーカー付属のものでは
         なく、28年前に購入した大きく高音質のものです。

      注4)「外部スピーカー付属アンプ」と「デジタルAVアンプ」の
         切替は電源を切った状態で、「セレクター@」と「セレクタ
         ーA」とスピーカーセレクターを切り替えることで行います。
         各セレクターの端子1を「外部スピーカー付属アンプ」に、
         端子2を「デジタルAVアンプ」に接続しています。
 
          各セレクターの端子1;外部スピーカー付属アンプ
                 端子2;デジタルAVアンプ

      注5)この「デジタルAVアンプ」は外部スピーカー(アンプ)
         より安価ですが、音質が良く多機能で最新のHDMIコント
         ロール機能に対応しているので、テレビと連動して電源の
         入り切りや音量の上げ下げができます。

      注6)DVDプレイヤーは4入力/2出力HDMIセレクターとは
         HDMIケーブルケーブルで繋がっていますが、これとは別
         にCD再生のモードAのために同軸デジタルケーブルで「デ
         ジタルAVアンプ」と直接繋がっています。このアンプには
         光デジタル端子も装備されていますが、他の機器との接続で
         使っているため空いている同軸デジタル端子を使いました。

       これによりテレビに続きアンプについても2台体制となりました。
      つまり普段は省エネな外部スピーカー付属アンプで鳴らし、これは
      という時だけ高音質のデジタルAVアンプで鳴らすようにしました。
       よって自室のテレビ視聴モードは、32インチLED液晶の1モ
      ードと46インチLED液晶の3モードの合計4モードになりまし
      た。それからこれとは別にCDで音楽を聴く場合のモードが加わり
      ました。この場合はテレビの電源は入れず、デジタルAVアンプと
      DVDプレイヤーの電源だけを入れます。これがモードAです。そ
      れぞれのモード時の消費電力は下表の通りです。

           テレビの視聴モード別消費電力
+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+
|ab         テレビ視聴モード          |消費電力|
| |                           | (W)|
+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+
|0|待機電力(全AV機器の待機電力)           | 2.4|
|1|32インチLED液晶(テレビ内蔵スピーカー)     |27.3|
|2|46インチLED液晶(テレビ内蔵スピーカー)     |34.4|
|3|46インチLED液晶(外部スピーカー付属アンプ)   |46.6|
|4|46インチLED液晶(デジタルAVアンプ 5.1ch)|56.2|
|A|CD音楽鑑賞(デジタルAVアンプ エコ2chステレオ)|30.2|
+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−+

       普段はモード1で視聴することがほとんどで、毎週放送される連
      続ドラマや、たまにまだ見ていない映画が放送される時等にモード
      3で視聴します。一番消費電力の大きいモード4を使用することは
      滅多にありません。CDで音楽を聴くこともたまにあるだけです。
      従って、機能強化後もこれまでとほとんど変わらない省エネAVラ
      イフです。

   @11/08
     ・ベランダ屋根の遮光ネット西端で束ねる
       暑さ対策のためこれまでベランダ屋根を被っていた遮光ネットを
      西端にずらして束ねました。

   @11/11
     ・DK東壁の換気口を閉める
       寒くなって来たのでこれまで冷蔵庫の省エネのため開けていた
      冷蔵庫背面近くの換気口を閉じました。

   @11/18
     ・20Cm換気扇扇風機を収納
       妻の部屋用の20Cm換気扇扇風機を段ボール箱に入れ屋根裏に
      収納しました。

     ・中古冷風扇MA−208を収納
       今年7月17日にオークションで入手した中古冷風扇MA−208
      を専用の段ボール箱を作り入れて収納しました。

   @11/19
     ・玄関と浴室の目隠しネットを収納
       夏季の暑さ対策のため人通りがあってもサッシを開けられるよう
      サッシ格子に絡ませ設置していた目隠しネットを外し収納しました。

     ・メダカ水槽にビニール温室設置
       寒くなって来たので寒さに弱いメダカのためにビニール温室を組
      立て濡れ縁に置いている60Cm水槽に被せました。

     ・クリップライトの電球をLED電球に交換
       配線替え等を行う時にテレビの背面を照らすために使っている
      クリップライトの電球を40Wの白熱灯からLED電球に交換しま
      した。消費電力が40Wから5.8Wになり、34.2Wの節電が
      できました。

   @11/21
     ・充電器の待機電力をカット
       冷風扇・アンカ等の消費電力を計るワットメーターが何も使用し
      ていないはずなのに日に10Whも消費していることに気付きまし
      た。それで繋がっている電源コードを一つ一つ辿って見たら1つの
      4個口テーブルタップに電池用の充電器が繋がっていることが分か
      りました。ワットメーターをワット(W)測定モードに切り替えて
      指針を見たらやはり電力を喰っていました。対策としてスイッチ付
      2口タップを介して充電器を接続するようにしたところ、以後、日
      に0Whになりました(またついでに充電器の電源を無計測のコン
      セントから取るよう変更しました)。これを切っ掛けに他の系統に
      接続しているデシカメ用充電器についても普段はテーブルタップの
      スイッチをOFFにしておくようにしました。
       充電器の消費電力は僅かですが、日に10Whは月に300Wh、
      年間には3650Whにもなりますから馬鹿にできません。充電し
      ていない時は電源プラグを抜くかスイッチ付のタップかテーブルタ
      ップに刺してスイッチをOFFにしておいた方が良いことが分りま
      した。

   @11/25
     ・寒さ対策のため猫用自動開閉扉を設置
       寒さ対策のため昨年12月に製作したDK←→洗面所間の自動
      開閉扉を設置しました。ペットの猫ちゃんのハウスはDKの床の
      洗面所に通じる引き戸の近くに置いていますが、冬季は寒いので
      引き戸は閉めるようになります。ところが引き戸を閉めると洗面所
      の洗面化粧台の脇に置いている猫用トイレに猫ちゃんが行けなくな
      ってしまいます。DKに人がいれば開けてやることはできますが、
      一々面倒ですし、DKに人がいない場合は開けてやることができま
      せん。このままでは寒さ対策と猫ちゃんの自由が両立しません。こ
      れを解決するために作ったのが自動開閉扉付のボードでした。
       昨年作ったこのボードを引き戸の端と柱の間に戸をはめ込む要領
      で設置しました。垂れ下がった扉には透明な窓が付いていて向こう
      側が見えます。それで猫ちゃんは頭を少し下げる格好をしてオデコ
      で扉を押します。すると扉が向こう側に持ち上がり通れるようにな
      ります。通り終わると扉は自重で下がり自動的に閉まります。猫ち
      ゃんがトイレから帰って来る時もこれと同じ要領で扉を開けて入っ
      て来ることができます。
       自作ハウスの出入り口にもこれと同じ方式の扉を付けていて猫ち
      ゃんが日に何度も出入りしていて慣れているのでスムースに導入す
      ることができました。扉に透明な窓を付けておくと行き先が見える
      ので覚え易くなります。その方が人猫共に便利ですし。(^_^;)

      注)引き戸とボードは連結させていて、引き戸を開けるとボードも
        引っ張られて一緒に動き開きます。閉める時もボードの取っ手
        を持って閉めると引き戸も引っ張られて閉まります。それで人
        の通行にも不便はありません。

   @11/25〜29
     ・自室配電盤の機器の増設・交換
       自室配電盤とは、自室で使っている機器の消費電力を把握するた
      め電源コンセントやワットメーターや電源タップを1枚の板の上に
      取付け、板を石膏ボードの壁に固定したもののことです。これまで
      4個の露出コンセントと4台のワットメーターと4個の4個口タッ
      プを取付けて使って来ましたが、この程、次のような機器の増設・
      交換を行いました。

      ◇タップの抜け止めコンセント化
        これまで測定対象の機器の電源コードの長さが十分でなかった
       り、タップが機器より高い位置にあるためコードの重みで電源プ
       ラグが抜けてしまうというトラブルが度々ありました。また電源
       コードが他のコードと絡み合い何かの拍子に引っ張られて抜けて
       しまうこともありました。更にPCのように使用中に電源プラグ
       が抜けてしまうと致命的な損傷を受ける可能性のある機器もあり
       ます。またブルーレイレコーダーのように大事な予約録画が実行
       できなくなるというトラブルも起こり得ます。更に回線終端装置
       やルーターの場合は電話が通じなくなったり、インターネットと
       通信できなくなるトラブルも起こります。原発の電源喪失程深刻
       なトラブルにはなりませんが、電源が切れるとこのように様々な
       トラブルが起こります。だから電源は重要なので電源プラグが誤
       って抜けないよう抜け止め機構の付いたタップに交換することに
       しました。
       
      ◇AV機器用6個口タップ新設
        AV機器も機器数が多くこれまではTVラックの後側で床に落
       とした複数のテーブルタップを使って蛸足配線していましたが、
       何がどこに繋がっているのか分らなくなる程ゴチャゴチャになっ
       ていました。それで仕舞ってあった6個口タップを出して壁に固
       定し、電源を配電盤のAV機器用抜け止めタップから取り、各
       AV機器の電源をここから取るようにすることで整理しました。

      注)サブウーハーの待機電力カット用の連動タップはこれのすぐ下
        に取り付けています。

      ◇ブルーレイレコーダー用のワットメーター新設
        ブルーレイレコーダーはこれまで無計測のコンセントに刺して
       使用して来ましたが、ワットメーターで計って見たら1日数百W
       h位と馬鹿にできない値になっていることが分ったので、今後の
       節電の参考にするため常時測定することにしました。これまでは
       用途別電力使用量の「その他」にカウントされていたものです。

       これに伴い配電盤上の機器構成は次のように変わりました。

   +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
   |機器の種別|    変 更 前     |   変 更 後  |
   +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
   |コンセント|スイッチ+抜け止めコンセント|抜け止めコンセント |
   | 個 数 |      4個      |    5個    |
   +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
   | ワット |    ワットメーター   |  ワットメーター |
   |メーター |      4台      |    5台    |
   +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+
   | タップ |    4個口タップ    |4個口抜け止めタップ|
   | 個 数 |      4個      |    5個    |
   +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+

   @11/26
     ・ペダルペールを角型15Lに切替え
       8月22日から丸型12Lに切替えていたペダルペールを今回は
      更に角型15Lに切替えました。理由は毎回同じです。レジ袋(中
      )がなくなってしまったからです。前回は3月25日まで使ってい
      てあれから8カ月が経ち、レジ袋(大)が引き出しの開け閉めがで
      きなくなる程溜っていたのでちょうど良いタイミングでした。
       このペダルペールになると可燃ゴミの収集日が来てもまだ余裕が
      ある場合が良くあります。半量など余り余裕がある場合は出さずに
      次回の収集日に出すようにしています。次の収集日が来る前に満杯
      になったとしてもゴミ袋一つ位邪魔にならなずに置ける場所はあり
      ますから。

   @11/28
     ・屋根上遮光ネットの収納
       我が家で最大規模の屋根上遮光ネットを外し収納しました。2階
      の屋根の上での作業なので安全ベルトを流用した命綱を使っての作
      業となりました。昨年は6枚それぞれの遮光ネットの一端を外し丸
      めてパイプ枠に紐で縛って固定していました。ところが大雪が降り
      雪が屋根を滑り降り丸めた遮光ネットの手前に溜って重みでパイプ
      枠の継ぎ目が2箇所で外れ垂れ下がるというトラブルがあったので
      今年は対策しました。
       南1+2番と北1+2番については完全にパイプ枠から外して丸
      めて紐で縛って太陽熱温水器の架台の下に固定しました。中央東と
      中央西と中央真ん中については架台足側はリングランナーに付けた
      ままにし、パイプ枠側は外して丸めて架台足に紐で固定しました。
      これにより積もる雪が降っても遮光ネットに重みが掛かることはな
      くなり、またパイプ枠にも重みが掛からず破損することはなくなる
      見込みです。瓦とパイプ枠の間にはかなりのすき間があるので積も
      った雪が滑り降りてもパイプ枠を破損させる程の雪の塊ができるこ
      とはないと見込んでいます。仮にまた破損するようなことがあれば
      更にまた対策するだけです。

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    11月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 	日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
          前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                      0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がなく、内風呂を立てられる日がありませんでした。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが1回、妻一人で行ったのが4
   回、妻と二人で行ったのが5回でした。つまり1カ月で私は6回、妻は
   9回行ったことになります。衛生上問題があったのは私だけでした。私
   が行った回数が少なかったのは前項の「CO2削減関連の取り組み」で忙
   しかったからです。

    注1)ガスの11月度とは今年は10月23日から11月22日の30
       日間でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)行数不足のためカット

    注3)行数不足のためカット

    注4)行数不足のためカット

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    11月度の15台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        25410  15.88
    PC関係       29070  18.17
    水槽         27990  17.49
    46V液晶       7950   4.97
    AV機器        7890   4.93
    オーブンレンジ     5650   3.53
    オーブルトースター等  5970   3.73
    炊飯器等        2090   1.30
    天井換気扇        760   0.48
    妻コンセント      1420   0.89
    洗濯機等         570   0.36
    冷風扇アンカ等      290   0.18
    DKテーブルコンセント    0   0.00
    25Cm換気扇壁掛扇	   0   0.00
    屋根裏換気扇         0   0.00
    その他        44940  28.09
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        160000 100.00

    注1)電気の11月度とは今年は10月30日から11月29日の30日間
       でした。東京電力の検針日に合わせています。

    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット15台の合計を
       差し引いて求めています。

    DKの46インチLED液晶(「46V液晶」)は、今月も節電に貢献
   しています。旧32インチ非LED液晶だった昨年11月が17070
   Wh(使用日数同一なので無換算。以後省略)だったものが、今月は
   7950Whと53.4%も少なくなりました。
    「AV機器」は、旧26インチ非LED液晶と旧46インチ非LED液
   晶の2台体制だった昨年11月が15970Whだったものが、32イン
   チLED液晶と46インチLED液晶の新2台体制の今月は7890Wh
   と50.6%も少なくなりました。
    そして5月17日に導入した省エネNO.1冷蔵庫は、旧冷蔵庫だった
   昨年11月が46110Whだったものが、今月は25410Whと
   44.9%も少なくなりました。更に季節が進み気温が下がって来たので
   節電率は先月の48.0%よりも小さくなりましたが。

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標213KWhのところ実績160KWhと目標より大幅に削
   減できました。削減された電力量53KWhに対しての寄与率は、冷蔵庫
   が20.7KWhで25.6%、DKの46インチLED液晶が9.1K
   Whで17.2%、自室32インチLED液晶と46インチLED液晶が
   8.1KWhで15.2%、その他が12.1KWhで22.9%でした。
   今月も24時間動き続ける冷蔵庫が1位になりましたが、率としては
   25.6%と先月の37.4%よりは下がりました。
    それからその他が22.9%も寄与した原因は照明をLED化したから
   です。6月に自室のネオボール4個のシーリングライトをLED電球に交
   換したこと。スポットライトやクリップライトもネオボールからLED電
   球に交換したこと。トイレの照明を40Wの白熱灯から6.3WのLED
   照明に交換したこと。7月にDKの20W蛍光灯6本のシーリングライト
   をLEDシーリングライト(全灯で57Wを25%に絞って使用)に交換
   したこと。これらが貢献しました。

          −−使用電力量(Wh)−  削減電力量   削減率
           今 月   昨年11月   (Wh)   (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫   25410  46110  20700  25.6
    46V液晶  7950  17070   9120  17.2
    AV機器   7890  15970   8080  15.2
    その他   72930  85060  12130  22.9

    年初からの累計で見ても目標2570KWhのところ実績2138KW
   hに収まり、達成率120.21%と先月より更に大きな余裕を持って目
   標をクリアーすることができました。

    注1)上表の「その他」の今月の使用電力量は、「★今月の用途別電力
       使用量」の「その他」と「水槽」を加えた値です。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標3m3のところ実績も2m3と目標より削減できました。
    年初からの累計でも目標36m3のところ実績26m3と目標より大幅に
   削減でき、達成率138.46%で目標をクリアーすることができました。

  ★水道の削減実績

    水道は偶数月以外は検針がないので今月は実績がありません。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標27.48Kgのところ実績
   20.48Kgと目標より大幅に削減できました。
    年初からの累計でも目標344.40Kgのところ実績287.12
   Kgと目標より大幅に削減でき、達成率119.95%と先月より更に
   大きな余裕を持って目標をクリアーすることができました。


   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                     |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                       |
*--------------------------------------------------------------------*
以下、行数不足のためカット




#1011/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/04/26  18:44  (153)
◎2013年12月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 そして今年2013年はいよいよ省エネ冷蔵庫を導入します。機器の買い替え
による省エネとしてはこれまでで最大の省エネ量になることが見込まれます。
またプチ太陽光発電の導入も検討しており、電力の一部を自然エネルギーで賄う
試みも始めます。これを元に以後、ソーラーパネル等の機器の増設を進めて行け
ばCO2 の削減を飛躍的に進めて行くことが可能になります。
 それで今年の削減目標ですが、省エネ冷蔵庫の導入時期が未定ですし、省エネ
効果も実際に使用して見ないと分らないので数値化できません。このため昨年、
2012年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしました。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2012年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減目標 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2792x0.12= 335.04Kg
  (2) ガス=  38x0.64=  24.32Kg
  (3) 水道=  98x0.16=  15.68Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2013年のCO2 排出目標 375.04Kg(炭素換算)
             (削減率 65.46%)

そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1012/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/04/26  18:45  (457)
◎2013年12月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −48.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
    累  246    450    661    847   1090   1305   1577   1850   2114   2357   25
70   2792   2792
  (CO2)  29.52  54.00  79.32 101.64 130.80 156.60 189.24 222.00 253.68 282.84 3
08.40 335.04 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978   21
38   2289   2289
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36 2
56.56 274.68 274.68
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率103.80  99.56 102.32  98.37 103.42 106.53 110.36 114.06 116.67 119.16 1
20.21 121.97 121.97
                                                                               
             ^^^^^^

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −93.8%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
    累    6     10     13     16     20     23     26     28     30     33     
36     38     38
  (CO2)   3.84   6.40   8.32  10.24  12.80  14.72  16.64  17.92  19.20  21.12  
23.04  24.32  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
26     29     29
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
16.64  18.56  18.56 
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率120.00 125.00 118.18 123.08 133.33 135.29 136.84 140.00 136.36 137.50 1
38.46 131.03 131.03
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −59.5%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
    累    -     14      -     28      -     38      -     58      -     81     
 -     98     98  
  (CO2)   -      2.24   -      4.48   -      6.08   -      9.28   -     12.96  
 -     15.68  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -    102    102   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -     16.32  16.32
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率000.00  87.50   -     84.85   -     76.00   -     84.06   -     93.10  
 -     96.08  96.08
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −65.46%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28 652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32 589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60 509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96 467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28 455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72 477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72 457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64 457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40 443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72 412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36 392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  目標   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64 375.04
    累   33.36  62.64  89.88 116.36 148.08 177.40 211.96 249.20 282.16 316.92 3
44.40 375.04 375.04
  実績   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44 309.56
  累計   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64 2
87.12 309.56 309.56
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率105.44 101.16 103.17  99.52 104.75 106.94 110.60 114.06 116.33 118.86 1
19.95 121.15 121.15
                                                                               
             ^^^^^^
注)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の水
  道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用量は
  0とします。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1013/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/04/26  18:50  (459)
◎2013年12月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         14/04/26 19:03 修正 第2版

4.2013年CO2年間削減実績

       年    電気    ガス   水道       CO2
           KWh    m3    m3        Kg     基
排出実績 1990 5468  611   242   1085.92 ←準
削減実績 1999 5270  532  233  1010.16  年
削減実績 2000 3845  476  220   801.24
削減実績 2001 3622  290  200   652.24
削減実績 2002 3341  249  183   589.56
削減実績 2003 2984  200  149   509.92
削減実績 2004 2951  145  127   467.24
削減実績 2005 2902  137  123   455.60
削減実績 2006 3030  148  121   477.68
削減実績 2007 2887  143  121   457.32
削減実績 2008 2917  140  111   457.40
削減実績 2009 2861  126  123   443.64
削減実績 2010 2981   57  116   412.76
削減実績 2011 2905   42  105   392.28
削減実績 2012 2792   38   98   375.04

削減目標 2013 2792   38   98   375.04
削減率%    −48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

削減実績 2013 2289   29  102   309.56
削減率%    −58.1 −95.3 −57.9 −71.49%

   注)「削減率%」とは1990年比の削減率のことです。

5.考察

  ◎制度が再生可能エネルギーが普及するようにできていません

    一般家庭で最も身近な太陽光発電で見ると、補助金は2012年で70
   万円位あったものが2013年から廃止または大幅減額され、売電単価も
   42円から38円に引き下げられました。太陽光パネルが安くなったから
   という理由で。しかし、現状のコストは一般家庭が気軽に導入できる程安
   くなっていませんし、国・都道府県・区市町村の補助金はこれを補える程
   の額にはなっていません。これらの補助金の合計額が十数万円にしかなら
   ず、太陽光パネルの導入は家計の重い負担となります。裕福で大きな邸宅
   の太陽光発電設備導入はプラスになりますが、庶民の住む住宅ではプラス
   にはなりません。それに十数年に一度位メンテ費用が掛かったり、パネル
   自体の寿命も25年位しかないので、一生に二、三度買い替えなければな
   りませんからまったくメリットになりません。
    太陽光パネルの導入は社会(地球)貢献になることですからもっと思い
   切った制度に改めるべきです。フィリピンの巨大台風来襲による莫大な被
   害もそうですが、最近の日本でも伊豆大島の土砂災害、ついこの間の大雪
   による農家の被害も甚大でした。単に経済効率を追求するだけでは立ち行
   かなくなるところまで異常気象が悪化しています。そしてこれらの被害に
   よる影響は結局は我々一般国民にも回って来るわけで、地域や一国の問題
   ではないグローバルで深刻な問題にまで発展しました。だからこそ思い切
   った対策が必要です。事の重大さに見合った政府予算の支出が必要であり、
   CO2排出者でもある我々一般国民の削減努力や排出量に見合った経済的
   負担も必要不可欠です。
    家と屋根さえあれば導入した方が経済的メリットになるもっと思い切っ
   た制度に改めるべきです。最善の努力もしないまま国民の安心・安全を脅
   かす原発を再稼働させるべきではありません。「先行きどうなるか分らな
   いから脱原発の時期は明示できない」ではなく、「先に目標と実現時期を
   決め、次にそれを可能にする政策を立案する」という能動的・積極的なア
   プローチが必要です。そうでなければ改革はできませんし、国や世界を救
   うことはできません。まず、どこへ行くのか、どの方向に進むのかを決め
   ことが重要です。
    国民の安心・安全を犠牲にしてでも目先の利益を追求するため原発を使
   い続けるのか、それとも国民の安心・安全が最も重要だから万難を排して
   脱原発を目指すのか。重要なものを優先させるのが真っ当な考え方です。
   原発は目先の利益にはなったとしても長期的には莫大な不利益・災難を被
   る可能性が大きいです。安全・確実な道を選択すべきです。
    これをまず決め、それから実現時期を明確に示すべきです。そうでなけ
   れば流されどこへ行くのか分らなくなります。だから制度改革が遅れ再生
   可能エネルギーの普及も進まないのです。

   P.S.我が家の電気の検針票を見ると売電に当てられる「再エネ発電賦
       課金等」はたった数十円です。随分ささやかな金額です。地球環
       境がここまで悪化しているのにたったこれだけの負担とは。

       我が家でも太陽光発電の導入を真剣に検討したのですが、屋根に
       は穴が空けられるし、社会的貢献になるのに経済的にマイナスに
       なるので契約の一歩手前になり導入を取り止めました。それでこ
       のような記事を書くことになりました。

  ◎グリーンシティー=ポートランド

    オレゴン州ポートランド市は福岡市程の面積に60万人が住むこの街に
   はいたるところに公園や街路樹が整備され全米で最もグリーンな街と呼ば
   れています。そんなポートランド市でもかつては大規模な都市開発が進め
   られていました。1970年代のポートランド市は他のアメリカの都市と
   同様に急激な都市化により自然が減り大気や河川が汚染され住み難い街に
   なってしまいました。そこでポートランド市民は「グリーンシティー」を
   目指しました。
    世界の石油の25パーセントを消費するアメリカではその3分の1が人
   や物の輸送に使われていて、内、食糧は平均して2000キロも離れたと
   ころから運ばれています。都市を小さく保ち、近くのエネルギーや水・食
   料を利用した方が環境にも良く健康的な上、コストも抑えることができま
   す。ポートランド市では徹底して自動車の利用を抑えることで1993年
   から二酸化炭素を22パーセントも削減したということです。
    アメリカのエネルギー学者=エイモリー・ロビンス博士は言っています。
   この問題を解決するには人類が自らの意思で化石燃料の使用を断ち切るよ
   りありません。化石燃料に頼らない社会を創るには一極集中の巨大都市で
   ない小規模・分散型の社会モデルにするのが良いのです、と。

   @自動車中心だった都市に路面電車を拡充
     市の中心部には路面電車の停留所が数百メートルごとに設けられてい
    ます。一日の平均利用者は12万人以上で運賃は二時間乗り降り自由で
    約250円となっています。これにより自動車の利用を大幅に減らし、
    排気ガスや二酸化炭素の排出も大幅に減らしました。

   @自転車の利用拡大
     平地が多い市街の道路の大部分に自転車専用レーンを整備。公共交通
    機関には自転車を置くための専用ラックが整備され自転車ごと乗り込む
    ことができます。自転車スタンドには無料で使える工具が備えられてい
    ます。自転車を利用しやすくする様々な工夫がされ、今では市民の10
    人に1人が自転車通勤をするまでになりました。

   @食材の地産地消による自動車利用の削減
     週に5日、市内の各地で地元で取れた食材を直売する「アーマーズマ
    ーケット」が開かれます。地元の食材を地元で消費することで無駄な輸
    送を減らし、自動車の利用と二酸化炭素を減らしました。

   @行き過ぎた開発を抑える「都市成長境界線制度」
     持続可能な社会を目指すには私たちの欲望を膨張させないようにする
    必要があります。ポートランド市では行き過ぎた開発を抑えるために、
    1973年に「都市成長境界線制度」を制定しました。成長境界線を5
    年ごとに定め、その外側は原則として新たな開発を禁止、その代わり境
    界線内の土地を効率良く利用し地域経済や公共サービスを充実させます。
    これにより市の中心部に商業地域と居住地を集中させ便利で暮らし易い
    街を作ることができます。一方、境界線の外側では開発を一切禁止して
    いるため都市の膨張を防ぐことができます。そして都市のすぐ近くに人
    々が楽しめる豊かな自然を維持し、食料を生産する農地も十分に確保で
    きます。

   @市民の声を直接政治に反映させる「シティー・コミッション制」
     毎週1回、市民団体の代表と市長と選挙で選ばれたコミッショナー(
    市民委員)と呼ばれる4人の委員で会議が開かれます。この5人で市議
    会と市政府の代表の役割が担われます。市民からの提案を受け5人だけ
    で議決を行うため素早く政策が決定されます。5人は医療・経済などそ
    れぞれ担当が割り当てられていて政策を速やかに実行に移します。
     シティー・コミッション制は、市民の積極的な政治参加があって初め
    て成り立ちます。市民たちは地区ごとに近隣組合と呼ばれるグループを
    作っています。自主的に会合を開いて意見をまとめ市に提案します。市
    は近隣組合の意見を聞くことが義務付けられています。
     ポートランド市でこの画期的な「グリーンシティー」が実現できたの
    も、この「シティー・コミッション制」あってのことでした。

   注)この「グリーンシティー=ポートランド」の記事は次のテレビ番組の
     放映内容に基づき書きました。

     NHK国際共同制作「スペースシップアースの未来」
     第4回 「新たな海図」を求めて

  ★12月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @12/02
     ・屋根裏の換気口を塞ぐ
       屋根裏の西壁に間隔を空けて設けた3つの換気口にステンレス・
      キャップを被せることで塞ぎました。後、屋根裏換気扇に木製蓋を
      被せました。暑くなくなったもっと早い時期に実施しても悪くはな
      いのですが、いよいよ寒くなりこれ以上放置すると省エネにとって
      マイナスになると判断し実施しました。作業着に着替えなければな
      らないので面倒ということもあり、ギリギリまで先延ばししていた
      という事情もあります。

   @12/06
     ・自室配電盤にBDレコーダー用コンセント増設
       この作業は11月度の報告書の「@11/25〜29 自室配電
      盤の機器の増設・交換」の「◇ブルーレイレコーダー用のワットメ
      ーター新設」で既に実施済みであるかのように書きましたが、実際
      にはそうではありません。12/1にこれまで無計測のコンセント
      から取っていたBDレコーダーの電源をAV機器のコンセントに繋
      ぎ替え消費電力を計って見たら、待機時2台で13.6Wにもなっ
      ていることが分かり驚きました。これが切っ掛けとなりBDレコー
      ダーの消費電力を常時測定することを思い立ちました。その後、抜
      け止めコンセント等の手配を行い、12/6に配電盤にコンセント
      の増設を行いました。ワットメーターはDKの25Cm換気扇壁掛
      け扇用のものを外して使用しました。(DKテーブルコンセント用
      ワットメーターが壁掛け扇用と共用できるので)

   @12/11
     ・DKに自作ダイニングコタツを設置する
       ダイニングコタツ布団を押し入れから出しベランダで干し、夕方
      DKにダイニングコタツを設置しました。自作サブテーブルはダイ
      ニングテーブルの下に常時置いているので、これにダイニングコタ
      ツ布団を掛ければ出来上がりです。いえ、この後、各椅子の前以外
      の3つの側面に化粧ベニヤで作った暖気逃げ防止板をネジ止めする
      作業も行いました。後は熱源の大判ソフトアンカをテーブル下に置
      き、45Cm角のホットマットを妻の椅子に置けば設置完了です。

   @12/12
     ・照明をLEDに交換@

      ◇2階廊下の白熱灯40W  →40W相当のLED電球7.6W
      ◇階段エコクールランプ5W →40W相当のLED電球7.6W
       *交換前の電球は冷陰極管という特殊な電球で点けてから明るく
        なるまで時間が掛りまた明るさが足りないので交換しました。
      ◇玄関内のネオボール12W →40W相当のLED電球7.6W

   @12/13
     ・照明をLEDに交換A
      ◇居間の蛍光灯20Wx3本 →LEDシーリングライト34W
      ◇玄関灯の白熱灯40W   →40W相当のLED電球7.6W

   @12/14
     ・DKのダイニングコタツ下に1畳ジュータン敷く
       12/11のダイニングコタツ設置は取りあえず間に合わせに行
      ったもので、正式にはダイニングコタツ下の床に1畳のジュータン
      を敷く作業が残っていたので実施しました。フローリングに掃除機
      掛けしてから雑巾掛けし、それから1畳ジュータンを敷き両面テー
      プで固定しました。

   @12/17
     ・PC使用時の足温器(定格40W)使用開始
     ・就寝時のソフトアンカ(定格21W)使用開始

   @12/24
     ・BDレコーダーの電源を切り省エネ
       BDレコーダーは省エネ設定していても待機電力を数W消費し、
      1日で百数十Wh消費することが分ったので、2台の内の余り使用
      していない1台は普段は電源を切っておくようにしました。スイッ
      チを取付けて電源プラグを抜かなくてもワンタッチで切れるように
      しました。下記が対策前後の消費電力量です。

        月 日  消費電力量(Wh)
       12/07  310−+
       12/08  500 |
       12/09  410 |
       12/10  350 |
       12/11  370 +− 2台の合計3870KWh
       12/12  360 |   平均16.1W
       12/13  360 |
       12/14  390 |
       12/15  430 |
       12/16  390−+
       −−−−−−−−−−−−− 1台の電源をOFF
       12/17  240−+      |
       12/18  240 |      ↓
       12/19  250 |
       12/20  300 |
       12/21  240 |
       12/22  310 +− 1台の合計2860KWh
       12/23  270 |   平均10.8W
       12/24  180 |
       12/25  320 |
       12/26  260 |
       12/27  250−+

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    12月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 	日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
          前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                      0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がなく、内風呂を立てられる日がありませんでした。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが2回、妻一人で行ったのが4
   回、妻と二人で行ったのが2回でした。つまり1カ月で私は4回、妻は
   6回行ったことになります。衛生上問題がありました。

    注1)ガスの12月度とは今年は11月22日から12月20日の28
       日間でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は

       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    12月度の16台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    PC関係       26600  17.62
    水槽         26170  17.33
    冷蔵庫        22950  15.20
    46V液晶       8500   5.63
    BDレコーダー     9086   6.02 注3
    オーブルトースター等  6100   4.04
    オーブンレンジ     5890   3.90
    炊飯器等        2860   1.89
    AV機器        6820   4.52 注4
    妻コンセント      1400   0.93
    DKテーブルコンセント 1270   0.84
    冷風扇アンカ等     1200   0.79
    洗濯機等         770   0.51
    天井換気扇        430   0.28
    25Cm換気扇壁掛扇	   0   0.00
    屋根裏換気扇         0   0.00
    その他        30954  20.50
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        151000 100.00

    注1)電気の12月度とは今年は11月29日から12月27日の28
       日間でした。東京電力の検針日に合わせています。

    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット16台の合計を
       差し引いて求めています。

    注3)「BDレコーダー」は12月7日から測定を始め21日間で
       6730KWhを28日間に換算した値です。

    注4)「AV機器」は11月30日から間違って2台のテレビ等の測定
       を行っていなかったので推計値を載せました。

    DKの46インチLED液晶(「46V液晶」)は、今月も節電に貢献
   しています。旧32インチ非LED液晶だった昨年12月が18905
   Wh(29日間19580Whの28日換算)だったものが、今月は
   8500Whと55.0%も少なくなりました。(昨年12月21日購入
   なので22日〜28日は新テレビを使用していたわけで、実際の削減率は
   これより大きくなります)
    「AV機器」は、旧26インチ非LED液晶と旧46インチ非LED液
   晶の2台体制だった昨年12月が8381Wh(29日間8680Whの
   28日換算)だったものが、32インチLED液晶と46インチLED液
   晶の新2台体制の今月は6820Whと18.6%少なくなりました。削
   減率が余り大きくならないのは、昨年12月1日〜17日はDKのフロー
   リング張替え工事をDIYしていたので自分の部屋では余りテレビを見な
   かったからだと思います。
    そして5月17日に導入した省エネNO.1冷蔵庫は、旧冷蔵庫だった
   昨年12月が38157Wh29日間39520Whの28日換算)だっ
   たものが、今月は22950Whと39.9%も少なくなりました。更に
   気温が低い季節となり節電率は先月の44.9%よりも小さくなりました
   が。

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標222KWhのところ実績151Whと目標より大幅に削減
   できました。削減された電力量71KWhに対しての寄与率は、冷蔵庫
   が15.2KWhで21.4%、DKの46インチLED液晶が10.4
   KWhで14.7%、自室32インチLED液晶と46インチLED液晶が
   1.6KWhで2.2%、その他が46.6KWhで65.6%でした。
   今月も24時間動き続ける冷蔵庫が1位になりましたが、率としては
   21.4%と先月の25.6%よりは下がりました。それからその他の
   寄与率が65.6%と飛び抜けて大きくなった原因は、昨年12月1日〜
   17日にDKのフローリング張替工事を行った際にシーリングライト(蛍
   光灯20Wx6灯を目いっぱい明るくなるよう調光)や手元を照らすスポ
   ットライトを長時間点けていたため電力使用量が特別に大きくなったから
   です。これに加え今年6、7月と今月の各所の照明のLED化で電力使用
   量が大幅に少なくなったからです。

          −−使用電力量(Wh)−  削減電力量   削減率
           今 月   昨年12月   (Wh)   (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫   22950  38157  15207  21.4
    46V液晶  8500  18905  10405  14.7
    AV機器   6820   8381   1561   2.2
    その他   57124 103706  46582  65.6

    年初からの累計では目標2792KWhのところ実績2289KWhに
   収まり、達成率121.97%と余裕を持って今年の年間目標をクリアー
   することができました。

    注1)上表の「その他」の今月の使用電力量は、「★今月の用途別電力
       使用量」の「その他」と「水槽」を加えた値です。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標2m3のところ実績も3m3と今年初めて月の目標をオーバー
   しました。しかし、先月までで10m3の貯金があるので年間では目標内
   です。
    年初からの累計でも目標38m3のところ実績29m3と目標より大幅に
   削減でき、達成率131.03%と大きな余裕を持って年間目標をクリア
   ーすることができました。

  ★水道の削減実績

    水道は目標17m3のところ実績15m3と目標より大幅に削減できまし
   た。
    しかし年初からの累計では目標98m3のところ実績102m3と目標を
   大幅にオーバーし達成率は96.08%でした。これは2、4、6月の目
   標値を異常に使用量が少なかった昨年実績から取ったため、この期間の使
   用量の超過分があるからです。来年は目標値を改めるのでこのようなこと
   はなくなります。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標30.64Kgのところ実績
   22.44Kgと目標より大幅に削減できました。
    年初からの累計でも目標375.04Kgのところ実績309.56
   Kgに収まり、達成率121.15%で大きな余裕を持って年間目標をク
   リアーすることができました。
    これにより1990年レベルからの削減率も目標65.46%のところ
   実績71.49%となり初めて70%を超えました。再生可能エネルギー
   を導入しなくても省エネ性能の良い機器に買い替えたり、冷暖房給湯全廃
   等、ライフスタイルを変えることで70%以上もCO2を削減することが
   できました。
    今年のCO2 削減対策は年初に一度に実施したわけではないので、以後
   新たな対策を何も実施しなくても来年は今年以上に削減が進むことになり
   ます。つまり来年は1990年レベルからの削減率が71.49%より大
   きくなるということです。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                     |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                       |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#1015/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/07/27  15:49  (347)
◎2014年6月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容                                         14/08/07 20:23 修正 第2版

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 昨2013年は、5月に省エネbP冷蔵庫を導入し省エネを飛躍的に前進させ
ました。5月中旬から12月末までの7カ月半で前年の同期間より256KWh
(47.7%)も削減できました。丸1年使用すればもっと削減できるわけで、
買い替えるだけで何も努力せずにこれだけ削減できる家電は他にはありません。
 それから各部屋の液晶テレビをLED液晶テレビに買い替えたことも省エネに
大きく貢献しました。DKの32Vを46Vに、自室の46Vと26Vを46V
と32Vに、妻の26Vを32Vにと合計4台の液晶テレビをLED液晶テレビ
に買い替えることで年間180KWh(42.5%)も削減できました。同様に
丸1年使用すればこれ以上の削減になるわけです。
 その他、照明のLED化等の対策により、年間では2012年に2792KW
hだったものが2013年は2289KWhと503KWh(18.0%)も削
減できました。これは2000年の1425KWh(27.0%)に次ぐ削減量
(率)になります。2000年は冷暖房全廃を始めた年で特別に大きかったので
す。ちなみに最も増加量(率)が大きかったのは1992年の1268KWh(
22.4%)でした。
 そして今年2014年は、昨年までに大きな対策は実施済みなのでこれと言っ
た対策は計画しておりません。日々を暮らしながらまた考えて行きたいと思って
います。今年も昨2013年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしま
した。ただし、昨年途中から実施した削減対策があるので、これ以上何も対策を
実施しなくても今年は昨年以上に削減が進むことになります。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2014年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減実績 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%

2014 削減目標 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2289x0.12= 274.68Kg
  (2) ガス=  29x0.64=  18.56Kg
  (3) 水道= 102x0.16=  16.32Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2014年のCO2 排出目標 309.56Kg(炭素換算)
             (削減率 71.49%)


3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −58.1%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1991  530    465    377    350    339    409    521    619    629    419    4
94    503   5655
 (CO2)  63.60  55.80  45.24  42.00  40.68  49.08  62.52  74.28  75.48  50.28  
59.28  60.36 678.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1992  629    530    511    535    406    407    597    835    715    511    6
49    598   6923
 (CO2)  75.48  63.60  61.32  64.20  48.72  48.84  71.64 100.20  85.80  61.32  
77.88  71.76 830.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1993  690    588    542    589    556    567    562    735    715    572    5
91    605   7312
 (CO2)  82.80  70.56  65.04  70.68  66.72  68.04  67.44  88.20  85.80  68.64  
70.92  72.60 877.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1994  700    711    601    505    467    481    713    914    696    506    5
65    541   7400
 (CO2)  84.00  85.32  72.12  60.60  56.04  57.72  85.56 110.04  83.52  60.72  
67.80  64.92 888.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1995  637    517    475    415    533    477    582    729    558    431    4
51    394   6199
 (CO2)  76.44  62.04  56.88  49.80  63.96  57.24  69.84  87.48  66.96  51.72  
54.12  47.28 743.99
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1996  503    404    432    429    471    422    532    629    539    395    4
20    433   5609
 (CO2)  60.36  48.48  51.84  51.48  56.52  50.64  63.84  75.48  64.68  47.40  
50.40  51.96 673.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1997  524    467    445    453    433    414    633    638    530    401    4
27    407   5772
 (CO2)  62.88  56.04  53.40  54.36  54.36  49.68  75.96  76.56  63.60  48.12  
51.24  48.84 692.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978   21
38   2289   2289
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36 2
56.56 274.68 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  179    167    162    161    167    158                                 
             994
  (CO2)  21.48  20.04  19.44  19.32  20.04  18.96                              
             119.28
    累  179    346    508    669    836    994                                 
             994
  (CO2)  21.48  41.52  60.96  80.28 100.32 119.28                              
             119.28
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率132.40 130.64 127,17 128.70 126.08 123.24                              
             123.24
                                                                               
             ^^^^^^
そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1016/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/07/27  15:50  (447)
◎2014年6月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −95.3%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991  107     83     67     52     41     35     28     26     29     37     
66     76    647
  (CO2)  68.48  53.12  42.88  33.28  26.24  22.40  17.92  16.64  18.56  23.60  
42.24  48.64 414.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992  110     90     78     53     56     46     39     26     32     49     
55     73    707
  (CO2)  70.40  57.60  49.92  33.92  35.84  29.44  24.96  16.64  20.48  31.36  
35.20  46.72 452.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993  128    100     91     57     49     35     31     27     34     61     
19     78    710
  (CO2)  81.92  64.00  58.24  36.48  31.36  22.40  19.84  17.28  21.76  39.04  
12.16  49.92 454.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994  109     89     84     74     58     39     30     22     28     30     
49     73    685
  (CO2)  69.76  56.96  53.76  47.36  37.12  24.96  19.20  14.08  17.92  19.20  
31.36  46.72 438.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995  128     96     82     45     35     30     35     19     29     34     
50     85    668
  (CO2)  81.92  61.44  52.48  28.80  22.40  19.20  22.40  12.16  18.56  21.76  
32.00  54.40 427.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996  126    107     95     68     48     37     29     25     26     31     
44     57    693
  (CO2)  80.64  68.48  60.80  43.52  30.72  23.68  18.56  16.00  16.64  19.84  
28.16  36.48 443.52                                                            
                     
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997  100    107     59     43     39     29     27     30     32     48     
59     96    669
  (CO2)  64.00  68.48  37.76  27.52  24.96  18.56  17.28  19.20  20.48  30.72  
37.76  61.44 428.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
26     29     29
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
16.64  18.56  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    3      4      2      3      2      2                                 
              16
  (CO2)   1.92   2.56   1.28   1.92   1.28   1.28                              
              10.24
    累    3      7      9     12     14     16                                 
              16
  (CO2)   1.92   4.48   5.76   7.68   8.96  10.24                              
              10.24
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率166.67 114.29 122.22 108.33 107.14 106.25                              
             106.25
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −57.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991    -     36      -     43      -     43      -     50      -     42     
 -     63    277
  (CO2)   -      5.76          6.88          6.88          8.00   -      6.72  
 -     10.08  44.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992    -     39      -     59      -     46      -     58      -     52     
 -     59    313
  (CO2)   -      6.24   -      9.44   -      7.36   -      9.28   -      8.32  
 -      9.44  50.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993    -     49      -     40      -     52      -     45      -     55     
 -     39    280
  (CO2)   -      7.84   -      6.40   -      8.32   -      7.20   -      8.80  
 -      6.24  44.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994    -     44      -     45      -     48      -     65      -     47     
 -     51    300
  (CO2)   -      7.04   -      7.20   -      7.68   -     10.40   -      7.52  
 -      8.16  48.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995    -     44      -     55      -     52      -     56      -     51     
 -     49    307
  (CO2)   -      7.04   -      8.80   -      8.32   -      8.96   -      8.16  
 -      7.84  49.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996    -     45      -     43      -     48      -     46      -     48     
 -     46    276
  (CO2)   -      7.20   -      6.88   -      7.68   -      7.36   -      7.68  
 -      7.36  44.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997    -     51      -     44      -     43      -     50      -     50     
 -     56    294
  (CO2)   -      8.16   -      7.04   -      6.88   -      8.00   -      8.00  
 -      8.96  47.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -    102    102   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -     16.32  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     15      -     15      -     17      -             -            
 -            47          
  (CO2)   -      2.40   -      2.40   -      2.72   -             -            
 -             7.52       
    累    -     15      -     30      -     47      -             -            
 -            47          
  (CO2)   -      2.40   -      4.80   -      7.52   -             -            
 -             7.52       
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率  -    106.67   -    110.00   -    106.38   -             -            
 -           106.38
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −71.49%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
--------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60  656.16
  1991  132.08 114.68  88.12  82.16  66.92  78.36  80.44  98.92  94.04  80.60 1
01.52 119.08 1137.00
  1992  145.88 127.44 112.24 107.56  84.56  85.64  76.60 126.12 106.28 101.00 1
13.08 127.92 1333.32
  1993  164.72 142.40 123.28 113.56  98.08  98.76  87.28 123.68 107.56 116.48  
83.08 128.76 1376.64
  1994  153.76 149.32 125.88 115.16  93.16  90.36 104.76 134.52 101.44  87.44  
99.16 119.80 1374.40
  1995  158.36 130.52 109.36  87.40  86.36  84.76  92.24 109.88  85.52  81.64  
86.12 109.52 1220.63
  1996  141.00 124.16 112.64 101.88  87.24  82.00  82.40  98.84  81.32  74.92  
78.56  95.80 1160.76
  1997  126.88 132.68  91.16  88.92  79.32  75.12  93.24 103.76  84.08  86.84  
89.00 119.24 1167.84
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92  677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60  632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28  461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28  652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32  589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60  509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96  467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28  455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72  477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72  457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64  457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40  443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72  412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36  392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64  375.04
  2013   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
  ……………………………………………………………………………………………………
……………………………
  目標   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
    累   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64 2
87.12 309.56  309.56
  実績   23.40  25.00  20.72  23.64  21.32  22.96                              
              137.04
  累計   23.40  48.40  69.12  92.76 114.08 137.04                              
              137.04
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
  達成率135.21 127.93 126.04 126.05 123.91 121.04                              
              121.04
                                                                               
              ^^^^^^
注1)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の
   水道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用
   量は0とします。

注2)2014年の報告書より3の(1)項〜(4)項に1991年から1997年の実績を追
   加しました。 当ボードの1文書の最大行数が500行までであることから
   これまでこの制限を超えないようこれらの掲載を省いていました。ところ
   が2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に分けて掲載す
   るようにしたため行数に余裕ができていて、更に今回、「そのA」の一部
   を「その@」に移すことで制限内に収めることが可能になったため掲載す
   ることにしました。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1017/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/07/27  15:52  (499)
◎2014年6月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         14/08/07 20:28 修正 第3版

4.考察

   時間が取れなく報告書が半年分も溜ってしまいました。2カ月以上前のも
  のは何カ月遅れても同じなので後回しにし、最新の報告書がら書き始めるこ
  とにしました。1〜5月分については追って報告する予定です。

   2013年は前の年より電気を503KWhも削減しましたが、以前にこ
  れ程削減した年があったか調べて見たら2000年にこれを遥かに上回る
  1425KWh削減という記録があることが分りました。何故そのように減
  らせのか2000年の報告書を読み返して見ました。各月の考察からの抜粋
  です。

  2000年1月
                       昨年終盤の取り組みによる成
  果により更に削減できる余地が出てきました。一つは居間のテレビを普段は
  14型を観るようにすることで消費電力の差200Wから1日約1KWhの
  節電ができます。台所のテレビの音声をオーディオアンプ130Wで鳴らし
  ていたのを止めたのは昨年10月からでしたから、これを1年を通して行な
  えば相当の節電ができます。それからガスについては家族全員がダウンジャ
  ケットを着用することで冬季のガスファンヒーターの使用を全廃できるので
  これについても相当なCO2 削減ができます。

  2000年2月
   記録的暖冬の後、2月に入ってからは今度は寒波が襲いこれまた記録的な
  寒さが続きました。世界的に見ても全体的に温暖化傾向が続いていますが、
  今年の日本の冬のように寒暖の差が大きくなったり、大洪水になるところが
  出たり、大干ばつになったり、去年の日本のように台風がまるで来なかった
  り、一方でアメリカでは巨大ハリケーンがあちこちで暴れ回ったり、地球温
  暖化は単に世界の平均気温気を上がるだけでなく、気象現象の激化や異常気
  象をも引き起こし私たちに多大な被害をもたらします。こうして人類の文明
  活動は確実に地球環境を汚染し破壊し続けます。私たちの生活は日に日に便
  利になりますが、それと引き替えに私のたちの生活基盤であるかけがえのな
  い地球環境を破壊し続けています。誰もがこれ以上の物質的便利さ豊かさを
  目指しているわけではないのに、世界は何かに取り付かれているかのように
  それに向かって突進しています。誰もが環境破壊の原因を知りながら日々の
  生活に追われこれまで通りの習慣を続けています。

  2000年3月
   今月に入って順調に春めいて来て暖房の必要のない季節となりました。と
  言っても我が家では今冬から家族全員にダウンジャケットを配り着ることで
  暖房を全廃しましたから、元々暖房はしていませんでしたが、そのダウンジ
  ャケットさえも必要のない季節となりました。

  2000年6月
   先月の報告書で予告しましたように冷蔵庫を買い替えたので今月より電気
  の削減目標をより厳しく書き替えました。その後にまた簡易電力メーターで
  冷蔵庫の消費電力を測定して見たところ、各室の冷え具合を必要最低限に調
  節すれば平均消費電力を90W弱位まで減らせることが分かりました。自動
  製氷機能は真夏以外は必要ないのでOFFにしたり、冷凍室も温度を一番高
  く設定したり、他の室も収納食品の種類や量により最低限の設定にした結果
  です。これにより6月〜12月の電力使用量の目標をその分減らし、CO2
  の排出目標も計算し直しました。この結果、電気の年間削減目標を9.14
  %から12.98%に高めることができました。ここから今年の1990年
  レベルからの削減率を計算し直したところ、これまで13.14%だったも
  のが15.46%に強化できました。

  2000年7月
   今年は7月に入ってからはほとんど雨が降らず、梅雨末期の集中豪雨も降
  らず雷も鳴らならず有耶無耶のまま梅雨明け宣言が出されました。梅雨明け
  後も夏空が続かず湿気の多い不快な毎日が続いています。
   しかし、私のCO2 削減人生にとっては画期的な月となりました。最初は
  「やれるところまで」というつもりで始めたエアコンなし生活が「夏中続け
  る」に変わってしまったからです。20年以上前に窓用クーラーを買って以
  来、毎年当たり前のように続けてきた就寝時の冷房を、地球温暖化と都市の
  ヒートアイランド現象がこれ程進んだこの時期に止めるなど、幾らCO2 削
  減に取り組んで来た私でも夢にも思いませんでした。
   私は睡眠という面では神経質で音や暑さには敏感ですから、最初は恐る恐
  る始めたことです。ここは東京都内なので夏は夜になっても気温が30度以
  上あるのは当たり前で、おまけにここは国道に近いため窓を開けると車の騒
  音が酷く安眠を妨げられます。車のクラクションやパトカーや救急車のサイ
  レン、それから最近は少なくなりましたが暴走族の物凄い爆音。暑い中窓を
  開けて眠っていたらひとたまりもありません。勤め人として夏季の大変な時
  期に責任ある仕事を全うするためには十分な睡眠が必要ですから、これまで
  は就寝時の冷房だけは当たり前のように行なって生活して来ました。今は時
  間が自由になるSOHO生活(自営)だからできたとも言えます。
   でも、ここまでの道程は決して平坦ではありませんでした。一睡もできな
  いまま起きて更に昼の暑さに痛め付けられる苦しい日々もありました。あの
  ような状態が続いていたらこのような無謀な計画は止めていたことでしょう。
  そこから脱することができたのは以外な切っ掛けからでした。6月末に妻が
  会社の慰安旅行から持ち帰った半ダースの缶ビールが切っ掛けでした。4月
  末頃から禁酒をしていた私でしたが、目の前に缶ビールを見せられ思わず飲
  んでしまったのが始まりでした。その時はあるだけ飲んだら止めるつもりで
  いました。ところがビールを飲んだら良く眠れるようになり却って体調が良
  くなったのです。それまでは蒸し暑さと騒音から寝付きが悪くまた早朝から
  目が覚めて睡眠不足気味になっていたところでしたから、その違いと有り難
  さが良く分かりました。健康のために始めた禁酒でしたから意味がなくなり
  ました。それにビールを飲むと食欲が出てそれまで十数分で終わってしまう
  味気ない夕食が楽しくリラックスできるものに変わったのです。
   ビールに大分助けられましたが、それだけで可能になったわけではありま
  せん。エアコンを使わずに涼しく眠れるようにするための工夫が必要でした。
  自分の身体が実験台です。窓を開ければ車の騒音で眠れず、閉めれば暑くて
  眠れないという騒音防御と涼しさが両立しない中で、あるのは天井に付いて
  いるシーリングファンと冷風扇と呼ばれる水の気化熱を利用した一種の扇風
  機だけです。ポイントは冷風扇の使い方にありました。気化熱による冷却能
  力を最大にするためには風が良く通るよう二方向の窓を開けて湿気がこもら
  ないようにする必要があります。何故かと言えば湿度高くなる程水の気化が
  起こり難くなるからです。気化が起こらなければ気化熱もなく冷風扇として
  のメリットもなくなってしまうからです。もう一つのポイントは冷風扇を窓
  際に置いて外気を取り入れられるように使うことです。外気の方が温度が低
  くその上湿度も低いので気化熱がそれだけ多く利用でき冷たい風が送り出せ
  るからです。また窓際に置くと換気扇のような働きをして風通しが良くなる
  からです。
   それから国道に近く車騒音の酷い私の家ではもう一工夫必要でした。私の
  家の場合は国道に近い側の南側のサッシの際に冷風扇を置き布団の敷いてあ
  る部屋の中央に向けて風を吹き出させています。ブラインドは冷風扇のすぐ
  上まで降ろし、カーテンは折り曲げて冷風扇の上に置き重りを乗せていまし
  た。ところが南風が強いとブラインドや揺れてカサカサ音がうるさかったり、
  カーテン共々風圧で膨らんで重りを落としてしまったりするトラブルが起こ
  りました。そこでサッシにはめ込む冷風扇用の枠を作りました。9mmx90
  0mmx1820mmのベニア合板を使って、幅560mm、高さ174Cm の枠
  を作り、この下部に冷風扇の空気取り入れ口に合わせて四角い穴を開けたも
  のを作りました。雨が吹き込むこともあるので白い水性ペンキを塗って仕上
  げました。作った枠を取り付けるのはベランダとの出入口部分なので枠が着
  脱できるよう工夫しました。戸をはめ込む要領で着脱できるように作りまし
  た。
   この冷風扇用枠を使うようにした結果、第一の目的であったブラインドと
  カーテンに対する強風の悪影響もなくなり、また冷風扇とサッシ上端間の開
  口部が塞がれたため、車騒音が軽減され、光も完全に遮断できたため、非常
  に良好な寝室環境が得られました。気温に応じてサッシの開け幅や冷風扇の
  風の強さを調節します。また室温が32度以上もある酷暑の場合には冷風扇
  のタンクに冷蔵庫で作った氷も入れます。しかし、大抵の場合は水だけで済
  みます。
   冷風扇は外気を十分に吸い込み科学の不思議な力を借りてまるでクーラー
  を思わせるような涼しい風を吹き出してくれます。深夜を過ぎて風が少し寒
  く感じる時もありますが、急激に冷えることはないので、側に置いた掛け布
  団を掛ける余裕を与えてくれるので夏風邪を引くようなことはありません。

  2000年8月
   今年は本当に暑い夏でした。8月初旬をピークにそのまま次第に涼しくな
  って行くものと思っていました。ところがその後また暑さがぶり返し、22
  日頃にこの夏の一番の暑さとなり、各電力会社とも史上最大のピーク電力を
  記録しました。世界経済の発展と共にCO2 の排出量は確実に増加し、大気
  中濃度も増加の一途を辿って来たわけですから、夏が次第に暑くなるのは当
  然のことです。毎年夏になると温暖化の進行を実感し改めて「どうにかしな
  いといけない」と、ここ数年ずっと思い続けて来ました。そういう思いがあ
  ったから今夏は就寝時のエアコン使用まで止めるという、とんでもないCO2
  削減対策を実施することになったのだと思います。
   しかし、今年の猛暑も終わりが見えて来ました。幸い夏バテにもならず、
  ここまでやって来られました。工夫と忍耐で暑さを克服できたのです。これ
  は夏の昼の冷房を止め、冬の暖房を全廃したことに続く、最後の我が家の大
  型CO2 排出削減対策でした。そしてこれは以後毎年続けなければならない
  対策です。

  2000年12月
   (前文略)
   それではまず、先月から行なっているビニール手袋着用によりお湯を使わ
  ず食器洗いをするようにした件について補足して置きます。まず、このビニ
  ール手袋は裏毛付きなので手にくっ付かず着脱が容易で、かつ保温性に優れ
  ているというものです。それから手のひら全体に滑り止め加工がされている
  ので、食器洗いがし易いという特長があります。サイズは「男性用厚手Lサ
  イズ」というのを買いました。私が試して見て良ければ女性用Mサイズも買
  えば良いと考えていましたが、家内や娘に聞いて見たところこれで大丈夫だ
  と言うことなので、大は小を兼ねるでこれ一つを皆で使うことにしました。
   それから実は単にビニール手袋を使うようにしただけではなく水道工事も
  行なったのです。給湯用の蛇口があるとつい使ってしまうので、給湯用の蛇
  口のレバーを取り外したのです。これで回せなくなり忘れてうっかりお湯を
  使ってしまう間違いを防げます。この工事は台所の流しの蛇口だけではなく、
  洗面所の混合栓についても行ないました。洗顔や手洗いにも間違ってお湯を
  使うことがないようにしたのです。お湯が使えるのは浴室だけとなりました。
  就床前などに洗顔する場合は浴室で行なうようにしました。
   結局、この件についても、地球温暖化に関心があろうがなかろうが、家族
  の誰もが何も意識をしなくても環境に優しい生活ができるように対策したこ
  とになります。言うまでもなくこれ以外の方法では環境が守れないからです。
   そして今月ですが、また新たなCO2削減対策を実施しました。毎日ガス
  メーターをチェックするようにしたら、ガスの6割以上は入浴によるもので
  あることが分かりました。まず、風呂桶1杯のお湯を沸かすだけで0.7m3
  前後のガスを消費しており、更に家族4人一人一人が追い焚きしたりお湯を
  使いながら入浴することで、1回の入浴で合計大体1.2〜1.8m3位の
  ガスを消費していることが分かりました。お風呂は1日置きに入るので、月
  には15回となり、結局、入浴で消費するガスは全体の6割以上にもなるこ
  とが分かりました。だから、ガスの使用に伴うCO2 を削減するには入浴に
  使うガスを削減しなければならないことが分かりました。そこで次のような
  CO2新削減対策を実施しました。

  ・浴室のシャワーを撤去 ・・・・・ 12月5日実施
    (説明省略)
  ・入浴は2日置きに ・・・・・ 月初から実施
    (説明省略)
    以上の2つの入浴に係る削減対策により冬季のガス使用量が約24%も
   削減できることになります。(下記計算式参照))

                 2
    1.00 − (0.6 x ・・ x 0.9 + 0.4) ≒ 0.24
                 3

   記録的に電力を削減できた2000年とその前年の電気・ガス・水道の使
  用量とCO2 の排出量の集計値です。(月別の値は「その@」を参照)

          | 1999年  | 2000年  |  削減率
   −−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−
   電気(KWh)| 5270   | 3845   |−27.04%
   ガス(m3 ) |  532   |  476   |−10.53%
   水道(m3 ) |  233   |  220   | −5.58%
   −−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−
   CO2(Kg) | 1010.16|  801.24|−20.68%

  ★6月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @6/01
     ・玄関と浴室のサッシ格子に目隠ネット設置【毎年恒例】
        人の目を気にせずに自由にサッシを開けられるようにする為の
       エネルギーを使わない暑さ対策です。

     ・自室エア・コンディショニング【毎年恒例】
        5/4に自室南サッシのガラスを吸気口付塩ビ板に交換し、
       6/7より就寝時にこの吸気口を開けるようにしました。それ
       以前は天井給気口の方を使いました。
        天井ダクトファンは5/3から「弱」で使用するようになり、
       6/21からは風量がより大きい天井排気ファンの方を使用しま
       た。

   @6/04〜・・・
     ・妻の換気扇扇風機を出し組立て【毎年恒例】
     ・冷風扇の改造や自作
        3月頃から昨年購入した中古の冷風扇を改造ないしは自作する
       試みを始めていました。現在市販されている冷風扇はスリムタイ
       プばかりで冷えないので使いものにならないからです。去年まで
       使用して来た冷風扇でも当面は大丈夫ですが、故障した場合や温
       暖化でもっと暑くなった場合にもっと冷える冷風扇が必要になる
       からです。業務用の気化式冷風機というものもありますが、業務
       用なので大き過ぎたり重すぎたり騒音も酷く、おまけに肝心の消
       費電力も大きくなってしまうので購入には至っておりません。自
       作すればこれらのすべての要件に応えられるからです。研究も兼
       ねて自作することにしました。
        従来の改造は水フィルターを自作したものに交換する程度のも
       のでしたが、今回はモーターやファンも交換しました。市販され
       ている換気扇のモーターやファンを流用しました。25Cmや
       30Cmの換気扇です。換気扇扇風機を自作した経験から換気扇
       のモーターはパワーの割りには静かで消費電力が小さいことが分
       っていました。冷風扇のモーターを換気扇のモーターに交換すれ
       ばパワーアップしながら静音化と省エネ化が達成できます。また
       更なる風量アップのため有圧換気扇のモーターやファンも試しま
       した。ところが大きくなり冷風扇のケース内に収まらなくなり
       外側に木枠を追加して取付けることになりました。またモーター
       を交換すると強・中・弱の風量の切替も独自に回路を追加しな
       ければならなくなり、改造の域を超えてしまいました。
        中古の同じ冷風扇を2台購入していて、それぞれ別の方法で
       改造・自作しました。現在、実用試験しながら改良していると
       ころなので、でき上がったら具体的に報告したいと思います。
     ・冷風扇用ルーバーの製作続き
        5/27から作り始めていた冷風扇用ルーバーにキャスターを
       取付け自作冷風扇の前に置くようにしました。この冷風扇はルー
       バー機能が弱く思った方向に十分な風が吹かなかったからです。
     ・冷風扇用ノズルの製作
        それについても冷風扇用ルーバーと同様の意味合いで試作・
       改良しています。

   @6/05
     ・関東甲信北陸梅雨入り

   @6/09
     ・梅雨空の下で家の前の紫陽花が多数色付始める

   @6/10
     ・妻の換気扇扇風機にパワーコントローラー取付け
        妻の20Cm換気扇扇風機にパワーコントローラーを取付ける
       ことで消費電力を通常17.3Wのところ最小5.9Wまで省エ
       ネできるようにしました。
        
       注)パワーコントローラーとは、調光器の一種で換気扇の風量調
         節にも使用できるにした機種を使いました。

   @6/11
     ・DKの換気扇扇風機にパワーコントローラー取付け
        DKの25Cm換気扇壁掛け扇にパワーコントローラーを取付
       けることで消費電力を通常21.5Wのところ最小5.9Wまで
       省エネできるようにしました。

   @6/15
     ・ベランダ東内側遮光カーテンを張る【毎年恒例】
     ・ベランダ西内側遮光カーテンを張る【毎年恒例】
     ・自室の換気扇壁掛け送風機にパワーコントローラー取付け
        自室の20Cm換気扇壁掛け送風機にパワーコントローラーを
       取付けることで消費電力を通常15.4Wのところ最小4.6W
       まで省エネできるようにしました。
     ・自室の換気扇壁掛け扇にパワーコントローラー取付け
        自室の20Cm換気扇壁掛け扇にパワーコントローラーを取付
       けることで消費電力を通常14.0Wのところ最小5.3Wまで
       省エネできるようにしました。

   @6/29
     ・C847マシンへの移行を進めてきましたが・・・
        WindowsXPのサポートが4月9日で終了すると予告さ
       れていたので、AtomマシンからC847マシンに切り替える
       べく数カ月前から環境整備を行っていました。Atomで日常業
       務を行いながら、少しづつC847の設定を進めていました。
       ところが大方できたところで問題が発覚。USB3.0の外付け
       HDDが認識されないという問題です。Web検索すると同様の
       問題が多くの機種、多くのユーザーの間で起こっていることが分
       りましたが、解決法は見つかりませんでした。私自身も色々調べ
       試しましたが直りませんでした。
        そこで考えました。USB3.0はマザーボードに搭載されて
       いるものではなく、スロットにインタフェースを増設して得たも
       のなので、マザーボードのBIOSが対応していないからではな
       いかと。それでマザーボードメーカーのダウンロードサイトから
       BIOSの最新版をダウンロードしアップデートして見ましたが
       直りませんでした。
        それで仕方なく最新の省エネプロセッサ搭載のマザーボードを
       検索したらJ1900搭載のマザーボードならSATA3.0と
       USB3.0の両方を搭載しているものがあるのでこれを導入す
       ることにしました。結果的にはここ数カ月の膨大な労力は無駄に
       なりましたが、C847で使用していた部品をそのまま使用し、
       買い替えはマザーボードとメモリだけにすることで出費を最低限
       に抑えられるのでこれでよしとしました。
        このマザーボードにはJ1900というクワッドコアで処理が
       速く低消費電力のCPUが搭載されている上に、USB3.0と
       SATA3.0が2ポートも搭載されているので処理時間の短縮
       と省エネに役立ちます。システムHDDがSATA3.0でもバ
       ックアップHDDがSATA2.0では処理時間の短縮にはなり
       ません。バックアップは毎日行うので処理時間の短縮はそのまま
       消費電力の削減に繋がります。1年は365日ですから長い間に
       は大きな違いになります。今月はこれを注文したところで終わり
       になりました。詳細については来月以降に報告する予定です。

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    6月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
         前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    6/16  前 60   −   0 20 新規追焚無 150
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                     0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月は珍しく入浴(内風呂)回数が1回ありました。前回、
   銭湯へ行ってから6日も経っていた上に時間が遅くなり銭湯へ行く時間が
   なかったからです。都合良く天気だったので太陽熱温水器が良いお湯を沢
   山作っていてくれたのでガスを使うことなく良いお風呂に入ることが出来
   ました。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが0回、妻一人で行ったのが1
   回、妻と二人で行ったのが4回でした。つまり内風呂を含めて1カ月では
   私が5回、妻が6回入浴したことになります。ただし、太陽熱温水器があ
   るのでこの他に私が7回、妻が2回シャワー入浴していたので衛生上は問
   題ありませんでした。

    注1)ガスの6月度とは今年は5月23日から6月23日の31日間で
       した。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は
       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    6月度の16台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        33250  21.04
    炊飯器等        2600   1.65
    オーブンレンジ     4440   2.81
    オーブルトースター等  5240   3.32
    25Cm換気扇壁掛扇	 280   0.18
    DKテーブルコンセント    0   0.00
    46V液晶       8010   5.07
    水槽         25230  15.97
    妻コンセント      2240   1.42
    洗濯機等         720   0.46
    PC関係       24580  15.56
    AV機器        6420   4.06
    BDレコーダー    17240  10.91
    冷風扇アンカ等     4320   2.73
    屋根裏換気扇         0   0.00
    天井換気扇       2030   1.28
    その他        21400  13.54
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        158000 100.00

    注1)電気の6月度とは今年は5月30日から6月27日の28日間で
       した。東京電力の検針日に合わせています。

    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット16台の合計を
       差し引いて求めています。

    使用日数が同じ28日間だった昨年6月が171KWhだったものが、
   今年は158KWhに13KWh減りました。原因を調べて見ると「PC
   関係」が4370Wh減り、「冷風扇アンカ等」は逆に3680Wh増え
   ていることが目立ちますが、差引きすると690Wh減っただけになりま
   す。大きく変わっているのは「その他」が53710Whから21400
   Whに32310Whも減っていることですが、これは昨年は「BDレコ
   ーダー」の消費電力は測定していなかったので「その他」にカウントされ
   ていたからです。今年も「BDレコーダー」を「その他」にカウントすれ
   ば今年の「その他」は38640Whに増え、、昨年より15070Wh
   減っただけになります。「その他」以外の合計は117290Whから
   119360Whに2070Wh増えているのに全体では13000Wh
   も減った原因は「その他」にカウントされている各部屋の照明の消費電力
   がLED化により減ったからです。 (下記参照)

     6/4〜10 自室の照明
           クリップライト、スポットライト、シーリングライトの
          合計6本のネオボール(12W)をLED電球(6.2W
          )に交換し合計348Wの節電。ただし影響するのは交換
          前の5月30日〜6月4日または5月30日〜6月10日
          の間だけになります。
     7/24 DKの照明
           蛍光灯20Wx6本からLED照明53Wx0.25に
          106.75Wの節電(普段は明るさ25%で使用)
    12/13 居間の照明
           蛍光灯20Wx3本からLED照明34Wに26Wの
          節電

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標171KWhのところ実績158Whと目標より削減できま
   ました。原因は前項で述べた通りです。
    年初からの累計でも目標1225KWhのところ実績994KWhに収
   まり、達成率123.24%で余裕を持って目標を達成することができま
   した。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標2m3のところ実績も2m3と目標内に収まりました。
    年初からの累計でも目標17m3のところ実績16m3に収まり、達成率
   106.25%で余裕を持って目標を達成することができました。

  ★水道の削減実績

    水道は目標17m3のところ実績もちょうど17m3になり目標を達成で
   きました。
    年初からの累計でも目標50m3のところ実績47m3に収まり、達成率
   106.38%で余裕を持って目標を達成することができました。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標24.52Kgのところ実績
   22.96Kgと目標内に収まりました。
    年初からの累計でも目標165.88Kgのところ実績137.04
   Kgと大幅に減り、達成率121.04%と大きな余裕を持って目標を達
   成することができました。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                     |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                       |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#1018/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/08/07  19:57  (347)
◎2014年7月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容                                         14/08/07 20:24 修正 第2版

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 昨2013年は、5月に省エネbP冷蔵庫を導入し省エネを飛躍的に前進させ
ました。5月中旬から12月末までの7カ月半で前年の同期間より256KWh
(47.7%)も削減できました。丸1年使用すればもっと削減できるわけで、
買い替えるだけで何も努力せずにこれだけ削減できる家電は他にはありません。
 それから各部屋の液晶テレビをLED液晶テレビに買い替えたことも省エネに
大きく貢献しました。DKの32Vを46Vに、自室の46Vと26Vを46V
と32Vに、妻の26Vを32Vにと合計4台の液晶テレビをLED液晶テレビ
に買い替えることで年間180KWh(42.5%)も削減できました。同様に
丸1年使用すればこれ以上の削減になるわけです。
 その他、照明のLED化等の対策により、年間では2012年に2792KW
hだったものが2013年は2289KWhと503KWh(18.0%)も削
減できました。これは2000年の1425KWh(27.0%)に次ぐ削減量
(率)になります。2000年は冷暖房全廃を始めた年で特別に大きかったので
す。ちなみに最も増加量(率)が大きかったのは1992年の1268KWh(
22.4%)でした。
 そして今年2014年は、昨年までに大きな対策は実施済みなのでこれと言っ
た対策は計画しておりません。日々を暮らしながらまた考えて行きたいと思って
います。今年も昨2013年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしま
した。ただし、昨年途中から実施した削減対策があるので、これ以上何も対策を
実施しなくても今年は昨年以上に削減が進むことになります。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2014年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減実績 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%

2014 削減目標 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2289x0.12= 274.68Kg
  (2) ガス=  29x0.64=  18.56Kg
  (3) 水道= 102x0.16=  16.32Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2014年のCO2 排出目標 309.56Kg(炭素換算)
             (削減率 71.49%)


3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −58.1%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1991  530    465    377    350    339    409    521    619    629    419    4
94    503   5655
 (CO2)  63.60  55.80  45.24  42.00  40.68  49.08  62.52  74.28  75.48  50.28  
59.28  60.36 678.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1992  629    530    511    535    406    407    597    835    715    511    6
49    598   6923
 (CO2)  75.48  63.60  61.32  64.20  48.72  48.84  71.64 100.20  85.80  61.32  
77.88  71.76 830.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1993  690    588    542    589    556    567    562    735    715    572    5
91    605   7312
 (CO2)  82.80  70.56  65.04  70.68  66.72  68.04  67.44  88.20  85.80  68.64  
70.92  72.60 877.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1994  700    711    601    505    467    481    713    914    696    506    5
65    541   7400
 (CO2)  84.00  85.32  72.12  60.60  56.04  57.72  85.56 110.04  83.52  60.72  
67.80  64.92 888.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1995  637    517    475    415    533    477    582    729    558    431    4
51    394   6199
 (CO2)  76.44  62.04  56.88  49.80  63.96  57.24  69.84  87.48  66.96  51.72  
54.12  47.28 743.99
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1996  503    404    432    429    471    422    532    629    539    395    4
20    433   5609
 (CO2)  60.36  48.48  51.84  51.48  56.52  50.64  63.84  75.48  64.68  47.40  
50.40  51.96 673.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1997  524    467    445    453    433    414    633    638    530    401    4
27    407   5772
 (CO2)  62.88  56.04  53.40  54.36  54.36  49.68  75.96  76.56  63.60  48.12  
51.24  48.84 692.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978   21
38   2289   2289
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36 2
56.56 274.68 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  179    167    162    161    167    158    192                          
            1186
  (CO2)  21.48  20.04  19.44  19.32  20.04  18.96  23.04                       
             142.32
    累  179    346    508    669    836    994   1186                          
            1186
  (CO2)  21.48  41.52  60.96  80.28 100.32 119.28 142.32                       
             142.32
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率132.40 130.64 127,17 128.70 126.08 123.24 120.49                       
             120.49
                                                                               
             ^^^^^^
そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1019/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/08/07  19:58  (447)
◎2014年7月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −95.3%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991  107     83     67     52     41     35     28     26     29     37     
66     76    647
  (CO2)  68.48  53.12  42.88  33.28  26.24  22.40  17.92  16.64  18.56  23.60  
42.24  48.64 414.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992  110     90     78     53     56     46     39     26     32     49     
55     73    707
  (CO2)  70.40  57.60  49.92  33.92  35.84  29.44  24.96  16.64  20.48  31.36  
35.20  46.72 452.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993  128    100     91     57     49     35     31     27     34     61     
19     78    710
  (CO2)  81.92  64.00  58.24  36.48  31.36  22.40  19.84  17.28  21.76  39.04  
12.16  49.92 454.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994  109     89     84     74     58     39     30     22     28     30     
49     73    685
  (CO2)  69.76  56.96  53.76  47.36  37.12  24.96  19.20  14.08  17.92  19.20  
31.36  46.72 438.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995  128     96     82     45     35     30     35     19     29     34     
50     85    668
  (CO2)  81.92  61.44  52.48  28.80  22.40  19.20  22.40  12.16  18.56  21.76  
32.00  54.40 427.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996  126    107     95     68     48     37     29     25     26     31     
44     57    693
  (CO2)  80.64  68.48  60.80  43.52  30.72  23.68  18.56  16.00  16.64  19.84  
28.16  36.48 443.52                                                            
                     
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997  100    107     59     43     39     29     27     30     32     48     
59     96    669
  (CO2)  64.00  68.48  37.76  27.52  24.96  18.56  17.28  19.20  20.48  30.72  
37.76  61.44 428.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
26     29     29
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
16.64  18.56  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    3      4      2      3      2      2      2                          
              18
  (CO2)   1.92   2.56   1.28   1.92   1.28   1.28   1.28                       
              11.52
    累    3      7      9     12     14     16     18                          
              18
  (CO2)   1.92   4.48   5.76   7.68   8.96  10.24  11.52                       
              11.52
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率166.67 114.29 122.22 108.33 107.14 106.25 105.56                       
             105.56
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −57.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991    -     36      -     43      -     43      -     50      -     42     
 -     63    277
  (CO2)   -      5.76          6.88          6.88          8.00   -      6.72  
 -     10.08  44.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992    -     39      -     59      -     46      -     58      -     52     
 -     59    313
  (CO2)   -      6.24   -      9.44   -      7.36   -      9.28   -      8.32  
 -      9.44  50.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993    -     49      -     40      -     52      -     45      -     55     
 -     39    280
  (CO2)   -      7.84   -      6.40   -      8.32   -      7.20   -      8.80  
 -      6.24  44.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994    -     44      -     45      -     48      -     65      -     47     
 -     51    300
  (CO2)   -      7.04   -      7.20   -      7.68   -     10.40   -      7.52  
 -      8.16  48.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995    -     44      -     55      -     52      -     56      -     51     
 -     49    307
  (CO2)   -      7.04   -      8.80   -      8.32   -      8.96   -      8.16  
 -      7.84  49.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996    -     45      -     43      -     48      -     46      -     48     
 -     46    276
  (CO2)   -      7.20   -      6.88   -      7.68   -      7.36   -      7.68  
 -      7.36  44.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997    -     51      -     44      -     43      -     50      -     50     
 -     56    294
  (CO2)   -      8.16   -      7.04   -      6.88   -      8.00   -      8.00  
 -      8.96  47.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -    102    102   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -     16.32  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     15      -     15      -     17      -             -            
 -            47          
  (CO2)   -      2.40   -      2.40   -      2.72   -             -            
 -             7.52       
    累    -     15      -     30      -     47      -             -            
 -            47          
  (CO2)   -      2.40   -      4.80   -      7.52   -             -            
 -             7.52       
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率  -    106.67   -    110.00   -    106.38   -             -            
 -           106.38
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −71.49%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
--------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60  656.16
  1991  132.08 114.68  88.12  82.16  66.92  78.36  80.44  98.92  94.04  80.60 1
01.52 119.08 1137.00
  1992  145.88 127.44 112.24 107.56  84.56  85.64  76.60 126.12 106.28 101.00 1
13.08 127.92 1333.32
  1993  164.72 142.40 123.28 113.56  98.08  98.76  87.28 123.68 107.56 116.48  
83.08 128.76 1376.64
  1994  153.76 149.32 125.88 115.16  93.16  90.36 104.76 134.52 101.44  87.44  
99.16 119.80 1374.40
  1995  158.36 130.52 109.36  87.40  86.36  84.76  92.24 109.88  85.52  81.64  
86.12 109.52 1220.63
  1996  141.00 124.16 112.64 101.88  87.24  82.00  82.40  98.84  81.32  74.92  
78.56  95.80 1160.76
  1997  126.88 132.68  91.16  88.92  79.32  75.12  93.24 103.76  84.08  86.84  
89.00 119.24 1167.84
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92  677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60  632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28  461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28  652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32  589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60  509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96  467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28  455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72  477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72  457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64  457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40  443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72  412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36  392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64  375.04
  2013   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
  ……………………………………………………………………………………………………
……………………………
  目標   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
    累   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64 2
87.12 309.56  309.56
  実績   23.40  25.00  20.72  23.64  21.32  22.96  24.32                       
              161.36
  累計   23.40  48.40  69.12  92.76 114.08 137.04 161.36                       
              161.36
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
  達成率135.21 127.93 126.04 126.05 123.91 121.04 118.77                       
              118.77
                                                                               
              ^^^^^^
注1)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の
   水道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用
   量は0とします。

注2)2014年の報告書より3の(1)項〜(4)項に1991年から1997年の実績を追
   加しました。 当ボードの1文書の最大行数が500行までであることから
   これまでこの制限を超えないようこれらの掲載を省いていました。ところ
   が2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に分けて掲載す
   るようにしたため行数に余裕ができていて、更に今回、「そのA」の一部
   を「その@」に移すことで制限内に収めることが可能になったため掲載す
   ることにしました。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1020/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/08/07  19:59  (459)
◎2014年7月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         14/08/07 22:59 修正 第2版

4.考察

   私が育った頃は、夏は窓を開け1部屋に家族全員分の布団を敷き、水色や
  緑色の蚊帳を吊って寝ました。そうでなくても風がなくて暑いのに蚊帳の細
  かい目に遮られ尚更風が来なくなり酷く暑かったこを覚えています。真っ黒
  なブリキの羽根の扇風機が1台あり、蚊帳の外からこれを首振りさせて代わ
  る代わる皆に風が行くようにして寝ました。汗びっしょりになり眠れないで
  いると母が私の肩や背中を軽く叩きながら団扇で煽いでくれ、それでどうに
  か眠れました。暑くて暑くて辛い遠い記憶です。
   今の暮らしはこれとは懸け離れています。何もかも便利で良くなり、科学
  技術の力は凄いものだとずっと感嘆しながら生きて来ました。しかし、公害
  問題が出て、更に広域化して環境破壊と呼ばれるようになり、近年では更に
  地球規模の環境破壊とまで言われるようになりました。人類の文明が人類を
  滅ぼそうとしているのです。後先のことを考えずに、企業が利益優先で経済
  活動を活発化させて来た結果です。政治が企業と癒着して役割を果たして来
  なかったからです。人類は未だに解決策を見い出していません。日に日に問
  題が深刻化し、滅亡に向かって突進しているだけです。

  ★7月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @7/01
     ・ベランダ屋根の遮光ネット張る【毎年恒例】
        ベランダ屋根のポリカーボネイト製の波板は日差しを通すので
       夏季はベランダに面した部屋が暑くなります。暑さのことだけを
       考えれば6月から遮光ネットで覆ったへ方が良いですが、洗濯物
       を乾かすためには日差しが必要です。梅雨の時期も後半になると
       次第に暑くなるので日差しを遮って多少洗濯物の乾きが遅くなっ
       てもメリットになる時期が来ます。その日の天気と天気予報を見
       て判断しました。
     ・ベランダ西外側遮光カーテン張る【毎年恒例】
        これも洗濯物を乾かすことと関係して来ますが、西日は直射す
       るのでかなり暑く感じます。ペットの猫ちゃんがベランダで寝て
       いるので涼しくしてやりました。
     ・ベランダ南遮光カーテン東端で束ねる
        猫ちゃんがいる場所だけ間に合わせに南遮光カーテンで覆って
       いましたが、ベランダ屋根の遮光ネットを張ったのでいらなくな
       り、東端で束ねました。勿論、猫ちゃんがいるベランダだけでな
       く室内も涼しくなりますが。

   @7/02
     ・屋根型遮光ネットの手直し
        手前ステンレス棒を固定するためのパイプ上のフックの内、破
       損した箇所に新しいフックを付け直したり、ネット手前をステン
       レス棒に固定する紐を締め直したり、破損したリングランナーを
       交換したりしました。この遮光ネットは可動式なので臨機応変に
       張ったり下ろしたりしています。

   @7/02〜07
     ・J1900マシン組立〜セットアップ
        PCケースからC847搭載マザーボードを外し、J1900
       搭載マザーボードに交換し、各種コネクターも接続して電源を入
       れたら一度で起動したのは良かったのですが、Windows
       XPセットアップCD−ROMから起動させたらブルースクリー
       ンで中断してしまいセットアップできませんでした。マザーボー
       ドが旧OSに対応していないことが分りました。本当は旧OSと
       新OSを併用したかったのですが、諦めてWindows7のみ
       をインストールすることになりました。これを機会に本腰を入れ
       てWin7化に取組もうと思いました。どうしてもWinXPの
       アプリケーションを使う必要性がある場合はAtomマシン上の
       WinXPを使えば良いと考えました。
        1日も早くメインマシン化しようとセットアップを行い続けた
       結果、インターネット・エクスプローラ(IE)やLive!メ
       ールもAtomマシンから環境移行ができその他の設定も完了し、
       Atomマシンがなくても困らないところまでセットアップがで
       きました。残るはその他のアプリケーションの移行ですが、慌て
       る必要はありません。少しづつ進めて行きます。

   @7/08〜09
     ・自作冷風扇用ノズルの製作
        改造対象の冷風扇が普通の扇風機のような5枚羽根のファンを
       回すタイプのもので余り強い風を吹かすことができません。この
       ことはモーターを強力なものに交換しても傾向が変わりませんで
       した。そこで風をノズルで細く絞って強めることが一つの目的で
       す。後、南側のサッシの吸気口の位置と南北方向に敷いた布団の
       枕の位置は真っ直でなく20度位斜めになっているので風を左方
       向に20度位曲げてやる必要があります。ノズルを曲げる方法も
       ありますが、今回はノズルの吹出口に3、4枚のルーバーを立て
       ることで行いました。

        サッシ吸気口
     −−−− ↓ −−−− 
      ↑ +−−−+
        |   |冷風扇
      南 +−−−+
         □□□ ノズル
        
          \\\  約20度斜め 

             ○  /
              \/      
              /\
             /  \
                 \−−−−
                 |  
                 |
                 |

        今回は取りあえず簡単に作れる段ボールを使いました。吹出口
       のルーバーも段ボールで作りました。ただし、ノズルの根元には
       木枠をはめ込み強度を増しながら冷風扇に取付け易いようにしま
       した。段ボールと段ボールの接着には布粘着テープを使いました。

   @7/09
     ・自作冷風扇2号機でノズルのテスト
        自作冷風扇2号機とは冷風扇のフロントパネルを外して代わり
       に木枠を取付け、木枠に30Cm有圧換気扇を取付けたものです。
       この有圧換気扇は風量が1720m3/hという強力なものです。
       猛暑日の夜を想定して最高の性能を目差しました。
        2号機は前側が木枠なのでルーバーの根元の木枠と木製ダボで
       連結固定しました。試運転したら騒音も大きめですが超強力な冷
       風が吹き出しました。就寝時に点けて試しましたが、まだそれ程
       暑くなかったのでタオルケットを掛けて弱で運転しました。途中
       トイレに起きた時に寒く感じたので消しました。
        ホームページに自作冷風扇2号機の写真を掲載したので参照し
       てください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/jisaku_coolfan.htm
         #jisaku_coolfan2

   @7/10
     ・ベランダ東外側遮光カーテン張る
        朝、猫ちゃんがいる場所に朝日が当たりいよいよ暑くなって来
       たので閉めてやりました。

   @7/12
     ・自作冷風扇1号機再改造
        自作冷風扇1号機も2号機と同じ機種の中古ですが、こちらは
       外側に木枠を追加する方法は取らず、軽量・コンパクトさを保つ
       よう改造しました。モーターを25Cmや30Cmの一般換気扇
       のものに交換して試しましたが、風量が足りず風が物足りなかっ
       たので25Cmの有圧換気扇を購入して試しました。ところが付
       属のファンの奥行きが大きいので背後にあるフィルターに当たっ
       てしまい使えませんでした。仕方なく冷風扇に元から付いていた
       平べったいファンを付けて試しました。しかし、やはりこのファ
       ンでは十分な風量が得られませんてした。改造は行き詰まり1号
       機の改造はここで中断しました。その後考えあぐねた末にできた
       のが前述の外側に木枠を取付けた2号機でした。高性能ですが、
       大きく重く騒音が大きめなことが欠点でした。
        この日、1号機をもう一度出して分解してファンが背後のフィ
       ルターに当たることを再度確認し、当たらないようにする何か良
       い方法はないか色々考えました。考えながらフロントパネルの止
       めネジを外しあれこれ行い考えている内にアイデアを思い付きま
       した。止めネジを途中まで緩めるとフロントパネルが浮いた状態
       になり浮いた分奥行きが増えます。もっと長いネジで止めればも
       っと奥行きに余裕ができます。間にスペーサーを挟んでネジ止め
       すればガタつかずに固定できます。ファンがフィルターとどの位
       干渉しているのか調べたら2Cm奥行きを大きくすれば間違いな
       く当たらないようにできることが分りました。それで2Cmのプ
       ラスチック製のスぺーサーと45mmのステンレスコーススレッ
       ド(木ネジの一種)を購入してフロントパネルを取付け直しまし
       た。冷風扇のケースの空いた2Cmのすき間には薄く白く柔らか
       い塩ビ板を張りました。
        かくして25Cmの有圧換気扇は元羽根ごと取付け可能となり
       本領を発揮できます。早速、この日の就寝時に試しました。先月
       作ったルーバーを取付け、風量「中」で運転したら、静かでこの
       上なく涼しい風が吹きました。4時頃寒くなり「弱」に切り替え
       たら極弱い風となり寒くなくなりその後も快適に眠れました。

   @7/13〜15
     ・自作冷風扇用ルーバーの仕上げ
        ルーバーを分解し羽根のエッジを面取りしニス塗り

   @7/16
     ・連動タップの感度再設定
        J1900マシンにWindows7をインストールする時か
       ら時々急に電源が落ちてしまい、また入るという不具合が出てい
       たのですが、忙しいのでそのまま使い続けていました。多分、マ
       ザーボードを交換したので消費電力が変わり(多分、消費電力が
       小さくなった)それで連動タップの連動側に接続しているモニタ
       やオーディオスピーカーやUSB−HDDの電源が切れてしまい、
       それをPCの電源が切れたと勘違いしていたのだと思います。
        J1900マシンを使って連動タップの感度設定をやり直した
       結果、以後は電源トラブルはまったく起こらなくなりました。

       注)「多分、消費電力が小さくなった」といういい加減なことで
         はいけないので、その後、各PCの消費電力を測定しました。
         液晶モニタや外付けHDDやネットワーク機器の消費電力を
         除いたPC本体だけの消費電力です。やはりJ1900マシ
         ンはAtomマシンより4割も消費電力が少なくなっており
         これが連動タップ誤動作の原因でした。

          Ra43#1    48.7W
          Atomマシン   47.1W
          J1900マシン  30.1W

     ・冷風扇1号機にノズルを取付け就寝時テスト

   @7/20
     ・中国四国地方梅雨明け

   @7/21
     ・九州北部近畿東海梅雨明け

   @7/22
     ・関東甲信地方梅雨明け
     ・ノズルの改造
        奥行きを25Cmから15Cmに縮小。ルーバー羽根は段ボー
       ル製だったものを木製ネジ止めに変更し向きを替えられるように
       しました。その日の就寝時テストしたら風が弱く余り涼しくない
       ので、5時半頃ルーバーに付け替えた。そうしたら寒い位に涼し
       くなりました。        

   @7/23
     ・PC関連の待機電力カット
        ネットワークハブは使用状況により消費電力をコントロールす
       る省エネタイプを使用しているので削減の余地がありません。
        回線終端装置とルーターはネットワーク業者から提供される専
       用機器なの交換できず省エネの余地がありません。
        PC本体はAT互換機はスイッチ付コンセントに刺していて使
       わない時はスイッチOFFにしています。PC−9821である
       Ra43の2台は待機電力が2.2Wと大きいにも関わらず通常
       コンセントから電源を取っていたのでスイッチ付コンセントに繋
       ぎ替えました。ブリンタはスイッチ付コンセントに刺していまし
       たが、プリンタ複合機は通常コンセントから取っていたのでスイ
       ッチ付コンセントに繋ぎ替えました。
        これを機会にスイッチ付コンセントにラベルを張りました。

        ネット関連機器の消費電力測定
         回線終端装置    4.1W
         ルーター      5.6W
         ネットワークハブ  3.6W
        −−−−−−−−−−−−−−−−
            合 計   13.3W

        PC等の待機電力測定
         Ra43#1    2.2W
         Ra43#2    2.2W
         プリンタ      0.3W
         プリンタ複合機   0.5W
        −−−−−−−−−−−−−−−−
            合 計    5.2W

   @7/24
     ・自作冷風扇1号機へのルーバー取付けを直付け化
        自作冷風扇1号機のフロントパネルにはメスネジが4個付いて
       いるので、これを使ってルーバーをネジで直付けできるようにし
       ました。フロントパネルとルーバーの間にすき間が空いていると
       エアが横に逃げて風量ダウンに繋がるからです。10数mmのす
       き間が空いていました。

   @7/25
     ・自作冷風扇1号機にデジタル温度計取付け
        吹出口に温度センサーを両面テープで固定し、温度計本体をノ
       ズルやルーバーの脇の見易い位置に張り付けました。以後、各所
       の温度センサーチェック時に一緒にチェックして記録するように
       しました。

     ・自作冷風扇1号機の消費電力測定
        次のようにパワーアップしながら消費電力が減らせました。
       これは冷風ONで測定したもので冷風OFF時はこれより9W
       少なくなります。水を汲み上げるポンプを回すかどうかの違い
       です。

       +−−−+−−−−−−−−−−−−+
       |   | 強   中   弱  |
       +−−−+−−−−−−−−−−−−+
       |改造前|47W 39W 36W |
       +−−−+−−−−−−−−−−−−+
       |改造後|43W 35W 22W |
       +−−−+−−−−−−−−−−−−+

   @7/29〜31
     ・自作冷風扇用先ルーバー付ノズルを木材で正式に製作
        ファルカタ集成材という軽量木材で最初から作り直しました。
       重いと冷風扇が前に倒れてしまうからです。ノズルの先にルーバ
       ーを取付けることでノズルで上下方向に風を絞り、更にルーバー
       で左右方向の向きを変えられるようにしたものです。
        これを自作冷風扇1号機に取付けて毎日就寝時に使用していま
       す。ホームページに写真を掲載したので参照してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/jisaku_coolfan.htm
         #jisaku_coolfan1

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    7月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
         前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    7/08  前 60   −   0 21 新規追焚無 150
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                     0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
B    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月も珍しく入浴(内風呂)が1回だけありました。天気が
   良いこと。時間が早く二人続けて入れること等の条件が揃ったからです。
   一人30分位で二人続けて入りました。夏なのでお湯が余り冷めず二人続
   けて入るのでガスを使った追い焚きも必要ありません。夏以外でお湯が冷
   めた場合には熱いソーラー湯を足し湯して追い焚きの代わりにすることも
   できます。しかし、入浴にはガスを使わないという方針でやっているので
   髪の毛や体の石鹸を水シャワーで流しお湯を節約してでもガスは使わない
   ように入っています。夏季は湯量豊富なので水シャワーを使わなくても大
   丈夫ですが、冬季は湯量が少ないので足し湯するお湯を取っておくために
   良く水シャワーを使います。それから翌朝の食事に使うお湯を沸かす時に
   水から沸かすよりお湯から沸かす方が省エネになるのでお湯を残しておく
   という意味でも水シャワーを使っています。「真冬に水シャワーなどとん
   でもない」と思われる方も多いと思いますが、私は温暖化防止と体を鍛え
   ることとを兼ねて水シャワーを行っています。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが0回、妻一人で行ったのが1
   回、妻と二人で行ったのが5回でした。つまり内風呂を含めて1カ月では
   私が6回、妻が7回入浴したことになります。暑くて毎日汗をかくのでこ
   れだけでは入浴が少ない過ぎますが、うまい具合に太陽熱温水器が毎日沢
   山お湯を作ってくれる季節なので毎日シャワー入浴して髪の毛でも体でも
   洗えるので問題ありません。

    注1)ガスの7月度とは今年は6月23日から7月23日の30日間で
       した。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は
       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    7月度の16台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        43590  22.70
    炊飯器等        2710   1.41
    オーブンレンジ     5030   2.62
    オーブルトースター等  2410   1.25
    25Cm換気扇壁掛扇	1210   0.63
    DKテーブルコンセント    0   0.00
    46V液晶       8320   4.33
    水槽         29660  15.45
    妻コンセント      5350   2.79
    洗濯機等         980   0.51
    PC関係       28370  14.78
    AV機器        7490   3.90
    BDレコーダー     9270   4.83
    冷風扇アンカ等     8900   4.63
    屋根裏換気扇         0   0.00
    天井換気扇       3140   1.64
    その他        35570  18.53
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        192000 100.00

    注1)電気の7月度とは今年は6月27日から7月30日の33日間で
       した。東京電力の検針日に合わせています。

    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット16台の合計を
       差し引いて求めています。

    使用日数が32日間だった昨年7月が204KWhだったものが、使用
   日数が33日間の今年は192KWhでした。昨年の使用日数を33日間
   に換算すると使用量が210.4KWhになりますから、今年はそれより
   18.4KWh減ったことになります。減った原因は「その他」が
   55460.6Wh(53780Whの33日換算)から44840Wh
   に10620.6Wh減り、「その他」以外が154939.4Whから
   147160Whに7779.4Wh減ったからです。
    「その他」が減った主な原因は、昨年7月24日にDKのシーリングラ
   イトをLED照明に交換したことと、12月13日に居間の照明をLED
   照明に交換したからだと考えられます。前者で106.75Wの節電、後
   者で26Wの節電になったからだと考えられます。
    「その他」以外が減った原因は、「PC関係」が32525.6Wh(
   31540Whの33日換算)から28370Whに4155.6Wh減
   った影響が一番大きく、その他は細々した省エネの積み重ねによるものた
   と考えられます。その「PC関係」が減った原因は、昨年7月29日に液
   晶モニタをLED液晶に買い替えて消費電力が30Wから13.7Wへ
   16.3W減ったことと、前述した通り今月初旬に省エネなJ1900マ
   シンのセットアップが終わり使い始めたからだと考えられます。

  ★7月度の主なCO2削減関連の取り組み

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標204KWhのところ実績192Whと目標以上に削減でき
   ました。削減できた原因は前項で述べた通りです。
    年初からの累計でも目標1429KWhのところ実績1186KWhに
   収まり、達成率120.49%で余裕を持って目標を達成することができ
   ました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標2m3のところ実績も2m3と目標内に収まりました。
    年初からの累計でも目標19m3のところ実績18m3に収まり、達成率
   105.56%で余裕を持って目標を達成することができました。

  ★水道の削減実績

    水道は偶数月以外は検針がないので今月は実績がありません。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標25.76Kgのところ実績
   24.32Kgと目標内に収まりました。
    年初からの累計でも目標191.64Kgのところ実績161.36
   Kgと大幅に減り、達成率118.77%と大きな余裕を持って目標を達
   成することができました。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                     |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                       |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#1021/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/09/10  14:26  (347)
◎2014年8月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 昨2013年は、5月に省エネbP冷蔵庫を導入し省エネを飛躍的に前進させ
ました。5月中旬から12月末までの7カ月半で前年の同期間より256KWh
(47.7%)も削減できました。丸1年使用すればもっと削減できるわけで、
買い替えるだけで何も努力せずにこれだけ削減できる家電は他にはありません。
 それから各部屋の液晶テレビをLED液晶テレビに買い替えたことも省エネに
大きく貢献しました。DKの32Vを46Vに、自室の46Vと26Vを46V
と32Vに、妻の26Vを32Vにと合計4台の液晶テレビをLED液晶テレビ
に買い替えることで年間180KWh(42.5%)も削減できました。同様に
丸1年使用すればこれ以上の削減になるわけです。
 その他、照明のLED化等の対策により、年間では2012年に2792KW
hだったものが2013年は2289KWhと503KWh(18.0%)も削
減できました。これは2000年の1425KWh(27.0%)に次ぐ削減量
(率)になります。2000年は冷暖房全廃を始めた年で特別に大きかったので
す。ちなみに最も増加量(率)が大きかったのは1992年の1268KWh(
22.4%)でした。
 そして今年2014年は、昨年までに大きな対策は実施済みなのでこれと言っ
た対策は計画しておりません。日々を暮らしながらまた考えて行きたいと思って
います。今年も昨2013年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしま
した。ただし、昨年途中から実施した削減対策があるので、これ以上何も対策を
実施しなくても今年は昨年以上に削減が進むことになります。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2014年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減実績 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%

2014 削減目標 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2289x0.12= 274.68Kg
  (2) ガス=  29x0.64=  18.56Kg
  (3) 水道= 102x0.16=  16.32Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2014年のCO2 排出目標 309.56Kg(炭素換算)
             (削減率 71.49%)


3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −58.1%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1991  530    465    377    350    339    409    521    619    629    419    4
94    503   5655
 (CO2)  63.60  55.80  45.24  42.00  40.68  49.08  62.52  74.28  75.48  50.28  
59.28  60.36 678.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1992  629    530    511    535    406    407    597    835    715    511    6
49    598   6923
 (CO2)  75.48  63.60  61.32  64.20  48.72  48.84  71.64 100.20  85.80  61.32  
77.88  71.76 830.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1993  690    588    542    589    556    567    562    735    715    572    5
91    605   7312
 (CO2)  82.80  70.56  65.04  70.68  66.72  68.04  67.44  88.20  85.80  68.64  
70.92  72.60 877.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1994  700    711    601    505    467    481    713    914    696    506    5
65    541   7400
 (CO2)  84.00  85.32  72.12  60.60  56.04  57.72  85.56 110.04  83.52  60.72  
67.80  64.92 888.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1995  637    517    475    415    533    477    582    729    558    431    4
51    394   6199
 (CO2)  76.44  62.04  56.88  49.80  63.96  57.24  69.84  87.48  66.96  51.72  
54.12  47.28 743.99
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1996  503    404    432    429    471    422    532    629    539    395    4
20    433   5609
 (CO2)  60.36  48.48  51.84  51.48  56.52  50.64  63.84  75.48  64.68  47.40  
50.40  51.96 673.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1997  524    467    445    453    433    414    633    638    530    401    4
27    407   5772
 (CO2)  62.88  56.04  53.40  54.36  54.36  49.68  75.96  76.56  63.60  48.12  
51.24  48.84 692.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978   21
38   2289   2289
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36 2
56.56 274.68 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  179    167    162    161    167    158    192    176                   
            1362
  (CO2)  21.48  20.04  19.44  19.32  20.04  18.96  23.04  21.12                
             163.44
    累  179    346    508    669    836    994   1186   1362                   
            1362
  (CO2)  21.48  41.52  60.96  80.28 100.32 119.28 142.32 163.44                
             163.44
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率132.40 130.64 127,17 128.70 126.08 123.24 120.49 119.09                
             119.09
                                                                               
             ^^^^^^
そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1022/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/09/10  14:27  (447)
◎2014年8月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容                                         14/12/04 18:08 修正 第3版
 
  (2) ガス・・・・・・削減目標 −95.3%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991  107     83     67     52     41     35     28     26     29     37     
66     76    647
  (CO2)  68.48  53.12  42.88  33.28  26.24  22.40  17.92  16.64  18.56  23.60  
42.24  48.64 414.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992  110     90     78     53     56     46     39     26     32     49     
55     73    707
  (CO2)  70.40  57.60  49.92  33.92  35.84  29.44  24.96  16.64  20.48  31.36  
35.20  46.72 452.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993  128    100     91     57     49     35     31     27     34     61     
19     78    710
  (CO2)  81.92  64.00  58.24  36.48  31.36  22.40  19.84  17.28  21.76  39.04  
12.16  49.92 454.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994  109     89     84     74     58     39     30     22     28     30     
49     73    685
  (CO2)  69.76  56.96  53.76  47.36  37.12  24.96  19.20  14.08  17.92  19.20  
31.36  46.72 438.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995  128     96     82     45     35     30     35     19     29     34     
50     85    668
  (CO2)  81.92  61.44  52.48  28.80  22.40  19.20  22.40  12.16  18.56  21.76  
32.00  54.40 427.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996  126    107     95     68     48     37     29     25     26     31     
44     57    693
  (CO2)  80.64  68.48  60.80  43.52  30.72  23.68  18.56  16.00  16.64  19.84  
28.16  36.48 443.52                                                            
                     
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997  100    107     59     43     39     29     27     30     32     48     
59     96    669
  (CO2)  64.00  68.48  37.76  27.52  24.96  18.56  17.28  19.20  20.48  30.72  
37.76  61.44 428.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
26     29     29
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
16.64  18.56  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    3      4      2      3      2      2      2      1                   
              19
  (CO2)   1.92   2.56   1.28   1.92   1.28   1.28   1.28   0.64                
              12.16
    累    3      7      9     12     14     16     18     19                   
              19
  (CO2)   1.92   4.48   5.76   7.68   8.96  10.24  11.52  12.16                
              12.16
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率166.67 114.29 122.22 108.33 107.14 106.25 105.56 105.26                
             105.26
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −57.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991    -     36      -     43      -     43      -     50      -     42     
 -     63    277
  (CO2)   -      5.76          6.88          6.88          8.00   -      6.72  
 -     10.08  44.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992    -     39      -     59      -     46      -     58      -     52     
 -     59    313
  (CO2)   -      6.24   -      9.44   -      7.36   -      9.28   -      8.32  
 -      9.44  50.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993    -     49      -     40      -     52      -     45      -     55     
 -     39    280
  (CO2)   -      7.84   -      6.40   -      8.32   -      7.20   -      8.80  
 -      6.24  44.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994    -     44      -     45      -     48      -     65      -     47     
 -     51    300
  (CO2)   -      7.04   -      7.20   -      7.68   -     10.40   -      7.52  
 -      8.16  48.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995    -     44      -     55      -     52      -     56      -     51     
 -     49    307
  (CO2)   -      7.04   -      8.80   -      8.32   -      8.96   -      8.16  
 -      7.84  49.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996    -     45      -     43      -     48      -     46      -     48     
 -     46    276
  (CO2)   -      7.20   -      6.88   -      7.68   -      7.36   -      7.68  
 -      7.36  44.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997    -     51      -     44      -     43      -     50      -     50     
 -     56    294
  (CO2)   -      8.16   -      7.04   -      6.88   -      8.00   -      8.00  
 -      8.96  47.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -    102    102   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -     16.32  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     15      -     15      -     17      -     19      -            
 -            66          
  (CO2)   -      2.40   -      2.40   -      2.72   -      3.04   -            
 -            10.52       
    累    -     15      -     30      -     47      -     66      -            
 -            66          
  (CO2)   -      2.40   -      4.80   -      7.52   -     10.52   -            
 -            10.52       
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率  -    106.67   -    110.00   -    106.38   -    104.55   -            
 -           104.55
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −71.49%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
--------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60  656.16
  1991  132.08 114.68  88.12  82.16  66.92  78.36  80.44  98.92  94.04  80.60 1
01.52 119.08 1137.00
  1992  145.88 127.44 112.24 107.56  84.56  85.64  76.60 126.12 106.28 101.00 1
13.08 127.92 1333.32
  1993  164.72 142.40 123.28 113.56  98.08  98.76  87.28 123.68 107.56 116.48  
83.08 128.76 1376.64
  1994  153.76 149.32 125.88 115.16  93.16  90.36 104.76 134.52 101.44  87.44  
99.16 119.80 1374.40
  1995  158.36 130.52 109.36  87.40  86.36  84.76  92.24 109.88  85.52  81.64  
86.12 109.52 1220.63
  1996  141.00 124.16 112.64 101.88  87.24  82.00  82.40  98.84  81.32  74.92  
78.56  95.80 1160.76
  1997  126.88 132.68  91.16  88.92  79.32  75.12  93.24 103.76  84.08  86.84  
89.00 119.24 1167.84
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92  677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60  632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28  461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28  652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32  589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60  509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96  467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28  455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72  477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72  457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64  457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40  443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72  412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36  392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64  375.04
  2013   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
  ……………………………………………………………………………………………………
……………………………
  目標   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
    累   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64 2
87.12 309.56  309.56
  実績   23.40  25.00  20.72  23.64  21.32  22.96  24.32  24.80                
              186.16
  累計   23.40  48.40  69.12  92.76 114.08 137.04 161.36 186.16                
              186.16
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
  達成率135.21 127.93 126.04 126.05 123.91 121.04 118.77 117.36                
              117.36
                                                                               
              ^^^^^^
注1)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の
   水道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用
   量は0とします。

注2)2014年の報告書より3の(1)項〜(4)項に1991年から1997年の実績を追
   加しました。 当ボードの1文書の最大行数が500行までであることから
   これまでこの制限を超えないようこれらの掲載を省いていました。ところ
   が2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に分けて掲載す
   るようにしたため行数に余裕ができていて、更に今回、「そのA」の一部
   を「その@」に移すことで制限内に収めることが可能になったため掲載す
   ることにしました。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1023/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/09/10  14:29  (499)
◎2014年8月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         14/12/04 17:53 修正 第2版

4.考察

  ●クリオコナイトホールが北極圏の氷の融解を加速
    近年、グリーンランドでは氷にクリオコナイトホールと呼ぶ無数の黒い
   穴が増えています。調べて見るとこの黒い穴はある微生物が原因でできて
   いることが分りました。北極圏の温暖化で氷が解けたためシアノバクテリ
   アが活動を始め、光合成で繁殖し周囲の砂や有機物を巻き込みながらクリ
   オコナイト粒と呼ぶ直径2ミリ程の黒い粒となります。クリオコナイトホ
   ールは粒となったシアノバクテリアが増殖してできたものでした。クリオ
   コナイト粒は風で飛ばされ隣から隣へと広がり増えるためクリオコナイト
   ホールも凄い勢いで増えて行くことになります。
    クリオコナイト粒は黒いため太陽の熱を吸収するので通常に比べ氷が解
   けるスピードが2倍位速くなると言われています。このため今後、気温の
   上昇で見積もられるより格段に速いスピードで北極の氷が解けて行くこと
   が懸念されています。(北極の氷が少なくなることは異常気象の一因)

  ●メタン生成菌が温暖化を加速
    アラスカ州では各地でメタンガスが噴き出し始めています。原因は温暖
   化によりメタン生成菌が繁殖し始めているからです。アラスカ全土の四分
   の三が永久凍土と呼ばれている土壌でできており、永久凍土が解け出すと
   土の中に含まれている有機物が分解され、これをエネルギー源にメタン生
   成菌が繁殖しメタンガスを出すからです。メタンガスの温室効果は二酸化
   炭素の20倍以上もあるので温暖化が更に加速されることが懸念されてい
   ます。

  ●温暖化はメタンハイドレートが解けるところまで進むと制御不能になる
    メタンガスは陸だけでなく海にもメタンハイドレートとして閉じ込めら
   れています。ところが温暖化による海水温の上昇で海底のメタンハイドレ
   ートが解け出すとメタンガスが大気中に噴出され温暖化を加速させます。
    今から2億5000万年のペルム紀の大量絶滅の決定打となったのは、
   温暖化により深海のメタンハイドレートが一気に解けて大量のメタンガス
   が大気中に噴出されたことでした。メタンガス噴出による温暖化が更なる
   メタンガスの噴出と温暖化を引き起こし、生物に壊滅的な被害をもたらし
   ました。地上は摂氏50度以上となり植物は光合成ができなくなり、食物
   連鎖が断ち切られ動物も死に絶えました。海水温も40度に達し海の生物
   も死滅しました。生物の95パーセントが死に絶えるという地球史上最大
   の大量絶滅が起こったのです。
    すでに世界中の大陸棚からメタンガスの噴出が始まっています。特に東
   シベリア海の大陸棚は水深が平均53メートルと浅く水温上昇の影響を受
   けやすいため全体の噴出量の半分のメタンガスを噴出しています。
    ペルム紀と現在との違いはCO2 増加の原因にあります。ペルム紀のそ
   れは活発な火山活動の影響によるものでしたが、現在のそれは化石燃量の
   大量消費によるものです。現在のCO2 の排出量は産業革命前の3000
   倍にも達しています。CO2 増加の原因は違っていてもその後に起こるこ
   とは同じです。このままCO2 を排出し続け温暖化が進めば世界中の大陸
   棚にある大量のメタンハイドレートが解け出し、制御不能な急激な温暖化
   が引き起こされます。灼熱地獄となりこの世界は終わりとなります。

   注)これらの記事は次のテレビ番組から得た知識に基づき書きました。

     NHK国際共同制作「スペースシップアースの未来」
     第3回 「客室維持装置」に異変あり

  ★8月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @8/01〜03
     ・自作冷風扇用ノズルにサブノズルを付加
        先月29〜31日にファルカタ集成材を使って自作冷風扇用ノ
       ズルを正式に製作しすぐに実使用を始めました。ところが風がい
       まいち物足りなく感じました。調べて見ると風が枕の高さより下
       方へも流れていて、その分枕か枕より上方へ行く風が弱くなって
       いることが分りました。それで取りあえず8/1ノズルの底板の
       下側にベニア板を張り付けて一晩寝て見ました。確かに風は下方
       へは行かなくなりましたが、それでもまだ風が物足りなく感じま
       した。そこで思い付いたのがサブノズルの取付けでした。ノズル
       の先にサブノズルを取付けることで風は下方に逃げなくなるだけ
       でなく上にも左にも右にも逃げなくなり、100%有効な風にな
       ります。そしてそのサブノズルの内部に左右ルーバーを取付けれ
       ば狙い通りの場所に風が集まります。8/2に組立、8/3にニ
       ス塗り。こうして先ルーバー付ノズルは完成し、自作冷風扇1号
       機も完成しました。

   @8/10
     ・台風11号が午前6時過ぎ高知県安芸市付近に上陸

   @8/11
     ・屋根型遮光ネットの修理
        昨夜の台風11号による強風で屋根型遮光ネットの手前枠止用
       フックが破損したので取付け直したり新しいフックを取付けて修
       理しました。(8/13部品購入で追加修理)
     ・ベランダ東西の内側と外側の遮光カーテンを手直し
        この遮光カーテンはパイプに通したリングランナーがJ−38
       Bというジョイントで仮止め状態になっています。通常の風なら
       遮光カーテンは開いた状態を保ちますが、強い風が吹くとリング
       ランナーがジョイントごとずれてカーテンが縮まります。それで
       棒でジョイントを押してまたカーテンを開いてやります。面倒の
       ようですがこの働きで設備の破損を防いでいます。

   @8/17
     ・サブウーハーの電源が入ってしまう問題が完全解決
        昨年の報告書に書きました通り、昨年8月21日に自室の46
       インチ液晶テレビを同一サイズのLED液晶テレビに買い替えた
       際にアンプ付スピーカーも導入しました。このアンプ付スピーカ
       ーは、アンプ部とメインスピーカー部とアンプ付サブウーハー部
       に別れていて、テレビの電源を入れると自動的にアンプ部の電源
       が入り、少し遅れてアンプ部の指令でサブウーハーの電源が入る
       ようになっています。アンプ付スピーカーの機能自体には問題は
       ないのですが、サブウーハー部はアンプ部とは別にコンセントか
       ら電源を取るようになっていて、アンプ部の指令にいつでも応じ
       られるよう常に電源スイッチをオンにしておく必要があります。
       この時に掛かる待機電力が問題なのです。サブウーハーの待機電
       力を測って見たところ1W〜1.8W(平均1.4W)もあるこ
       とが分りました。この大きさの待機電力は無視できず、このテレ
       ビを観る時間は1日平均1〜2時間しかないのに、サブウーバー
       の電源を丸1日・24時間も点け放しにするのは勿体無いと思い
       ました。そこで昨年9月に導入したのがパソコン連動タップでし
       た。連動タップのPC口にアンプ部の電源プラグを刺し、連動口
       にサブウーハーの電源プラグを刺すことで、アンプ部の電源が入
       っていない時はサブウーハーに電源が供給されないよう対策しま
       した。
        これで直ったものと思っていましたが、その後もアンプ部の電
       源が入っていないのにサブウーハーの電源が入ってしまう問題が
       度々起こりました。しかしこれ以上対処しようがなく、そのまま
       使っていました。
        その後も必要ない時にサブウーハーの電源が入ってしまう問題
       が起こり続け、ある日問題が起こっている時にHDMIセレクタ
       ーの電源を切ったところしばらくしてサブウーハーの電源も切れ
       ることに気付きました。それでHDMIセレクターの電源をどこ
       から取っているか調べましたが、やはりPC口からは取っていな
       いので配線ミスではありませんでした。
        そして今回、8/17に連動タップの感度設定をやり直して見
       ることにしました。まず、アンプ付スピーカーのアンプ部の電源
       プラグが連動タップのPC口に刺さっていることと、サブウーハ
       ーの電源プラグが連動口に刺さっていることを確認し、それから
       マニュアル通り感度設定を最初からやり直して見ました。そして
       46インチLED液晶の電源を入れたら、しばらくしてアンプ部
       の電源が入り、少し遅れてサブウーハーの電源も入り、両スピー
       カーから音が出ました。次にテレビの電源を切ったらアンプ部と
       サブウーハーの電源も切れました。ここまではいつも通りの正常
       動作をしました。
        次に問題のHDMIセレクターの電源を入れて見ましたが、サ
       ブウーハーの電源は入りませんでした。この瞬間にもしかして直
       ったかと思いましたが、続いてBDレコーダーの電源を入れたと
       ころ少ししてサブウーハーの電源が入ってしまったではないです
       か。BDレコーダーはHDMIセレクターの入力1に接続されて
       いますが、HDMIセレクターは電源を入れると自動的に入力1
       が選択されます。同様に入力2〜入力4についても選択した入力
       に対応する外部機器の電源を入れるとサブウーハーの電源が入っ
       てしまうか試して見ました。やはり電源が入ってしまいました。
        この結果からトラブルの原因が分りました。外部機器から
       HDMIセレクターを介してHDMI信号がアンプ部に送られる
       とアンプ部の処理回路が動き出しテレビにHDMI信号を受け渡
       すのです。アンプ部は表向きは電源オフになっていますが、内部
       では信号処理に伴い消費電力が増加するので、これを連動タップ
       が検知し連動口に電流を流すのです。それでアンプ部の電源が入
       っていないのにサブウーハーの電源が入ってしまうのです。
        ここから解決策も見つかりました。連動タップの感度設定の手
       順の中に「電源オフ時電流の感度設定」というステップがありま
       すが、従来は単にアンプ付スピーカーのアンプ部の電源をオフに
       した状態で行っていましたが、これに加えHDMIセレクターの
       電源とBDレコーダーの電源も入れて行うようにしました。これ
       に続くステップも最後まで行い感度設定を終わらしたところ、サ
       ブウーハーの電源が必要ない時に入ってしまう問題は起こらなく
       なりました。これにより長く気掛かりだった問題が完全に解決し
       ました。

   @8/19
     ・ベランダ南遮光カーテンを全て閉める【毎年恒例】

   @8/20
     ・未明に広島市で大規模な土砂災害

   @8/22
     ・ベランダ下外側遮光カーテンを全て閉める【毎年恒例】
        8月も半ば近くになると陽が低くなるのでベランダ下に面する
       居間の窓際に陽が差し込むようになり部屋が暑くなります。原因
       は内側遮光カーテンの上側に少しすき間があることと、日光が遮
       光ネットのすき間を通り抜けやすくなるからです。内側遮光カー
       テンより数十センチ高い位置に丈半分の遮光ネットをもう1枚吊
       すことでこれを防ぐことができます。

   @8/23〜25
     ・先ルーバー付ノズルの改造
        7/29〜31に軽量木材で正式に作り直した先ルーバー付ノ
       ズルですが、この日、縦に取付けて見ることを思い付きました。
       これまで吹出口は下端に横長に付いていましたが、これが右端に
       縦長に付くよう変わります。早速、実施しサッシ吸気口前に置き
       いつも寝る位置に横になり試して見ました。そうしたら横長より
       良い風が来ました。横長だと中央を吹く風は体に当たりますが
       それより右や左を吹く風は体には当たらず無駄になります。これ
       が縦長になると風は中央にだけ吹きますが、縦に長いので一番下
       の風は頭や肩に当たり、その上の風は胸や腹に当たり、更に上の
       風は股や膝や足先にも当たり無駄なく使われるようになります。
       だから縦長の方が涼しく感じたのです。また縦長だと横長では左
       右ルーバーだったものが上下ルーバーに変わり、上下方向の風向
       きを変えられるので、寝る時だけでなく座っている時にも使える
       ようになったことが分りました。
        そして更に使い込むと左右ルーバーだったものが上下ルーバー
       に変わってしまったので左右に風向きを変える機能が必要になっ
       たことが分りました。それでサブノズルの奥のノズル本体内に縦
       に長い左右ルーバー3枚を追加しましたが、奥に取付けたので効
       果は十分ではありませんでした。

   @8/25〜29
     ・中央吹出ノズルの新規製作
        先ルーバー付ノズルは左右ルーバーの機能が十分に完成してい
       ませんでしたが、このこととは別に中央吹出型のノズルの製作を
       思い立ちました。従来の先ルーバー付ノズルは、ジュータンの床
       に布団を敷いて寝るので、風をかなり低い位置に吹き出させる必
       要があることから、風を絞るだけでなく下端いっぱいまで風向き
       を変えられるよう作りました。この方式が絶対駄目ということで
       はありませんが、奥行き15Cmで一気に風を絞りながら向きを
       変えることには無理があり、エネルギーロスしているのではない
       かと考えました。程度問題ですが、本当のことはやって見ないと
       分らないので、吹出口を左右の中央にしたノズルを作って見るこ
       とにしました。吹出口のサイズは以前と同じにしたのでサブノズ
       ルはそのまま使用できます。ちなみにそのサブノズルには上下ル
       ーバーが内蔵され、木製ダボ3個でノズル本体に固定できる着脱
       式です。
     ・サブノズルの改良
        先ルーバー付ノズルの左右ルーバーの効きが十分でなかった原
       因は、左右ルーバーをノズル本体内に取付けたので、例え風向き
       を変えてもその先にあるサブノズルに阻まれ大部分は無効になっ
       てしまうからでした。効果を出すには左右ルーバーをもっと手前
       に持って来る必要があります。試しにノズル本体の吹出口から羽
       根が半分位手前にはみ出す位置に付け替えて見ましたが、それで
       も風向きを変える効果は十分ではありませんでした。それで面倒
       ですが最終手段に踏み切るよりありませんでした。左右ルーバー
       をサブノズル内に取付けることでした。
        これまで奥行き90mmのサブノズル内には幅60mm、長さ
       150mmの上下ルーバー羽根7枚だけを取付けていましたが、
       これを外して、まず一番手前に幅45mm、長さ350mmの左
       右ルーバー羽根3枚を取付けました。次に幅60mm、長さ
       150mmの上下ルーバー羽根7枚の幅を45mmにカットして
       左右ルーバー羽根のすぐ後側に取付けました。勿論、羽根の両エ
       ッジは面取りして飛行機の翼のように滑らかに削りました。
        サブノズルをノズル本体に装着して試したところ左右ルーバー
       も良く効くようになりました。後日、中央吹出ノズルも含めニス
       の二度塗りも行いました。サブノズルがノズルがそして冷風扇が
       完成しました。
        冷風扇は使う季節に実際に使って見ないと涼しくなるかどうか
       が分りません。それで夏が終わると開発も終わりになります。
       ホームページに今月の開発内容を反映させました。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/jisaku_coolfan.htm

  ★冷風扇は本当に涼しいのか?

    開発途中の冷風扇でしたが、肝心の一番暑かった期間のデータをピック
   アップしました。我が家では冷風扇は就寝時にしか使わないので、夜点け
   る直前から消灯までと翌朝起きた時の各所の温度等を掲載しました。一番
   暑い時期なので途中で風量を弱くしたり消したりする場面はありませんで
   した。室温は30度以上あっても冷風扇が吹き出す風は消灯時には26度
   代まで下がるのでとても涼しく眠れました。(体感温度=温度+風)

     月 日  時 刻   室 温  湿 度  冷風扇出口  外気温
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    8/02 22:00 33.6 51.7%  32.6 31.4
         22:08 冷風扇ON 強
         22:40 33.2 56.4%  26.9 31.3
    8/03  6:59 30.8 62.4   25.1 28.4
         21:00 33.6 60.3%  31.3 31.0
         21:01 冷風扇ON 強
         23:50 32.1 58.9%  26.5 30.2
    8/04  7:37 30.9 62.0   26,2 29.6
         22:30 32.1 53.0%  30.3 29.4
         22:40 冷風扇ON 強
         23:20 32.2 57.2%  26.7 29.2
    8/05  7:26 30.3 69.1%  26,9 29.8

  ★我が家の冷暖房機器の消費電力を最新型省エネエアコンと比較しました

    我が家は地球温暖化対策のため西暦2000年から冷暖房給湯を全廃し
   ました。ただし、代わりに冷風扇・扇風機・天井換気扇やアンカ・足温器
   や太陽熱温水器を使っています。エアコンも2000年に全廃したので、
   以来、エアコンには無関心で暮らして来ましたが、ここへ来てエアコンの
   省エネ化がどれ程進んだか知りたくなり、Webで調べて見ました。確か
   にかつて我が家で使っていたものに比べて格段に進歩していることが分り
   ました。とは言っても以前に我が家で使っていたエアコンが今の基準では
   どれ程のものだったのかは分りません。これがどうであれ私が知りたかっ
   のは今の最新技術で作ったエアコンの消費電力が代替機器で暮らしている
   我が家の消費電力とどれ程違うかということです。つまり我が家のCO2
   削減努力がどれ程役に立っているかを知りたかったのです。
    エアコンの省エネ性能は「期間消費電力」で表すということなので、こ
   れに合わせて2013年6月〜2014年4月の間の自室の「期間消費電
   力」を集計して見ました。集計には各月の報告書の「★今月の用途別電力
   使用量」の「冷風扇アンカ等」と「天井換気扇」の消費電力を使用しまし
   た。ただし、夏冬の期間の初めの月と終わりの月については、1カ月未満
   なので日別に記録している検針表から期間内の消費電力を計算しました。
   また計算対象になる使用時間はエアコンのように6:00〜24:00の
   18時間ではなく、丸一日の24時間になっています。下表がその集計結
   果に基づく比較表です。
    
    ◇省エネナンバーワンエアコンと自室冷暖房機器との消費電力比較表◇

         −ー 期間消費電力 −− 平均消費電力  倍 率
            (KWh)      (W)
     畳数  エア  − 自家機器 −  エア 自家
         コン  全期 冬季 夏季  コン 機器
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     8畳用 676 54 41 13 129 10 1/12.5
    10畳用 746 54 41 13 142 10 1/13.8
                             ^^^^^^^^^^^^
    エアコンとは消費電力が1桁違うことは分っていましたが、13倍とう
   結果でした。今まで長年努力して来た甲斐がありました。

    [補足説明]
    ・畳数
      部屋の大きさに見合った能力のあるエアコンを使用するものなので
     10畳弱の自室なら8畳用か10畳用を使用することになります。一
     方、代替機の冷風扇、扇風機、アンカ、足温器等は部分的に冷やした
     り暖めたりする機器なので部屋の大きさには関係ありません。
      (エアコンの必要能力 8畳:2.5KW 10畳:2.8KW)

    ・期間消費電力
      東京をモデルとした外気温度で設定温度を冷房時27℃、暖房時
     20℃で次の期間・時間使用した場合の消費電力量です。具体的には
     下記のサイトを参照してください。

      節電ネット http://www.setsuden.net/ranking/air-con/

      ◇冷房期間:6月2日〜9月21日の3.6ヵ月の
            6:00〜24:00の18時間
      ◇暖房期間:10月28日〜4月14日の5.5ヵ月の
            6:00〜24:00の18時間
      このことから総使用日数と総使用時間は次のようになります。
      ◇夏季 112日 2016時間
      ◇冬季 179日 3222時間
      −−−−−−−−−−−−−−−
      ◇合計 291日 5238時間

      注1) 単位がKWhの数値は学問的には「消費電力量」と呼びま
         すが、一般向けに分かりやすく消費電力と呼ぶことが業界の
         慣習になっています。
      注2) 使用期間や使用時間が我が家の使用実態とは異なっていま
         す。冷風扇は6月はまだ使いませんし、しかも使うのは就寝
         時だけです。ただし天井換気扇は6月も就寝時に使います。
         昼間は真夏でも扇風機だけです。それから9月半ば頃からは
         冷風扇は使いません。また冬季のアンカ等は12月になって
         から使います。
          後、期間消費電力に何故24:00〜6:00の間の消費
         電力を含めないのか疑問です。一般家庭は昼間は使わなくて
         も就寝時は必ず使いますし、かつては我が家もそうでした。
         また冷風扇もむしろ就寝時にだけ使っていますから、この時
         間帯の消費電力を計算に含めないと使用実態と合わなくなり
         ます。
          仮に24:00〜6:00の間の消費電力を1.5KWh
         とすると夏季の112日間の消費電力は168KWhにもな
         りますから、期間消費電力は8畳用で844KWh、10畳
         用で914KWhに増え、倍率も15.6/16.9と大き
         くなります。
          従って、エアコンの期間消費電力が使用実態と大きく異な
         るため、我が家の代替機器との比較も適切にはできません。
         しかし、条件つきながら全体的に見て冷暖房に掛かる消費電
         力にどの位の差があるか、知る目安にはなったと思います。

    ・エアコン(KWh)
      現在、省エネナンバーワンになっているエアコンの期間消費電力で
     す。

    ・自家機器(KWh)
      自室でエアコンの代わりに使っている機器の期間消費電力です。
      ◇夏季
        冷風扇、扇風機、天井換気扇、天井排気ファンの合計
      ◇冬季
        アンカ、足温機の合計

    ・平均消費電力(W)
      期間消費電力を期間の使用時間で割った値です。使用時間について
     は「期間消費電力」の項を参照してください。

    ・倍率
      最新のエアコンが我が家の代替機器の何倍の電力を喰うかを表す
     数値です。

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    8月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
         前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                     0

    [補足説明]行数オーバーのため省略

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がなく、内風呂を立てられる日がありませんでした。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが2回、妻一人で行ったのが1
   回、妻と二人で行ったのが2回でした。時間的余裕がなく銭湯へ行った回
   数も極端に少なくなりました。しかし、夏は太陽熱温水器が毎日沢山お湯
   を作ってくれたので、いつでもシャワーを浴びられたので衛生上は問題あ
   りませんでした。

    注1)ガスの8月度とは今年は7月23日から8月22日の30日間で
       した。東京ガスの検針日に合わせています。
    注2)注3)注4)行数オーバーのため省略

    【太陽熱温水器の紹介】URL 行数オーバーのため省略

  ★今月の用途別電力使用量

    8月度の16台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        42540  24.17
    炊飯器等        1680   0.95 
    オーブンレンジ     4080   2.32
    オーブルトースター等  1960   1.11
    25Cm換気扇壁掛扇	1590   0.90
    DKテーブルコンセント    0   0.00
    46V液晶       7330   4.16
    水槽         26750  15.20
    妻コンセント      6700   3.81
    洗濯機等        1070   0.61
    PC関係       20690  11.75
    AV機器        5890   3.35
    BDレコーダー     8670   4.93
    冷風扇アンカ等    12160   6.91
    屋根裏換気扇         0   0.00
    天井換気扇       3300   1.88
    その他        31590  17.95
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        176000 100.00

    注1)電気の8月度とは今年は7月30日から8月29日の30日間で
       した。東京電力の検針日に合わせています。
    注2)行数オーバーのため省略

    使用日数が31日間だった昨年8月が193KWhだったものが、使用
   日数が30日間の今年は176KWhでした。昨年の使用日数を30日間
   に換算すると使用量が186.8KWhになりますから、今年はそれより
   10.8KWh減ったことになります。減った用途を調べると大きいのは
   次の3つです。

    PC関係        7984Wh減   *昨年の実績を30日
    冷風扇アンカ等     1892Wh減    換算してから計算し   
    25Cm換気扇壁掛扇	 916Wh減    ました。
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       合 計     10792Wh減

   その他は細かく増減していますが、「妻コンセント」だけは1794Wh
   も増えています。これはオフが昨年より増えたからです。大きく減った3
   つで10792Whは全体減の10.8KWhとほとんど同じでありこの
   3つが減った主因だと考えられます。
    「PC関係」が減った原因は、先月同様J1900マシンに替えてメイ
   ンマシンの消費電力が4割も小さくなったこと等が考えられます。
    「冷風扇アンカ等」が減った原因は、自作冷風扇に替えて消費電力が1
   割以上も小さくなったことと、自作扇風機にパワーコントローラを取付け
   必要最低限の回転数で使用するようにしたこと等が考えられます。
    DKの「25Cm換気扇壁掛扇」が減った原因もパワーコントローラに
   よる効果等によるものであると考えられます。

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標193KWhのところ実績176Whと目標以上に削減でき
   ました。削減できた原因は前項で述べた通りです。
    年初からの累計でも目標1622KWhのところ実績1362KWhに
   収まり、達成率119.09%で余裕を持って目標を達成することができ
   ました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標1m3のところ実績も1m3と目標内に収まりました。太陽熱
   温水器は晴れて暑くなる程熱いお湯を出すので、厨房でお湯を沸かすのに
   使うガスも少なくて済みます。また夏は食事の度に熱いお茶やコーヒーや
   味噌汁等の汁物を飲むことがほとんどなくなり、冷茶やアイスコーヒー等
   を飲むのでガスコンロの使用頻度が少なくなるからです。
    年初からの累計でも目標20m3のところ実績19m3に収まり、達成率
   105.26%で目標を達成することができました。

  ★水道の削減実績

    水道は目標19m3のところ実績もちょうど19m3となり目標を達成で
   きました。
    年初からの累計でも目標69m3のところ実績66m3に収まり、達成率
   104.55%で余裕を持って目標を達成することができました。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標26.84Kgのところ実績
   24.80Kgと目標内に収まりました。
    年初からの累計でも目標218.48Kgのところ実績186.12
   Kgと大幅に減り、達成率117.36%と大きな余裕を持って目標を達
   成することができました。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

以下、行数オーバーのため省略
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#1024/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/11/12  12:24  (347)
◎2014年9月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 昨2013年は、5月に省エネbP冷蔵庫を導入し省エネを飛躍的に前進させ
ました。5月中旬から12月末までの7カ月半で前年の同期間より256KWh
(47.7%)も削減できました。丸1年使用すればもっと削減できるわけで、
買い替えるだけで何も努力せずにこれだけ削減できる家電は他にはありません。
 それから各部屋の液晶テレビをLED液晶テレビに買い替えたことも省エネに
大きく貢献しました。DKの32Vを46Vに、自室の46Vと26Vを46V
と32Vに、妻の26Vを32Vにと合計4台の液晶テレビをLED液晶テレビ
に買い替えることで年間180KWh(42.5%)も削減できました。同様に
丸1年使用すればこれ以上の削減になるわけです。
 その他、照明のLED化等の対策により、年間では2012年に2792KW
hだったものが2013年は2289KWhと503KWh(18.0%)も削
減できました。これは2000年の1425KWh(27.0%)に次ぐ削減量
(率)になります。2000年は冷暖房全廃を始めた年で特別に大きかったので
す。ちなみに最も増加量(率)が大きかったのは1992年の1268KWh(
22.4%)でした。
 そして今年2014年は、昨年までに大きな対策は実施済みなのでこれと言っ
た対策は計画しておりません。日々を暮らしながらまた考えて行きたいと思って
います。今年も昨2013年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしま
した。ただし、昨年途中から実施した削減対策があるので、これ以上何も対策を
実施しなくても今年は昨年以上に削減が進むことになります。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2014年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減実績 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%

2014 削減目標 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2289x0.12= 274.68Kg
  (2) ガス=  29x0.64=  18.56Kg
  (3) 水道= 102x0.16=  16.32Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2014年のCO2 排出目標 309.56Kg(炭素換算)
             (削減率 71.49%)


3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −58.1%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1991  530    465    377    350    339    409    521    619    629    419    4
94    503   5655
 (CO2)  63.60  55.80  45.24  42.00  40.68  49.08  62.52  74.28  75.48  50.28  
59.28  60.36 678.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1992  629    530    511    535    406    407    597    835    715    511    6
49    598   6923
 (CO2)  75.48  63.60  61.32  64.20  48.72  48.84  71.64 100.20  85.80  61.32  
77.88  71.76 830.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1993  690    588    542    589    556    567    562    735    715    572    5
91    605   7312
 (CO2)  82.80  70.56  65.04  70.68  66.72  68.04  67.44  88.20  85.80  68.64  
70.92  72.60 877.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1994  700    711    601    505    467    481    713    914    696    506    5
65    541   7400
 (CO2)  84.00  85.32  72.12  60.60  56.04  57.72  85.56 110.04  83.52  60.72  
67.80  64.92 888.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1995  637    517    475    415    533    477    582    729    558    431    4
51    394   6199
 (CO2)  76.44  62.04  56.88  49.80  63.96  57.24  69.84  87.48  66.96  51.72  
54.12  47.28 743.99
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1996  503    404    432    429    471    422    532    629    539    395    4
20    433   5609
 (CO2)  60.36  48.48  51.84  51.48  56.52  50.64  63.84  75.48  64.68  47.40  
50.40  51.96 673.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1997  524    467    445    453    433    414    633    638    530    401    4
27    407   5772
 (CO2)  62.88  56.04  53.40  54.36  54.36  49.68  75.96  76.56  63.60  48.12  
51.24  48.84 692.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978   21
38   2289   2289
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36 2
56.56 274.68 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  179    167    162    161    167    158    192    176    175            
            1537
  (CO2)  21.48  20.04  19.44  19.32  20.04  18.96  23.04  21.12  21.00         
             184.44
    累  179    346    508    669    836    994   1186   1362   1537            
            1537
  (CO2)  21.48  41.52  60.96  80.28 100.32 119.28 142.32 163.44 184.44         
             184.44
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率132.40 130.64 127,17 128.70 126.08 123.24 120.49 119.09 117.89         
             117.89
                                                                               
             ^^^^^^
そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1025/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/11/12  12:25  (447)
◎2014年9月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容                                         14/12/04 18:07 修正 第3版

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −95.3%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991  107     83     67     52     41     35     28     26     29     37     
66     76    647
  (CO2)  68.48  53.12  42.88  33.28  26.24  22.40  17.92  16.64  18.56  23.60  
42.24  48.64 414.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992  110     90     78     53     56     46     39     26     32     49     
55     73    707
  (CO2)  70.40  57.60  49.92  33.92  35.84  29.44  24.96  16.64  20.48  31.36  
35.20  46.72 452.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993  128    100     91     57     49     35     31     27     34     61     
19     78    710
  (CO2)  81.92  64.00  58.24  36.48  31.36  22.40  19.84  17.28  21.76  39.04  
12.16  49.92 454.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994  109     89     84     74     58     39     30     22     28     30     
49     73    685
  (CO2)  69.76  56.96  53.76  47.36  37.12  24.96  19.20  14.08  17.92  19.20  
31.36  46.72 438.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995  128     96     82     45     35     30     35     19     29     34     
50     85    668
  (CO2)  81.92  61.44  52.48  28.80  22.40  19.20  22.40  12.16  18.56  21.76  
32.00  54.40 427.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996  126    107     95     68     48     37     29     25     26     31     
44     57    693
  (CO2)  80.64  68.48  60.80  43.52  30.72  23.68  18.56  16.00  16.64  19.84  
28.16  36.48 443.52                                                            
                     
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997  100    107     59     43     39     29     27     30     32     48     
59     96    669
  (CO2)  64.00  68.48  37.76  27.52  24.96  18.56  17.28  19.20  20.48  30.72  
37.76  61.44 428.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
26     29     29
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
16.64  18.56  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    3      4      2      3      2      2      2      1      3            
              22
  (CO2)   1.92   2.56   1.28   1.92   1.28   1.28   1.28   0.64   1.92         
              14.08
    累    3      7      9     12     14     16     18     19     22            
              22
  (CO2)   1.92   4.48   5.76   7.68   8.96  10.24  11.52  12.16  14.08         
              14.08
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率166.67 114.29 122.22 108.33 107.14 106.25 105.56 105.26 100.00         
             100.00
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −57.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991    -     36      -     43      -     43      -     50      -     42     
 -     63    277
  (CO2)   -      5.76          6.88          6.88          8.00   -      6.72  
 -     10.08  44.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992    -     39      -     59      -     46      -     58      -     52     
 -     59    313
  (CO2)   -      6.24   -      9.44   -      7.36   -      9.28   -      8.32  
 -      9.44  50.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993    -     49      -     40      -     52      -     45      -     55     
 -     39    280
  (CO2)   -      7.84   -      6.40   -      8.32   -      7.20   -      8.80  
 -      6.24  44.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994    -     44      -     45      -     48      -     65      -     47     
 -     51    300
  (CO2)   -      7.04   -      7.20   -      7.68   -     10.40   -      7.52  
 -      8.16  48.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995    -     44      -     55      -     52      -     56      -     51     
 -     49    307
  (CO2)   -      7.04   -      8.80   -      8.32   -      8.96   -      8.16  
 -      7.84  49.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996    -     45      -     43      -     48      -     46      -     48     
 -     46    276
  (CO2)   -      7.20   -      6.88   -      7.68   -      7.36   -      7.68  
 -      7.36  44.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997    -     51      -     44      -     43      -     50      -     50     
 -     56    294
  (CO2)   -      8.16   -      7.04   -      6.88   -      8.00   -      8.00  
 -      8.96  47.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -    102    102   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -     16.32  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     15      -     15      -     17      -     19      -         
 -            66          
  (CO2)   -      2.40   -      2.40   -      2.72   -      3.04   -         
 -            10.52       
    累    -     15      -     30      -     47      -     66      -          
 -            66          
  (CO2)   -      2.40   -      4.80   -      7.52   -     10.52   -         
 -            10.52       
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率  -    106.67   -    110.00   -    106.38   -    104.55   -         
 -           104.56 
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −71.49%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
--------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60  656.16
  1991  132.08 114.68  88.12  82.16  66.92  78.36  80.44  98.92  94.04  80.60 1
01.52 119.08 1137.00
  1992  145.88 127.44 112.24 107.56  84.56  85.64  76.60 126.12 106.28 101.00 1
13.08 127.92 1333.32
  1993  164.72 142.40 123.28 113.56  98.08  98.76  87.28 123.68 107.56 116.48  
83.08 128.76 1376.64
  1994  153.76 149.32 125.88 115.16  93.16  90.36 104.76 134.52 101.44  87.44  
99.16 119.80 1374.40
  1995  158.36 130.52 109.36  87.40  86.36  84.76  92.24 109.88  85.52  81.64  
86.12 109.52 1220.63
  1996  141.00 124.16 112.64 101.88  87.24  82.00  82.40  98.84  81.32  74.92  
78.56  95.80 1160.76
  1997  126.88 132.68  91.16  88.92  79.32  75.12  93.24 103.76  84.08  86.84  
89.00 119.24 1167.84
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92  677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60  632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28  461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28  652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32  589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60  509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96  467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28  455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72  477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72  457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64  457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40  443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72  412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36  392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64  375.04
  2013   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
  ……………………………………………………………………………………………………
……………………………
  目標   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
    累   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64 2
87.12 309.56  309.56
  実績   23.40  25.00  20.72  23.64  21.32  22.96  24.32  24.80  22.92         
              209.08
  累計   23.40  48.40  69.12  92.76 114.08 137.04 161.36 186.12 209.08         
              209.08
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
  達成率135.21 127.93 126.04 126.05 123.91 121.04 118.77 117.39 116.81         
              116.81
                                                                               
              ^^^^^^
注1)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の
   水道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用
   量は0とします。

注2)2014年の報告書より3の(1)項〜(4)項に1991年から1997年の実績を追
   加しました。 当ボードの1文書の最大行数が500行までであることから
   これまでこの制限を超えないようこれらの掲載を省いていました。ところ
   が2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に分けて掲載す
   るようにしたため行数に余裕ができていて、更に今回、「そのA」の一部
   を「その@」に移すことで制限内に収めることが可能になったため掲載す
   ることにしました。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1026/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/11/12  12:27  (432)
◎2014年9月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         14/11/12 21:48 修正 第2版

4.考察

  「無秩序な経済活動や技術開発は世界を滅ぼす」

   人類の経済活動はもはや許容限度を遥かに超えており、世界の滅亡は間近
  に迫っています。世界の温室効果ガスの総排出量を許容値まで削減するため
  には、世界の国々がいつまでどのように分担するのかを緊急に決定し、その
  目標を達成できるよう秩序だった経済活動やその一部である技術開発を行う
  必要があります。現在は開発優先・先行ですべてが無秩序ですから危機的状
  況です。これでは地球はとても持ちません。まず、文明を持続可能にするた
  めの道筋をつけてから次なる進歩について考えるのが順序です。
   新たな開発は膨大なエネルギーを消費するので温室効果ガスの排出量が増
  えます。海や川や森林等の自然環境を壊して行う開発なら直接的環境破壊も
  伴います。企業は存続と成長のため新しい技術を開発し買い替えさせようと
  します。すると消費者はまだ使える物を廃棄して新しい製品に買い替えます。
  これも温室効果ガスの増加や環境破壊を招きます。もしもその開発がより大
  きくより強くより速くより綺麗にすることが目的なら旧製品に比べてより多
  くのエネルギーを消費するので、この意味でも温室効果ガスの増加につなが
  ります。これが無秩序な経済活動や技術開発の意味です。ですから単に企業
  の存続や成長を目指す営みであるなら地球環境は破壊される一方になってし
  まいます。これを防ぐには文明を持続可能にするための国際的ルールを作り、
  ルールの下で経済活動を営まなければなりません。
   政治が企業の代弁をしていたら、一体、誰が世界を救うのでしょうか。国
  が行う電源開発等の途上国への経済・技術支援は確かに途上国の経済発展を
  急ピッチで進め貢献できるでしょうが、同時に温室効果ガスの排出量を急速
  に増大させ更に地球温暖化を加速させます。また企業による途上国への自動
  車や家電等の工業製品の輸出も途上国のライフスタイルを一変させ、経済を
  エネルギー多消費型に変え地球温暖化等の環境破壊を加速させます。原発の
  輸出も企業は儲かり、国の収入も増えるでしょうが、放射能汚染の危険性を
  高め拡散させることにつながります。原発を増やしても温暖化は止められず、
  異常気象や海面上昇や灼熱の地獄は来るので、その時は原発と高濃度放射性
  廃棄物の処分地から大量の放射能が漏れ地球規模に拡散します。つまり、こ
  れらの温暖化に伴う災害に放射能汚染も加わり、2億5000万年のペルム
  紀よりも更に壊滅的な大量絶滅が起こることになります。経済合理性のみを
  追求する世界は想像するよりも遥かに早く滅んでしまうのです。

   ●パン・ギムン事務総長が呼びかけて実現した「国連気候サミット」で
    同事務総長は、我々の決断が世界の将来を決める。危機に対処するため
    みなが力を合わせねばならない。
    |今年3月に北極圏のグリーンランドでは巨大な氷河が急速に海に溶|
    |け出す現場を視察したり、猛烈な台風に襲われたフィリピンの被災|
    |地も訪れ温暖化によるものと見られる異常気象や自然災害が人々の|
    |暮らしに与える影響を目の当たりにして来た。         |

   ●IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最新の報告は、世界の平
    均気温をが2度以上上昇すると熱波や集中豪雨などの危険が更に高まる
    と警告。(何も対策しなかった場合、産業革命前から今世紀末までに世
    界の平均気温が4度位上昇すると予測されている)

   ●IPCCのシナリオによれば、今世紀末までに気温上昇を2度以内に抑
    えるには大幅な排出抑制しなければ非常に難しい状況。

   ●WMO(世界気象機関)は、将来のために地球を守ろうとするならもう
    時間はなく、温室効果ガス抑制のために緊急の行動が必要だ。

   ●気象庁の小出寛全球大気監視調査官は、二酸化炭素濃度は過去80万年
    で例のない増加のしかたをしている。気候システムにどういう影響を与
    えるかは現代科学でも未知の部分もあるので、急激な変化が起きてくる
    可能性がないわけではないので、温室効果ガスの観測を地道に精密に続
    けていくことが非常に大切だ。

   ●WMOのジャロー事務局長は、地球を将来世代に残そうと思うなら、温
    室効果ガスの新規排出を抑制するために緊急に行動が必要である。残り
    時間はほとんどない。

   ●WMOのジャロー事務局長は、待てば待つほど大変なことになる。年々
    二酸化炭素の濃度が高くなっているのだから。

  ★9月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @9/09
     ・WMOが2013年のCO2濃度が過去最高になったと発表
        WMOが2013年のCO2の地球平均濃度が1984年の
       統計開始以来、最高値の396ppmを記録したと発表。
       (2014年4月には北半球の全観測点で二酸化炭素濃度が
       400ppmを超えたと発表)

   @9/11
     ・北海道に洪水や土砂災害(大雨特別警報)
        偏西風の蛇行で北方から冷気が流れ込んで大気が不安定になっ
       たことが原因。(蛇行の根本的原因は温暖化と北極圏の氷の急減)

   @9/17
     ・自作冷風扇1号機の収納準備
        タンクの水を抜きフィルターを洗い、本体ごとベランダで半日
       干しました。

   @9/18
     ・ペダルペール小(丸型5L)を買い替え
        ペダルペール小(丸型5L)は2013年4月26日に購入し
       たもので、昔コンビニ等で貰った大量のレジ袋(小)を有効利用
       するために導入しました。これまで何度かの期間使用して来まし
       たが、今期間は2014年5月27日からでした。ところが最近、
       蓋の開閉がスムースできなくなっていて、とうとうこの日になり
       ペダルを踏んでも蓋が開かなくなりました。修理しようとしまし
       たが、蓋の軸を支えるプラスチック部品が破損しており、ここを
       接着剤で固定したとしても強度的に持たないと判断しました。蓋
       を一々手で開けるのでは不便ですしペダルペールの意味がなくな
       ります。仕方なく同じ物に買い替えました。(このようにサイズ
       が小さいペダルペールは他にはないので)
        これにより在庫がまだ沢山あるレジ袋(小)を今後とも有効利
       用できるようになりました。

   @9/23
     ・ニューヨーク国連本部で「国連気候サミット」が開催される
        各国の気象キャスターがWMOからの依頼で、このまま対策が
       取られなかった場合の2050年の天気予報を発表しました。
       日本からはニュースウォッチ9の井田寛子キャスターが出席しま
       した。
        x井田キャスターの9月23日の天気予報
           お彼岸になっても厳しい暑さがおさまりません。仙台で
          は32度、名古屋は36度、東京は35度まで気温が上が
          りました。この熱波の影響で今年の京都の紅葉の見ごろは
          クリスマスころとなりそうです。
        xフィリピンのキャスター
           フィリピンでは大きな災害が発生します。気温と海水温
          の上昇で強力な嵐やサイクロンが発生します。台風と海面
          上昇が重なり甚大な被害をもたらすでしょう。
        x各国からは
           温暖化によって産業や生態系に影響が出るという予報も
          出されました。
        xアメリカのキャスター
           ほとんど氷がない北極圏ではクルーズや原油の採掘も行
          われています。アラスカ州アンカレッジでは2060年夏
          のオリンピックが開かれます。
        xアイスランドのキャスター
           マダニなどが引き起こす病気が発生するようになりまし
          た。気温が高くなり森林が広がるとより一層増えるでしょ
          う。

   @9/26
     ・デング熱感染者が新たに3人増え17都道府県の計147人になる
        8月27日に確認された埼玉県内に住む10代後半の女性が
       感染第1号で、海外渡航歴のない人の国内感染は約70年ぶりだ
       ということです。(10月15日で159人が最後)
        温暖化で疫病が増えることは以前から言われていましたが、他
       にもっと怖いエボラ出血熱やMERS(中東呼吸器症候群)もあ
       るし、急速に温暖化する未来が懸念されます。

  ★冷風扇等の使用状況

    今年の夏は不順で、8月下旬頃から自作冷風扇を点けても途中で弱に切
   り替えたり、消灯前後に消したりする日々もありました。そして9月にな
   るとほとんど使わなくなりました。昨年は9月22日まで使っていたので
   すが。
    気象庁から気象データを検索したところやはり今年の夏が涼しめだった
   ことが裏づけられました。特に9月は低めで、それで残暑がほとんどあり
   ませんでした。(下表)

            ◆ 月別平均気温 ◆
       | 2011年| 2012年| 2013年| 2014年
    −−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−
    7月 | 27.6 | 29.0 | 26.8 | 26.1
    8月 | 27.4 | 29.0 | 28.4 | 27.0
    9月 | 24.8 | 25.5 | 24.0 | 22.1
    −−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−+−−−−−−

    そして下記が冷風扇の使用状況です。初旬は風量がより大きい天井排気
   ファンだけ点けて寝ていましたが、それ以降は風量が小さく消費電力も少
   ない天井換気扇(ダクトファン)だけ点けて寝ていました。

    月/ 日 天井排気 天 井 給気口 冷風扇 布 団  掛け物
          ファン 換気扇         敷方向
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    9/ 1  ON  OFF 天 井 OFF 東 西 タオルケット
    9/ 2  ON  OFF サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/ 3  ON  OFF サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/ 4  ON  OFF サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/ 5  ON  OFF サッシ 強弱弱 南 北 タオルケット
    9/ 6  ON  OFF サッシ 強弱消 南 北 タオルケット
    9/ 7  ON  OFF サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/ 8  ON  OFF サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/ 9  ON  OFF サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/10  ON  OFF サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/11  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/12  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/13  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/14  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/15  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/16  OFF  弱  サッシ OFF 東 西   無
    9/17  OFF  弱  サッシ OFF 東 西   無
    9/18  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 夏掛け布団
    9/19  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/20  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/21  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/22  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/23  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/24  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/25  OFF  弱  サッシ OFF 東 西 タオルケット
    9/26  OFF  弱  天 井 OFF 東 西 タオルケット
    9/27  OFF  弱  天 井 OFF 東 西 タオルケット
    9/28  OFF  弱  天 井 OFF 東 西 タオルケット
    9/29  OFF  弱  天 井 OFF 東 西 タオルケット
    9/30  ON  OFF サッシ OFF 東 西 タオルケット


  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    9月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
         前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                     0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がなく、内風呂を立てられる日がありませんでした。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが1回、妻一人で行ったのが0
   回、妻と二人で行ったのが2回でした。時間的余裕がなく銭湯へ行った回
   数も極端に少なくなりました。しかし、太陽熱温水器が毎日沢山お湯を作
   ってくれ必要な時にシャワー入浴できたので衛生上は問題ありませんでし
   た。

    注1)ガスの9月度とは今年は8月22日から9月22日の31日間で
       した。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は
       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    9月度の16台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        37740  21.57
    炊飯器等        2100   1.20
    オーブンレンジ     5360   3.06
    オーブルトースター等  4420   2.53
    25Cm換気扇壁掛扇	 200   0.11
    DKテーブルコンセント    0   0.00
    46V液晶       8570   4.90
    水槽         28560  16.32
    妻コンセント      3890   2.22
    洗濯機等         810   0.46
    PC関係       26030  14.87
    AV機器        8150   4.66
    BDレコーダー    10310   5.89
    冷風扇アンカ等     1660   0.95
    屋根裏換気扇         0   0.00
    天井換気扇       3060   1.75
    その他        34140  19.51
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        175000 100.00

    注1)電気の9月度とは今年は8月29日から9月30日の32日間で
       した。東京電力の検針日に合わせています。
    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット16台の合計を
       差し引いて求めています。

    昨年9月が190KWhだったものが今年は175KWhと15KWh
   も減りました。(使用日数は昨年も今年も32日間だったので換算不要)
   減った原因を調べるため「減少量表」と「増加量表」の2つの表を作成し
   ました。

    順位   用  途     2013年  2014年   減少量
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     1.冷風扇アンカ等     7220   1660  5560
     2.その他        47470  44450  3020
     3.冷蔵庫        40570  37740  2830
     4.PC関係       27890  26030  1860
     5.46V液晶       9820   8570  1250
     6.25Cm換気扇壁掛扇  1240    200  1040
     7.炊飯器等        2940   2100   840
     8.オーブンレンジ     5870   5360   510
     9.妻コンセント      4180   3890   290
    10.水槽         28780  28560   220
    11.屋根裏換気扇       120      0   120
    12.DKテーブルコンセント    0      0     0
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          合 計    176100 158560 17540

    順位   用  途     2013年  2014年   増加量
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     1.オーブルトースター等  2920   4420  1500
     2.AV機器        7330   8150   820
     3.天井換気扇       2860   3060   200
     4.洗濯機等         790    810    20
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          合 計     13900  16440  2540

    注3)「BDレコーダー」だけの消費電力は2013年は測定していな
       く「その他」に加算されていたので、比較のため2014年分も
       「その他」に「BDレコーダー」の消費電力を加算した値をこの
       表での「その他」としました。
       
    注4)「DKテーブルコンセント」は2013年は1000Whでした
       が、壁掛け化前の「25Cm換気扇壁掛扇」の消費電力を測って
       いたので、この値を「25Cm換気扇壁掛扇」に加算し自分は0
       としました。(昨年9月9日にワットメーターを移行)

    減った原因は「冷風扇アンカ等」「その他」「冷蔵庫」「PC関係」
   「46V液晶」「25Cm換気扇壁掛扇」の上位6用途で15560Wh
   となり全体の増加量15KWhを超えるのでこれが主因となります。
    「冷風扇アンカ等」が減った原因は、前述した「★冷風扇等の使用状況
   」で述べた通りここ数年で最も平均気温が低くほとんど冷風扇を点けなか
   ったからです。本来なら自作冷風扇の消費電力が昨年まで使用していたも
   のより小さくなったからという理由もつけ加えるところですが、ほとんど
   使用しなかったので書きませんでした。
    「その他」が減った原因は、昨年12月13日に居間の照明を蛍光灯か
   らLED照明に交換し26W節電したからだと考えられます。毎日4時間
   点けたとすると26Wx4hx32日=3328Whとなり、「その他」
   の減少量3020Whに近い値になりますから間違いありません。
    「冷蔵庫」が2830Wh減った原因は、「冷風扇アンカ等」と同じく
   涼しかったからです。冷蔵庫は24時間動きっ放しになるので平均気温の
   低さが諸に消費電力の減少に繋がるからです。
    「PC関係」が減った原因は、7月初旬に省エネなJ1900マシンの
   セットアップが終わり使い始めたからです。消費電力が以前のAtomマ
   シンより4割位少なくなったからです。液晶モニタをLED液晶モニタに
   買い替えて16.3W節電したという取組もありましたが、これは昨年7
   月のことなので9月は両年共織り込み済みなので関係ありません。
    DKの「46V液晶」で1250Wh減ったのもその時々の使用状況で
   使用時間がたまたま短かったからです。僅か1250Whのことなので。
    DKの「25Cm換気扇壁掛扇」が減った原因は、涼しかったことと、
   パワーコントローラーを導入して必要最低限の回転数で使い省エネできた
   からです。1040Whという僅かな削減量ですが、風が強過ぎれば寒い
   ので調整できた方が良いですし、少しでも節電することは全てにとって良
   いことですから。
    増えた原因は「オーブルトースター等」「AV機器」「天井換気扇」
   「洗濯機等」で合計2540Whですが、その時々の使用状況の中で起こ
   った偶然であり特に原因はありません。
    よって11用途で17540Wh減少し、4用途で2540Wh増加し
   差引き15000Wh(15KWh)の削減となりました、

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標190KWhのところ実績175Whと目標以上に削減でき
   ました。削減できた原因は前項で説明した通りです。
    年初からの累計でも目標1812KWhのところ実績1537KWhに
   収まり、達成率117.89%で余裕を持って目標を達成することができ
   ました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標2m3のところ実績3m3と目標をオーバーしました。9月が
   涼しかったことは確かにガスの使用量の増加要因になりますが、調べた結
   果、それよりも検針がm3単位と粗いことに起因していることが分りました。
   7月〜9月のガスの使用量をリットル単位で調べたところ下表の通りとな
   りました。だから実質的にはほぼ目標を達成していました。

         目標    検針票の使用量   リットル単位の使用量
    7月   2m3      2m3       1347L
    8月   1m3      1m3       1534L
    9月   2m3      3m3       2284L
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    合計   5m3      6m3       5165L
                           (≒5m3)
    年初からの累計では目標22m3のところ実績もちょうど22m3で達成
   率100.00%で目標を達成することができました。

  ★水道の削減実績

    水道は偶数月以外は検針がないので今月は実績がありません。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標24.08Kgのところ実績
   22.92Kgと目標内に収まりました。
    年初からの累計でも目標242.56Kgのところ実績209.04
   Kgと大幅に削減でき、達成率115.81%と大きな余裕を持って目標
   を達成することができました。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                     |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                       |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#1027/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/11/30  12:56  (347)
◎2014年10月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 昨2013年は、5月に省エネbP冷蔵庫を導入し省エネを飛躍的に前進させ
ました。5月中旬から12月末までの7カ月半で前年の同期間より256KWh
(47.7%)も削減できました。丸1年使用すればもっと削減できるわけで、
買い替えるだけで何も努力せずにこれだけ削減できる家電は他にはありません。
 それから各部屋の液晶テレビをLED液晶テレビに買い替えたことも省エネに
大きく貢献しました。DKの32Vを46Vに、自室の46Vと26Vを46V
と32Vに、妻の26Vを32Vにと合計4台の液晶テレビをLED液晶テレビ
に買い替えることで年間180KWh(42.5%)も削減できました。同様に
丸1年使用すればこれ以上の削減になるわけです。
 その他、照明のLED化等の対策により、年間では2012年に2792KW
hだったものが2013年は2289KWhと503KWh(18.0%)も削
減できました。これは2000年の1425KWh(27.0%)に次ぐ削減量
(率)になります。2000年は冷暖房全廃を始めた年で特別に大きかったので
す。ちなみに最も増加量(率)が大きかったのは1992年の1268KWh(
22.4%)でした。
 そして今年2014年は、昨年までに大きな対策は実施済みなのでこれと言っ
た対策は計画しておりません。日々を暮らしながらまた考えて行きたいと思って
います。今年も昨2013年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしま
した。ただし、昨年途中から実施した削減対策があるので、これ以上何も対策を
実施しなくても今年は昨年以上に削減が進むことになります。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2014年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減実績 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%

2014 削減目標 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2289x0.12= 274.68Kg
  (2) ガス=  29x0.64=  18.56Kg
  (3) 水道= 102x0.16=  16.32Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2014年のCO2 排出目標 309.56Kg(炭素換算)
             (削減率 71.49%)


3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −58.1%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1991  530    465    377    350    339    409    521    619    629    419    4
94    503   5655
 (CO2)  63.60  55.80  45.24  42.00  40.68  49.08  62.52  74.28  75.48  50.28  
59.28  60.36 678.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1992  629    530    511    535    406    407    597    835    715    511    6
49    598   6923
 (CO2)  75.48  63.60  61.32  64.20  48.72  48.84  71.64 100.20  85.80  61.32  
77.88  71.76 830.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1993  690    588    542    589    556    567    562    735    715    572    5
91    605   7312
 (CO2)  82.80  70.56  65.04  70.68  66.72  68.04  67.44  88.20  85.80  68.64  
70.92  72.60 877.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1994  700    711    601    505    467    481    713    914    696    506    5
65    541   7400
 (CO2)  84.00  85.32  72.12  60.60  56.04  57.72  85.56 110.04  83.52  60.72  
67.80  64.92 888.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1995  637    517    475    415    533    477    582    729    558    431    4
51    394   6199
 (CO2)  76.44  62.04  56.88  49.80  63.96  57.24  69.84  87.48  66.96  51.72  
54.12  47.28 743.99
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1996  503    404    432    429    471    422    532    629    539    395    4
20    433   5609
 (CO2)  60.36  48.48  51.84  51.48  56.52  50.64  63.84  75.48  64.68  47.40  
50.40  51.96 673.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1997  524    467    445    453    433    414    633    638    530    401    4
27    407   5772
 (CO2)  62.88  56.04  53.40  54.36  54.36  49.68  75.96  76.56  63.60  48.12  
51.24  48.84 692.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978   21
38   2289   2289
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36 2
56.56 274.68 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  179    167    162    161    167    158    192    176    175    152     
            1689
  (CO2)  21.48  20.04  19.44  19.32  20.04  18.96  23.04  21.12  21.00  18.24  
             202.68
    累  179    346    508    669    836    994   1186   1362   1537   1689     
            1689
  (CO2)  21.48  41.52  60.96  80.28 100.32 119.28 142.32 163.44 184.44 202.68  
             202.68
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率132.40 130.64 127,17 128.70 126.08 123.24 120.49 119.09 117.89 117.11  
             117.11
                                                                               
             ^^^^^^
そのAへ続く
                                 ヨウジ
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#1028/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/11/30  12:57  (447)
◎2014年10月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容                                         14/12/04 18:04 修正 第3版

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −95.3%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991  107     83     67     52     41     35     28     26     29     37     
66     76    647
  (CO2)  68.48  53.12  42.88  33.28  26.24  22.40  17.92  16.64  18.56  23.60  
42.24  48.64 414.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992  110     90     78     53     56     46     39     26     32     49     
55     73    707
  (CO2)  70.40  57.60  49.92  33.92  35.84  29.44  24.96  16.64  20.48  31.36  
35.20  46.72 452.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993  128    100     91     57     49     35     31     27     34     61     
19     78    710
  (CO2)  81.92  64.00  58.24  36.48  31.36  22.40  19.84  17.28  21.76  39.04  
12.16  49.92 454.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994  109     89     84     74     58     39     30     22     28     30     
49     73    685
  (CO2)  69.76  56.96  53.76  47.36  37.12  24.96  19.20  14.08  17.92  19.20  
31.36  46.72 438.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995  128     96     82     45     35     30     35     19     29     34     
50     85    668
  (CO2)  81.92  61.44  52.48  28.80  22.40  19.20  22.40  12.16  18.56  21.76  
32.00  54.40 427.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996  126    107     95     68     48     37     29     25     26     31     
44     57    693
  (CO2)  80.64  68.48  60.80  43.52  30.72  23.68  18.56  16.00  16.64  19.84  
28.16  36.48 443.52                                                            
                     
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997  100    107     59     43     39     29     27     30     32     48     
59     96    669
  (CO2)  64.00  68.48  37.76  27.52  24.96  18.56  17.28  19.20  20.48  30.72  
37.76  61.44 428.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
26     29     29
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
16.64  18.56  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    3      4      2      3      2      2      2      1      3      2     
              24
  (CO2)   1.92   2.56   1.28   1.92   1.28   1.28   1.28   0.64   1.92   1.28  
              15.36
    累    3      7      9     12     14     16     18     19     22     24     
              24
  (CO2)   1.92   4.48   5.76   7.68   8.96  10.24  11.52  12.16  14.08  15.36  
              15.36
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率166.67 114.29 122.22 108.33 107.14 106.25 105.56 105.26 100.00 100.00  
             100.00
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −57.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991    -     36      -     43      -     43      -     50      -     42     
 -     63    277
  (CO2)   -      5.76          6.88          6.88          8.00   -      6.72  
 -     10.08  44.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992    -     39      -     59      -     46      -     58      -     52     
 -     59    313
  (CO2)   -      6.24   -      9.44   -      7.36   -      9.28   -      8.32  
 -      9.44  50.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993    -     49      -     40      -     52      -     45      -     55     
 -     39    280
  (CO2)   -      7.84   -      6.40   -      8.32   -      7.20   -      8.80  
 -      6.24  44.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994    -     44      -     45      -     48      -     65      -     47     
 -     51    300
  (CO2)   -      7.04   -      7.20   -      7.68   -     10.40   -      7.52  
 -      8.16  48.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995    -     44      -     55      -     52      -     56      -     51     
 -     49    307
  (CO2)   -      7.04   -      8.80   -      8.32   -      8.96   -      8.16  
 -      7.84  49.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996    -     45      -     43      -     48      -     46      -     48     
 -     46    276
  (CO2)   -      7.20   -      6.88   -      7.68   -      7.36   -      7.68  
 -      7.36  44.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997    -     51      -     44      -     43      -     50      -     50     
 -     56    294
  (CO2)   -      8.16   -      7.04   -      6.88   -      8.00   -      8.00  
 -      8.96  47.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -    102    102   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -     16.32  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     15      -     15      -     17      -     19      -     17   
 -            83          
  (CO2)   -      2.40   -      2.40   -      2.72   -      3.04   -      2.72  
 -            13.28       
    累    -     15      -     30      -     47      -     66      -     83    
 -            83          
  (CO2)   -      2.40   -      4.80   -      7.52   -     10.52   -     13.28  
 -            13.28       
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率  -    106.67   -    110.00   -    106.38   -    104.55   -    104.82  
 -           104.82 
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −71.49%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
--------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60  656.16
  1991  132.08 114.68  88.12  82.16  66.92  78.36  80.44  98.92  94.04  80.60 1
01.52 119.08 1137.00
  1992  145.88 127.44 112.24 107.56  84.56  85.64  76.60 126.12 106.28 101.00 1
13.08 127.92 1333.32
  1993  164.72 142.40 123.28 113.56  98.08  98.76  87.28 123.68 107.56 116.48  
83.08 128.76 1376.64
  1994  153.76 149.32 125.88 115.16  93.16  90.36 104.76 134.52 101.44  87.44  
99.16 119.80 1374.40
  1995  158.36 130.52 109.36  87.40  86.36  84.76  92.24 109.88  85.52  81.64  
86.12 109.52 1220.63
  1996  141.00 124.16 112.64 101.88  87.24  82.00  82.40  98.84  81.32  74.92  
78.56  95.80 1160.76
  1997  126.88 132.68  91.16  88.92  79.32  75.12  93.24 103.76  84.08  86.84  
89.00 119.24 1167.84
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92  677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60  632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28  461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28  652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32  589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60  509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96  467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28  455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72  477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72  457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64  457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40  443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72  412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36  392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64  375.04
  2013   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
  ……………………………………………………………………………………………………
……………………………
  目標   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
    累   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64 2
87.12 309.56  309.56
  実績   23.40  25.00  20.72  23.64  21.32  22.96  24.32  24.80  22.92  22.24  
              231.32
  累計   23.40  48.40  69.12  92.76 114.08 137.04 161.36 186.12 209.04 231.32  
              231.32
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
  達成率135.21 127.93 126.04 126.05 123.91 121.04 118.77 117.39 115.81 115.27  
              115.27
                                                                               
              ^^^^^^
注1)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の
   水道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用
   量は0とします。

注2)2014年の報告書より3の(1)項〜(4)項に1991年から1997年の実績を追
   加しました。 当ボードの1文書の最大行数が500行までであることから
   これまでこの制限を超えないようこれらの掲載を省いていました。ところ
   が2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に分けて掲載す
   るようにしたため行数に余裕ができていて、更に今回、「そのA」の一部
   を「その@」に移すことで制限内に収めることが可能になったため掲載す
   ることにしました。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1029/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  14/11/30  12:59  (494)
◎2014年10月度 CO2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容                                         14/12/13 18:46 修正 第3版

4.考察

  「デフレは必然であり必須である」

   日本は少子高齢化と人口減少が続いています。需要が供給を下回るからデ
  フレとなり生産調整しバランスを取ろうとします。給与も下がり従業員が削
  減されます。このようなことが社会全体で連鎖的に進行し経済規模が縮小し
  ます。生活必需品以外の贅沢品から物が市場から消えて行きます。するとエ
  ネルギー消費量が減り、温室効果ガスの排出量も減り、地球温暖化が緩和さ
  れます。
   企業や政府がこれに逆らってこれまで通りの水準を維持または拡大させよ
  うとするところから今日の地球環境の危機的問題が起こりました。デフレに
  逆らわず時間を巻き戻せば自ずと環境問題も解決するのです。社会の秩序が
  維持できるようバランス良く経済を縮小させることこそか地球温暖化問題の
  根本的な解決策ではないでしょうか。
   インフレにしないと経済が好循環しないと言いながら、中央銀行が大量の
  通貨を発行して市場にバラまき無理やりインフレを起こして景気を良くしよ
  うとすることは、経済が持つ優れた調節能力を奪うものです。デフレになっ
  ても社会秩序を維持できるよう経済の仕組みを改革する必要があります。経
  済が縮小しても社会秩序を維持するには、給与を引き下げてでも雇用を維持
  したり、正社員や派遣社員や非正規社員の区別をなくす等の方法で格差を是
  正しなければ達成できません。機械化・自動化率を引き下げて機械にやらせ
  ていた仕事を人間に返し多人数で担うのです。生産性は下がりますが多人数
  を雇用できるようになります。すると所得に比べ物価が相対的に高くなり贅
  沢品は買えなくなりますが、エネルギーの消費量も温室効果ガスの排出量も
  減らすことができます。時間を巻き戻せば環境も人の心も美しい古き良き時
  代に戻るのです。「貧しく清く美しく」
   巨額の債務(財政赤字)は特別処理するよりありません。幸い対外債務は
  少ないので処理可能です。「債務を減らすには景気を良くしなければ」と考
  えていたらいつまで経っても問題は解決しません。景気は一方的には良くな
  らず、良くなってもまたすぐ悪くなります。景気を良くするための公共投資
  も効果は一時的で景気が良くならないばかりかまた債務が膨張して財政再建
  が遠のきます。日本は長年このようなことを繰り返し1000兆円を超える
  巨額の債務を背負い込む国となってしまいました。
   このような巨額な債務は到底返済不可能です。このようなことを繰り返し
  ていたら経済が良くならないばかりか環境問題も解決できず世界が終わりに
  なってしまいます。だから債務を特別処理するよりありません。そしてデフ
  レに乗って環境問題も同時解決させるのです。
   経済がグローバル化した中で日本だけがこのような常識外れの政策を取る
  ことはできませんが、人類の経済活動が地球の生態系に壊滅的な影響を及ぼ
  すところまで膨張した現状を直視すれば、これまでの人類のあり方を根本的
  に変える思い切った改革が必要になっていることは明らかです。WMO(世
  界気象機関)のジャロー事務局長が、「将来のために地球を守ろうとするな
  らもう時間はなく、温室効果ガス抑制のために緊急の行動が必要である」、
  また「待てば待つほど大変なことになる。年々、二酸化炭素の濃度が高くな
  っているのだから」と警鐘を鳴らしているように、対策を先延ばしすればす
  る程、地球環境の破壊が加速度的に進み災害による被害が拡大し深刻化しま
  す。世界の国々がこれまで通りの経済成長優先の政策を続けていたら、それ
  により得られる経済的利益よりも遥かに大きな経済的損失を被るようになり
  ます。いえ、単なる経済的損失だけでなく環境悪化で陸でも海でも食物連鎖
  ができなくなり、その頂点に立つ人類にも問題を放置してきたつけが回って
  来ます。飲み水や食料の確保も難しくなり生命をつなぐことさえ難しくなり
  ます。
   ここまで問題が大きくなると単なる小手先の対策では済みません。機械の
  効率を高めてもCO2 の排出量は精々数十パーセントしか削減できません。
  車や電気製品がその例です。マイカーの使用を止め自転車や電車等の公共交
  通機関を利用するというようなライフスタイルの変更が必要です。地方では
  マイカーの普及がローカル線を廃止しに追い込み、同時に温暖化を加速させ
  ました。そして公共交通機関がなくなったので車がないと生活できなくなり、
  「環境問題」「環境問題」と言われても車が手放せなくなりました。帰郷す
  るのに新幹線等の公共交通機関を使わず車で帰ることが一般的になっていま
  す。一家で揃って帰ると交通費が公共交通機関よりマイカーのガソリン代の
  方が安くなるからです。車を持っていて維持費が掛かっているから使わない
  と損ということもあります。でも温暖化を加速させました。買物も子供を連
  れて行ったり荷物を運ぶことを考えると車で行った方が楽だからとマイカー
  で買物に行くことも温暖化を加速させました。車の維持費も掛かるし、運動
  不足になるから病気になって医療費が掛かったり、スポーツジムに通わなけ
  ればならなくなり出費が増えました。そのジムに通うのにも車で行き温暖化
  を加速させました。
   このような問題を解決するには、自治体ごとにどのようにすれば温室効果
  ガスを最小にできるかを考えることから始めるのが良いのです。その中で公
  共施設や公共交通機関やシェア自転車等をどのように配置・整備すれば市民
  がマイカーを使わずに済むのかを考え対策するのです。物事を考える時に最
  初から環境保護第一に考えればそれ程難しいことではありません。これまで
  は環境保護についてまったく意識して来なかったので、地球環境が今日のよ
  うな危機的状況に陥りました。皆が問題意識を持つことが重要です。皆が関
  心を持ち問題の本質を良く理解することが重要です。
   冷暖房のために大量の電力を使うエアコンも、私が若かった頃は極一部の
  裕福な家庭でしか使っていませんでしたが、近年では使う家庭の方が圧倒的
  に多くなりました。しかも一家に1台ではなく、一人(一部屋)に1台と極
  めて贅沢な使い方になりました。その結果、自分がいる部屋の中は涼しくな
  りますが、外はヒートアイランド現象で都市ごと暑くなりましたし、更に
  CO2 増加で地球ごと暑くなりました。そして異常気象による災害で死傷者
  を含む甚大な損害が出ています。農作物が洪水で駄目になったり、干ばつで
  育たなくなったり滅茶苦茶です。そして地球はますます暑くなりますから、
  同じ涼しさにするには更に多くの電力を消費し、ますます温暖化が加速しま
  す。これだけの大量の電力を使えばいくら発電所を建設しても電力が足りな
  くなるのは当たり前です。真夏のピーク電力が問題になるわけです。
   またこれに合わせてコストが安い?からという口実で原発を増やし国民を
  放射能の危険にさらすようになりました。金に目がくらみ本末転倒になりま
  した。そして危惧が福島で現実化しました。原発のデメリットは事故や災害
  時の危険性だけではありません。莫大なコストと時間と危険性が伴う廃炉と
  いう作業が必ず後に残ります。また原発からは高濃度放射性廃棄物という極
  めて危険性の高い厄介者が出て溜り続けます。人里離れた場所の地下深くに
  埋設することが検討されていますが、安全になるまで何万年も掛かりその間
  に放射能が漏れ出したり地下水が汚染される危険性がつきまといます。日本
  は地震火山列島なので将来何が起こるか予測不能ですし、温暖化による想定
  外の異常現象も起こり得ます。危ないと感じることはやらないに越したこと
  はありません。
   それなのに既得権益である原発を存続させるためにクリーンエネルギーの
  開発には故意に消極的になっています。再生可能エネルギーに不安定である
  というデメリットがあるならすぐにそれを補う技術開発を行い整備を始める
  べきです。再生可能エネルギーは無尽蔵な究極のクリーンエネルギーです。
  国民皆から支持される安全安心なエネルギーです。再生可能エネルギーを最
  優先に推進させるべきです。「可能な限り増やして行く」という耳当たり良
  い言葉は、その場しのぎで実行が伴わなず空虚に聞こえます。目差しさえす
  れば脱原発はすぐにでも達成できるのです。万難を排し本腰を入れて地球温
  暖化問題に取組めば脱原発も早期に達成できるのです。
   経済成長させれば温室効果ガスもそれに比例して増加しますから、温暖化
  対策の基本が経済縮小にあることは明らかです。良く「今の経済を維持する
  には地球が○○個分必要だ」などと言われるように、現在の世界の経済規模
  は限界を遥かに超えています。人類が生存し続けるには経済規模を限界以下
  に縮小させる必要があります。各国政府は本当はプラス成長を目差すのでは
  なく経済縮小を目差さなければならないのです。
   ただし、CO2 削減に貢献できるグリーン産業だけは伸びることができま
  す。伸びるような対策を実施すれば伸びます。その対策とは環境税です。と
  ころが経済にマイナスになるからという理由でまだ導入されておらず、グリ
  ーン産業はまだそれ程伸びていません。しかし、地球環境の問題がここまで
  危機的になると自由主義経済下では他に効果の上がる対策がないため導入せ
  ざるを得なくなります。そして導入してグリーン産業が伸びればデフレによ
  るマイナス面を緩和させることができます。場合によっては経済をグリーン
  化させればプラス成長できる可能性もあります。しかし、目的はあくまでも
  成長ではなく危機回避です。
   私たち人類はこのまま滅びる道を突き進むのか、それとも大改革して子孫
  が生き残れる良好な環境を残すのか。答えは明白です。即時の決断と実行が
  迫られています。

  P.S.改革の中心は環境税の導入とデフレになっても秩序を維持できるよ
      う制度改革することです。世界的な大改革が必要です。

      経済成長させながら財政再建することが不可能であるのと同じよう
      に、経済成長させながら地球環境の危機を回避することも不可能で
      す。この認識から出発しないと問題を解決できません。

  「地方の人口減少問題は自治体の集約で対応すべきです」

   この問題も時代の必然で起こった問題です。自然な流れに逆らわず過疎化
  した複数の自治体を一つの自治体に移管・移住させて予算も施設も統合して
  全体として低予算でも存続できるようにすべきです。国の予算を投入して無
  理やり個々の自治体を存続させようとすることには無理があります。国は自
  治体の移管・移住に掛かる費用を補助すれば良いと考えます。(この問題も
  地球温暖化問題と関連して来ます)

  P.S. 放っておいても消滅するものはいずれ消滅するでしょうが、住民
      に困難と不幸が生ずるので、国が関わることでスムースに移行させ
      ることができます。

  ★10月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @10/02
     ・ゴミ箱をペダルペール大(角型15L)に切替え
        毎度お馴染みのDKの流し台近くで使っているゴミ箱の切替え
       のことです。この日よりペダルペール大(角型15L)に切替え
       ました。それまではペダルペール小(丸型5L)を使用していま
       したが、あれだけ大量にあったレジ袋(小)をとうとう使い切っ
       たからです。例によりペダルペール小は洗って干して待機場所に
       置きました。やはり大きい方がゴミの投入もし易いですし、収集
       日前に満杯になることがないので良いです。でも、ゴミを減らし
       清掃工場から排出されるCO2 を減らすために、今後とも他のサ
       イズのペダルペールも使い続けます。

   @10/05
     ・ベランダの遮光ネットを緊急避難
        台風18号が関東に接近するという予報が出されていたので、
       破損防止のため屋根型遮光ネットを下ろし、ベランダ東西の内側
       外側の4遮光カーテンを縮めてひもで固定しました。

   @10/06
     ・台風18号が上陸接近
        台風18号が8:15頃、浜松市に上陸し、11:30には
       横浜市を通過。しかし、こちら東京は風がなく昼前から雨も止
       み、午後からは晴れてしまいました。すぐに屋根型遮光ネット
       を引き上げ張り、ベランダ東西の内側外側の4遮光カーテンも
       伸ばし元通りにしました。災害に備えるということは空振りに
       なり骨折り損のくたびれ儲けになることが付きものです。

   @10/07
     ・ペダルペール極小(丸型3L)の導入
        レジ袋の有効利用を更に強化してレジ袋(極小)が使えるペダ
       ルペール極小(丸型3L)を導入しました。これによりペダルペ
       ールは4台体制となりました。このように小さなレジ袋は以前は
       猫砂を捨てるためだけに使用していました。つまり猫砂をレジ袋
       (極小)に溜めてから使用中ペダルペールに投入していました。
       しかし大分前から猫砂を使用中ペダルペールに直接投入するよう
       にしたので、レジ袋(極小)は使い道がなくなり溜っていました。
       極めて小さいレジ袋ですが、これだけただ捨てるのでは勿体無い
       しCO2 も増えるのでゴミ袋として有効利用することにしました。
        ペダルペール極小はこれまでのところまだ一度も使用していま
       せんが、将来、他のサイズのレジ袋がなくなった時に使うことに
       なります。

       注1) 買物には必ずショッピングバッグを持参します。購入した
         商品は、レジ袋をサービスしない店では勿論、ショッピング
         バッグに入れて持ち帰ります。またレジ袋のサービスを断る
         とポイントを付けてくれる店ではレジ袋を断って商品はやは
         りショッピングバッグに入れて持ち帰ります。
          一般的な無条件でレジ袋をサービスしてくれる店では、購
         入した商品をレジ袋に入れてくれる店はレジ袋に入れたまま
         持ち帰り、レジ袋は付けるが購入した商品をレジ袋に入れて
         くれない店では購入した商品をショッピングバッグに入れて
         持ち帰ります。ただし、無条件でレジ袋をサービスしてくれ
         る店でも、レジ袋が沢山溜っている場合や買物が少なく小さ
         なレジ袋になる場合はサービスを断ってショッピングバッグ
         に入れて持ち帰ります。
          要するにレジ袋をサービスしてくれる店ではレジ袋を貰っ
         てゴミ袋として利用ないしは再利用しているというこです。
         また貰ったレジ袋が商品を運ぶ途中で破れてしまった場合は、
         小さな破れであればセロテープで補修してゴミ袋として利用
         しています。特に大きなレジ袋は勿体無いですから有効利用
         しています。

       注2) レジ袋が捨てられゴミやCO2 増加の原因になっている
          ということでレジ袋を有料化しようとする動きがあります
          が、ゴミはビニール(ポリエチレン)袋に入れて収集場所
          に出すよう自治体から指示されているので、販売店のレジ
          袋のサービスがなくなれば、消費者が1度しか使わないゴ
          ミ出しのためにゴミ袋を買わなければならなくなります。
          買ったゴミ袋も同じようにゴミやCO2 増加の原因になり
          ますから問題の解決にはなりません。レジ袋をただ捨てず
          にゴミ袋として有効利用するよう教育するのが良いのでは
          ないでしょうか。

       注3) 昔(大昔)はゴミはポリバケツに入れて出していたので
          レジ袋(ゴミ袋)でゴミやCO2 が増加するという問題は
          ありませんでした。衛生面や収集の利便性を考えて現在の
          ような方式になったのだと考えられます。

   @10/13
     ・台風19号が上陸接近
        一時、900ヘクトパスカルまで発達した大型の台風19号は
       8:30に枕崎市付近に上陸し、その後14:30に宿毛市付近
       に再上し、20:30には岸和田市付に再上陸しました。そして
       翌未明には関東北部を通過しましたが、もうこの時には985〜
       990ヘクトパスカルまで弱まっていたので大した風は吹きませ
       んでした。遮光ネットを緊急避難させなくて良かったです。ただ
       東外側遮光カーテンだけは自動調整機能で少し縮まっていたので
       直しました。
     ・季節家電を収納
        夏が終わっても時々暑めの日が現れるので十分に涼しくなって
       から季節家電を収納しています。
        ◇自作20Cm換気扇扇風機(妻が居間で使用)
        ◇自作冷風扇1号機
        ◇自作冷風扇2号機
        ◇  冷風扇3号機(今後の開発用中古)

   @10/14
     ・DK東サッシの換気用スペーサーをUからTに交換
        毎度お馴染みの冷蔵庫の省エネのための換気の話です。壁の換
       気口とは別にサッシを少し開けてロックできる鍵の一種です。こ
       れまで開け幅の大きいスペーサーUで行っていたものを開け幅が
       より小さいスペーサーTに交換しました。完全に暑くなくなると
       省エネより騒音や排ガスの侵入を防いだり、室温が下がり過ぎる
       のを防ぐことの方が重要になります。

   @10/16
     ・今朝この秋一番の冷込、そして富士山初冠雪

   @10/17
     ・ベランダの遮光カーテン収納
       ベランダの遮光カーテンを束ねてひもで外壁際に固定
        ◇ベランダ東内側遮光カーテン
        ◇ベランダ東外側遮光カーテン
        ◇ベランダ西内側遮光カーテン
        ◇ベランダ西外側遮光カーテン
     ・ベランダ屋根の遮光カーテン収納
        ベランダのボリカ製波板(半透明)の屋根の上の遮光カーテン
       を西端で束ねてひもで固定
     ・ベランダ下の遮光カーテン収納
       ベランダ下の遮光カーテンを束ねてひもで外壁際に固定
        ◇ベランダ下東外側遮光カーテン
        ◇ベランダ下西外側遮光カーテン
        ◇ベランダ下南内側遮光カーテン
        注)ベランダ下東内側遮光カーテンとベランダ下西内側遮光カ
          ーテンは1年中張り放しにしています。

   @10/28
     ・2階自室南サッシの給気口付塩ビ板を外し元のガラスに戻す

   @10/30
     ・猫ちゃんの自作キャットハウスに自動開閉扉を取付ける
        DKに置いている自作キャットハウスには出入り口が付いてい
       ます。朝の冷え込みが強くなって来たので、中央に丸い窓の付い
       た逆アーチ型の扉を取付けてやりました。密閉されて暖かくなり
       落ち着いて良く眠るようになりました。
        ちなみに猫ちゃんは電気代ゼロです。資源ゴミもゼロです。
       だからとても健康です。

              はじめまして。
              黒トラのミコです。女の子です。
              出会いがあり5年半前から厄介になっています。
              特技は聞かれたら「ニャオー」と
       A A    お返事ができることと、
     ミ(・_・)彡  「オスワリ」と言われたらできることと
              左手で「オテ」、  
              右手で「オカワリ」ができることです。
              「ゴハンタベマスカ」とか
              「ニカイニユキマスカ」とか   
              「オヘンジハ」と言われた時に
                            お返事ができます。

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    10月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
         前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                     0

    [補足説明]行数オーバーのため省略

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がなく、内風呂を立てられる日がありませんでした。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが2回、妻一人で行ったのが5
   回、妻と二人で行ったのが1回でした。つまり内風呂を含めて1カ月では
   私が3回、妻が6回入浴したことになります。時間的余裕がなく銭湯へ行
   った回数も極端に少なくなりました。私は3回でしたが、シャワー入浴2
   回と他にただのシャワーが2回あったのでどうにか衛生点合格でした。

    注1)ガスの10月度とは今年は9月22日から10月23日の31日
       間でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)注3)注4)行数オーバーのため省略

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    10月度の16台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        29750  19.57
    炊飯器等        2680   1.76
    オーブンレンジ     5420   3.57
    オーブルトースター等  2890   1.90
    25Cm換気扇壁掛扇	  70   0.05
    DKテーブルコンセント    0   0.00
    46V液晶       7580   4.99
    水槽         25940  17.07
    妻コンセント      3310   2.18
    洗濯機等         760   0.50
    PC関係       23810  15.66
    AV機器        7400   4.87
    BDレコーダー     9260   6.09
    冷風扇アンカ等      200   0.13
    屋根裏換気扇         0   0.00
    天井換気扇       1510   0.99
    その他        31420  20.67
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        152000 100.00

    注1)電気の10月度とは今年は9月30日から10月29日の29日
       間でした。東京電力の検針日に合わせています。
    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット16台の合計を
       差し引いて求めています。

    使用日数が30日間だった昨年10月が166KWhだったものが、使
   用日数が29日間の今年は152KWhでした。昨年の使用量を29日間
   に換算すると160.5KWhになりますから、今年はそれより8.5K
   Wh減ったことになります。減った原因を調べるため「減少量表」と「増
   加量表」の2つの表を作成しました。

    順位   用  途     2013年  2014年   減少量
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     1.PC関係       29068    23810  5258
     2.オーブルトースター等  4234     2890  1344
     3.その他        41982    40680  1302
     4.水槽         26922    25940   982
     5.46V液晶       8236     7580   656
     6.AV機器        7907     7400   507
     7.冷風扇アンカ等      619      200   419
     8.冷蔵庫        30150  29750   400
     9.天井換気扇       1760     1510   250
    10.DKテーブルコンセント   58        0    58
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          合 計    150936 139760 11176

    順位   用  途     2013年  2014年   増加量
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     1.妻コンセント      1527     3310  1783
     2.炊飯器等        2214     2680   466
     3.オーブンレンジ     5094     5420   326
     4.25Cm換気扇壁掛扇     0       70    70
     5.洗濯機等         696      760    64
     6.屋根裏換気扇         0        0     0
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          合 計      9531  12240  2709

    注3)「BDレコーダー」だけの消費電力は2013年は測定していな
       く「その他」に加算されていたので、比較のため2014年分も
       「その他」に「BDレコーダー」の消費電力を加算した値をこの
       表での「その他」としました。

    減った原因は「PC関係」「オーブルトースター等」「その他」「水槽
   」の上位4用途で8886Whとなり全体の増加量8.5KWhを超える
   のでこれが主因となります。
    「PC関係」が減った原因は、7月初旬に省エネなJ1900マシンの
   セットアップが終わり使い始めたからです。消費電力が以前のAtomマ
   シンより4割位少なくなったからです。
    「オーブルトースター等」が減った原因は、10月19日以降、朝食の
   パン食を止めていたからです。10月1日〜10月18日の期間は1日平
   均129.4Wh使っていたものが、10月19日〜10月29日の期間
   は1日平均50.9Whに減ったからです。
    「その他」が減った原因は、昨年12月13日に居間の照明を蛍光灯か
   らLED照明に交換し26W節電したからだと考えられます。ただし、計
   算上の減少量3016Wh(26Wx4hx29日)と実際の減少量であ
   る1302Whとの間には差違がありますが、その他には様々な計測して
   いない電気製品が含まれているので原因は特定できません。妻のオフが増
   えて居間にいる時間が長くなったことが影響していることは確かです。
    「水槽」が減った原因は、構成は昨年から何も変更していませんが、濾
   過器のポンプに対する負荷や経年変化で多少消費電力が変わるようです。
   検針表で日ごとの消費電力量を比較すると、1日の消費電力量が昨年より
   40Wh位少なくなっています。減少量982Whを使用日数29日で割
   ると1日当たり33.9Whとなり一致します。
    増えた原因は「妻コンセント」「炊飯器等」「オーブンレンジ」の3用
   が主因です。「妻コンセント」が増えた原因は、オフが増えてテレビやラ
   ジオの使用時間が長くなったからだと考えられます。
    「炊飯器等」が増えた原因は、下旬からパン食を止めたのでご飯を炊い
   た回数が増えたからだと考えられます。
    「オーブンレンジ」が増えた原因は、同じく下旬からパン食を止めたの
   で代わりに冷凍ご飯を温める回数が増えたからだと考えられます。
    よって10用途で11176Wh減少し、4用途で2709Wh増加し
   差引き8467Wh(8.5KWh)の削減となりました、

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標166KWhのところ実績152Whと目標以上に削減でき
   ました。削減できた原因は前項で説明した通りです。
    年初からの累計でも目標1978KWhのところ実績1689KWhに
   収まり、達成率117.11%で余裕を持って目標を達成することができ
   ました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標2m3のところ実績も2m3となり目標を達成できました。
    年初からの累計では目標24m3のところ実績も24m3となり達成率
   100.00%で目標を達成することができました。

  ★水道の削減実績

    水道は目標18m3のところ実績は17m3に収まり目標を達成できまし
   た。
    年初からの累計でも目標87m3のところ実績83m3に収まり、達成率
   104.82%で余裕を持って目標を達成することができました。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標24.08Kgのところ実績
   22.24Kgと目標内に収まりました。
    年初からの累計でも目標266.64Kgのところ実績231.28
   Kgと大幅に削減でき、達成率115.27%と大きな余裕を持って目標
   を達成することができました。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                     |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                       |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#1030/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  15/01/19  19:00  (347)
◎2014年11月度 CO2削減実績報告 〜その@〜 ヨウジ
★内容

 深刻さを増す地球温暖化問題に対して1地球人である私としても何とかしたい
と1996年夏からCO2 削減に取り組んで来ました。そして1999年からは
1997年12月の『地球温暖化防止京都会議』で定められた国別の削減目標の
内、日本の削減目標である2008年−2012年までに1990年レベルより
6%削減する」という数値目標に習って我が家の削減目標を設定し、粘り強く削
減努力を続けてきました。この結果、1999年には6.97%、2000年に
は26.22%、2001年には39.94%、2002年には45.70%、
2003年には53.04%、2004年には56.98%、そして2005年
には58.04%まで削減することができました。これにより太陽光発電等自然
エネルギーを使わない方法ではほぼ限界に近いところまで削減しました。それで
2006年以降はこのレベルを維持することを第一に取り組んで来ました。
 2006年は残念ながら削減目標を達成できませんでしたが、原因を分析し対
策し2007年は見事に達成できました。2008年はこれまで4台だったエコ
ワットを10台まで拡充し、万全のチェック体制で臨んだ結果、これまた見事に
削減目標を達成することができました。2009年はエコワット10台体制が板
に付き、危なげなく削減目標を達成することができました。
 2010年は、2009年11月に導入した太陽熱温水器が丸々1年稼働する
ので更なるCO2 の削減が可能と判断し、削減目標を1990年比で60.01
%削減まで引上げ取り組みました。結果は、記録的猛暑の影響もあり電気単独で
は目標を達成できませんでした。しかし、猛暑は太陽熱温水器にはプラスに働き、
ガスの使用量が目標の101m3のところ57m3まで削減できたので、全体の
CO2 排出量としては目標をクリアーできました。1990年比で61.99%
まで削減することができました。
 2011年は、電気については最新の使用実績を参考に努力目標になり得て、
かつ達成可能となるよう月別の目標や年間目標を適正化しました。ガスについて
は太陽熱温水器を丸1年使用したことで使いこなしのテクニックをマスターし、
省エネ効果がどれ程のものなのかが把握できたので、これに基づき目標を大幅に
引上げました。水道についてはずっと以前から節水に努めており、増減の要素も
ないのでこれまで通りの目標としました。これによりCO2 削減目標を1990
年比−61.68%に設定して取り組みました。この結果、CO2 排出量を
392.28Kgまで抑えることができ、1990年比で63.88%まで削減
することができました。
 昨年2012年は、家で一番電力を喰う冷蔵庫を最新型の省エネ冷蔵庫に買い
替えることでCO2 の更なる大幅削減を計画していましたが、エコワットに許容
できない程の大きな測定誤差があることが分ったため計画を延期しました。1年
程度、精度の高いワットメーターで測定して現状を正しく把握した上で冷蔵庫を
買い替えることにしました。新ワットメーターは、PC関係だけは2011年5
月31日に導入済みでしたが、2012年になり1月26日には冷蔵庫に導入し、
4月14日には一気に10台導入し、4月17日には最後に残っていた屋根裏換
気扇にも導入し13台全ての置き換えが完了しました。
 2012年の最大の計画は延期になりましたが、5月には我が家で最大規模の
屋根上遮光ネットを設置したり、7月には天井排気ファンを設置したり、換気扇
流用よる扇風機の省エネ化も進め、省エネ暑さ対策が大きく前進しました。その
他の省エネ努力も手伝い2012年はCO2 を1990年レベルから65.46
%も削減するという成果を得ました。
 昨2013年は、5月に省エネbP冷蔵庫を導入し省エネを飛躍的に前進させ
ました。5月中旬から12月末までの7カ月半で前年の同期間より256KWh
(47.7%)も削減できました。丸1年使用すればもっと削減できるわけで、
買い替えるだけで何も努力せずにこれだけ削減できる家電は他にはありません。
 それから各部屋の液晶テレビをLED液晶テレビに買い替えたことも省エネに
大きく貢献しました。DKの32Vを46Vに、自室の46Vと26Vを46V
と32Vに、妻の26Vを32Vにと合計4台の液晶テレビをLED液晶テレビ
に買い替えることで年間180KWh(42.5%)も削減できました。同様に
丸1年使用すればこれ以上の削減になるわけです。
 その他、照明のLED化等の対策により、年間では2012年に2792KW
hだったものが2013年は2289KWhと503KWh(18.0%)も削
減できました。これは2000年の1425KWh(27.0%)に次ぐ削減量
(率)になります。2000年は冷暖房全廃を始めた年で特別に大きかったので
す。ちなみに最も増加量(率)が大きかったのは1992年の1268KWh(
22.4%)でした。
 そして今年2014年は、昨年までに大きな対策は実施済みなのでこれと言っ
た対策は計画しておりません。日々を暮らしながらまた考えて行きたいと思って
います。今年も昨2013年の実績をそのまま今年の削減目標にすることにしま
した。ただし、昨年途中から実施した削減対策があるので、これ以上何も対策を
実施しなくても今年は昨年以上に削減が進むことになります。
 以下にこれまでの実績や今年の削減目標と実績についての計算結果を順を追っ
て示します。

注)内容が増えたため2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に
  分けて掲載するよう変更しました。


1.過去の実績と2014年のCO2 削減目標

  年        電気    ガス    水道      CO2
           KWh    m3      m3       Kg       基
1990 排出実績 5468  611    242  1085.92 ←準
                                                                    年
1991 排出実績 5655  647    277  1137.00
          削減率%  +3.4    +5.9  +14.5  +4.70%

1992 排出実績 6923  707    313  1333.32
          削減率%+26.6 +15.7 +29.3 +22.78%
                                   ピ
1993 排出実績 7312  710    280  1376.64 ←|
          削減率%+33.7 +16.2 +15.7 +26.77% ク

1994 排出実績 7400  685    300  1374.40
          削減率%+35.3 +12.1 +24.0 +26.57%

1995 排出実績 6199  668    307  1220.52
          削減率%+13.4  +9.3  +26.9 +12.40%

1996 排出実績 5609  693    276  1160.76 ←C
          削減率%  +2.6  +13.4 +14.0  +6.89% O
                                    2
1997 排出実績 5772  669    294  1167.84  削
          削減率%  +5.6   +9.5  +21.5  +7.54% 減
                                   ス
1998 排出実績 5657  757    286  1209.08  タ
          削減率%  +3.5  +23.9 +18.2 +11.34% |
                                   ト
1999 削減実績 5270  532   233 1010.16 
     削減率% −3.6 −12.9  −3.7  −6.98%

2000 削減実績 3845  476   220  801.24
     削減率%−29.7 −22.1  −9.1 −26.22%

2001 削減実績 3622  290   200  652.24
     削減率%−33.8 −52.5 −17.4 −39.94%

2002 削減実績 3341  249   183  589.56
     削減率%−38.9 −59.2 −24.4 −45.71%

2003 削減実績 2984  200   149  509.92
     削減率%−45.4 −67.3 −38.4 −53.04%

2004 削減実績 2951  145  127   467.24
     削減率%−46.0 −76.3 −47.5 −56.97%

2005 削減実績 2902  137  123   455.60
     削減率%−46.9 −77.6 −49.2 −58.04%

2006 削減実績 3030  148  121   477.68
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −56.01%

2007 削減実績 2887  143  121   457.32
     削減率%−44.6 −75.8 −50.0 −57.89%

2008 削減実績 2917  140  111   457.40
       削減率%−46.7 −77.1 −54.1 −57.88%

2009 削減実績 2861  126  123   443.64
     削減率%−47.7 −79.4 −49.2 −59.15%

2010 削減実績 2981.  57  116   412.76
     削減率%−45.5 −90.7 −52.1 −61.99%

2011 削減実績 2905   42  105   392.28
     削減率%−46.9 −93.1 −56.6 −63.88%

2012 削減実績 2792   38   98   375.04
     削減率%−48.9 −93.8 −59.5 −65.46%

2013 削減実績 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%

2014 削減目標 2289   29  102   309.56
     削減率%−58.1 −95.3 −57.9 −71.49%
                                                      ^^^^^^^^^^^^^^

2.削減目標の詳細

 (1) 電気=2289x0.12= 274.68Kg
  (2) ガス=  29x0.64=  18.56Kg
  (3) 水道= 102x0.16=  16.32Kg
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2014年のCO2 排出目標 309.56Kg(炭素換算)
             (削減率 71.49%)


3.今月までの実績

 (1) 電気・・・・・・削減目標 −58.1%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990  572    467    381    367    437    359    547    774    523    375    3
11    355   5468
 (CO2)  68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60 656.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1991  530    465    377    350    339    409    521    619    629    419    4
94    503   5655
 (CO2)  63.60  55.80  45.24  42.00  40.68  49.08  62.52  74.28  75.48  50.28  
59.28  60.36 678.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1992  629    530    511    535    406    407    597    835    715    511    6
49    598   6923
 (CO2)  75.48  63.60  61.32  64.20  48.72  48.84  71.64 100.20  85.80  61.32  
77.88  71.76 830.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1993  690    588    542    589    556    567    562    735    715    572    5
91    605   7312
 (CO2)  82.80  70.56  65.04  70.68  66.72  68.04  67.44  88.20  85.80  68.64  
70.92  72.60 877.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1994  700    711    601    505    467    481    713    914    696    506    5
65    541   7400
 (CO2)  84.00  85.32  72.12  60.60  56.04  57.72  85.56 110.04  83.52  60.72  
67.80  64.92 888.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1995  637    517    475    415    533    477    582    729    558    431    4
51    394   6199
 (CO2)  76.44  62.04  56.88  49.80  63.96  57.24  69.84  87.48  66.96  51.72  
54.12  47.28 743.99
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1996  503    404    432    429    471    422    532    629    539    395    4
20    433   5609
 (CO2)  60.36  48.48  51.84  51.48  56.52  50.64  63.84  75.48  64.68  47.40  
50.40  51.96 673.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1997  524    467    445    453    433    414    633    638    530    401    4
27    407   5772
 (CO2)  62.88  56.04  53.40  54.36  54.36  49.68  75.96  76.56  63.60  48.12  
51.24  48.84 692.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998  515    441    360    448    446    374    607    644    575    421    4
60    366   5647
 (CO2)  61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92 677.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999  448    383    396    380    390    514    548    622    665    342    3
02    280   5270
 (CO2)  53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60 632.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000  359    307    305    287    345    315    373    389    350    276    2
95    244   3845
  (CO2)  43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28 461.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001  310    271    282    255    296    293    355    369    309    297    3
04    281   3622
  (CO2)  37.20  32.52  33.84  30.60  35.52  35.16  42.60  44.28  37.08  35.64  
36.48  33.72 434.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002  306    263    265    233    274    266    314    351    307    256    2
76    230   3341
  (CO2)  36.72  31.56  31.80  27.96  32.88  31.92  37.68  42.12  36.84  30.72  
33.12  27.60 400.92
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003  251    251    234    257    265    231    268    277    281    221    2
22    226   2984
  (CO2)  30.12  30.12  28.08  30.84  31.80  27.72  32.16  33.24  33.72  26.52  
26.64  27.12 358.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004  284    236    220    250    246    226    277    250    303    213    2
38    208   2951
  (CO2)  34.08  28.32  26.40  30.00  29.52  27.12  33.24  30.00  36.36  25.56  
28.56  24.96 354.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005  222    245    243    231    258    241    270    294    258    230    2
02    208   2902
  (CO2)  26.64  29.40  29.16  27.72  30.96  28.92  32.40  35.28  30.96  27.60  
24.24  24.96 348.24
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006  272    225    216    210    250    225    292    322    292    224    2
64    238   3030
  (CO2)  32.64  27.00  25.92  25.20  30.00  27.00  35.04  38.64  35.04  26.88  
31.68  28.56 363.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007  313    231    195    191    238    223    253    312    270    210    2
18    233   2887
  (CO2)  37.56  27.72  23.40  22.92  28.56  26.76  30.36  37.44  32.40  25.20  
26.16  27.96 346.44
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008  279    240    204    248    258    227    281    265    279    218    2
09    209   2917
  (CO2)  33.48  28.80  24.48  29.76  30.96  27.24  33.72  31.80  33.48  26.16  
25.08  25.08 350.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009  270    225    201    230    247    212    277    259    271    225    2
36    208   2861
  (CO2)  32.40  27.00  24.12  27.60  29.64  25.44  33.24  31.08  32.52  27.00  
28.32  24.96 343.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010  235    208    226    213    246    216    292    315    322    237    2
56    215   2981
  (CO2)  28.20  24.96  27.12  25.56  29.52  25.92  35.04  37.80  38.64  28.44  
30.72  25.80 357.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011  269    217    220    223    255    229    289    274    275    202    2
43    209   2905
  (CO2)  32.28  26.04  26.40  26.76  30.60  27.48  34.68  32.88  33.00  24.24 2
9.16   25.08 348.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012  246    204    211    186    243    215    272    273    264    243    2
13    222   2792
  (CO2)  29.52  24.48  25.32  22.32  29.16  25.80  32.64  32.76  31.68  29.16  
25.56  26.64 335.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標  237    215    194    215    193    171    204    193    190    166    1
60    151   2289
  (CO2)  28.44  25.80  23.28  25.80  23.16  20.52  24.48  23.16  22.80  19.92  
19.20  18.12 274.68
    累  237    452    646    861   1054   1225   1429   1622    1812  1978   21
38   2289   2289
  (CO2)  28.44  54.24  77.52 103.32 126.48 147.00 171.48 194.64 217.44 237.36 2
56.56 274.68 274.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績  179    167    162    161    167    158    192    176    175    152    1
55          1844
  (CO2)  21.48  20.04  19.44  19.32  20.04  18.96  23.04  21.12  21.00  18.24  
18.60        221.28
    累  179    346    508    669    836    994   1186   1362   1537   1689   18
44          1844
  (CO2)  21.48  41.52  60.96  80.28 100.32 119.28 142.32 163.44 184.44 202.68 2
21.28        221.28
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率132.40 130.64 127,17 128.70 126.08 123.24 120.49 119.09 117.89 117.11 1
15.94        115.94
                                                                               
             ^^^^^^
そのAへ続く
                                 ヨウジ
*--------------------------------------------------------------------*
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#1031/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  15/01/19  19:01  (447)
◎2014年11月度 CO2削減実績報告 〜そのA〜 ヨウジ
★内容

  (2) ガス・・・・・・削減目標 −95.3%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
------------------
 1990   94     79     71     52     48     38     32     28     30     37     
44     58    611
  (CO2)  60.16  50.56  45.44  33.28  30.72  24.32  20.48  17.92  19.20  23.68  
28.16  37.12 391.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991  107     83     67     52     41     35     28     26     29     37     
66     76    647
  (CO2)  68.48  53.12  42.88  33.28  26.24  22.40  17.92  16.64  18.56  23.60  
42.24  48.64 414.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992  110     90     78     53     56     46     39     26     32     49     
55     73    707
  (CO2)  70.40  57.60  49.92  33.92  35.84  29.44  24.96  16.64  20.48  31.36  
35.20  46.72 452.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993  128    100     91     57     49     35     31     27     34     61     
19     78    710
  (CO2)  81.92  64.00  58.24  36.48  31.36  22.40  19.84  17.28  21.76  39.04  
12.16  49.92 454.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994  109     89     84     74     58     39     30     22     28     30     
49     73    685
  (CO2)  69.76  56.96  53.76  47.36  37.12  24.96  19.20  14.08  17.92  19.20  
31.36  46.72 438.40
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995  128     96     82     45     35     30     35     19     29     34     
50     85    668
  (CO2)  81.92  61.44  52.48  28.80  22.40  19.20  22.40  12.16  18.56  21.76  
32.00  54.40 427.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996  126    107     95     68     48     37     29     25     26     31     
44     57    693
  (CO2)  80.64  68.48  60.80  43.52  30.72  23.68  18.56  16.00  16.64  19.84  
28.16  36.48 443.52                                                            
                     
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997  100    107     59     43     39     29     27     30     32     48     
59     96    669
  (CO2)  64.00  68.48  37.76  27.52  24.96  18.56  17.28  19.20  20.48  30.72  
37.76  61.44 428.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
  1998  159    111     94     57     50     43     32     31     36     45     
45     54    757
  (CO2) 101.76  71.04  60.16  36.48  32.00  27.52  20.48  19.84  23.04  28.80  
28.80  34.56 484.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999   89     70     59     41     43     26     32     27     30     33     
36     46    532
  (CO2)  56.96  44.80  37.76  26.24  27.52  16.64  20.48  17.28  19.20  21.12  
23.04  29.44 340.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000   72     57     52     43     37     33     27     19     24     35     
40     37    476
  (CO2)  46.08  36.48  33.28  27.52  23.68  21.12  17.28  12.16  15.36  22.40  
25.60  23.68 304.64
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001   48     27     29     21     24     20     15     13     16     24     
26     27    290
  (CO2)  30.72  17.28  18.56  13.44  15.36  12.80   9.60   8.32  10.24  15.36  
16.64  17.28 185.60
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002   36     25     24     20     19     15     20     11     13     19     
25     22    249 
  (CO2)  23.04  16.00  15.36  12.80  12.16   9.60  12.80   7.04   8.32  12.16  
16.00  14.08 159.36
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003   34     22     22     16     17     11     12     13     14     12     
13     14    200
  (CO2)  21.76  14.08  14.08  10.24  10.88   7.04   7.68   8.32   8.96   7.68  
 8.32   8.96 128.00
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004   16     12     13     11     11     12     10     10     12     11     
14     13    145
  (CO2)  10.24   7.68   8.32   7.04   7.04   7.68   6.40   6.40   7.68   7.04  
 8.96   8.32  92.80
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005   16     13     13     10     11      9     10     10     10     11     
10     14    137
  (CO2)  10.24   8.32   8.32   6.40   7.04   5.76   6.40   6.40   6.40   7.04  
 6.40   8.96  87.68
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006   16     14     13     10     10     11     12     11     11     12     
14     14    148
  (CO2)  10.24   8.96   8.32   6.40   6.40   7.04   7.68   7.04   7.04   7.68  
 8.96   8.96  94.72
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007   14     13     11     11      9      9     14      8     10     14     
14     16    143
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   7.04   5.76   5.76   8.96   5.12   6.40   8.96  
 8.96  10.24  91.52
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008   17     13     13     10     10     10     11     11     11     12     
10     12    140 
  (CO2)  10.88   8.32   8.32   6.40   6.40   6.40   7.04   7.04   7.04   7.68  
 6.40   7.68  89.60
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009   14     13     11      8     11      9      8     12     10      8     
12     10    126
  (CO2)   8.96   8.32   7.04   5.12   7.04   5.76   5.12   7.68   6.40   5.12  
 7.68   6.40  80.64
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    7      8      6      7      6      3      3      2      1      3     
 6      5     57
  (CO2)   4.48   5.12   3.84   4.48   3.84   1.92   1.92   1.28   0.64   1.92  
 3.84   3.20  36.48
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    6      5      4      4      3      3      2      2      3      3     
 3      4     42
  (CO2)   3.84   3.20   2.56   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92   1.92  
 1.92   2.56  26.88
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    6      4      3      3      4      3      3      2      2      3     
 3      2     38
  (CO2)   3.84   2.56   1.92   1.92   2.56   1.92   1.92   1.28   1.28   1.92  
 1.92   1.28  24.32
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    5      3      3      2      2      2      2      1      2      2     
 2      3     29
  (CO2)   3.20   1.92   1.92   1.28   1.28   1.28   1.28   0.64   1.28   1.28  
 1.28   1.92  18.56
    累    5      8     11     13     15     17     19     20     22     24     
26     29     29
  (CO2)   3.20   5.12   7.04   8.32   9.60  10.88  12.16  12.80  14.08  15.36  
16.64  18.56  18.56
 ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    3      4      2      3      2      2      2      1      3      2     
 3            27
  (CO2)   1.92   2.56   1.28   1.92   1.28   1.28   1.28   0.64   1.92   1.28  
 1.92         17.28
    累    3      7      9     12     14     16     18     19     22     24     
27            27
  (CO2)   1.92   4.48   5.76   7.68   8.96  10.24  11.52  12.16  14.08  15.36  
17.28         17.28
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
  達成率166.67 114.29 122.22 108.33 107.14 106.25 105.56 105.26 100.00 100.00  
96.30         96.30
                                                                               
             ^^^^^^

  (3) 水道・・・・・・削減目標 −57.9%

 ----------------------- 月別排出目標と実績(m3)----------------------------
-------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 1990    -     30      -     42      -     40      -     46      -     39     
 -     45    242
  (CO2)   -      4.80   -      6.72   -      6.40   -      7.36   -      6.24  
 -      7.20  38.72
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1991    -     36      -     43      -     43      -     50      -     42     
 -     63    277
  (CO2)   -      5.76          6.88          6.88          8.00   -      6.72  
 -     10.08  44.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1992    -     39      -     59      -     46      -     58      -     52     
 -     59    313
  (CO2)   -      6.24   -      9.44   -      7.36   -      9.28   -      8.32  
 -      9.44  50.08
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1993    -     49      -     40      -     52      -     45      -     55     
 -     39    280
  (CO2)   -      7.84   -      6.40   -      8.32   -      7.20   -      8.80  
 -      6.24  44.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1994    -     44      -     45      -     48      -     65      -     47     
 -     51    300
  (CO2)   -      7.04   -      7.20   -      7.68   -     10.40   -      7.52  
 -      8.16  48.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1995    -     44      -     55      -     52      -     56      -     51     
 -     49    307
  (CO2)   -      7.04   -      8.80   -      8.32   -      8.96   -      8.16  
 -      7.84  49.12
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1996    -     45      -     43      -     48      -     46      -     48     
 -     46    276
  (CO2)   -      7.20   -      6.88   -      7.68   -      7.36   -      7.68  
 -      7.36  44.16
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1997    -     51      -     44      -     43      -     50      -     50     
 -     56    294
  (CO2)   -      8.16   -      7.04   -      6.88   -      8.00   -      8.00  
 -      8.96  47.04
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1998    -     50      -     47      -     51      -     49      -     44     
 -     45    286
  (CO2)   -      8.00   -      7.52   -      8.16   -      7.84   -      7.04  
 -      7.20  45.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 1999    -     38      -     34      -     43      -     40      -     42     
 -     36    233
  (CO2)   -      6.08   -      5.44   -      6.88   -      6.40   -      6.72  
 -      5.76  37.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2000    -     36      -     32      -     38      -     41      -     38     
 -     35    220
  (CO2)   -      5.76   -      5.12   -      6.08   -      6.56   -      6.08  
 -      5.60  35.20
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2001    -     30      -     28      -     37      -     38      -     34     
 -     33    200
  (CO2)   -      4.80   -      4.48   -      5.92   -      6.08   -      5.44  
 -      5.28  32.00
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2002    -     31      -     30      -     31      -     33      -     29     
 -     29    183
  (CO2)   -      4.96   -      4.80   -      4.96   -      5.28   -      4.64  
 -      4.64  29.28
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2003    -     28      -     26      -     26      -     24      -     23     
 -     22    149
  (CO2)   -      4.48   -      4.16   -      4.16   -      3.84   -      3.68  
 -      3.52  23.84
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2004    -     19      -     17      -     19      -     25      -     24     
 -     23    127
  (CO2)   -      3.04   -      2.72   -      3.04   -      4.00   -      3.84  
 -      3.68  20.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2005    -     19      -     18      -     19      -     25      -     21     
 -     21    123
  (CO2)   -      3.04   -      2.88   -      3.04   -      4.00   -      3.36  
 -      3.36  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2006    -     19      -     19      -     19      -     23      -     21     
 -     20    121
  (CO2)   -      3.04   -      3.04   -      3.04   -      3.68   -      3.36  
 -      3.20  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2007    -     19      -     16      -     20      -     22      -     22     
 -     22    121
  (CO2)   -      3.04   -      2.56   -      3.20   -      3.52   -      3.52  
 -      3.52  19.36
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2008    -     17      -     15      -     17      -     23      -     21     
 -     18    111
  (CO2)   -      2.72   -      2.40   -      2.72   -      3.68   -      3.36  
 -      2.88  17.76
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2009    -     18      -     19      -     22      -     24      -     21     
 -     19    123
  (CO2)   -      2.88   -      3.04   -      3.52   -      3.84   -      3.36  
 -      3.04  19.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2010    -     18      -     17      -     19      -     23      -     22     
 -     17    116   
  (CO2)   -      2.88   -      2.72   -      3.04   -      3.68   -      3.52  
 -      2.72  18.56
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2011    -     16      -     17      -     17      -     20      -     18     
 -     17    105
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.20   -      2.88  
 -      2.72  16.80
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2012    -     14      -     14      -     10      -     20      -     23     
 -     17     98  
  (CO2)   -      2.24   -      2.24   -      1.60   -      3.20   -      3.68  
 -      2.72  15.68
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 2013    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 目標    -     16      -     17      -     17      -     19      -     18     
 -     15    102   
  (CO2)   -      2.56   -      2.72   -      2.72   -      3.04   -      2.88  
 -      2.40  16.32
    累    -     16      -     33      -     50      -     69      -     87     
 -    102    102   
  (CO2)   -      2.56   -      5.28   -      8.00   -     11.04   -     13.92  
 -     16.32  16.32
  ……………………………………………………………………………………………………
…………………………
 実績    -     15      -     15      -     17      -     19      -     17   
 -            83          
  (CO2)   -      2.40   -      2.40   -      2.72   -      3.04   -      2.72  
 -            13.28       
    累    -     15      -     30      -     47      -     66      -     83    
 -            83          
  (CO2)   -      2.40   -      4.80   -      7.52   -     10.52   -     13.28  
 -            13.28       
  -----------------------------------------------------------------------------
-------------------
 達成率  -    106.67   -    110.00   -    106.38   -    104.55   -    104.82  
 -           104.82 
                                                                               
             ^^^^^^

  (4) CO2 ・・・・・削減目標 −71.49%

 --------------------------- 月別排出目標と実績(Kg)-----------------------
--------------------
  年     1      2      3      4      5      6      7      8      9     10     
11     12     計
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
 1990   68.64  56.04  46.08  44.04  52.44  43.08  65.64  92.88  62.76  45.00  
37.32  42.60  656.16
  1991  132.08 114.68  88.12  82.16  66.92  78.36  80.44  98.92  94.04  80.60 1
01.52 119.08 1137.00
  1992  145.88 127.44 112.24 107.56  84.56  85.64  76.60 126.12 106.28 101.00 1
13.08 127.92 1333.32
  1993  164.72 142.40 123.28 113.56  98.08  98.76  87.28 123.68 107.56 116.48  
83.08 128.76 1376.64
  1994  153.76 149.32 125.88 115.16  93.16  90.36 104.76 134.52 101.44  87.44  
99.16 119.80 1374.40
  1995  158.36 130.52 109.36  87.40  86.36  84.76  92.24 109.88  85.52  81.64  
86.12 109.52 1220.63
  1996  141.00 124.16 112.64 101.88  87.24  82.00  82.40  98.84  81.32  74.92  
78.56  95.80 1160.76
  1997  126.88 132.68  91.16  88.92  79.32  75.12  93.24 103.76  84.08  86.84  
89.00 119.24 1167.84
 1998   61.80  52.92  43.20  53.76  53.52  44.88  72.84  77.28  69.00  50.52  
55.20  43.92  677.64
 1999   53.76  45.96  47.52  45.60  46.80  61.68  65.76  74.64  79.80  41.04  
36.24  33.60  632.40
  2000   43.08  36.84  36.60  34.44  41.40  37.80  44.76  46.68  42.00  33.12  
35.40  29.28  461.40
 2001   67.92  54.60  52.40  48.52  50.88  53.88  52.20  58.68  47.32  56.44  
53.12  56.28  652.24
 2002   59.76  52.52  47.16  45.56  45.04  46.48  50.48  54.44  45.16  47.52  
49.12  46.32  589.56
  2003   51.88  48.68  42.16  45.24  42.68  38.92  39.84  45.4   42.68  37.88  
34.96  39.60  509.92
  2004   44.32  39.04  34.72  39.76  36.56  37.84  39.64  40.40  44.04  36.44  
37.52  36.96  467.24
  2005   36.88  40.76  37.48  37.00  38.00  37.72  38.80  45.68  37.36  38.00  
30.64  37.28  455.60
  2006   42.88  39.00  34.24  34.64  36.40  37.08  42.72  49.36  42.08  37.92  
40.64  40.72  477.68
  2007   46.52  39.08  30.44  32.52  34.32  35.72  39.32  46.08  38.80  37.68  
35.12  41.72  457.32
  2008   44.36  39.84  32.80  38.56  37.36  36.36  40.76  42.52  40.52  37.20  
31.48  35.64  457.40
  2009   41.36  38.20  31.16  35.76  36.68  34.72  38.36  42.60  38.92  35.48  
36.00  34.40  443.64
  2010   32.68  32.96  30.96  32.76  33.36  30.88  36.96  42.76  39.28  33.88  
34.56  31.72  412.76
  2011   36.12  31.80  28.96  32.04  32.52  32.12  35.96  37.36  34.92  29.04  
31.08  30.36  392.28
  2012   33.36  29.28  27.24  26.48  31.72  29.32  34.56  37.24  32.96  34.76  
27.48  30.64  375.04
  2013   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
  ……………………………………………………………………………………………………
……………………………
  目標   31.64  30.28  25.20  29.80  24.44  24.52  25.76  26.84  24.08  24.08  
20.48  22.44  309.56
    累   31.64  61.92  87.12 116.92 141.36 165.88 191.64 218.48 242.56 266.64 2
87.12 309.56  309.56
  実績   23.40  25.00  20.72  23.64  21.32  22.96  24.32  24.80  22.92  22.24  
20.52         251.84
  累計   23.40  48.40  69.12  92.76 114.08 137.04 161.36 186.16 209.08 231.32 2
51.84         251.84
 -----------------------------------------------------------------------------
--------------------
  達成率135.21 127.93 126.04 126.05 123.91 121.04 118.77 117.36 116.01 115.27 1
14.01         114.01
                                                                               
              ^^^^^^
注1)3の(3)項、水道に奇数月の実績が入っていないのは、私の住む自治体の
   水道料が検針も集金も1カ月置きだからです。計算の便宜上奇数月の使用
   量は0とします。

注2)2014年の報告書より3の(1)項〜(4)項に1991年から1997年の実績を追
   加しました。 当ボードの1文書の最大行数が500行までであることから
   これまでこの制限を超えないようこれらの掲載を省いていました。ところ
   が2011年の報告書より「その@」〜「そのB」の3部に分けて掲載す
   るようにしたため行数に余裕ができていて、更に今回、「そのA」の一部
   を「その@」に移すことで制限内に収めることが可能になったため掲載す
   ることにしました。

そのBへ続く
                                 ヨウジ
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#1032/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  15/01/19  19:03  (299)
◎2014年11月度 C2削減実績報告 〜そのB〜 ヨウジ
★内容

4.考察

  「パンダが教えてくれたこと」

   パンダと言えば動物園にいるあの愛くるしい縫いぐるみのような姿の動物
  を想像しますが、これまではそれ以上のことはほとんど考えたことがありま
  せんでした。そういう状況の中で、先日、NHKの「ホットスポット 最後
  の楽園 第4回 天空の秘境 パンダの王国  〜中国 南西山岳地帯〜」を
  観ました。
   パンダは、中国南西部の山岳地帯に生息するクマの仲間ですが、クマとは
  多くの点で異なっています。クマが肉も食べる雑食なのに対して、パンダは
  専ら竹を食べます。何と1日に20キロも食べます。またクマは物を掴むこ
  とができませんが、パンダは器用に竹を持って食べます。パンダはどうして
  竹を食べるようになったのか。それは今から250万年前から始まった氷河
  期の影響でした。北半球の広い地域で環境が激変し寒さと乾燥で多くの植物
  が絶滅しましたが、寒さに強い竹は生き残りました。パンダは生きるために
  竹を食べたのです。竹から栄養を摂取できるよう何十万年以上も掛かって進
  化したのです。竹を掴める手へ、竹の茎を噛み砕ける強い顎(あご)と歯へ、
  竹の繊維を分解吸収できる消化器へと。パンダの姿を含む特質は生き延びる
  ための進化により獲得したものだったのです。
   しかし、そのパンダは今、絶滅の危機にあります。原因は開発です。開墾
  (かいこん)が山奥にまで広がり竹林が伐採され、パンダの生息域が狭めら
  れたり分断されてしまったからです。現在の生息数は僅か1600頭。森林
  の伐採禁止や竹林再生のための植林や人口繁殖の取組も行われていますが、
  人が一度手を加えてしまった自然を再生させるのは難しいようです。
   あらゆる生物が環境に合わせて自らを適応させることで命をつないで来た
  中で、一つだけ環境を作り替えることで生き残り生息域を急拡大させて来た
  種があります。豊かな文明を築いてきた人間を誇らしく思えた時代もありま
  したが、今や環境破壊が地球規模となり北極の氷が消失する程の気候大変動
  が起こりつつあります。それなのに未だに効果の上がる対策は何も行ってい
  ません。逆に破壊力をパワーアップさせています。他の多くの生物を犠牲に
  しながら自分自身も滅ぼす程に。

  P.S.北極の氷がなくなる中でホッキョクグマは生きて行けるのでしょう
      か。氷がなくなると狩りができなくなり死活問題になるからです。

  ★11月度の主なCO2削減関連の取り組み

   @11/02
     ・玄関と浴室の目隠しネットを収納
        例の夏のエネルギーを使わない暑さ対策のため設置していた
       目隠しネットを外し収納しました。【毎年恒例】

   @11/05
     ・猫ちゃんの通路ボード取付け
        寒さ対策のためDKと洗面所間の引き戸の敷居に自動開閉扉付
       の通路ボードを取付けました。これにより洗面所からDKへの冷
       たい空気の流入を防ぎながら猫ちゃんが自由にトイレに行き来で
       きるようにしました。【毎年恒例】

   @11/21、23
     ・屋根上遮光ネットを収納
        屋根の上に登り、家の屋根全体を覆っていた屋根上遮光ネット
       を外し、丸めて紐で止め太陽熱温水器の架台の下に収納しました。
       (自作延長ロープ付安全帯で防護しながら)【毎年恒例】
        ◇南1・2番
        ◇中央西
        ◇中央真ん中(架台の真下なのでそのまま)
        ◇中央東
        ◇北1・2番

   @11/23
     ・屋根裏換気扇に蓋を被せる【毎年恒例】
     ・屋根裏換気口(3個)にキャップを被せる【毎年恒例】

   @11/26
     ・パイル靴下を2枚重ねで履くようにする【毎年恒例】

  ★今月の太陽熱温水器の省エネ成績

    11月度の太陽熱温水器の省エネ成績は次の通りでした。

     月 日 夕食 −−湯温−−  ガス 水道 沸かし方法 湯量
         前後 最高  平均 (L) 温度       (L)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                     0

    [補足説明]
    ・夕食|前後   :沸かし入浴した時間(前=夕食前 後=夕食後
              前後=夕食前と夕食後)
    ・湯温|最高 平均:(最高=汲み初め 平均=汲み終わった後の湯温)
              最高65度とは65度以上のことです。家庭用お
              風呂温度計の目盛りが65度までしか振られてい
              なく分からないからです。
              また「38+」とは38.5度のことです。
    ・水道|温度   :「+」の意味は湯温と同じ

    以上の通り今月の入浴(内風呂)回数は0回でした。相変わらず時間的
   余裕がなく、内風呂を立てられる日がありませんでした。
    銭湯へ行った回数は、私一人で行ったのが1回、妻一人で行ったのが5
   回、妻と二人で行ったのが2回でした。つまり内風呂を含めて1カ月では
   私が3回、妻が7回入浴したことになります。時間的余裕がなく銭湯へ行
   った回数も極端に少なくなりました。ただし、私の場合はこれ以外にシャ
   ワーを浴び洗髪した日が3回ありました。

    注1)ガスの11月度とは今年は10月23日から11月21日の29
       日間でした。東京ガスの検針日に合わせています。

    注2)ソーラー湯温は例えば50度あったと言っても貯湯タンクのお湯
       全体が50度あるわけではありません。太陽熱温水器の仕組み上
       最も温度の高い水面ぎりぎりの部分から採湯するので、その部分
       の湯温のことです。しかし、貯湯タンクのお湯がどの位暖まって
       いるかを示す目安にはなります。

    注3)2010年6月度から湯量という項目を追加しましたが、夏季は
       毎日入浴するので浴槽に汲むお湯の量を少な目にすることで節水
       することを思い付きました。前回入浴の残り湯に熱いお湯を足し
       湯することで節水する方法もあり、状況により使い分けたいと考
       えています。標準の湯量は我が家の浴槽の場合は175Lとして
       います。

    注4)成績表の平均湯温欄が”−”になっている日がありますが、これ
       はサーモスタットバス水栓(定量止水機能付き)の温度調節をお
       風呂の適温まで下げて組み込んだ場合です。太陽熱温水器が出す
       お湯の温度が適温(42度位)未満の場合は温度調節をMAXに
       して組み込むので、汲み終わった時の温度を平均湯温として記録
       しているからです。従ってこの欄は冬季にだけ値が入り意味が出
       て来ます。

    私のホームページに【太陽熱温水器の紹介】コーナーがあるので参考に
   してください。

     http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/software/co2/solar.htm

  ★今月の用途別電力使用量

    11月度の16台のエコワットの集計結果は下記の通りです。

    用途等         消費電力    割 合
                (Wh)    (%)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    冷蔵庫        27580  17.79
    炊飯器等        3190   2.06
    オーブンレンジ     7610   4.91
    オーブルトースター等  2650   1.71
    25Cm換気扇壁掛扇	   0   0.00
    DKテーブルコンセント    0   0.00
    46V液晶       8570   5.53
    水槽         27800  17.93
    妻コンセント      2710   1.75
    洗濯機等         990   0.64
    PC関係       22100  14.26
    AV機器        7940   5.12
    BDレコーダー    10480   6.76
    冷風扇アンカ等        0   0.00
    屋根裏換気扇         0   0.00
    天井換気扇        520   0.34
    その他        32860  21.20
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    全体        155000 100.00

    注1)電気の11月度とは今年は10月29日から11月28日の30
       日間でした。東京電力の検針日に合わせています。
    注2)「その他」とはエコワットで測定していない照明、その他の電気
       器具が消費した電力量です。全体からエコワット16台の合計を
       差し引いて求めています。

    昨年11月が160KWhだったものが今年は155KWhと5KWh 
   だけ減りました。(使用日数は昨年も今年も30日間だったので換算不要)
   減った原因を調べるため「減少量表」と「増加量表」の2つの表を作成し
   ました。(単位はいずれもWhです)

    順位   用  途     2013年  2014年   減少量
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     1.PC関係       29070  22100  6970
     2.オーブルトースター等  5970   2650  3320
     3.その他        44940  43340  1600
     4.冷風扇アンカ等      290      0   290
     5.天井換気扇        760    520   240
     6.水槽         27990  27800   190
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          合 計    109020  96410 12610

    順位   用  途     2013年  2014年   増加量
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     1.冷蔵庫        25410  27580  2170
     2.オーブンレンジ     5650   7610  1960
     3.妻コンセント      1420   2710  1290
     4.炊飯器等        2090   3190  1100
     5.46V液晶       7950   8570   620
     6.洗濯機等         570    990   420
     7.AV機器        7890   7940    50
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          合 計     50980  58590  7610

    注3)「BDレコーダー」だけの消費電力は2013年は測定していな
       く「その他」に加算されていたので、比較のため2014年分も
       「その他」に「BDレコーダー」の消費電力を加算した値をこの
       表での「その他」としました。

    減った原因は「PC関係」「オーブルトースター等」「その他」の上位
   3用途で11890Whとなり全体の増加量5.0KWhを大きく超えて
   おりこれが主因となります。
    「PC関係」が減った原因は、7月初旬に省エネなJ1900マシンの
   セットアップが終わり使い始めたからです。消費電力が以前のAtomマ
   シンより4割位少なくなったからです。
    「オーブルトースター等」が減った原因は、10月29日〜11月17
   日の20日間は朝のパン食を止めご飯を食べていたのでオーブントースタ
   ーの使用時間が少なくなったからです。
    「その他」が減った原因は、昨年12月13日に居間の照明を蛍光灯か
   らLED照明に交換し26W節電したからだと考えられます。計算上の減
   少量3120Wh(26Wx4hx30日)より減少量が少なくなったの
   は他に何らかの増加要因があったからだと考えられます。
    増えた原因は「冷蔵庫」「オーブンレンジ」「妻コンセント」「炊飯器
   等」の4用途が主因です。「冷蔵庫」が増えた原因は、平均気温(練馬)
   が2013年の11.3度から2014年は12.4度と1.1度も高か
   ったからです。
    「オーブンレンジ」が増えた原因は、10月29日〜11月17日の
   20日間は朝のパン食を止めご飯を食べていたので、冷凍ご飯を解凍・蒸
   すためにオーブンレンジの使用時間が長くなったからです。
    「妻コンセント」が増えた原因は、オフが増えてテレビやラジオの使用
   時間が長くなったからだと考えられます。
    「炊飯器等」が増えた原因は、10月29日〜11月17日の20日間
   は朝のパン食を止めご飯を食べていたので、その分、ご飯を炊いた回数が
   増えたからだと考えられます。
    よって6用途で12610Wh減少し、7用途で7610Wh増加し、
   差引き5000Wh(5.0Kh)の削減となりました、

   それでは今月の削減実績を見て行きます。

  ★電気の削減実績

    電気は目標160KWhのところ実績155Whと目標以上に削減でき
   ました。削減できた原因は前項で説明した通りです。
    年初からの累計でも目標2138KWhのところ実績1844KWhに
   収まり、達成率115.94%で余裕を持って目標を達成することができ
   ました。

  ★ガスの削減実績

    ガスは目標2m3のところ実績は3m3と目標をオーバーしました。リッ
   トル単位で調べて見ても2790Lになるので四捨五入すると3m3とな
   り、今月は間違いなく目標をオーバーしました。
    今年も昨年と同じようにお湯を沸かす時は必ず太陽熱温水器のお湯を使
   っていました。それなのに何故ガスの使用量が増加したのか。それは太陽
   熱温水器が出すお湯の温度が低かったからです。では何故、太陽熱温水器
   が出すお湯の温度が低かったのか。それは天気が悪く余り日が当たらなか
   ったからです。この仮説を裏づけるため気象庁から気象データを検索しま
   した。(下記)

        ◆ 練馬の月別日照時間(H) ◆
    +−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+
    |     | 2013年 | 2014年 |
    +−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+
    | 11月 | 173.1 | 135.9 1
    +−−−−−+−−−−−−−+−−−−−−−+

    やはりそうでした。昨年11月が173.1時間であったのに対して、
   今年は139.5時間と日照時間が19.4%も少なくなっていました。
   ガスの使用量が増加した原因は、天気が悪く日照時間が短かったので太陽
   熱温水器が出すお湯の温度が低かったことが原因でした。
    年初からの累計でも目標26m3のところ実績27m3とオーバーし、達
   成率は96.30%でした。

  ★水道の削減実績

    水道は偶数月以外は検針がないので今月は実績がありません。

  ★CO2 の削減実績

    この結果、今月のCO2 排出量は目標20.48Kgのところ実績
   20.52Kgと目標を僅かにオーバーしました。
    しかし、年初からの累計では目標287.12Kgのところ実績
   251.84Kgと大幅に削減でき、達成率114.01%と大きな余裕
   を持って目標を達成することができました。

   私たちが排出したCO2 は大気中に溜り二度とは回収できず、地球環境と
  そこで暮らす私たち自身に害悪を及ぼし続けます。省エネをすれば確実に害
  悪は減ります。
   失われた生物種は二度とは戻りません。失われた生態系も回復は極めて困
  難です。地球環境は私たちの生存基盤です。損なわれれば私たちは生きて行
  けなくなります。贅沢過ぎる生活を改めれば良いのです。
   今日からあなたのできることすぐに始めてください。みんなの努力で私た
  ちのかけがえのない◎地球環境を守りましょう!!!

                                ヨウジ

P.S.CO2 の計算には下記のフリーソフトウェアを使ってください。

VECTOR
http://www.vector.co.jp/pack/dos/edu/science/co2_122.lzh  01/01/02 136625
    地球温暖化対策プログラム(光熱費等の使用量からCO2排出量を計算
説明ページ: http://www.vector.co.jp/soft/dos/edu/se035828.html
私のホームページからもダウンロードできます。(下記URL)
*--------------------------------------------------------------------*
| Backup&Copy BCOPY / Shell&Menu SMENU / 地球温暖化対策Program CO2   |
| PC-VAN:CKG36422  e-mail:CKG36422@biglobe.ne.jp                     |
| Home Page http://www5b.biglobe.ne.jp/~youji/                       |
*--------------------------------------------------------------------*

P.S.最近、テレビで放映されている環境関連番組では二酸化炭素の排出量を
    二酸化炭素換算で表示していますが、私の報告書では炭素換算で表示し
    ているので注意してください。
    
    フリーソフトのCO2.EXEでは
    「C =             0.120 Kg(CO2 =             0.440 Kg)」
    のように両方表示しているので、換算する手間が省けます。




#1033/1158 ●連載
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:35  (224)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー1
★内容
八月のある朝、私はJR身延線という、
甲府から富士のすそ野の方へ走っている電車に乗っていた。
甲府から10個目ぐらいの市川本町という駅で降りて、
シビレ湖という湖に行く為だった。
そこで高校の補習があって、それにパスすれば留年を免れる、という話だった。
電車の中は、朝だというのに無人だった。
隣の車両も無人。
電車のつなぎ目のガラスが屈折していて、向こうで吊革だけが揺れていた。
連結部のアコーデオンみたいなところから、ぎーぎー音がしてくる。
レールの乾いた音が尾てい骨から後頭部に響いてくる。かたたん、かたたん。
車窓から遠くの山々が見えた。あれは南アルプスなんじゃない? 
それで、何でこんな遠くまで来なくちゃならないのよぉー、と思った。
私の高校は都立高なのだ。
リュックのポケットから案内のプリントを出して広げてみる。

ーーーーーーーーーー
一学期生物Tの補習に関するお知らせ

1年3組 北村ひより君 平成27年6月28日
                1学年教務係

木々の緑が目にしみる今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
中間試験も終わり、のんびりしているのではないでしょうか。
しかしここで厳しいお知らせをしなければなりません。

この度生物の担当教諭から、皆さん6人に関して、
期末試験を待つまでもなく単位の取得は無理、との連絡がありました。
生物Tは必修科目ですから、この時点において皆さんの留年が確定した事になります。
又、当校では学年制をとっているので、
本日以降は他の科目にも出席する必要はありません。
(出席したとしても、来年度は全科目をやり直さなければなりません。)
さてしかしながら、これから半年以上もの期間を、自宅待機やアルバイトで過ごす
としたら、皆さんはあまりにも無駄だと感じるのではないでしょうか。
学校としましても、皆さんが留年してきたら、新入生枠を減らさねばならず、
遺憾な事ではあります。
そこで今回学校は、次の様な措置を考えました。
すなわち、夏休み期間中に4日間の補修期間を設け、
全てのカリキュラムを修了した者に対しては生物Tの赤点をなかった事とし、
2学期以降も引き続き出席出来るものとする、というものです。
但し、復学出来るのは6名の内2名とし、残る4名は残念ながら退学する事とします。
これは一見冷たいようですが、皆さんにとっても学校にとっても無駄を省く
という意味で有益である、と考えて了承して下さい。
つきましては、補習に参加を希望する者は、下記の日時に集合して下さい。

1、補習期間。8月15日(土)〜18日(火)
2、集合場所。山梨県西八代郡市川三郷町山保33** シビレ湖ロッジ前
3、集合時間。午前11時
4、連絡と注意。
当日は身延線市川本町駅で下車して登山で来て下さい。
登山の所要時間は約3時間ですので遅刻しない様に注意して下さい。
自動車、オートバイ等で来た場合には失格となりますので注意して下さい。
食事は学校で用意しますので登山中のドリンク等以外は不要です。

ーーーーーーーーーー

案内をたたむと、Gパンのポケットにねじ込んだ。
窓の外の景色の流れがゆっくりになっていた。
レールのつなぎ目の音もゆっくりになっていた。
その内「次は、市川本町駅、市川本町駅、お降りの際はお忘れ物など無いよう
お気をつけ下さい」という蓄膿症みたいなアナウンスが聞こえてきた。
さーていよいよかぁ、と私はリュックを背負って立ち上がった。
よろけながらドアのところまで行くと、ドア脇に渡された鉄パイプを
ぐいっと引っ張ってガラスにへばりつく。
ちょうど電車がホームに入って行くところだった。
丸い時計が8時なのが見えた。
これだったらまだ少しは涼しいかも知れない、と期待する。
が、電車が止まって、ぷしゅーっとドアが開いて、
一歩ホームに降り立ったら、熱風が顔に吹きかかってきた。
あぢー
ホームに降り立って、前後を見渡す。
誰も居ない。なんでだろう。時間が早すぎ?
でも他の生徒はどうしたんだろう。
ぷーと警笛を鳴らすと電車は出て行った。煙は残らない。
私は小首を傾げながら、その場を後にした。

駅舎とホームの間には、改札も何も無かった。これは無人駅だからだろう。
しかし待合室に入っても誰もいなかった。
そこを通りすぎて駅舎のひさしの下に出るとUV光線がお肌を直撃した。
プスッ、プスッ、プスーッ
私は帽子のツバを丸めるようにして押さえると、辺りを見渡した。
駅前には小さな広場があって、太陽光線を照り返していた。
奥の方には細い道があるのだが、
日陰になっていてどこにつながっているのか分からない。
その手前に地図を描いた看板があった。
とりあえずあそこまで行ってみっか、と、そこまで行った。
そしてこれからの道のりをチェックした。
えーっと、なになに、ここが標高250メートルでシビレ湖が880メートルかぁ。
ということは標高差630メートルか。高尾山とあんまり変わらないな。
しかし距離は6キロだから倍もある。
うーん、どうだろう…、と東の空の太陽を仰ぎ見た。
ぎ〜ら、ぎ〜ら、結構きついかも。
しかし線路の向こう側の山肌を見ると、ブロッコリーみたいにもこもこしていて、
苔みたいな緑色をしているので、
あそこに入れば案外涼しいんのでは、とも思う。
まぁ何れにしても行くっきゃないのだが。
私は背中を揺らしてリュックの位置を直すと歩き出した。

日陰の細い道を歩いて行くと県道につながっていた。
ぎらぎらと太陽がアスファルトを照らしていて、足跡がつきそうだった。
そこを300メートルぐらい進んで行くと、「シビレ湖↑」という標識が出ていた。
そこを右折して、さっきの身延線の踏切を渡って、道路の脇の石段を上って、
コンクリートの坂道を上って…と、ここらへんで既にバテていたのだが。
暑いし熱いしで体の熱が逃げていかない…とにかく進んで行くと、
またまたアスファルトの道路に出た。
そこをしばらく行くと左手に、なんだろう、龍宮城みたいな建物が見えてきた。
香港のカンフー映画に出てきそうな建物なのだが、
何のために建てられてんだか分からない。
なんなんだろう、と思いつつ、それに近づいて行った。
その石垣に沿って奥の方に進んで行くと、そこが登山道入口になっていた。
ここかぁ。こんな所に入口があるなんてちょっと宮崎駿っぽい。
立ち止まると額や首筋からどっと汗が吹き出してきた。
がさっとリュックを下ろすと、ペットを取り出すて、がーっと一気に飲んだ。
半分ぐらい飲んだところで、氷がくるくると回転した。
水道水を冷凍庫で凍らせてきたものだ。
ふーっと息をついて、キャップを締める。
空を見ると、日がかなり高くなっている。
これからまだまだ暑くなるんだろうか。
でも、登山道の奥は薄暗いから、こっから先は少しは涼しいんだろうなぁ、
と期待する。
リュックのサイドポケットにペットを突っ込んで、背負った。
よっこいしょっと。

しかーし、森の中に入ると、そんなに涼しくはなかった。
木漏れ日というか、あっちこちから直射日光が差し込んできていて結構暑い。
クヌギだのブナだの雑木が一応トンネル状になっているものの、
枝が貧弱で陽の光を遮ることが出来ない。
これは多分昔富士山が大爆発して、火山灰が降り積もった為に土壌が酸性で、
樹木が太くならないんだと思う。
関東甲信越の山はどこもこんな感じだ。
高尾山とか、御岳山とかもこんな感じだ。木枯し紋次郎の世界。
山に限らず街でも八王子とか立川とか国立あたりまでこんな感じ。
国立なんて学園都市とか言っているけど、ちょっと甲州街道の方に行くと、
ものすごい埃と排気ガスで人も歩けないぐらい。
小金井とか府中とか三鷹のあたりまで行くと、もっとしっとりしていて、
木々の緑も濃くて空が青くて、玉川上水みたいな小川が流れている。
あれは多分多摩と武蔵野の違いで、武蔵野には火山灰が降らなかったのではないか。
八王子には、ああいう小川は無いのだが、
あれは火山灰に埋まってしまって地下水になっているのでは。
だから八王子には温泉が多いんだ。
しかも臭くて、イオウじゃなくて生臭いニオイがするやつ。
それをみんなありがたがって浴びているけど、
あれは火山灰に埋もれている動物の死骸のニオイなんじゃないの。
…とか思いつつ歩いていたら、突然、雑木のトンネルが途切れて、
土管が破けて陽が当たっているような場所に出た。
私は歩調を緩めて、あたりを見ながら歩いた。
あたり一面、真っ白。
うどん粉病とかいう葉っぱの病気だろうか。
それとも本当に火山灰でも降ったか…。
左側が峰になっていて、草ボーボーの斜面になっているのだが、
そこなんてシベリアンハスキーが丸まっている様に見える。
歩きながら、何気思ったのだが、
あの峰を歩いていてコケたら、
ごろごろーっと転がってきて自分の足元を通過して右の崖に落ちて行くんだなぁ。
と思って、そっちを見たらお地蔵さんが置いてあった。
ひぇー。
歩調を早めて走り去った。
そうすると又又森のトンネルに入った。
またかよー。
しかし、今度はなんだか鬱蒼としている。
あちこちの木もいやに太くて、
木の根が露出していて蜘蛛が獲物を掴んでいる様に見える。
その根が登山道まで伸びてきていて階段の一部になっているのだが、
いきなりくるくるーっと脛に巻きついてくるのではないか。
ぞぉーっとした。
登山道の両脇には夏だというのに大量の落ち葉があって堆肥みたいになっている。
あれをひっくり返したら、ダンゴムシがうじゃうじゃ居るのではないか。
ぞぉー。気持ちわりー。
一瞬にして胸焼けがしてくる。
それでも我慢して前進していたら動悸もしてきた。
これは運動によるものなのか。はたまた魑魅魍魎が迫っているのでは…。
私は、なんとなく気配でも探るように歩調を緩めてしまった。
耳に神経を集中する。
カサカサ、カサカサと擦れるような音がする。
なんだろう。
そーっと後ろを振り返る、と、落ち葉の下から大量のダンゴムシが這い出してきて、
こっちに迫ってくる、ような気がした。
気持ちわりー。
腰でも抜かさんばかりに後退りすると、体の向きをかえて一目散に走り出した。
なるべく遠くを見るようにして走った。
リュックがどんどんと背中を叩いた。心臓がコウモリの様にバタバタしている。
遠くに、又土管が破けて陽が差している場所が見えてきた。
光に浮かんでいるのはなんだろう。
ハシゴか。
いや、あれは階段だ。
丸太で出来た手摺つきの階段が小高い山の上に伸びていて、
上の方に光が当たっているのだ。
あそこだったら安心して休める。
私は更にスピードを上げた。
しまいには腕を振って走り出した。
そしてとうとう階段にたどり着き、片足をかけた、、、その瞬間だった。
バタバタバターっと空中から黒い影が舞い降りてきた。
うワーッ、カラス天狗!
私は、うわーっと天を仰いでそっくり返ると階段の下で尻餅をついた。
カラス天狗はばさっと、すぐ手前に着地した。
うわわわわわ。私は尻餅をついたまま後ずさった。
カラス天狗はにじり寄ってくる。
「ひぃーーー」、来ないで。
「待ったぁ」カラス天狗は手を伸ばしながら迫ってきた。
「ひぃ、ひぃー」私は後ずさる。
「待ってよ」
「ひぃー」
「待って、待って」と言いつつ、カラス天狗は迫ってきた。
そして覆面を取るとぬーっと顔を近づけてきた。
最早、身動きのできない私は、じーっと見詰めた。
子泣き爺とか左卜全みたいな顔。
5秒ぐらい見ていて、ん?と思う。クラスの斉木という男子に似ている。
が、どうしてここに。
「サイキか?」私は恐る恐る訊ねた。
「そうだよ」
「えー、なんでこんなところに」
「補習に来たんだよ」
「えー」頬の肉が緩んで涙目になるのが分かった。「つーか、なに、その格好は」
彼はチャンバラごっこでもするみたいな渡世人みたいな格好をしていたのだ。
「日よけだよ」
「うそぉー。つーか、もう脅かさないでよ」とようやく私は脱力した。
「ごめん、ごめん」と手を伸ばしてくる。
が、非力で私を起こせない。
自分で起き上がると、尻の泥をはたいた。
「上から見えたんだよ」斉木は階段を指した。
「なんなの、ここは」
「のろし台だよ。展望台みたいなもの」
「へー。つーか、みんな居るの?」
「僕だけ。一人で休んでいたら君が来たんだよ」
「へー」




#1034/1158 ●連載    *** コメント #1033 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:36  (101)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー2
★内容
斉木は階段を上がって行った。
私もついて行く。
丸太を埋めた土の階段を20段ぐらい上ると、
洞窟から出たみたいに陽の光に晒された。
そこは10平米程度の展望台で、芝生が生えていて、青空が見えて、
右の奥には盛土の山があって大砲みたいな筒がぶっ立っていた。
「あれがのろしだよ。つーかその看板に書いてあった」
どれどれ? と私は右手にあった看板を見た。
城山の烽火台は武田信玄公の時代、静岡、神奈川からの情報を山梨に伝達する
最後の烽火台である、云々、と、読んでいる内に、
斉木は展望台の先端に移動していた。
斉木のリュックが芝生に転がっていて、私もその横に下ろすと、先端に行った。
すると、絶景かな…とは行かない。
山の緑はくすんでいて、平野は黄土色に滲んでいて、
永谷園のお茶漬け海苔についている安藤広重の浮世絵みたいに滲んでいる。
西の方が多少青っぽい感じがする。あっちが静岡か。
東の方は甲府盆地か。
「あの山の向こうが相模湖かな」と、私は東の方角を指した。
「違うよ。河口湖あたりだよ。富士急ハイランドとか」
「近いような遠いような」
斉木はすぐ下の麓を見下ろして、「あそこを必死に登ってきたんだよ。
蟻地獄にはまった糞転がし系の甲虫みたいに。ヒヒヒっ」
と肩を揺すって笑っていたが、その肩幅の狭いこと狭いこと。
腕も細い。
Tシャツじゃなくてカッターシャツを着ていてズボンの中に入れている。
はぁーと何気ため息をつく。
私は、のろし台手前の芝生に戻って、どっかと座ると、ペットを出して一気に飲んだ。
溶けた水はすぐに空になった。
斉木も戻ってきて、ごそごそと自分の荷物を漁る。
ミリタリーの水筒を取り出して、こっちに差し出してきた。
「何はいってんの?」
「レモン水」
受け取って飲むと鉄の匂いがした。
それから斉木はアルミ箔に包まれた塊を見せてくれた。
「見て、これ。チョコが一回溶けて固まったらこんなになっちゃった」
アルミ箔を丁寧にはがすと皺皺の痕がチョコレートの表面に付いている。
半分に割ると半分くれた。
それを口の中に放り込むと、じわーっと甘みが広がる。
「うめー」
口腔粘膜から直接細胞に取り込んでいる感じだ。頬の筋肉に痛みさえ感じる。
ほっぺたが落ちるというのはこういう感じか。「これ旨すぎるよ。マジやばい」

また、水筒をラッパ飲みした。
人心地ついて、大きく鼻で息をする。
斉木がじーっと見ていた。
「なによ」
彼は鼻の下を指差した。
鼻の下をぬぐったら、産毛に水滴が残っていた。
こいつの家は産婦人科医院で、ああやって人を観察して、産婦人科的に分類するのだ。
よく人の食べるところを見ていて、
鼻の下が長い人は母乳で育ったから愛に溢れている、とか言う。
「つーか、斉木も落第したの?」
「うん」
「医者の息子が」
「まぁ…。そっちは?」
「私はグロ耐性ゼロだもの」
私は解剖が嫌だったんだよなぁ、と遠くを見た。
さっき来たきもい山道は、土手の影になって見えない。
「つーか、他に誰か来るの、見えなかった?」
「いいや」
「つーか、斉木って、何時の電車で来たの?」
「30分ぐらい前のだと思うけど」
「それって誰も乗っていなかったんでしょう?」
「そうだよ」
「でもその前だと7時着ぐらいのだよ。そんなの早すぎだし。
私のの後だと9時頃で、それだと遅刻だし。
もしかして、みんな車で来てんじゃないのかなぁ」
と言う私を見て、斉木は二ターっと笑った。
「なによぉ」
「登山で血の巡りが良くなっているところにチョコレートなんて食べたもんだから、
色々妄想するんだな。酒乱になる可能性がある」
「なんですって」
「まぁまぁ、いいじゃない。もし皆が車で来ているんだったら、
バレた時点で失格だから、僕と君の勝ちだし」
言うと立ち上がった。
展望台入り口のトタンの案内図を見に行く。
私もついて行って見た。
「まだ3キロもあるのね」
「でもここが標高868メートルで、湖が880メートルだから、
ほとんど上りはないんじゃない?」
「そうだといいけど」
「じゃあ、そろそろ行きますか」
と言って私らはリュックのところに戻った。

のろし台を後にして、私らは山道に戻った。
しばらくは平坦な道が続いた。
しかし少し行くと、急な下りになって、その先は沢になっていて
丸木橋がかかっていた。
それを渡ると又上り。
まだまだアップダウンが続くのか、と思うとうんざりした。
しかし、それが最後の上りで、そのシビレ湖峠という峠を上りきると、
後は緩やかな下りになった。
そして、だんだん傾斜がきつくなり、重力にまかせて足を出すだけで
前へ進めるようになる。
やがて、左側の木々の間から湖面が見え隠れし出した。
「おっ」っと斉木が言った。
湖面が陽の光でキラキラ光っている。
「おーーーーっ」と興奮して、奇声を上げながら、斉木は足をどんどん前に出して、
駆け下りていった。
両手両足を前後バラバラに出すので、韋駄天走りみたいだった。
私もどんどん足を前に出して、落ちるにまかせて下って行った。




#1035/1158 ●連載    *** コメント #1034 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:36  (117)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー3
★内容
やがて地面はだんだんと平坦になり、完全に平らになる。
靴の裏で、乾燥した地面のじゃりじゃりした感じが分かって、湖畔だなぁと感じる。
振り返って今出てきた山を見ると、杉だか檜だか、枝の払われたノッポの木が、
櫛の歯みたいに並んでいる。
私らは、じゃりじゃり音をたてながら、あたりを見回しながら進んだ。
右手に防風林みたいなのがあって、それを迂回して進む。
左手に広場があって、キャンプファイヤーの跡みたいなのが真ん中にあった。
正面に湖が見えてきた。
周囲1.2キロのカルデラ湖か。
ぐるり一周もこもことした古墳の様な森に囲まれている。
水面もお堀の水みたいに緑がかっている。
更に進むと、防風林の影からロッジが全容を表した。
屋根が赤くて高くて、リンガーハットみたいな建物。
湖畔に面したところがテラスになっていた。
そっちに回り込むと…そこに落ちこぼれ男女2、2が荷物を転がして、
ごろごろしている。

「いたいた」思わず顔がほころぶ。「なんだよ、うだっているじゃん」
とにこやかに迫っていたのだが、牛島、という男子が いきなり三白眼で睨んでいる。
頬骨がでっぱっていて、ニキビが吹き出ていて、
てんぱーの前髪を垂らしてそれを隠している。影では半魚人と言われている。
「残る2人はお前らか」牛島がレスしてきた。
「よぉ」斉木がへつらうように手を上げた。
牛島の隣にはヨーコがいた。
こいつはモンチッチみたいなずんぐりむっくりした体型をしている。
湖面側の手すりにミキが寄りかかっていた。
多分学年一綺麗な子で、シンデレラとか自由の女神みたいな顔をしている。
あー、と長い手を伸ばしてあくびをしていた。
そのすぐ手前には春田。
こいつはキャベツ畑人形みたいな感じで、顔がでかくて眉毛が無い。
こいつらツーツーで出来ているんだろうか。
でも対等な関係じゃなくて、牛島のペットがヨーコ、ミキのペットが春田、
という感じがする。
…とか思いつつ、テラスに上がって、リュックを下ろした。
ふと、春田の靴が目に入った。妙に綺麗。
「もしかして車できた?」
「なんで?」
「なんとなく汚れてない、つーか」
「いきなりいちゃもんつけてんのかよ」と又牛島が言ってくる。「人を疑って、
そうじゃなかったら倍返しだからな」
「ここに来る道路は、この前の地震で寸断されているんだよ」と春田。
「だったら先生はどうやってくるの?」と斉木。
「しらね」
「しらねって、みんな黙って待っていたわけ?」
「全員、携帯圏外ですから」と春田。
斉木が時計を見た。「11時5分前」。
「ちょっとぉ。誰かがあけてくれるまで待っている積もり? 
パチンコ屋じゃないのよぉー」ミキがTシャツの丸首をひらひらさせて
胸に空気を入れた。私の為にどうにかしろよ、オトコ達、みたいな感じ。
牛島、春田がベタっとガラスに張り付いて中を覗いた。
サッシを開けようとガタガタ揺らすが鍵がかかっている。
「裏から入れないかなぁ」と春田。
「そうだな、裏に行ってみるか」
テラスの反対側に降り口があって、牛島がでかい背中を揺らして降りて行った。
それに春田が続く。それから他のみんなも。
それから全員でぞろぞろとロッジの反対側を歩いて行った。
はたして裏口はあったのであった。
そして春田がドアノブに手をかける。
開けてみぃ、みたいに牛島が顎をしゃくった。
カチャっと音がして、さーっと開けると…。
入ってすぐのところに階段があって地下と2階につながっている。
その向こうはバストイレだろうか。
私らは中に入り込むと、手前の廊下を左に進んだ。
突き当たりのドアを開けると、対面式キッチンがあって、
カウンターを通り抜けるとさっき外から見ていた食堂だった。
真ん中にテーブルがあって、スナック菓子だのペットのドリンクが用意されている。
「なんだよ、おもてなしの準備が出来ているじゃない」牛島がガサガサあさる。
「暑い暑い、みんな窓開けよう」とミキがサッシを開けた。
春田がコマネズミみたいにキッチンに走って行くとそっち側の窓を開ける。
さーっと、湖からの風が入ってきた。
「いい風が入ってくるじゃない」首を風にさらしてミキが言う。
「さあ、頂こう、頂こう」
「勝手に食べていいの?」
「今更。つーか、既に上がりこんでいるし」
牛島はぎーっと丸椅子をひいて座るが早いか、
パーンと袋をあけてポテチを口に入れた。
「うーん、味が濃くてうめー」
みんなもぎーぎー椅子をひいて、ぱんぱーん、と、
スナック菓子とペットの蓋を開けた。
私はスナック菓子の袋に圧力をかけて、穴でも開いていないか調べた。
「用心深いな」
と言う牛島は無視して、裏のアレルギー物質一覧を見る。
別にアレルギーなんじゃなくて、グロ耐性がないから
動物性のものが嫌いなだけなんだが、ベジタリアンって事にしてある。
「形が無くても駄目なのかよ」と牛島。
うるさいなあ。「形はなくてもアレルギーは起すでしょう」
「給食だったらどうする」
「給食だって、今はアレルギーの子供には別メニューがあるじゃない」
「俺はそんな女とは暮らせないな。同じものを食って、
同じベッドに寝てって感じ」言うとヨーコに向かってスナック菓子の袋を振った。
黙って手を突っ込むモンチッチ。
どうしてこいつは、言われるがままに食うんだろう。
そういえば中学校の頃、カレーの肉とか全部こいつに食わせた。
ロボトミーにでもされたみたいに従順なんだよな。
でも内心私の事を恨んでいるかも知れない。
牛島はなおも食えと袋を揺らした。
それから自分でもぼりぼり食う。
ポテチの油が顔に滲み出てきてニキビをてからせて、半魚人みたいになった。
げー。
その隣の春田も猿、っていうか、キャベツ畑人形みたいな顔をしているのだが、
小さな口でぽりぽりと菓子を噛む。
「これ美味しいよ」と、ミキに差し出した。
悠然とスナック菓子を口に運ぶミキ。
高い鼻。大きい目。長いまつげ。丸で自由の女神、つーかエルビス。
どうして、同じ人間でも、こうも造りが違うのか、と思う。
神がもし粘土で人を造ったのなら、神が丹精こめて造ったのはミキだろう。
春田なんていうのは余った粘土で適当に造った感じ。
でも結局こいつらツーツーで釣るんでいるのか。
余っているのは斉木か、と、テーブルの反対側の斉木を見ると、
あいつもミキを観察していた。
中学校の時、じーっとミキを観察していて、突然
「このクラスの半分は僕んちで生まれた。君もそうだ。お母さん元気?」と言って、
ミキが腰を抜かしたって事があった。
全く身の程を知らない事を言う奴だよなぁ。
つーか、ここにいるのは全員、八王子×中卒か。
まあ、あの都立高ではクラスに3人も4人も中学の同窓生が居るのは普通だが、
でも、6人というのは多いけれども。




#1036/1158 ●連載    *** コメント #1035 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:37  (113)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー4
★内容
30分ぐらいすると、テーブルの上は空き袋とペットの山。
隣のミキが、奥歯の臼にへばりついたカスを舌の先っぽで取ろうとしながら
「かえってノドが乾いちゃったね」などと言っている。
「誰も来ないんだったら帰ろうか」と牛島。
「居たってしょうがないものなあ」と春田。
全員あくびなどしてだらけた感じだった。
突然、部屋の奥に設置されてあったテレビがONになった。
「おー、なんだ、なんだ」。一様にざわめく。
最初画面がぱっと光って、真っ暗になって、少しすると人影が映し出された。
《ああ、聞こえている? もう映っているの?》
放送事故みたいに画面と外れた方向に喋っているのは、生物の教師だった。
一学期の間、理科室で見ていた顔だ。
彼は、はっと気付いたように画面の方を見ると、
あわてていずまいを正すと話し出した。
《みなさん、こんにちは》ううん、と咳払いなどしてノドの調子を整えている。
《えー、今日は遠路はるばるご苦労様でした。
みなさん、スナック菓子は食べ終わったかなぁー。
みなさんが一服したところで、
それじゃあ、そろそろカリキュラムについて説明をしたいと思います。
担当は、生物のタムラです。
私の事を恨んでいるかなー。
なにしろ私のせいでそこに居るんだから。
悔しかったらねぇ、何時も言っているように、
教育委員会にでも就職して私をクビにしなさい、クビに》

「これ、マジかよー」とか言ってみんなが騒ぎ出した。
「向こうからも見えているのかも」とか
「どっかにカメラが仕掛けてあるんじゃないか?」とか言ってキョロキョロする。
「いいから、今は画面に集中して」とミキがみんなを制するように手を広げた。
そして画面の中でナベサダ…というのはサックス奏者の渡辺貞夫に似ている
からなのだが、そいつが喋り出した。
《えー、それでは 時間とバッテリーの無駄にしない為に、さっそく、
カリキュラムについて説明したいと思います
それは、先にみなさんに郵送したプリントにも書いてあった通り、
これからの4日間でみなさんの内の2名を選抜するというものですが、
えー、まず、カリキュラムは、昼の部と夜の部に分かれています。
とりあえず、夜の部に関して言うと、これは、このディスプレイ、
今みなさんが見ているディスプレイで生物の講義を行うものです。
みなさんは、時間がきたら、必ず新しいバッテリーをセットして、
ディスプレイの前で待っていて下さい。
バッテリーはこのディスプレイの下の箱にあります。
ちなみに今夜の放送は、7時です。
夜の部に関しては、それでスタートするのでいいとして…。
えー、次に昼の部ですが、これは、4日間にわたって、
農・林・水産・畜産の野外実習をしてもらうものです。
これは偏差値的にどうこうというのではなくて、
みなさんの本当のところを知りたい、というものですから、
結構実践的なカリキュラムになっています。
えー、まず初日の今日ですが、農業です。
今日これから畑に行って芋掘りをしてきてほしいの。
今、君らのいるシビレ湖を時計に見立てると、
2時の方向に脇道がありますから、
そっから入って行って、畑があるから、そこで芋掘りをしてきてほしい。
詳細な地図と道具は地下室にあるので、後で見ておいて下さい。
それで今夜は芋を食べて下さい。
諸君らの居るロッジにある食べ物は、今食べてしまったスナック菓子以外には、
レトルトご飯10食と『さしすせそ』と固形燃料一回分だけですから。
その燃料で今夜は芋の料理を作って下さい。
そんで、芋を食べ終わったら、このディスプレイで講義を聞く、と。
それが今日のカリキュラム。
そして2日目は林業です。
時計の文字盤で1時のところから脇道に入って行くと伐採場があるので、
そこで木こりをやってきて下さい。
君らに与えた固形燃料は初日でなくなるから、煮炊き用の撒きをとってくる。
でないと、生の芋を食うハメになるから。猿みたいに。
道具はさっき言った通り地下にありますから後で見ておいて下さい。
そして3日目は水産。
時計で言うと、11時の方角の湖面にイケスがあるから、
そこで、モリでついて魚を獲ってきて下さい。
イケスは2重構造になっていて、内側の網をせばめると魚が寄ってくる様に
なっているので、そうやって獲る事。
この日までは芋ばかりでぱさぱさしているし、タンパク質も不足しているだろうから、
魚でも食って、良質なタンパク質を補給するように。
獲物は淡水魚だが、刺身にするもよし、薪があるなら煮炊きするもよし。
芋もあるから結構な料理が出来るぞ。
そして最終日は畜産。
時計で言うと10時の地点から脇道に入ると、
家畜小屋があって、家畜が一頭つながれているから、
それをと畜して、解体処理してきてください。
と畜の方法は道具を見て自分たちで想像して下さい。
と畜はどうかなぁ、と思うかも知れないけれども、
料理としては日々豪勢になっていくのだから頑張ってもらいたい。
以上が学校の用意したカリキュラムの概要です。
これだけ聞いてもぴーんと来ないかも知れないが、地下に地図、道具があるので、
その道具から想像して実行して下さい。
あ、そうそう、あと雨の場合にはそれぞれのカリキュラムを順延するものとします。
その際、芋が無かったら、余ったレトルトご飯を食べてよし。
えー、学校は、このカリキュラムで優秀な者2名を復学させる予定です。
が、さっきも言ったとおり、本当のところを知りたいので、
何も、早い者、強い者が優秀っていう訳でもないんだよね。
例えば、馬、ロバ、ラバの中では、馬はもっとも速いが長距離ではばててしまう。
ロバはもっとも強いが、スピードが無いから敵に襲われる。
ラバがその中間だが、ラバだけを残したら生殖機能を持たないので絶滅する…。
つまり学校としては遺伝子レベルで優秀な者を求めているんだが、
まぁ、そんな事を言っても、それこそ馬の耳に念仏か。
だから、とにかく、諸君は勝とうと思わないで、何も考えないで、ただやれば、
こっちで判断しますから、その積りで。
とりあえずの説明はここまでです。
それではみなさん、ケガや病気には十分に注意しつつ、
まず初日の芋掘り、頑張って来て下さい。
それでは今夕7時に又会いましょう。
それじゃあ、みなさんこれで終わります。じゃあまた》
ナベサダの映像がカクっと静止した。と思ったら、スーっと画面が暗くなる。
部屋の中が薄暗く感じられた。
みんなは顔を見合わせている。
「牛を殺せだって」春田がぼそっと言った。
「そんな事、やれんかよ。カエルの解剖と違うんだぜ。やっぱ帰ろうぜ」と牛島。
しかしみんなは、下を向いてうーんと唸っている。
やっぱりここで帰ったら何の為に来たのか分らないし、
それにそんな事をしたら退学でしょ。つーか考えがまとまらない。
「とりあえず、地下室というのを見に行ったら?」と斉木が言った。
「そうだなあ」牛島が皆の様子を伺った。
みんなは顔を見合わせて、何気、合意した。




#1037/1158 ●連載
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:39  (100)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー5
★内容
ぎーぎー椅子を鳴らして立ち上がる、と、丸椅子をまたいで廊下に集中した。
さっき来た廊下を突き当たりまで戻ると、全員で地下へ通じる階段を覗き込んだ。
「何も見えね」と先頭の牛島。
「携帯のライトは点くんじゃないか」
携帯を取り出すと春田はライトを点灯させた。
二人はその明かりを頼りに階段を下まで降りて行くと暗い地下室の中へ入って行った。
「ランプがあるぞ」、「チャッカマンもある」、とかいう会話が聞こえてくる。
やがて明かりが灯った。
そして他のメンバーもぞろぞろと入って行く。

部屋の中はひんやりとしていた。
牛島がランプを持ち上げると部屋の様子が浮き上がる。
広さとしては、10畳ぐらい。
真ん中が鉄格子で仕切られている。
「『羊達の沈黙』みてーだな」
「『O嬢の物語』って話もあるよ」
「ふざけんな」とミキ。
牛島が鉄格子の入口を押す。きーっ、と如何にもな音がした。「鍵はねーんだな」。
ランプをかざして突き当たりの壁を見る。
壁の上部に2箇所、ダルマストーブの窓みたいな観音扉があった。
牛島は背伸びをして、それを開けた。
すーっと光が入ってきた。
部屋全体が、薄暗いが、見えてきた。
がらーんとした牢屋の隅に毛布がかかった何かがある。
牛島がそこに行ってしゃがむと毛布のすみを引っ張った。
「白骨死体だったりして…。なーんだ、こりゃ。さしすせそだ」
砂糖、塩、酢、醤油、味噌の容器。
「さしすせそ、の“そ”ってソースの“そ”じゃないの?」
「味噌だろう」
味噌? だったら無添加かどうかチェックしないと。突然私は割って入ると、
しゃがみ込んで味噌を取る。
陽の光にかざしてラベルをチェックする。
「よかった。カツオエキスとか入ってなくて」
「オメー、甘いんじゃねーの」牛島は自分の背後の壁を指さした。「これを見てみな」
そこには、鋤、鍬、ナタ、モリ…。鍋と刃渡り15センチ位のナイフもあった。
牛島はナイフを取り上げると、「最後日にはこれで牛の腹を裂くんだぜ」と言った。
「そんなんで刺したら蹴飛ばされるんじゃない?」と春田。
「じゃあこれ?」とモリを指す。
「それは漁に使うんじゃない?」
「ヨーコがと畜に詳しい」とミキ。
「ほんと?」。後方のヨーコに問いかける。
「ガールスカウトで殺していたんだよね」
「見学に行ったんだよ」とヨーコが低い声で言った。「そこに転がっている畜産銃で
失神させるんだよ」
えっ、みたいに驚いて、牛島は、足元に転がっている銃を見た。
電動ドリルみたいな銃。
「それからお腹を割いて、逆さにつるして血を抜くんだよ」
「へー。そんじゃあ、そういうのはオメーに任せるよ」
「びびってんじゃないの?」と私。
「びびってねーよ。ただ、牛殺しなんて、ウィリー・ウィリアムスじゃねーんだから」
「あれは熊殺しだろ。牛殺しは大山デス」と春田が正拳突き。

地下室から這い出してくると、今度はミシミシいう階段を上って2階に行った。
上がってすぐのところに浄化槽式のトイレがあった。
窓から顔を出すと屋根にポリタンクが見えた。水はあそこから流れてくるんだろう。
客室は、廊下の右手に3室並んであった。
一番手前の部屋に入って窓際に立つと湖が一望出来た。
手前に窓枠、その向こうに樹木が生い茂っていて、その向こうに湖、
という順番になっていて、ジオラマみたいな遠近感がある。
「こりゃあ、いい眺めだ。夜になったら神秘的かも」と春田が言った。
「じゃあ俺、ヨーコと」と突然牛島が。
「じゃあ俺はミキ」と春田。
「ずうずうしいんじゃなーい」とミキ。
なんでこいつら、すぐオスメスでべたべた張り付くんだろう。
「つーか、何で男女なの?」と私は不平を言った。
「女同士にしたって誰か一組は男女になるんだぜ。だからみんな男女にした方が
公平だろ」
「それに、ナベサダも生殖能力がどうとか言っていなかった?」
「いちいちイヤらしいこと言わないで」
「冗談です」
私はなんとなく斉木を顔を見合わせた。苦笑い。

そんな感じで、二階見学が終わると食堂に戻ってきて丸椅子に着席。
「私、ノド渇いちゃったんだけど。そこの水、ないの?」とミキがキッチンコーナーの
蛇口を指さした。
春田がコマネズミのように飛んで行ってひねると、一瞬、ざーっと出たが、
すぐにゴボゴボいって今のが最後の水だったのが分かる。
「はぁー」とうなだれるミキ。
春田は、戻ってくると、空のペットを振った。「湖で汲んでこようか」
「つーか、あんなの飲めんの」と私。
「腹、下っしゃうかなあ」
「トイレの水も、もうないよ」
「それも汲んでくるか」
「何に汲んでくるのよ。鍋?」
「裏口にバケツがあった」とミキが言った。
「いっそのこと、湖でやっちゃえばいいか」
「ダメだよ、そんな事したら湖が汚れるじゃない。大事な飲み水なんだから…。
つーか泊まる気?」私は牛島に振った。
「えぇー。今から帰んのかよ。今何時だよ」
「もう3時」
「今から帰っても日が暮れちゃうなあ」と春田。
「芋食って一泊するっていうのはどうよ?」と牛島。
「じゃが芋だったら味噌汁に入れると美味しいんだよ」突然ヨーコが言った。
「さつま芋だったらどうする?」
「さつま芋でも美味しいよ。かぼちゃみたいで、おほうとうみたいになる」
「そんなのいいからどうすんの」と私。
「じゃあ、とりあえず、芋掘りをして一泊して明朝下山、っていうのはどうよ」
「俺らはそれでいいよ」。春田とミキはなんとなく目配せしていた。
私は斉木を見た。
「僕もそれでいい」と彼は言った。




#1038/1158 ●連載    *** コメント #1037 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:39  (210)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー6
★内容
テラスから降りて行ったところの湖畔には船着き場があって、
一艘のボートがけい留されていた。
そこで、女子3人で、待っていた。
ミキがペットに入れた湖水を陽の光にかざして、「これ、飲めんのぉ?」と言った。
「平気だよ、そんぐらい」とヨーコ。
「じゃあ飲んでみなよ」
そしてヨーコが飲む。
「臭くない?」
「別に」
ミキも一口飲む。口をへの字に結んだ。水面を見つつ、Tシャツの裾を
パタパタさせて、「後で泳ごうかなぁー」と言った。
「水着、持ってきたんだ」と私。
「スピードのこんなやつ」と片手でコマネチのポーズをする。
「あんまりセクシーオーラ出さないでよ。あいつらその気になったらどうするのよ」
「えー、そんな事心配しているのぉ?」
と、馬鹿にしたように私を見下す。お前なんて襲われる訳ないだろ、みたいな。
自分の顔色が曇るのが分かる。
ミキはペットの水をあおって、手の甲で口をぬぐいながら、ロッジの方を睨んだ。

そっちを見ると、テラスから、農機具を担いだ牛島と春田と、
しんがりに斉木が出てくるところだった。
牛島はタオルを頭に巻いていて、Tシャツを肩までまくっていて、
Gパンを膝までまくっていて、新島のナンパ師風情。
斉木だけカッターシャツを着ていた。手に持っているのは地図だろうか。

「おーい、行くぞー」と牛島に怒鳴られて、自分らも男子と合流した。
湖畔をぐるり一周回っている小道に出る。
道幅が狭いので、私らは一列縦隊で歩いた。
小道の上に、森の樹木が傘のようにせり出してきている。
陽のあたる箇所はレタスのような薄い色、日陰ではブロッコリーのような濃い緑色を
している。
小道は乾燥していて、みんなが歩くと、じゃりじゃり音がした。
時々誰かが小石を蹴飛ばすと湖面に飛んで行って水面に波紋が広がった。
湖水はマリモでも浮かんでいそうな緑色なのだが、
これは水自体は澄んでいるのだが、湖底が緑亀のお腹みたいな色をしているんだと
思う。
ここはどこからも川が注いでないカルデラ湖なので、有機物が沈殿して、
鍾乳洞みたいになっちゃんたんじゃないか。

最初の脇道が見えてくると、ナビの斉木が「あそこだ」と指差した。
私らはその脇道を右折してぞろぞろと入って行った。
そこは、樹木が絡み合って筒状になっていて、ところどころ蔦が垂れ下がっていて、
私らは身を低くして通って行った。
そこを通り抜けると、突然、ぱっと開けた空間に出た。
周囲は森なのだが、そこだけ畑になっていて、青空が見える。
その畑の真ん中に、茶色く穿り返した箇所があった。
「あそこじゃねーか」と牛島が指差した。
そして私らはそこを目指して、あぜ道を歩き、
乾いた用水路をまたいで、進んでいった。
そして着いてみると、そこだけ一坪ぐらい、
モグラが穿り返したみたいに耕してあった。
「ここかぁ」牛島は鍬を地面におろすとつっかえ棒にした。
「ここしかないよね。他に耕したところ、無いしね」と春田はあたりを見回した。
牛島、春田、斉木、ミキ、ヨーコ、そして私が畑を取り囲んで見下ろしている。
「じゃあ、いっちょ耕してみっか」言うと、靴が汚れるのも構わずに、
牛島は泥の中に入って行った。
ケッズかコンバースのバッシュが泥で汚れた。あとで洗わないと。
「よしお前ら下がってろ」言うと、手にぺっぺっと唾をつける。
鍬を振り上げると、乱暴に振り下ろした。
「よいっしょっとー」
ずぼっと突き刺さった鍬を、テコの原理で返して、土を穿り返す。
ごろごろーっと芋が出てきた。
「おーっ」と一同どよめく。
「おーいみんな引っ張れ」
「手袋が無いんだよ」
「素手でやれよ」
春田と斉木は顔を見合わせて躊躇っていた。
「やれっつーんだよ」
チッと舌を鳴らしてから、二人は畑に降りて行った。
芋の蔓を引っ張ると、文字通り芋づる式に芋が出てくる。
それを素手で掴んで畑の脇に寄せておく。
一通り芋が避けらるのを見ると、又牛島が掘り起こす。
「よいしょっとー」
そして、春田、斉木が、引っ張っては、出てきた芋を、脇に寄せる。
そんなのを15分もやっている内に掘り尽くしてしまった。
「あっちっちっ」言いながら牛島が畑から上がってくる。「農業体験つっても、
これかよ」
「まぁ、こんなもんでしょ。芋掘りとかイチゴ狩りなんていうのは」
手を叩いて泥を落としながら春田が言った。
3メートル四方の一辺に掘り起こされた芋がごろごろと並んでいる。
「どうやって持ち帰るかだな」足で芋をごろごろさせながら牛島が言った。
「袋、忘れたもんね。誰かもっていない?」と春田がみんなに聞いた。「ミキ、
もっていない?」
「もってる訳ないじゃん」
「ヨーコは?」
「もってない。けど…」
「けど、なに?」
「袋はもっていないけれども、ゴミ袋にされたのは思い出した」
「はぁ?」
「私、ゴミ袋にされたのを思い出した。このじゃが芋を見ていて」
「はぁ?」
「私、中学校の頃、カレーが出ると豚肉は全部食べさせられたの、ヒヨリに。
あれって私をゴミ袋にしていたんでしょう」
何を言い出すんだろう、このモンチッチは、突然。
私はとりあえずその場を繕うように「違うよ違うよ」と言った。
「あれは、ほら、あんたが栄養不足でお乳が大きくならないっていうから、
やったんじゃなかったっけ?」
「でも、あんなホルモン豚肉を食べ過ぎたんで、こんな鳩胸になっちゃった」
「それは、あんたの体質だから私の責任じゃないよ」
「でも肉を食べられなかったのは事実でしょう」
「私は食べられないし、あんたはお乳が小さいから、両方にとって都合がいいから、
winwinの関係じゃない」
「じゃあ、あの時私がいなかったらどうしたの」
「そうしたら自分で食べたよ」
「嘘。そうしたら財布の中からゴミ袋を出してそれに捨てるんでしょ」
「そんなもの持っている訳ないじゃん」
「持っているよ。今でも財布の中に入っているんだから。だから、この人が
袋を持っている」と痴漢でも指差すように指差した。
「本当かよ」牛島がこっちに迫ってきた。「本当にそんなもの持ってんのかよ」
「そんなもの持っている訳ないじゃん」私は後ずさる。
と、いきなり後ろから春田が、財布を抜いた。
「取りぃ」
「なにすんの、返して」と飛び掛る。
が、ほーらよ、と牛島に放り投げた。
牛島はそれをキャッチすると、鍬の柄で尻を支えて、くるりと後ろを向いて、
財布の中身を漁りだした。
「勝手に見るなよ」と取り返そうとする。
しかし、でかい背中でガードしながらカードや免許証の隙間をチェックして、
とうとう、間に挟まっているイトーヨーカドーのレジ袋を見付ける。
「なーんだ、こりゃあ」レジ袋をびらびらと広げながら言った。
「そ、それは急な買い物の時に、エコバッグの代わりに…」
「そんな事するわけねーだろ、主婦じゃあるまいし」
「つーか、別にあんたに関係ないし」私は突然ぶ然として言った。
「おめー、合宿で出てきた肉や魚を捨てる積りでいるんだろう」
「関係ねーだろう。つーか芋食って帰るんだろう」
「そうだな。今日はそうかもな知んねーな」
牛島は、よっこいしょ、って感じで鍬を肩に担ぐ、と、胸を反らした。
指先にレジ袋を引っ掛けてひらひら揺らしている。
「ただなぁ、俺が言いたかったのはよぉ、このキャンプ場の飯にしても給食にしても、
これからおめーが食う色々な飯にしても、嫌いなら嫌いでしょうがないけど、
それをこんな袋に入れて、こっそり捨てるっつー根性が気に入らねーって
言ってんだよォォオ」と突然でかい声を出すと、レジ袋を指から落として、
それがひらひらと舞って、地面に着地する瞬間に、鍬でドンと押さえた。
私はびっくりして身を固くした。
が、隣にいたミキが、「痛いッ」と言うと頬を押さえてうずくまった。
「えっ、なんか飛んだ?」急に不安そうなって牛島が覗き込んだ。
が、ミキはますます首を引っ込める。
「ちょっと見せてみな」とミキの顔に手を伸ばす。
「触らないでよ」と頬を押さえたまま、ミキは右肘でガードした。
「ちょっと、いいから見せてみな」
「触らないで、ってんだよ」と右肘でガート。「つーか何で芋ぐらいで切れてんだよ」
「切れてねーよ」
「切れてるわよ」
「切れてねーよ」と又ミキの頬を覗き込む。
「触るな、ってんの」と右肘でガード。
「ったく」牛島は困り果てて両手をだらりとさせた。
皆はというと、春田はすっとぼけているし、ヨーコは元々そんな権力ないし。
「まぁまぁ、そうもめないで」と斉木が火中の栗を拾った
「なんだ、おめーは」牛島がマングース並の敏捷さ斉木を睨む。「だったらお前が
どうにかしろよ。この芋をよお」
「えー。僕だって袋なんて持っていないし」
「なんでお前だけカッターシャツ着てんだよ。それに包んで行くから、
それを脱げよ」
「えー」
「その下にTシャツ着てんだろ。脱いだっていいだろう」
「分かったよ」言いつつしぶしぶ脱いだ。
カッターシャツが、泥付きじゃが芋の上をひらひらと舞った。
アンダーがユニクロか何かのぴちっとしたもので、痩せている割には妙におっぱいが
あるな、と思った。マリリン・マンソンみたいな。

「よーし。じゃあ包むか」と牛島が号令をかけた。
「それにしても泥だらけだな。これじゃあ泥を運ぶようなものだ」と春田。
「そうだなあ」言いながら辺りを見回した。「あそこのドブみたいなところが
本当は水が流れていたんじゃないの?」
それはさっき跨いで通ってきた空の用水路だった。
目で追っていくと、その先は小高い丘になっていて錆びた鉄の水門が見える。
「あそこを開けりゃあ水が出てくるんじゃねーのか。おい、誰か見てこい。
お前行ってこい」と又斉木がご指名される。
「えー」と斉木。
「いいから、行ってこいよ」
「いこっ」と私は斉木の腕を取った。

私と斉木は、背中に皆の視線を感じつつ、用水路脇のあぜ道を歩いて行った。
皆から十分に離れた、と思ったところで、私は斉木に言った。
「なんで、あいつ、ああやって切れる訳?」
「ニキビヅラだからだろ」
「え、なにそれ」
「彼は交感神経が敏感で、イラつきやすいんだよ。
あと、そういう奴は環境が変わると人間が変わっちゃうから、
それでヒヨリを敵視しているんじゃないの? 
だいたいヨーコとだってそんなに仲良かったとは思わないし」
ちらっと後ろを見ると、牛島とヨーコは、何気、肩を寄せあってる。
「ああいう奴が怖いのはさぁ、交感神経のスイッチングがやたらシャープで、
射精した瞬間にぱっと人が変わって、強姦殺人…とか言ったりなんかして」
「まじー」
もう一回振り返ると、牛島が気が付いて「早くいけー」と怒鳴った。
「冗談じゃねー」と私は呟いた。

すぐに水門に到着して、左右の土手から水門の上にのぼった。
水門は畳一枚分ぐらいあって、上に鉄のハンドルがついている。
水がめの大きさは銭湯ぐらいあって、なみなみと水が溜まっている。
「すっげー。どっから流れてきてんだろう」言いながら斉木は、
湖や周りの森を見回す。
畑の方で「あけろー」牛島が怒鳴っていた。
斉木は、軽く手を振って合図をする。
「そんじゃあ開けよっか」
土手の双方から鉄のハンドルに手を掛けた。
「じゃあ、いっせーのせーで行くよー、いっせーのせー」
で回し出したのだが、えらい軽い。
「空回り?」と私
「いや、ギア比の関係で軽いんだよ。でも少しずつ開いているからどんどん回そう」
そして私らは、どんどん回した。
少しして水がざーっと音をたてて流れ出した。
「もっともっと。全開になるまで」という声に促されてどんどん開ける。
水門が全開になると、水は、鉄砲水の勢いで用水路に流れ出した。
それは、真ん中の用水路から左右の畑に流れ込んでいった。
「畑じゃなくて田んぼだったのね」
水はみんなの居る芋畑に達した。
みんな、濡れるー、とか言いながら、足をじたばたさせていた。
私はほくそ笑むと、手に付いたサビをGパンの尻で叩いた。




#1039/1158 ●連載    *** コメント #1038 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:40  (120)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー7
★内容
ロッジに帰ると既に夕暮れ時だった。
夕陽が、森や湖面をオレンジ色に染めていた。
それは丸でみかんとかトマトが熟れる様な感じだった。
つまり昼間は青々としていたのに今ではすっかりオレンジ色なのだ。
私は、斉木と、桟橋に座って芋を剥いていた。
斉木が湖水で芋の泥を洗い流すと、
私は皮を剥いて、タオルの上に置いて、四つに切った。
桟橋の先から、どぼーんと音がしてきた。
スピードのミキが飛び込んだのだ。
Uターンして戻ってこようとすると、
春田が手の平でぴちゃぴちゃと水をかけて邪魔していた。
牛島とヨーコは部屋に居るんだろうか。
何気、ロッジを見ると、テラスから牛島が出てきたところだった。
みしみしと桟橋を歩いてくる。
私の背後まで来るとタオルの芋を覗いた。
「剥けばいいってもんじゃないんだぜ。燃料が一回分しかないんだから、
まずレトルトご飯を温めて、そのお湯で茹でるんだから、
もっと薄くスライスしないと」
「だったら自分でやれば」
「おー。自分でやるよ」
私はナイフを芋に突き刺すと、立ち上がった。
「斉木も来て」。ベッドを作らないと、とは言いづらいので、
「まだ荷物も解いていないし」と言う。

ロッジに戻ってきて、食堂に入ると、薄暗くて、
奥のキッチンではヨーコが鍋を煮立てていた。
それをスルーして廊下に出ると、裏口のところまで行って
Uターンして階段を上る。
ミシミシ、ミシミシ。
2階の一番手前の部屋に入って、窓を開け放つ。
ちょうど桟橋からみんなが戻ってくるところだった。
ミキ、春田の後ろから牛島が、芋を包んだタオルを持っているんだが、
追い立てる様にして歩いていた。
「早く芋を入れないとガスがもったいねーだろう」とかわめいている。
彼らがテラスの下に入ってくると、今度は室内からドタドタいう足音が響いてきた。
それが階段を上ってきて、部屋の前にキターと思ったら、
長身のミキ、キャベツ畑人形の春田が通り過ぎて行った。
「私が着替えている間は外で待っていて」というミキの声が、 
廊下の突き当たりから聞こえてくる。
そして、バタンと扉の閉まる音。
「開けたりしたら後で大変な事になるよ」というミキの声が、
ひと部屋はさんでいても、くぐもったた感じで聞こえてくる。
ってことは、真ん中の部屋は、牛島、ヨーコなのだが、これでは丸聞こえだな…
と思っていて思い出した。
「そういえば、さっき、交感神経がシャープだと強姦殺人をするとか
言っていたじゃない」私はベッドを作っている斉木に言った。「それって、
普通のセックスの後でも起こるの?」
「かも知んない」
「だったらやばいじゃん。隣の部屋」
「かも知んない」
「つーか、その交感神経がシャープになるってなんなの?」
「う。うーん」
「なんなの?」
「うーん、実は…」
「実は、なに?」
「これ、言っちゃってもいいのかなあ」
「いいよ。言っちゃえよ」
斉木は出来上がったベッドに腰掛けて言った。「実はね、
あいつは僕んちで生まれたんだよ」
「へー」
「そんで、父親が高齢だったんだよ」
「へー。そうするとなんかあるの」
「うーん」
「なんだよ」
「まぁ、色々な障害が出てきてさ、交感神経に問題が出たりして、
かーっとしやすくなったりするんだよ」
「なんかはっきりしないなぁ。なんか、医者の息子だから守秘義務でもあるの?」
私は小一時間問い詰めてやろうと思って、向かいのベッドに座った。
が、ばたんと廊下の奥の扉が閉まる音がして、
ミキ、春田が、ぱたぱた歩いてくる音が迫ってきた。
二人は入り口に差し掛かかって、「ご飯だってさ」と言って通り過ぎていく。
斉木も、くんくんと鼻をならしながら「本当だ、夕餉の匂いがする。
ああ、腹へったー。何時から食べていないんだろう」と言いつつ、腰を浮かせて、
ニオイを追いかけるように、部屋を出て行ってしまった。
くそーっ。逃げられた。
しかし、自分もくっついて行った。

キッチンに行くと、牛島が味噌汁の味見をしていて、
背後にヨーコがくっついていた。
こいつら夫婦かよ。
テーブルに行くと、春田がレトルトご飯の中身を、スナック菓子の銀紙の上に
ひっくり返していた。
「こうやって、これをお椀にするんだって」と空のレトルト容器をつまんだ。
「これが箸になるんだよ」と、レトルト容器の丸まった蓋を握る。
私も真似をして、ポテチのパッケージを広げると、レトルトご飯をひっくり返した。
炊きたてのパックご飯のに匂いが漂ってくる。
やがて、お玉をもった牛島が、鍋をもったヨーコを従えて、
キッチンコーナーから入ってきた。
「さあさあ、味噌汁が出来ましたよ」
シェフとウェイトレスみたいに、みんなのレトルト容器に注いで回った。
そして自分も着席。
「今日は色々あったけど、やっとご飯にありつけるね。
それじゃあ皆さんお手手とお手手を合わせて、いただきまーす。
ずーーっ。うめー」
そしてみんなもすすった。
私も、と、目の前の味噌汁と見て、ん? と思う。くんくんしてみる。ん?
「もしかして、出汁とか入れた?」
「そりゃあ入れるさ」当たり前の様に牛島が言った。
「味噌汁なんて出汁がなかったら、泥水みたいなもんじゃないか」
「何でわざわざ…、折角無添加だったのにぃ」恨めしく味噌汁を見る。
折角別の袋に入って添付されていたのに、混ぜちゃうなんて、意地悪さを感じる。
「そこまで駄目じゃあ、ヒヨリの方がおかしいんじゃないの?」
と春田が突っ込んできた。
「そこまで、じゃねーよ。本当のベジタリアンは顔のあるものは食べないんだよ。
たとえニボシでも。シラスでも」
「だからって俺らまでそれに付き合う筋合いはないよ」
「そうね。じゃあ私は勝手にご飯だけ食べるよ。塩で」
「駄目だ」と牛島が睨む。「俺の味噌汁を飲めねーっていうのか」
「なんであんたの味噌汁に付き合わなきゃいけないのよ」
「同じ釜の飯を食うって言うだろう。これだってカリキュラムの一環かも知れねーぞ」
「なにそのカリキュラムって。ただ単に帰るのが遅くなったから一泊しただけじゃん」
とか言い出して、別にこんな奴、説得しなくていいや、と思った。
自分はポテチの袋に乗ったご飯を持って立ち上がろうとした。
「いいよ。いいよ」と牛島が言う。「勝手にしな。だけれどもなぁ、いいかぁ、
これだけは忘れるなよ。お前みたいな奴はなぁ、
将来家庭を持っても味噌汁の味は作れないぞ。
つーかなあ、おめーみたいなのはなぁ、一生お一人様な気がするぜ」
私は立ち上がって睨むと、丸椅子をぎーっと足で押した。
「おいおい、お一人様ががんつけてきたぞ」
私は丸椅子を蹴飛ばして、ご飯を手のひらに退場した。




#1040/1158 ●連載    *** コメント #1039 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:40  (167)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー8
★内容
部屋に戻ると、ベッドの上にあぐらをかいて、ポテチの袋に乗ったご飯を、
犬みたいに食べた。
食べ終わると、ポテチの袋をたたんで結んで窓から捨てた。
月明かりが入ってきて、部屋の中は、ファミレスの駐車場ぐらいの明るさ。
微かに風が入ってきて、コケの様な有機体のニオイがする。
私は鼻で大きく息を吸った。
そして、体育座りをして顔を腿に押し付ける。
メリメリと階段が鳴った。
誰かが上ってくる。
ドアから覗いたのはミキと、斉木だった。
二人共、入ってくる。
「どうした。落ち込んだ?」ミキが肩に手を置いて言った。
そして隣に座る。
「二人に攻められたからね。牛島一人だったら、
あいつは交感神経がおかしいんだって言ってやれるんだけど」
私は、牛島は交感神経がおかしいからニキビが出来ていてキレやすいんだ、
と解説してやった。
「でも、春田までおかしいって言うんだったら私の方がおかしいんじゃない?」
「実は春田もおかしい」正面のベッドに腰を下ろしつつ斉木がぼそっと言った。
「はぁ。何言ってんの。今更。つーか、なんで、あんた、さっきからそうやって
実は実はと小出しするわけ。
つーか、春田も交感神経がおかしいの?
あいつなんてどっちかっていうとモチ肌って感じがするけど」
「モチ肌すぎるのもおかしいんだよ」
「なんだよそりゃ」
「ダウン症の人ってモチ肌でしょう」
「あいつダウン症なの?」
「そうじゃないけど」
「じゃあ何よ」
「これ、言ってもいいのかなあ」
「お前、どうして、さっきから人に興味と持たせておいて言わない訳?」それから
私はミキに言った。「…こいつはねぇ、
牛島がキレやすいのは交感神経がシャープだから、とか、
それは父親が高齢だったから、とか、
さっきから産婦人科系の知識をチラつかせておいて、
でも、はっきりとは言わないんだよ。
そんで今度は、春田も何かそれ系でおかしいとか言い出して言わない」
「なんなの、それ。そんな話があるんだったら私だって知りたいじゃない。
言いなさいよ」とミキは斉木のひざ小僧を掴んで揺さぶった。「言いなさいよぉ」
「じゃあ、ちょっと下ネタ、且つ、差別的内容を含むけれども、
この際言っちゃいますか」
そして斉木のした話は、ホントーかよ、と思うような話だった。
「色々聞いた話を再構築して言うんだけれども」と前置きしてから斉木は言った。
「うちのクリニックって不妊治療もやっているんだけれども、
不妊症の夫婦が来ると、旦那の方が、春田みたいな顔をしているんだよねぇ。
頭でっかちで眉毛が薄くて肩幅が狭くて、キャベツ畑みたいな感じ。
それで、精液を調べてみると、透明でザーメン臭が無いんだよ。
それで、染色体の検査をしてみると、XXYYなんだよ。
普通は男はXYだろ。それがXXYYなんだよ。
これは染色体異常でさぁ、ヌーナン症候群っていうんだよ。
それで、なんでこういう事が起こるかというと、
染色体異常だから受精の瞬間からおかしかったんだろうけど、
精子か卵子のどっちかに異常があったんだろうけど…、
多分、精子がおかしかったんだと思う。
男の染色体が精子になるには、複製したり交叉したり分離したりしながら、
XYがXに、更にそのXが分離してIみたいに、
どんどん減数をしていくんだけれども…。
多分このヌーナンの場合、この人の父親が丸高だったんだよ。
そうすると、父親が精子を作る時に、減数分裂が上手く行かないで、
分離しきれないで何かがくっついてきちゃって、奇形の精子が出来ちゃったんだよ。
この場合だと、XYYという奇形精子が出来たんだと思う。
それを、卵子Xが受精して、
それで、このヌーナンの染色体がXXYYになる、と。
それで、それが育つと、春田君みたいなキャベツ畑人形になるんだけれども。
何でXXYYだとそうなるかというメカニズムは分からないけれども、
感じとして、受容体がないっていうか、骨とか筋肉とかが貧弱だから、
食べても食べても吸収されないで、浮腫む、つまりモチ肌になるんじゃないかと。
染色体異常が顔に出るというのは信じられないかも知れないけれども、
ダウン症だって見れば分かるでしょう? 春田君って何気、ダウン症入っていない?」
私らは想像して…、「入っている入っている」とガクガク頷いた。
「浮腫だけじゃなくて、どんぐり眼という特徴もあるんだよね。
瞼とかにも染色体が出るんだよねぇ。
ダウン症とかゲイとかってどんぐり眼だと思わない? 
ゲイを公言している英米のロックスターを想像してみな」
と言われて想像してみる。「うーん、確かにそうだ」
「以上が春田君に起こっていること」
「へーー」
「それから牛島君だけれども、
ヌーナンの真逆っていうか、XYYっていう染色体異常もあるんだよ。
これも親の丸高で起こる染色体異常なんだけれども。
身体的には、身長が高くて、ニキビ面で、性格的にはすぐにキレる。
だから犯罪者に多いんだけれども。
つーか、北欧の刑務所で服役囚の染色体を調べたら多かったってことなんだけれど。
そうすると、これをさっきのと合わせて考えると、
XYY、XY、XXYYが、
半魚人、正常な人、キャベツ畑、という並びになって、
上の方が攻撃性が大って感じになるんだよね」
「へー」
「でも」と私は口を挟んだ。「その割には、春田って普通の人よりも攻撃的な感じも
しない?」
「まあY自体は多いからね。でも場当たり的だろう」
「場当たり的?」
「うん。春田君って場当たり的な感じがしない?」
そういえば、春田って場当たり的、というか、何で今? という事が多い。
例えば、クラスのコンパに遅刻してきて、「何をしていた」と聞くと、
「腹減ったんで途中でラーメンを食べてきた」とか。
さっき私に突っ込んできたのだって、ただあの場の雰囲気に乗ってきただけ、
って感じがする。
「まぁ、とにかく、そういう訳だから、半魚人がキレるのも染色体異常があっての事
だから、あれこれ自分が悪いのかも、とか考える事はないと思うよ」
「そんな奴が、たまたまクラスに二人もいるの?」とミキ。
「発生頻度は千人に一人ぐらいだけれども。
もっとも、千人に一人というよりかは、濃淡があるという気もするけど。
本当に濃い奴が一人居て、他の999人が真っ白、というよりかは、
薄い奴から濃い奴まで濃淡があるという感じだと思うけど。
ただ統計的には、千人に一人だから、学校に一人ぐらいは居るわけで、
校内で一番凶暴な奴が、身長が高くてでニキビ面だったら、疑ってもいいんじゃない?
 だから、単位を落とし奴が実は染色体異常だった、なんて事はあり得る」
「女子にもそういう異常はあるの?」私は自分の事が気になって聞いた。
自分も単位を落としているんだから。
「まあ、Y遺伝子に関する染色体異常だから、
とりあえず女子には関係ないんじゃない?」
「へー、すごいじゃなーい」とミキ。
「驚きだよねえ。牛島と春田がそういう奴らだったなんて」
「産婦人科医がそんな事まで分かるっていうのも驚きじゃなーい」
そういえばミキは斉木んちで産まれたのか。

とここで、私は、あれっ?と思った。
「だったら私が悪いんじゃないじゃん。あいつらの染色体に問題があるんじゃん。
特に牛島の。だったら即追放したいなぁ」
「何も即じゃなくたって、明日には下山じゃない」
「今夜じゃないと駄目だよ。だって…」
と言いかけたところで、誰かがメリメリと階段を上がってきた。
牛島か、と思って息を潜めた。
しかし、ドアのところに顔を出したのはキャベツ畑とモンチッチ、
春田とヨーコだった。
「何してんの」とキャベツ畑が首を突っ込んでくる
「ちょっとあんたらこっちにきな」と私は激しく手招きした。
そして春田を斉木の横に、ヨーコを私とミキの間に挟んで座らせた。
「みんな聞いて。牛島は即追放しないと駄目な事になったの」
「え、何の話?」
「牛島をこのままここに置いておくと今夜にでもこの子が強姦、だけじゃなく、
殺されてしまう可能性があるんだから」
「えっ」とヨーコはウサギのように体をビクつかせた。
「牛島には染色体に異常がある事が判明したの。
これはもうドクター斉木の診断だから確定しているのね。
その異常があると、強姦殺人をしたりするの。
つまり、あいつは、遅かれ早かれ刑務所のうすーい味噌汁をすする運命に
あるんだけれども、勿論それには出汁なんて入っていないんだけれども。
それはいいんだけれども。
とにかく、あいつを、即、除草しなければ、ヨーコの命が危ないの。
お前はどうする?」といきなり春田に矛先を向ける。
「えっ。そんなこと急に言われても…」
「考えている暇なんてないのよ、緊急事態なんだから。
あいつが染色体異常で、凶暴だというのは、もう医学的にそうなんだから、
どうにもならないんだから。
今日だって、田んぼで私に絡んできたし、さっきだって味噌汁で絡んできたでしょう。
そういうのはもうみんな医学的に分かっていたことなんだから。
そして、今夜にはこの子が強姦の上殺害される、っていうのも、
医学的に分かっているんだから。
それでも、放置しておくの?」
「そりゃあ、そんな事聞かされれば…。どうにかしなくちゃと思うけど」
「じゃあ、あんたも追放に賛成?」
「うう…うん。でもどうやって」
「今、何している?」
「明日のコースのチェックをしているけど」
「うーん」と唸って考えた。「私にいい考えがある」。指で合図して、
全員に顔を近づけさせると私は小声で言った。「あいつに武器を持たせて、
挑発してこっちに向けさせるのよ。そうしたら、半魚人が武器を向けた、
半魚人が武器を向けた、半魚人、半魚人、って連呼してキレる様に仕向けるのよ。
あいつはキレやすいからキレるんじゃない?」
「本当に刺してきたら?」
「そんなことをしたら完璧に向こうが悪いんだから、みんなで逃げてきて
ハブにすればいいんだよ。だから、まず誰かが武器を渡して…。春田君が…、いや、
ヨーコの方がいいか。春田君は地下からモリを持ってきて」
「今?」
「そうだよ。今だよ。私達は食堂の入り口で待っているからとってきて」




#1041/1158 ●連載    *** コメント #1040 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:41  (195)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー9
★内容
抜き足差し足で、階段を下りて廊下を進むと、私、ミキ、ヨーコ、と斉木は、
食堂のドアに張り付いた。
ドアの隙間から覗くと、牛島が、壁にかかっている道のりマップみたいなのを
携帯のライトで照らしていた。
休憩場所の見当でもつけているんだろう。
地下から春田が、メリメリ、ドタドタいわせながら、モリを持ってきた。
「しーしーっ」と指で合図しながら、それを受け取った。
ずっしりと重い。
ボートのオールの先っぽに火箸でも付けた様な感じで、
でっかい矢じりが付いている。
こんなんで刺されたら死んじゃう。
それをヨーコに渡す。
「いい? 指し棒にでもすればって渡すのよ。
頃合を見計らってみんなで突入するから」とヨーコの背中を押した。
そしてドアの影から見守る。
食堂は異様に明るい月光で照らされていた。
しかし足元まで明るいわけではなく、ヨーコが真ん中辺まで行くと
椅子がぎーと音を立てた。
「誰だッ」。 牛島がビクッとして振り返る。「あー、びっくりした。
そんなところで何をしているの。つーか、なんでそんなもの持ってんの」
「そこに立てかけてあったの。地図なんてこういうので指さないと
迫力無いなーと思って」と言って渡した。
「ふーん」受け取ると、ライフル銃の重さでも確かめる様に両手で握った。
「あの烏合の衆に言う事をきかせるには、いいかもしんねーな」
言うと、柄の方をグッと突き出して、ニーっと笑う。
「よし、今だ」私の掛け声で、全員が突入した。
牛島は、足音に反応して睨んできたが、テーブルのところで椅子をぎーぎー
鳴らしてやると、こっちの敵意に気付いたか、モリをがっちりと抱えた。
「なんだよ、お前らは」
「ヨーコ、こっちきな」ととりあえずヨーコを呼び戻す。
子供みたいに戻ってくると私らの後ろに隠れた。
「何もってんの? それで私らをビビらす積り? でも似合っているよ。
半漁人みたいで」と私は言った。
「なんだと」。このやろう、という怒りが顔に浮かぶ。
「半漁人みたいで似合っている、って言ったんだよ」と囁くように言った。
「てめぇ」口をゆがめると抱えていたモリをこっちに向けてきた。
予想通りの反応に、すかさず私は、「あっ、半漁人が刃物を向けてきた」と
振り返って言った。
他のみんながこぞって、
「えぇ、半魚人だって?」
「半魚人つーのがやべーな」
「きゃー、半魚人、こわーい」
と、繰り返す。
その内誰かが「半漁人、半漁人…」と小声で繰り返し始めた。
他の誰かがそれに乗っかり、声も段々大きくなり、手拍子も重なって、
だんだんとシュプレヒコールになっていく。
「半魚人、はんぎょじん、ほら、半漁人」と私らは連呼しながら、迫って行った。
「黙れーっ」と牛島は怒鳴った。
「半魚人、はんぎょじん…」
「黙れってんだろう。てめーらぶっ殺すぞ」
「半魚人、はんぎょじん、はんぎょじん…」
「ごるぁああああああ??」と絶叫すると、牛島はモリを放り投げた。
うわー、と全員がたじろいで、連呼は止まる。
しかし、牛島はぶるぶると震えながら、うずくまる様にして頭を抱えている。
そして顔を上げると、額から鼻筋にかけてYの字が浮き上がっているではないか。
Y遺伝子!
それから、爬虫類的蛇行で丸椅子を蹴飛ばしならテーブルに迫る、
と、テーブルに飛び乗った。
「てめーら、ふざけんじゃねー」
全員が逃げ惑う様を、肩で息をしながら睨んでいる。
そして、肩寄せ合って震えているミキとヨーコに狙いを定めると、床に飛び降りた。
ヨーコを捕獲して餌食にする気か。
ミキが「やめてー」と叫んでヨーコに覆いかぶさった。
何故か牛島は躊躇って、フリーズした。と思ったら、廊下に飛び出して行った。
だだだだーっと階段を駆け上る音。
それからメリメリと2階で動いている音がしてくる。
みんな固唾を飲んで天井を見上げていた。
と思ったら どどどどーっと、と階段を下る音。
「今度は地下に行ったぞ」と春田。
「武器でも取りに行ったのかな」と斉木。
しかし しばらくして、廊下をミシミシいわせて登場した牛島は、
リュックを背負ってランプを手に持っていた。
これから帰る積りか。
私ら全員を無視して、途中でモリを拾うと、テラスに向かった。
「どこ行くんだよ。危険だよ」かつてのよしみで春田が言った。
「うるせぇ」と血まなこで睨む。
そして牛島はテラスから月あかりの中に出て行った。
私らも全員でテラスに出ていって行方を見守った。
ランプを揺らしながら、山道の方へ歩いて行く牛島の背中が見える。
しかしすぐにロッジの影になって見えなくなってしまった。
今度は全員でキッチンコーナーへ行って、裏の窓を開けて見る。
牛島のランプが森の中で幹の陰になったり出てきたりして、
点いたり消えたりしている。
やがて完全に見えなくなると、誰かがため息をついた。
全員で、テーブルのところに戻ると、
倒れた丸椅子を元の位置に戻して、みんなで座って何気脱力。
「あんなに挑発するべきじゃなかったんじゃない?」と春田が言った。
「いやぁ、さっきのがXYYの本性だよ。
夜中になればあの調子でヨーコを襲ったんだから、これで正解だったんだよ」
「そうかねえ。みんなで追い詰めたからあんなんなったんじゃない?」
「自分だって、ノリノリで連呼していた癖に、
後になって後悔するのって、場当たり的だよね」
「まぁまぁ、もうこれ以上揉めない。今日はもうさっさと寝ちゃおう」
とミキが言った。
「放送は?」
「えー、あんなの見るの?」
「それ見て寝るか」
「そうだね」
話すことがなくなって、しばらくぼーっとしていた。
突然森の方から、「ぎょえーーーーーっ」という叫び声が響いてきた。
マンホールにでも吸い込まれていくような響き方だった。
「なんだッ」春田は裏窓のところに走って行って外を見た。
それから戻ってくると、「行ってみよう」と斉木の肩を叩いて、自分はテラスへ
出て行った。
斉木もそれに続く。
「もう、なんなのよー」とミキ。
「どうする?」と私は聞いた。
「もう面倒くさいよ」
「でも、とりあえず行ってみる?」
「うー、うん」
というんで、女子も後に続いた。

裏の山に入ると、私らは左に伸びている坂道を登った。
男子は既に先に行っていて、見えない。
一つ目の折り返しを右に曲がる。
森が鬱蒼としてくる。
木々の間から湖面が見える。小波に月光が反射してイカ墨パスタみたい。
「でも、虫の声とか全然聞こえないね」と真ん中のヨーコが言った。
「そうだよ。ここは地球じゃないんだよ。実は黄泉の国を彷徨っているんだよ」
と先頭のミキが、わーと振り返る。
ずずずーっとヨーコが滑ってくる。
「危ないじゃない。すべるんだから」としんがりで私が文句を言った。
しばらく行って、最初の平坦な道になったところで、男達の背中が見えてきた。
「おーい、どうした」向こうを見ている彼らにミキが言った。
「土砂崩れ」振り返って斉木が言う。「しかも、牛島がそこに引っかかっている」
「うっそー」
駆け寄ってみると 幅5メートルぐらい、深さは見えないのだが、
ずっぽり陥没していて、壁面からは、
植木鉢から引っこ抜いた植木みたいに、根が出ている。
そこに牛島がぶらさがっているのだ。
牛島は携帯の光で照らし出されていた。
地面から2メートルぐらいのところだろうか。
ナップの肩紐の片方を首に、もう片方が木の根に引っ掛けた状態で、
両手をだらーんと下に垂らしている。
「おーい」と斉木が呼びかけても反応しない。
「こんな崖、あったっけ」とミキが言った。
「活断層でもあったんじゃないの?」と春田。
「地震なんてあった?」
「俺らが騒いでいる時にあったのかも」
「そんな事より、彼をどうにかしないと」と斉木が言った。
「どうにかしてっ言われても、絶対届かないよ」
斉木は、とりあえず崖から顔を上げると、携帯のライトであたりを照らした。
「あそこにモリが落ちている」というと走って行って拾ってきた。
「このきっぽにロープを引っ掛けて、肩紐に通せば…」
「ロープなんてないよ」
「何か代替品は…。そうだ、ベルトだ。みんな、ベルトを外して」
言われるがままにベルトを外すと斉木の足元に投げた。
斉木は、みんなのベルトとつなぎ合わせると、バックルをモリの先にひっかけた。
そして、釣竿でもしならせるようにベルトを引っ張った。
そのまま崖っぷちにかがみ込むと、モリの先っぽで牛島の肩紐を狙う。
何回も空振った後、ようやっと肩紐に通った。
さらに数分かけて、モリの顎にバックルを引っ掛けてベルトを引っ張ってきた。
「よっしゃー」斉木はモリを脇に置くと、
ベルトを両手で引っ張って引っ掛かり具合を調べた。
「ばっちり引っ掛かっている。じゃあ、いっせーのせえで引き上げよう」
と春田に言った。
「じゃあ、いっせーのせえ」で、二人は、綱引きみたいに後ろに体重をかけた。
「まだまだ」とミキ。
「せーのせえ」
「まだ、もうちょっと」
「いっせーのせい」
牛島の両肩が出てきたところで、私やミキもリュックの肩紐に手をかけた。
そして全員で思いっきり引っ張る、と、ずるんと、
舟に引き上げられたシーラカンスの様に這い上がってきた。
なんとなくぬとぬとの牛島を全員で見下ろした。
「これ生きてんの?」とミキ。
「斉木、検視だ。医者になるんだろう」と春田が言った。
「えぇっ」と言いつつも、片膝をついて携帯のライトで瞳孔のチェックをした。
しかし分からないらしく、携帯を畳んでしまうと、頚動脈に指をあてた。
「脈拍はゼロだな」
「死亡って事?」
「どうるす?」とミキが春田に言った。
「って俺に聞かれても」
「置いていく訳に行かないでしょ」
「どうやって運ぶんだよ」
「春田君が背負って行く」
「やだよ。つーか、なんか生臭くない?」
「牛島がにおっているの?」と私。
「いや、土のニオイだろう」
「なんか、ここらへん一帯生臭くない?」
「もう、引き上げようよ。ねえ、春田君、担いじゃいなさいよ。男でしょう。
強いところ見せてよ」とミキが春田の肩を叩いた。
「エェエエ。じゃぁ斉木、せめて後ろから押さえていろよ」
「おっけー」
そして全員で春田に背負わせると、斉木が尻の辺りを押さえた。
女子3人が携帯のライトで山道を照らす中、
男子3人は、チャリの3人乗りみたいにグラグラしながら降りて行った。

ロッジに到着すると、そのまま地下室に降りていって、
鉄格子の向こうに、ごろりと下ろした。
おんぶしている間に死後硬直したらしく、牛島は招き猫の様な格好で転がった。
それからみんなで、地下室にあった食糧や武器を食堂に移動したのだが、
階段が狭いし暗いしで、何往復もせねばならず、すげー疲れた。
やっと運び終わった時に、ピッピッと腕時計のアラームが鳴った。
「放送の時間だ」息も絶え絶えの私はみんなに言った。




#1042/1158 ●連載    *** コメント #1041 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:42  (150)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー10
★内容
《 諸君、今日は一日お疲れ様でした。疲れたでしょ。
私もサボっていた訳じゃないんだよ。
さっきまで理系志望の生徒の相手に講義をやっていたんだから。
そんなんだから食事もまだで…だからちょっと失礼して、
今日は食べながら放送をしたいと思うんだが。
と言っても、ファーストフードぐらいしかないんだけど。これはビッグマックか。
じゃあちょっと失礼して。ガブッ。んー、うまい。ジューシーだ。
反対側から肉汁とかソースがこぼれるね。
さぁ、それじゃあ放送を始めたいと思います
諸君ら、疲れているかも知れないけど、授業は授業で、やってもらわないと。
何かあると授業を放り出してしまうのが落ちこぼれの悪い癖。
もっとも、放送は、今日を含めて、4、5回しかないので、
本当にエッセンスというか、トピックスを数個、
いや、一個言えるかどうかという感じなんだが。
そこで、これだけは伝えておきたい、というのは何か、と、生物Tと、
あとちょっとUにもかかる範囲で考えてみたんですが、
やっぱり、今時の高校の生物は、結構高分子になっていて、
DNAの複製とかタンパク質の合成とか、そういうのが柱になっているんだが…。
それはどういう感じかというと、君たち、教科書読んでいないだろうから、
ちょっとどんな感じか教えてやるけど、
タンパク質の合成というのは、
細胞の中に核があって、核の中に遺伝子があって、
その必要な部分がメッセージRANというのに転写されて核外に出てきて、
そこで、そこらへんに漂っているアミノ酸がひっついて、
それでタンパク質の合成、って事になるのだが。
ただ、ここで重要なのは、そのまま細胞外に放出されたりはしないで、
ゴルジ体というところで、調整が行われるということなんだよね。
ここで注目したいのは、このタンパク質の合成、というのと、ゴルジ体による調整、
というのは、なんか、過剰、と、去勢、という感じがしないか、
ということなんだけれども。
或いは、…タンパク質の合成と、遺伝子のコピーというのが高校生物では
重要だ、って言ったけれども…遺伝子のコピーについて言うと、
コピーをしたのはいいけれども、コピーに失敗して、がん細胞になっちゃった、
とかなったら、今度は、リンパ球が出てきて、がん細胞を攻撃するわけでしょう。
ここでも、がん細胞が発生するという過剰と、リンパ球による去勢という、
過剰と去勢がある。
この過剰と去勢というのが、トピックになるんじゃないかと私は考えているんだが。
ところで今リンパ球とか出てきたけれども、リンパ球ってなんだか知っている?
リンパ球っていうのは血液の一種で、
インフルエンザとか麻疹とかになったらそれが攻撃してくれるんだが。
このリンパ球が出来る時にも、この過剰と去勢っていうのがある。
このリンパ球はどこで出来るかというと、諸君らの腰骨の中に造血幹細胞という
10万個に一個と言われる幻の細胞があって、
そこから血とかリンパ球が増殖してくる。
ところが、その中に、自分を攻撃してしまうリンパ球がある。
これがあると、膠原病とかの自己免疫疾患になってしまうんだけれども。
だから、そうならない為にそれを取り除く作用があって、
これを免疫寛容というんだけれども。
だから、私が言いたかったのは、
造血幹細胞からリンパ球が増殖するという過剰があり、
一方で、自己免疫反応を起こす様なリンパ球を取り除く去勢もある、
ということなのだけれども。
そういう感じで、体のいたるところで、過剰と去勢、
ということが行われているのだけれども、
ここからは教科書からはちょっと離れてしまうのだが、ま、いいでしょう、
重要なのは、この過剰と去勢の去勢って、誰にとっての去勢なのか、
という事なんだね。
過剰というのは、太陽の光が泥の川に差してきて花が咲く、みたいな感じだから、
自体的に咲くという感じでいいんだけれども、
それを去勢するとなると、整える、という感じで、誰の為に整えるんだ、となってく
る。
とりあえず、自分にとっての去勢、と考えるだろうが、
でも、なんとなくおかしいと感じない? 
だって、自分を攻撃するから骨髄が免疫寛容をする、というと、
どうしてそんな機能が最初から備わっているんだろう、そんなの目的論的じゃないか、
って感じがしない? 
えー、生物学的にものを考える時の基本的なスタンスというのを、
ちょっと、ここで教えるが、
ダーウィンの『種の起源』で、
首の長いキリンと首の短いキリンがいて、餌が高いところにしかなかったので、
首の長いキリンが生き延びた、という場合に、
首の長いキリンは環境に適応する為に首を伸ばして行った、
って考えちゃダメなんだよ。こういうのは目的論と言って。
たまたま、首の長いキリンと、首の短いキリンがいて、
たまたま、餌が高いところにある、という環境が、首の長いキリンを選択した、
と考えないとダメなんだね。
つまり環境が遺伝子を選択したと考えるのが正しいスタンスなんだね。
そう考えると、この、骨髄に関して言うと、骨髄がリンパ球を選択した、というのは、
遺伝子が遺伝子を選択した様なもので、なんかおかしくない? 
そんな作用が遺伝子にあるのか、と思わない? 
環境が個体なり遺伝子なりを選択する、というふうに選択説的に考えるならば、
骨髄とか遺伝子とかいうローカルなものの外に、
もっとグローバルな環境を想定しないとおかしいでしょう。
ちょっと話を遺伝子に戻すと、
さっき、遺伝子のコピー失敗、
つまりがん細胞が出来るというのは過剰だと言ったけれども。
遺伝子をコピーする瞬間というのは、コピーというよりかは、
DNAポリメラーゼが元の遺伝子を鋳型にして、
そこらへんに漂っている塩基を選択する、って感じで、
これはどっちかというと、合わないものをはじく、という感じで、
去勢なんだよね。
そして、むしろ、このDNAポリメラーゼが塩基をびーっとくっつける時に、
びーっとズボンのチャックを上げていたら布に引っかかっちゃった、
みたいな感じで余計なものが出来ちゃったのががん細胞で、
どっちかというと、こっちが過剰なんだよね。
だから普通にDNAポリメラーゼが塩基を選択していくんだったら、
これは選択説的に行われているんだから、
やっぱり何かグローバルな外部からのエネルギーがないとおかしいんだよね。
といってもなかなかイメージ出来ないだろうから、ちょっと模式図的に言うと…。
遺伝子のコピーって、ながーい二重螺旋の一部が解けて、
丸で電車の線路が上下に分かれるみたいになるんだけれども、
そこに、一両編成の電車、これがDNAポリメラーゼだとして、
それを走らせて行くんだけれども、
でも、レールが片方しか無いと安定しないので、
もう一本、仮のレールを持ってきて走り出す。
そうやって走りながら、仮のレールを、どんどん継ぎ足していく、
という、この継ぎ足されたレールが新しい遺伝子で、
そういう感じでコピーが行われていって新しい遺伝子の鎖が出来るのだが。
そのコピーが行われている時に遺伝子が解けている場所って、
上側は左から右へ、下側は右から左へとなっていて、つまり上下線があるのですよ、
丸で電車の上り下りみたいに。
という事は、あれは化学合成というよりかは、
電車の様に外部から電気なり磁気なりを貰ってきてやっているんじゃないか。
何も奇想天外な事を言っている訳じゃなくて、普通に考えればそうならない? 
因みにDNAポリメラーゼというのは亜鉛酵素で出来ていて、
亜鉛酵素は反磁性だから自体的には磁石にはならない、が、磁気の影響は受ける。
亜鉛は脳にも多く含まれているけれども、
高圧線の下に住んでいると脳腫瘍になるとかいうのも関係あるんじゃないか。
だからつまり、遺伝子の複製というのは、遺伝子自らの作用ではなくて、
電車みたいに、外部から電気とか磁気とかを与えられてやっているんじゃないか、
と、私はイメージしているのだが。
あと、遺伝子って、内側に向かって二重螺旋だよねえ。
あれって、外部のエネルギーによるから、そうなんじゃないのか。
もし自分の力でコピーしているんだったら、
葉っぱみたいに外側に向かってシンメトリーになるんじゃないのか、とも思う。
まぁ、それはどうでもいいんだが、私が言いたかったのは、
もし、遺伝子の複製が外部の電気、磁気の作用によるのであれば、
一蓮托生、他の部位に関しても、同じことが言えるのであって、
ゴルジ体も骨髄も、何か外部の電気なり磁気なりの影響を受けて
作用しているのではないか。
つまりそれは宇宙の磁気なのではないか。
だから、リンパ球においては、造血という過剰があり、免疫寛容という去勢がある、
と言ったが、後者は、宇宙の磁気によるんじゃないか…。
…という訳なんだが、どうかね。
いきなりちょっと突っ走りすぎた気もするが。
以上は私の説なんだが、みんなにはどう聞こえるかね。
お前らみたいな低偏差値の落ちこぼれには、馬の耳に念仏かね。
それとも、理解できて、なお、基地外が知ったかしていると聞こえるかね。
或いは、理解出来て、さもありなんと思ってくれたら一番嬉しいのだが。
さて、今日は初日ということで、こんなところ終わりにしたいと思うんですが。
ところで、そうそう、今日話した事が、亡くなった生徒、牛島君っていったっけか、
彼となんの関係があるんだ、という気持ちはあるかも知れないけれども、
それは、2回目、3回目になれば、だんだんと関係してくる、かも知れない。
えー、それじゃあ今日はこれで終わりにします。
次回の放送は明日の5時になります。
その時間になったらバッテリーを入れてディスプレイの前で待っていて下さい。
それではみなさん、今夜はよく眠って明日のカリキュラムに備えて下さい。
それではみなさん、又明日》

プチッ。




#1043/1158 ●連載
★タイトル (sab     )  16/01/22  18:35  (235)
◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー1   ぴんちょ
★内容


アサー、目が覚めて、あーとあくびをしたが、瞼が浮腫んでいて目が開かない。
ぐーっと伸びをして、その手で頭を押さえてみると、髪が逆だっていて、
こりゃあサモアの原住民みたいになってんじゃないか、と思った。
頭を押さえつつ、俺はベッドの上で上半身起こした。
「パパイヤ鈴木みたーい」。いきなり隣のベッドのミキが突っ込んできた。
瞼を無理矢理開けてミキを見る。
タンクトップが寝ている間に延びてしまっていて、ノーブラで、
肌は青白っぽくて、多少の汗臭さが漂ってきている。
ミキは、あー、と長い腕を伸ばして伸びをした。脇の下も青っぽい。
手を後ろにまわして肩甲骨のあたりをポリポリかいた。テナガザルか。
俺のちんぽは、既に勃起していた。朝立ちではなかった。
窓の外から、ヒヨリとかヨーコとかの声が聞こえる。テラスに出ているんだろう。
「みんなの声が聞こえるじゃない。私も行こーっと」
言うとミキは起き出して、サンダルをつっかけて、スタスタと出て行ってしまった。
俺はズボンに手を突っ込んで、仮性包茎が巻き込んだ陰毛を引っ張り出した。 
やっちゃえばよかったのに、と思う。でも、そんな図々しさはないよ。

ベランダに行くと、ヒヨリ、ヨーコが、「昨日の放送はなんなんだったのよー」、
「ナベサダが喋ると口の端にツバがたまってキモい」、とか言い合っていた。
斉木は手すりに寄っかかっていた。
ミキはみんなに混ざって行って「今日も暑いわねー、曇っているけど」と言った。
「でもセミとか全然鳴いてないね」とヨーコ。
「だってここは黄泉の国だもの」
ヒヨリがペットの水をかざしていて「葉緑素が増えた気がする」と言った。
「こんなの飲んでも、がぶがぶになるだけだけど」
「だったら芋でも食う?」と俺。
「芋はあっても燃料が無いのよ」とヒヨリ。
「レトルトご飯だったら残っている」
「燃料が無い、ってんの」瞬間的に般若の面になった。
「ああ、そっか。テラスでもはがそうか」
「そんな事をしたら怒られんだろ」
手すりに寄りかかっていた斉木が「2日目のカリキュラムって、木こりだったよね」
と言ってきた。
「えーーー」全員が目を剥いた。
「まだカリキュラムをやる積り」とヒヨリ。
「ちょうどいいじゃない。燃料は無いんだし。
こっちの山道は土砂崩れなんだから向こうはどうなっているのかを見てきつつ」
それはそうよねぇ、と女子は納得しながら頷いていた。
俺はテラスの下から裏山に伸びている道を見た。
こっからだとロッジが邪魔になって見えないのだが、
夕べあの山の活断層みたいな割れ目で、牛島は死んだんだよな。
背中に、あの生臭くてぬるっとした巨大魚の重みが蘇ってきて、ぞっとした。
あのグロいご遺体は地下室に眠っているんだよな。
やべーな。こうしちゃいられないな。
「じゃあ、薪を運ぶ入れ物がいるな」と斉木。「もう僕のシャツもボロボロだし」
「じゃあ、牛島のシーツとか毛布とかとってくるよ」とヒヨリ。
言うと女子は二階に行ってしまった。
俺らは、台所まで行くと、キッチンカウンターの前にしゃがみこんだ。
ナイフとかと畜銃とかナタが並べてある。
ナタの柄を指で押さえて「こんなの使ったことある?」と聞いた。
「それは君にまかせるよ」と言うと斉木は地図を手にとった。
俺だって非力なのに、と思いつつ、ナタを持ち上げると、肘ががくがくした。
なんとか肩に担ぐ。

俺らは、全員が持つべきものを持って、湖畔の小道に出た。
つまり先頭の斉木は地図、ヒヨリは毛布、ミキはシーツ、ヨーコは枕カバーを、
しんがりの俺はナタを持っていた。
俺らは、キノコの傘のように樹木がせり出している下を歩いた。
しかし、50メートルも行かない内に、右に逸れていく脇道があって、
あっちに行くと何があるんだろう、と思った、次の瞬間、
俺は遠心力で脱線するプラレールみたいに、そっちを歩いていた。
そうすると緩やかな登りになっていて、そこをハァハァしながら上って行った。
すると、湖側に、台形を逆にした感じのでかい穴があって、
四方がシジミでもびっしり積み上げたような壁になっていた。
なんだ、これは。貝塚みたいなものかな。
ふと、牛島をここに捨てちゃえばいいのに、と思ったが、それは可哀想だな。
小便がしたくなったのでナタを森側に落とすと、貝塚に向かってちんぽを出した。
じゃーーーー。
あー、気持ちいい。一体どこの筋肉を緩めたらこんなに勢いよく出るんだろう。
きっと膀胱が風船みたいに膨らんでいて、ギューッと押し出すんだろうな。
めまいがするぐらいだ。
木々の向こうに他のメンバーが行進しているのが見えた。
あいつら俺がこんなところで小便しているのも気が付かないで、アホな奴らだ。
ヒヒヒ。
俺は、ちんぽをしまうと、ナタを拾い上げた。
その時、雑草の中に、笛になる草を見付けたので、
摘んでちぎると口にくわえた。ぴぃー。
俺は脇道から戻ったりしないで、そのまま前に進んで行った。
どっかで湖の周りの小道と合流すると思ったからだ。
雑木林を挟んだ向こう側では、俺と並行する感じでみんなが歩いていた。
ピーピー笛を吹いたのだが誰も気が付かない。ぴぃー。
更に進んでいくと、思った通り合流していた。
みんなの前に飛び出ると、笛を鳴らす。
「ぴぃー」
「びっくりするじゃない」全員がのけぞった。
「どこに行っていたのよ」とタマ。
「散歩。ぴぃー」
「散歩って。探していたんだよ。神隠しにでもあったのかと思って」
「ふん」とヒヨリが鼻で笑った。「こいつは何時でもこうなんだよ。
コンパの時に皆で待ち合わせをしているのに全然来ないから、
どこへ行ってんだ、っ携帯に電話したら、
腹減ったから途中でラーメンを食っている、だって」
「そういえば教室のPCが壊れて、みんなでムラウチに行ったのね。
そうしたら、突然春田君が消えて、どこへ行ったんだろうってみんなで探したら、
一人で雑誌のコーナーで『ファミコン通信』とか読んでんだよね」とミキ。
「つーか、そのPCでスカイプやっていたら、こいつ、雑誌読んでんだよ、通話中に。
携帯で話している時にも、突然関係ない事言い出すんだけれども、
宇多田ヒカルって結婚したんだー、とか。通話中に雑誌読んでんだろう。
通話料発生してんだぞ」とヒヨリ。
「そんないきなり、がーって言ってくることないだろう。ぴぃー」
「つーか、さっきからおしゃぶりみたいにぴーぴー吹いているけれども、
かぶれているよ」とヒヨリ。
「えっ」と俺は口の端に手を当てた。
「ヘルペスじゃないか」と斉木。
「いやだぁ、伝染るぅぅ」と女子が仰け反った。
「いや、あれは常在菌といって誰の体内にもあって、
抵抗力が落ちると出てくるだけなんだよ」
「へー、そうなんだ」とミキ。
「つーか、暑いから早く行こう」とヒヨリ。
「そうね。抵抗力落ちるものね」
「そうそう、いこいこ」
そして、俺らは軍隊の様に行進していった。

しばらく行くと、昨日の芋畑の入口の前に差し掛かり、そこを通り過ぎる。
そして、もうしばらく行くと、又入口が見えてきた。
斉木が、「ここだ。1時の方角だから」と言った。
そして全員で、ぞろぞろと右折していく。
と、そこは藤棚みたいに上から草が垂れてきていて、
そこを、いらっしゃーい、みたいに、暖簾をくぐる様に通り抜けて行った。
と、林に囲まれた原っぱあって、その真ん中に、
椎茸でも栽培するような丸太がごろごろと転がっていた。
「あれだ」と言って、ぞろぞろとそこまで歩いて行った。
「なんだよ、自分で切り倒すわけじゃないんだ」
俺は重かったナタを、丸太の一本に落とした。
サクッっと乾いた音をたてて、おっ立つ。
「切ったばかりの木なんて燃えないからなんじゃない?」とミキ。
「そうかもなあ。じゃあみんな、シーツを広げて、これを包もう」
と俺はヒヨリらに言った。
「ちょっと待って。その前に土砂崩れの状態を見に行くんじゃなかったっけ」と斉木。
「あ、そっか。忘れてました」
原っぱの向こうを見ると、夏草が生い茂っていて、その向こうには、
『遥かなる山の呼び声』的景色が広がっていた。
「そんじゃあ、草ぼーぼーだから俺らで見て来るよ」とホットパンツの女子に言う。
みんな太腿がむちむちだ。
「じゃあ、行こう」と斉木を促す。
そして斉木と草むらの中に入って行った。
青々としたススキみたいな草が胸の高さまで生えていた。
それを、かき分けたり、なぎ倒したりしながら、
ミステリーサークルでも作るみたいに進んで行った。
ところが、しばらく行くと、突然草むらが終わって、
俺らは地面の露出しているところに出たのだが、
そこで俺らが目の当たりにしたのは、想像を絶する驚愕の風景であった。
地面がぼっこり凹んでいるのだ。
「なんなんだ、これはッ」
近くにいってみると、幅10メートルぐらいのU字型の溝がずーっと続いている。
モスラの幼虫でも這って行ったらこんなになるんじゃないか。
エッジのところは、ゴルフ場のバンカーみたいになっている。
「なんなんだ、これは。これも地震の影響か?」
「いや、元々、こういう地形だったんじゃない?」
「もしかしたら学校がやったのかも知れない」と俺は言った。
「なんの為に?」
「俺らを逃がさない為に。
つーか、牛島んちの近くにラーメン二郎があって、
圏央道に抜ける道を造成しているのだけれども、
あそこがこれぐらいの深さでさぁ、あそこにあるぐらいのパワーショベルがあれば、
こんぐらいの溝は掘れるんじゃないかなぁ」
「そんな金は学校には無いよ。あってもやらないし。
それに、なだらかな感じだから自然に出来たんだと思うよ」
「じゃあ地震でもないのか」、
俺は落ちないように身を乗り出して、溝を見た。
深さも幅も10メートル程度だが、傾斜はなだらかだった。
「これだったら向こう側に行けるかも知れないな」
「いや。止めた方がいいよ。
真ん中辺が液状化していて沼になっているかも知れないし。
仮に向こう側に行けても、迷うだけなんじゃない」
「うーん。じゃあどうする?」
「とりあえず引き上げて協議だな」
「そっかあ」
という訳で俺らは踵を返した。
草むらの中を引き返していたら、
女子3人が切り株のところに突っ立っているのが見えてきた。
ミキ、ヒヨリ、ヨーコの3人は、Gパンをホットパンツみたいに切っていたのだが、
内側からポケットがべろーんと覗くぐらいに短い。
「それにしてもミキっていい体格しているなぁ」俺は何気、呟いた。
「えっ」と言って、斉木は立ち止まった。「今、そんな事を考えるぅ?」
「だって、夕べ一晩一緒だったんだぜ」
「やっちゃったの?」
「まさか」
「そりゃあそうだろうな。まあ、ミキは君には無理だと思うよ」
「えっ、なんで」
「いや、別に、君のモテ非モテに関係なく無理だよ」
「なんで」
「産婦人科的にはそう思うんだよ」
「なんで、産婦人科的にそう思うわけ?」
「うーん」と唸ると、腕組みをして片方の手を顎に当てた。
「あの3人の体格をよく見てみな」
向こうでは、左からミキ、ヒヨリ、ヨーコの順番で突っ立っていて、
何か話しをしていた。
俺らは女3人を観察するような感じになった。
向こうからはこっちは見えていない。
「一番骨盤がでかいのはミキだろう。それからヒヨリ、ヨーコの順番だ。
分かりやすく言うと、骨盤がでかい女ほど、気性が荒い。
だから産婦人科的に言ってもっとも抵抗するのはミキだと思うよ」
「えっ、まじー?」
「本当だよ。逆にヨーコなんて、ほとんど女の体をしていないだろう。
骨盤が小さくて、鳩胸で、顔がでかくて、浮腫んでいる感じ。
これはおっぱいとか受容体がないんでホルモンが行き場を失って
浮腫んでいるのだけれども。
あと髪の毛がもっさりしているのも特徴でね。うなじがないのが。
ああいうのは最も従順なんだよ。まるでロボトミー手術でも受けたみたいにね。
「マジかよ」
「なぜそうなるかっていうと、多分、性染色体が一本しかないんだよ。
普通、男はXY、女はXXだろう。
ところが彼女の場合、性染色体はX一本しかないんだよ。
両親のどっちかが高齢で、精子か卵子のどちらかに性染色体が無かったんだろう」
「そんなの見た目で分かるの?」
「だって、ダウン症とかだって 見た目で分かるだろ」
「うーん…。あ、そっか」
「そういう訳で性格はいたって従順、命令されれば、なんでもやるんじゃないか。
因みに、ターナー症候群って言うんだけれども」
「へー」
「その対極にいるのがミキ。
身体的特徴は、身長が高くて、骨盤がでかくて、痩せている。
おっぱいも骨盤もでかいから栄養はみんな吸収されちゃうんだね。
つまり受容体があるから浮腫まないんだね。
性格的には強情で自己ちゅー、って感じかな。
ああいうのはX遺伝子が3本あるんだよ。
名付けてトリプルX症候群、又の名をスーパーフィメール」
「すげーな」俺は斉木の知識にただただ関心するばかりだった。
「ああやって3人ならぶと、ミキ、ヒヨリ、ヨーコの順に、
XXX、XX、X だな。
そんで、産婦人科的に見ると、ミキって本当に女って感じがするよ。ホルモン的にね。
昔の人は、小股の切れ上がったいい女、とか、うなじが色っぽい、
とか言っていたけれども、ああいうのは当たっているんだね」
「へー」ため息が漏れた。
が、え、何で? と思った。
「X遺伝子が多いんだったらそれだけやりたいんじゃないの?」
「そういう事にはならないよ。性欲はあっても、強情なんだから、
こんなキャンプ場で遊びでセックスなんてしないんだよ」
「そうなんだ」
俺は草むらの間からミキの伸び伸びとした肢体を眺めた。
「じゃあ、行こうか」
と促されて歩き出す。




#1044/1158 ●連載    *** コメント #1043 ***
★タイトル (sab     )  16/01/22  18:35  (158)
◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー2 ぴんちょ
★内容
原っぱに戻ると、女子達に、土砂崩れの状態を説明して、
「そういうわけだから、とりあえず引き上げ」と言った。
「じゃあどうやって家に帰るのよ」ヒヨリの顔が星飛雄馬のスパイクになる。
「だから、それをロッジで協議するんだよ。
もっともすげー空腹だから、とりあえず食うという事になると思うけど。
だからみんな丸太を持って帰って」
と言うと、俺は率先してシーツに丸太を包んだ。
他のメンバーも、シーツに丸太を包めるだけ包む。
そして肩から担ぐと、ロッジに向かった。

湖畔の小道に出ると、ミキ、斉木、ヒヨリ、ヨーコ、俺の順番で歩いた。
道がくねっているところでは、ミキの様子がよく見える。
背中を丸めて丸太を担いで、頬を真っ赤に紅潮させている。
人間の顔って、あそこまで赤くなるものなのか。
丸でプチトマトみたいだ。
つーか、ああやって赤くなってハァハァして俺を誘導しているじゃなかろうか。
猿が尻を赤してオスを挑発するみたいに。
斉木が、性欲はあるが強情だからやらせない、とか言っていたが、
今、ハァハァしているのが性欲なんだ。
だけれども、骨盤がでかくて強情だから、そんな恥ずかしい事は出来ない。
そういえばナベサダが、リンパ球のコピーは骨盤に宿った磁気が、
なんたら言っていたが、排卵も骨盤のパワーによるんじゃないのか。
骨盤がでかいからどんどん排卵する癖に、骨盤がでかいから強情で恥ずかしい、
という矛盾があるんじゃないのか。
だから、俺が、その、いやよいやよも好きのうち、という葛藤に気付いてやれば、
やっぱやらせるんじゃないのか。
もしかして、斉木はそれを察知して、
俺には無理とか言って邪魔しているんじゃなのか。
斉木はミキの後で、へばりつく様に歩いていた。

あいつにしてみりゃあ、ミキなんて、
星野鉄郎におけるメーテルみたいなものだからなあ。
性欲があったら困るよなぁ。

ロッジに到着すると、ロッジはスルーして、俺らはそのままキャンプ場に行った。
そこで、シーツに包んだ丸太をドタドターっと落とす。
それから、女子はロッジに戻って、鍋だの芋だの調味料だのを取って来た。
そしてみんなで、石ころでカマドを作って、湖水の入った鍋をかけた。
それから女子と斉木は、芋を洗いに、湖へ行ってしまった。
俺は、ナタで、丸太の皮を剥いたり、細く削ったりした。
それらを鍋の下に突っ込んで、チャッカマンで火を付ける。
本格的に燃えてくると丸太のままのを突っ込んだ。
やがて焚き火がぼーぼーになって、鍋がグツグツと煮立ってくる。
あとは芋を入れるだけかぁ。
ふと見ると、塩とか醤油とかと一緒にレトルトご飯が2パック転がっていた。
俺はそれを鍋に入れた。
だって、折角煮立っているんだからもったいないと思ったのだ。
そして15分たったら、棒っきれで取り出して、蓋をあけると、
ふんわりご飯の出来上がり。
蓋の底をへこませてご飯が浮き上がる様にして、ふーふーしながら食う。
甘い。ご飯の甘味が、まぃぅー。
それから塩を振って残りを食った。
それからもうひとパックは、醤油をかけて、のりなしのり弁にして食う。
まぃぅー。
腹が張った頃、みんながタオルに芋を包んで戻ってきた。
「よお」とこめかみのところで2本指の敬礼をした。
「ちょっとあんた、何食ってんの」とヒヨリ。
「あ、これ。あったからさあ」
「あったから、じゃねーだろ。みんなが芋を洗っているのに、
なんで一人で食っちゃうんだよ」
「一応リーダーなのに、なんで勝手な事するの。
そのお湯は芋を茹でる為に沸かしたんじゃないの?」とミキ。
みんなで、なんで、なんで と俺を攻めてくる。
「無理無理」と斉木が言った。「そんなのね、イルカに、
どうして浮き輪に飛びついた、と聞いているようなものだよ。
イルカは小脳でジャンプしているのに、大脳に、どうして、
なんて聞いてもしょうがないよ。
つーか、春田君の場合、小脳と大脳が関連付けられていないのかも知れないなあ。
つーか、小脳だけで生きている気もする」
と何やら俺を馬鹿にした様な事を言っていた。
しかし、女子らもなんとなく納得してくれた様だった。

それから、今後は芋を鍋に入れた。
全員で車座に座って待つこと10分。
茹だった芋を木の棒で刺して取り出すと、皮を剥いた。
醤油をつけて磯辺焼き、塩をつけてポテチ風味、砂糖をまぶしてザラメ、
砂糖と醤油でみたらし、とか味を変えてみんなどんどん食う。
俺もご飯を食った上に芋も食った。

満腹するすと、みんな後ろに手を付いて、Gパンのボタンを外したり、
腹をさすったりしていた。
食った後だから暑い。
あぢー。半端ねー。
じーっとしていると、汗が吹き出してくる。
お日様は出ていなのだが、風がないからだろう。
空気が澱んでいて、森の方から土のニオイ、というか、
すえた様なニオイが漂ってくる、と思ったんだが、なんだ、この沢庵みたいな臭いは。
もしかして誰か…。
「ミキちゃん、オナラした?」俺は隣のミキに聞いた。
「してないわよ。失礼ねえ」
「そんなに怒る事ないじゃない。オナラぐらいで」
「してないって言ってんの」
「じゃあ誰だろう」
「知るかー」
俺は腰を浮かせると、くんくんやりながらニオイの元を探って行った。
まずトイメンの斉木に近付くと「オナラした?」
「してないよ」
そしてカニ歩きで横に行くとヒヨリに「オナラした?」
「してねーよ」
そして隣のヨーコに「オナラした?」
「した」
「なんだよー」
そのまま中腰でカマドの周りをぐるり一周してきて、ミキの横に戻ってくると、
「ヨーコだったよ」と報告した。
「あんた、ガキだね。楽しいの、犯人探しして。満足そうな顔しちゃってさあ」
「なんで、俺はただヨーコだったよーって」
「あーあ、このガキの影響で私までトイレに行きたくなっちゃった。
ちょっと行ってこよーっと」
ミキは、立ち上がって、ぱたぱたと尻を叩きながら、森の方へ歩いて行った。
そのGパンのポケットをじーっと見ていたのだが、ふと、
あれ、ティッシュもっていないんじゃないか、と思った。
なんか拭くものがないと困るんじゃないか、とあたりを見回す、
と、丸太をくるんできたシーツが丸まっていた。
俺はそれを引っつかむと、足元に転がっていたナタの歯で切れ目を入れて、
ザーッと裂いて、
くるくるくるーっとトイレットペーパーの様に丸めると立ち上がった。
「どこに行く気」とヒヨリ。
「ペーパーがないんじゃないかと思ってさ」
「はぁ?」
「これを持って行ってやろうかと思って」
「やめろー」
「だって無かったら困るだろう」
「やめろ、ってんの」
と引き止めるのを無視して、俺はキャンプ場の砂利をじゃりじゃりいわせて
森の方に走って行った。
そして森に入ると 歩調を緩めて、「ミーキ、ミキ、ミキ。どこにいる」と、
迷い猫でも探す感じで、あたりを見つつ進んでいく。
と、ひときわ大きいケヤキの木陰にミキらしき人影が。
「そこにいるのは、ミキか」
とにじり寄ると、さっと立ち上がってホットパンツを上げるが早いか、
「なぁーーーーにしに来たのよ。デバガメ?」
「そうじゃないよ。紙をもってきたんだよ。布製だけれども」
「そんなものいらない」
「だって困ると思って…」
「思ってくれなくていいよ」と言うとケヤキの根の間から出てきて、
こっちを向いた。「思ってくれなくていい、ってんの」
「思っているよ」言うと、丸めた布を放り投げた。
するとミキは足で踏み潰した。
「あッ。俺の愛を踏みにじったな」
「愛? 何言ってんの。あんたみたいなガキに愛なんて分かるか」
「分かるよ」
「じゃあ何よ。教えてよ。あんたの愛を」
「俺の愛の証を見せてやる」
「何よ、それ」
「そのウンコを食ってやる」
「はぁ?」
「お前のウンコを食べてやるって」
「はぁ? あんた、何言ってんの? 頭は正気? でもいいわよ。
だったら食べてみなさいよ」
「食ってやるッ」と俺はケヤキの根に突進した。
が、すれ違いざま、ミキが足で土を蹴飛ばして、目くらましを食らわせてきた。
「うわー、目がッ」
「もう、あんたみたいな馬鹿とは付き合ってらんないわ」と言って、
俺をスルーして行ってしまう。
「見ていてくれなきゃ意味ないじゃないか」とミキの背中に叫ぶ。
しかしミキの白いTシャツは、木の間から差し込んでいる光の中に滲んで行った。
しばらく立ち尽くしていたが、そんなもの一人で食べても馬鹿みたいなんで、
肩を落として脱力すると、とぼとぼと戻った。




#1045/1158 ●連載    *** コメント #1044 ***
★タイトル (sab     )  16/01/22  18:36  ( 66)
◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー3
★内容
カマドのところに戻ると、ヨーコが一人で座っていた。
「あれぇ。他のみんなは?」
「泳ぎに行ったよ」
「とか言ってケツを洗いに行ったんだな。つーか、まさか裸で泳ぐの?」
「ちゃんと水着か下着を着てだよ」
「なーんだ」と言うと、俺はヨーコの隣に座った。「つーかなんでウンコぐらいで
怒るのかねぇ」
「そういうのは、大人になるとどんどん回路が出来て、封印してしまうんだよ。
禁欲だよ」
「いや。回路が出来ると言うよりか、括約筋が出来るんだと思うね」
「肛門の?」
「うん。そんで、封印されたかの様で、実は、括約筋のところを
ウンコが通過する時に初めて快楽が生じるんだよ。
ただミキの場合は、後で気が付くという感じかな。
えー、こんなにぶっといウンコが大腸の中にあったの? みたいな。
肛門に感覚は残っていはいるものの、既に通過してしまっていて、
昔を懐かしんで懐メロを聴くみたいな感じかも」
「なんの話?」
「カタルシスだよ」
「カタルシス?」
「うん。分かりやすく言うと、水戸黄門かな」
「水戸黄門?」
「そうだよ。ああいうドラマって、悪代官とかお百姓とか、
そういうのが溜まっていって、最後に黄門様の印籠を出した時、
ぶりぶりぶりーっとカタルシスを得る、みたいな。
これが本当の水戸肛門、みたいな。
ただミキの場合には夜中頃になって、初めて、いいドラマだったなあ、
って気付くんじゃね。
その点俺はリアルで楽しめる」
「ドラマを?」
「いや、音楽だね」
「水戸黄門の音楽? ♪じーんせい楽ありゃ」
「違うよ。ヒッキーとかだよ。
ファーストラブとか、どうしていいんだろうって、自分の体でチェックしてみたんだ。
そうしたら、♪you are always gonna be my loveのところで、
ベースがかぶってくるところで、ジーンとするんだよねえ。
やっぱあれは、ヒッキーが括約筋で、そこにベースとかストリングスとか
色々なものがどばーっと流れてきて感じるんだろうなあ。
とにかく俺はリアルで楽しむよ」
「じゃあどうしてウンコを食べるの?」
「えっ。ミキがそんな事言ってった?」
「う、うん」
「まぁ、それは元カノの影響だろうなあ。元カノに、
愛しているなら食べろって迫られたから」
「食べたの?」
「食べないよ。だって、俺はウンコ自体に快楽があるとは思わないし。
あくまでも括約筋の方が気持ちいいんであって」

でも、と俺は思い出した。
あの元カノのウンコを汚いとは思わなかったぁ。
俺は彼女の顔が好きだった。
昔のナベプロ系アイドル、天地真理とか太田裕美みたいな、
ムーンフェイスにどんぐり眼みたいな顔で。
ああいう顔をしている人のウンコは許せる。
キューピーちゃんみたいな顔をしているからかなあ。
むしろミキみたいな綺麗系には、清くあってほしいと思う。
ミキにはウンコまんこは似合わないよ。
でも、その元カノがスカトロだったのは不思議だ。
つまり、俺がウンコを許せるなーと思った女が、たまたま向こうでもスカトロだった、
というのは何でなんだろう。そんな偶然の一致があるのだろうか。
待てよ。そう考えないで、さっき斉木が、X遺伝子が一個しかない女は、
成熟しないで浮腫んでいると言ったが、
ナベプロのアイドルと考えないで、…未熟な女は浮腫んでいて、
未熟だからスカトロであり、未熟なキューピーちゃんのウンコは許せる…、
と思うと、意味は通るのかぁ。
と、ヨーコを見ると、そういう顔だった。




#1046/1158 ●連載    *** コメント #1045 ***
★タイトル (sab     )  16/01/22  18:36  (104)
◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー4
★内容
「俺、どっちかって言うと、ミキよりヨーコの方が好きだな」と突然言った。
「俺、適当に言っているんじゃないよ。太田裕美とか好きだし。
ヨーコって太田裕美似だよな」
「おおたひろみ? 誰?」
「知らないの?」
「知らない」
「うーん。だったら、ちょっとエロになるけど、これを見せたい。
別にエロいものを見せたい訳じゃなくて、適当に言っているんじゃなくて、
ヨーコが好きだっていうののエビデンスとして」
言うと俺は尻ポケからスマホを出してエロ動画を再生すると、
この顔が似ているなぁという所でストップして見せた。
「これはさあ、藤原ひとみって言うんだけど、
こういうムーンフェイスでどんぐり眼で、お尻が小さくて鳩胸で、
こういうのが好きなんだよね」
「ふーん」
「それにしても、ここはむしむしするね。部屋の中の方がむしろ涼しいよ」
「うん」
「部屋に行かない?」
「いいけど…」

俺とヨーコはキャンプ場を後にして、ロッジに戻って、部屋に入った。
部屋の中は薄暗かった。
開け放たれた窓から、桟橋のミキらの声が聞こえてくる。どぼーん。
「立っていると暑いから座ろう」と言って、二人してベッドに腰掛けた。
「座っていても暑いね」
俺は突然Tシャツを脱いだ。
ヨーコは一応ビクッとしたが、特に逃げるでもなかった。
やっぱり斉木が言ったみたいに無抵抗なのか。
試しに、「ヨーコも、これ脱いじゃいなよ」とTシャツの裾を引っ張った。
ヨーコは、Tシャツの袖口に両手を引っ込めてから、首から抜いた。
そうすると、全くの幼児体型で、鳩胸にスポーツブラが食い込んでいる。
「これもいらないね」、と、今度は、ブラを引っ張り上げて、バンザイをさせると
脱がしてしまった。
すると、なんだ、このおっぱいは。
小学生男子のおっぱいみたいなホルモンの固まり上に女性の
乳輪と乳首がある感じで、池沼の女子におっぱいが出てきた感じだ。
それでも、ベッドに押し倒して、俺は吸い付いたのだが、
扁平すぎて鼻が邪魔になって吸えない。
俺は、乾いた旅人が岩肌を伝う一筋の水でも吸う様に、頬をくっつけて口の端で、
んがんがん、しゅしゅしゅ、シュシュシューと吸った。
吸いつつ、ホットパンツとパンティも脱がせる。
そして、おっぱいから臍、そして陰部へと吸いながら移動していったのだが、
こーまんにたどり着くと、なんだ、このでっかいくりは。
小便小僧のちんぽぐらいはあるぞ。
しかし、動じることなく、M字開脚させると逆肩車状態で俺はしゃぶりついた。
多少小便臭かったが汚いと感じなかった。
やっぱりキューピーちゃんの陰部は汚くないのだ。
更に俺はマングリ返しに力を入れて、アナルにまで舌を伸ばした。
と、突然太腿に力を入れて突っぱねてくる。
おおお、何を暴けているんだ。
ヨーコは俺から逃れるとベッドに腰掛けた。 
そして今度はこっちに向き直ってくると、
俺のズボンを下ろしにかかってくる。
ズボンのバックルを、荒縄でも解く感じで外すと、
Gパンとトランクスをいっぺんに下ろした。
そしてじーっと見ると、「小さーい」
「えー。もう勃っているんだぜ」
「でも大丈夫。牛島君のは入らなかったから」
へー、そうなんだ。じゃあ凸凹的にちょうどいいのかも。
じゃあさっそく、と思って、ヨーコの両脚を抱えるとベッド中央に移動して、
正常位コイタスの位置について、「導いて」と俺は言った
「えっ?」
俺ぐらいのサイズだと導いてもらわないと入れられない。
「導いて」
「うう、うん」
ちんぽを摘むと、タンポンでも入れる様な感じで、白目を剥いて天井を眺めながら、
亀頭をバギナの入り口にあてがった。
ここまでくれば大丈夫、と腰ごと体重をかけて挿入しようとする。
と、「いてててててっ」とヨーコは顔を歪めた。
「痛いことないだろう」
と、再度挿入を試みる。
「いててててて」言うと俺の下腹部を突っぱねて腰を引いた。
「どうしたんだよ」
「やっぱ無理」
「なんで、俺、乗車拒否される程のものでもないと思うけど」
「そうじゃないの。私がおかしいの」
「なに」
「小野小町なのぉ」
「なにぃ、それ」
「ちょっとおしっこしてくる」

ヨーコは、毛布をマントの様に肩にかけて、後ずさる様にベッドから下りると、
そのまま出て行ってしまった。
それから、どどどどどーっと階段を降りる音。
えっ、2階の便所でやるんじゃないのかよ。湖でやるんだったら、
あそこでは斉木らが行水をしているじゃないか。
突然、桟橋の方から斉木達の声や、水しぶきの音が聞こえてくる。
窓際によると、俺は目を凝らした。桟橋の先っぽにみんなが見える。
テラスの軒下から、毛布のマントをまとったヨーコが現れた。
しかし彼女も気付いたらしく、桟橋の先端には行かないで、
たもとから湖畔へ下りて行った。
俺は一安心すると、窓の下側の壁に背中を付けて、
ずずずずずーと滑り落ちてその場に座った。

しかし、小野小町っていうのは穴が小さくて入らないってやつだよな、と俺は考えた。
それから、ヨーコのベビーフェイスとか幼児体型とか、色々な事を考えて行った。
ピッピッピッっと脳内記憶の点と点が線で結ばれて行った。
俺の最初の彼女もベビーフェイスだったのだが、なんかの難病で若死にした。
そして、二人目の彼女はスカトロだった。
そして三人目のヨーコが小野小町。
こりゃあ、なんかあるんじゃないか。
俺の好みの女はみんな変になってしまう。
やっぱり斉木の言っていたX遺伝子が一個だとなんとか症候群だ、とか、
浮腫んでいる、とか、未熟だ、とか、そういうのが関係あるんじゃないのか。




#1047/1158 ●連載    *** コメント #1046 ***
★タイトル (sab     )  16/01/22  18:37  ( 82)
◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー5
★内容
うーむ 俺は顎を揉みながら唸った。
こりゃあ何か大発見をした気分だぞ。
ヨーコが戻ってきたら色々なところをチェックしてやろう。
髪の毛の生え際とか、陰毛の生え具合とか。
やがて階段をミシミシいわせて、ヨーコが戻ってきた。
俺は膝小僧に手をあてて、よっこいしょと立ち上がるとベッドに移動して、
そして手ぐすねを引いて待っていたのであった。
ところがヨーコはドアのところでフリーズしている。
「どうしたの。こっちにおいでよ」
「なんか湿疹がすごいよ。すごい広がっている。つーか、ゾンビ?」
「えっ? 湿疹? 草笛で出来たやつかな」
俺は口の端を押さえた。
すると口の端から頬の方にかけて、ぬるっとした感じが広がっていた。
そして、指先を見てみると、血と膿の混じったような体液が…。
なんじゃこりゃーッ!
俺はすがるような視線をヨーコに送った。
しかし彼女は、後ずさる様に部屋から出て行ってしまった。
しかし逃げた訳ではなくて、すぐに戻ってくると、
手にしているコンパクトをこっちにかざしてきた。
俺はぐーっと覗き込む。
なんじゃこりゃー。
顔面ピザ状態のケロイドで、目だけがぎょろっている。
つーか、今も現在進行形で、湿疹は首の辺りに広がっているのだ。
しかも 喉に痰がからむ。
炎症は内部にも及んでいるのか。
えっへっ、と痰をきった。えっへっ、えっへっ。
痰はきってもきっても気道に滲み出てくる。
息を吸うと、ひぃー、と喉笛が鳴った。
苦しい。
「苦しい」と俺は言った。「えっへっ、息が詰まる」
「大丈夫?」
「大丈夫じゃなーーい」
えっへっ、と痰をきってから、息を吸ったら、激しく咳き込んだ。
ゲホゲホゲホ。
咳き込んだ後に、ひぃーと息を継ぐと、又咳が出る、の繰り返し。
「苦ひぃー」すがりつこうと手を伸ばした。
ヨーコは後ずさって、両手を丸めて口を押さえると、
ただただ恐怖の表情を浮かべている。
「誰かを呼んでくる」言うと部屋を出て行った。
又階段を駆け下りる音。
背中を丸めて俺は激しく咳き込んでいた。
しかし息を殺していれば咳き込まないので、しばらくそうしている。
そうすると、桟橋の先端の方から、ミキらがきゃっきゃ言う声が聞こえてくる。
それが突然止んだ。ヨーコが到着したのだろうか。
上目遣いで窓の方を見る。既に西日が差してきている。
それから騒がしい話し声がして、
バタバタいう足音と桟橋がきゅーきゅー鳴る音がロッジに迫ったか、と思うと、
足音は室内に移動して、階段からドタドタいう音が響いてきて、
ドア口にヨーコ、斉木、ヒヨリが現れた。
彼らの姿は既に涙で滲んで見える。
ヒヨリは、シューシュー部屋中に虫除けスプレーを散布した。
折角おさまっていた咳が、ガスに誘発されて又出だす。
ゲホゲホゲホ、ひぃー。
「伝染りはしないから、そんなのまかなくていいよ」と斉木。
「だってぇ」
斉木が俺の顔を覗いた。「すごい炎症だな。呼吸器粘膜もやられているのかもな」
苦しい、と言いたかったが咳で声が出ない。
息を殺して、俺は自分の喉を指差して目を大きく見開いた。
「除痰のこつは、焦って息をしない。勝手に出てくるから」
さっきからそうしている。
そうやって息を止めていると、気管支から痰が浮き出てくるのが分かる。
今度は痰がきれる、と思って、咳払いをして、その反動で息を吸って又咳き込む。
「息をするなって」
無理だ、そんな事をしたら酸欠になる。
そうこうする内に目が霞んできた。
窒息か。
「人喰いバクテリアってやつじゃない?」後ろからヒヨリの声がする。
「どうなるの?」
「なんとも分からない」
と言って覗き込むみんなの顔がだんだんぼやけてくる。
色が、赤いセロハンを何枚も重ねた様なレンガ色に見える。
血の海に浮かぶ3匹のETみたいな感じ。
動きもスローモーに見える。
「だいじょうぶ?」、「しっかりしろ」という声も、スロー再生の録音みたいに
聞こえる。
血の海はどんどん濃さを増して行った。
いや、光が見えなくなってきているのか。
これより暗くなったら真っ暗になる、という時、後ろからもう一匹、
赤いETが加わった
あれはミキか。
そいつは、スロー再生みたいな声で、「もをすぐ 放送だよ」と言った。
「ほうそうだよぉ」




#1048/1158 ●連載    *** コメント #1047 ***
★タイトル (sab     )  16/01/22  18:37  (225)
◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー6
★内容
《はい、皆さん、お疲れー。
今日も又悲劇に見舞われたみたいで、
そのことは、誠に気の毒だとは思います。
しかーし、勉強は勉強でやってもらわないと。
そうは言っても、こんな勉強したところで、今日の自分達に何の関係があるんだ、
と思うんじゃないか、とも思います。
そこで、もし今日最後まで授業を聞いてくれたら、最後には、そうだったのかぁ、
と思える何かがあるかも知れない、ということは言っておきますよ。
そんじゃあ、それを期待して、授業を始めたいと思います。

えー、まず前回の復習から。
前回は、タンパク質の合成とか、遺伝子のコピーとか、
そういうのにも過剰と去勢みたいなのがある、ってことを言ったよね。
例えば、タンパク質の合成というのは過剰であって、
ゴルジ体で調整するというのは去勢である、とか。
遺伝子のコピーに失敗してがん細胞が出来る、というのは過剰であって、
それをリンパ球で退治するのが去勢だ、とか。
或いは又、そのリンパ球に関しても、
造血幹細胞からリンパ球が出来るというのは過剰であり、
リンパ球の中から自己免疫疾患を起こすようなものを取り除く、
というのが去勢である、とも言った。
そして、この過剰と去勢が何に由来するのかも述べたよね。
過剰というのは、地球の表面が泥の川みたいにどろどろしていて、
そこに太陽が差してきて、突然有機体が出来る、みたいな感じで、
つまり太陽に由来している。
もしかしたら最初の遺伝子もそうやって出来たのかも知れない。
一方、去勢というのは、今度はその遺伝子がコピーされる場合のことなんだけれども、
遺伝子の複製の時には電車の上り下りみたいな感じになっているから、
外部の電磁気、つまり宇宙の磁気に由来しているのではないか、
という、一見大胆な説を、述べたよね。

さて、それじゃあ今日は、
そういう、遺伝子のコピーだなんだに関して、過剰と去勢があるとか言っても、
それって現在の定説に比べてどうなのよ、っていうのはあると思うんですが、
そういう諸々に関して、現在の定説と、私の言っている様な、過剰と去勢、
みたいな見方の違いについて、ちょっと比較してみたいと思います。
とりあえず今日は、リンパ球の成熟ということにスポットライトをあててそれを
やってみたいと思います。

リンパ球の成熟に関しては、今、復習に出てきたみたいに、ちょっとは言っている。
まず、造血幹細胞というのが10万個に一個ぐらいあって、
これは骨髄にあって、それがコピーされて、血とかリンパ球が誕生する。
あと、自己免疫疾患を起こす様なリンパ球は阻害される。
そして生き残ったリンパ球は…成熟するんだよね。
というか、その前に、リンパ球でもB細胞、T細胞、とか、
色々あって、今日はB細胞に関して言うんだけれども。
あと成熟っていうのは、リンパ球が相手にする病原菌も、
麻疹とか水疱瘡だとかおたふく風邪だとか色々あるので、
それぞれに対応した形になるということなのだが。
それじゃあ、B細胞に関して、それはどんな感じで成熟していくのかを、
ちょっと簡単に考えて行きたいと思います。
B細胞の成熟には、一次リンパ組織、これは骨髄なんだけれども、
そこで行われるものと、
二次リンパ組織、これは脾臓とかリンパ節とかなんだけれども、
そこで行われるものがあって、
一次リンパ組織で行われるのは、さっき言った、造血と免疫寛容です。
そんで、免疫寛容で生き残ったリンパ球には、
抗原をキャッチする、チョキみたいなレセプターが生えてくる。
免疫グロブリンというんだけれども。
で、この一次リンパ組織での成熟で重要なのは、
まだ抗原に触れていないという事なんだね。
麻疹だ、水疱瘡だの病原菌に触れていない。
触れてないんだけれども麻疹用だ、水疱瘡用だのグロブリンが生えてくる。
あんまりイメージ出来ないと思うんで、模式図的に言うと、
このグロブリンっていうのは、グローブに似ていて、
抗原をその先っぽでキャッチするんだけれども。
グローブにも、野球用、ソフトボール用、クリケット用と色々あるよね。
だけれども、どんなボールが飛んでくるか分らないので、
色々なタイプのグローブが用意される、みたいな感じで、
どんな抗原が飛んでくるか分らないので、色々なグロブリンが用意される、
みたいな感じ。
麻疹用グロブリン、とか、水疱瘡用グロブリンとか。
まぁ、そういうのが一次リンパ組織で行われることなんだけれども。
それから今度は二次リンパ組織だけれども、
今度は、そのグロブリンというかグローブが、
腋だの股だのにあるリンパ節に流れていって、
そこで実際に抗原と出会って、リンパ球の成熟が起きる。
これは、一回ハシカにかかれば二度とかからない、みたいなものだけれども。
これも模式図的に言うと、
野球のグローブも最初は硬くてボールをキャッチしづらくて
落球したりするけれども、
何回も使っている内に、段々馴染んできて、ボールを掴みやすくなるでしょう。
ああいう感じで、リンパ球の表面のグローブリン、じゃなくて、グロブリンも、
一回ハシカにかかれば、段々馴染んできて、ハシカの抗原を掴みやすくなるから、
もうハシカにはならない。
とまぁ、そういう事が、リンパ節で起こる。

以上の様な、一次リンパ組織と二次リンパ組織で行われる成熟を、
クローン選択説と言い、これが現在の定説とされているんだね。
文言としては、リンパ球は、“あらかじめ”“ひとそろいの”クローンを
遺伝子の中にもっていて、「抗原刺激を受けて更に成熟する」と説明されている。
ここでちょっと補足というか、ここで“ひとそろいの”とか言われているけれども、
実際には人間の免疫グロブリンの種類なんて100億以上あるんだよね。
そうすると、それをもしゲノムでまかなおうとすると、
ヒトの遺伝子なんて2万余りなので、全然足りないんだよね。
だから、この100億の多様性はどっから来るんだろうか、
というのがずーっと大問題だった。
それを解決したのが、有名な利根川進の実験で、利根川進は何を証明したのか。
それは、グロブリンの先っぽには、VDJC部と言われる部分があるのだが、


    CC
    CC
    CC
    CC
   C  C
  J    J
 D      D
V        V

こんな感じに。
このグロブリンの先っぽもタンパク質で出来ているので、
リンパ球の中の遺伝子が解けて、mRNAに転写されて、
核外に出てきて、アミノ酸を集めて、グロブリンを作る、って感じなんだけれども。
リンパ球の遺伝子が解けた時に、
VDJに相当する遺伝子の部分にはそれぞれにイントロンがあって、
それが、Ω状に、くるくるっと丸まって、そういうVDJ部にC部がくっついて
鋳型鎖を作る、これをμ鎖というのだが、
そういうふうになっている、というのを利根川進は実験で証明したんだよ。
そういう訳で、μ鎖は色々なタイプにくるくる丸まっているのだから、
それを計算すると、100億以上の免疫グロブリンが出来る、という計算になる。
そして、これは、一次リンパで行われるので、つまり抗原刺激なしに行われるので、
“あらかじめ”という事になる。
そして、これらのリンパ球がリンパ節に流れていって、そこで初めて、
麻疹だ水疱瘡だの抗原と出会って、「抗原刺激を受けて更に成熟する」、
という順番になる。
以上、長々とクローン選択説について喋ってきたが、分かった?
というか、ここからがやっと本番なんだが。
本日の授業の目的は、リンパ球の成熟に関して、クローン選択説と、
過剰と去勢、みたいな見方とを比較することだったよね。
じゃあ、その過剰と去勢、みたいな見方だと、どう違うのか。
それは、グロブリンの先っぽが出来る時のメカニズムに対する考え方が違う。
というか、クローン選択説においては、順番は説明されていても、
メカニズムは言われていなかったんじゃないか。
メカニズムというのは、例えば私は、遺伝子の複製に関して、
それは、鋳型鎖を鋳型にして、DNAポリメラーゼに宿った磁気をエネルギーにして
行われると言ったが、
そういうふうに、何を鋳型にしていて、何のエネルギーで行われる、
ということを言わないと、メカニズムを言った事にはならないんだよね。
だけれども、クローン選択説ではそんなことは全く言われていない。
では、私の説ではどうかというと、まず、二次リンパに関して言うと、
前述のμ鎖から転写されたmRNAを鋳型にして
免疫グロブリンの先っぽが合成されるのだけれども、
その時のエネルギーになるのは何かというと、リンパ節に宿っている磁気だ!、
と、私は言いたいのである。
あと、その時に、mRNAの近くに抗原があると、
mRNAの一部がΩ状に飛び出して、その部分がイントロンになって、
その部分だけはグロブリンの先っぽにはならないので、
それが抗原刺激による成熟ということになる。
それから、一次リンパにおいては、何をエネルギーにしてμ鎖がよじれるのか、
という事だが、やっぱり、リンパ節に宿っている磁気だと思うんだよねぇ。
ただ、μ鎖がよじれる時には、VDJ部からそれぞれ一個だけ選ばれてきて、
他はイントロンとして捨てられる、という選択が行われるんだけれども、
何を鋳型にしてそういう選択をしているのかが、分らないんだよねぇ。
まだ抗原刺激は無い訳だし、…せいぜい言えるのは、
一次リンパ組織というのは骨髄だから、骨髄のどの位置にある時にμ鎖がよじれたか、
によって、磁気の状態も違うからよじれ方も違う、程度しか言えない。
これに関しては、後でもしHOX遺伝子に関して述べることがあったら、
その箇所が参考になるかも知れないんだが。

まぁ、以上が、私の説で、これを、クローン選択説に対抗して、
クーロン選択説と命名したい。
みなさん、私の話を聞いていて、分かった?
随分長々と喋ってしまった気がするが、
しかも、ほとんどがクローン選択説についてであった気もするが。
本当はクーロン選択説だけ言えばよかったんだけれども、
それだと諸君が理解出来ないと思って、
長々とクローン選択説について喋ってしまったけれども、
なんかそうすると、私の授業というよりかは、
人の研究を引き写してきただけじゃないか、と思われそうだけれども。
だけれども、遺伝子がμ鎖に組み変わる場合でも、
μ鎖から出来たmRNAがスプライシングを起こす場合でも、
その原動力が磁気である!、…これはもう、
遺伝子がΩ状に飛び出している格好を見た瞬間に、
こりゃあ磁気ネックレスにそっくりだ、これはもう磁気に違いない、
と私は確信していたのだが、…しかしこれを言うのは本当に勇気の要ることで、
一歩間違えば、教職を追われるどころか、精神病院に入れられかねない、
それぐらいの革命的な意見だと私は思っているんだな。
であるからして、話の前段として、現在の定説を延々引用したとしても、
実は磁気だ! というのがあまりにもコロンブスの卵的なものなので、
全体のオリジナリティは損なわれないと考えるのであーる。
理解してもらえる?
眠くなっちゃったかな。
まあ。これで、今晩の予定は終了なのだが。
…あと、そうそう、約束の春田君との絡みだが、それをちょっと述べておこうか。
これは、なんとなく今晩の講義に関連させて思った事なのだが。
今夜の授業では、免疫グロブリンの先っぽの多様性という、
随分微小な事を話をしたんだけれども、
そんなことと、春田君や牛島君の人格と関係あるの? と思うかも知れないが。
ただ、こう考えれば関係あるんだよ。
つまり、牛島君のごつい体格というのは 遺伝子がそのままそうなった訳ではなく、
遺伝子から何らか物質が出来て、それがタンパク質と結合して、骨を太くしている、
結果として骨髄の磁力を大きくしている、と考える。
同じように、その何らかの物質が作用して、リンパ節も大きくしていて、
結果として、リンパ節の磁力も大きくしていると考える。
そして、そういう事が、恐らく脳においても起こっていて、
その何らかの物質が、ニューロン周辺の或る部位を肥大させていて、
その部分に磁気が宿っていて、
それで、磁気モーメントの影響で電子のスピンが加速するみたいな感じで、
イオンの流れがシャープになる、
だから、牛島の様なごつい奴はキレやすいのだ、と、
そういうふうに考えれば…。
そうすると、免疫グロブリンの多様性という微小な事と、
牛島君の体格や性格といったことは関係があったんだ、と言えるんじゃないのか。
そうすると計らずも、或る生徒の言っている、
牛島君は性染色体が濃いから体格は骨太になり 性格はキレやすく、
春田君は性染色体が薄いから浮腫んでいて、性格は場当たり的、
という考えと、一致するんだよね。
ただ、この生徒は、Y染色体が多いと何故キレやすいのかのメカニズムについては
何も言っていないんだな。
その点、私は、何らかの物質がタンパク質と結合して、
骨も、リンパ節も、脳内の或る部位も肥大させる、
そして、そこに磁気が宿って、磁気モーメント的に、
云々というメカニズム言っているので、
私の方がよりガチなんじゃないか、と思うんだよね。
私は、一番最初の放送で、諸君らのことをガチで知りたい、
本当のところを知りたいと言ったと思うのだが、覚えているだろうか。

さて、それでは今日はこのへんか。
今日は疲れたねぇ。
えー、次回は5時スタートなので、その前にバッテリーをセットして、
ディスプレイの前で体育座りをして待っていて下さい。
別に丸椅子に座っていてもいいのだが。
それじゃあ皆さん、おやすみなさい。





#1049/1158 ●連載
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:21  (267)
◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー1
★内容

夜中過ぎになっても眠れなくて、僕は天井を見詰めて考えていた。
夕べ、女子3人と遺体を運んだ時のことを。
春田君の遺体を、鋤と鍬とGパンで作った担架で運んで、地下室に安置したのだが、
ちょっと離れて見ると、2体並んでいて、
それで、これは偶然じゃないと思ったのだ。
もうスイッチが入っているんだ。
最後の一人が死ぬまで、止まらない。或いは2人は残るのか。
今僕らが置かれている状況は、どんなんだろうか。
普通、こういうのって、『エイリアン』型の、異物が侵入してくるというのと、
『マトリックス』型の、夢落ちタイプがあると思うのだが、そのどっちだろうか。
そのどっちでもなく、外部の何かが作用して内部が変わっているという感じもする。
『アルマゲドン』とか『ディープインパクト』みたいに。
ナベサダが、京王線だか中央線だかは外部からの
電気、磁気で動いているみたいなことを言っていたが、ああいう感じだ。
ただこのタイプだと、地球全体が影響を受けるというよりかは、
電車に乗っている人だけが影響を受けるんじゃなかろうか。
というか、このロッジに関して言えば、男子3人居たのが一人になったのだから、
今まで3人で受けていたエネルギーを、
僕一人で引き受けなければならないのではなかろうか。
その事による自分への影響はなんだろう。
というか、夕べから自分の性欲のあり方が変わっている。
ある種の魚はメスだけになると一匹がオスに性転換するが、
オスが一匹だけになると性欲のあり方が変わる、ということはあるんだろうか。
そもそも最初っから変だったんだよなあ、僕の性欲は。
僕は寝返りをうった。
月は出ていないが、薄暗いならがも、部屋の様子が分かる。
ヒヨリが壁に向かって寝ていて、腰のあたりの膨らみも分かる。
珊瑚礁は満月の夜に産卵するというが、ああいう感じで、
ヒヨリも月に引っ張られて排卵するんじゃないのか、と、
あの膨らんだ腰を見ていて思う。
うちのクリニックでも、新月になると病室ががらがらになる。
あと、新月の出産は難産で、朝まで粘って帝王切開とかが増える。
あれは月に引っ張られる力が弱いからではないのか。
とにかく、ヒヨリは月に引っ張られて排卵し、
今度はその卵に引っ張られてこっちが勃起する、
それが普通の性の連鎖みたいなものだろうと思うのだが。
しかし、自分はそうではなかった。
そもそも精通の時からそうではなかった。
精通したのは中二で、普通よりかは遅かった。
あの頃の僕は性に関しては全く無知だった。
あの頃の僕のペニスは、包皮がカリんところに溜まった恥垢にひっかかって
剥けないでいたのだが、
あれを無理に剥くと、えんどう豆の様に脱落するんじゃないかと思っていた。
そのぐらいの無知で、産婦人科医の息子にあるまじき無知だったのだ。
それでも入浴の度に、少しずつ溶かしていって、そしてとうとうある晩剥け切った。
生後14年にして、とうとう外気に触れた自分の亀頭。
皮を剥いて突っ張らせて膨張させることだけで快楽を得ていた。
ただ、肛門の疼きはあって、自然とアナルをいじるようになった。
それがエスカレートして、ペンやらドライバーを枕元に並べておいて、
夜な夜なアナルへの挿入を楽しむ。
そうしてとうとう或る晩射精したのだが、それは全く物理的な刺激、
包皮を強く剥く事と肛門への刺激のみによる精通だった。
そもそもセックスのピストン運動さえ知らなかったのだから、
センズリという行為も思い浮かばない。
後で、クラスメートが、『中2時代』や富士見ロマン文庫を
ずりねたにしていたのを知って驚いた。
僕の場合は、精通の翌日に学校に行ったら、
スカートを履いた女子が廊下を走っていて、
膝の後ろが白くてちかちかしていて、
それで、あの根元に入れるのかと漠然と思った程だ。
だって、わざわざスカートを履いているのだから、
あの根元にターゲットがあると、普通に思うだろう。
アサガオだのチューリップだのの雌しべが花びらの奥にあるのと同じ構造ではないか。
そう思ってじーっと見ていた女子が僕の視線に気付いて振り返った。
そらがミキだった。
とにかく、決して珊瑚礁の卵に誘導されていた訳ではなく、
先に射精があって、後から卵をターゲットとしたのだ。
もっとも、ミキがセックスの対象というかズリネタになることはなかったが。
クラスも違ったし。
当面のセックスの対象は、エロ本だのAVだのだった。
そして、しばらくの間は、アナニー癖は影を潜めていた。
しかし、二次募集で入った高校でミキと同じクラスになったのだった。
その時のミキといったら、なんなんだろう、
『青い珊瑚礁』のブルック・シールズというか、
『恋愛同盟』のジェニファー・コネリーというか、
体がでかくて、眉毛が濃くて、目がパッチリしていて、
まつ毛が長くて。
性的な生々しさと、清潔さとが同居している感じ。
一方自分は体も小さいし、顔もイケメンじゃなかったし。
そういう僕らが対等に結ばれるというのは、イメージとしては、
グレートデンとかの血統書付きの犬と柴犬が交尾をする様な感じで、
染色体の数が同じなのかヨォ、という萎え方をするのであった。
しかしむしろ、ミキはクラスで圧倒的に美しく、僕の様なチンケな赤犬は勿論のこと、
何人といえども、彼女を恋愛の対象にすることなど出来ない、
彼女は個人の性欲を満たす対象である訳もなく、個人の愛の対象でもありえない、
と考えた方が萌える。
僕も含めて誰も彼女に触れる事は出来ないのだ。
当時、単純にグッドルッキングウーマンが好きで、
『スクリーン』だの『ロードショー』だのを購読していたし、
DVDで昔のハリウッド映画を観ていたが、
自分の好きな映画は『砲艦サンパブロ』で、
好きな恋愛の展開は、キャンディス・バーゲンとスティーブ・マックイーンだった。
キャンディス・バーゲンは、自由とかキリスト教の愛とかを信じて、
揚子江の奥地の修道院に中国人の青年の教育に行くのだが、
そこで義和団事変みたいなのが起こって、内戦状態になって、
マックイーンは彼女を救出に行くのだった。
でもこれは、個人の愛の為ではなく、アメリカの旗の為に、という、
そういうダンディズムの発露を求めてのことなのだ。
最低な展開は、『砲艦サンパブロ』のリチャード・アッテンボローで、
中国人売春婦と恋に落ちて、これがリベラルな愛だ、
とか、鼻の下を伸ばしていて、
あんな個人の欲望とか個人の愛みたいに無様なものはない。
僕の中ではバーゲンとミキが重なった。
どこかこの平和な日本で、僕がミキの為にダンディズムを発揮して
死ねる展開はないだろうか。
僕はミキの為なら死ねる。岩清水弘の様に。
当時、お気に入りの曲でも再生するみたいに、
繰り返し脳内再生していたシーンがあった。
学校の帰りに京王線の中で再生するのだ。
京王八王子から北野で高尾線に乗り換えると何時も連結部の近くに座った。
高尾線は、急勾配を上りながら大きく右にカーブする。
窓の外には北野周辺の平野部と片倉の山々が見えていて、
窓からは春の風が入ってきている。
突然、連結部のシルバーシートのあたりに、脳内ミキが浮き出てくる。
開け放った窓から、片倉の山の方を見ている。
風を受けるミキの横顔は、ローマのコインに彫刻してもいいぐらいの形の良さだ。
髪の毛が風になびいて、目を少し細めていた。
電車はどんどん加速していくと、やがて丘を登りきって、片倉の山をえぐったV溝の
下に入って行った。
一瞬車内に影が差した。
突然連結部のドアが勢いよく開くと、
悪役商会、丹古母鬼馬二と八名信夫が乱入してくる。
丹古母が勢いをつけてミキの隣に座り込む。
そして、匂いでもかぐように顔を近づけて、目をぎょろぎょろさせながら迫っていく。
ミキは体を小さくした。
「よぉ姉ちゃん」つり革にぶら下がっている八名が言う。「真っ直ぐ帰ったって
つまんねーだろう、これから俺たちとどっか行こうじゃねえか、
カラオケでも行こうじゃねえか、よお」
丹古母は考えられる限りの下品な笑い方で笑うと、首筋あたりをめがけて、
舌をべろべろべろと出す。
電車ががくんと揺れた。
八名が、「おっーっと」と言って身を翻すとそのままミキの膝の上に座ってしまう。
「電車が揺れたんだからしょうがねえや」
「やめろーッ」叫ぶと僕は敢然と立ち上がった。
二人は、一瞬あっ気に取られた様にこっちを向く。
そして、なーんだガキか、という感じで、ミキを放置すると
肩をいからせてこっちに迫ってきた。
「なんだこのガキが。スポーツでもするか」言いつつ八名が
こっちの襟を掴みにくる。
すかさず僕は手で払った。
おっ、猪口才な、みたいな顔をして更に手を突っ込んでくる。
それを又払う。
ネオ対エージェント・スミス、みたいな組み手をしばらくやるのだが、
丹古母が、遠巻きに僕の背後に回ると、懐からドスを抜いた。
そして卑怯にも背後からドスで僕の背中を袈裟切りに切り付ける。
白いワイシャツが裂けて背中の肉もざっくりと切れる。
「キャーッ」と悲鳴を上げてミキが顔を覆う。
しかし僕はがっばっと丹古母の方に向き直ると、超人ハルク並のパワーを発揮して、
まるで紙袋でも丸める様にぐしゃぐしゃにるすと放り投げてしまう。
今度は八名に向き直ると、「ちょっと待ってくれ。話せば分かる」
などと泣きを入れてくるのを無視して、同様にぐしゃぐしゃにして放り投げる。

ここらへんまで妄想が進むと、僕は我にかえった。
既に勃起しているし、アナルが疼いている。
アナニーしようかな、とふと思う。
しかしヒヨリに気付かれないだろうか。
首をおこしてヒヨリを見ると、往復のいびきをかいて熟睡している。
あれはノンレム睡眠の真っ最中で起きる事はないだろう。
挿入するものがないなあ、と薄暗い部屋の中を見回す。
そうだ、2階の便所に、柄付きのブラシがあった。
あれだと不潔だろうか。でもブラシの部分を挿入する訳ではないし…。
僕は、ヒヨリを起こさないようにそーっとベッドから下りた。
抜き足、差し足で、廊下に出る。
すぐ左手の便所のドアのところに行くと、蝶番が音を立てないようにそっと開けた。
ターゲットのブラシがコーナーに立てかけてあった。
手に取ると柄の部分の感触を確かめてみる。
握りやすいようにイモムシ状にはなっているのだが、バリなどは出ていない。
これだったらアナルを傷つける事はないだろう。これでやろう。
ついでにハンガーにぶら下がっていた手ぬぐいも失敬してくる。
便所から出ると、ヨーコの部屋もミキの部屋もドアが開放されていて、
暗い廊下に戸外のぼんやりとした薄明かりが差していた。
あそこにはリアルミキが寝ている。
なんだってこんな便所ブラシを肛門に入れないとならないんだ。
僕はブラシの柄を握り締めた。リアルミキにアタックすればいいじゃないか。
でもマックイーンだってキャンディスバーゲンを逃がした後、
中国人に射殺されたじゃないか。
それはあんまり関係ないけれども、とにかく、ミキは決して性の対象ではないのだ。
僕は便所ブラシを抱えると、自分の部屋に戻った。
ベッドに乗っかると、ベッドの横の手すりに手ぬぐいでブラシを縛り付けた。
口の中で唾液をぐじゅぐじゅやって粘度を増したものを柄の部分に垂らすと
指先で入念に塗りつけた。
これで準備オッケーだ。
ベッドに横になって尻を突き出すと、後ろ手に手をまわして柄を掴んで、
少しずつ挿入した。
ヌルッ、ぬるっ、っとイモムシ状の柄がアナルに入って行く。
全部入り切ると両手を前に回して右手でペニス、左手で睾丸を握った。
そういう状態で、腰の動きだけで、柄を出し入れするのだ。
柄の握りの凹凸が括約筋を刺激するたびにペニスがびくびくするのを更に手で揉む。
そして僕は妄想の中へ沈んでいった。
ここはどこだ。野戦病院だ。揚子江の上流のジャングルにある野戦病院だ。
僕は、さっき丹古母鬼馬二に切られた背中の傷の為にここにいるのだ。
暗闇の中からナイチンゲールの格好をしたミキが現れた。
かがみ込んで僕の顔を覗くと、ミキの男前な顔がランプに浮かんだ。
「包帯の交換にきました」
ピンセットやガーゼの乗ったトレイをもったままミキは背後に回った。
それから、かちゃかちゃ音を立てて準備をしていたが、
やがて、傷口に詰め込んであるガーゼを取り出す。
「いたッ」
「我慢して」言うと、ミキは背中で処置を続ける。
それが終わると、二の腕に手を乗せると耳元で
「まだまだ肉が盛り上がってくるまでには時間がかかりそうだわ」とささやいた。
「じゃあ体を拭きます」
ミキに背中を拭かれる。
背後から手を回して、腹、そして下腹部を拭いていく。
「あ、お腹が張っている。うんちしていないでしょう」
僕は小さくうなずいた。
「これだけ固まっていると浣腸では無理ね。カンシで、取り除きます」
ミキは尻のほっぺを広げると肛門を露出させ、クリームをまんべんなく塗った。
そしてカンシを突っ込むと固まった便をつまみ出して、鉄の皿に落とす。
からんと音をたてた。
又カンシを突っ込んで取り除く。から〜んという音がこだまする。
やがて綺麗に取り除かれると、ピンクの直腸粘膜が現れた。
丸で14年ぶりに恥垢が取り除かれた亀頭の様に綺麗なピンク色をしている。
「それじゃあ肛門の内側にクリームを塗りますからね。
必要な処置ですからくすぐったがらないで」
言うとミキは、クリームを乗せた指2本を肛門に滑り込ませてきた。ずぶずぶずぶ。
「ああーっ」
「我慢して」
クリーム擦り込ませるために、肛門の内側にぐるり一周指を這わせた。
ぬるぬるぬる。
更にもう一周、ぬるぬるぬる。
「あーーーッ」
「はい終わりましたよ。今度は奥の前立腺の方にも塗りますからね。
これは、治療上必要なことだから恥ずかしがらないで」
言うと指2本を付け根まで挿入させると、前立腺側を、ぐりぐりぐり。
「あーーーー」
「もう少し我慢して」ぐりぐりぐり〜。
「おおーーーー」
そしてリアルの僕は大量の射精をした。
ぴゅっぴゅっ、とペニスが痙攣する度に括約筋が閉まって、便所ブラシが上下に動く。
しかし既にそれは性的な快楽ではなくて、排便の際の肛門の感覚に成り果てていた。
はぁーと僕はため息をつく。
ベッドの上の精液を見て、こんな事ならトイレットペーパーでも敷いて
射精すればよかった、思う。
まあしょうがない。ヒヨリが起きない内に後始末をするか。
僕は身を捩って尻を突き出すと手でもってブラシを抜きにかかった。
が、抜けない。
あれっ? 抜けない。なんでだろう。
もしかして角度が悪いのだろうか。
直腸というのは胴体に対して垂直にあるわけではないのに、
ブラシは手ぬぐいで固定して垂直に刺さっているので。
そう思って更に身を捩ると手ぬぐいを解いた、
と同時に括約筋の反動で太腿の間にブラシが収まった。
尻を拭く様に手探りで、股にぶら下がったブラシを下方向に引いてみる、が、抜けな
い。
どうにもこうにも、抜けない。
どういうこった。ここ2日の食生活のせいで、体の脂が失われて、
肛門周辺も干からびた感じなのかも。
何か潤滑油になるものはないだろうか。
油とかバターとか、さしすせその中にないだろうか。
或いは、湖畔の泥とか桟橋のぬめりとか。
そんなのは不潔だな。
唾液で挿入したんだから唾液で抜けるんじゃあなかろうか、と思って、
又口内でぐちゅぐちゅやってから指でつまんで肛門の柄の周りに塗ってみる。
そしていきなり抜かないで、回転させてみようと試みるが、
既に性欲が失われている段階では、柄は完全な異物に感じられて痛くて回らない。
段々と焦りを感じている内に、そろそろ空が白々としてきた。
やっばいな。
ヒヨリが、うーん、とか言って寝返りをうった。
ヒヤッとして、毛布で下半身を覆った。
とりあえず床に落ちていたハーパンを膝に通すと履けるかどうかやってみる。
かなりぶかぶかのハーパンだったので、
どうにか便所ブラシはのぞかないですむのだが、
気付かれたらこの膨らみは隠しようがないのでは。
まいったなあ。
それから、あれこれ思案したが、どうにも思い付かない。




#1050/1158 ●連載    *** コメント #1049 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:22  (196)
◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー2
★内容
肌寒さで目を覚ました。うとうとしていたらしい。
開け放たれた窓から小雨が吹き込んでいる。
隣のベッドを見ると、ヒヨリがもぞもぞしていた。
そろそろ起きるな、と思うと、思った通り、あーとあくびをして上半身を起こした。
こっちを見据えて「おはよう」と言う。
そして、クンクン鼻をならして、「なんか変なニオイしない?」
しまった。入念に拭き取って菓子袋に二重に包んでおいたのだが、
多少は残っているのか。
「なんか カビキラーみたいなニオイ」
「昨日、殺虫剤をまいたでしょう。
だから、きっとこの湿気でそれが変なになったんじゃないのかなあ」
「ふーん」といって床を眺める。
廊下の奥からミシミシという足音が響いてくる。
ミキが、通りすがら「おはよう」と言って通り過ぎて行った。
ヒヨリもベッドを降りると、行こうとして、「行こうよ」と言ってくる。
「う、うん。先に行ってて」
「なんで?」
「ちょっと、そこを拭いてから行くから」と濡れた窓際を指した。
「はぁ?」と言って、一瞬、訝しげな表情を向けだ。
しかし、一人で出て行ってしまう。
ベッドから起き上がると、股間のブラシが、ハーパンで太腿に密着しているとはいえ、
肛門を引っ張った。
又、歩く時に脚を曲げると、逆に突き上げてくる。
どうにか抜けないか、と、再度、ハーパンの上から引っ張るが、
括約筋が握って離さない。
はあ、と僕は窓際に立ってため息をついた。
窓の外から苔のニオイが漂ってくる。
もしかしてさっきヒヨリが言っていたのは、僕のザーメン臭ではなくて
外気のニオイだったのかも知れない。
というのも、元々僕の精液にはそんなにザーメン臭はないからだ。
或いは、もしかして、オスが僕一人になったので何かの変化が生じて
ザーメン臭が出てきたのだろうか。
僕は、太腿の内側のブラシをさすった。
これ、見付かったらどうなるんだろう。
でも、もう男は僕だけなんだから、3人で抜いてくれれば野戦病院の3倍
盛り上がるんじゃなかろうか。
そう思った途端にブラシがぴくっぴくっと反応した。

テラスに行くと女子3人が、
手すりから手の平を出して雨の降り具合をチェックをしていた。
「とりあえずは止んでいるみたい」とミキ。
「どうする?」とヒヨリ。「又何時降り出すか分からないから雨天順延にする?」
「えー、また芋じゃあ嫌だ。つーか、2人も死んでんだよ。
どうなの、この状況、斉木君」といきなりこっちにふってきた。
「男の癖に。緊急事態だと思わない?」
「思うよ」サッシに寄りかかると股を閉じて立った。
「じゃあ、音頭とって」
「じゃあ、ちょっと雨が降っているけど、下見にだけ行こうか。
地図に描かれているイケスがあるかどうか。
ついでに、どっか向こう側に脱出出来る道がないかも見てこよう。
とりあえず、2、2で、ボートに2人、歩きで2人で行こうか。
僕がミキとボートで行くよ」
「え、何で?」とヒヨリ。
「折角ボートがあるんだかあれを使わない手はないし。
そうすれば漕ぎ手はミキでしょう。
次に体力があるのは僕だと思うから、一応舵取りは僕がいいかと」
3人はヒソヒソと打ち合わせとした。
「いいよ」とヒヨリが言った。「私とヨーコは歩いて行く」

桟橋に行くと、まずミキがボートに乗り込んで、
それから僕が乗り込んで、船尾に座った。
舵はなかった。
係留してあった丸太からロープを外すと、
手のひらでぐいっと押して、その手をヒヨリ、ヨーコに振って、
「それじゃあ向こうで会おう」としばしの別れを告げる。
ミキが漕ぎ出すと、どんどん桟橋から離れて、2人はだんだんと靄に包まれて行って、
やがて見えなくなった。
ミキの方に向き直って「漕いでもらってわるいね」と僕は言った。
「いいけど…、なんかここ、座りが悪い」
言いつつ、ぐいぐい漕いで行く。
舟は既に湖のただ中にあり、尚も水面の上を滑って行った。
湖畔を見ても、小道は霞んで見えない。
オールが水をかく音と、きしむ音だけが、山水画の様な景色の中で鳴っていた。
この湖面にたった二人なんだなぁ。
ミキは、スピードのエンゼルフィッシュみたいな柄の水着の上にTシャツを着ていて、
ウェストのあたりで縛っていた。
発達した大腿部、大きな腰骨は小便器を連想させる。
平らな腹に、漕ぐたびに腹筋が浮かぶ。薄い水着越しにそれが見えるのであった。
なんて美しいんだろう、と思う。
一体美しい身体を持っているというのはどういう気分なのか。
或る朝起きれば美しく、たまたま行った旅先の朝でも美しいというのは…
と観察していたら、突然、ミキがオールを手放した。
はっとして見ると、こぶしで太腿を叩いた。
「いててて。変な格好したら脚がつりそう。代わりに漕いで」と上目遣いに見る。
「でなければ叩いて」と言って脚を伸ばしてきた。
えっ、と思ったが、躊躇っているとかえってイヤらしいと思って、
平気な顔をして叩いてやった。
案外柔らかいんだな、と思っていたら、
ミキが、ぐっと力んで筋肉を浮かび上がらせた。
チンポがぴくっぴくっ、便所ブラシがくいっくいっ、と反応する。
「あっ」と唸った。
「どうしたの?」
「んー、なんでもない」
ミキはじーっと怪訝そうに見ていたが、又オールをとると漕ぎ出した。

やがて対岸のイケスが見えてくる。
岸から50メートルぐらいのところに、一辺が20メートルぐらいのイケスがあった。
イケスの内側から外までロープが延びている。
あれを引っ張ると、網が狭まって魚が寄ってくるのだろう、
と見ているうちにも、舟はどんどん岸部に迫って行って、
ガリガリガリっと舟底をこすって乗り上げた。
ミキがぴょんと飛び降りると舳先をもった。「早く降りてよ」
股間のブラシを気にしつつ、バランスを崩しつつ、僕も舟を降りた。
そして二人して舟を引っ張り上げたのだった。
辺りを見回すと、岸辺は三日月型をしていて、
真ん中にイケスにつながるロープが杭打ちされていて、
左端と右端は森の傘がせり出していて見えないのだが、
それ以外の場所は小道が見えていた。
「ヒヨリたち、来ないねえ。向こう行ってみよう」と言うと、
ミキは水際を歩き出した。
小さな波が打ち寄せている。
砂に、サンダルの足跡がついた。
少し行くと、ミキは立ち止まって、湖を見た。
今や霧はすっかりとはれ、水面もそれを取り囲む森も、くっきりと見える。
そして蒸し暑かった。
「ここって、巨大なプラネタリウムの中に閉じ込められているみたいな感じ。
その外から神様が覗いている様な感じ」と言ってミキは天空を見上げてた。
「夜になれば、プラネタリウムみたいになるかもね。今夜は無理だろうが」
「今夜は無理、って、ここに居るのが当たり前みたいになっちゃうね」
言うと、手の平でぱたぱたと顔を仰いた。
「あっつ。のぼせちゃった。喉も渇いたし」
「湖の水、飲む?」
「嫌だ。あんなイケスの水」
しかし、三日月型の岸部の突き当たりを見ると、木の槽があって、
脇にはホースがトグロを巻いていた。
「あそこって水場なんじゃない?」と僕は指差した。
そして、二人でイケスの前をザクザク歩いて横切って、槽の傍まで行ってみる。
それは、湧き水が注いでいる桶であり、そこからホースが出ていたのだ。
ミキは、いきなり手ですくって口に含んだ。「おいしい。ミネラルウォーターだよ」
自分もすくって飲んでみると、硬質のミネラルウオーターみたいな水だった。
二人で牛の様に飲みたいだけ飲む。
槽の脇にくっついている蛇口をひねったらホースの先から水が出た。
それを掴むと、ミキの方に向けた。
じゃーーーー。
「水着の上から浴びちゃえば?」
「いいよ。やめとく。でも顔だけ冷やす」
言うと手の平をすぼめて出した。
そこに水を注いでやる。
ミキは、ぺちゃぺちゃと頬を濡らした。
「今度は足」
言うと、僕の肩に手をかけて、裸の足を伸ばしてきた。
僕は、そこに水を注いた。
にょきにょきと指を動かす。
ホースのさきっぽをすぼめて水圧をますと、
彼女は指を動かして指の間の砂を落とそうとする。
「足を洗ってくれるなんて、イエス様みたいじゃない」
突然、肩の重みがとれた、と思って顔を上げると、ミキはシャツを脱いでいた。
やっぱり水浴びをする気なんだろうか。
しかし、槽の縁に手をつくと身を捩って足の裏を見ていた。
背中が大きくくり抜かれた水着で、背骨のくぼみがくねっている。
突然、こっちを見ると、「今度は私がぴちゃぴちゃやってあげる」と言って
ホースを奪った。「上、脱いじゃなよ」
えっ。僕は迷った。自分の華奢な体を見られたくない。
何をいっているんだ、夢が叶いそうじゃないか。僕はシャツを脱いで背中を向けた。
ミキは手を濡らすと、手のひらで肩甲骨のあたりから拭いてくれた。
「すごい。汗でべたべただよ」
脊柱を中心に左右へと水をぴちゃぴちゃと浸して行く。
そして、どんどんと下へ下へとずらしていく。
「腰の方まで汗だくだよ」といって背中の割れ目の下の方までぴちゃぴちゃと
濡らしていく。
今しかない、と僕は思った。
今しかないんだッ。
僕は勢いよくハーパンを下ろすと、「ここも汗だくなんです」と言って、
尻のほっぺを思いっきり広げて、尻を突き出した。
便所ブラシがびーんとおっ勃った。
「ギャーっ」叫ぶと ミキはホースを投げつけてきた。「なんなのよぉー、それは」
ミキは、サンダルの鼻緒を足の指で強く握って、踵を返そうとしていた。
僕が振り向いて、目があった瞬間、逃げようとする。
反射的にミキの水着の背中を引っつかむ。
「離して」と言いつつ無理矢理離れようとする。
が離さないでいたら、尻の割れ目が見えた、と思ったが、
次の瞬間、びりびりーっと裂けて、はっと手を引っ込めた。
ミキは脱兎のごとく逃げ出すと そのまま湖畔の道を走っていった。
その姿が、水着が大きく裂けていて、レスリンググレコローマンの選手みたいで、
ちょっと幻滅かも。

とにかく、その時に思った事は、ミキより先に帰らないと、
なんらかの弥縫策が打てないということだった。
慌てて踵を返すと、岸部のボートを湖に押し出して乗り込んで舟を出した。
しばらく漕いで、湖の中程に出ると、周囲の小道が、
森の間から見え隠れしているのが見えた。
それを見ていて、途中でヒヨリらと会ったら何か言うんだろうな、ブラシのことを、
と思う。
何て言い訳したらいいんだろう。
別にアナルに刺していた訳ではなくて、
背中を洗う積もりで股に挟んで持ち歩いていた、とでも言うか。
だったらズボンから出してみろ、と言われるだろうか。
とか思っている内に、脱力してしまって、オールに手を乗せたままうなだれてしまっ
た。
突然、今だったら抜けるかも知れないと思って、
ベルトを緩めるとハーパンを勢いよく下ろして、
舟底に背中を付けると、開脚して便所ブラシに手足をかけた。
そして、背中が舟底から浮く程、パンタグラフ方式でパカパカやったのだが、
やっぱり抜けなかった。
諦めて脱力した瞬間、コマでも倒れるように体がごろんと横倒しになって、
舟がバランスを崩して、危うく転覆するところだった。




#1051/1158 ●連載    *** コメント #1050 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:23  (257)
◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー3
★内容
ようやく、ロッジにたどり着くと、ミキ、ヨーコ、ヒヨリの3人が、
テラスの手すりに手をついて、見下ろしていた。
まるで漂流してきたボートでも見下ろす様に。
ミキは既にTシャツを着ていた。
既に何があったか話されているのだろうか。
しかし3人は何も言わず、黙って見下ろすだけだった。
「やあ、みんな。そんな所で何をやっているのかな」
と何事も無かったみたいに言いながら、近寄ってみる。
「臭いんだよ。死体が」とヒヨリが言った。
「だから、移動させないとならないんだよ。あっちの方に」と右手を上げた。
「あっち? キャンプファイヤー場でもいいんじゃないの?」
「そんな事したら飯が食えなくなるだろうが。向こうの方に、
貝塚みたいなのがあるんだよ。そこまで運ぶから斉木も手伝ってくれよ」
「もちろん」
そんじゃあ行こうか、みたいな3人は目配せをして、食堂の奥に消えて行った。
自分も テラスの階段を上ると、そそくさと食堂の奥に行く。
しかし、廊下の突き当たりまで行くと、もう酸っぱいニオイがたちこめていた。
階段の中程ではヒヨリが、「うー、無理ぃ」と、引き返えそうとしている。
ミキが立ち塞がって「無理って言っても無理だよ、4人じゃないと運べないんだから。
こうやっておけば大丈夫だよ」と言うとTシャツの首を鼻に引っ掛けた。
「後は見ない様にしておくしかないんじゃない」
ヒヨリは泣きっ面をTシャツの丸首で覆う。
地下室のドアをきぃーっと開けると腐臭は更に強まった。
鉄格子の向こうに、換気用の弁当箱大の小窓があって、2体の遺体を照らしていたが、
腐臭も風に乗って漂ってくるのだろう。
室内に進み入ると鉄格子を開けて中に入って行った。
蠅は舞っていなかった。
牛島はビーフジャーキー化していて仏像みたいに固まっていた。
春田の方は皮膚の炎症もあったので、
顔半分がケロイドの様なグロい状態になっていた。
「くさーい」ヨーコが素直に言った。
うえーっ、とヒヨリはえづく。
「しゃべるな、つーか、鼻で息をするな」とミキが鼻づまりの声を出した。
「さっさと運ぶぞ」
春田は、夕べ運んだまま、鍬鋤にGパンを通した担架の上に乗っかっている。
「じゃあ、前はヒヨリとヨーコで、後ろは重いから私と斉木君ね」
とミキが手際よく指図する。「それじゃあ、いっせーのせいで行くわよ。
いっせーのせぇー」で持ち上げる。
そしてみんなでよろよろと鉄格子の扉をくぐった。
特に苦労したのが階段のところで、前2人は目一杯手を下ろして、
後ろ二人はバンザイ状態で、団地からお棺でも運び出すような苦労をして運び出した。
どうにか裏口から出ると、もう蛇かカエルの死体でも捨てに行くような早足で
“貝塚”まで一直線に走って行く。
“貝塚”とは、山の斜面にある窪地で、
四方がソロバン玉の様な小石で出来ているのでそう呼んでいるのだろう。
深さは3メートルだな。
到着すると、上から見下ろして、「下ろすのは無理なんじゃない?」とミキ。
「むりむり。やむを得ないよ」
と、ミキ、ヒヨリで即決すると、担架をひっくり返して上から落下させる。
春田君は、ごろごろごろーっと転がって行くと、底で卍の様な格好になった。
ここで合掌。
そんな感じで、牛島君のご遺体も運ぶ。こっちは割と軽かった。

帰り道、ロッジに向かって坂道を下っていると、
ミキもヒヨリもTシャツから首を出して、
丸でバキュームカーでもやり過ごしたみたいに、
鼻の穴をおっぴろげて新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んでいた。
僕は思わずぷっと吹き出した。
「なによ」ヒヨリが睨んでくる。
「あまりにも美味しそうに空気を吸っているからさあ」
「は?」
「多少汚いものに接していた方が免疫力がついていいんだよ」
「は? てかさ…」と、一瞬言い返そうとしたのに言葉を飲み込んだ。
そして正面に見えてきたロッジを指差して言った。
「私はどうせグロ耐性がないから、私の為に地下室の掃除してきてくれる?」
「えっ。まだやんの?」
「そうだよ。あんなに汚かったら、まだ臭ってくるかも知れないし。
ほら。ちょうどあそこにバケツもあるし」
裏口の外水道のところに、用意しておいたかのように、バケツが転がっていた。
そして到着すると、ヒヨリがそれを持ち上げて、こっちの胸に押し付けてきた。
「ハイ、お願い」
「なんで僕が」
「だって、こっちはグロ耐性ないんだから」
「ざーっとでいいからやってきなよ」とミキまで言う。
そして屋内に入ると、三人に急かされるように、階段を降りて、
地下室に入って、そのまま鉄格子の中に入った。
遺体がなくなってみると、結構広いなぁ。
「一人じゃ大変だからみんなも手伝ってよ。あと掃除用具とかどっかにないのぉ」
と振り返った瞬間、3人はまさに鉄格子を閉めるところだった。がしゃーん。
「掃除用具は、お前の股間に刺さってんだろう」
3人は、何やらベルトの様なものを、鉄格子にまわして、施錠した。
鞄の取っ手と南京錠で作った輪っかだった。
「なにすんだッ」
「お前なぁ、股間にそんなものぶら下げて、私に説教してんじゃないよ。
このアナニストが」
3人でガチャガチャと施錠の具合を調べてから、3人共、踵を返した。
「ちょっと待ってぇ」
しかし3人はドアの向こうに消える。
ドーンと扉が閉められた。
一瞬、部屋が揺れる様な気がした。

僕は、鞄の輪っかに飛びついてガチャガチャやって壊そうとしたが、
素手ではどうにもならなかった。
それに外れたとしてもどうにもならないんだ、と思った
あぁ、と呻きながら、壁に背中を付ける。
小窓から入ってくる陽の光が、空中のホコリに反射して光の筋を作っていた。
僕は、壁に背を付けたまま、ずずずずずーっとその場に座り込んだ、
犬が尻尾を巻く様に肛門を前に出す感じで。
ハーパンの隙間からブラシの頭が飛び出してくる。
あの3人はずーっと僕をここに閉じ込める積りでいたんだな、と考えた。
どの段階で作戦が開始されたんだろう。
やっぱ森の中で3人が再会した時に相談したんだろうな。
その前に、なんでイケスのところでミキを襲ったりしたんだろう、とも思う。
それよりなんで夕べアナニーなんてしちゃったんだろう。
そもそもなんでこういう性癖なんだろう。
色々考えたが、考えがまとまらなかった。
光の筋をぼーっと眺めていると、瞼が重たくなってきた。
そしてそのまま眠りに落ちていった。

そして目を覚ました時には、小窓から月明かりが差していた。
そうすると、何と 青い暗闇の中にまたまたナイチンゲールの格好をした
ミキが浮かび上がるではないか。
そしてこんな状況なのにまたアナルが疼きだす。
もう、やめてくれーッ! 
僕は両耳を押さえてイヤイヤをする様に頭を振ると脳内ミキを追い払った。
でも何時もこういうタイミングで脳内ミキは出てくるし、アナルは疼くのだった。
今みたいに、夜、一人で居る時とか。
或いは、もうちょっと長いスパンで言うと、風邪をひいて学校を休んでいる時とか。
或いは、もっと長いスパンで言うと、高校入学前で日常生活が中断されている時とか。
つまり解離的な状況でミキは現れてくる。
そういう時のミキは、イデア的というか、身体を持っていないから動物的な欲求も無
い。
ウンコもしなければまんこもない。
だから、ペニスを刺すという事は有り得ない。
そして、ちょうど疼いていた肛門に、
ナイチンゲールの様に職業的な使命感から奉仕する、というのが妄想のパターンだっ
た。
どうやったら、大人の愛というか、
普通にキスしたりセックスしたり出来るんだろう、と考えた。
それは、解離があったら駄目なんじゃないのか。
それは、切り花みたいなもので、根が無い感じ。
もっと連続していないと駄目なんだ。
生きている女っていうのは、大地に連続している、というか、
花もあれば根もある訳で、綺麗な体もあればウンコ系もある訳で。
成熟した愛というのは、その両方を受け入れないと。
でも、あのイケスに居たのは、リアルミキなんだよな。
どうしてリアルミキにあんなナイチンゲール的奉仕を求めたんだろう。
それは、あまりにも脳内ミキが大きくなりすぎて
リアルミキを飲み込んでしまっただめなんじゃないのか。
だから、リアルミキに接する為には、脳内ミキを消してリア充すればいいんだ。
つまり唯脳的な状態を回避すればいいのだ。
それにはどうすればいいか。
とりあえず、首でも締めて、頭に行く血流を止めてしまおうか。

僕は、立て膝をした格好て、スリーパーホールドでもかけるみたいに、
腕を首に巻いて考え事をしていたのだが、
このまま上体をぐーっと前に押し付ければ首が絞まるんじゃないか、
と思ってやってみる。
すると、頚動脈の脈拍が、どくんどくんと強くなって行くのが分かる。
脳に血を送ろうと、必死になっているのだろうか。
緩めてやると又元に戻る。
もう一回、ぐーっと締めてやる、と、又どくどくいいだす。
しかし、それ以上は強くはならなかった。
試しに手の平で締めてみたが同じだった。
圧迫が足りないんじゃないのかと思って、何回もスリーパーホールドをかけてみるが
上手く行かなかった。
その内、首が痛くなってきて、首をぐるぐる回していたら、
通気口の鉄格子が目に入った。
あそこにベルトを通して首を圧迫すれば…。
僕は立ち上がると、ハーパンからベルトを抜いて、
そこらに転がっていたバケツを踏み台にすると、鉄格子に渡して輪っかを作った。
ぱんぱーんと引っ張って強度を確かめる。
壁に背を付けて、その輪っかに顎を乗せると、
喉笛にかからない様に頚動脈の位置にもっていく。
臍の前で脈をとりながら体重を預けた。
すると、手首の脈拍でも心臓が苦しがっているのが分かる。
僕はにんまりとして脚に力を入れた。心臓も楽そうになる。
そして又体重を預けて心臓を責める。
心臓がバクバク言い出した。
今度は少し長めに苦しめてやるか、と、やっていたら、
目の前がだんだん白くなってきた。
アハハ。
しかし、僕って何時でもハンズフリーだな。アナニーの時もそれで失敗したのだ。
ふと目を凝らすと、入り口のドアのところに誰かが立っている。
「誰だ」
「何をやっているの?」ヨーコだった。彼女は鉄格子のところまで来ると
「死ぬ積もり?」と言った
「何しにきたんだ」
「これ、夕ご飯」しゃがむと、鉄格子の隙間から芋を2個転がしてきた。
夕ご飯? もうそんな時間なのか?
「そんなところから早く下りてきて」と言って、ヨーコは立ち上がった。
もっさりヘアーに浮腫んだ顔が月明かり浮かんだ。
その顔を見て、ああ、こんな事やっていても無駄かもなぁ、と思う。
だって、こうやって首を締めて脳を矯正すれば肛門性愛から解放されるとか
思ったのだが、
ヨーコのムーンフェースを見れば、やっぱりヨーコにはヨーコの気質があるように、
僕には僕の気質があって、それ故の運命みたいなものがあるんじゃないかと。
「もしかしたら僕も君も死ぬ運命なんじゃないか」僕は不用意に言った。
「えっ」
「今、突然思い付いたんだけど、
今まで死んだ奴らって染色体異常で取り除かれたんじゃないかと思って」
「えっ」
「男にも女にも染色体異常っていうのがあるんだよ」と僕は言った。
「男だと XYYシンドロームが牛島だろ。
     XXY、クラインフェルター症候群が僕だろ。
     XXYY、ヌーナン症候群が春田だろ。
女だと、XXX、トリプルXシンドロームがミキ、
    XXで普通なのがヒヨリ、
    X一本のターナー症候群がヨーコ」
「あなたもどっかおかしいの?」
「ああそうだよ。この胸を見てみな」僕はTシャツをめくって見せた。
「こんなに貧弱な体格なのに乳房だけでかいだろう。
こういうのはクラインフェルターの特徴なんだよ。
だから、僕も含めて、男子3人は取り除かれる運命だったのでは…」
「ミキも取り除かれるの?」
「XXXはスーパーフィメールっていうぐらいだから生き残るかも。
でも、X遺伝子一個の君は…」
「死ぬというの?」
「かも知れない」
「どうして私がそれだと分かるの?」
「そりゃあ見れば分かるよ。産婦人科医だから。春田と君は似ていると思うよ。
ヌーナンが女に起こるとターナーになるんだよ。
キャベツ畑人形みたいに頭がでっかくて、眉毛が薄くて。
そういうところが類似しているんだよ」
「そういえば春田君は眉毛が薄いのを気にしているな、って思ったの。
一緒に居る時に、甘い香りがしてきて、
あれ、これミクロゲンパスタのニオイだ、って思った。
それは私も使っていたので分かったのだけれども。やっぱり同類だったのか」
「性器はどうだった?」
「え?」
「牛島と春田のペニスを見たんだろう」
「牛島君のはでかかった。春田君のは小さくて…」
「金玉はどうだった? 半分股間にめり込んでいなかった?」
「そこまでは見ていない」
「もしそうだったら彼は確実にヌーナンで、
僕の診立てが正しかった事になるんだがなぁ。
そうすると君もターナーだという可能性も高くなる」
言うと僕は月明かりに浮かぶヨーコの文字通りムーンフェイスを見た。
「もし、君がここで胸と性器を見せてくれれば正しい診断がつくんだけれども。
どうかな、見せてくれないか」
「いやだ、そんなの」
「僕だって、ほら、こうやっておっぱいを見せているんだから」
言って僕はシャツをめくりあげてひらひらさせた。
「いやだ。恥ずかしい」
「いいじゃないか。こっちだって見せているんだから」
言うと、シャツを思いっきり引っ張った。
「ほら、こうやって見せているんだから。ほらぁ」
と、その瞬間バランスが崩れて足の下のバケツが外れた。
ビーンとベルトが頚動脈に食い込む。
「うっ」
急に目の前は真っ白になった。
慌てて、ベルトの間に指を突っ込もうとするが自重で食い込んで入らない。
「ううう」
足が空を蹴って、ズボンが脱げるとブラシが露出した。
目の前が暗転すると、どす黒い血の海の様になる。
ヨーコの顔がぼやけてきた、と思ったら、
でっかい顔に離れた目が狛犬みたいで。
あれはなんだ、と僕は思った。
あれはもしかして…。
ここはもしかして…。
ここがどこなのか分かった。
そう声に出そうとしてももう出ない。
ここがどこだか分かったぞ、と思いつつも、意識は薄れて行った。
ブラシがずるっと抜け落ちて、大量の脱糞をした。どぼどぼどぼ。
黒い血の海に2匹の狛犬が加わった。
そいつらは「放送の時間だー、放送の時間だー」と言った。
しかし目の前は真っ暗になった。




#1052/1158 ●連載    *** コメント #1051 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:23  (212)
◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー4
★内容
《はい、お疲れー。
とうとう合宿も3日目が終了したね。
そっちでも色々起こっているみたいで、
女に入れあげて自らくびれる、なんてことまで起こっている様だね。
今日は、何故時として科学者はMADになるのか、
ということを話そうと思っていたんだけれども、
彼も女にMADになっていたとも言えるから、
関係あるかも知れないね。
さて、それではまず、前回の復習から。
さあ、みなさん、前頭前野に気合いを入れて聞いて下さいよ。

えー、前回はリンパ球の成熟について言ったんだよね。
B細胞の表面には免疫グロブリンというグローブみたいなのが飛び出していて、
その先っぽで病原菌をキャッチするのだが、
そのグローブを用意するにあって、
まず、皮からグローブを作る様な段階があって、
それは一次リンパ器官、骨髄で行われるんだったよね。
それから、そのグローブが骨髄からリンパ節に移動してきて、
そこで実際に病原菌とボールをキャッチしている内に、
だんだんグローブが柔らかくなって掴みやすくなる。
これは二次リンパ器官における成熟だよね。
この2つを合わせてクローン選択説と言うんだが、
文言としては、リンパ球は“あらかじめ”“ひとそろい”のクローン、
つまりグローブを持っていて、抗原刺激を受けて更に成熟する、
というものだったね。
ただ、そう言ったところで、100億個ものグローブをどうやって用意するんだ、
という疑問もあって、
そこで、利根川進の実験も紹介した。
しかし利根川進はあくまでグローブ縫製の方法を説明しただけであって、
誰がやっているのかは言わなかったんだよね。
いくら“あらかじめ”とか言ったって、自動的に出来るんじゃあ
慣性の法則に反するだろう。
そこで、私は、これも又、宇宙の磁気によるものである、と言ったんだったよね。
つまり第一回では、遺伝子の複製はDNAポリメラーゼに宿った
宇宙の磁気によるものと言ったが、
前回は、骨髄におけるリンパ球の成熟も、宇宙の磁気によるのであり、
これをクーロン選択説と命名したんだったよね。
以上が前回の復習。
えー、さて、それじゃあ、今日話そうと思っていたMADについてだが、
ちょうど今日、またまた昼間の理系進学クラスの話だけれども、
或る生徒が、
彼は将来、研究者になりたいとか言っているんだが、
彼はマウスのゲージの掃除をするのに、手袋をしているんだよね、
糞で手が汚れるとか言って。
ところがその手袋を洗濯機で洗うと、
今度はその汚れが洗濯機のドラムに移るかも知れない、
更にそれがタオルや下着に移るかも知れない、と、
切り無しに伝わって行くと言んだよね。
こうなると、これは汚れではなくケガレだね。
これが一種、MADな状態と言えると思うんだが。

どうしてこんなことになっちゃうのかを、ちょっと考えてみると、
この彼の場合だったら、
洗濯機を回して、洗剤入れたっけ、とドラムを覗くと、
あんまり泡立っていない、とか、
洗濯水がドラムの方まで浸っていくなあ、とか色々考え出すでしょう。
そうやって脳で考えた瞬間に、
完璧に綺麗な状態とか、無限にケガレが伝染していく様子とか、
そういうのを妄想してしまうんだよ。
脳で考えると、完璧とか無限とか、極端なことを言い出すんだよ。
じゃあ、こういう状態から回復するにはどうすればいいかと言うと、
脳と身体とで、脳的になり過ぎているんだから、わざと身体的なことをすればいい。
手洗いで洗うとか、思い切ってマウスの糞にまみれてみる、とか。

で、ここで何が起こっているかを、心理学とかなんとかではなくて、
私が前々から言っていた、過剰と去勢で言うとねぇ、
これは、過剰が枯れてしまって去勢過多になっちゃっているんだね。
前回私は、遺伝子そのもの、とか、病原菌みたいなものは、
過剰なものであって太陽系的なもの、
遺伝子のコピーとか、骨髄やリンパ節に磁気が宿るみたいなのは、
去勢であって銀河系的なもの、と言ったが。
それは、人間全体についても言えるんだが、
食べるとか、排泄するとか、セックスするとか、
副交感神経的なものは太陽系的なもので、
心臓だの脳だの、交感神経系で亢進するものは銀河系的なもの、
と言えると思うのだが。
人間のスケールにおいては、この2つがバランスしていなくちゃいけない。
微細なレベルで言えば、タンパク質の合成という太陽系的な事と
ゴルジ体の去勢という銀河系的な事はバランスしていなくちゃいけない。
或いは、もう少し大きい範囲で言うと、
人間の呼吸の回数は、寄せては返す波の回数と同じというけれども、
臓器としての肺という太陽系のものと、地球の自転という銀河系的なものが
バランスしていなければいけない。
そのバランスが崩れるとどうなるかというと、
微細なレベルだったら、タンパク質もないのにゴルジ体が作用すると、
鍋の空焚きみたいな感じになってしまうんだね。
そうするとゴルジ体から化学物質が出てきてあアレルギーみたいになるかも知れない。
そういうことをもっと大きい範囲で言うと、
心臓だったら、運動という過剰もないのに、
電気的にパチパチしていて不整脈を起こす、とか、
脳でいうなら、恐怖の対象みたいな過剰がないのに、
セロトニンの放出が止まらない、みたいな状態。

このケガレの彼は、まさにこういう状態になっちゃっている。
だって汚れてもいないのに、ケガレていると言っているんだから。

じゃあ、なんで過剰と去勢で去勢過多になると潔癖症になるかというと、
前にも言った様にDNAポリメラーゼとかリンパ節とか脳とか、そういうのは、
宇宙の磁気が宿って去勢するものだから、
宇宙の幾何学的なもの、イデアみたいなものが宿っているんだね。
だから、例えば、本当の三角形は厚さをもたない二次元のものだ、とか言って、
三角定規のイデアを求めだすんだね。

だから、過剰と去勢で去勢だけしかない時の脳というのは、
幾何学的に美しいものを真、と思ってしまうんだよ。
これはもう、MADな状態だと言っていいと思うんだが。
だから、彼が科学者になりたいなら、そういうMADな状態に陥らない為に、
常に実験で世界との連続性をキープしていなければならない。

ところが、過去の偉大な科学者であっても、MADに陥った人は結構多いんだよ。
こっからが今日言いたかったネタなんだが。
例えば、免疫学の巨人と言われて、利根川進の研究所の所長でもあり、
クローン選択説の元になった自然選択説の提唱者でもあった、イエルネ、
その人も又、MADな人だったんだよね。

ここでちょっとイエルネの自然選択説を言いたいんだが、
クローン選択説の元になった説だから、似たようなもので、
やっぱり、100億個のリンパ球が“あらかじめ”用意されている、
というのが前提になっているんだけれども、
それが一つのネットワークでつながっている、というんだね。
どうやってそんなネットワークが出来るのか、というと、
人間の最初の免疫反応というのは、受精4週目ぐらいで母体の血が流れてくるから、
その時に起こるか、
無菌室で育ったとしても、何かを食べるのだから、
どっかで非自己とは接するのだけれども、
とにかく、非自己と接触することで、或るリンパ球が反応するでしょう。
そうするとその反応したリンパ球も他のリンパ球にしてみたら非自己だから、
第二の反応が起こるでしょう。
そうするとそのリンパ球も又別のリンパ球にしてみたら非自己だから
第三の反応が起こる…、という無限ループが100億回繰り返されて、
100億個の個性を持つリンパ球が誕生する、と言うんだね。
しかも、このリンパ球はグロブリンの先っぽ同士が、
ETの指みたいに接触していて、通じ合っていると言うだねえ。
そういう状態の100億個のリンパ球の集合体がある。
そうすると、今、新しい病原菌が接近してきて、それに対応するリンパ球が、
100億個の真ん中へんあったとしても、ピピピッっと連鎖していって
反応出来る、あたかも、ファイル共有ソフトのWinnyでつながっている
100億個のPCがあって、そこに、今、新しいPCを買ってきて、
一番端っこに接続すれば、たとえ隣のPCに目的のファイルがなくても、
インデックス情報で検索していけば、100億個の真ん中へんにある
PCのHDDにあるファイルも検索する事が出来る…、みたいな感じで。

そんな馬鹿な事があるかッ。
ただ、免疫の世界では、
なんかの毒細胞に他のリンパ球から分泌されたグロブリンが2個刺さって、
そのチョキとチョキを橋渡しするように病原菌がくっついて、ショートして、
毒細胞から毒が出て、アレルギーショックを起こす、とかいうのはあるんだが。
だけれども、この場合には、むしろ、イエルネの脳のニューロンの先っぽが
他のニューロンとショートを起こしているから、こんなことを考えるんじゃないの? 
いや、私の場合には、細胞に刺さったレセプターとレセプターの架橋によって
ショートが起こって、化学伝達物質が出てくる、とは考えないで、
あくまでも、ニューロン周辺の或る物質に磁気が宿ることで、
イオンの流れがシャープになる為にキレる、と言いたいのだが。
まぁ、それはともかくとして。
このイエルネの説の前半の、免疫反応の連鎖、なんていうのは、
先の学生のケガレの無限ループ、みたいな感じがしない? 
やっぱり、こういうことを考えるのは、世界との連続性が失われていて、
びんびん脳内に電波が飛んでいるからなんじゃないのか、と思うんだが。
イエルネっていうのは、城に引きこもって考えていた、とか、
教会で思索に耽っていた、とか言われているんだよね。
つまり実験から遠ざかっていた人なんだよねえ。
だからそんなになっちゃったんじゃないのか。
そういう訳で、このイエルネの自然選択説はMADだし、
そこから派生したクローン選択説もMADなんじゃないか、と私は言いたいんだが。

それが、今日言いたかったことでした。

さあ、それじゃあ、今日の犠牲者について少し言及しておこうか。
今日生徒の一人が肛門性愛に目覚めて、
それが原因で死亡するという不幸がありました。
それは、男子生徒の数が減ってきたから、性転換を起した、なんてことじゃあない。
じゃあ何かと言うと、前述のケガレの彼ではないが、ちょっとしたことで、
太陽系と銀河系とで、銀河系が優位になってしまったんだね。
それはどういうことかというと、例えば、くしゃみというのは、
ハクションとやるんだから、自然な事であって、
粘膜的な事であって、それは太陽系的な事だから、いいんだけれども、
それを、見目麗しい女子が、美しい声で歌ったりすると、
その途端に、歌声は脳の事だから、銀河系的な事が優勢になってくる。
そうやって、一回、世界との連続性を欠いてしまうと、
どんなに綺麗な人でもウンコもすれば屁もひるという当たり前のこと、
太陽系的なことを受け入れられなくなってしまうんだね。
そして、銀河系的なものが、どっと出てくる。
さっき言った、三角定規のイデアが出てくる、みたいに、女性のイデアが出てくる。
斉木君はそういう状態に陥ったんだな。

…まぁ、実際には、ニューロン周辺の或る部位に磁気が宿って
イオンの流れがシャープになるんだから、
例えば顔細胞のニューロンの束の内、
輪郭のニューロンだけにさーっとイオンが流れて、
皺のニューロンとか、シミのニューロンとかにはイオンが流れない、
ということが起きる、それで、その女子の顔が綺麗に見える、
ということなのだが。
だから、磁気自体が幾何学的な意味を持っているというよりかは、
磁気によってイオンの流れが早くなると、
曲線的な事を見失って幾何学的な輪郭だけを見る様になる、ということなのだが…。

では、そこからの回復はどうすればいいか、というと、
斉木君がやったみたいに、首を締めて、脳的な再取り込みを阻止する事で
身体的な状態に戻ろうとするのも手かも知れないが、
むしろ、身体的な事をすることで、世界との連続性を回復すればいいのであって、
それは、春田君の様にウンコを食う、というんじゃああまりにも太陽系的すぎて、
今度は脳が留守になる可能性もあるので、中庸をとって、
その女子のオナラでも嗅げば、世界との連続性が回復して、
MADな状態から逃れられたのではないか、と想像するのである。
以上が斉木君に関して思うことだが。

まあ、今日はこんな所なんですが。
比較的短かったね。

じゃあ、次回は、明晩6時スタートです。
バッテリーを交感して、ディスプレイの前で待っていて下さい。
それじゃあみなさんおやすみよ。




#1053/1158 ●連載    *** コメント #1052 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:24  (198)
◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー1
★内容
朝方、夢を見た。
私はキャンプ場にいて、体育座りをしていて、みんなと一緒に芋を食べていた。
腸が、クルルル、と鳴った、鳩でもいるみたいに。
そしてオナラがしたくなる。
どうせみんな同じものを食べているのだから、とたかをくくって、
少しすかしたら…くさーい。
なます系のニオイで、濃度も濃く、こんなのが漂ってしまったら誤魔化しようがない。
これはもう自分で全部吸ってしまうしかない。
私は咄嗟に、体育座りをしているその太ももに頭を突っ込んで、思いっきり吸った。
全部自分で吸ってしまおうと思ったのだ。
ところが春田君が背中から、「ヨーコちゃんオナラした?」と言ってきた。
ええー、わざわざみんなの前でそんなこと言うかよ、と思って、
太ももの間から顔を上げて振り返る。すると春田君は既にそこには居ない。
あたりを見回すと、ちょっと離れたところの砂利の上で、
春田君がミキを追いかけていた。
二人とも裸で、靴だけは履いているので、ストリーキングみたいに見える。
ミキは、ヘルペスが伝染るー、とわめいている。
春田君はトイレットペーパーを右手に掲げてひらひらさせている。
スローモーションで追いかけっこをする二人。
突然春田君が方向転換すると私の方に迫ってきた。
そして、私の腕をとって、私を連れ去った。
二人三脚の様にして、ロッジに入ると、暗い階段を上って、部屋に連れて行かれた。
それからベッドの上で脱がされる。
恥ずかし固めで固められて、ちょめちょめを舐められだす。
それから春田君は肛門の方を狙うのだが、私は太ももで突っぱねて逃れた。
私は、湖のほとりに行くと、ちょめちょめを洗っていた 
私のクリちゃんは、多分舐められせいで、ヘルペスに感染していて、
斑状に湿疹が出来ていた。
大きさは、カブトムシの幼虫ぐらいあった。
擦るとかえって色素沈着してしまうと思って、
ぴちゃぴちゃ湖水で洗ったのだが、綺麗にならなかった。
顔を上げると、あたりの雰囲気は三途の川みたいな川原で、
対岸の空は紫色に染まっていて、あっちが地獄なのかと思う。
反対側の空は東なのに何故か夕焼けで染まっていた。あっちが八王子なんだなと思う。
そっちの方から、♪夕焼け小焼けで日が暮れて山のお寺の鐘が鳴る…、という
子供たちに帰宅を促す市の放送が聞こえてきたのだった。

そこで目が覚めた。
あー、夢だったのか、とほっとした。
しかし、天井を見ると、やっぱりここはシビレ湖のロッジだった。
夢から覚めても又夢か。
ガバッと起きて隣を見ると空のベッドが。
最初の日、あそこで牛島がベッドを作っていたのを思い出した。
でも、陥没した山道から落ちて死んだんだ。
それから春田はただれて死んだ。
斉木は首を吊って死んだ…と芋づる式に思い出す。
え? どういう事? とボーッと考える。
つーか、目を覚ました時から股間に、
何か今までに感じた事のないエネルギーを感じているのだが。
肛門の括約筋からテコの原理で立ち上がる何かを。
なんなんだろう。
私は腰を浮かせて、ズボンとパンツを一気におろした。
するとそこには、立派なペニスが。
ぎょえー!
夢の中のとは違って、白くてでっかくて、ジュゴンの鼻みたいに仮性包茎のチンポ。
それが朝勃ちというのだろうか、股間からむっくりと起き上がっている。
なんじゃ、これはー。
うわーっ、なに、これ、とかゲジゲジでも見せられたみたいに
両手で遮って身をよじって逃げようとしても自分に生えちゃっているし。
私は逃げるのを諦めて、ベッドに座ると、じーっとペニスの尖端を凝視した。
尿道のところは、舌の裏の唾液が出てくるところに似ているか。
それが、今にも唾を吐き出す唇みたいに盛り上がっている。
あそこから精液がぴゅぴゅっと出てくるのだろうか。
普段はしぼんでいてオシッコを出すのだが、興奮すると勃起して精液を出す。
こりゃあ、ウォシュレットのノズルよりも不思議だぞ。
でも、何かぶっかけるものって大抵ああいう形をしている。
目薬とかイチジク浣腸とかケチャップとかマヨネーズとか。
つーか、私のちょめちょめはどこへ行ったんだろう。
ベッドの上で片膝を立てて、ペニスの奥を覗き込む。
すると、半分めり込んだ睾丸があって、その向こうは肛門であった。
つまり私のはない、というか、元あった私のの周りに、
ぐわーっと昭和新山の様にペニスが盛り上がってきたのか。
斉木も死んで男が居なくなったので、性転換を起こしたってことか。
うわー。
後ろに両手を後ろに突いて身を反らせた。
その瞬間、肛門付近に少し力が入って、びくっとペニスが反応した。
なんだ、今のは。
もう一回意識して肛門に力を入れてみた。
すると、クレーンの様にくいっくいっと反応する。
なんなんだ、この感覚は。こういう感覚は今まで持った事がない。
乳首が固くなるのは鳥肌がたつのに近いもので、あれとは違う。
こうやって自由に動かせるというのは
…と私は肛門周辺に力を入れてペニスを上下させたのだが…
小鼻を膨らませるのに近い感覚だ。
鼻って軟骨で出来ているので膨らませることが出来るが、
ペニスも海綿体が充血すれば筋肉に付随した軟骨みたいな感じになるのだろうか。
肛門を締めっぱなしにして、ペニスを上げっぱなしにしてみる。
感じとしては、素手にドライバーでも握っていて、
その鉄の部分も身体の一部という妙な感覚。
うーん、唸りながら、それを凝視する。
私はそーっとイチモツに指を伸ばした。そして触れてみる。
途端に、びくっと反応した。
うーん。
思い切って、手の平で掴んでみる。
イチモツは、手の平を押し返すように膨らんだ。
試しに私は、ジュゴンの鼻状包皮を剥いてみた。
べろーん。
真珠色に光る亀頭が現れた。
ぐーっと剥きっぱなしにすると、ぐーっと充血して、
カリのところなどは飴色に光るのである。
それから私はゆっくりとしごいてみた。
びくびくっと反応する。
それには性的な快感も伴うことも分かった。
更に数回しごいてみる。
はぁ。なんだろう。気持ちいい。こういう快感は知らなかった。
左手を後ろに突っ走ると、腰を浮かせて、更にしごいた。
なんだろう。はぁはぁ。
私はどんどん大胆になり、どんどんしごく。
はぁ、気持ちいい。
私は、何かを目指しつつ激しくしごいた。
はぁ、はぁ、はぁ…、気持ちいい。
はぁ、はぁ、あっ、あっ、ああああー…
突然精液が飛び出した。
鼻水の様な液体が、ポンプか何かで押し出す様に、ぴゅっ、ぴゅっと飛び出てくる。
もはや自分では止められない。
あー、あー。どうしよう。あー、止めて!
そして、透明でザーメン臭のない精液が、太ももやシーツに飛び散った。
あー、どうしよう、と私は思った。
てか、なんなんだ、この罪悪感は。
数秒前の興奮は、一瞬にして消え失せ、
焦燥感と罪悪感がないまぜになった様な感覚が後頭部から押し寄せて来る。
なんだろうこの気持ち。
丸で人でもあやめてしまったかのような取り返しのつかない事をしでかした様な感じ。
心の中で、ごめんなさい、もう2度としませんと祈った。
そして、すっかり意気消沈して 飛び散った精液を見詰めていた。
もしかして、人類の道徳の起源は、この罪悪感にあるのではないか、と思いつつ。

しばらくじーっとしていて、少しは落ち着きを取り戻した頃、
それでも物悲しい気分のままで、私は枕カバーで太ももやらシーツの精液を拭った。
そして股間の一物を見る。すっかりふにゃふにゃになったジュゴンの鼻。
射精後の罪悪感は薄れてきた。
しかし、こんなものがあること自体やばいのだ、という女性としての焦り…はなく、
むしろ、ちんぽの掃除もしなくちゃ、と思ったのだ。
自分のイチモツだから清潔を保とうと思うのか。
剥いてみると、白っぽい貧血したような亀頭が現れる。
ぐーっと竿の付け根から絞り出すと尿道に残っていた精液が出てくる。
こうやって、剥けば剥けるし、皮かぶりにもなるのは、一粒で二度おいしい。
包皮をいじくっている内に、前に斉木が話していた妙な話を思い出した。
なんでも、斉木が知っているもっともぶったまげた外来は…。
仮性包茎をなおそうと思ってアロンアルファでくっつけようと思ったら、
手が滑って真性包茎の状態でくっつけてしまって、
その状態で小便をしたら、包皮にぼんぼんの様に尿がたまって、
その状態で搬送されてきたのだが、
切開してみると接着剤は亀頭にまでべっとりついていたので亀頭ごと切除した、
というものだった。
でも、自分の包皮をぐーっと伸ばして指を丸めて握り締めてみても、
ここにおしっこをするのは無理だ と思う。
斉木のやつ、話を作ったな。だいたい斉木んちは産婦人科であって泌尿器科じゃない。
という事は、染色体異常とかの話も話半分に考えた方がいいんだろうか。
斉木は言っていた。
春田は染色体異常で、睾丸が半分股間にめり込んでいると。
そして、類似の異常が私にもあると。
そういえば私の睾丸も…、と、私は、ベッドに座ったまま、片膝を立てて、
ペニスをもちあげて、半分めり込んだ睾丸に触れてみると、ぐりぐりやってみた。
これは、斉木が居なくなってオスが居なくなったから、
私の性染色体がアクティブになってペニスが生えてきたのだが、
その性染色体に春田みたいな異常があった、ということか。

それにしても、と、私はペニスを握った、この存在感。
ペニスから睾丸のあたりをにぎにぎしながら、
それにしてもさっきの性欲の強さは凄かったなぁ、と私は思い出した。
男性の性欲の強さは、べピースモーカーが一日タバコを吸わないで、
肉体労働をして、夕食にステーキを食べて、濃いコーヒーを飲んで、
そこで一服した時のがくーんと来た感じの百倍ぐらいの強さ、
と故牛島が話していたが まさにそのぐらいの強さはあったな。

しかしこうやってちんぽが生えてみると、吸いたいのはタバコじゃなくて、
女のビーチクだな。
は? 今、私、何て思ったんだろう。
女の乳首が吸いたい? 
げっ。私、心まで男になってしまったのだろうか。
しかも、たった今、もうしませんと祈ったのに、
又、吸いたいなんて思いだしていて。
又、溜まってきたんだろうか。

しかし、オレが欲しいのはビーチクじゃなくてケツやその奥の割れ目、
つまり他の女のマンコだ。それは微かに色素沈着しているものの、
静脈が透けて見えていて、それで大理石の様な模様を作っている、そんなケツで、
後ろから広げると、肛門の皺は綺麗に放射線状に広がっていて、その下側には、
本当に鮮度の良い、少女の瞼の様な小陰唇、少女の涙腺の様なクリトリス…。
オレはおっぱい星人じゃなくてけつフェチなのか。
私じゃない。私の脳が思っているわけじゃなくて、
オレのY遺伝子が勝手にそう思ってんだろう。
あのぴゅぴゅっていう痙攣は、脳がやってんじゃないから。
勝手に痙攣しているのだから。くしゃみみたいな免疫反応に近いよ。
もしかしたら、配偶子になった段階で、精子も卵子も非自己で、
射精も排卵も免疫反応なんじゃないのか。
その非自己が、私を支配して、ターゲットを探し出す。
熟れた果実の奥にいる、スーパーマリオのピーチ姫みたいな、卵子を。
オレは、半分勃起したペニスを2、3回しごいた。
しかし、停止した。もう空砲を撃つのはゴメンだと思ったのだ。
私はベッドから起き出すと、立ち上がってパンツを上げた。
勃起したペニスの亀頭が、すっかり頭を出している。
ハーパンをずり上げたが、これだと勃起したペニスが透けて分かる。
私は部屋の隅に行くと、丸めてあったGパンに脚を突っ込んでずりあげると、
ペニスを押し込みながらチャックを閉める。
すごくきつく感じるが、これはペニスのせいばかりではなく、
なんか、体全体が大きくなった気がする。




#1054/1158 ●連載    *** コメント #1053 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:24  ( 68)
◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー2
★内容
下に下りて行ってテラスに出ると、
真ん中へんでヒヨリが芋の芽をナイフでえぐっていて、
手すりの方ではミキが丸椅子に座って湖の方を見ていた。
とりあえずヒヨリのところに近寄って、タオルの上に転がっている芋を覗く。
「あら、芋の芽を取っているのね」
「は?」ヒヨリは顔を上げた。「なに、おねえ言葉使ってんの?」
「じゃが芋も3日目になると芽が出てきちゃうのね」
「つーか、これっきゃねーだろ」
何があったって、オメーは芋しか食えねえだろうが。
それにしても、日に日に黒くなっていくな。
スモーキーマウンテンのフィリピン人だな。
ときめきゼロだよ。

さっとミキの方を向いて、手すりの方に歩いて行くと、
手すりに寄りかかってミキを見下ろした。
丸椅子に腰掛けて湖を見ているんだが、
タンクトップだから、脇の下から広背筋の辺りがよく見える。
既に腋毛が伸びていた。
下はGパンを切ったホットパンツで、
弛緩した筋肉が丸椅子の上でカエルの腹の様に広がっていた。
あそこをぶちゅーっと吸って、
ぶちゅ、ぶちゅ、ぶちゅっとズレて行って奥のピーチ姫を吸いたい。
ちんぽがビクッと脈打って心臓も不整脈を打った。
ペニスと心臓は連動しているのか。
だったら、視覚から脳、心臓、ペニスと伝わっていくのか。
性欲はY遺伝子の仕業ではなくて脳がやっているのか。
いや、そうじゃなくて、溜まっているからこそミキが目に入るんだよ。
中二が竹やぶにエロ本を見付けるみたいに。
「なに見てんのぉ?」ミキが怪訝な表情を向けた。
「なんかオヤジっぽいよ。つーか、なんでGパンなんて履いてんの」
「他のは汚れたんだよ」
「様子が変」言うと、立ち上がった。「さてと。じゃあ、芋でも食うか」
そしてヒヨリも立ち上がって、キャンプ場の方へ移動していった。

「私も行くー」っと踵を返したのだが、
その瞬間、ガラスにオヤジの亡霊が写った、と思ったのだが、それは私だった。
Y遺伝子、というか、オヤジ遺伝子の権化と、
オヤジの視線に耐えていた女子が同居している。

キャンプ場のカマドで芋を茹でながら、ヒヨリ、ミキとで、体育座りで待っていた。
丸で、アリ・マッグローとグレース・ケリーだな。
アリ・マッグローってどこが綺麗なんだろうとふと思う。
「なに見てんの?」ヒヨリがじろりと睨む。
「見てねーよ」
こいつ邪魔だな。

芋が茹ると、ミキと一緒に、どぼどぼーっと湯を捨てた。
鍋を戻すと、底に転がった芋を、3人で棒でつついて取り出す。
ヒヨリは、塩を振って食べていた。
私とミキは砂糖をまぶして食べる。
「もう、最後の芋にしたいよねえ」と私は言った。
「そうだよね」とミキ。
「でも私とミキは、これが最後の芋になるんだよね」と言って、ヒヨリをチラ見。
黙って芋を食っている。
「ねえ、ミキ」私は言った。「あそこのイケスって、
網の底からロープが出ていて、それを引っ張ると、
魚が集まってきて、そこをモリで突くんだよね」
「うん。そうだね」
「それって、ボートの上から突くんだよね」
「そうだね。沖から突くんだね」
「だったら舟に3人も乗っていて突くなんてバランス悪いから、
ミキと二人で舟で行こう。ヒヨリは歩いていって」
「えっ」ヒヨリがぼそぼそ食いながら顔を上げた。
「ヒヨリはどうせ漁なんて出来ないんでしょう?」
ヒヨリは芋を持ったまま焚き火をじーっと見ていた。
「別にいいよ。でも、嫌に指図するじゃん。
ヨーコってこんなに積極的だったっけ」ヒヨリはミキを見た。
「さあ」とミキは首を傾げる。




#1055/1158 ●連載    *** コメント #1054 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:25  (276)
◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー3
★内容
桟橋に行って、ミキが舟に乗り込むと、左右にぐらぐらしたが、
しゃがんでオールを広げると安定した。
それから、私がモリを携えて乗り込むと、船尾に半ケツを乗せる様な格好で座った。
桟橋のヒヨリに「じゃあ、向こうでね」と言って、橋桁のところの丸太を、
モリの柄でぐーっと押した。あーばよ。
桟橋から離れると、ミキが力強く漕ぎ出した。
舟はずんずんと進んで行く。
身をよじって桟橋を見ると、ヒヨリがどんどん小さくなる。
更にミキはどんどん漕いだ。
私はせわしなく後ろを振り返って見た。
ヒヨリはどんどん小さくなり、やがて、靄に見え隠れする様になり、
その内すっかり見えなくなった。
ひっひっひっ、邪魔者は消えた。
喜々として ミキの方に向き直った。。
前屈した状態で、どぼんと水をキャッチすると、ぐいーっと仰け反るってかく。
タンクトップを臍のところで結んでいるのだが、
オールをかく度に、薄い皮膚の下に腹筋が浮き出る。
「すごい腹筋。板チョコみたい」ミキは既に薄っすらと汗をかいていた。
「それにしても蒸すよね。それ脱いじゃえば」
「えっ。この下何も着てないんだよ」
「そっかー、水着は斉木に破られちゃったんだものね。
でも、脱いじゃえばいいのに。誰も見ていないよ。見ているとしたら骨川筋子」
私は湖畔をみやった
小道は、靄があるので、途切れ途切れにしか見えないのだが、
ヒヨリの影は見えなかった。
湖畔の見えるところは、靄のせいで、浮島の様に見える。
靄の出る冷たい湖面に、どぼんとオールが沈む音と、
キーッというオールを返す音が鳴っている。
ただ舟の上だけはその運動のせいで、むんむんしている。
ミキを見れば既にはぁはぁしていた。はぁ、はぁ…。
空気がこっちに流れていて、ミキのワキガが臭ってくる。
でも、病的なものではなくて、風呂に入っていないからだろう。
腹からは、肌そのものの匂いも漂ってくるのだ。
冷たいミルクの様な、水泳の後の更衣室で匂う、純粋な人間の匂いだ。
とか嗅いでいる内に、丸で自分が狼とかハイエナとかの野生動物に
なってしまったかの様に感じた。
そして私は膝小僧に顔を埋める、隙間から猫目でじーっと獲物を見る。

やがてイケスが見えてきた。
岸辺から4、50メートルぐらいのところに、
ゴルフの打ちっぱなしのネットみたいなので四角く囲ったイケスがある。
その角に近づくと、ミキはオールを水に入れて舟を止めた。
「あれーっ、ロープが解けている」イケスをみやりつつミキが言った。
「あそこのロープが、本当はイケスの外側まで伸びていたのに。
あれを引っ張ると網が引き寄せられて魚を集められるの」
ロープはイケスの内側に浮かんでいた。
「だったら 泳いで取ってくるしかないよ」
「えー」
「だってそれっきゃないよ」言うと私は足元のモリを取って、
「ほら、こうやってモリで取ろうと思っても届かないし。
ミキが泳いで取ってくるしかないよ」
「だって、裸だよ」
「だってしょうがないじゃん。
つーか私しか見ていないんだから恥ずかしくないでしょう」
「えぇー」ミキはロープの方を見ている。
「ほら」
「えー」
「もう行くっきゃしょうがないでしょう」
「あー。もう」キッとこっちを睨む。「結構強引だよね。
前はもっとぼーっとしていた感じがするけど」
言うとホットパンツの前ボタンを弾くようにして外した。
「いいから、いいから」言いながら三日月状の岸辺から、ロッジの方に、
湖畔の道を見渡した。まだヒヨリは見えない。

ミキは舟の上で立ち上がり、背を向けて、ホットパンツを脱いだ。
それからパンツも脱ぐ。
脱いだ瞬間、パンツのちょめちょめが当たっていた部分が、
ハンドエイドでも剥がすみたいにしっとりした感じで剥がれていって、
多少黄ばんでいるのが見えた。
だったら陰部も多少汚れているんじゃないか、と尻を見る。
尻と太ももの境目に横ジワが一筋。尻のほっぺは結構硬そうで、窪んでいた。
広げて舐めてあげてもいい。でもそんなの湖水で綺麗になってしまうだろう。
ミキはタンクトップに肘を入れると首から抜いた。
最後に、背中で合掌でもする様な柔らかさで、ブラのホックを外すと、
両肩を湾曲させてブラを外した。
もはや全裸なのだが、両肩を内側に湾曲させて、
尻のほっぺを固く内側に窪めていて、
更衣室で陰部を隠す様なか弱いものだった。

ミキは、舟底に膝をついて水の温度を確かめる。
その時、広背筋の向こうに乳房が見えた。
石膏っぽい青白さで、乳首と乳輪の縁だけが淡いブルーベリーで、
乳首の周りはまだ色づいていなくて、
まだ誰にも吸われていないんだなぁ、と思った。
とにかくその柔肌は如何にもか弱く、ペンキを塗った舟とか、
青汁みたいな水面とか、イケスの網にこびりついたぬめりとか比べて、
肌色のクオリアが、なんとも、
アオカン的無防備さを放って浮き上がっている。
自分のY遺伝子がそう思わせるのだろうか。
だって、人間だって自然のものなんだから、
自然の中で浮き上がって見えるのは、
ただ単に自分がスケベで、
竹やぶにエロ本が浮き上がってくるのと同じ原理なんじゃないのか。
でも、シュワルツェネッガーの『プレデター』でも
サーモのスコープで見るとジャングルの中で人間の肌が浮き上がってくるので、
人間の素肌って、自然とは違うのか。

「あんまり見ないよ」ミキはちょっと口を尖らせてこっちを見た。
舟縁に乗っかって小鳥の様に掴む。
それから、風呂にでも浸かるみたいに、舟縁を後ろ手にして、
ちょぽーんと水に入っていった。
冷たそう。
立ち泳ぎで、イケスのところまではすぐに到達した。
ミキは、イケスの縄のぬめりをチェックした。
それから縄を押し下げて、跨ごうとするのだが、縄はそんなに深くは沈まず、
何回か試みるが諦める。
そして両手で縄を掴むと、全体重をかけて沈め、コースロープでも乗り越えるように、
思い切って頭からイケスの中に飛び込んで行った。ざぶーん。
そしてそのまま潜ってしまったのだが、
イケスの真ん中へんで、巨大マンタが浮上するみたいに浮き上がった。
首を振って髪の水を振り払う。
そしてすぐにロープを見付けると、首を出したまま、
泳いで行って到着。
ロープを掴むと掲げ上げてこっちに見せる。
すぐに身を翻して、横泳ぎで戻ってくる。
イケスの縄を、背面跳びみたいにダイナミックに超えると、
すぐに船縁まで戻ってきた。
「ほら」と言ってロープを差し出しながら、舟縁に手を掛けてくる。
なんとなく私は、やっぱ体育会系はすげーな、と呆気に取られていたのだが、
慌てて受け取った。
ミキは、舟縁に両手を突くと、舟ががくんと揺れるのも構わず、またいできた。

舟の上に立つと、まず、髪の毛の水を、犬みたいに、ぶるぶるぶるーっと
震わせて払う。
それから 手グシで髪をかきあげながら、ぐーっと胸をそらして、
堂々と肢体を晒した。
髪からまだ水が垂れてきて、長い睫毛に雫を作り、目をしばたかせている。
眉は太く、陰毛はカーリーな剛毛だった。
それから、手のひらで腕や太ももの水を払っている。

とか言っても、
ヌーディストビーチに居るヨーロッパ人みたいな感じではなくて、
日本人の中で優れたものという感じ。
尻とかが白人の様に丸っこくなくて、腰骨がV字状に鉄アレイを置いた感じで、
お尻のほっぺが窪んでいる。
肌の白さも、大理石というよりかは陶器の様な白さで、
イメージとしては崎陽軒のシューマイの醤油さしの「ひょうちゃん」みたいな感じ。
だから、近親相姦的タブーも感じるのだが、
ほとんど鬼畜ののりで、私は、勃起していた。
ペニスはGパンの中で行きどころを失っていて、
早く解放してやらないと折れる可能性もある。
早く取り出して、放出したい。ミキの中に。
私は策略を巡らせた。
足元にあったミキの服の上に、濡れたロープを乗っけたのだ。

一通り水しぶきを払ったミキが「拭くものないのぉ?」と舟の底を見回した。
「なにー、私の服、濡れているじゃない」
「あー。ごめん、間違えて濡らしちゃった。かわりに私のを着て」と
自分のを引っ張る。
「そうしたらヨーコが着るのが無くなっちゃうじゃない」
「いいよ暑いから。でもミキは寒そうだからこれを着て」
言うと、私は、あや飛びみたいに勢いよくTシャツを脱いでミキに放った。
私はノーブラだった。
ミキはシャツを胸にあてて、こっちを見ていた。
「下も貸してあげる」臍をへこめると、Gパンのボタンを外した。そして
ジッパーに手をかけて「でも見たら驚くよ、私のちょっと違うんだ」と言う。
Gパンとパンティーを一気に下ろした。
窮屈さのせいもあって 半勃ち状態だったペニスが、ろくろ首みたいに、
ぐにゃーんと空中に投げ出され、しかしすぐに完全に勃起したのであった。
ミキは微動だにせず、じーっと見ていた。
「ミキのせいでこうなった。どうにかして」と言うと少しにじり寄る。
ミキはじーっと見据えながら中腰になる。
「逃げないで、お願い、化け物じゃなんですから、逃げないで」と更に踏み込む。
しかし、ミキは後ずさる。オールに触れて、がくんと舟が揺れた。
「危ないッ」と私は言った。
ミキは腰を低くしたまま、睨んでいる。
今、湖に飛び込まれたら逃げられる、と直感した。
突然、私は、綱渡りでもするみたいに詰め寄って、
どんどん舳先に追い詰めると、とうとう裸の肩を掴んだ。
ミキは身を固くしてしゃがみこみ、私はミキに抱きついた。
しかし、お互いしゃがんだ状態での抱擁のため、
今一肌が合わさっている感じがしない。
舟底にでも身を横たえてくんずほぐれずしたいのだが、舟底はごつごつしているし、
それだったら岸部に乗り上げてあの砂の上で、
などと湖畔の方をきょろきょろ見ていたら、突然ミキが体を入れ替えてきた。
あッ、一瞬空が見えた、と思ったら、舟底に背中をしこたま打ち付けた。
いてーっ。
その上に、ミキが乗っかってきて、逆袈裟固めの格好で押さえ込まれてしまった。
起き上がろうとしても、水泳で鍛えたでかい背中は微動だにしない。
ミキは押さえ込んだまま、ちんぽを握ってきた。
「すごいじゃない、これ。どうしてこんなものついてんの?」
「知らない」
「前から付いていたの?」
「今朝起きたらそうなっていた」
「なんで?」
「知らないわよ」
「これ、擦ったらぴゅっと出るの?」
「知らない」
「何にも知らないのね。実験してみようか」
言うと、ミキは猛烈な勢いでしごきだした。
反射的に、下半身を硬直させて堪えた。
そして、なんとか体を抜こうと、両手を突っ張って逃れようとするとするのだが、
逆三角形の分厚い背中の肩甲骨をぐりぐりさせて、こちらの胸部を圧迫してくる。
そして、男前の横顔を見せて、こっちの様子を見ながら、さらに激しくしごく。
ほらほらほらほら。
私は、肛門と尿道に力を入れて、絶対に行くものかと頑張っていた。
しかし、それよりも強い痙攣の予感がじんわりと迫ってくる。
あー、もう駄目だ、もう我慢できない。
「イクッ!」
言った瞬間、ドピュッっと精液が放出された。
筋肉の硬直を乗り越えての痙攣なだけに、その強さも激しく、
精液は、水面にまで到達してぽちゃんと音をたてた。
途端に又あの罪悪感が押し寄せてくる。
はぁー、もう駄目だ。死にたい。
私は、そばにあったTシャツで顔を覆った。
「すっごいね」
言うと、ミキは汚れた手を水面に浸した。
「どうしたのよ、これ」
「知らないよ」
「元からこうだったの?」
「だから今朝からだってば。性転換じゃないかと思って」
「そんな馬鹿な」
「だって男子がいなくなってから生えてきたんだから」
元々はカサブタだったのがどんどん大きくなって、
今朝になったらこんなに見事なペニスになっていたのだ、と経緯を説明した。

言うだけ言うと、舳先に移動して、Tシャツだけかぶると、膝を抱えて、
緑の水面を見ていた。
それは私は、例の罪悪感と戦っていたのである。
男はセックスの後、こんな気分なのだろうか、と想像した。
ベッドの隅で女に背を向けてタバコを吸うのは、もう用済みだからではなくて、
この気分と戦っているのだろうう。
でも又溜まってくると、タバコをもみ消して2回戦目を要求する。
結局男にしてみれば、女は居たり居なかったりするのか。竹やぶのエロ本みたいに。
なんか、搾り取られて抜け殻になる感じもする。
他にやる事はないのか。

どん、と舟の中腹で音がした。ハッとして目を上げる。
タンクトップにホットパンツ姿のミキがモリで舟底を突いていた。
「しょんぼりしている場合じゃないよ。まだ漁があるんだから」
「漁?」
「まずズボン履きなよ」
私は、しゃがんだままパンツを履いて、ズボンに脚を突っ込むと、
立ち上がって履いた。
ほーら、とモリを渡される。
先端の30センチぐらいが鉄で出来ていて、亀頭ぐらいの矢じりがついていて、
ずしりと重い。
両手でしっかりと握ると、前後に揺さぶって、気合を入れた。
男にはオトコの武器がある。
そっか。抜け殻にもハンティングがあったのか。
その時、岸辺にヒヨリが現れた。「おーい」波打ち際で手を振っている。
「何やっての? 揉め事?」
「これから魚を捕るところ」
ミキは怒鳴ると、ロープを持ち上げて引っ張り出した。
最初ロープがビーンと張って、それからぐいぐい引っ張ると、
網が狭まるのと同時に舟も引き寄せられて行った。
舟がイケスにくっつく頃、行き場を失った魚が暴れ出した。
私はモリを抱えてイケスを覗いた。
黒い魚の背が群れていた。
「やって」とミキ。
「よっしゃー」
振りかぶる様にモリを持ち上げると、眼下にモリを投げた。
一発で命中して銀色の腹が水の中で暴れ出す。
モリは抜けないまま揺れていた。
手繰り寄せて柄を掴むと、魚があばれて、ブルブル振動が伝わってくる。
なんだ、この手応えは、と私は思う。
猫の首をいじっていたら喉を鳴らした様な。小鳥でも握っている様な。
その振動が自分の心臓にも伝わってくるようではないか。
こりゃあ癖になりそうだ。
両手でしっかりと掴むと、ふんばって引っ張り上げた。
30センチぐらいのニジマスみたいな淡水魚だった。
足で押さえてモリを抜くと、白いペンキの舟底に魚が跳ねて、血が流れ出した。
すぐに魚は跳ねなくなったが、エラは動いていて、中のピンク色のひだひだが見える。
それからエラを閉じて動かなくなった。
ふと岸部を見たらヒヨリが所在無げに立っていた。
「お前もて伝えー」と私は怒鳴った
ヒヨリは、口をおさえつつ、手のひらでノーノーというジェスチャーをする。
「意気地のないやつは放っておこう」とミキに声をかける。
私は、又、イケスを覗くと、黒い背中めがけてモリを突き立てた。
すぐに、ブルブルっという振動が伝わってくる。
しばらくその振動を味わってから引き上げると、一匹目より更に大きなマスだった。
それも足で蹴飛ばして舟の底にうっちゃる。
私は、更に、3匹目、4匹目と、自転車の空気入れで空気を入れるみたいに、
ぱかぱか脚を広げて、メッタ刺しに刺した。
もうアドレナリン出まくりの、釣りキチのおっさんみたいな脳になっていた。
合計5匹を上げたところで、ミキが、もういいと言った。




#1056/1158 ●連載    *** コメント #1055 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:26  (258)
◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー4
★内容
キャンプ場に帰ると、カマドの横の、大きい石の上で、魚を下ろした。
まず、腸を出して、エラのところにナイフを入れて、さーっと横に引いて半身を取る。
裏返して又さーっと引いて半身を取る。
そうすると、頭と骨だけが残る。
「うまいじゃない」
「ガールスカウトでやっていたから」
しゃがんだまま背後のヒヨリを見ると、一人で芋を煮ているわい。ひひひ
ヒヨリを無視して、ミキを二人で、下ろした魚を棒に刺して、
炉端焼き風にカマドの周りに並べた。
焚き火の火力も、3日目とかになると、炭になった燃えかすが大量にあり、
炭火焼きの様になって、火力が強くて塩梅がいいのだ。
焼けてくると、脂が滲み出してきて、パチパチいった。
「醤油、垂らしてみな」
私は上の方から醤油を垂らした。
ぼわーっと火が上がった。
ウオオオぉー。
「そろそろいいかもしれない。ヨーコ、一口いってみな」
私は一本を取り上げると焼きイカでも食べる感じで、がぶりといった。
「うめー。ぷりぷりだよ」
「どれどれ」言うとミキも食う。「おいしい。サバのみりん漬けじゃない。
塩でやれば塩サバになるかも」と言ってむしゃむしゃ食べる。
ヒヨリを見れば、芋の皮を剥いているではないか。
「ヒヨリもいい加減芋ばかりじゃあ干からびるよ」とミキが言った。
「いいの。放っておいて」と塩を振る。
『フルメタルジャケット』のスナイパーみたいになっちゃっている。
あんなになっちゃったら困るな、と、私は、むしゃむしゃ食った。
しかし、ふとミキを見ると、じーっと焚き火を見詰めていて、瞳に炎が映っている。
もしかして今、イケスでの事を思い出しているんじゃないのか。
私も炎を見詰めた。
「さっきはごめんなさい」私は言った。
「えッ。いいよ。…よくないけど」
「もう二度としないよ」言いつつ、がっくり頭をたれて 自分の股間を見た。
もしかしたら 腹が張るとちんぽも張るかも。
ハッとして、私は魚の串刺しを火の中に放り込んだ。
バーっと火の粉が上がった。
ミキがびっくりしてこっちを見る。
私は足元に転がっているナイフを拾った。
「なにする気」とミキ。
「ちょんぎってやる」私は腹を引っ込めてGパンのボタンに手をかけた。
「やめなよ」
「じゃあ、私にこれがあった方がいいの?」と私は自分の股間を押さえた。
「ぷっ」隣で芋を食っていたヒヨリが鼻で笑った。
「つーか、私にもそのちんちん見せてよ」
ムカつくー。
ヒヨリは更に、「オナベは人差し指が短いって言うじゃん。ちょっと見せてみな」
と言って、人の手首を掴んできた。
「離せよッ」と手を振り払う。
私は思いっ切り睨んだ。
ヒヨリは、意地悪そうな蔑むような目で見ていやがった。
「下山したら医者に診せればいいんだよね」とミキが何故かヒヨリに言った。
「それって婦人科? 泌尿器科?」とヒヨリ。
「性同一性障害の外来」とミキ
「そんなのあるの?」
「あるよ。埼玉医科大学に。性転換手術もやっている」
「へぇー。でもヨーコの場合、もう生えちゃっているんだから、
手術の必要はないんじゃない?」
なんで人の下半身で盛り上がってんだよ。
「無理だね」と私は呟いた。
「え、なにが」とミキ。
「そんな病院に行ってどうこうなる話じゃないんだよ。
ホルモンの問題じゃなくて染色体異常なんだから。
牛島、春田、斉木って、みんなおかしくなって死んでんだから、
私だって順番にそうなるんだよ」
「え?」
「私は斉木から聞いたんだ。
牛島、斉木、春田は
XYY XXY XXYY
で染色体異常で除草されたんだよ。
女子は、ミキ、ヒヨリ、私が
    XXX、XX、X
だから、XXのヒヨリとXXXのミキが生き残るんだよ」
「私もおかしいの?」とミキ。
「そうだよ。でも、XXXなら子供も出来るから生き残るんだよ」
「なーんだ、私だけが正常なんじゃん」とヒヨリが勝ち誇った様に、
プハーみたいな笑みを浮かべた。
ムカつく。
「でも、誰にも相手にされないんじゃあ意味ないよ」と私は言った。
「は?」
「ミキは斉木に襲われたし、私だって、牛島、春田に襲われているんだ。
あんた誰にも襲われていないじゃん」
「それは、そいつらが奇形だから奇形を狙ったんじゃね?」
「ちょっと待って。今、私のこと、奇形って言った?」とミキ。
「言ってないよ。つーかヨーコが私だけが正常だって言ったんじゃん、
でも、正常でも意味ないとか、おかしくない?」
「お前が正常だとかいうのは斉木が言ったことで、
学校はどう思っているかは分かんないよ」
「なに、それ」
「こんな魚を食べさせたり、明日はと畜があるんだから、
そういうのみんな駄目じゃあ、そっちが除草されるかも知れない」
「除草? なにそれ。誰がやんの?」
「そりゃあ男子が除草されたのも、磁気とか何かの影響かも知れないし、
私にオチンチンが生えてきたのも、何かの影響かも知れない。だから私が」
私は目の前にあったナイフを握ると前に差し出した。
「あんたを刺したとしても何かの影響かも知れない」
「ちょっと、なにやってんの」とミキはなだめてきた。
が、ヒヨリはナイフから目を離さないまま腰を浮かせた。
そしてイチローみたいな感じで、じりじりと焚き火の向こうに回り込む。
そしてチラッっと脇を見ると、素早く、転がっているモリを拾った。
「なにやってんのぉー」
「ミキは平和ボケしているのよ」炎の向こうからヒヨリが言う。
「もう3人も死んでいるのよ。何時4人目が死んでもおかしくないじゃない」
自分の台詞で興奮したのか、炎の向こうからいきなりモリで突いてききた。
あぶねっ。
後ずさったら、踵に石がひっかかって、私は尻餅を付いた。
手を付いたところに、ちょうど魚の腸が捨ててあった。
私はそれを鷲掴みにすると、ヒヨリめがけて投げつけた。
「これでもくらえーッ」
顔からフルーツ・オブ・ザ・ルームのTシャツにかけて、べちょべちょっと、
へばり付く。
「ゲーっ!」ヒヨリはモリを落とすとTシャツの前に伸ばして飛び跳ねていたが、
脱ぎ捨てると顔の腸を拭った。
それからモリを掴むとこっちを睨む。
その形相が、血はついているわ、焚き火の炎に照らされるわで、すげー迫力。
しかもあんなに長いモリで突かれたら、こんな短いナイフでは応戦できないと、
今更分かった。
私は、不利と感じた。
だんだんと後ずさると、踵を返して、とりあえず去る。
「どこいくのよ」背後からミキが叫んでいた。

そんなの無視して、だーっと走って行って、湖畔の小道に出る。
そのまま時計回りに、タッタッタッーっと走って、ロッジも通り越して、
更に少し行って、右脇にそれている貝塚に至る坂道に入って行った。
そこを途中まで上ったところで、やっと止まって、キャンプ場の方を見た。
遠くから見ると、焚き火は100円ライターの火みたいに見える。
人の影までは見えないが、追いかけてくる様子はない。
空は既に夕暮れどきで、空の上の方は暗くて紫で、
そこまで焚き火の白い煙が立ち上っていた。
どうしようか、と思った。
途中にロッジが見えるが、あそこに帰ってすっとぼけて寝ていれば、
うやむやになってしまうだろうか。
でも腸までぶっかけちゃったし、なかったことには出来ないな。
それに、走っている間中、Gパンがペニスを圧迫していたせいで、
睾丸からペニスにかけて、鈍い痛みを感じるのだが、それで思ったのだが、
なかったこtになんて根本的に出来ないんだよなぁ。
ふぅー、っとため息を吐くと、踵を返して貝塚の方に顔を向ける。
私は、そっちの方にとぼとぼ歩いて行った。
貝塚の淵まで来ると、下を見下ろした。
むわーんと、シュウマイが腐った様な死臭が、が漂ってくる。
くせっ。
手で鼻を覆って見下ろすと、まず斉木が見えた。
夕べ上から落としたので、でんぐり返しの途中みたいな格好で丸まっている。
その下には牛島。
その隣の、春田がきもい。豚の丸焼きを丸太から下ろした様に、
両手両足を揃えて横になっているのだが、
背中とか顔とかが生ハムでも貼り付けたみたいにただれている。
あそこからこの臭いがしてくると思うと、うぇーっ。
Tシャツの襟を鼻まで引っ張り上げた。
そういえば、斉木が 私と春田はは似ていると言っていたな。
私がターナーで春田がヌーナンで、
ヌーナンが女に起こるとターナーなのだ、と。
見た感じも似ていて、手足が短くて顔がでかくて眉毛が薄くてどんぐり眼で、
つまりキャベツ畑人形みたいな感じで。
あと、ヌーナンの金玉は半分めり込んでいるから、
春田のがそうだったらヌーナン決定、
そして、私の金玉も半分めり込んでいるから、ターナー決定。
でも、待って。
もし春田の金玉がライオンみたいにぶらーんとしていたらどうなるんだろう。
そうだとしても、私は私でターナー決定なのか。
でも、もし春田の金玉がライオンみたいだったら、
そもそも斉木の言っている事が全部滅茶苦茶ってことも言えるかも知れない。
だったら別に私は除草される必要もなく、
埼玉医科大学に行くだけでいいんじゃないのか。
私は貝塚の底を見下ろした。
Tシャツから鼻の先が出た。
ちょっと臭いが、いっちょ確かめに行ってみるか。
ナイフをGパンの尻のポケットに差すと、地面に手を付いて、
後ろ向きで貝塚を降りて行った。
胸のあたりまでは簡単に降りられたが、そっから先は、
つま先を引っ掛ける出っ張りが無かったので、
つま先を擦りつける様にしてずり落ちて行って、やがて、
地面に手を引っ掛けただけの万歳状態になった。
そして、力尽きて手を離すと、ずずずずずーとずべり落ちて行った。
脛はGパンで守られていたが、前腕に幾重もの擦り傷を作った。
いてーっ。
ただの引っかき傷だ、と思ったら、血がぷちぷちとビーズの玉の様に吹き出てきた。
もう私、満身創痍だな。
血を手のひらで擦りながら、春田の亡骸のところに行って、なんとなく見渡す。
春田は、パンツ一丁で、両手首足首をくっつけたまま、向こうを向いていた。
背中など紫に晴れ上がっていて、そこにローソクでも垂らしたみたいに
ぽつぽつと湿疹が出来ている。
花札の桜に、こういう絵柄があったぞ。
私はしゃがみこむと、パンツの後ろに手を掛けて、ずーっと下ろして、
力任せに足首から抜いた。
そして、片足をぐーっと帆掛け舟の様に持ち上げると、ペニスの裏側から観察した。
すると、彼の金玉は…ライオンどころじゃなくて、去勢された家猫の様な、
くるぶしが2つあるような睾丸だった。
そしてそれは私のと同じだ。
眉毛もチェックしてみよう。
後頭部の髪の毛をグッと引っ張ると、顔ががくんと上向きになった。
あご髭の様に湿疹ができているが、顔の上半分は湿疹は無く、
沖縄の豚の顔みたいに、茶色く腫れていた。
我慢してじーっと見ると、ミクロゲンパスタの香りが漂ってくる。
ああ、こいつも格好よくなりたかったのか、と思う。
しかし、全く効果はなかったようで、眉毛が薄いのを通り越して、
窪んでいるので眉の形が分かる、という感じなのだ。
それは私の眉毛と同じ。
ということは、やっぱり彼はヌーナン、私はターナー、と私は納得した。
はー、と、ため息一個。
私は、遺体から離れると、反対側まで行って、ナイフをそこいらに放り投げると、
壁に寄りかかる様に地べたに座った。
ボーッと春田の亡骸の方を眺めていた。するとその近くに鍬鋤が突っ込んである
Gパンが転がっていて、尻のポケットからスマホが覗いていた。
ふと思い出した。あそこには、“エビデンス”なるエロ動画があったなあ。
なんとかいうAV女優が私に似ているとか言っていた。
どんな女だろう。
立ち上がって、そばに行くと、ポケットからスマホを抜き出してきて、
又、元の位置に戻ってきてしゃがむ。
そして再生した。
それは、AV女優が、フェラでごっくんした後、お掃除フェラ、と称して、
2回目3回目の射精をさせるというもので、男優がむずがって、
もう無理、もう無理、と後ずさるのを腰にしがみついて、ちんぽを両手で握って
チューチューアイスでも吸うみたいに吸うものだった。
いいなあ、と単純に思った。
こんな時でも。
つーか、射精なんてキスより簡単なのだ。
小便するよりか面倒でもうんこするより簡単。
私は、ズボンのファスナーをあけて、既に勃起しているちんぽを握った。
でも自分で握っても、さっきミキにやられた様な気持ちよさはない。
他人にやられたいんだよなあ。
つーか、今は舐められたいんだよなぁ。
ふと、自分で舐められないか、と思う。
自分は藤原ひとみに似ているし、自分で舐めたらこのAV男優みたいに、
藤原ひとみに舐められた気分になるのではないか。
オレはそっくりGパンを脱ぐと、ケツの下に敷いて、あぐらをかいた。
前屈みになって吸おうとしたが、全然届かない。
こうすりゃあいいんじゃないか、と、右脚を思いっきり持ち上げると、
アホみたいに舌をのばしてペニスをしゃぶろうと試みた。
そして、どんどん脚を上げると、ヨーガのポーズみたいになって、
舌をベロベロ出しながら自分のちんぽに近づいて行ったら、…がくっと、
脚が首にかかった。
オレはαの様な格好になった。
しかしこの格好になると舐められるのだ。
しばし自分のちんぽを舐めていた。
妙な気持ち。自分のちんぽであって自分のちんぽじゃないような。
抜歯の麻酔の後に、舌の感覚が無いような感じだ。
もしかしたら、お掃除フェラでむず痒いというのはこういう感じかも知れない。
オレはもう、必死に舐めて、首の力だけで自分フェラして発射しようと頑張っていた。
突然ふくらはぎが、つったー、つった、つったぁー。
痛タタタタ。
つったまま、ぐーっとオレの首の後ろを締め付けていく。
痛い、痛い、痛い。
αのオレを、ぐーっと、γの様に締め付けていく。
痛い痛い。
めまいがしてきた、と思ったら、ぼきっと音がして、
目の前が一瞬真っ白になって、そして外れた。
私はごろんと後ろにそっくり返った。
オレンジ色の空が目に入ってきた。
そして、オレンジの空がぐるんぐるん回り出した。
すぐに、魚を吐いた。
これはやばいと思ったがもう動けない。
まだ、オレンジ色の空は見えていた。
すると、貝塚の上に、ミキとヒヨリが現れた。
彼女らはオレンジ色の空に、レンガ色の影になって浮かんでいた。
彼女らに呼び掛けたが、声にはならない。
私は死ぬんじゃないかと思った。
しかし、彼女らの声はまだ聞こえたのであった。
彼女らはこう言っていた。
「もうすぐ ほーそーだよー」




#1057/1158 ●連載    *** コメント #1056 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:27  (172)
◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー5
★内容
《はい、お疲れー
それでは今日も講義を始めたいと思います。
えー、まず、前回までの復習から。
えー、まず第一回は、人間には過剰と去勢がある、ということを言ったよね。
例えば、血液なら、造血幹細胞からリンパ球が出来るのが過剰であって、
骨髄その他で自分を攻撃してしまう様なリンパ球を阻害するのが去勢である、と。
或いは タンパク質なら、遺伝子からタンパク質が合成されるのが過剰であって、
ゴルジ体で体に合わないタンパク質を阻害するのが去勢である、と。
それで、この過剰というのは、なんか、光合成みたいなものであって、
太陽系的なもの、
一方、去勢というのは、宇宙の磁気が骨髄に宿って行われる、というような、
銀河系的なもの、と言ったよね。
それから第二回目は、
クローン選択説というリンパ球成熟に関する現在の定説があって、
それは 人間はあらかじめひとそろいのクローンを遺伝子の中にもっている、
というもので、
それに対して、実はそうじゃなくて、骨髄とかに宇宙の磁気が宿って、
それで濃淡のあるクローンを作って行くのだ、
というクーロン選択説を言ったんだよね。
それから第三回目は、そういう、クローン選択説なんていうのは、
私に言わせればMADなんだけれども、
なんでそんな仮説を言うのか、というと、
それはイエルネという人が、実験を離れちゃって、
古城で一人妄想するからそうなってしまう、とか言ったんだよね。
実験で絶えずリアルに接していればそんな事にはならないのだが、
実験を離れて非連続が発生した瞬間にMADになる。
そういえば、斉木君もミキと手をつないでいる間は、
ミキにも花も根もあるんだなあ、と思えるが、
手を話した瞬間に脳内ミキが立ち上がってきて、そのミキは、
ウンコも屁もしない空気の精、みたいになっちゃうんだ、とも言ったんだったよね。
以上が前回までの復習。

さて、今日は、悲しい事に、男子に続いて、とうとう女子の犠牲者が出てしまったね。
それは一体何が起こったのか。
男子が居なくなったので、鯛の一種みたいに、性転換が起こったのか。
或いは、アブラムシみたいなものなのか。
アブラムシというのは夏の間にはメスだが秋になるとオスになるんだね。
8月も下旬にさしかかったので、そうなったのか。
いやー、高等生物にそんな事が起こる訳がない。

それじゃあ、ヨーコ君には何が起こったのか。
もしかしたら、ホメオティック突然変異が起きたんじゃないか、とも考えられる。
これは何かと言うと、例えばエドワード・ルイスという人は、
ハエの頭部のHOX遺伝子の突然変異によって、
頭から脚が生えてくる、という奇形を発見したが、
もしかしたらヨーコ君にもHOX遺伝子の突然変異が起こって、
それでペニスが生えてきたんじゃないか。
…ということで、今日はHOXというのについてちょっと喋ってみたいと思う。
それでも最後には又クーロン選択説に関わってくるのだが。

じゃあ、HOXっていうのは何か。
その前に、ヒトって、受精卵から始まって、2つ、4つ、8つ、と分裂して行って、
ある細胞は目に、ある細胞は脚になるでしょう。
同じDNAなのに。
それは、どうしてかというと、ヒトの細胞が分裂して行って、極性…臍の方を植物極、
背中の方と動物極と言うんだが、それがどんどん分裂していって、
どんどん極性が出てきて、

そうすると、頭節、胸節、腹節、と大まかな体節が決まってくる。
そうすると、HOX遺伝子という遺伝子郡が作用して、
頭節では、遺伝子の頭に関する部分だけをONにして、
腹節では遺伝子の腹に関する部分だけをONにする、という事が起こる。

具体的に言うと、脊椎動物だったら4つの染色体上に、
HOX遺伝子群という一群の遺伝子の並びがあって、
つまり、ながーい遺伝子の一部に、HOX遺伝子というのがあって、
で、これも、遺伝子だから、3'側と5'側があるのだけれども、
この遺伝子郡の3'側に位置する部分が作用すると、
ながーい遺伝子全体に関しては頭に関する部分がONになって、
5'側に位置する部分が作用すると、遺伝子全体では尾っぽに関する部分がONになる、
みたいな事が起こる。
実際には、3'側に位置する部分が作用すると、或るタンパク質を生産して、
それが転写因子に影響を与えて、タンパク質合成の時に、
頭部の構造に関する遺伝子だけを活性化させる、という事が起こるのだけれども。

そうすると、
同じ遺伝子でも、頭にあれば、3'側が作用するので、
頭部に関する遺伝子だけが活性化して、目、鼻、口とかが出来る、
胸部にあれば、3'〜5'の真ん中辺が作用するので、
胸部に関する遺伝子だけが活性化して、おっぱいとか腕とかが出来る、
腹部にあれば、5'側が作用するので、腹部に関する遺伝子だけが活性化して、
尻とか脚とかが出来る…という感じになる。

分かる? 同じDNAでも、頭部にあれば、目になったりするんだけれども、
腹部にあれば脚になったりする、と。

まあだいだいHOXというのはそんな感じなんだが。
あと、補足説明というか、このHOX遺伝子群で面白いのは、
人間でも、ハエでも並びが非常に似ていて、
ハエのHOXを壊して人間のを移植しても、作用する、
というぐらい似ているんだよね。
これに関する現在の定説は、共通祖先の名残がHOXに残っているから、
とか言われているのだが。
ただこのことに関して、私は、同じ太陽の影響を受けているんだから、
ヒトでもハエも頭は上にあるんだと考えた方が自然だろうと思うのだが。
ひまわりが太陽を向いているのはお日様を浴びたいからだ、とかいうと、
目的論だ、とか言われそうだが、そう言われてもやっぱりそうだろう。
というか、前から私は、発生の段階では、
太陽系とかそういう過剰なるものが原因している、と言っているのだから、
同じ太陽系にいる生物は、同じHOXの並びをしていても普通なんじゃないの。
わざわざ共通祖先の名残なんて言わなくても。

あと、もう一つ面白いのは、
頭節ではHOXの3'辺りが作用して、
胸節では真ん中へんが作用して、
腹節では5'辺りが作用する、と言ったが、
遺伝子での状態での並びと、それが発現して体になった場合の並びが一致している、
というのは不思議だと思わない? 
この不思議さにピーンとこない? 
だって、細胞の構造を思い出してもらいたい、
細胞があって、核があって、その中にDNAがあって、
その中にHOX遺伝子群があるんだが、
そのHOXの並びと、個体の並びが同じだなんて、
丸で、HOXをよーく見たら、頭、胴、脚が見えた、
ぐらいに不思議なことなんだが。
お前らにピーンとくるかな。
だってその細胞が60兆個集まって一個の人間を作っているのに、
60兆分の1個の遺伝子の並びも、頭、胴、脚の順番になっているんだよ。

このことに関しては、現在の定説っていうのは特になく、謎とされているんだね。
ただ私に言わせれば、
これは、過剰と去勢の去勢の方で説明出来るんじゃないかと思う。
私は、前から、遺伝子自体は太陽系で出来ていても、
遺伝子のコピーとなると、
DNAポリメラーゼの亜鉛酵素が磁力によって活性化なんたら、
ということを言っていたと思うんだが、
今回のHOXが発現するというのも、結局はコピーの段階の事だから、
磁気的に説明出来ると思うんだな。

それはどういう事かというと、
まず、HOXを模式図的に言うと、
3'側から5'側が、頭から尻尾って感じで並んでいるのだから、
これを、自転車のギアみたいな凸型のギアとして考えると、
3’←凸←5’ という様な感じのギアになると思うんだが、
この凸型の回転軸に与えられるエネルギーが強くなるに従って、
どんどん先っぽの小さいギアへとシフトしていく、と考えると、
この回転数を磁力、凸型のでっぱりを電気と考えると、
アンペールの法則の右ネジの法則みたいに考えられるだろう。
回転数、つまりギアを回す力が大きいほど、ギアの先の方まで、電気が到達すると。
そうすると、磁力に関しては、さっきちょっと触れたみたいに、
腹側が植物極、背中側が動物極で、更に背中側が又分裂していって、と、
どんどん極性が、つまり磁場が強くなる訳だから、
そうすると、腹より背中、背中より頭の方が、極性的に、磁力は強いのであるから、
頭のてっぺんでは、磁力的回転力が強いから、
ギアは先端の方に移動している、
つまり、3'末端のHOXがアクティブになっていて、他はスリープ、
という状態になっている。
そうすると、目の位置では、遺伝子の全てが目を作ろうとする、という理屈になる。
分かるかな。
この理屈を上手く使えばips細胞だって磁気的に作れるかも知れないんだぞ。
まぁ、それはいいんだが。
とにかく今日言いたかったのは、HOX遺伝子における太陽系と銀河系の関係でした。
どうだろうか。驚きをもって理解出来たであろうか。
それともカリキュラムもだんだんきつくなってきたので、もうぼーっとしているか。

あと、ヨーコ君に起こったことをちょっと言っておくと、
シビレ湖にきて、環境も変わったので、磁力がHOX遺伝子に与える影響も変わって、
それで、もともとあった染色体異常がアクティブになった、
という事も考えられるかも知れない。
いや、そんなことはないよ。
突然変異というのは遺伝子レベルで突然な訳で、
発現の段階で突然に起こるものでもないので、
別にシビレ湖に来たからどうこうなるってものじゃなくて、
元からあった染色体異常が、徐々に発現していった、ということじゃないのか。
そんな事は最初から分かっていたのに、なんだか、
ヨーコ君に関係あるかのように言って出汁にしちゃった感じだが。

今日はこんなところです。
それでは明日はとうとう最終日ですが、
残りの皆さんは怪我などないように注意してカリキュラムを終わらせて下さい。
なお、最終回の放送は、午後2時から開始しますので、
バッテリーを交換して待っていて下さい。以上。




#1058/1158 ●連載
★タイトル (sab     )  16/02/12  14:13  (238)
◆シビレ湖殺人事件 第5章・ミキー1
★内容
とうとうヒヨリと二人になってしまった。
翌朝も、私らはキャンプファイヤー場の焚き火で、私は魚を焼いて、
ヒヨリは芋を棒に刺して突っ込んでいた、茹でるんじゃなくて。
ヒヨリの痩せが酷い。顔は煤けていて皮脂でてかっていて、髪はヤマンバ、
シャツもパンツも薄汚れていて、丸で焼け跡の戦災孤児みたいな。
焚き火を見ていると、皮脂で顔が光る。
魚が焼けたので、私は魚の棒を口にもっていった。
ヒヨリが、皮脂でこわばった顔をこっちに向けた。「その魚、腐ってんじゃない? 
昨日のでしょ」
えっ、と思って自分で嗅いでみる。
「最後は自分の鼻を信じるんだ。まるで原始人」
「何言ってんの。子供だって…赤ちゃんがミルクを飲まないから大人が味見をしたら
洗剤が入っていて死んじゃったとかあるんだから。つーか、ヒヨリは何を信じるのよ」
「賞味期限とか」
賞味期限か。そういえば、ポテチの裏の食品成分一覧を見ていた。
「つーか、そんなんで、と畜、行けるの?」と私は聞いた。
「うわー」芋の棒を前にだらーんと垂らして、うな垂れた。
「それって本当に必要な事なの? もう2名残ったんだからそれでいいじゃない」
「MAX2名って事で、定員2名って事じゃないんだよ。
カリキュラムはカリキュラムでやらないと。ナベサダも言っていたじゃない」
「何か言っていたっけ?」
「最後だから頑張れとか」
ヒヨリは芋の皮を剥くと、塩をふってぼそぼそと食べた。
私は、焼きあがったばかりのジューシーな一夜干しの淡水魚に、がぶりと噛み付いた。
ぷちぷちと脂が乗っていて美味しい。

飯食い終わって、ロッジに戻るとベランダに道具を並べる。
ナイフ、と畜ピストル、薬きょうの入ったビニール袋、地図、肉を包むシーツ。
ヒヨリは銃に見入って「これで撃つの? こんなの事高校生にやらせて
罪にならないの?」と言った。
「肉なんて普通にスーパーで売っているんだから、
と畜をやっても普通なんじゃない?」
「普通じゃないよ。つーか、うちの近所に牛がいるんだけれども、
すごいでかい。軽自動車よりでかいんだよぉ。
そんなのこんなんじゃあ」とと畜ピストンを指差した。
「試しに、一発撃ってみよう」言うと私は、銃を持ち上げた。
電動工具並に重たくて両手じゃないと持ち上がらない。
がくんとテラスの上に下ろす。
薬きょうの袋には6個入っていた。一個取り出す。
座薬ぐらいの大きさで、首にぶら下げるロケットみたいな感じ。
銃口をテラスに付けたまま斜めに構えると、撃鉄を上げて、薬きょうをこめた。
引き金に指を突っ込んだ。
「じゃあ、撃つからね」と言うと、私は顔をそらせた。
「撃つぞー」
引き金を引く。
カチャっと音がして、パーンとクラッカーの様な乾いた音がして、火薬の煙が立った。
もわーん。
銃をどけてみると、テラスにすっぽりと穴が開いていた。
「すごい。これだったら象でも逝ってしまうかもね」
「ムリムリ」とヒヨリは激しく頭を振った。「無理ぃ」
「じゃあ、どうする? 行かない?」
「行くには行くけどぉ」
「じゃあ、とりあえずヒヨリは道案内をして。地図とシーツを持ってって」
そして自分は、左のポケットに薬きょうを、ナイフを尻のポケットに挿して、
と畜銃を抱えた。

湖畔の小道を、私らは時計回りに進んだ。
もう見慣れた感じの風景の中、ただ じゃりじゃりと足音をたてて歩く。
地図を見ながらヒヨリは左腕を反らせた。「10時のところで左に曲がる」
それから森の方を見て、「こんなところに牛がいるのかなぁ」と言った。
「もし居れば、やっぱり学校が操作しているんだなぁ、という感じはするじゃない」
「そんな大掛かりなことをする? あんなチープな都立高が」と言いつつ、
水面を見やる。「あのイケスなんてもっと不思議だよ。あんなこと、
あの学校がする?」そして湖の反対側の森を見て「もしかすると、
あっちこっちにカメラが仕掛けてあって、ネットで公開しているのかも知れない。
…あの森って、巨大な狸が狸寝入りをしているようだよね。そういう感じがしない? 
本当は私らの動きを薄目を開けて見ているのに、寝たふりをしている」

やがて小道は、せり出した森の傘の下に入って行った。
しばらく歩いていくと、裸の木が門構えの様に組んである箇所に差し掛かった。
「ここだ」と言って、ヒヨリが立ち止まった。「だって地図に書いてあるもの」
「へー、こんなところ?」言うと暖簾でも潜るように、潜って行った。
そのまま私が先頭になって歩いた。
細い道がずっと坂道になって続いていた。
右手に雑木林があって、左手は沢みたいなV字の溝がずーっと続いているのだが、
草木が生い茂っていて底は見えない。
向こう側は記号の√みたいな切り立った崖になっている。
そこを、重いと畜銃を担いで歩いているのだが、
サンダル履きだから足元が危なっかしい。落っこちたら二次災害だ。
「なんか、こういうところを歩いていると、
動物の死体とか転がっていてもなんとも思わないかも」後ろでヒヨリが言った。
「なにを突然」
「いや、道路に犬の死体とかあるとキモいんだけれども、
こういうところだと平気だなぁーって。
家の近くの牛も、道路のそばにいるからグロいんだよ」
「本当にぃ? びびっているからそんなこと言ってんじゃないの?」
「本当にそう思うんだよ」
とか言っているうちに分岐点が見えてきた。
近くに行くと「畜産場は右折」という看板が立っている。
「やっぱここでいいんだ」と言って一旦止まる。
ぐーっと身をよじって、「さぁ どうする?」とヒヨリに言った。
「もちろん行くよ。今だったら平気そうな気がするから」
「じゃあ、行こうか」言って私は、顎をクイッとしゃくって促した。
脇道に入ると木々の枝から蔦が垂れ下がっていて、
足元は枯れたオギが生い茂っている。 
そこを、ばきばきと進んでいくと…。
生い茂った木々の影に、屋根と柱だけのあずま屋みたいなのがぼんやりと見えてきた。
「あれじゃない?」
更に進むと小さな牛がつながれているのが見えた。
家畜のにおいが鼻についた。
「くせー」とヒヨリ。
近付いて行ってみると、あれはヤギか。いや、あれは…。
「羊だよ」
もはや我々は小屋の柵の前に居た。
1メートル余りの薄汚れた小さな羊だった。
「きったねえ羊」とヒヨリは言った。
柵から中を覗き込むと、ビクッと動こうとするが、左右に繋がれているので動けない。
飼い葉桶や藁があって、糞便は垂れ流しであった。
「ずーっと繋がれっぱなしだったのかなあ」
「可哀想だなあ」とヒヨリ。
「でも、やっちゃわないとね」
私は、ちょっと後退して、草むらの上に、と畜銃と薬きょうの袋とナイフ並べた。
何気、あたりを見回すと、あずま屋の向こうに崖があって、
その向こうは湖らしいのだが、その崖っぷちに、ヨイトマケみたいな滑車があって、
長いロープがとぐろを巻いていた。
「あそこ、見て」
「あそこで殺るのかな」
「違うよ。ここで失神させて、あそこに吊るして血を抜くんだよ。
そして吊るしたまま、解体するんだよ。アンコウみたいに」
羊が、暴れようとしてあずま屋ががくっと揺れた。
ヒヨリがビクッとしてそっちを見た。
私はしゃがみ込むと、ナイフとと畜銃を交互に指して言った。
「それじゃあ、ヒヨリ、どっちにする?」
「え?」
「銃で撃って失神させる係りと、腹を裂いたりする係りとどっちがいい?」
えっ、と一応驚いてから、じーっと道具を見て考える。
ヒヨリは草むらの上にシーツを置くと、と銃に手を伸ばした。
重たそうに、肘をくの字にして引っ張り上げると胸に抱える。
「そう行くかあ。じゃあ 一発練習してみよう」
薬きょうの袋から一発出すとヒヨリに渡した。
「え、どうやんの?」と不器用な感じで、撃鉄のあたりをいじる。
「ほら、こうやって」と、ヒヨリがいじっているところに手を出す。
しかし、「いいよ」と言って肩で牽制してきた。
しかし、ガタガタと震えている。あれは武者震いか。
とにかく、自分で撃鉄を上げて薬室に装填した。
「そこの蓋は普通に閉めればいいんだよ」
「分かっているよ。見ていたから」
薬室の蓋を閉めると、銃を抱えて立ち上がった。
そして、あたりを見回して、朽ちた木の根を見付けると、
そこに行ってしゃがみ込んだ。
やおら木の根に銃口を当てる。
「撃つよ」
言うと顔をそらし気味にして、ウーっと顔を歪めた。
引き金をひく。
ぱーんと音がして、木の根が砕け散った。
羊が暴れて、あずま屋が揺れる音がした。
木の根からはむわーんと煙がたった。

ヒヨリ、ふっふーっと煙を吹くと、熱いかどうか確かめながら、薬室を開けて、
銃をひっくり返して薬きょうを捨てる。
「もう一発頂戴」
箱から出して渡してやる。
今度は結構手際よく装填した。
「じゃあ、本番 行くよー」言うと、銃を抱えて立ち上がった。
正面から屋根の下に入ると、羊の前に立つ。
羊は気配を察して逃げようとするが、縄につながれて逃げられない。
ヒヨリはにじり寄ると、羊の鼻の上に銃口を乗っけた。
羊は後ずさろうとするが、縄がピーンと張って動けない。
ヒヨリは顔をそらし気味にすると、またまたウーっと顔をしかめた。
そして、ついに、引き金を、引いたー。
パーンという音が湖の方にこだまして、返り血がヒヨリの頬に数筋、顔射された。
羊はがくんと膝から崩れて、スローモーションで倒れて行った。
やりやがった、と私は思った。
さすがに今の一発で、ヒヨリは、呆然自失で突っ立っている。
私は駆け寄っていくと、銃を握ったまま硬直している手を開かせて、
銃を奪うとそこらへんに放り投げた。
「よし、今度はあそこに吊るすから、ヒヨリ、後ろ足を持って」と言っても呆然自失。
「おいおい、目を覚ませ」と頬の血を指の腹で拭ってやる。
その血をねじりつけるところがないので、足元の羊で拭いたら、暖かくてへこんだ。
生き物だ。早くしないと目を覚ましてしまう。
「ほら、ヒヨリ、目を覚ませ」と、頬とひたひたと打つ。
ヒヨリは、はっとして目を覚ました。
「これ 早く運ばないと。私がこっちを持つから、あんた後ろ」
「オッケーオッケー」と小屋の奥に入って行くと、後ろ足を持った。
「そんじゃ、いっせいのせいで。いっせーのーせー」で持ち上げる。
羊は、肩から首から脱力しているので、ちぎれるんじゃないかと思えた。
えっちらおっちら運び出すと、一斗缶でも運んでいる様に内臓が揺れて、
口から中身が溢れてきそう。
額からは血がぼたぼた流れている。
ヨイトマケのところまで運んでくると、ばさっとそこに下ろす。
即、私はロープのところにいって引っ張ってくると、
ヨイトマケのてっぺんにぶさらがっている滑車を見て、
あそこに通してから脚につなぐんだな、と了解して、
ロープを滑車に通すと、後ろ足にぐるぐる巻きにして片結びで結んだ。
そして反対側に行ってロープを引っ張ると、羊がぐねーっと引っ張り上げられる。
「私が引っ張り上げるから、あんた、そこのところにつないで」と言って、
体重をあずけて、ロープを引っ張り上げる。
背後で、ヒヨリがヨイトマケの脚にロープを固定した。
手を離すと、逆さまに万歳をした状態で、羊は軽く揺れている。
丸まって生きていたのに、毛の無い腹を晒していて、
しかもメスで おっぱいが並んでいる。
口は半開きで泡でぶくぶくしている。
早くしないと息を吹き返す。
Gパンのポケットからナイフを取り出すと、どこだ、と、
アホみたいに自分の頚動脈を触ってみる。ここらへんかあ。
ぶら下がっている羊と見比べた。
しゃがみ込むと、迷わず、羊の首筋に、だいたいここらへんかと検討をつけて、
ナイフを引いた。
しかし、毛皮が垂れ下がってきていて、刃が立たない。
数回切りつけてみるが、丸で、絨毯でも切っているような切れ味の悪さだ。
羊が揺れると、息をしているような温もりが立ち上ってくる。
もたもたしていたら息を吹き返してしまう。
ナイフを逆手に持ち替えると、耳の後ろに刃を立てて、そのまま数センチ差し込んだ。
そして、ぎこぎこやりながら手前に切り進んできた。
途中で頚動脈を切ったらしく、ざーっと、ペットでも逆さまにしたみたいに
血が流れ出してきた。血は地面で泡立つと、そのまま崖の方に流れて行った。
反対側も同じ要領で切り裂く。

死んでしまえば最早物。割と落ち着いて、腹に取り掛かる。
毛の生えていない腹の、陰部に近いあたりに、ブスリとナイフを突き刺して、
ぎこぎこやりながら下の方に切り進む。
もくもくと小腸が湧き出してきて、生ぬるい温もりが顔に当たった。
今度は脚の付け根からへその方にむかって、逆Y字切開する。
毛皮から内臓が出ているのが妙な感じだったが、
この内臓を本体から切り離さなければならない。
ふと気になって背後のヒヨリを見ると、怯えるでもなく、
膝に手を突いて中腰になって覗き込んでいる。
「ねぇ、そんなに丁寧に解体しないでも いいんじゃない? 
食うところだけ切り取っていけば」
「えっ」
「だって、別に肉屋に卸す訳じゃないんでしょ」
「そりゃあ、そうだけど」
「どこを食いたいのよ」
「うーん。このもも肉んところ」
「じゃあそこだけ切れば」
そっかあ。そうだよな。
もしかして自分も自然の中でテンションが上がっちゃって
解体ショーをやっていたのかも知れない。
それって、野外で、燻製を作るみたいな、アウトドアオタクの興奮だよなぁー、
と、ナイフを握りながらも、一気にトーンダウンしていった。
とりあえず、私は、吊るしたまま、片脚の太ももの皮を剥いた。
それから、その下にシーツを敷いて、太ももがくるようにロープを緩めた。
シーツの上に横たわった太ももの付け根の部分を、
まきでも割るみたいにナイフを数回振り下ろして粉砕し、本体と分離した。
その部分だけをシーツに包む。
「残った羊は崖下にでも落とそうか」
「いいよいいよ、このままで」とヒヨリが言うので、
そのまま、お手てとお手てを合わせて、なむなむして、ミッションコンプリート。




#1059/1158 ●連載    *** コメント #1058 ***
★タイトル (sab     )  16/02/12  14:13  (129)
◆シビレ湖殺人事件 第5章・ミキー2
★内容
帰り道、私らはなんだが上機嫌だった。
V溝の渓谷の脇の道を、意気揚々と引き上げていった。
ヒヨリが前を歩いて、私は後ろから肉をかついで行った。
ヒヨリが「♪肉を担いでいこよっ」と妙な替え歌を歌う。
「ほらほら、気をつけて。ここらへんは滑りやすいんだから」
「了解、了解」
言いつつも、下りだから、どんどんを足を出して行った。
私も、鼻緒をぎゅっと掴んで足を出す。
ところが、湖畔の道に出て、左に湖、右に森を見ながら歩いていたら、
突然 左の下っ腹が痛くなってきた。
「いててててて」と私は歩調を緩めた。
「どうした?」ヒヨリが振り返る。
「下っ腹が痛い、ちょっとこれ持ってて」と肉を渡す。
「いてててて」と腹を押さえて私はうずくまった。
マジ痛い。
しかも、キューっと腹が痛んだ後に、歯磨きのチューブでもひねるみたいに、
中身が直腸から肛門の方に迫ってくるのがわかる。
「やばい、漏れそうだ」
「森ん中でやってくれば?」
「そうする」
私は肛門を締めたまま産まれたばかりのキリンみたいな格好で立ち上がると、
脇腹を押さえつつ内股で森の中へ入って行った。
一歩森へ入るとひんやりしていて、薄暗くて、杉だかの幹があちこちに伸びていて、
地面は草で覆われていた。
どっか適当なところはないだろうか、と進んでいく。
ウンコが後ろに流れていくちょうどいい斜面はないだろうか。
しかし、もはや腸の蠕動運動が痙攣的に押し出そうとしているのを
肛門で止めているので、逆流してごろごろいっている。
ああ、もうあそこでいいや、私は森に入って6、7メートルぐらいのところで
パンツを下ろすと、尻を向こうに向けてしゃがみ込んだ。
ふと、上を見ると、ヒヨリが肩に肉を担いで、もう片方の手を木の幹について、
見下ろしていた。
「なに、見てんのよー」
「誰も来ないか見張っていてやったんだよ」
「誰も来るわけないじゃない。向こう行ってろ」
しかしヒヨリは一瞥した後くるっと向こうを向いただけでその場を離れない。
チッと舌を鳴らした、が、さっきより激しい痙攣がきてもう我慢出来ない。
私は肛門を緩めた。
最初、ぶりぶりっと音がしたものの、後はどぼどぼーーーっと
シチュー鍋をひっくり返したみたいに大量の下痢が流れ出る。
ウンコは下の方に流れていった。
全部出し切ると、お尻から太ももにかけて、じーんとして、
多少吐き気もしたが、妙な安心感を得る。
はぁー、助かった。
と、上を見上げるとヒヨリが見ている。
「魚のニオイがするよ」と彼女は言った。
「量もハンパないね。私なんてコーラックを飲んだってそうは行かない」
恥ずかしいとは感じなかった。
そんな事より拭くものが…。
「ティッシュ、持っていない?」
「そんなもの持っている訳ないじゃん。そのままカニ歩きをしていって、湖で洗えば」
「無理だよ、そんなの」
ヒヨリは肉を担いだまま身をよじってGパンのポッケをさぐると、
「これだったらあるよ」
と、白い紙を取り出して片手で丸めると投げてよこした。
紙は右前方に着地。私はカニ歩きで移動していって、それを拾う 
広げてみると「一学期生物Tの補習に関するお知らせ」?? 
とにかくそれを拝むように揉んで柔らかくすると、そっと拭く。
じーっと見ていたヒヨリが一言。
「斉木に見せてやりたかったよ」

全てが終わって、この世の天国ー、みたいに小道に戻ると、湖面側にたって、
大きく息を吸った。
肉を担いでいるヒヨリがゆっくりと私の方に振り返った、その瞬間だった、
幹から伸びていた小枝の先っぽが彼女の上腕に引っかかって、
塗りたての壁をクギで引っ掻くみたいに、ぐにゃっと切り裂いた。
ところが、いてーっ、となる筈が、ヒヨリは肉を担いだまま、ボーッと見ている。
どくどくと血が出てくる。
「ああー、とりあえず、肉、下ろしな」と、肉を下ろさせると、
傷ついた腕を上げさせて、もう片方の手で脇の下あたりを握らせて止血させた。
「ちょっと待ってな」と言って、道の脇の木のところに走って行って、
絡まっていた蔦をナイフで切り取ってくる。
そして、上腕を縛ってやる。
「ランボーみたいになっちゃったけどね、
これだけ深く切れていたら縛っておかないと」
「でも、全然痛くないよ」とヒヨリ。

ところが…そこからは、私が肉を担いで歩いて行ったのだが…、
ロッジのサイロみたいな屋根が遠くに見えてきた頃、
私らは突然変調をきたした。
まず、私が、さっきの下痢ぴーが、急に恥ずかしくなってきた。
「さっき、本当に誰も見ていなかったよね」突然私は聞いた。
「は? 見ている訳ないじゃん。私以外は」
「まさか写メしていないよね」
「してないよ」
「もしかして 森のあちこちに監視カメラとか仕掛けてあって、盗撮されていた、
なんてことはないよねえ」
「なに、弱気になってんだよ」とヒヨリは笑っていた。
しかし、今度はヒヨリが、「なんか、だんだん傷が痛くなってきた」と言い出した。
「えー」
「痛い。ずきんずきんする」
そして、じーっと、眉間に皺を寄せて、私が担いでいる肉を見ていた。
そうしたら、うっ、うっ、としゃっくりみたいに何かこみ上げて
くるみたいになって、口を押さえて道端にしゃがみ込むと、吐いた。
「大丈夫?」そばに行って背中をさすってやる。
「来ないでー。その肉がキモいんだよぉ。ヒヅメも付いているし」
「えー、今更」

薄くスライスした羊の肉を串刺しにしたものを、
パチパチっと爆ぜる焚き火の周りに、刺す。
ヒヨリは相変わらず芋を棒に刺して焼いている。
肉が焼けてくると、砂糖、醤油をつけて炙った。
そして焼きあがったものを一口食べる。
「うんめー、ジンギスカンじゃない」
「ミキはマッチョだよ」泥パックみたいな顔をこっちに向ける。
「さっきまで生きていたのに」
「自分だって一緒にやった癖に」
「それはそうだけど」脱力して両手をだらーんとさせた。芋が地面に触れる。
「なんで森の中だとグロいのが平気なんだろう。怪我しても痛くないし」
「私もなんで森の中だとああいうことが平気なんだろう」
私は、今では“ウンコ”というのもはばかられるのだった。
「何でだろう…」
と呟きあって、二人して焚き火を見詰めていた。

ピピピッっとヒヨリの時計が鳴った
「放送だ」といってスイッチを押さえる。「今日で最後だから、
何があっても帰れるんだよね」
「そうだねー」
「私は下山したら、モスバーガーとかミスドを大量に食うよ」
「モスとか食べられるの?」
「エビカツとかかきあげバーガーとか和風テーストのがあるんだよ」
「へー。私はとりあえずマックとケンタに行くけどね」
言うと私は羊の肉を焚き火に放り込んだ。
二人共、立ち上がって尻の泥を叩く。
そして私らはロッジに向かった。

食堂に行くと、液晶テレビのバッテリーを交換して、
丸椅子に座って放送の開始を待った。
画面が青白く光って、ナベサダが現れた。




#1060/1158 ●連載    *** コメント #1059 ***
★タイトル (sab     )  16/02/12  14:14  (131)
◆シビレ湖殺人事件 第5章・ミキー3
★内容
《はい、みなさん、おつかれー。
今日も疲れたよね。
でもまあ今日で終わりだから。
授業の方も、最後っつーことで、もう復習とかやらないで、
いきなり今日起こったことについて考えたいと思います。
と言っても最後には太陽系だ銀河系だに関わる話になっていくんだけれども。

今日起こったことと言うのは、あんた達が、と畜をしたり、野グソをしたり、
怪我をしたり。
なんでそういうことが、森の中では割と平気か、って話だよね。
確かにウンコに関していえば、登山の途中でやっても割と平気だが、
都会のエレベーターの中でやられた日にゃあ、というのはあるよね。
これは一体どういう違いなんだろう。

ただ、その前に、そもそも何故ウンコは臭いのか、
ということから考えなくちゃならないでしょう。
脳はどうしてウンコを臭いと思うのか。
逆を言うと、脳は、香水のニオイはいいニオイと思うよねぇ。
これは、脳にとってはどういうことなのか。
それを分かりやすくする為に、ちょっと、音に関して言うと、
脳は、自然の中の風の音とか、そういうのはあんまり綺麗だとは思わないよね。
だけれども、笛を通してやれば綺麗だなあ、と感じる。
これは何故かというと、ちゃんとオシログラフで目視してみれば分かるんだけれども、
笛というのはちゃんと綺麗な波形が出ているんだよね。
風というのはぐじゃぐじゃで。
だから、とりあえず、波形が綺麗だと、脳も綺麗だと感じる。
メジャーコードは明るく感じるが、マイナーコードは暗く感じるというのも
同じかもしれないね。
で、そういうのは音に限らず、人間の美醜だってそうであって、
人の顔なんていうのは光が反射しているのだから、光も波形だから、
見た瞬間、左右対称だとか、色が白いだとか、そうすると綺麗だと感じる。
という訳で、ニオイとて同じであって、
香水がいいニオイと感じるのは、オシログラフ的に波形が綺麗だからで、
ウンコが臭いと感じるのは、あらゆるものが混じっていて、
波形がぐじゃぐじゃだからなんだね。
しかーし、そうだったのか、脳にはそういう癖があったのか、
と、ここで納得して終わってしまったらダメなんだよ。
なんで脳にはそういう癖があるのかを、ガチで考えないと。
でも、とりあえずここではそれは保留しておく。

その前に、今言った、風の音と笛の音、とか、ウンコのニオイと香水のニオイ、とか、
そいうのの違いって、何かを思い出さない? 
そう、私が前々から繰り返していた、過剰と去勢の違いだね。
風の音は過剰であり、笛の音は去勢されたもの。
植物に関していえば、根とか泥とかは過剰であって、
花のニオイは去勢されたものという感じだね。
そういう、風とか花とか、自然側というか客体側はそういう感じなんだけれども、
人間側、主体側はどうなのか、というと、これはもう前から言っているけれども、
そもそもの始まり、それが遺伝子かどうか分からないけれども、
何か有機体の発生の様なものは、泥の川に太陽の光が差してきて、葉緑素とか、
ゾウリムシとか、そういう感じで、過剰が発生した、という感じだよね。
したといえる
しかし、繰り返しになるが、こういう太陽系的な過剰に対して、
遺伝子のコピーだとか、ゴルジ体の作用だとか、
そういう銀河系的な磁気が宿って去勢する、というのがあるとも言ったよね。
じゃあ、今度ここで、脳というのが出てきた。
脳というのは人間の臓器だから、生成されたものだよね。つまり過剰なものだよね。
だったら何でウンコを臭いと感じ、香水をいいニオイと感じるのか。
脳が過剰なものなら、やはり過剰なウンコをいいニオイと感じてもいいじゃないか。
しかし、前にも言ったが、骨髄や胸腺も生成物なのに、
銀河系的な作用をするんだった。
そういえば、DNAポリメラーゼも、銀河系的な働きをするんだった。
そうすると、DNAポリメラーゼの働きをイメージしてみると、
さーっと、長いジッパーが閉まるみたいに、さーっと行くのが
磁気的な感じがするよね。
途中でがくがくしているのは、もう、がん細胞が出来ている訳だから、
実際にはこっちの方が過剰なのだが、これはぐじゃぐじゃした感じで、
気持ちいい感じじゃないよね。
磁気的に、さーっと行った方が気持ちいいよね。
そうすると、もしかしたら脳だって、ニューロンにイオンが流れるんだから、
さーっと流れていくのが気持ちいいんじゃないのか。
どういうのが、さーっと流れていくかというと、
オシログラフ的にシンメトリーな香水とかだと、さーっと流れて行くんだね。
ウンコだと、ガクガクあちこちに響いて、くっせー、となるんじゃないか。

ここに至り、さっき保留していた問題の答えが出たね。
脳自体は確かに生成物ではあるのだけれども、
作用としては銀河系の磁気が宿って行われるんだから、だから、
イオンがさーっと流れていくような動きを快と感じる訳で、
それはオシログラフ的にはどういうのかというと、
幾何学的なシンメトリーな波形だから、そういうのを綺麗と感じるのだ、と。

これこれは大胆過ぎる意見に聞こえる?

さて、ここで、脳がシンメトリーが好きなのは、銀河系の都合、
という結論が出たのだけれども、そうすると、
人間は実に多くの錯覚を起こしているというのに気付く。
例えば、ミキ君の顔はシンメトリーで綺麗だ、としても、
…前々回か、チラ見だけしかしないと、イオンが少量しか流れないので、
顔細胞の輪郭のニューロンだけにイオンが走って綺麗に見えるのだ、
とか言ったと思うが…、
ミキ君の顔が綺麗だといっても、
これは、太陽の都合でシンメトリーに生成したんだよね。
しかるに、ミキ君の顔が綺麗だ、と思っているのは、
見ている人の脳に、磁気の都合で、イオンがさーっと流れるからそう感じるんだよね。
ここに錯覚がある。
こういうのは枚挙にいとまがなく、
例えば、蝶が左右対称なのは太陽の都合で、
飛行機が左右対称なのは、力学的な、つまりは銀河系的な都合なんだが、
人間の脳は、両方とも、磁気の都合で、イオンがさーっと流れるから、
美しいと思っているんだね。
或いは、どこかの街路樹、例えば、神宮絵画館前の銀杏が綺麗だと感じるのは、
太陽の都合で左右対象だからだが、
絵画館が左右対称なのは、建築上の力学の問題でしょう。
でも人間は、両方とも、イオンがさーっと流れるから、綺麗と思っている。
そういう感じで、あちこちで錯覚を起こしているんだね。

さて、最後になったが、いよいよ、
どうして森の中だとウンコその他のグロが平気なのか、
という問題にも答えが出そうだ。
つまり、森というのはそもそも生成的な場所だから、
脳内イオンがそんなに、さーっと流れようとは思っていないから、
だからウンコ系その他のグロと相性がいいのではないか、と言える。
都会のエレベーターの中では、
脳内イオンがさーっと流れたいと思っているから、
屁でもこいたら大変なことになる、とまあそういうことなんだね。

以上が今日言いたかったことなんだが、どうだろうか。
面白いと感じただろうか。ちんぷんかんぷんか。
ただ、今日喋っていて思ったことは、
今日言ったのは、脳は物質としては生成的なものであるが
中身的には磁気的なもだ、ということだったが、
これは、一番最初に、DNAポリメラーゼは中身的には磁気的なものだ、
と言ったのと同じことで、
ああ、自分の言ってきたことは一貫していたなぁ、と感じるのであります。
長々と喋ってきたが、私は全く軸がぶれなかった。

さぁ、そろそろ、最終回も終わりに近付いてきました。
短い様で長い日数でしたが、ここまでご苦労様でした。
それではみなさん、そろそろお別れの時間になりました。
それではみなさん、ごきげんよう。さようなら。》




#1061/1158 ●連載    *** コメント #1060 ***
★タイトル (sab     )  16/02/12  14:15  (171)
◆シビレ湖殺人事件 第6章・ヒヨリ再びー1
★内容
「ちょっと待ってーーーーー」
すーっと黒くなって行くディスプレイの淵に掴みかかると私は言った。
「もうカリキュラムは終わっているし、残っているのも2名なんですけど」
「まぁまぁ、落ち着きなさいよ」
振り返ると、薄暗い部屋にミキの白い顔がぼんやりと浮かんでいた。
「何言ってんのよぉ、今の放送が最終回なんでしょう。どうするのよぉ」
「まぁまぁ、ちょっと考えよう」
と呑気に言うと、テラスの方へ出て行った。

私もテラスに出て行くと、手すりのところまで進んで、何気、あたりを見回した。
もくもくとした古墳の様な森が円状にあって、その真ん中に湖がある。
空は、まん丸で、プラネタリウムみたいだ。
「なんか、空がガラスのボウルを被せたみたい」
とミキが言った。
「ガラスの外から神様が見ていそう。そういうギリシャ神話ってなかった?」
そしてミキは、「おーい。ここはどこなんだー」と叫んだ。
こだまはしなかった。
森は、今でこそブロッコリーみたいにもこもこしているけれども、
元はピナツボ火山みたいなカルデラ湖だったんだと思う。
それが長い年月をかけて森になった。湖水も雨水が溜まったのかも知れない。
そういえばここにくる時、火山灰が降った様な山道を登ってきたなぁ。
あの後すぐに斉木に会ったのだが、その前は一人で…、つーか、駅でも一人だった。
電車の中でも一人だった。
「ねえ、ここにくるまで、誰かいた?」と私は聞いた。
「え?」
「電車の中とかで誰かと会った?」
「私は電車の中でみんなと合流しちゃったからなあ」
「その前は?」
「その前となると、そこまでは覚えていない、つーか、
あんまり一般人は居なかったという気がする。
いや、南多摩の生徒以外は居なかった」
「それも妙だよね」

それからここにきて、最初の晩に、牛島が裏山の崖に転落して死んだ、
と私らは復習を始めた。
牛島は、XYYシンドロームで、
体型は半魚人みたいな感じで、ニキビ面で、性格は切れやすい、
というんで除草された。
翌日は、春田が死んだ。これはヌーナン、XXYYで、
見た感じはキャベツ畑人形みたいで、眉毛が無くて、性格的には場当たり的。
それから、斉木の首吊り自殺。これは、クラインフェルター、XXYで、
体格は貧弱で、おっぱいが出ている。
そしてヨーコの死。ターナー症候群で、X遺伝子が一個しかない。
見た感じはモンチッチで、性格的にはやっぱり場当たり的。
「という事で、男子が、半魚人、キャベツ畑、クラインフェルター、
それに対応する女子が、ミキ、ヨーコ、私…」
「ちょっとぉ。私が女半魚人だっていうの? 私にも死ねと?」
「そんなこと言っていないけど」

私はミキをスルーして、食堂に戻ると丸椅子に座った。
何気、ディスプレイを見て、思った、あの斉木の染色体異常の話と、
ナベサダのクーロン選択説とかいうのはどっかで絡むんじゃないか、と。
斉木の説を大まかに分けると2つに大別出来る気がする。
半魚人タイプXYYと、キャベツ畑人形タイプXXYYだ。
半魚人タイプは、骨っぽくて性格が荒い。
キャベツ畑タイプは、浮腫んでいて場当たり的。
これにナベサダのクーロン選択説を重ねると、こうなる、
半魚人タイプは、骨っぽいから、磁気が宿って、
銀河系的になって、厳格で荒っぽい感じになる、そして、
キャベツ畑タイプは、受容体がないから、ぶよぶよしていて、それは太陽系的で、
テキトーで優しい感じになる。
そうすると、斉木的に、染色体異常で除草されたという奴は、
同時に、クーロン選択説的にも、極端に銀河系的、とか、極端に太陽系的とかで、
除草されてもしょうがなかったんじゃないか。
自分もどっちかというと骨ばった感じだ。
だから、磁気が宿っていて、それで性格的にも几帳面で、
食品成分表が気になったりするのかも知れない。
でも自分には染色体異常がないから、お肌もすべすべだ。
クーロン選択説的にも、どっちかというと銀河系的だけれども、
極端にって程じゃなかったと思う。
だから、除草されなかったんだ。
じゃあミキはどうだろう。
私は考える人のポーズで考え事をしていたのだが、
指の隙間からじーっとミキを見た。  
明りさきに立つ彼女は、すごいスタイルもいいし、肌も綺麗だ。
でも、すげーマッチョで、デビルマンレディーみたいな感じもする。
性格も結構自己チューだし。
あれ、やっぱ女半魚人なんじゃないか。
染色体異常的にもXXXだし、
クーロン選択説的にも極端な銀河系なんじゃないか。
つまり、除草されるべきなんじゃないか。
もしかして、学校当局は最後の最後で、
ミキを除草して私だけを選ぼうとしているんじゃないのか。
私はディスプレイを見た。臨時放送でも始まるんじゃないかと思って。
でも無理だ。もうバッテリーも無いし。
つーか、4日もカリキュラムをやらされて、放置されてんだから、
学校は私らをここに閉じ込める積りなんじゃないか。
逃げ道は全部塞がれているんだから。
むしろ、逃げた方がいいんじゃないか。
逃げた方がいいな。
私はガバッと丸椅子から立ち上がった。
「逃げようか」と呟いた。
その時だった。なんか、ボーリングの玉が転がってくるような、
ゴーーーーっという音がしてきた。
なんだろう。
ゴォォォォォーという音はだんだん近付いてきて、揺れもともなって、
部屋がミシミシいいだした。
ミシミシ、ミシミシ。
来た、来た、キターーー!
「地震だーっ」とテラスのミキと顔を見合わす。
突然、がくーんと直下型の揺れが来た。
ぽーんとディスプレイがすっ飛んだ。
ひぇー。
それから、横揺れがきて、椅子やテーブルがスケボーにでも乗っているみたいに
ギーギー揺れ出した。
天井も壁も床もガタガタいっている。
「潰れるぅ」
「こっちに来なー」
ミキがテラスから手招きした。
ガクガクしながら出て行った。
湖方向を見ると、木々は、怪獣が首を揺するようにわっさわっさと揺れていて、
湖面は、雨でも降っているみたいに、ざわめき立っていた。
「でかい、でかい」
「落ち着いて」
「落ち着いているよー」
更に、どかーんと2度目の直下型の揺れが来た。
「ひぇー」
「あれを見て」ミキが湖方向を指差した。
なんと、湖のエッジがひび割れていて、あちこちから水が流れ出していた。
少なくとも、貝塚付近と木こりをやったところから、水が流れ出している。
「なんなんだあれは。どうなっちゃうんだ」
私らはそのまま抱き合って恐怖をこらえつつ湖方向を見ていた。
しかし、どんな大地震もせいぜい1分で大きな揺れは収まるのであった。
木々の揺れもおさまり、湖面も一応静かになった。
もっともあちこちから湖水は流れ出しているのだが。
私らは体を離して、手すりに突っ伏した。
「こりゃあ天変地異の前触れかもね」とミキ。
「何言ってんの。天変地異そのものだよ。
これはもう、逃げるしかないレベルだよ」
「ええ?」
「だって、あそことあそこは水が流れているし」と貝塚の方と木こりの方を指さした。
一回決壊すると、その水位に達するまで水が流れ続けるんだろうか。
「こっちは山になっているから崩れなかったけれども、
牛島が落っこちたところなんて活断層になっているから、
あそこが割れて水が流れ出したら、もう逃げられないかも知れない。
それに、空の様子も変だよ。あそこの細ーい雲って、地震雲じゃない?」
「えっ。どこ?」
「ほら、あそこの細い雲」
「…」
「それになんかパチパチいっていない」
「えっ」
「なんか空の方からパチパチ、パチパチ、ラジオみたいに聞こえない?」
「さぁ」
「とにかくさぁ、もう、こんな惨憺たるありさまなんだから、もう逃げるっきゃない
よ」
「でも、さっき放送があったばかりなんだから、向こうも知っているんじゃない?」
「待っている気? 待ってらんないよ。地震なんて連発でくるんだから。
次の地震がきて活断層に亀裂が入ったら、
富士山から溶岩が流れ出すみたいにこっちに水が流れてきて、
もうおしまいなんだから」
こんなこと、ごたごた言っている間に、下りちゃった方が早い。
牛島が引っかかった崖さえ越えてしまえば、たかだか数キロなんだから、
走って下りれば1時間もかからないかも。
「私は一人でも逃げる」と私は言った。
「どっから下りるのよ」
「もちろん牛島の引っかかった崖から」
「あんなドロドロした崖から下りるのは無理よ。
それともシーツでもよってロープにする? だとしても、縛り付けておく木もないし」
「私にいい考えがある」と私は言った。「と畜の時に使ったヨイトマケがあるでしょ。
あれには長いロープがついていたから、あれを持ってきて、崖の上に設置して、
まず一人が下りるでしょう。
そして今度は下の人が逆綱引きの要領で上の人を下ろせば」
「えー、そんなの上手く行くかなあ。一人目は下りれたとしても、
二人目はヨイトマケごと崖下に転落するんじゃない?」
「杭でも打って固定しておけばいいんだよ、ヨイトマケの脚を」
「うーん」
「とにかく、じーっとしていれば死ぬんだから。
座して死を待つよりかはイチかバチかでやるっきゃないよ」
「うーん」
「じゃあ、いいよ。私だけ行くから私を下ろしてよ」
「えー、いいよ、私も行くよ」とミキはすがるように言った。




#1062/1158 ●連載    *** コメント #1061 ***
★タイトル (sab     )  16/02/12  14:15  (257)
◆シビレ湖殺人事件 第6章・ヒヨリ再びー2
★内容
「じゃあ とりあえず、これを履き替えてこよう」と私は足のサンダルを
パタパタ鳴らした。「道とか水浸しだと思うし」
「そうだね」
私らは、だーっと2階に行った。
それぞれの部屋に入ると、スニーカーに履き替える。
そして、廊下に出てくる。
「もうここへは戻ってこないと思うけど、荷物は全部捨てていこう」
「分かった」
「水も、湖水が濁っているかも知れないからやめておこう。
一気に走っていけば、下山なんて一時間だし」
「分かった、分かった」

だーっと階段を下りて、ロッジを後にすると、湖畔の小道に出た。
道は雨が降った後みたいに濡れていた。
そこをスタスタ歩く。
近くから湖を見ると、水位が下がっていて、露出した内側が、
魔法瓶の内側みたいにてかっていた。
空の方からは、パチパチという音がしてきていた。
どっかで電柱でも倒れていて放電でもしているのかも知れない。
道が濡れていたので、感電するんじゃないかとびくびくしながら、
小走りに走る。
やがて、裸木が鳥居の様に組んである門が見えてきた。
そこを入って行く。
V字渓谷脇の山道を登って行く。
分岐点に差し掛かると右折して、蔦のアーケードの下をくぐって行った。
崖のてっぺんに出ると、あずま屋は潰れていて、崖っぷちのヨイトマケも倒れていた。
とにかくヨイトマケのところまで行く。
羊の死体は見ないようにした。
崖っぷちから湖方向を見ると、全体が鳥瞰出来た。
森に覆われている部分は分からないが、木こりの所とか、貝塚周辺は、
露出していて、歯の欠けた櫛の様になっていて、そこから水が流れ出していた。
空は、魚眼レンズの様な丸みがあって、巨大な真空管の中に居る様な感じがする。
そして、バチバチ、バチバチ、と電気が流れる音がしている。
「やばいな、はやく逃げよう」と私は言った。
私らは、羊の死骸は見ない様にして、ヨイトマケをたたんだ。
余ったロープはヨイトマケにぐるぐる巻きにした。
私が前、ミキが後ろで、いっせいのせいで持ち上げる。
その時、バチバチという音に混じって、
《しょ、しょ、しょくんは、たいたい、太陽系の》
という言葉が聞こえてきた。
ぎょっとして目を見合わせた。
「なに、今の」
「分かんない」
「どっから聞こえてくるんだろう」
耳を澄ますと、サマーランドの放送みたいに、どっかから流れてくる。
《諸君は、原初の段階では、一重螺旋の遺伝子であった。
ブクブクと泡が立っている泥の川に太陽が差し込んで
有機体が出来るような過剰な存在だった。
諸君は太陽の子の様な過剰なものだった》
「なに、あれ。放送の続き?」とミキ。
「あの放送ってきっと録音したものだったんだよ。そんで、どっかで混線して、
勝手に流れているんだよ」
「どっから」
「どっかにスピーカーがあるんだよ」
天空が巨大なスピーカーになっていて、そこから響いてくる感じがする。
《しょ、しょ、諸君は過剰な存在なのです。過剰な、過剰な、かかかじょうな》
「もういいよ。行こう」
私が前、ミキが後ろで、ヨイトマケを肩に担ぐと、
丸で籠屋の様に二人三脚で走り出した。
V字渓谷の脇の道を下って行って、湖畔の小道に出る。
そこは道が濡れていたので、丸でヨットの帆でも運んでいるみたいになった。
途中でキャンプ場に立ち寄り、杭になりそうな丸太、ナタ、シーツ
を取ってくる。
しかし、とにかく、籠屋の様に えっほえっほ、と、進んでいく。
ロッジ手前を右折すると、そのまま一気に山道に入った。
最初の右カープも上手く曲がった。
そして牛島が転落した崖の手前に到着した。
とりあえずヨイトマケを下ろす。
「ミキ、ちょっと押さえていて」と片方を持ち上げさせると、
私がロープを全部解いた。
足元にロープがトグロを巻いた。
「10メートル以上あるよね」
「長いよね」
「崖が6、7メートルぐらいだから余裕だよね」
私は崖下を見下ろした。
「じゃあセットしよう」
ヨイトマケの脚を広げて、崖の手前に設置した。
私は、ロープをヨイトマケの脚の一本に絡ませてから、てっぺんの滑車に通した。
こうしておけば、下ろす時に、脚の摩擦を利用して下ろしていけるから。
それから私はしゃがみ込んで、手前側の脚の根元に、丸太を一本、
ナタの背中で打ち込んだ。
シーツで縛って固定する。
「よっしゃ。これでいいや」
言うと、私はロープを袈裟懸けに回して、胸の前で縛った。
また、空から、《諸君は太陽系の子だが》と聞こえてきた。
「うるさいな、あの放送は。何時までやってんだよ」

《最初のエネルギーは太陽系であっても、
今度は銀河のエネルギーによる去勢が行われるのである。
ゴルジ体でタンパク質が去勢されて体内に出て行く様に、
或いは、骨髄でリンパ球が去勢されてリンパ節に流れて行く様に、
人間も学校で去勢されて、勉強もそこそこに出来て、
生活態度もちゃんとした人間になって世の中に流れて行くのである》
「じゃあミキ、下ろして」
私をつないだロープはヨイトマケの脚に“の”の字に絡まっていて、
その先をミキが握っている。
「自分の体重だけじゃなくて、あそこの柱の摩擦を利用して、
ずらしていけばいいんだよ」
「分かった…。つーか私が下りる時にはどうやって下ろしていくの?」
「それは、下に雑木があるから、そこに巻きつけて下ろしてやるよ。
ちょっと細いけど」
「って事は、雑木と滑車が支点になるわけ?」
「そうだよ」
「そんなこと、出来るかなあ」
「出来るよ」
「本当に?」
「本当だよ」
言いつつ、雑木の生えている崖下を見下ろした。結構落差がある。
首都高の高架から下りるぐらいの感じだ。
「ちょっとここでどんな感じだからやってみたいから
ロープを引っ張っていてくれる?」
ミキがロープに体重をあずけると、ピーンとロープが張った。
その状態で、私は空中で丸まってぶら下がってみる。
丸でブランコにでも乗っているみたいにぶらーんぶらーんと揺れた。
「ちょっとだけ下ろしてみて」
ミキが少しずらすと、私も少しずり落ちる。
「重たくない?」
「大丈夫だよ」
「じゃあ、そのまま下ろして」
ミキがずるずるとロープを送り出すと、私はどんどんと下がっていった。
やがて、崖っぷちより下に行くと、壁面に足を突っ張って、
ダイ・ハード状態になる。その状態でどんどん下りて行く。

《太陽系の子である過剰は銀河系で去勢されなければならないんです。
タンパク質の合成という過剰は、ゴルジ体で去勢されなければならないのです。
ということは、諸君らは、太陽系にして銀河系という矛盾した存在なのです。
であるから、たとえば、
みなさんのこーまんが左右対称なのは、
あくまでも太陽系の生成の都合であるにも関わらず、
それを美しいと思うのは、
あとから脳に宿った銀河系の都合だという矛盾があるのです。
だから、どんなに愛していて、こーまんに接吻しても、
オリモノが飛び出してくると、げーっとなったりするのです》
なにを、お下劣な事を言っているんだ、あの放送は。
しかし、とにかく私は崖下に到着したのであった。
「下りられたぞー」私は怒鳴った。「そんじゃあ、警察を呼んでくるから」
「えっ、私を下ろしてくれるんじゃないの?」上からミキが怒鳴った」
「いやー、私が走っていった方が早いよ、絶対。30分で街につくから、
警察のヘリコプターで迎えにくるからさあ」
しかし結び目がきつくて解くのに苦労していた。
「うそ」とミキが怒鳴った。
「嘘じゃないよ」
「私を重りにしたでしょう」
「そんなことないよ」
「そうに違いない」
言うとミキはあろうことか、引っ張り上げだした。
いっぺんでつま先立ちになる。
ミキは猛烈に踏ん張って、私を釣り上げた。
「下ろせッ」
「いやだーっ。下ろしてたまるか」
みるみる私は地上2メートルぐらいにまで吊り上げられた。
《過剰な部分は学校で去勢されなければならなかった。
そうやって世界に出て行くのです。
しかし、あまりにも過剰が多いなら、
それはもうウンコです。
そんなものは、もう、学校には来ないで、
ここで除草されてしまえばいいのです》
「おろせー」と私は怒鳴った。
「いやだー」
「下ろせー。こんなところで除草されてたまるか、下ろせッ」
「いやだー」
「分かった、分かった」地上5メートル付近で、
私は崖っぷちの向こう側で踏ん張っているであろうミキに向かって言った。
「分かったよ。ミキも下ろすからさあ。とにかく私を下ろしてよ」
ミキは返事をしなかった。
しかし私はスーっと降りていった。
着地するとミキが崖っぷちから顔を出した。
「裏切ろうとしたら、また吊り上げるからね」
「分かった分かった、じゃあ、ミキを下ろすから、余ったロープを下ろしてよ。
そうしないと、こっちからロープを送り出せないから」
しかし、ミキはそうする前に、自分の脇の下にロープを回すと胸の前で縛った。
そして余ったロープを下に下ろす。
くそー。ロープが降りてきたら、
思いっきり引っ張ってロープだけ引きずり下ろそうと思ったのに。
ミキがくっついていたんじゃあ、本当にミキを下ろさないとならない。
ミキが下ろしてきたロープは私の足元でトグロを巻いた。
私は、ロープが解けないまま、自分ごと雑木の周りを回ってくると、
ロープをどんどん手繰り寄せた。
そうすると、崖の上では、ミキがロープにつながっていて、
ヨイトマケの滑車と雑木の根元が支点になっていて、私がロープを握っていて、
余ったロープが足元にトグロを巻いていて、その最後に私がつながっている、
という状態になった。
そしてロープがピーンと張るまで思いっきり引っ張った。
「じゃあミキぃ、そこで浮き上がってみな」と崖上のミキに怒鳴る。
ミキが宙にぶら下がった。
でも、木の根元に引っかかっているので、引っ張られる事はなかった。
そして、私は、ロープを少し送り出した。
ミキがずるっと下りる。
そういう要領で、どんどんとロープを送り出すと、
ミキはずるずると崖の下に降りてきた。
ところが、崖の中間のあたりで、なんと、ロープが足りなくなったのだ。
「ロープが足りない」と私は怒鳴った。
「このままだと、やばい。一回引っ張り上げるから」
私は綱引きの様に、へっぴり腰で後ろに体重をかけた。
ミキが微かに上に上がった。
「下ろしてーッ」とミキが怒鳴る。「下ろしてッ」
「ロープが足りないから一回引っ張り上げる、つってんの」
と私が言うのもきかないで、ミキは暴れだした。
「暴れるな」
「下ろしてよー」
ミキが暴れると、雑木の根元でロープが擦れて、きりきり言いだした。
「暴れるなあー」
「下ろしてよー」
と尚もミキはもがく。
「やばい、木が折れる」
と言った瞬間、ぼきっと雑木が折れた。
同時に私はものすごい勢いで吊り上げられて行った。
ひぇー
そして、地上2、3メートルの地点で、
ミキと私のロープは絡まった状態で止まったのだ。
今や、私らはヨイトマケの滑車を支点にしてアメリカンクラッカー状態で
宙吊り状態になっている。
「暴れるなって言っただろう」隣にぶら下がっているミキに言った。
「だって、私を置いていこうとするから」
「どうするんだよ、この状態」
私らはロープを見上げた。
2、3回よじれて絡まっている。
「あれが解ければ私が下りられるよね。重いから」とミキ呟く。
「えっ?」
ミキが下りたら、私は引っ張り上げられてしまう。
しかし、ミキはロープにしがみつくと解こうとした。
そうはさせまいと私はロープを握った。
「離せッ」とミキが手で突いてきた。
「お前こそ、暴れるなよ」
又、空の上から放送の音が聞こえてきた。

《諸君らは、学校での去勢も無理、このキャンプ場での去勢も無理。
本当にもうどうしようもない、ウンコなのです。
もうこうなったら、水に流してしまうしかないのです。
おまえらウンコはこの水で流れてしまえ》
放送に被って、ゴォォーーという地響きがしてきた。
来た、来た、キターーーー
「又、地震だー」
地響きがロープにも伝わって、私らはアメリカンクラッカー状態のまま、
ぶらーんぶらーんと揺れ出した。
すぐ横の壁面から、砂埃が舞ってくる。
そして がくーんと直下型がキターーーーーーー!!と思ったら、
崖の壁面から湖方向に亀裂が走った。
ビリっ、ビリビリびりっー。
湖の方から濁流が押し寄せてくるのが見える。
やばい。
しかも、袈裟懸けのロープが狭まっていて、片腕が万歳状態になっていて、
反対側の首を締め付けている。
半ば首吊り状態でロープが頚動脈を圧迫しているのだ。
キーンと耳鳴りがして目の前が白くなってきた。
それからポジとネガが反転するように、辺りの様子が変になってきた。
空は紫、崖は黄色、ミキはオレンジ色に見える。
っていうか赤い。ロープも赤いよ。つーか大腸みたい。
つーか、あれは臍の緒じゃん。
ミキの腹から出ている臍の緒は首に巻きついて真っ直ぐに上空に伸びている。
自分の腹を見たら、やっぱり臍の緒が出ていて、私の首に巻き付いてから、
遠くの方に伸びていた。
ここってどこだよ。
湖水が私らに到達した。
水圧でぐいぐいと締め上げられた。
もう無理ぃと思ったが、どっかがぶっちぎれて、
私とミキは数珠繋ぎのまま、どんどんと流されて行った。




#1063/1158 ●連載    *** コメント #1062 ***
★タイトル (sab     )  16/02/12  14:16  ( 31)
◆シビレ湖殺人事件 最終章
★内容
「破水しました」ブルーの手術着を着た看護師がドクターに言った。
壁のタイルもブルーだった。
ライトの明かりが分娩台の女を照らしていた。
女のこめかみにもブルーの静脈が数筋浮かんでいた。
「かんし」と老医師が言った。
「でも、女の子ですよ」
「じゃあ吸盤だ」
若い医師が馬乗りになって腹を押している。
「出てこないな。少し切るか」
老医師は、切開して産道を広げた。
頭は出てきたがまだ生まれない。
吸盤で胎児の吸着し、引っ張り出す。
ずるずるずるっと臍の緒二重巻きにして一人目が誕生した。
二人目は簡単に流れ出てきた。

なかなか泣かないので、看護師は足を持ち上げると尻を叩いた。
やがて、か細い泣き声を上げた。
それは初めて吸った空気が声帯を揺らしているのだろう。
その空気は肺からヘモグロビンとして体内に取り込まれ、
五臓六腑を駆け巡り、涙となって流れてくる。

病棟に戻った母親が回復した頃、看護師がお包みにくるまれた2人の赤ちゃんを
持ってきた。
「この子達の誕生は嬉しいけど4体も減数手術したなんて」と母親は泣いた。
「そんなこと言わないで下さいよ。この二人を生かす為にやったことなんですから。
この二人を育てる事が4体の供養ですよ。この子達に何かあったら申し訳ないわよ」
そんな励ましを聞くまでもなく、母親は乳に張りを覚え、飲ませないと、
と感じていた。
母親は、二人の赤ん坊を抱きかかえて授乳室に消えていった。

【完】




#1064/1158 ●連載
★タイトル (AZA     )  16/10/13  19:58  ( 67)
乗船記:クルーズに行ってみた2>飛鳥U再び   永山
★内容
※以下は、今年の五月末頃に書き始めた文章です。時間の経過等もその時点から見た記
述をしております。諸事情により(笑)、UPを迷っていましたが、とりあえずまとま
った分から上げていこうと決めました。
 初回時のように事細かく書くとうるさくなる恐れがありますし、また、終盤はすでに
忘れてしまっている事柄も多いため、だいぶ端折ったり、間が空いたりするかもしれま
せんが、興味のある向きはのんびりお付き合いください。


 半年ほど前、二泊三日と短めながらもクルーズを初めて体験し、乗船記をつらつらと
書き連ね、最後に「また乗りたい気持ちがふつふつと」なんてことを書きました。が、
実際のところ、二度目があるとしても相当先になるなと思ってました。
 ただ、手元に株主優待券が一枚余っていたので、まだ行ったことのない母に、「もし
も飛鳥Uのクルーズに行くんだったら、これ(優待券)使ってよ。連れがいないような
ら案内を兼ねて同行するよ(笑)」と伝えてはいました。
 ところが。
 二月の下旬になって、アスカクラブ事務局から、二回目乗船キャンペーンの案内が送
られてきた。クルーズの指定こそある(四・五月出発分のほぼ全て)けれど、その内の
どれに乗ろうと二十五パーセント引き。ついでに、複数のクルーズでも二十五パーセン
ト引き。
 むー、この割引は結構大きい。部屋のグレードは、一番上(ロイヤルスイート)と一
番下(Kステート)は対象外だが、それでもお得感がある。この先、もう一度乗るとし
て、これほどの割引があるだろうか? いやない、とまでは言えないにしても、なかな
かないチャンス? これは今乗っておくべきではないかと考え始め、どのクルーズにし
ようか物色を始めたところで、もうツボにはまってしまいました。
 ということで、我が身を省みず(汗)、選定開始。

 飛鳥クルーズは乗船日数に応じて、次回以降の乗船時に使える値引き券(期限付き)
が、アスカクラブ会員に出ます。
 一泊なら3000円、二泊は5000円(前回はこれに該当)、三〜六泊は1500
0円、七泊以上だと25000円。難しい計算をするまでもなく、三泊が一番お得です
(笑)。三度目の乗船があるとは考えにくいのですが、念のため、三泊四日を有力候補
の条件として見てみると――。
 対象クルーズ中、三泊四日のものは一つだけありました。二箇所に寄港して戻ってく
るタイプですが、私が心惹かれたのは、その最終日。普通、最終日の帰港時刻は朝の九
時か十時の設定が多いようなのですが、このクルーズは午後四時。前日の出港時刻が午
後五時ですから、二十三時間、ほぼ丸一日の船上生活が楽しめる。これは、前回乗船記
の最後に挙げた未経験事項、

  ・海の生物に遭遇したい
  ・船で橋をくぐる経験をしたい
  ・終日クルーズを経験したい
  ・名物のハンバーガーを食べてみたい
  ・マジシャンのステージショーを観てみたい

 これの、終日クルーズと同等と言えそうです。
 また、このクルーズなら、橋をくぐります。多分、行きと帰りの二度。
 もう一点、私は酒類をほぼ飲まないので関係ないんですが、通常なら別料金のアル
コール類が、このクルーズでは夕食時、定められた種類のみですが無料サービスで饗さ
れます。
 一方、マイナス面もいくつか。
 まず、出港地。橋をくぐると記したので、神戸かと思われたかもしれませんが、横浜
なんです。私、鹿児島から関西に戻ったとしても、横浜までの往復交通費が……。
 次に、日数が長いほど、ドレスコードが面倒になるかもしれないこと。インフォーマ
ルならまだしも、万が一フォーマル指定なんてあった日には、大わらわ再び、です。
 こうしたプラマイ両面を考慮し、他のクルーズ(ワンナイトから六泊七日まで、出港
地は横浜の他に神戸や名古屋も)とも比較した結果、やはり三泊四日のクルーズがよい
なあと。
 こうして、“新緑のみちのくクルーズ”を第一候補に決め、一緒に行く人に打診をし
ました。先述した通り、今回は母です。
 電話で、「行ってみたいのだけれど一緒にどう? 一人旅だと割増料金が掛かるし、
夕食で初対面の人と相席になる確率高いみたいだし」云々と誘うと、タイミングがよか
ったのかあれよあれよと決定。横浜発着でも問題なし、日程の都合も付きました。

 2016年5月17日〜5月20日 新緑のみちのくクルーズ
 横浜港発着 寄港地:仙台、大船渡

 続く。ではでは。




#1065/1158 ●連載    *** コメント #1064 ***
★タイトル (AZA     )  16/10/27  19:23  ( 97)
クルーズに行ってみた2>横浜はその日雨だった   永山
★内容
5/17
 横浜港に向かうべく、今回は関西某駅からJRに乗車。在来線と新幹線を乗り継い
で、途中、横浜駅と中華街で極短い観光も予定に入れていました。
 車中では前回同様、トラブルが起きませんようにと願っておりました。間に合わなか
ったらほんと、洒落になりません(不測の事態で乗船時刻に間に合わなかった場合に利
く保険があるらしいんだけど、今回も入らず)。加えて今回は前日に、新幹線内で刃物
男が暴れて車掌が怪我をする事件があったり、茨城を中心とした比較的大きな地震が起
きたりと、何だか嫌な感じが漂いましたから、尚更。
 そんな小市民的心配をよそに、新幹線は定刻通り、新横浜に到着。十一時二十二分の
ことでした。よし、ここまで来ればよほどのことが起きない限り、どうとでもなる。
 横浜駅に移動後、まずは地下街というか駅ビルというかよく分からないんですけど横
浜そごうに入り、足立音衛門で栗の菓子を購入。乗船どころか港に着く前から、いきな
り土産物を買ってしまった。で、このときそごうのキャンペーンに応募した。もちろん
当たらなかったけど。ただ、住所の記入をどうしようか迷ったなと。何にせよ、当たっ
たらまた横浜まで取りに来る必要があったので、その時点で諦めモードでしたが。
 続いて、横浜ポルタに向かい、事前に調べて見付けた“こめらく”なるお茶漬けメイ
ンの店で昼食。お茶漬けなら、船の中で多分出される可能性が低いし、食べ過ぎになる
こともあるまいと。母がなめろう茶漬けを注文したのは覚えてるんですが、自分は何だ
っけか? 鶏そぼろか鯛茶漬けだった気がする……。とりあえず、おいしかった。値段
もこういう場所にしては抑えめで助かります。
 食事が終わり、次はこの周辺をぶらつくか、中華街に向かうか、予定としてはフレキ
シブルにしてたのですが、まあ早めに動いた方がよかろうということで、中華街に向か
いました。
 みなとみらい線の元町・中華街駅に到着し、さあ地上に出ようとしたら、よく分から
ない。延々と階段を登ってきた挙げ句、中華街側じゃないと分かって、がっくり疲れ
た。プラットフォームまで引き返した時点で、左足が痛くなり(今まであんまり書いて
いませんでしたが、いつものことです)ベンチにへたり込む。ペットボトルのお茶を飲
みつつ、しばし休憩し、回復を待つ。再び動き出したのは、午後一時二十分ぐらいだっ
たかな。ちゃんと出口を確かめ、今度こそ、中華街側にでました。
 ……雨でした。
 今回、最初から雨を追い掛ける形になっていました。横浜駅に着いた時点ではまだし
ょぼしょぼか小止み程度でしたが、元町・中華街駅から地上に出たところで、急に雨足
が強くなる。雨男の本領発揮しちまったぜ。
 しかも、用意してきた折りたたみ傘が壊れていた。orz 壊れたことは前から認識して
いたのですが、二本持っている折りたたみ傘の内、壊れていない方を持って来たつもり
が、確認せずに放り込んでいました(汗)。壊れた方をさっさと処分しておけば。
 そんな訳で、気分的にへろへろ。二軒ほど無国籍風衣料店を覗いたあと、雨を避ける
ために、喫茶店を探す。Chai Tea Cafeというアジアンテイストでエスニッ
クなカフェに。店の装飾は雰囲気あってよかったんですけど、いかんせん天気が悪く、
暗い感じ。ある意味、異国に来た気分が味わえたような気がしないでもなし。それでも
チャイを飲んで人心地つけました。
 時間を潰す間も雨が弱まる気配はなく、手荷物を持って動き回るのがしんどい状況
に。中華街をもっと観光するつもりでいましたが、切り上げ、予定よりも二十分早く大
桟橋に向かうことにしました。
 中華街のバス停から観光巡回バス「あかいくつ」に乗ると、二十一分で着きます。旅
客船ターミナルのすぐ前まで行ってくれるそうなので、雨のときは特にありがたい。乗
車時はちょうど満席ぐらいでしたが、各所を回る内に見る間に人が増えて、通勤ラッシ
ュ時の満員電車並みに。気温はさほど高くないが、湿気った車内に、かいた汗が冷た
い。

 とにもかくにも、14:21(ここから時刻の表記をこれにします)、横浜港の建物
――横浜港大さん橋国際客船ターミナルのすぐ前に降り立ちました。雨は相変わらず降
っていますが、屋根のある場所で降ろされました。
 でも濡れる。
 この施設の外にあるアーケード的な屋根は日よけであって、雨よけの用をなさないで
す。材木をざっと並べたような作りなので、隙間があって、雨がだだ漏れ。これはたま
らんと急いで屋内へ。するとそこはもう飛鳥U待ちの人でいっぱい。いやまあ、船は他
にもロイヤルウィングのレストランクルーズがあったけど、数で言えば、飛鳥Uの方が
だいぶ上回ってるでしょうから。
 横浜港大さん橋国際客船ターミナルは、その屋上デッキが“くじらのせなか”という
ニックネームを持っているそうです。そう言われてみると、出入り口から奥に長く続く
構造の建物は、くじらの口から飲み込まれて、中へ中へと送られる感じ。気分はピノキ
オか。
 受付開始まで時間があるので、とりあえず手荷物の内、今いらない分を係の人に預け
ます。手荷物はこのまま客室に届けてもらえるので、ありがたい。注意すべきは、間違
って乗船券まで荷物と一緒に預けないこと。下手すると乗れなくなります。

 身軽になった――と言っても、私はパソコンを持ち歩いていましたが――ところで、
ターミナル内を散策。土産物屋を覗いたり、ソファに座って海を眺めたりと、みんな同
じようなことをしています。観光名所の一つとして挙げられるだけあって、乗船待ち以
外の人も結構多いみたい。飛鳥Uを観に来たという人もいるはず。
 海を見ていると、ロイヤルウィングのレストランクルーズが動き出しました。旅客店
員六百三十名とのことですが、近くには飛鳥Uがいるので、さすがに小さく見えます。
 思い返してみると、このロイヤルウィングのプロのマジシャン達によるマジックシ
ョー付きクルーズに乗りたいと考え、メールアドレスを登録したのに、その企画の第二
弾が立ち消えになった。結果、私は飛鳥Uに乗ってみたくなったと言えるので、妙な縁
を感じます。マジックショー付きクルーズを復活してくれるのなら、ロイヤルウィング
もいずれ乗ってみたいなー。
 14:45ぐらいにロイヤルウィングの船が出港。激しくなる雨越しに見送ると、
段々そわそわしてきます。受付開始が前倒しになることもあるらしいので、様子を見に
行きましたが、まだでした。が、各社毎のブース前に並び始めた人もいて、気になる。
 でもその前に、ゲートが設置されていたので、ちょっと見物。博多で乗ったときより
も、仰々しいような気がしたのだけれど、気のせいかしらん? ゲートの周囲をうろう
ろしていると、あら、母がゲートの向こう側に入っちゃった。というか、何で入れる
の? 見張りの人が付いている訳でなし、割と緩い。尤も、船にこっそり乗り込むのは
無理なんでしょうけど。
 見咎められない内に、ゲートのこちら側にささっと戻り、ぼちぼち並ぼうということ
に。前回同様、郵船クルーズに直接申し込んだんですが、博多では旅行会社経由で申し
込んだ人の方が多いなと感じたのに対し、今回の横浜では、郵船クルーズ組が多かっ
た。一番か二番目ぐらいに多かったんじゃないかな? 無論、並ぶ人数を見た目だけで
判断したので、正確ではないでしょうが……。
 それはさておき、母と二人で列の最後尾に付きました。と思う間もなく、私達のあと
にも列が出来ていきます。並んでいると雨の状況はよく分かりませんが、五月中旬とい
う時期や気温を考えると、空気はやや湿っぽい感じ。それでも大汗をかくほどじゃな
く、助かったです。

 続く。ではでは。




#1066/1158 ●連載    *** コメント #1065 ***
★タイトル (AZA     )  16/12/06  20:22  ( 77)
クルーズに行ってみた2>雨から避難して訓練   永山
★内容
 一般の乗船受付は予定より二分早まり(笑)、15:13から始まりました。
 並んだ甲斐あって、十分ほどで受け付け完了。飛鳥Uは横浜を本拠地としているため
か、博多よりも更にスムーズに手続きが済んだような。あるいは二度目ということで、
心に余裕ができたのか、自分(苦笑)。
 何はともあれ、早速、乗船するとします。ゲートをくぐって自動ドアから建物の外に
出ると、回廊的な道が続いていました。その途中、カメラマンがカメラを構え、乗船す
る人々に記念写真をお撮りしましょうかと持ち掛けてる。博多のときと同じだ〜、と妙
に感心したり。これら専属カメラマンが撮る写真は後ほど船内で購入可です。
 お、ボーディングブリッジ(搭乗橋。クルーズについてあれこれ調べたときに初めて
知りました)がある。博多にはありませんでしたが、ここを本拠地とするだけあって、
横浜にはあるってことでしょうか。
 四角柱を横倒しにしたような筒状のブリッジをぐるぐるぐると直角に三回ほど曲が
り、ようやく見えてきました、飛鳥Uの入口。
 こんな早くに戻って来られようとは。七ヶ月足らずぶりとはいえ、感慨深い。
 あ、噂に聞いていた「お帰りなさい」とは言われなかったな(笑)。リピーターとし
てまだまだ甘いか。
 二回目ではまだ慣れているはずもなく、若干おたおたしながらエレベーターに乗り、
七階――7デッキで降ります。前回とほぼ同じ時間帯に乗船したけれど、船内は博多の
ときよりも混んでいる印象を受けました。慣れた人が多いのかもしれません。つまり、
乗船してすぐさま部屋へ行き、またすぐに目当ての施設に出掛けて行くような乗客が。

 さて、今回の自分達の部屋は船首に近く、エレベーターからは結構離れた位置になり
ます。奇数偶数を確認して、奇数の部屋が並ぶ右舷の廊下をずーーーっと歩き、やっと
見えてきた。そうそう、下二桁が13の部屋はやはりありません。
 前回はKステート、今回はFステートってことでお値段は(定価換算で)若干上がり
ましたが、窓からの眺めが違うだけで、部屋のタイプは同じです。ただし、各部屋の並
びの関係か、クローゼットの形が少し違うような? あと、手洗いに入ったときに感じ
たのですが、トイレットペーパーの位置が分かりにくくなっていた気がする。てこと
は、バスタブの配置もちょっと違っていたのかもしれず。
 それはさておき、まずすることは荷物の確認。事前発送した分、乗船前に預けた分、
ともに届いておりました。
 いざ開けようとして――カッターナイフ忘れた! しょうがないので、頑張って手で
開けました。服をクローゼットなどに仕舞います。今回はインフォーマルの日があるた
め、前回よりもややよい感じの服も用意していますから、特に慎重に仕舞わねば。
 その後、母が他の荷物の整理及び身支度を直す間に、私は船内新聞のアスカデイリー
に目を通してました。
 個人的に一番の注目は、専属マジシャンTAKUYAがいるかどうかですが……いな
い。少なくともこの日の催しには出ていない。三泊四日だから? そんな訳ないか。仙
台から乗ってくる可能性も残ってるかなあ。TAKUYAは仙台出身だと聞いてますの
で。
 他のイベントや食事の提供状況を見ると……リドカフェが既にオープンしてる。前回
食べ逃したハンバーガーも饗されてる。行ってもいいんだけど、クルーズ船に乗ったら
最初はウェルカムドリンクでしょ、特に初めての場合は。ってことで、母の支度が終わ
るのを待って、15:40ぐらいに部屋を出ました。
 11デッキに行くと、すでにそこそこ大勢の人が。テーブルも全くの手付かずの卓は
見当たりません。空きテーブルは、どれもグラスが残っていて、直前まで人がいた様子
でした。それでも窓際の席に座って待っていると、じきにロシア系と思しき白人女性が
やって来て、片付けてくれました。それからスパークリングワインとオリーブのおつま
みとチョコをもらいました。お酒は飲めない口ですが、こういう場ではやはりクルーズ
船に乗ったんだなーという気分になれて、いい感じ。外の景色は、まだ雨が降ってお
り、よいとは言えませんが、だいぶ小降りになってました。
 そういえば、今回は船員の方から話し掛けられなかったなあ。乗客が多いときは難し
いのかしらん。それとも、雨のせいかな。

 16:15からは避難訓練です。と言っても、再三記しているようにこの日は雨でし
たので、第七デッキの各救命艇の前に集まっていては、ずぶ濡れになりかねないし、小
降りでも足元がよくない。
 そこで、こういう悪天候の場合、代わりに船内第六デッキの各所に集合場所が指定さ
れる仕組みになっています。
 私達の指定された救命艇は一号艇で、ギャラクシーラウンジ(ショーが行われるホー
ルです)の右側に集められました。
 集まったのは十名で、名前を呼ばれたのは十四名だったと思います。つまり、四名が
欠席。なかなか全員揃わないものです。以前にも記したと思いますが、避難訓練を勝手
にパスすると、あとで怒られるらしい……。本当かな? 確かめるために、わざと休む
訳にもいかず。
 それから前回に比べると対象となる人数自体、えらく減りました。これは救命艇のサ
イズに関係しているそうで、一号艇及び二号艇は定員六十名で、その他の救命艇は百五
十名から百六十名が定員。この差は大きい。点呼はあっという間に終わり、説明もさっ
さと済んだのですが、だからといって先に解散とはなりません。よそが終わるのを待た
ねばなりませんでした。
 集まった全乗客が説明を聞き終えてから、船長なりチーフパーサーなりが船内放送で
避難訓練の大切さを説いたところで避難訓練終了となるものですから、しばし手持ちぶ
さたでした。担当者に質問してもよかったんですけどね。たとえば、港に降り立った直
後ぐらいに大地震が発生し、津波警報が出た場合、乗客はどうするのが正しいのか、と
か。

 続く。ではでは。




#1067/1158 ●連載    *** コメント #1066 ***
★タイトル (AZA     )  17/02/02  20:34  ( 89)
クルーズに行ってみた2>無料だけど自由でない   永山
★内容
 避難訓練終了後は、一度部屋に戻って着替えました。今日のドレスコードはカジュア
ルですから、別に昼間の服装のままでもいいのですが、雨降りで中華街をうろうろする
間に濡れましたし、着替えてこざっぱりしようと。ついでに荷物の整理も。一泊分長い
だけで荷物がやたらに増えた気がする……まあ、インフォーマルデーがあるし、前回は
男の二人旅だった訳で、事情が違います。

 そうこうする内に、フェアウェルパーティの時間が来ました。出港に合わせたセレモ
ニーです。
 雨が降り続いていたなら、これも船内で行われるはずでしたが、開始時刻である16
:45の段階で、上がっていたようです。その証拠に、銅鑼を持った船員がプロムナー
ドデッキ(第七デッキの外周)を練り歩くのが、窓からちらと見えたです。これは急が
ねば。すぐさま準備し、プロムナードデッキへ直行しました。が、すでに人でいっぱい
でした。皆さん、いつものことながら――とベテランぶってみたり(汗)――早いな
あ。
 今回は悪天候だったためか、紙テープ投げはなし。先述の通り、すでにほとんど上が
っていたのですが、足元が濡れているからかな? また、飛鳥Uの本拠地・横浜港から
の出港であるせいか、派手なセレモニーもなしでした。一般の人が見送るのみだったよ
うです。それでも、“くじらのせなか”には大勢の人が見送り&見物に来ていました。
 船側はもっと盛り上がってたなぁ。噂に聞いていた、乗客と乗員が一緒になってジェ
ンガ風に踊る様も、今回は見ることができました。さすがに加わりませんでしたけれ
ど、凄く楽しそう。船のバンドによる音楽や歌が奏でられると、周りも乗って盛り上が
る。「カントリーロード」「いい日旅立ち」等、郷愁を感じる曲、旅立ちを思わせる曲
が揃っていましたね。
 出港時刻の17:00を十分ほど過ぎた頃、11デッキに移動。さらに12デッキに
も。撮影する分にはこれら上階からでもなかなかよく、さらにタイミングが合えば、夕
食前にレインボーブリッジをくぐる様を間近で見られるかなと考えた訳です。
 が、タグボートによる牽引などの動きを見ていると、夕食(前半組)の始まる17:
30にはちょっと間に合いそうにない。五分前まで粘りましたが、あきらめました。
 そして夕食の会場であるフォーシーズンダイニングへ。行列ができています。並ぶ必
要があるとは思えないのですが、何でだろ? 海の見える窓際のテーブルへ案内しても
らいたいってことなのかしらん?

夕食のお品書き
・アミューズ:雲丹のカクテル
・アペタイザー:真鯛の煎茶マリネ カルパッチョ仕立て
・スープ:ほうれん草と生姜のスープ
・海の物:鰆の知覧茶入りパン粉焼き
・メイン(下記の四つから一つを選ぶ。★はシェフおすすめ)
★1.神奈川県産ポーク肩ロースのほうじ茶煮 甘長唐辛子添え マスタード風味
 2.ひじきと貝柱のスパゲッティー玄米茶風味
 3.舌平目のポワレ
 4.季節の温野菜料理 〜ほうじ茶風味のポトフ〜
・デザート:抹茶ティラミス
・コーヒー又は紅茶

・飛鳥U自家製各種パン
・ドリンク各種(今回は指定銘柄に限りフリードリンク)

 今回はしっかりとメニューの紙を頂いてきました。ただ、全部を理解して書き写して
いるのではありません、あしからず(汗)。
 シェフの説明によれば、このディナーは健康のため、お茶を活かしたメニューになっ
ているとか。
 雲丹のカクテルは、カクテルグラスに、にんじんのムースとお茶の?ジュレを盛り、
さらに雲丹を乗せた一品。美味。味は濃くもなく薄くもなく、ただ雲丹の風味は濃厚に
感じた。このあとへの期待感が高まる。特に、お酒が好きな人なら酒・食ともに進みそ
う。
 真鯛の煎茶マリネは、鯛の切り身を煎茶でしめて花びらのように並べ、細切り野菜を
散らした料理。イクラの入ったソースが周囲を彩っていました。これも美味。野菜が食
べにくかったのと、ソースが残って勿体ない(笑)。
 スープは……普通。出汁の利いたコンソメスープっぽい汁物に、ほうれん草と生姜が
入ってるのを想像してもらえれば、だいたい当たっているかと。
 海の物は、お品書きでは「From the Sea」となっていましたが、意訳?し
ました。鰆の切り身に緑がかったパン粉をまぶして焼いた物。しめじか何かのソテーっ
ぽい物(でも味は佃煮に近かったような)が添えてありました。これも美味しかった。
けど、ナイフとフォークでは食べにくかった。魚の肉って下手にナイフを入れると、各
層単位でぱらぱらと剥がれちゃって、フォークで処理しづらいです。
 メインは、私は1を選びました。豚肉は拳サイズで、柔らかく煮込んでありました。
甘長唐辛子というがよく分かりませんが、辛くはなかった。他にレンコンや大根やにん
じんの煮物が添えてあった。これも美味しい。豚の角煮を、豚肉のかなりよい部位で作
ったら、こんな風になるかも(汗)。御飯が欲しくなる一皿でした。
 母は4を選択。小さな洋風鍋に、蓋をした状態で出て来たので、どんな料理なんだろ
うと思ったけど、中身は普通に、色んな野菜を煮込んだポトフでした。結構、熱かった
みたいです。

 デザートは抹茶ティラミスに、梅?風味のシャーベットが添えてあった。抹茶ティラ
ミスは抹茶とあずきの層を重ね、和のテイストに拘った感じ。“甘すぎない甘さ”より
はちょっと甘かったかな。シャーベットの方がより美味しかったかも。

 あと、ドリンクは前と同様、まずはグレープフルーツジュースを頼みました。その
後、二杯目のオーダーを取りに来た際に、今回のクルーズはフリードリンクなので折角
だから飛鳥ビールを試そうと思い、メニューを見ずに飛鳥ビールと告げたら、他のメー
カー品ならあるけど飛鳥はないよと言われちゃいました。知らなかった。というか、飛
鳥ビールが指定銘柄に含まれていないのね。別料金でも提供してないってことは、品物
自体がないってことかしらん。結局、ビールを取り消して、パイナップルジュースを頼
みました。
 なお、母はアップルジュースをオーダー。かなり甘かったらしい。二杯目は冷たい
ウーロン茶に変えていました。

 続く。ではでは。




#1068/1158 ●連載
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:08  (278)
斑尾マンション殺人事件 1 
★内容



●1

 震災から10日以上経った或る晩の事だった。
 高橋明子(26歳)は、飯山市内のアパートで、一人寂しく炬燵に丸まってテレ
ビを見ていた。
 リモコンでチャンネルをかちゃかちゃ変えてみる。
 画面には、3号機建屋爆発の瞬間とか、自衛隊ヘリの放水とか、むき出しの使用
済燃料プールなどが映し出された。
 ここ10日間、こんなのばかり見せられていて滅入る、と明子は思った。見たと
ころでどうにかなる訳でもないし、どっかで娯楽番組でもやってないだろうか。そ
う思ってチャンネルを変えても、テレビショッピング以外は全部震災関係の番組だ
った。
 しょうがないから映像の少なそうな解説番組を選んで、リモコンを炬燵の上に置
いた。
「地震酔いで嘔吐する人がいるんですよ」とテレビの中で言っていた。
「それは地震の時の恐怖を思い出して吐き気がする、という事ですか?」
「いやー、実際に揺れている時に酔うんですよ。船酔いみたいに」
「そんなに長時間、揺れが続くという事はあるんでしょうか」
「余震が頻発している地域では、そういう症状を訴える人も多いという事です」
 そんなのあり得ねー、と明子は呟いた。
 次の瞬間、ぐらっと来た。
「地震です」とテレビのアナ。「ただ今地震がありました。このスタジオでも揺れ
を感じました。各地の震度は、詳しい情報が入り次第お伝えします。えー、各地の
震度はー、長野県北部が震度5の強震、新潟県南部が震度5弱の強震、石川県の北
東部が震度3の弱震。震源が海底の場合には津波の心配もあります。えー、ただ今
長野県北部を中心に地震がありました。
 いやー、大きかったですねぇ」
 画面の下に出ている震度の数値を見ていたら、何故かゲップが出た。
 電灯の紐を見上げると、まだ揺れている。
 今の揺れで3号機の燃料プールがとうとう壊れてしまったんじゃないか、と明子
は思った。
 燃料プールを映していたチャンネルに変えてみる。さっきと同じ昼間の映像が流
れていた。
 今の様子は分からないのかも知れない、と思った。夜は真っ暗で見えないに違い
ない。明日の朝まで分からないのか。
 ネットだ。
 明子は炬燵の上のPCを広げるとスリープ状態から再開して、「福島原発 現
在」でググってみた。
 しかし何か重大な変化が起こったという情報は何処にも無かった。
 何でもなかったのかなぁー。思いつつディスプレイをぼーっと見る。
 右側の広告スペースに、ビートルズのCDやら書籍がべたべたと表示されていた。
 これは今日の昼休み、『ビートルズ殺人事件』というHPを見ていたからだろう、
と明子は思った。それは職場のパート社員が作ったページなのだが、それを見た時
にアマゾンやら楽天も開いたので、家に帰って来ても表示されるのだろう。
 その続きでも見てみようか。これ以上原発関係のニュースを追っかけてもブルー
になるだけだし、何が出来る訳でもないんだから。
 そう思って明子はそのページを表示してみた。
 黒の背景に黄緑の大きい文字で『ビートルズ殺人事件 byジョン・レノン』と
表示されている。
「おっ」明子は炬燵の布団を引き寄せると、マウスのローラーを転がしながら何気
に読み出した。


●2

『ビートルズ殺人事件 byジョン・レノン』

 今日は1967年6月3日だ。
『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』が発売されたのは一昨日だと思うのだ
が、ハッキリと思い出せない。
 今僕は、ロールスロイスを運転中だ。
 隣にはジョージが座っている。彼に何か話したい事があったのだがそれも思い出
せない。
 車の中からロンドンの空を見ると、どんよりとしている。これは、ロールスロイ
スのフロントグラスの上の方がサングラスみたいに色が入っているからだろう。
 いやー、やっぱり世界全体がこんなにぼやけちゃったのは、あの歯医者にLSD
を盛られてからだ。
 あの時はジョージも一緒だった。彼の妻のパティも、僕の妻も。
 パティが怒っている、とジョージが言っていた。「いくらビートルズの妻だから
って乱交パーティーなんてやりたくない。家庭はサンクチュアリなんだから」とか
なんとか。
 そりゃあそうだな。謝らないと、と思って助手席を見たら知らない男が座ってい
た。
 誰だ、この髭面のインド人は。
 一瞬ぎょっとしたがよく見るジョージだった。
「おいおい。何時から髭なんて生やしているんだ」と僕は言った。
「何言ってんだ、ジョン。自分だって生やしているじゃないか」
「何だって」僕は慌ててルームミラーを自分に向けた。本当だ。髭を蓄えている。
「おい、ジョン、運転中は前を見ていてくれよ。ポールみたいになりたくないだろ
う」
「ああ、そうだな。…えッ、ポールがどうかしたって?」
「ポールみたいに事故りたくないってこと」
「ああ、そうか。それで思い出したよ。今朝、起きた時から君に言いたい事があっ
たんだよ」と僕は言った。「よく子供の頃、夢の中で札束を握っていて、半分夢だ
って分っているもんだから、ぎゅーっと握り締めて、絶対にシャバに持って帰る
ぜーって思っても、目が覚めるとすーっと消えてしまう、そんな事、なかった?」
「あった、あった。リバプールに住んでいたガキの頃にね」
「それと同じで、いいメロディーを掴んでも、目が覚めると同時に、なーんだ、人
の曲かぁ、って思えちゃうんだけれども、それは人の曲じゃないんだよ。ぼーっと
していると人の曲に張り付いちゃうんだけれども、そうなる前にサウンドで固めて
しまえば、このシャバに持って来られるんだよ」
「その気持ちはよく分かるよ、ジョン。ポールがベッドから転がり落ちた瞬間に
『イエスタデイ』ができたなんていうのも同じ感じだろう。
 僕はLSDをやれば自由にメロディーを持って来れると思ったんだけど、そうは
行かなかったね。
 きっとポールっていうのは、自由にサウンドを掛け外し出来るんだよ。sound
(サウンド)ってsound(健全)だろう。ポールって天然的に世の中のサウンドか
ら開放されいているよ」
「お前もなー」と言おうと思ったが止めた。
「とにかく、今朝起きた時に、そのサウンドというか、時間や空間から開放されて
いたんだよ。それで…これからが君に言いたかった事なんだけど、それで、こう思
ったんだよ。昔何の気なしに言ったことが、今になって重大な結果となって襲い掛
かって来るんじゃないかって。
 それは寝起きに鏡を見て、あ、髭生やしている、なんでこんなの生やしているん
だろう、って撫でながら考えていて、ああそうか、ポールが事故って前歯が上唇を
突き破って出てきたんだっけ、それを隠すのに髭を生やしたんだよな、それで僕ら
も真似をしたんだ、って思い出したんだよ。その瞬間、頭の中で『Penny Lane』が
流れ出してきて、それで突然思い出したんだ。2年前かなあ3年前かなあ、何かの
時にポールが言ったんだ。ペニー・レインには象皮病や口唇裂の奴がいっぱいいて
気持ちわりーって。僕はそんなに具体的に言うべきじゃないって思ったんだけれど
も。あの時にあんな事を言ったものだから、『Penny Lane』を発売した瞬間にあん
な事故を起こしたんじゃないかと思って」
「まさかっ」と言うとジョージは長い歯をずらーり剥き出して笑った。「まさかそ
んな事、関係ないだろう。日本人のガールフレンドがそんな事を言っているのか
い? 因果応報とか」
「ヨーコはそんな事は言わないよ。でも、ヨーコってなんとなくベトナム人が入っ
ている感じがしない? そうすると、枯葉剤とか二重胎児とかのイメージがどんど
ん湧いてきて、もし彼女との間に子供が出来たらって思った瞬間、『ブッチャー・
カバー』のキューピー人形の肉の赤みが鮮明に蘇って来るんだよ。畜生、エプスタ
インの奴め、なんだって僕にあんな事をさせたんだ」そう嘆きながら僕はロールス
ロイスのハンドルをばんばん両手で叩いた。
 車は知らない間にスタジオの前に縦列駐車していた。
 それから僕らはスタジオに入った。ポールもリンゴも誰も来てなかった。
 そのままマリファナ部屋へ直行する。
 ジョージが手馴れた手付きで一本巻くと、さっさとくわえて火を付けた。
 深く吸い込むと、肺の粘膜に十分染み込むまで息を止めてから吐き出す。それか
ら指に持ったマリファナをくるくる回して、お香の煙でも広げるように、部屋中に
煙を充満させた。
 僕も一服決める。
「なんの話だっけ」とジョージが言った。
「だから、過去のちょっとした出来事が今頃になって祟ってくるって」
「そんな事言うんだったら、キリスト発言の方がはるかに祟るだろう」
「はぁー」僕はうなだれてしまったよ。
 それはこういう事だ、地元の新聞記者に楽屋でこう言ったのだ。イギリス国教会
よりも俺らの方が影響力があるって。そうしたらアメリカのテレビ伝道師が騒ぎ出
した。
「それにしてもムカつくのは僕らのレコードを焼いているアメリカ人のチープさだ
よ。あいつらの教会のレンガなんて鋳型から出てきた瞬間にコケが生しているのだ
から。もっとも、そんな事を言えば、丸でこっちが保守派みたいになってしまうが。
 それになんだかんだ言っても月面着陸までする国なんだから、リバプール出身の
僕らがチープだなんて言えないけれどもね」
 ジョージを見ると、片手をベルトの内側に突っ込んでいて、もう片方でマリファ
ナを摘んでいて、髭の生えた口に持って行くところ。そして煙を吸い込むと、丸で
インドの瞑想家が瞑想でもするように息を止めて、しばらくすると、煙を吐き出す。
 こいつに始めて会った時には、公立中学校でバッタの給食を食っていた。
 こんなのがロックンロールやらリズム&ブルースをやっていたらアメリカの黒人
はレコードを燃やしたくなるかもな。
「そう言えばミックが僕らの事をウィーン少年合唱団みたいだって言っていたよ」
とジョージが言った。
「何だって」
「She loves you yeah-----ってハモる所がそう聴こえるんだろう。
 それに演奏している様が、サンダーバードが踊っているみたいだって言っていた
よ。少し離れた所に濃い目のスーツを着たエプスタインが腕組みをして立っていた
けど、お前ら、踊らされているんじゃねーのって。シェア・スタジアムの写真の事
だと思うけど」
「ミックのやつ、そんなに生意気な事を言っていたのか。あいつ誰のお陰でレコー
ドを出せたと思っているんだ」
 僕はちょっとイラっとして、指先に火が付く程吸い込んだ。そしてむせたら、ジ
ョージが優しく背中を叩いてくれた。
 やがてスタジオの方から、がたがた機材をセットする様な音がしてきた。
 ジョージがおもむろに床からコーラのビンを取り上げる。そして火の付いたマリ
ファナをジュっと入れた。こちらにも向けてくるので僕も入れる。
 僕らはマリファナ部屋を後にして、天上の高いスタジオに入って行った。
 空気の冷たさが鼻腔で感じられた。脳がシャキッとするのが分った。
 それでジョージも来週のスケジュールを思い出したのだと思う。
「来週のマハリシのレクチャーだけれども、ジョンも是非とも参加するべきだよ。
その精神的な潔癖症を治す為にはね。何しろデリーじゃあ味噌も糞もみんなガンジ
ス川に流すんだから、そんなものはすぐに治ってしまうよ。でも、いきなりデリー
だときついから、前哨戦としてマハリシに会うべきだよ」
 そういうと、ジョージはポールの方へ歩いていった。
 あいつら高校の時からつるんでいる。

●3
 アパートに帰っても、「踊らされている」という言葉が頭から離れなかった。
 部屋に入るとすぐに、本棚の一番上に脚立で上って行って、写真の入ったダン
ボールを取り出して、ソファーの上に放り投げた。
  それはバウンドしたが床には落っこちないでその場に留まった。
 床に下りてそいつを持って机の所に行く。
 ライトの下で一枚ずつチェックする。「これじゃない」とトランプカードでも飛
ばすように、関係無いのは辺りに捨てた。そしてとうとうシェア・スタジアムの一
枚を見付けた。ベージュのミリタリーを着ているのだが、スタジアムの照明でオレ
ンジ色に染まっている。
 ライトに近付けてよーく見てみる。
 おかしいな、ぼけているぞ、これは一体何でなんだろう。
 メガネの度が合っていないのかと思って、メガネを外して写真に顔をくっつける。
 なんてっこった。ピントは僕らじゃなくてエプスタインに合っている。ステージ
の上で演奏する僕らはぼやけていて、その横で突っ立っているエプスタインがくっ
きりと写っている。
 これじゃ、本当に踊らされているみたいだ。
 くそー、と丸めると床に叩き付けて激しく踏み潰した。頭がくらくらしてきた。
 僕はそのままソファーに横たわった。
 天井が万華鏡みたいにぐるぐる回り出した。
  やがてそれは、リバプールのエプスタインの経営するレコード屋の天井の扇風
機に変わった。
 あそこには、色んなものがぶら下がっていたなぁ。アメリカのリズム&ブルース
のバンドのバスドラムのカバーとか、サイン入りの写真とか。
 そういうのはみんな、リバプール港の船員から只同然で巻き上げたものだ。
 他にも勿論大量のレコードがあったのだが、船の中で掛けていたものだから、み
んな傷だらけだった。
 値の張るものは、レジの前のガラスケースに入っていて鍵が掛けてあった。バデ
ィ・ホリーの使っていたカポとか、エルヴィスが映画で使ったハーモニカとその映
画のパンフレットとか。
 僕らが覗いていると、既に禿げ上がった薬缶頭のエプスタインが現れて、眉を吊
り上げて言った。「おい、ガキども。これは売り物じゃないんだぞ」
「なに言ってんだ。自分で作ったものなんて一個もないじゃないか。人の才能で商
売しやがって」と僕は言ってやった。
 あのショーウィンドーってそっくりそのままシェアスタジアムだよな。
 僕は正気に戻って、ソファーに座り直すと、しばらくぼーっとしていた。
 ふと思う。リンゴってエプスタインに重なる。頭の形が似ているのだろうか。リ
バプールの労働者階級の最下層から出てきた癖に、一丁前にロンドン郊外に家を構
えて女房子供なんて持っちゃって。ロールスロイスで突っ込んでやるか。


●4

 今日は6月20日だ。
 昨日ポールが「LSDをやってました」とマスコミに言ったそうだ。
 偶然だが、例の歯医者と昼食を取った。場所も、LSDを盛られたナイト・クラ
ブの近所のなんとか言う自然食レストランだ。
 歯医者はシーザーサラダにフォークを刺しているのだが、刺しても刺してもレタ
スが抜け落ちる。スーツの袖からシルクのシャツが飛び出していて、ヒラヒラ揺れ
ていた。チープなサイケのバンドみたいでインチキ臭い。
「最近、エプスタインだのリンゴだのが物凄くインチキ臭く感じるんだよ」と僕は
言った。「これってお前にLSDを盛られてからなんだよな。お前のせいで僕の性
格、おかしくなっちゃったんじゃない?」
「何を言っているんだよ。君が盛ってくれって頼んできたんじゃないか」
「何だって」
「ただの歯医者が天下のビートルズのお茶にLSDを混ぜる訳ないだろう。君が頼
んできたから盛ってやったんだよ。忘れたかい?」
「僕が頼んだって? 自分や妻やジョージにLSDを盛れって」
「本当に覚えていないのかい? こりゃ重症だ。
 君はこう言ったんだよ。自分がインチキ臭いって。人生の何もかもが『ごっこ』
の様に感じるって。ボブ・ディランの真似をしている自分、ブリジッド・バルドー
の真似をしている妻。こんな結婚は丸で結婚ごっこだって。
 この『ごっこ』感を拭うために、どんどん過激になるのが怖いって言っていたじ
ゃん。頭蓋骨に穴を開けようとか。
 だからもっとお手軽にリアルに接する方法を教えてくれって言うから、LSDを
教えてやったんじゃない。
 そうしたら、それを使って乱交パーティーをやりたいって君の方から注文してき
たんだぜ。覚えていないのかい?」
 メガネのレンズが、ぎゅーっと牛乳瓶の底の様に分厚くなる感覚に襲われた。
 確かに僕はそう言った。何もかもインチキ臭いと。丸で離人症の様だと。
 何で僕がディランに会おうって言うとインチキ臭く感じるんだろう。ジョージが
マハリシに会おうって言うと本物っぽく感じるのに。
 何でだろう。
 それどころか、同じLSD体験をしたって、ジョージが語ると凄い臨場感がある
じゃないか。あれをやって日光浴をするとベーコンが焼けるみたいにじゅわーっと
皮膚が焼ける感じがする、とかね。
 歯医者がナプキンで口を拭った。
 サテンの袖のサファイアのカフスがキラキラしている。
 それから彼は細いダンヒルを一本くわえるとダンヒルで火をつけた。
「さっき、リンゴやエプスタインがムカつくって言っていたけれども、それはなん
となく分かるよ」と歯医者が言った。
「何でお前に分かるんだよ」
「歯医者をやっている経験から言うんだけれども、うるさい患者っいうのは、ああ
いう薬缶頭でエラの張った顔をしているんだよ」と言うとダンヒルの甘い油粘土の
様な匂いの煙を吐いた。「それからポールみたいなのはフランス人気質っていうか、
治療中にはぎゃーぎゃー騒ぐんだが、エプロンを外す頃にはもうニコニコしている
んだな。
 あと、ジョージみたいなのは痛くないって言うからどんどん削ると、いきなり口
から泡を吹いて痙攣するって感じ。
 ジョンよ、君みたいなのはびびりだね。
 まあこれは経験的に、こういう顎関節をしている奴はこうだって思うんだけれど
も、やっぱり頭の形である程度類型化できると思うんだよ」そして彼は足を組み替
えて身を乗り出すと声をひそめて言った。「実はこういう事を専門的に研究してい
る精神科医を知っているんだよ。もし君が、リンゴやポールやジョージについて、
そして自分自身について知りたいんだったら、紹介するから会ってくればいいよ。
マハリシなんかに会うより百倍も意味があると思うぜ。なーに、LSDなんて使っ
たりしないから安心しろよ」










#1069/1158 ●連載    *** コメント #1068 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:09  (456)
斑尾マンション殺人事件 2
★内容
●5
 今日は6月27日だから、「アワ・ワールド」で『All You Need Is Love』をや
った二日後だ。
 僕は歯医者に紹介された精神分析医のオフィスに行った。
 ロンドンのクラブだのディスコだのがあるエリアから数ブロック離れた、古いビ
ルの三階に、それはあった。
 部屋に入ると窓が開いていて、車のエンジンやらクラクションの音が入ってきた。
 こんな騒がしい所で僕の心の扉を開けるんだろうか、と思ったが、医者が入って
くると、僕を長椅子に寝かせてから、遮光のカーテンを下ろしたので、静かになっ
た。
 部屋の中が暗くなると壁のランプが際立ってくる。その明りで肖像画が浮き上が
ってきた。ベートーベンとか、クラシックの作曲家だ。
 僕から見て左右と後ろの壁に肖像画があった。
 正面にはでっかい机があって、その向こうに医者が座っている。ダーウィンかダ
ビンチみたいな顔をした爺さんだ。
 やがて医者が喋り出した。思った通りしわがれた声で。
「レノン=マッカートニーというから、君が詩を書いてポールが作曲しているのか
と思ったら、そういう訳じゃないんだね。
 一昨日の番組でやっていた『All You Need Is Love』も、君が作曲したんだろう。
♪all you need is love…all you need is love…って繰り返すやつ。
 他の曲も聴いてみたんだが。『ノルウェイの森』とか、『Lucy In The Sky With
 Diamonds』とか。
♪lucy in the sky with diamonds…っていうリフレインを聴いていると、なにか、
こう、ラジオのイアフォンから漏れてくる様な高音で何かをなぞっている様な感じ
がするね。尖った針で型抜きでもしているみたいに。
 それから最近君が出版した「ア・スパニヤード・イン・ザ・ワークス」も見たけ
れども、あの漫画も尖った鉛筆で何かをなぞっている感じがしたね。
 何をなぞっているんだろう…、そう思いながらビートルズについて調べてみると、
元の名前は、quarry menっていうんだって? それって、「採石人」っていう意味
だろう。石とrockをかけているのか。だけどquarryっていったら、原石みたいな感
じだね。ふと連想したのは、フリーメーソンの祭壇なんだが、あれは左側に原石、
右側に完成した彫刻が置いてあるけれども、あれは何か具体的なエピソードを彫刻
したものではなくて、人間はこうであるべき、っていう概念を彫刻したものだろう。
真とか善とか美とか。
 君が甲高い鼻声で、♪all you need is love love love…と歌う時のloveも概念
みたいな感じがするね」と医者はここまで言うと、椅子から立ち上がって、ぐるり
と机を回って来た。僕が寝ている長椅子の前のスツールに腰掛けて、じーっと人の
額を見ていたね。
 それから「ちょっと失礼」と言うと、僕の額の眉毛の上あたりを指の腹で触れて
から、「ああ、やっぱりだ。おでこのここん所を前頭骨というのだが、触ってみる
と、かすかにへこんでいるのが分かる」と言った。そして机の向こうに戻って行っ
て椅子に腰掛けた。
「さーてと。私は趣味で、大まかにだが、音楽家を3つのタイプに分類しているん
だよ」。言うと彼から見て右側の壁を指差した。「まず第1のタイプがあれだ。あ
そこに掛けてある絵の一番上のがリスト、その下がベートーベン」。
 それから今度は部屋の突き当たりの壁を指差す。「第2のタイプはあれだ。バッ
ハにモーツアルト。シューベルトにメンデルスゾーンだ」
 それから部屋の左側を指差して、「第3のタイプがあれっ。上からシベリウス、
ワーグナー、ホルスト」
 それから僕を見据えて言った。「…どう見えるかね」
 僕は長椅子から上体を起こすと身をくねらせて左右、背後の肖像画を見た。僕の
額をチェックしたのだから、多分頭の形で分類しているのだろう、と思いながら。
 そう思って見ると、なんとなくリストだのベートーベンだのはずる賢い感じがす
るなぁ。バッハだのモーツアルトは福々しい感じがするし、シベリウスとかワーグ
ナーってフランケンシュタインみたいな感じだよなぁ。
「それじゃあ、それぞれのタイプについて、解説するよ」と医者が言った。
「まず第1のタイプ。これはリストやらベートーベンだ。私はこれらを『イタチ
型』と言っている。前頭葉がイタチみたいにぺったんこだろう。
 こういう型のアーティストが作る曲は、リストの『ラ・カンパネラ』が典型的だ
が高音での繰り返しで何かを描きだそうと…」
「ん?」。僕はかま首をもたげた。「ちょっと待った。それって僕の『Lucy In Th
e Sky…』のリフレインの事を言っているの?」僕はリストの肖像画を指差した。
「確かにあいつと僕の額のあたりの雰囲気は似ていると思うけれども、どうしてそ
れが音楽性と関係あるんだよ。それってナチスの骨相学みたいなものなんじゃない
のかい? 何か科学的な根拠でもあって言っているの?」
「科学的根拠ねえ」と言うと医者は椅子にふんぞり返った。
 ペンの様なものをへし折る様に持っていたが、机のランプが逆光になっていて、
よく見えなかった。
「私は臨床家だから、何百もの面接から得た経験から言うのだが、こういう前頭葉
がぺちゃんこで側頭葉が大きい人は、…勿論、そこには記憶野があるからなんて事
は言わないよ、ただそういう頭の形をしている人は因数分解をしながら経験を積ん
でいる感じがするねぇ。因数分解しながら学習をするのは普通の事なんだが、共通
因数に妙な意味をくっつけちゃうのだよ。
 例えば或る患者は、子供の頃にテレビか何かで電気椅子を見たんだが、それ以来、
床屋にも歯医者にも行けなくなった。恐らく『椅子』という共通因数を括り出して、
それに不安を結び付けているのだろう。
 又別の患者は、レモンをたらした牡蠣を食べて食中毒を起こして以来、オレンジ、
葡萄、チーズケーキを食べられなくなった。これもやはり、『酸味』という共通因
数を括り出して、それに吐き気を結び付けているのだろう。
 彼らが注目しているのは、『椅子』とか『酸味』といった概念と、それに結びつ
いた、不安や吐き気という症状だけであって、例えば『床屋の椅子』とか『チーズ
ケーキ』といった具体的なものは失われてしまっている。
 さて、日常生活においても、具体的な物質でありながら、ほとんど概念の様なも
のもあるだろう。例えばガス栓とか電気のスイッチなどだが。そして神経症患者と
いうのはガス栓を相手に『閉まっている、閉まっている、閉まっている』と甲高い
声でヒステリーを起こすんだよ。それは丸で『ラ・カンパネラ』のリフレインの様
なんだがね。
 この説明は不愉快かな?」
「自分こそリストとかジョン・レノンとかいう具体的な人間をすっ飛ばして、イタ
チという概念で括っているじゃないか。もしあんたの言っている事が正しいならば、
あんたの額こそイタチの筈だ」そう思って目をこらしたのだが、机の上のランプが
逆光になっていてよく見えなかった。それに僕としては、この話の続きも聞きたっ
たので、「ああ、いいよ」と鼻っ先のハエでも追い払うように手を振ったね。
「じゃあ先を続けるよ」と医者が言った。「続いて第2のタイプ。これはバッハと
かシューベルトだ。
 バッハを見てごらん。でこっぱちだろう。私はこれを『イルカ型』と称している
のだがね。イルカみたいに泳ぎながら音波を出して何かを見付けている感じ。何を
見付けているのかというと 森の中に心霊写真を見付けている様な感じだ。あそこ
にもあった、あそこにもあったと。ところが森自体も自分で作っているんだね。
コードでね。自分で作った森の上にアリアという心霊写真を見付ける。コードを変
えて又アリアを見付ける。コードを変えて又…。これがポールの『Penny Lane』だ
ろう。オーディエンスは、ベースで森を見せられながら、ポールの声で心霊写真を
発見させられている感じかな。
 じゃあ、これに科学的根拠があるのかと言われると、あんまり自信はないが、昔、
サーカスの綱渡りでロープから落下して前頭葉を損傷した患者がいたが、それ以後
その人はアリアを聴けなくなった。しかし『ラ・カンパネラ』は楽しめるんだよ。
 さあ。そして第3のタイプ。これはラクダだ。
 シベリウス、ワーグナー、ホルストなどがそうなのだが、こういう作曲家のは、
なんというか、脈絡がないんだよ。
 例えば有名な『フィンランディア』なんかそうだけれども。出だしは、嵐でも迫
ってくるような荒々しい感じ。かと思うと、鳥のさえずりでも聞こえてくるような
静かな感じ。かと思うと、突撃ラッパの様な雄雄しい感じ。一体どういう脳の構造
をしているんだ、と思わざるを得ない。丸で脳味噌を自然界に晒しているかの様じ
ゃないか。普通の人間の脳は大脳に囲まれているから、何かショックを受けると、
泣くとか笑うとか感情に変換して吸収するだろう。しかしこのタイプの人間は、丸
で脳幹むき出しでいきなりてんかん発作を起こすようではないか。と言っても丸で
科学者の言うことではないのだが。しかしクレッチマー博士の言っている通り、闘
士型の体格とてんかん発作の関係は否定出来ない。そして経験則からしてそういう
人間はラクダの様な頭をしている。
 更に第4のタイプとして、私が石臼型と呼んでいるものがある。
 これは文字通り石臼みたいな格好をしていて中身が空っぽの頭なんだね。オラン
ダの風車の中で、どんどんどんどん木槌に叩かれているあれだね。音楽で言うなら、
オーケストラの後ろの方でティンパニーを叩いている演奏者だな。ビートルズで言
えばリンゴってところだろうか。音楽の芸人ではあっても芸術家ではないから、肖
像画は無しだ。
 以上が私の音楽家の分類なんだが。どうかね」医者は回転椅子を動かしてこっち
を向いた。
「どうかねって言われても。リンゴが石臼だっていうのは分かる気がするけれど
も」
「そうかね。なんかあんまりピーンと来ていないみたいだね。この分類は、音楽家
に限らず、色々なシーンで有効だと思うんだがね。歴史上の大事件にさえ有効なん
だがね。ソクラテスの裁判とか。必ずこの4つのタイプが相互作用しているんだけ
れどもね」ちょっとムキになって医者が言った。
「そう言えば、『Paperback Writer』のPVを撮影した時に、植物園にそいつの像
が置いてあったよ。
 ミロのビーナスとか置いてあるのに、なんでこんな鼻の欠けたおっさんの像があ
るんだ? って聞いたら、それがソクラテスだって。そのソクラテスってが何をし
たって?」
「ソクラテスっていうのは、今のアテネ、アテナイという都市国家の人なんだけれ
どもね」医者は椅子を揺らしながらどうでもいい感じで喋っていた。「その人が生
きた時代は戦乱の世だったんだよ。スパルタ教育のスパルタと結託した連中に支配
されていてね。しかしアテナイ人がそいつらを追い出して民主的な国家を作ったん
だよ。その勢力の中にアニュトスという市民がいた。彼が後にソクラテス事件の首
謀者になるんだが」と言うと、医者は咳払いをして痰を切った。肘掛けに力を入れ
て座り直す。「話していて気付いたんだが、ソクラテス事件の4人というのはビー
トルズの4人と似ているなあ。似ているぞ。君、これは、ちょっと、ごちゃごちゃ
した話だが、聞く価値があるぞ」と言った。
「じゃあ、続けてみな」
「ああ、続けるとも。そのアニュトスはこう言ったんだよ。戦争時代の禍根を問う
まい、又戦争になるから、と。これをアムネスティーと言うんだがね。
 ところがソクラテスというのは、粘着な人で、自分が兵士ならばよく戦い、自分
が軍事裁判の係になれば兵士をかばう。
 まぁそれはいいのだが、粘着だから、ナメクジの様に過去を引きずっていてねぇ、
一応平和な世になったのに、昔の話を蒸し返すのだよ。
 アニュトス(首謀者)にしてみれば、何を晒してんだ、今更、折角平和になった
のに、という所だろう。かといって暗殺してしまっては自分が社会の秩序を乱す事
になる。
 そこでアホな詩人メレトス(詩人)に告発させた訳だ。
 そしてソクラテスは裁判に負けて毒杯を煽った訳だ」
 医者がここまで喋ったところで、ドアがノックされた。
 医者が許可を出すとメイドが入って来る。
 ティーポットやらカップの乗ったお盆をサイドテーブルに置くと、医者の耳元で
何やらささやく。医者は何やら指図している様だ。メイドがカーテンを開けた。し
かし窓までは開けなかったので地上の喧騒は聞こえて来なかった。
 それからサイドテーブルの上に置いた紅茶セットでミルクティーを入れてくれた。
飲み干すとお茶っ葉が底に残るやつを。
 医者は紅茶を銀のスプーンでかきまぜて一口すすると、机の上において言った。
「話の腰を折られたな。何の話をしていたっけ?」
「ソクラテスがどうのこうの」
「ああ、ソクラテスか」
「それが僕らにどういう関係あるの?」
「だから、ソクラテス事件の役どころはそのままビートルズにも当てはまるんだよ。
聞きたい?」
 そう言われれば、聞きたいと言うしかない。「聞きたいね」と僕は言った。
「まぁ、今ふと思い付いた事だから、お茶でも飲みながら聞き流してもらえばいい
んだが」と前置きしてから医者は喋った。
「ソクラテス事件のソクラテスは、ビートルズでいえばジョージだな。
 ジョージの特徴は、一言で言えばエピソードへの執着じゃないかね。言う事がモ
ロだろう。LSDをやって日光浴をするとベーコンが焼ける様だ、とか。そういう
生々しいエピソードを引きずってナメクジの様に進んで行くと、又新しいエピソー
ドにぶつかる。サンフランシスコでニキビだらけのLSDジャンキーに取り囲まれ
た、とかね。そうすると、エピソードとエピソードがガムテープみたいにびったり
へばりつくんだよ。それを、ばりばりばりーっと引っ剥がした瞬間にてんかん発作
の様になる。そして神のお告げだ、マハリシに会わないと、とか。
 何故そんな事になるのか。あの歯医者じゃないが、脳が薄いからエピソードをエ
ピソードのままで覚えているのかなぁ。というか、体で覚えている感じでもあるな。
 そういう人だから、意味の世界は全く理解出来ないだろう。『Taxman』で、税金
を払う意味が分からないと歌っているが。
 さて、ソクラテスもそういう人なんだよ。過去の生々しい記憶、ペロポンネソス
戦争の戦争体験とか、恐怖政治には命を掛けて協力しなかったとか、そういうのを
引きずって生きてきて、そして平和な世になったアテナイの愚民を目の当たりにし
て、ここで発作だ。神のお告げだ。自分が一番賢いと神が言っていると。
 そういうエピソードの世界に生きる人だから、ソクラテスも法律などは理解しな
い。
 いや、法律を守ったじゃないか、たとえ悪法でも法は法と毒杯を煽ったじゃない
か、と言われそうだが、そうじゃない。たとえ死ぬとしても、今起こっているエピ
ソードに執着する訳だ。
 それから、次は、ソクラテス事件の告発者、メレトス(詩人)だが、これはビー
トルズでいえばポールだな。ポールって刹那的な快楽主義者だろう。イルカってそ
ういう生き物だよ。イルカショーで輪っかを投げられれば突っ込んで行くだろう。
輪っかが無ければ漂っている。って事は自ら企ててやっている訳じゃないんだよ。
誰かにやらされているだけで。
 それは誰か。
 ジョンよ、君じゃないのかね。ビートルズのアニュトス(首謀者)は君、という
訳だ。
 君とはどういう人間なんだろう。
 君は、ポールは何時でもshe loves you、誰々がこう言っていたぞー、皆が噂し
ているぞー、みたいに、風説の流布をする策士、みたいに言っているけど、実は君
がそそのかしているんじゃないのかね。アニュトス(首謀者)がメレトス(詩人)
をそそのかした様に。
 君はそうやってメガネを掛けてじーっと見ているが、見ながら感じている訳じゃ
ないだろう。後で思い出すだけだ。だけれども、その時には、もう、生々しいエピ
ソードではなくなっていて、無味乾燥な概念だ。
 そういう君みしてみれば、ジョージの語るLSD体験は妙にリアリティーがある
と感じるだろう。ジョージの奥さんにも、リアリティーを感じているんじゃないの
かね。何しろ自分の女房はブリジッド・バルドーのそっくりさんだから。
 ジョンよ。君の愛は結局Love & Peaceのloveだ。具体的な対象を持たない。♪al
l you need is loveと歌いつつ楽屋を訪ねてくる身障者は嫌いなんだろう。目の前
の身障者無視。そして世界平和を求める。アニュトス(首謀者)だって秩序が欲し
かったのだよ。
 さて、これで、ジョージとソクラテス、ポールとメレトス(詩人)、ジョンとア
ニュトス(首謀者)の類似性は説明したな。
 後はリンゴか。
 これは、カリクレスというアテナイに住んでいた欲張り野郎だ。ソクラテス事件
には直接関わらないんだけれどもね。ソクラテスはカリクレスにこう言った。お前
の欲望はお前の愛人の欲望だ、とね。
 リンゴって、光物がすきだろう。指輪をいっぱいはめていない? あれってリン
ゴの欲望なのかな?
 ああいう石臼は、最初に見たものに価値あり、と思うのだよ。水鳥が最初に見た
ものを親と思う様に。だから、保守的といえば保守的なんだが、自分が最初に見た
ものの保守という訳だ」
 医者は机から受け皿ごとカップを取って、椅子にふんぞり返るとスプーンでくる
くるまわした。
「整理するとこうだ。
 社会をデザインしているのが、アニュトス(首謀者)。
 その社会の一部を見せられて、光っているからと飛びつくのが、カリクレス(欲
張り)。
 そんなのはおかしいと昔の話を晒すのがソクラテス。
 そしてそのソクラテスを黙らせようと、アニュトス(首謀者)がメレトス(詩
人)を使って罪に陥れた、という訳だ。
 つまりプロデュースしているのはアニュトスなんだよ。
 ビートルズをプロデュースしているのは、ジョン、君なんじゃない?
 君がポールやジョージを面白いと思って、それでオーディエンスに見せているん
じゃない?」
 医者はカップを机に置くと、肘掛に手を乗せて、しばらくじーっとこっちを見て
いた。そして「今日はこんなところにしようか」と言った。


●6
 帰りの車の中でも、「ビートルズをプロデュースしたのは君だ」という台詞が頭
の中でぐるんぐるんしていた。
 確かにそれは僕だった。
 リバプールに居た十代の頃、ポールとかジョージになんて、誰も見向きはしなか
った。あんなのは、リンゴ農園の息子と炭鉱夫の息子みたいなものだった。それを
僕が目を付けて、靴墨で染めたジャケットを着せて、右手にポール、左手にジョー
ジを立たせて、そうすると、ポールはぎっちょなので、蝶が羽を広げたような格好
になるのだが、そして僕が彼らの両肩に手を乗せて適当に歌った。そうしたらラジ
オののど自慢でラストまで行った。
 あれは僕がプロデュースしたのだ。
 もっと明確に企てたことがあった。
 二十歳ぐらいの頃、ハンブルグのクラブやストリップ劇場でやっていた頃の事だ。
 スッチーというメンバーがいた。
 僕もスッチーも元は画学生だから楽器なんてそもそも弾けなかった。それでも当
時やっていたリズム&ブルースなんて、ちょっと練習すれば弾ける様になったのだ
が。でも、やった事のないスタンダード・ナンバーをリクエストされたり、通りを
歩いている客を招き入れる為に、突然ノリのいい曲に変えたりする時には、手こず
った。ポールやジョージは下手ながらも歌う様に演奏できたのだが、僕やスッチー
が外す。そのうち客が、「あのバンドは合ってないなぁ」という視線を向けてくる。
でも、誰が外しているのかは分らない。そんなときに僕は「スッチーが又外してい
る」と繰り返しポールに言った。ポールはアホだからそう思う。当面そうやって自
分を守った。
 でもこれ以上外し続けたらビートルズが店を首になる、って時が来て、その頃に
は、自分は上達して即興で演奏出来る様になっていたから、ポールに「これ以上ス
ッチーが外したら命取りになるぞ。それにあいつはお前に借りた50セントも返さ
ないだろう。
 なんでそんなはした金を返さないんだよ。返さなくていいと思ってんだよ。
 お前の事をなめてんだよ。トイレから出てきてタオルが無いからお前のシャツで
拭いても構わないって思ってんだよ」と言ってやると、みるみるポールのリンゴほ
っぺが真っ赤に染まった。
「徹底的に突っ込めよ」と僕は言った。
 そしてポールは、便所でもシャワーでも演奏中でもツッコミまくり、とうとう殴
り合いになって、体はポールの方が全然でかかったから、結局追い出してしまった
なぁ。
 その時僕は思った。このイルカは使える、ってね。

●7

 8月24日、ヒルトン・ホテルで、インドの瞑想の指導者マハリシのレクチャー
を受けた。
 それが終わると早々にロビーに出て来て、僕は一服しながらポールに言った。
「今のはインチキ臭かったな。衣が白すぎるよ。ガンジス川で洗濯したらもっと茶
色くなるだろう。そう思わない?」
 しかしポールはソファの肘掛で頬杖を突いて、ぼーっと宙を見ていた。
「なあ、ポール。ポール」と呼んでも反応が無い。
 こいつはイルカの輪っか、というか、ヘフナーのベースを取り上げられると、
ぼーっとしちゃうんだな。
 そう思って、僕はそれ以上話すのは止めた。
 そしてふと思った。マハリシの格好をしてヨーコとベッドインでもすれば、受け
るんじゃなかろうか。
 ところがそう思った途端、『ブッチャー・カバー』のキューピーちゃんに巻き付
いていた肉の赤味が目に浮かんでくる。
 全くエプスタインのお陰で、とんでもない強迫神経症になってしまった。
 ところがそのキューピーちゃんの顔をよく見るとエプスタインの顔をしている。
隣に転がっているのはリンゴじゃないか。胃腸の病気で入院していた頃の小さいリ
ンゴだ。退院直前にベッドから落っこちて、手術の縫い目が裂けたと言っていた。
そこにはドレーンチューブが挿してあって、血だの体液だのがぽたぽたと流れ出て
来ていた。そうしないと腹の中で固まってしまうから。
「そっかー」僕はため息をつくと、ぼけーっとしているポールに言った。「明日っ
から、皆でバンゴアに行くだろう。エプスタインは行かないから一人で寂しいんじ
ゃない? それでゲイの仲間を集めてドラッグでもやったりするんじゃない? も
しかしたらドラッグのやりすぎで風呂で溺れるかも知れないな。或いは、誰か力の
ある奴に頭を押さえ付けられて、溺れさせられちゃうかも。その後で、ドレーンチ
ューブを喉の奥に差し込んで、ツナでも流し込めば、多分ドラッグでゲロ吐いて窒
息したと思われるんじゃない? そうした方が皆の為だと思わない? ぶっちゃけ、
彼とはシオドキって感じがしているんだよなぁ。聞いている?」
 ポールな頬杖をついたまま小指を噛んで宙を見ていた。モンティー・パイソンの
ボケ役みたいな顔をして。
 聞こえているのかなぁ、と僕は思う。


●8

 それから僕らはバンゴアへ行って、実際にマハリシから瞑想を教わった。
 瞑想から覚めて、絨毯の上で足を崩して、足首などをぐりぐり回している時だっ
た。
 隣に座っていたジョージが呟くように歌っていた。「♪i me mine  i me mine
  i me mine…
  LSDをやっている時には、ナイト・クラブの光だとか、テーブルの蝋燭だと
か、その光に浮かぶ女の顔だとか、色んなものが滲み出してきていて、あれで世界
と繋がれるって感じたけれども、あれはエゴだったんだなぁ。エゴに関係のあるも
のだけが肥大して見えていたんだ。でも瞑想をすれば本当のものが見える。宇宙の
オウムと自分が一体化するから、エゴとは関係ない本当のものが見えるんだよ」
 こりゃあ驚いた。ソクラテスが、宇宙のコスモスと人間の魂は自転車のチェーン
みたいに結ばれている、って言ったのと似ているじゃないか。
 突然僕は電話口に呼ばれた。
 電話の向こうでエプスタインが死んだと言っていた。
 ドラッグをやっていて食べ物を喉に詰まらせたと言う。
 僕は、瞑想していた部屋に戻ると、エプスタインが死んだと皆に伝えた。
 そして皆の様子を見た。
 ジョージは、まだ彼岸に行ったっきり。
 リンゴは最初から此岸にしがみついている。
 ポールは、足首をマッサージしながら庭の方を見ていた。こいつはナチュラルな
感じだ。宇宙とエゴの真ん中のネイチャーに住んでいるって感じだ。こいつは、農
場でアコースティックギターでも弾きながらマリファナを吸っているのが似合うよ。
 こんな奴がエプスタインをやったんだろうか、と僕は思った。或いは催眠術にか
かったみたいに時間が来れば自動的に動き出すのか。そうかもなぁ。スッチーの時
だって動き出したんだから。今はイルカの輪っかが無いから漂っているだけだ。輪
っかさえ投げてやれば動きだすんだ。
 多分世界中には、こういうイルカがいっぱい居るんじゃなかろうか、と僕はイ
マージンした。そいつらに輪っかを投げてやれば、皆が動き出すんじゃなかろうか。
そうだ、そうに違いない。
「なぁ、みんな。僕はヨーコとマハリシの格好をして世界平和を訴えようと思うん
だが」と僕は言った。
「いやぁー、止めた方がいいよ。その内、いかれたファンに射殺されるぞ」とポー
ルが言った。
「なんだよ、お前。僕の死を予言するのかよ。だったらこっちも予言してやる」
 そして僕は一人ずつに言ってやった。
「ジョージ。君はマリファナの吸いすぎで肺がんになる。
 次にリンゴ。君は、子供の頃ベッドから落ちて腹が裂けた様にもう一回腹が裂け
る。
 そしてポール、君はコイル工場の中庭で草むしりをしていたから、ステージで感
電死するぞ」
 皆、ぐったりと疲れた様子だった。
 これは、僕が言った事に疲れたのではなくて、塀の外には、エプスタインについ
てのコメントを求める報道陣が集まっていたので、うんざりしたのだろう。
 でも僕は前向きだった。だってあのマスコミを使って世界のイルカ達にメッセー
ジを送れるのだから。
 僕はカメラの前でベッドインするのだから。
 僕は勃起していた。

              【おわり】


 ●9

 読み終わると明子は、両手を後ろに突っ張ると、ぐーっと胸を張った。
 どきんと不整脈を打った気がして、慌てて背中を丸める。
「長かったなー。それに最後の所がいい加減だった感じがする。でも、パートのマ
ンション管理員がこれだけ書けるっていうのは凄い。それだけ夜間は暇なんだろう。
 しかし長かった。私だったら画面一枚に収められる」
 そしてワードパットを開くと以下の図をタイプした。

        マルチタスク
          −
          −
い ポール=イルカ型−ジョン=イタチ型   い
短 メレトス(詩人)−アニュトス(首謀者) 長
が   ――――――――・――――――――     が
間 リンゴ=石臼型 −ジョージ=ラクダ型  間
時 カリクレス   −ソクラテス      時
          −
          −
        シングルタスク

「うーん、こんな感じかな。
 座標の右上から左下へのラインが、良く言えばナチュラル、悪く言えば動物って
感じ」
 画面右下を見ると、時刻は11:24だった。
 ヨーグルトを食べないと、と思って明子は炬燵から出た。
 あれを食べて寝ると、朝、胸焼けがするのだが、目の周りが潤うのだった。ただ
単にむくんでいるだけかも知れないのだが。
 冷蔵庫を見ると、今日が賞味期限の4個割りのヨーグルトが3つもあった。それ
を全部持って来ると、炬燵で慌てて食べる。時刻が12時を過ぎる前に食べてしま
わないと、と思って。しかし途中で、何でそんな事をするんだろう、と思う。お腹
の中に入ってしまえば賞味期限が過ぎても平気って事?
 ふと、鏡を出して自分の額を見てみる。オデコを電灯に向けて頭蓋骨の形状をチ
ェックしてみると、眉毛の上の方に薄っすらと凹みが確認出来た。これは前頭骨の
繋ぎ目が陥没している訳ではなく、全体的に頭の両脇が万力の様なものでぎゅーっ
と締め付けた様に窪んでいるのだ。だからどっちかというと側頭葉の質量は小さい
様にも感じるのだが、実は頭のサイドの後ろの方が、大げさに言うとトリケラトプ
スの様に広がっているのだった。髪の毛に隠れていて見えないのだが。
 自分はジョン型なんだ、と明子は思った。だからグロ耐性も無いし、ヨーグルト
の賞味期限も気になる。
 明子は、高校時代から今でも付き合っている友達の事を考えた。沢尻エリカ様み
たいな凸っぱちで、将来中年男性にひっかかるんじゃないかと危惧していたのだが、
彼女に「これ、腐ってない?」と渡すと、賞味期限を見るまでもなく、くんくんニ
オイをかいで「腐っていない」と言う。
 ああいうのは、ポール型で動物的な行動なんじゃなかろうか。そう言えば、どん
ぐりの芽が出てきたから春だ、とか、夜中に虫の声が聞こえるから秋だ、とか、丸
で縄文人の様な事を言う。一方自分は結構デジタル化していて、季節の変わ目も、
お彼岸だからなどと暦で納得するのだが。
 そう言えば彼女は妙にグロ耐性がある。飼い猫が死んだ時にも、泣きながらもダ
ンボール箱にぎゅうぎゅう押し込んで市役所の人に渡していた。
 セックスやら異性に対しても鈍感で、鼻ピアスを裏返して見せたりしても平気な
のだ。
 あの鈍感力が、男女の関係を長続きさせるに違いない。
 片や自分はグロ耐性ゼロで潔癖だ。
 もしかしたら私ってお一人様になる可能性があるんじゃなかろうか。
 でも男女のペアだって、どっちかが動物だったら上手く行くんじゃなかろうか。
 ジョンはポールを操ったったと書いてあるから、ああいう動物を見付けて飼育し
てやればいいのではないか。
 しかしあの友達の性格を考えると、ボケてはいるものの、ボケツッコミという感
じで結構鬱陶しい。
 という事は、イルカよりもラクダ、つまりジョージか。ああいうのを探せばいい
のかぁ…。
「うーむ」唸りながら明子は腕組みをして、右手で顎をつまんだ。
 画面の『ビートルズ殺人事件』の最後の行に『蛇足』というのがあった。
「4人の身体的特徴がよく分かる動画」とある。
 リンクをクリックするとyoutube動画の『Your Mother Should Know』が
再生された。
 4人が音楽にあわせて階段を下りてくる。
 ポールはおでこだけではなく体もむっちりしているのが、タキシードの上からで
も分かる。階段を下りてくる足取りも軽やかでバランスがいい。
 ジョンは干物って感じで、スーツが遊んじゃっている。歩き方もよろけながらコ
ケそうになる。らりっているだけかも知れないが。
 ジョージは、農夫の様な太い関節で、がにまたで降りてくる。
 リンゴは体が一体構造になっているからか、肩で風切る様に降りてくる。
 それを見ていて、「こりゃあ、斉木の分類は案外当たっているんじゃなかろう
か」と明子は考えた。
  斉木というのはパート管理員の名前である。










#1070/1158 ●連載
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:10  (425)
斑尾マンション殺人事件 3
★内容
● 10

 翌朝、明子はアパートから出てくると駐車場に向かった。
 フード付きコートを着て、肩からショルダーバックを下げて、手にはお湯の入っ
たペットボトルを持っていた。これは昨夜、時ならぬ雪が降ったから、フロントグ
ラスが凍結していると予想したのだ。朝早くから暖気運動していると、ご近所様に
迷惑が掛かるとも思った。
 しかし社用のジムニーの所に行くと凍結はしていなかった。
 足元にお湯をどぼどぼと捨てる。
 今度は、この水たまりが凍結して誰かが転倒するんじゃないか、と思えてきた。
 こういう余計な心配をするから目の下にクマが出来てしまうのだ。
 車に乗り込むとルームミラーでチェックしてみた。そんなでもなかった。
 夕べのヨーグルトが効いたのかも知れない。

 車を駐車場から出して、道路に出る。
 しばらく走るとすぐに飯山市内に入った。
 車は疎らだった。時々路線バスとすれ違うと、ごとごととタイヤの音が響いてき
たが、それ以外は自分の車のエンジン音しか聞こえてこない。
 交差点で停車していると、自分の車のウィンカーの音が妙に響いてきて、辺りの
静寂さが分かる。
 何で、こんな人っ子一人いない交差点で待っているんだろう、と明子は思った。
 そんな感じで、交差点だの踏み切りを幾つか越えると、県道97号へ出た。
 やがてそれは蛇行する山道になる。

 明子が勤務するのは、マンション管理だの清掃だのを請け負う地元の中小企業な
のだが、事務所は斑尾高原スキー場直結のリゾートマンションの中にある。
 そこまで、直線距離で8キロ、走行距離にすると12キロ位だろうか。
 幾つもの峠をくねくねと上っていく。

 道路脇には、1.5m程度の積雪が続いている。
 溶けたり凍ったりを繰り返しているので、製氷皿の氷みたいな感じだ。
 その向こうには雑木林があるのだが、焼け跡の家屋の柱の様に見える。
 明子はコーナー取りをしつつ、なんだか春の気配を感じないなと思った。
 普通だったら、リスが枝の上をちょろちょろしているとか、雪解け水が小川に流
れ込んでいるとか、そんな感じなのではなかろうか。それともここら辺は長野県で
も北の端にあるので、気候風土が満州とかシベリアの様なツンドラに属する為なの
だろうか。或いはやっぱりこの前の東北大震災と福島原発の事故のせいで、本当は
美しい景色まで殺伐としたものに見えてしまうのかも知れない。
 …てなこと、考えつつ走っていると、車は左右にペンションの立ち並ぶエリアに
入り、更にそれを通り過ぎると、正面にマンションが見えてきた。
 背後には斑尾高原スキー場のゲレンデが広がっている。


●11

 このマンションの概要は次の如くである。
 世帯数は200戸である。
 間取りはリゾートマンションの為1LKから2LDKと小さ目なのだが、共有施
設が充実していて、天然温泉の温浴施設があり、スタジオがあり、フィットネス
ルームがあり、地下にはスキーロッカーもある。これは、居住者が、ここでスキー
靴に履き替えて、歩いて行ける距離のゲレンデでひと滑りして、帰って来るとひと
っ風呂浴びる、という行動を想定したものである。
 今考えると贅沢だが、このマンションが設計されたのが2000年で、ミレニア
ムだの何だのと言って、街中が青色LEDでちかちかしていた頃なので、当時の雰
囲気を反映していると言える。
 竣工は、2009年10月で 竣工と同時に販売代理店もマンション4階に開設
された。
 翌2010年春のスキーシーズン終了までに約半数が売れた。
 その後夏場は全然売れなかったが、下期になってスキーシーズンが到来したら、
又売れ出した。
 そして、この調子だったら今シーズン終了までに完売するのではないか、と思っ
た矢先、東北大震災とそれに続く福島原発の爆発が起こったわけである。
 客足はばったりと途絶えた。それどころか、震災3日後には計画停電の発表があ
り、1週間後には、今シーズンのゲレンデの営業終了が発表された。
 リゾートに来ていた客の大部分は帰ってしまった。
 残っている十数世帯は、現住所が東北地方にある事から、帰るに帰れない人たち
なのではないかと想像された。
 以上の様な事情から、販売代理店も、これ以上案内所を開けていても経費が無駄
になるだけ、と言って出て行った。
 そして、その後にこの号室に入り込んできたのが、高橋明子の勤務先である鰍`
Mであった。この会社はマンションの清掃と管理を請け負っている地元業者である。
  但し、マンションとの請負契約は直接なされているものではなく、東京に本店
のある大通リビングが元請会社になっている。大通リビングは施主である大和通商
の子会社である。
 AMという会社がこのマンションへ入居を希望した理由は次の如くである。AM
の元々の事務所は、飯山市内にあって、経営者所有の木造アパートの2間をぶち抜
いたものだったのだが、今回の地震で全壊してしまった。AMはとりあえず、事務
所の大部分を社長の自宅応接間に移動したのだが、斑尾マンションの販売代理店が
空き家になったのを知って、格安で借り受け、金子という所長と高橋明子を移動さ
せてきたのであった。
 格安にしてもらった訳は、今回の震災で起こるかも知れない諸々の事態、例えば
計画停電などに只で対応するというものだった。
 勿論そういう事でパート労働者の仕事の密度が濃くなったとしても、時給は1円
たりとも上がりはしないのであるが。

 このマンションで働いているAMのパートは次の十名である。

 チーフ管理員  蛯原敏夫(♂62歳)
         勤務時間:9:00〜18:00(火曜休み)

 コンシェルジュ 榎本恵子(♀55歳)
         勤務時間:同上(日曜休み)
 
  24時間管理員 大沼義男(♂60歳)
         斉木浩(♂50歳)
         鮎川徹(♂49歳)
         勤務時間:9:00〜翌9:00
     (一名が24時間常駐勤務を3名が交代で行う)
 
   清掃員    山城清(♂63歳)
         大石悦子(♀60歳)
         額田勇(♂64歳)、
         横田久美子(♀28歳)
         沢井泉(♀23歳)
         勤務時間:8:00〜17:00
     (日曜休み。但し午前中、浴室清掃は行う)
 あと、AMの金子所長は52歳、高橋明子は26歳である。












 マンションの平面図は次の如くである。

           サブエントランス
             ・―・
             | |
・―――――――――――――――――・―・  ・―――――――――・
|              |  | スロ―プ  |
| ・――――――――――――――・ |  |  ―――   |
| |          | |  |       |
| |          | |  |       |
| |          | |・―・       |
| |          | ||レ|自走式駐車場 |
| |          | ||エ|(屋上を含めて|
| | 居住棟      | |・―・ 4階建て) |
| | (10階建て。  | |  |       |
| |  1フロア20戸)| |  |       |
| |          | |  |       |
| |          | |  |       |
| |        ・―・ |  ・―=====――・
| |        |レ| |    リモコン式シャッタ―
| |        |エ| |   
| |        ・―・ |  ←ゴミ集積場
| |          | |
| |          | |
| |          | ・――――・
| |          | |共用棟|
| |          | |   |
| ・――――――――――――――・ |   |
|              |   |
・――――――――――――――――――――・――――・

 ゲレンデ側(南)
共用棟詳細(1階)。


・〜〜〜ガラス〜〜〜〜・――――・――――――――――・
|          |   |        |
|  吹き抜け    |清掃員|共用部     |
|          |更衣室|トイレ     |
|          |   |        |
・――・        ・――/―・ ・―――――――・
|エレ|              /    /
|  |       ・―――――――・――――/――・
・――・        |           |
|階段|   ラウンジ|           |
|  |       |    ボイラ―室  |
・――・    ・―・―・           |
|      |ト| |           |
|      |ン| |           |
|      |ロ| |           |
|      |フ| |           |
住居棟入口  ・―・   |           /
           |           |
|      ・―\―・            |
|エントランス|   |           |
|      |   |           |
|      |管理室|            |
|      |   |           |
|      |   |           |
・―正面玄関―・/――――・―――――――――――――――・


 ゲレンデ側(南側)

共用棟詳細(2階)。

・〜〜〜〜ガラス〜〜〜〜・――――――・――――――――・
|           |    |      |
|  吹き抜け     |スタジオ|フィットネス|
|           |    |ル―ム      |
|           |    |      |
・――・――――――――――――・――/――・――/――――・
|エレ|                    |
|   |        ・―――――――――――――――・
・――・         |           |
|階段|        | 浴場        |
|  |         |           |
・――・―――――・〜〜〜〜|           |
|        暖簾 |           |
|           |           |
|           ・―――――――――――――――・
| 休憩スペ―ス     |           |
|           | 浴場        |
|           |           |
|           |           |
|           |           |
|           ・―――――――――――――――・
|           |           |
|           | 露天風呂      |
|           |           |
・―――――――――――――――・――――――――――――――――・

 尚、地階にはスキ―ロッカ―がある。




●12


 さて、明子は、自走式駐車場に入ると一階一番手前に駐車した。
 車から降りると、マンション西側のゴミ集積場の前を通り、共用部脇のドアから
入館した。
 ボイラー室やらのある廊下を通って、更にもう一枚ドアを解錠してマンション内
部に入る。
 共用部トイレやら清掃員更衣室の脇を通り抜けてラウンジに出る。
 正面玄関からは日の光が入って来るが、節電の為消灯しているので全体に薄暗い。
 フロントは無人だった。本当は『ビートルズ殺人事件』を書いた管理員が居なけ
ればならないのだが、どうせ誰も通らないので、管理室内に引っ込んでいるのだろ
う。
 でも、そこからモニタで見ているかも、と思ってちらっと天井の監視カメラを見
た。
 居住棟に入ってエレベーターに乗ると、4階で降りる。
 マンションの構造は、真ん中に吹き抜けがあって、回りに通路があって、ずらー
っとドアが並んでいるという、アルカトラズ刑務所の様な感じであった。
 天井がガラスになっているので、昼間は明るい。夜間になると映画館の通路並み
に暗くなる。
 明子が廊下を歩くと、足音が響いた。居住者の大部分が居ないのでそう感じるの
だろう。一人になれば心臓の音さえ聞こえてくるのと同じだろう。
 エレベーターを降りて3件目に事務所はあった。
 その前に行くと、そこだけ人の気配がした。換気扇は回っているし、玄関の横の
窓から明かりが漏れてきている。
 ああ、居るんだな、と思って明子はドアノブを引っぱった。

●	13


・―窓――――――――――――・
|          |
|          |
|          |
|  和室      |
|          |
|          |
|          |
|          |
・――・      ・――・
|          |
|          |
|          |
|  リビング    |
|          |
|          |
|          |
|          |
・――・       ・―・
|風呂|   キッチン|
|  |       |
・―/・         |
|          |
・―/・       |
|WC|      ・―・
・――・      下駄箱|
|PS|       |
・―――――玄関――――――・

 玄関でスリッパに履き替えて、パタパタいわせながらリビングに入る。
 まずタイムカードに打刻する。ジーと音がする。
「おはようございます」
「おはよー」ノートPCから顔を上げないまま金子所長が言った。
 原発事故以来、毎日、Ustreamを見っ放しである。
 所長の机の前には応接セットがあり、部屋の隅にはFAXの複合機がある。
 部屋のあちこちにダンボールがうずたかく積まれている。これらは飯山の倒壊現
場から持ってきた物だ。その内24時間管理員にでも整理させる積もりなのか、所
長はそれらを放置していた。余震が来てもこの部屋はあんまり揺れなかったので、
崩れ落ちる心配も無かった。
 その様な足の踏み場もないリビングをすり抜けると、明子は奥の和室へ入った。
 部屋の真ん中にPCラックが設置してあり、足元には給料明細の封筒が入ってい
る紙袋が置いてあった。
  それを見て、ああ、そっか、と明子は思った。
 それらの給料明細は本来25日必着のものなのだが、今回は本社アパートの倒壊
やら引越しやらで遅れに遅れてしまっていた。
  金子所長は、天災だからしょうがない、と言ってくれていたのだが、気にし屋
の明子は気になってしょうがなかった。
 明子はクローゼットの所でコートのボタンを外しながら、何気に襖を3センチ程
開けて地上を見た。
 さっきは無人だったゴミ集積場で、清掃員がプラのゴミバケツを水洗いしている。
 冷たそうだ。
 あの人達はうるさくないのだが、パートの中には狂暴な人も居るのを思い出した。
 額に汗して最低時給で働いている人は本当に狂暴なのだ。そして給料明細が一日
でも遅れると自分にクレームを付けて来る。停電になると検針のおばさんに文句を
言う、みたいに。
 明子は、思い立った様に袋を掴むと所長の所へ行った。
「所長。これから郵便局に行ってきたいんですが」
「今、来たばっかりじゃない」PCの向こうからギョロった眼を向ける。「そんな
んじゃガソリン代がもったいないなぁ。今日の帰りにでも、持って帰ればいいんじ
ゃない?」
「そうしたら絶対に明日の朝には届かないし、そうすると私の所に文句が来るんで
すよ」
「じゃあ行ってもいいよ」あっさり言った。「その代わり、コーヒー入れてくんな
い? コーヒーでも飲めば気分が落ち着くからね。そんなに慌てていたら事故でも
起しかねないしね。それにコーヒーは血管を広げてくれるから体にもいいんだよ」
 そんな理不尽な。交換条件にコーヒー入れろだなんて、しかも、コーヒーを飲む
のはこっちの為になる、みたいな言い方をするし…そう思って所長を見ると、すご
い薬缶頭なのに気が付いた。50代だと思うのだが、コラーゲンが不足しているの
か、顔の皮が伸びきっていて、頭の形がよーく分かる。バーコードヘアから頭皮が
透けていて、整髪料でてかてかしている。エラが張っていて穀物食べてまーす、み
たいな。この人はリンゴ・スターだ。
 石臼型だ。
「なに見てんだよ」
「いや、入れます」
  言うと明子はそそくさとキッチンコーナーへ行った。
 電子魔法瓶を98度にして、天袋から真空パックに分包してあるドリップコー
ヒーを取り出して、カップにセットする。
 ちらっと所長の方を見た。
 あの野郎、女はコーヒーぐらい入れて当たり前と思っているんだな。奥さんにば
っちいパンツ洗わせているんだろう。
 コーヒーに湯を入れると、あたりに香りが広がった。
 それにしても凄い加齢臭だった。その上に床屋系整髪料を塗りたくられたんじゃ
あ、香りなんて分かる訳無い。
 リビングの応接セットにコーヒーを運ぶ。
 二人は向き合って腰を下ろした。
「一応香りがするじゃない」と言って所長がすすった。「ちょっと酸味が強いか
な」
 それはあなたの整髪料のニオイじゃない? と思いつつ明子もカップに鼻を近づ
けた。
「ん?」と小首をかしげてくんくん嗅いだ。「これって香料入ってません? これ
って100均のですよね。この前あそこで石鹸買ったらチープな匂いが漂ってくる
ので、匂いの元を辿って行ったら流しのヨーグルトのだったんですよ。コーヒーに
も香料入れるんだぁ」
 口を付けないままカップを置いた。ふと和室の障子が目に入る。
 みんな寒い思いして働いているんだろうなぁ。みんながここに来たら、自分達ば
っか暖かい部屋でコーヒーすすっている、と思われるんじゃないか。
 そう思った瞬間、キンコーンと玄関のアイホンがなった。
 ぎょっとして所長の顔を見る。
「誰だろう」と所長。
 明子は黙って立ち上がると、キッチンコーナーの壁に埋め込まれているアイホン
を覗いた。
 又しても石臼の様な頭が画面いっぱいに張り付いていた。
「清掃の山城さんですね」と言うとそのまま玄関に行った。
 U字ロックをしたままドアを開けて隙間から「なんでしょうか」と言う。
「開けてくれよ」山城は軍手をした指をU字ロックにひっかけてガタガタいわせた。
「あ、はい」と言ってドアを開ける。
 山城は 玄関で長靴を脱ぎ、持っていたモップを壁に立て掛けると、構わず上が
って来て、洗面所奥の風呂場のドアを開けた。
「こりゃあ汚れているな」と言うと液体が入った桶と大きなスポンジを浴室の床に
置く。
 それからリビングにどんどん入って行き「風呂の掃除はどうする? 今やってし
まおうか」と言った。
「いや、後で私がやるからいいよ」と所長。
 山城はテーブルの上のコーヒーカップを見付ける。「こりゃあ、おくつろぎの所
を」
「くつろいでいた訳じゃないんです。これから郵便局に明細を持って行くところ
で」
「だったらその明細を俺にくんな」と言うと軍手を外して節くれだった手を広げた。
「でも何時も郵送しているんですけど」
「そんなの2度手間だろう。清掃の分は俺によこせよ」
「でもぉ」と所長に助けを求めるような視線を送る。
「渡してあげなさい」と所長。
 明子は紙袋からこのマンションの束を取り出すと、輪ゴムを外して山城に渡した。
「はい、額田さん、大石さん、横田さん、泉ちゃん、山城さん」
「なんだ、切手が貼ってあるのか。来月からはこんなの貼らないで直接俺にくん
な」と言うとぐるり一周部屋を見渡してから、「そんじゃあ邪魔したな」と所長に
言う。
 そして、肩で風を切る様に歩いて出て行った。
 体が一体構造だから、ああなるのだ。
「なんだか威張りっぽい人ですね」
「いいんだよ、ああやって威張らしておけば。自分もパートなのに仕切ってくれる
からな」
 玄関の方を見ると、汚いモップが一本立て掛けたままになっている。
 山城の忘れ物だろうか。あれはオスのマーキングか。
 所長の床屋系整髪料もオスのスプレーみたいなものなんじゃあ…と思って所長を
見ると上体を反らし気味にして左脇腹を擦っている。
「さーてと、俺は便所に行ってくるから、君、郵便局に行くんだったら行っていい
よ」と言って席を立った。
 今のコーヒーはコーヒーエノマか。
 便所に入る所長を見て、変な音が聞こえない内に出かけてしまおうと思い、和室
に走るとクローゼットからコートを出した。
 ついでに襖を開けてあけて地上の様子を見る。
 ゴミ集積場で清掃のメンバーが一列に並んで山城から給与明細を受け取っている。
 なるほど、あれじゃあ山城に使われているみたいだわ、とつい唇をゆがめた。
 ふと目を凝らすと清掃員の一人が双眼鏡でこっちを見ている。
 反射的に身を引いて襖を閉める。
 同時に携帯が鳴った。
 びくっとして番号を見る。080から始まる知らない番号。auだろうか。
「もしもし」とよそ行きの声で言った。
「大沼やけど」今朝から24時間管理員の勤務に付く大沼だった。
「何でこの番号知っているんですか?」
「斉木君に聞いたんよ」
 管理室に電話すれば、壁に張ってある連絡先一覧から自分の携帯番号も分かるの
かも知れない。
「バスがこんのよ。自分、ここに来るって言うとったやろう」
「そんな事言いましたっけ」
「言うとったよ。木曜の朝一で郵便ポストに行くって」
「はぁ」
「来るんか?」
「行きますけど」
「そしたら乗っけてってくれんか」
「いいですけど、20分ぐらいかかりますよ」
「かまへんよ。斉木君にそう言っといて」
「はぁ」
「そんな、宜しくたのんます」
 携帯を折りたたみながら玄関に向かう。
 途中、便所の前で、「郵便局行ってきまーす」と言った。
 同時に、じゃー、と水洗の音。
 大急ぎでブーツを履くと玄関を出た。
 ドアには施錠しないまま、通路を小走りに走って行った。

 出勤してきたのと逆の順序で、明子はエントランスに戻った。
 まだ薄暗く、フロントは空のままだった。










#1071/1158 ●連載    *** コメント #1070 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:11  (433)
斑尾マンション殺人事件 4
★内容
●14  

 明子はカウンターに入ると管理室のドアをノックしてノブを引いた。
「お邪魔しまーす」
 中に入ると、家電量販店並の明るさ。
 真ん中にスチールデスクがあって、24時間管理員の斉木がPCにかじりついて
いた。
「今、日報と一緒にチクリメールを送っていたんだよ」斉木が言った。
 24時間管理員は、日々の日報を管理会社と同時に所長の所にも送ってくるのだ
が、斉木の場合、チクリメールも添付してくる。それは全て、蛯原に関する文句だ
った。
 蛯原は日中居る管理員で、主に居住者の相手をしていた。斉木らは24時間管理
員で、設備管理が主たる業務であった。
「又、何かあったんですか?」と明子が言った。
「全く蛯原って、嵐を呼ぶ男っていうか、あいつが騒ぎを起こすから仕事が増える
んだよね。
 夕べもそうだったんだけど、何が楽しくってああいう事をするんだか分らないよ。
 あれは『アビーロード』でポールが裸足になったのと同じかな。カメラマンの言
う通りにしていればいいのに」
「は?」
「いやいや。余計な事をするって事。夕べの出来事を聞かせてやろっか」言うと斉
木はPCのディスプレイに顔を近付けた。
「えーとね、昨日の夕方、マンションの裏に違法駐車があるというんで見に行った
んだよ。ワイパーにメモでも挟んでおこうと思って」と斉木は語り出した。
「そうしたら、帰りがけの蛯原がサブエントランスからしゃしゃり出てきやがって。
  ハシゴ車の駐車エリアだから、とか、消火栓の上に駐車しているから、とか言
って、早く警察に言ってどかしてもらえ、って言うんだよね。
 俺もそこで無視すればいいのに、つい電話しちゃったんだよなぁ。
 それで、110番通報したら、近所のお巡りが来たんだけれども、結局私有地だ
から駐車禁止にはならないし、呼んだ奴の免許証を見せろ、って俺の免許証をチェ
ックするし。ああやって、俺の個人情報が警察のデータベースに貯まるじゃないか、
お前のせいで、と蛯原に言ったら、
『警察を呼べなんて誰も言ってないよ。まして110番通報しろなんて誰も言って
いないよ。俺はただ所轄に連絡すればナンバーから所有者を割り出して連絡してく
れるんだから、そうすればいいのにって思っただけだよ。そんじゃあ俺は帰るよ。
おさきに』って、してやったりみたいな感じで帰りやがった。
 まあそれはいいんだけれどもね。
 夜中になってフロントでぼーっとしていたら、カサッ、カサッ、っとポストコー
ナーから音がしてくるんだよ。誰かが投函しいるんじゃないかって思って行ってみ
ると、無精ひげ生やした失業者みたいなのと、あと茶髪の元ヤンキーみたいな女が
せっせと投函しているんだよね。
 かーっとして。又俺のせいになるじゃないか。
『どこまで入れた』と俺は言った。
『え、いけないの?』
『入り口にポスティングお断りって書いてあんだろう。お前ら、どこのチラシ屋だ。
名前を教えろよ、上に報告するから』
 その時、俺はメモを持っていなかったんで、そいつらが投函したチラシを引っこ
抜こうとしたんだけど、他のチラシに引っかかって抜けな。思い切って引っ張った
ら破けたんだよね。
 そうしたら、元ヤンキーみたいのが、『人のおまんまのネタを破きやがって。こ
っちは一枚何銭でやってんだぞ』とか言ってきた。
『そんなの知るかよ。だいたい一回投函したらもうこっちの物だろう』
 そうしたら無精ひげの方が、床に落ちている民主党のビラを発見して、
『だったら民主党にもそう言えるのか』と言う。
『言えるに決まってんだろう』
『いやぁ、民主党には言えないでしょう』
『おめーよぉ、民主党はすごい、なんて思ってっから失業するんだぞ。いいから早
く帰れ。でないと警察呼ぶぞ』
『呼んでみろ。こっちはそれでおまんま食っているんだ』
『お前の境遇なんて、知らねーよ』
 とか言っている内に、何だか、こいつらが脱線したぷーたろーで、自分は制度内
にいるとでも思えてきて、そんなに聞き分けがないんじゃあ警察を呼ぶしかないな、
と又110番しちゃったんだよ。
 そうしたら、又夕方のお巡りが来て、又あんたか、ナルソックでも呼べばいいん
じゃないか、みたいに言うから、市民の生命財産を守るのはお前らの仕事だだろう、
と言ったら、それじゃあそうしてやるよ、って言って応援を呼んだんだよ。
 そうしたら、金網つきのランクルで機動隊みたいなのが4人も来た。
 やばいなーと思っていたんだけど、ヤンキーの女が機動隊に、『子供を保育園に
入れられないから夜中に働くしかない』とか『こんなリゾートマンションで贅沢し
ている奴らは死ねばいい』とか吠えてくれたんで助かったよ。
  決してむやみやたらに110番している訳じゃない、っていう雰囲気になった
んで」
  喋るだけ喋ると、斉木は背もたれに体重を預けて踏ん反り返った。
「その2番目の話は、蛯原さんと関係ないんじゃないんですか?」明子が言った。
「だって、そもそもポストコーナーの入り口に施錠しておこう、なんて言い出した
のは蛯原なんだから。ピンクチラシを入れられるから、って。そんなマンションっ
て普通あるのかねぇ。郵便配達が来る度にわざわざ管理員が解錠するマンションな
んて」言うと回転椅子を揺らした。「でも、このメール、やっぱ所長に見せなくて
いいよ。今喋ったら、そんなに大げさにしなくてもいいかなぁ、って思えてきたか
ら」
  そう言って斉木はにーっと笑った。そうすると、下顎に面の皮が引っぱられて、
頬骨の辺りが突出してくる。般若の面というか、星飛雄馬のスパイクの様な形状に
なるのだ。
 明子は、面白い顔しているなーと思って見ていたのだが、斉木のコメカミがツミ
レのように陥没しているのを発見した。「こいつはジョン=イタチ型だ」と思った。
しかし夕べ『ビートルズ殺人事件』を読んだ事は言わなかったが。
 明子はなんとなく辺りを見回した。
 正面に監視カメラや防災盤がある。そっち側からファンの音が響いて来ている。
 後ろにはNTTの盤が並んでいる。
 右手にはホワイトボードがあって1ケ月分のスケジュールが書かれている。
 左奥がキッチンになっていて、冷蔵庫だの電子レンジだのが置いてあるのだが、
パーテーションがあって見えない。
 斉木が立ち上がって、そっちに歩いて行った。
 明子も付いて行って何気に覗いてみる。
「こんな所にカビキラーがある」流しの横に置いてあるカビキラーを指して斉木が
言った。「誰がこんな所に置いたんだろう。夕べの6時からずーっと一人で居たの
に気付かなかったよ。こんなの食器にしゅーっと一吹きされたら胃洗浄だよ」
 斉木は冷蔵庫を開けてしゃがみ込むと、牛乳だの飲みかけのペットだのを出すと、
どぼどぼ流しに流した。
「えーッ。それって誰かが毒を入れたかも知れないから捨てちゃうんですか?」
「そういう訳じゃないけど。次に来るのは48時間後だしね。その間に停電がある
かも知れないから」
「でも今カビキラーがどうとか言っていたじゃないですか。職場の同僚が信用でき
ないっていうのは問題ですねぇ」
「じゃあ、これ飲む?」言うと斉木はコーラのアルミ缶を差し出した。「まだ開け
てないから。でも誰かが何かを注入したかも知れなよ。勇気があるなら飲んでみ
な」
 しかし受け取らないでいたら冷蔵庫に戻した。
 それから2人はスチールデスクの所に戻った。
「そうそう、明細渡しておきます」明子は袋から斉木分の明細を取り出した。「そ
れ、大変だったんですよ、12ケ月も遡って雇用保険、計算するの」
「おー、わりーわりー」斉木は受け取るなり破って中を確認した。
「斉木さん、辞めるんですか?」
「そうじゃないよ。停電だの色々あるから居住者の方から首にしてくるかも知れな
いから、念の為だよ」
「斉木さん、放射能が怖いから、沖縄の方に逃げるんじゃないかって、みんな言っ
てましたよ」
「どうせ逃げるんだったら、もっと遠くまで行くよ」
「ふーん」と言いつつホワイトボードの上の時計を見ると8時15分を回っていた。
「そう言えば、大沼さん、遅れるかも知れないから、そう言っておいてくれって言
ってましたよ。私がこれから迎えに行くんですけど」
「えー。あのおっさん、遅れんのかよ、残業手当なんか出ないだぜ。引継ぎの時間
だって毎回只で残業しているんだから」
「そうやって斉木さんが文句を言うだけ遅れるんですよ。じゃあ行ってきまーす」
と言うと明子は管理室の鉄扉を開けた。


●15

 外に出た途端に冷気が肌を直撃した。
  明子は慌ててフードを被った。
 これだけ寒いのに、マンション周辺の積雪に太陽が反射して眩しい。
 マンションを左手に見ながら駐車場を目指した。
 すぐにゴミ集積場に差し掛かる。さっき事務所から見ていた場所だ。
 山城以外の4人がゴミバケツの蓋を開けては閉めている。本来は水洗いするべき
ものなのだが、居住者が居ないので使われておらず、中身をチェックするだけで終
了なのだ。
 明子は「おはようございます。寒いですねぇ」とありがちな挨拶をした。
 額田という清掃員が「ちょと、あんた」と言ってきた。照り返し防止のキャッツ
アイを額にはめている。
「なんだって山城なんかに給料の明細を渡すんだよ。おらぁ、あいつに使われてい
るわけじゃないのに、あの野郎がこーんなに低い位置で」と言うと右手を思いっき
り下に伸ばした。「こんな所で渡そうとするから、こっちは自然とお辞儀をするよ
うな格好になって、丸で使われているみたいじゃないか」
「そんな事言われたって、所長が渡せって言うんだもの。所長に言ってくださいよ。
今事務所にいるから」と明子はマンションの方を見る。
 こちら側からだと日影になっていてよく見えない。
「所長の入れ知恵でやっているのかぁ」と額田が言った。「前のリーダーに代わっ
て入ってきた時にも、そんな事をしていたんだよ。誰よりも早く出勤してきて、清
掃員更衣室の床に掃除用具を出しておいて。モップだのデッキブラシだのを。そん
で自分は、パイプ椅子に腕組みをして踏ん反り返って居るんだよ。そんで、皆が、
おはようございます、って言って、清掃用具を取ると、自然と頭を下げる格好にな
るだろう。俺らを掌握する為にそんな真似したんだよ。何で同じパートなのに威張
られなくちゃならないんだい? 何で朝っぱらから深々と頭を下げなくちゃいけな
いんだい?」
  言いながら額田はだんだん興奮して来た。しまいには、うーうーと唸るような
感じになってしまい、体も上半身を硬直させて、両腕を激しく震わせて、足では地
団駄を踏み出した。
 なんだ、なんだ、これは。苦しんだ挙句、デビルマンみたいに変身するんじゃな
かろうか。
 そうだ、この人は、デビルマン、バッドマン、タックスマーン、ジョージ=ラク
ダ型だ。
「ほらほら、そんなに興奮すると、又ひっくり返っちゃうよ」と泉が言った。
「そんなになっちゃうの?」
「興奮すると、泡吹いちゃう。こーんなになって」と手足をびくびくさせて痙攣の
真似をする。
 この泉は、ポール=イルカ型だと思った。
 泉の後ろで低い声で笑っている横田は、デビルマンレディーという感じ。
 そういえばフローレンス・ジョイナーがてんかんである事を思い出した。
 やっぱ何か類型化できるな、と明子は思った。
 ふと横を見ると、大石悦子が望遠鏡でAMの事務所方向を見ている。さっき見て
いたのも彼女だろう。「家政婦は見た!」という感じである。しかし、覗いている
というよりかは、監視している感じだ。頭も石臼だ。
 こいつはリンゴ=石臼型だ。
「見える?」明子が聞いた。
「あんまり見えないねえ」
 明子は望遠鏡と取り上げると、つまみを調整してやった。
「ほら見えるよ、所長が手を振っているのが見える。所長ーーーーッ」
「どこどこ」大石は望遠鏡に目を当てるが首をかしげていた。
 明子はハッとして思い出した様に時計を見た。「いけない、こんな時間だ、私行
きます」
 明子は大急ぎでその場を後にして駐車場へ行った。
 ジムニーに乗り込み出庫すると、右手の清掃員達に手を振りながら車道へ出る。
 そして今朝上ってきた峠道を又下って行ったのだった。


●16

 約20分後、明子は、飯山駅から200メートル程度離れた路上に駐車すると、
ハザード出して車から下りた。
 歩道を横切って郵便局に向かう。入ろうと思ったが、ポストでも同じだと思い、
ポストに投函した。
 集配時刻を確認すると午前中は10時となっていた。
 これだったら今日の消印になるだろう。
 それからジムニーに戻ると大急ぎで駅に向かった。
 ロータリーの手前に停車すると、はぁ、と溜息を吐く。
「大沼さん、どこにいるんだろう」
 ハンドルにもたれかかってバス停留所の小屋を見てみた。
 それらしい人影は居ない。
 携帯を取り出して、着信履歴から大沼に掛けてみた。
「自分、見えとるでー」受話器の向こうで大沼が言った。
 明子はきょろきょろした。
「ここや 100均の前や」
 そちら方向を見ると、フィリピン人風の女性2人が、大沼に抱きついてキスして
いた。大きいコンビニ袋を持って、人目もはばからず。
 あのキスだけで、あんなに買ってもらえるのか。
 大沼は女と別れると、小走りにジムニーの方は駆け寄って来た。
 乗り込んでくるなり、酒と日焼けオイルの様な香水の匂い。
 それに、なんという格好をしているんだろう、ベティーちゃんが背中に刺繍して
ある革ジャンにブリーチしたGパン。どこで売っているんだろう。なんちゃってブ
ラザーが店員をしているヒップホップショップ?
「なんなんですか? あの人達」
「日系ペルー人や」
「何している人?」
「養鶏場で鶏の首、絞めてるんや」
「えー。なんでそんな人達と付き合いがあるんですか?」
「まぁ、ちょっとした事で知り合いになったんよ。一緒に飲む様になって、飯も作
りに来てくれるんよ、わしの夜勤明けには」
 こりゃあ何か訳ありだな。プレゼントを贈ってキスしてもらって。裏で何をして
いるのか分かったもんじゃない。
「斉木君も付き合っているんよ。彼、結婚するんと違うか」
 えっ。あの斉木が? 明子は彼の顔を思い浮かべた。
 いくら養鶏場で働いているからといって、斉木と一緒に居たいわけが無い。
「ずるいですね」と明子は呟いた。「あんなの、結婚できる男じゃないのに、出稼
ぎ労働者の弱みに付け込んでいるんじゃないんですか?」
 大沼は、ふんと鼻で笑った。「まぁ、ええから、ええから。はよ出して」
 明子は口を尖がらせつつサイドブレーキを外した。

 街を出ると、すぐに又県道97号の峠を上りだす。
 酒が残っていて吐いたりしないだろうか、と気をもんだが、
「タバコ吸ってもええやろ」と言ってきた。
「どうぞ」
 大沼は、一本くわえると窓を3センチぐらい開けて、使い込まれたライターでジ
ュポンと火をつけた。
 吸い込むとメラメラメラ〜と燃える。
 灰色の煙を吐き出す。
 煙の匂いが車内に広がった。
 これは高校生の時、遊び場の壁紙に染み付いていた匂いだ、と明子は思った。
 なんで大沼のタバコは臭くないんだろう。所長のタバコなんてプラスチックでも
燃やしたみたいにツーンとくるのに。
「仕事、どうや」
「うーん。疲れますねぇ」と明子は言った。
「仕事が増えた訳やないんやろ」
「うーん。でも、なんで疲れるんだろう」所長の顔が思い浮かんだ。眉に力を入れ
て弛んだ瞼を引っぱり上げる三角形の目。「所長がウザいから」
「あれかて俺より10も若いんやで」
 明子はちらっと大沼を見た。
 この人もジョージ=ラクダ型だ、と思った。
 フェリーニの『道』の主人公みたいな雰囲気がある。世間の約束とは関係なしに
獣道を歩いて行く人みたいな。あの映画みたいに行きずりの外人を拾ったりするの
が似合うのかも。
 でも、歳食い過ぎ。
「所長かて、雪が溶ければどっかに遊びにいってまうよ。春までの辛抱や」と言う
と、大沼は火種だけ窓の外にすっ飛ばして、吸殻を灰皿に入れた。
 そんなこんなの話している内に車はマンションに到着した。
 正面エントランスに横付けすると、大沼は「ありがと、ありがと」と言って降り
て行った。
 ベティーちゃんの刺繍を見ていて、フェリーニの『道』は褒めすぎかな、トリカ
ブト事件のスナック経営者にも似ているな、と明子は思った。


● 17

 大沼が降りてくる様子を、斉木は、フロントのカウンターから眺めていた。
 管理室の鉄扉が開いて大沼が入って来た。
 それからすぐに、コンシェルジュの榎本が、そしてチーフ管理員の蛯原も出勤し
てきた。
 この2人は、ラウンジを挟んで反対側にある清掃員更衣室で着替える。
 大沼ら24時間管理員は、ボイラー室で着替えていた。居住者の捨てたプラの衣
装ケースを拾ってきて、ロッカー代わりに使っていた。
 しばらくして、まず蛯原が戻って来た。
 Yシャツのボタンを3つぐらい外して、ネクタイをぶら下げて、ニットのベスト
を全開にし、開店前のスナックのマスターみたいないでたち。顔は北島三郎だ。
 フロントに居る斉木の前を、お前なんか居ないのも同じだよ、てな感じで、かす
れた口笛を吹きながらスルーして、管理室に入って行く。
 そしてまずデスクに携帯とタバコを置く。俺の領土、みたいに。
 それからキッチンコーナーに入って行った。あそこの冷蔵庫にはmyらっきょの
瓶が入っている。流しの横には小汚いmyタオルがぶら下げてある。
 自分で入れたインスタントコーヒー持って出てくると、タバコの横にどんと置い
た。
 こぼさないかなあ、と斉木は思った。こぼせばいいのに。そうすればPCの裏か
ら吸い込んでおシャカになる。
 蛯原はスチールデスクに半けつを乗せると、ばさっと新聞を広げた。
 ありゃ何気取りだ、カウンターから眺めつつ斉木は思う。デカ部屋の刑事コジャ
ックみたいな積もり? しかもタンソクだからつま先しか床に付いていない。だい
たい普段から誰かになり切っている感じだよな。ジェームズ・ディーンみたいなス
イングトップを着て来たり、刑事コロンボみたいなよれよれのコートを着て来たり。
 あんまり見るのは止めておこう。折角距離が取れているのに、下手にお近づきに
なったら、又厄介に巻き込まれる。夕べも設備屋から変な電話があった。あれは何
なのか聞きたいところだが、もし蛯原が何か画策しているのなら、下手に聞けば飛
んで火にいるなんとやらになってしまう。まず大沼に聞いてみよう。そして案の定、
何か企てていたとしても、全部大沼におっつけてしまおう。今は夜勤明けだ。俺は
すんなり帰りたいだけだ。
 そう思いながら顎を撫でるとじゃりじゃり音がした。
 榎本が現れた。スーツがパンパンで木目込人形みたいだ。喪服を着たら都はるみ
に似ているかも知れない。
 斉木はフロントの内側から「榎本さん、榎本さん」と呼ぶと、葉書を手渡す。
「誤配だって。居住者が持って来た。それから」と言うとポストイットの小さなメ
モを読む。「206の宅配ロッカーが荷物を出してもランプ付きっぱなし」
「はいはい。分りましたよ」
 榎本は管理室に入ると、すぐ左側のスチールのキャビネットの上に手帳を広げて
背中を丸めて亀の様に固まった。
 この狭いフロントと管理室に、9時〜6時で蛯原と一緒じゃあ堪ったもんじゃな
いだろう。
 前に、蛯原の座っている椅子の周りにぐるり一周、ファブリーズを噴霧した事が
あった、臭い、臭い、臭ぁーい、と。
 あの時には、蛯原も切れるんじゃないかと思ったが、脂汗を流しながら奥歯を噛
み締めて堪えていた。
 榎本も、ありゃあ四国出身と言っていたが、極道の妻じゃないのか、と眺めつつ
斉木は思う。清掃の山城と仲がいいから、あのオッサンを番犬にしているのかも知
れない。
 最後に作業着姿の大沼が現れた。斉木は立ち上がると、ポケットから鍵の束を取
り出して、それにつながっているビニールのスパイラル・ストラップを腰のベルト
通しから外して渡した。
 それから「ちょっと、ちょっと」と作業着を引っぱってフロントの奥に呼び込む。
「なんや、なんや」酒の残っている大沼はよろけながら引っぱられて行く。
「昨日の夜、設備屋から電話があったんだけど。管理室の外の下水管を工事するん
で、近い内に様子を見に行きたい、とか言ってたけど、なんか聞いている? 又な
んか蛯原が画策してんじゃないかと思って」と斉木は言った。
 そもそも管理員と言っても蛯原だの榎本だのは居住者相手であり、斉木、大沼ら
は設備の管理を主たる業務としていた。そしてこのマンションの設備管理で重要な
のは温泉施設の管理であった。
 その温泉について説明をすれば、ここの場合、どこか近所に活火山があって、熱
湯の温泉が吹き出していて、掛け流しで使う、というものではなくて、冷たいもの
を汲み上げて来て、直径2メートルのろ過器2台(屋内と露天)でぐるんぐるん循
環させて、途中のボイラーで暖めるという方式のものだった。そして、ろ過器の中
には湯垢やらバイ菌が溜まるから、掃除のために逆流させて排水する、という作業
を行わなければならなかった。しかし屋内風呂と露天風呂の両方をいっぺんに逆洗
すると、排水量が下水管のキャパをオーバーしてマンホールから溢れてくる。さり
とて片方ずつだと時間がかかる。だから一週間に一回でいいんじゃない、と24時
間管理員の間で勝手に決めていた。
 ところが先日保健所が来た時に蛯原が「週に一回の逆洗じゃあレジオネラ菌が湧
いたりしませんか? 毎日やった方がいいんじゃないですか?」と役人に言ったの
だった。そう言われれば役人は、そうやれと言うに決まっている。斉木としては、
「何を余計な事言ってんだ、この野郎。設備の管理は俺らがやっているんだから、
おめーが仕事を増やさなくても」と思ったのだった。
…そういう伏線があっての昨夜の電話だったので、「又何か企んでいるのでは」と
思ったのだが。
「なんも聞いとらんでー」と言うと大沼は管理室の中に入って行った。
 あいつが脇が甘いんで、蛯原に突っ込まれるんじゃないのか、と斉木は思う。
 大沼はふらふらと、蛯原の方へ歩み寄って、読んでいる新聞の一面を握り締める
と「爆発しとるでー」と言った。「斉木君、ペルーに行ったら空気がええんとちゃ
うか」
「あんまりはまらないで下さいよぉーほほほほほ」榎本は甲高く笑った。
 榎本も、大沼の日系ペルー人関係の話には興味津々だったのだが、蛯原もいる所
でその話をしたいとは思わなかった。だから中年女性特有の、笑いながら目の下が
痙攣している、という感じの返答だったのだが。
「おーい、早く引き継ぎ、やってんか」と大沼が言った。
「じゃ、やっちゃいましょう」ネクタイを締めながら蛯原が集合を掛ける。
 斉木もフロントから一歩だけ管理室に入った位置に移動した。
「おはようございます。今日は3月24日で」と蛯原がホワイトボードを見る。
「それじゃあ、斉木さんから何か」
「何もありませーん」と慇懃無礼に。
「榎本さんは」
「ありませーん」と手帳に目を落としたまま。
「分かりました、と。私の方からは、と」蛯原はホワイトボードを見る。「引越し
は無し」
 ある訳ねーだろう、と斉木は思う。
「計画停電は中止。大沼さん、仕事が増えなくてよかったね」
 おめーが増やしてんだろ。
「あと、そうそう」と思い出した様に蛯原が言った。「今日、小沢組が午前から来
て、管理室を出てすぐのマンホールのとこから水があふれるから、その工事をしま
す」
「え、何の話?」と斉木。
「両方いっぺんに逆洗すると溢れるっていうから下水管を太くするそうです」
「ちょっと待てよ。俺は何も聞いてねーぞ」後頭部のニューロンが一気に発火する
のが分かった。
「私もただ、大通リビングの工事部に言われただけだから」
「訳ねえだろう。わざわざ大通リビングが率先して銭使う訳ねえだろう。まず俺ら
に、片方ずつ排水しろとか言ってくる筈だよ。それをいきなり下水管の工事なんて、
おかしい。おめーが何か言ったんだろう」
「私はただ、保健所が毎日排水した方がいいって言っていましたよー、って。じゃ
あ何でやらないんだって聞かれたから、両方いっぺんに排水するとマンホールから
溢れて、そこが凍結して、居住者がすってんころりんして、管理会社が訴えられる
かも知れませんよー、って。それでもやりますか、って聞いたら、下水管を太くす
るしかないな、って言ってきた」
「やっぱりおめーが誘導しているんじゃないか」
「聞かれたから言ったまでだよ」
「下水管太くしたら毎日排水しなければならないじゃないか。大沼さん、なんとか
言えよ」
「あそこの配管ってこんなに細いんよ」と両手でわっかを作って見せた。
  なんの話をしているんだ、と斉木は思う。
「その向こうに避雷針が埋まっていて、こっち側にこの建物のH鋼があるんよ。そ
んでその配管が塩ビやから、それが絶縁体になっておるんよ。だから交換するんだ
ったら、変な埋め方をしたら、駄目やで」
 なにぬかしとんねん、この設備オタクが、と斉木は思う。
 しかし、どうして自分はこんなに簡単に頭に血が上ってしまうのだろうか、とも
斉木は思った。タイムカードを押して、さっさと帰ればいいじゃないか。次の勤務
日も、見て見ぬふりをしてやり過ごせばいいじゃないか。とにかく頭を冷やさない
と。それに喉もカラカラだ。
 斉木はキッチンコーナーに行くと冷蔵庫を開けた。アルミ缶のコーラを取り出す。
プシューっと開けてその場で半分位飲み干した。
 キッチンコーナーを出てくると、誰も居なかった。
 あれ、みんな何処行ったんだろう。
 フロントに出ても誰もいない。
 榎本、大沼は銭湯の券売機の精算に行ったんだろう。
 蛯原は何処に行きやがった。これじゃあ帰れないじゃないか。もう引継ぎは終わ
ったのだから帰ってもいいのだが、ちゃんとバトンタッチして帰らないとスッキリ
と夜勤明けを迎えられないじゃないか。
 畜生、何処に行きやがった、とフロントから出ると、後方の廊下から高橋明子が
現れた。
 さっき大沼を下ろしてから20分ぐらいたっている。途中のトイレでうんこをし
ていたんじゃなかろうか。
「あれ、そのコーラ、毒が入っているんじゃなかったんですか?」と明子はコーラ
を指差す。
「いやー、余りにも頭に来たんで、毒でも煽りたい気分なんだよ」と言ってから、
斉木は、これこれこういう訳で、と下水管交換の顛末を話してやった。
「それって丸でジョン・レノンのポールへの視線と同じですよ」と明子は言った。
「はぁ?」いきなりジョン・レノンって。こいつも話が飛ぶなぁ。
「ジョンは、ポールは何時でもシー・ラブズ・ユー、何かを企てている…、って言
っていたじゃないですか。斉木さんも、蛯原さんは何かを企てているって言うじゃ
ないですか。でも、ビートルズの場合には、ジョンの下衆勘だと思うんですよねぇ。
だって、今スマホで読んだんですけど、ジョンって、『アビイ・ロード』のジャケ
撮影の時にも、ポールは秘かに裸足になっていた、あいつは何時でも何かを企てて
いる、とか言っていたけれども、でも、撮影の時に一緒に居たんでしょう? 気が
付かない自分がおかしいじゃない? メガネの度があっていないんじゃないの? 
そう思いません? ジョンって思い出しちゃイマージンしているんですよ、きっと。
 だからって訳じゃないけれども、今の下水管の話にしても、おかしいのは蛯原さ
んじゃなくて斉木さんなんじゃないんですか?」というとハッとした様に口をおさ
えて「あ、変な事、喋っちゃった。私は行きます」と言って居住棟へ消えて行った。
 それから斉木はコーラを持った手をだらーんと下げて、立ち尽くしていたのだが、
今度は清掃の大石悦子が現れた。
「ちょいと。共用部の便所の電球、切れているわよ」
「俺、もう上がりなんだけれども」
「誰でもいいから、お願いね」












#1072/1158 ●連載    *** コメント #1071 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:12  (466)
斑尾マンション殺人事件 5
★内容

●18

 斉木は、空のアルミ缶を作業ズボンのポケットに入れると、共用部のトイレを見
に行った。
 センサーで反応するタイプなのだが、斉木が近寄ってみると、洗面所の片方の球
が切れているのが分かった。
 斉木は、ちっと舌を鳴らした。かったりー。
 後方の廊下を通って、ボイラー室に向かった。そこに電球の在庫が置いてあるの
だ。
 ボイラー室の扉を開けると、清掃員がパイプ椅子に座っていた。
 額田、横田、泉、大石。
 ボイラーが消えているので防寒着を着たままだった。
「山城は?」入りながら斉木が言った。
「変電室かどっかでタバコでも吸ってんだろ」と額田。
「ここじゃあ絶対に吸わせないからな。俺の勤務日には」
 言いながら斉木は、貯水タンクの下の台車を引っ張り出した。そして電球の在庫
を漁ったのだが、待てよ、と思った。勤務時間オーバーしているのに何で俺が交換
しなくちゃいけない。大沼がやればいい。でもあれもすっ惚けたオッサンだから、
その次の鮎川がやればいい。
 斉木は台車を足で蹴り入れると、天井の配管にぶら下がっている化繊ダウンを取
った。
 何時も着替えないで、作業着の上にそれを着て、そのままバイクで帰るのだった。
「俺、もう帰るわ」と清掃員に言う。
 出て行こうとする斉木に、大石が、すがる様に寄ってきた。
「ちょっと待って」
「何だよ、まだ何かあるのかよ」
「ちょっとさぁ」と困った様な顔をする。
 他の清掃員も心配そうな様子である。
「何?」斉木は眉毛を動かした。
「実はね…」
 大石が言うには、サブエントランスの裏口のドアに鳥の糞がべっとりこびり付い
ていたのでヘラでこじったら30センチぐらいの傷を付けてしまった、という事だ
った。自分らはパートと言っても請負契約社員だから、物損を出せば損賠賠償にな
るが、あんなドア、業者に塗らせたら3万も5万も取られてしまう。月に8万しか
貰っていないのに5万も取られたらもう何も買えなくなってしまう。
「週末にお父ちゃんと卸売りセンターでウニ丼を食べる積もりだったんだけれども、
それも諦めるようかねぇ、うぅーーー」
「斉木君、塗ってやれよ」と額田がパイプ椅子から言った。
「そんだったらよぉ、張り紙でもしておけばいいんだよ」言いながら斉木は清掃員
の方に歩いて行った。「雪で滑ります、とか、足元注意、とか書いて貼っておくん
だよ。それを蛯原の前でこれみよがしに書くんだよ。そうすればあいつがオスの
マーキングで、すぐにパウチの張り紙に交換するから。そうしたら又それを引っ剥
がして、又自分の張り紙をしておくんだよ。そんなの一週間もやっていれば、傷だ
らけになって元の傷なんて分からなくなるから。ガード下の電柱みたい」
「本当かい?」と大石。
「本当だよ」
 斉木はここに来て蛯原のこの習性をすぐに発見した。斉木がここに就職した頃は、
共用部の鍵など誰も管理していなかった。そこで夜中の暇な時間に、斉木が本数を
チェックし、鍵台帳を作成した。ところが次回の勤務日に来てみると、ベニヤ板に
鍵がぶら下がっているし、鍵台帳も作り直してあった。次に、割れたままの蛍光灯
のカバーがあったので、取り外して、サランラップで雨水が入らない様に養生して
おいたら、次の勤務日には、アロンアルファで直したカバーが取り付いていた。更
に、雨で滑ります等の張り紙をすると、すぐにワープロとテプラで作った張り紙に
貼り替えられる。
「なんだこいつは。犬か。小便した後に又小便を掛ける、みたいな真似しやがって。
でもこの習性を利用して何か出来ないかなって思ったんだよ、鮎の友釣りみたいに
さ。そんでこれは隠蔽工作に使えるなって。実は額田さんにもあるミッションを仰
せつかっているんだぜ」
 額田は舌を出すとデヘヘと笑った。
「何、何、それ」と女らが興味津々である。
「もうすぐミッションコンプリートだから、教えてもいいかな」
「いいよ」と額田。
 斉木は皆にそのミッションを説明した。
 それは、清掃グループの独裁者山城を追放し、自由と民主主義を回復するという
ものであった。
 このミッションは2つの作戦行動により完了する。
 まず最初の作戦は、清掃員更衣室を綺麗にするというものであった。
 斉木は、「清掃員の為にあの部屋を綺麗にする」と宣言して、小汚いモップにビ
ニール袋を掛けるなどした。
 そうすれば蛯原が真似をする、いやもっと大掛かりな事をするだろうと期待して。
 そうしたら蛯原は、まず、清掃員更衣室の清掃用具をボイラー室へ移動させた。
わざわざ大通リビングの許可を得て。それから、清掃員の為にと居住者の捨てた小
型冷蔵庫を拾ってきて、自動販売機屋からコーラを貰って入れておいた。
 この様に、一度清掃用具がボイラー室に移動され、清掃員の出入りが自由になる
と、ボイラーを焚いている時には暖かいものだから、だんだんそこに屯するように
なるし、しまいには休憩もそこでとるようになる。
「それが今のあんたらだよ」と斉木は言った。「独裁者からの解放はまず移動の自
由からだ。まあ、ここは難民キャンプみたいなものだよ。だけれども、あんたらは
故郷に帰らないといけない。それがミッションその2」言うと斉木は人差し指と親
指の2本立てた。外人みたいに。「蛯原には風説を流布する悪い癖があるんだよ。
誰々がこう言ってましたよーって。額田さんが、清掃員更衣室は寒いって言ってま
したよー、隣の農家の豚小屋にはストーブがあるのに清掃員更衣室には何もない
よー、って。そう蛯原が吹聴する様に俺が仕込んでおいたから」
「俺、そんな事、言ったっけ?」
「実際に言ったかどうかはどうでもいいんだよ。現代戦は情報操作だから。
  とにかく仕込みは完璧だから、ミッションコンプリートは近いぞ」


● 19

 フロントに戻ってもまだ誰も居なかった。
 斉木は、作業着のポケットに両手を突っ込んで、肩を怒らせて、その場をうろつ
いた。丸で人足寄せのトラックを待っている労務者の様に。
 やがて後方の廊下から蛯原がハァハァ言いながら戻って来た。
「あれ、まだ居たの? いやー、駐車場の屋上が凄い凍結だ。あれじゃあ人も車も
すってんころりん」と如何にも一仕事してきました、みたいな顔をしているが、す
っかり香ばしくなっている。
 でも、引継ぎの時にあれだけ揉めたのに、一服すれば忘れてしまうというのは、
ヒステリーの斉木にしてみれば有難くもあるのだが。
「じゃあ、俺、帰るよ」
「いいよ、いいよ」言うと蛯原は管理室を素通りして鉄の扉から出て行った。
 マンション右手に歩いていくのが正面の自動ドア越しに見えた。
 とにかくさっさと帰ってしまおうと踵を返した瞬間、カウンターの内側の電話が
鳴った。ここで出なければいいのに、やっぱり気にし屋なのでつい出てしまう。
「はい、斑尾マンション、管理センター、斉木です」
「高橋ですけど」
「なんだよ」
「事務所のドアが開かないんですよ。キンコン鳴らしても出てこないし。中で何か
あったんじゃないかと思って。ちょっと来てもらえませんか?」
 それだけ言うと、ぷちんと切れてしまった。
 何なんだよこれは、と思いつつエントランスに出て辺りを見回す。人の気配がし
ない。ちっと舌を鳴らすと「しょうがないか」と斉木は呟いた。
 しかし鍵がない。
 ボイラー室に行って額田から鍵を借りた。
  それで居住棟に入った。

 エレベーターに乗って4階へ。そして通路をちょっと行くと、AMの事務所前の
高橋が見えた。
「おーい。携帯がいきなり切れたけれども、何なんだよ」
「変な所いじっていたら切れちゃったんですよ」
「本当かよ。俺が気にし屋なのを知っていてわざとやったんじゃないの?」
 斉木はドアに張り付くと、キンコン、キンコン、キンコンとチャイムを連打する。
ドアノブをがんがん引っ張る。そしてドアをどんどん叩きながら「所長ーッ」と怒
鳴った。
 それから明子の方に向き直り「管理員だからって開けられる訳じゃないんだよ」
と言った。
 明子は斉木をじーっと見て「それはそうに決まっているけど。じゃあどうすれば
いいんですか?」
「ナルソックを呼ぶしかないね。3000円かかるけど」
「じゃあ呼んで下さいよ」
 斉木は携帯を取り出すと蛯原に電話した。これこれこういう訳で所長が閉じ込め
られている、と。
「そりゃあ大変だ。さっそく手配しないと」受話器の向こうでハッスルしているの
が分かった。
 携帯をポケットにしまいながら斉木が言った。「俺、今日は残業手当、請求する
からね。ナルソックだって飯山市内から来るんだから結構、時間食うんだから」
「所長に言って下さいよ」
「所長が死んでたら?」
「えッ」と後ずさりながらドアを見る。「これって火事とかだったらどうするんで
すか?」
「そりゃあ、いざとなれば、隣が未販売だからコンストラクションキーで入って、
ベランダの仕切りをぶち破るとか。でなきゃ上の階からロープを垂らして、『ダイ
ハード』みたいにベランダに飛び込むとか」
「ナルソックって、マスターキーみたいなの、持っているの?」
「タメ口利いてんじゃねーよ。まぁいいけど。あれだよ、管理室の壁にナルソック
しか開けられないキーボックスが埋め込んであるんだよ。もっとも管理室に入るに
は管理員が付いていないと駄目なんだけれども」それから斉木は声を潜めて言った。
「実は蛯原が、あのキーボックスを開けられないかって企んでいるんだよ。このマ
ンションを自分の家だと思ってんから」

 やがて蛯原がひょろりとしたナルソック隊員を連れてやってきた。
 そしてナルソック隊員が解錠する。
「警戒設定が解除になりました」というボーカロイドみたいな音声が鳴った。
 蛯原が開ける積もりで勢いよくドアをひっぱると、がたんとU字ロックに引っ掛
かった。
「あれ。チェーンが掛かっているぞ」そしてナルソックに向かって、「これ開けら
れる?」
「無理っすね。消防署を呼んでも大きいワイヤーカッターでばきばきばきーっと壊
すしかないんで」
「ところが斉木君が開けられる」にーっと笑って斉木を見る。
 かつて、居住者がドアの内側にあるU字ロックに帽子をぶら下げていて、自分が
出た拍子にU字ロックが掛かってしまった事があった。その時には鍵屋を呼んだの
だが、何やら特殊な道具で開けたと言うのだが、それがどんな道具なのだかを教え
ない。警察でも消防でも巨大ワイヤーカッターで壊すのに、何で鍵屋がそんな道具
を持っているんだろう…と斉木が考えに考えた末、ビニール紐で外側から外す方法
を発見したのだった。そして、鍵屋を呼べば2万3万と取られるのだから他の管理
員とも情報の共有をしておいた方がいいんじゃないか、とついうっかり蛯原にも教
えたら、居住者と廊下ですれ違う度に、「いい事を教えてあげますよ」と丸で手品
でも見せるように得意気に披露して、「これを知っておけば万一の時に鍵屋を呼ば
なくて済みますからね。まあこれは斉木から教わったんですけどね。斉木から」と
自分はあくまでも善意の第三者であるまま、シー・ラブズ・ユー方式に拡散してく
れたのであった。
「だから俺は開けないよ。泥棒被害でもあったら俺のせいにされてしまう。それに
紐も無いだろう」と斉木。
 蛯原がポケットからビニール紐をずるずると引っ張り出す。
「いやに用意がいいじゃないか」と斉木。
「俺がやってもいいんだけど、背が低いから届かないんだよ」
「でもいいや。開けても」突然斉木が態度を変えた。
 というのも、後日斉木はメーカーにクレーマー的に問い合わせをしたのだが、あ
れはあくまでも人間がドアの隙間から覗くのを補助する器具であって、鍵として使
用してもらっては困る、という説明を受けたのだった。それを思い出したのだ。
 斉木は蛯原から紐をひったくると、ドアの隙間からU字ロックに引っ掛けて、そ
の紐をドア上部から蝶番側に回すと、紐が弛まない様に引っぱりながらドアを閉め
た。
 閉まった瞬間に、パチンと外れる音がした。


● 20

 蛯原がドアを開けた。
 全員が何気に耳をすます。
「栗くせー。温泉で塩素の値が高過ぎるとこのニオイがするんだよね」と斉木。
「一番奥が和室だよね」と蛯原が高橋明子に聞いた。
 うなずく明子。
 蛯原が意を決した様に突入した。
 窓が開けられ、玄関も開け放たれているので、空気がさーっと流れて来た。
 そして、ナルソック隊員、斉木、高橋も入る。
 今や、玄関からリビングへの廊下に4人がひしめいている。
 ナルソックが洗面所に入りトイレのドアをあけた、が中は空だった。
 次に風呂場のドアを押した。
 ざーっという音が聞こえる。
 更にドアを押し開けると、所長が壁に背にへたり込んでいるのが見えた。Yシャ
ツに、スラックスの姿。両手両足を伸ばして、首をうなだれている。左手にはシャ
ワーを持っていて水が自分に掛かっている。口からは泡の様な吐しゃ物が出ていた。
 見た途端、斉木と高橋はリビングに逃げる。
「俺、グロ耐性、無いんだよ」
「私も」
 蛯原とナルソックが靴下を脱いで、浴室に入って行った。
 蛯原はシャワーのカランをバスタブに入れると「死んでんのか?」と言った。
 ナルソック隊員は首をかしげながら、しゃがんで、脚を揺らしてみる。
 蛯原も腹のあたりを突いてみた。「おい、所長。所長」と声を掛けるが返事がな
い。
「どうしたらいい?」
「もちろん119番通報でしょう」
 蛯原がその場で119通報する。「こちらは斑尾マンションです。住所は飯山市
斑尾高原**番地。目標になる公共施設等は斑尾高原スキー場のゲレンデです。こ
れは火災ではなく救急車のお願いです」とマニュアル通りの文言を言ってから、で
かい声で「とにかく救急車を出して下さい。それから、目の前で人が倒れているん
ですが、これはどうすればいいんですか。動きませんよ。口から何か吐いてます。
人工呼吸なんてやった事ないですよ。ナルソックがいるんですが」そこまで言うと、
携帯端末をナルソックに差し出した。「変われって言ってんぞ」
 ナルソックが出ると何やら指示を受けていた。
「じゃあ運び出しましょうか。そうしたら私が人工呼吸しますんで」
 2人で両脇と両足首を持ってリビングに運ぶ。
「おい、そこの防寒着を床に敷いてくれ」と言われて、斉木と高橋はソファの上に
丸めてあった防寒着を床に敷くと、今度は和室に退避した。
 所長を寝かせると、ナルソックが吐しゃ物を取り除き、ビニールのフェースシー
ルドを当てて人工呼吸と心臓マッサージを開始した。
 それを見守りつつ蛯原は「こういうのも覚えておかないといけないのかなぁ」と
誰へとも無しに言った。
 しばらくして大沼が全く緊張感なくスリッパをぱたぱたいわせながら登場した。
「所長どうにかしたんか」と見下ろす。
「風呂場でぶっ倒れていた」
「今救急車が来て、トランクルーム開けてくれ、言うてるけど、鍵どこにある
の?」
 トランクルームとはエレベータの突き当たりにある小スペースで、お棺やら救急
車のストレッチャー等を乗せる時に扉を開いて使用する。
「自分の鍵束にぶら下がっているだろう」と蛯原。
 大沼はポケットから鍵束を出すと、一個ずつ調べ出す。「はあ、これかあ」と言
いながら出て行く。
 しかし、ほぼ入れ替わりで、救急隊員が入って来た。
 そして所長をストレッチャーに乗せると運び出した。
 蛯原もナルソック隊員も一緒に出て行った。



● 21

 所長が搬送されると、斉木と高橋明子は2人きりになったのだが、いい大人が余
りにもグロ耐性が無かったので、気まずさを感じ始めていた。
「でもしょうがないよ」と明子が言った。「ジョン・レノンだって世界平和を訴え
つつも楽屋に身障者がくれば卒倒したんでしょう?
  でも、あれね、大沼さんって、メカにもグロにも強いと思ってたけれども、案
外メカには弱そうね。自分のぶら下げている鍵に気が付かないんだから。斉木さん
は案外メカに強そう。U字ロックなんて外せるんだから」
「いや、それが微妙に違うんだよ」と斉木が言った。「つーか、設備を修理するに
しても俺はナット締めが得意なんだけど、大沼はボンドとかが得意なんだよ。
 これは性格もそうで、俺は、なんか、カクカクしているんだよねぇ。話していて
も、『つーか、つーか』って区切って切り返す癖がある。
 つーか、大沼も『つーか』って切り返すんだけれども、大沼の場合には、自分の
身に迫ってきた事に関して切り返すんだよ。
 例えば、『大沼さん、最上階の手すりの外の排水口、掃除しておいてねー』
『よっしゃ、よっしゃ』と言いつつ、自分の靴紐を結んでいて、『つーか、落ちた
ら、俺、死ぬんやで』と今更気付く、みたいな。ナメクジか、おめーは、みたいな。
 でも気が付くと反応は早いんだよね。お疲れーって肩を叩くと、なにすんねん!
 と叩き返して来るから」
「えー。大沼さんってそういう反応するの?」
「反応っていうか、ボンドをひっぱたいたら、べたーっと手にくっついて来た感じ
かなぁ。粘着だな。
 まぁ蛯原も瞬間的に反応するんだけれども、あれはアスペルガーちっくって感じ。
俺の顔を見ていて、ホラー映画みたいとか言って来るよ。
 まぁ、蛯原はポール=イルカ型だな。今見ている事に反応しているのだから、オ
ンタイムではあるんだけれども。
 大沼は、ジョージ=ラクダ型だけれども、永遠の現在に粘着しているって感じで、
やっぱりオンタイムだな。
 まぁ、俺みたいなジョン型が、カクカク振り返る感じで、過去に生きるって感じ
だけれども。
 あと、石臼の反応っていうのもあるんだよね。
 これは、ボコられてもボコられても反応しないって感じなんだけれども。
 反応しないんだから、害毒がなさそうだけれども、一番たちが悪いんだよね。
 ああいうのが居ると辺りが膠着してしちゃうんだよ。
 清掃の山城がそうなんだけれども、ポール・モーリアの『Get Back』を繰り返し
聴いているから、こっちがオリジナルだよー、ってyoutubeの動画を見せて
やったら、俺はポール・モーリアのでいいって言うんだよね。
 自分が最初に見たものに正統性有りって思うんだよ。
 そういう感じで、自分の周りもの全てに関して、今のままでいいって思うから膠
着しちゃうんだよ。保守って言えば保守だけど。
 まぁ、これらは割合は、ジョン型20%、ジョージ型20%、ポール型30%、
石臼型30%って感じかなぁ。
 これは100人以上の居住者を見て判断したんだから、かなり正確だと思うけど
ね」


● 22

 しばらくすると蛯原が制服警官2名を連れて現れた。
 一人は、痩せて神経質そうな、しかし柔和な感じの警官だった。
 玄関を上がった所で、蛯原はこの警官を相手に、トイレがどうの、風呂場がどう
のと、身振り手振りで大げさに説明していた。
 その後ろには闘士型の体格をした警官が帽子を目深に被って歩哨の様に突っ立っ
て居た。更にその後ろにナルソックの隊員が居る。
 すぐにもう3名が到着した。
 長野県警とバックプリントしてある紺のウインドブレーカーを着ていて、腕には
『鑑識』の腕章をしている。
 それぞれ肩からジュラルミンのケースを提げていた。
 痩せた警官の下に行くと、あそことあそこ、みたいに指示を受けて、蛯原には目
もくれずどかどかリビングに入り、あぐらをかいて座ると、帽子のツバを後ろに回
して、耳かきの綿みたいなのでアルミの粉をはたき出した。
 蛯原は、身振り手振りで大げさに説明していたのを中断された上に、全く自分と
は関係なく捜査が進行している事に気が付いて、途端にむくれる。
「ちょっと待てよ。こんなに大げさな事なのかよ」と蛯原は言った。
「何時も協力してやってんだろう」と後ろの警官が言ってきた。
 帽子を目深に被っていたので気が付かなかったが、こいつはあの所轄のお巡りか、
と蛯原は思った。
 普段、蛯原は、ゲレンデに来た客がマンション敷地内に駐車をするのを防ぐ為に、
「違法駐車は2万円申し受けます」だの「レッカー移動します」だのの、脅しの張
り紙をしていた。と言うのも、110番通報したところで、私有地だから駐車禁止
の違反切符を切っては貰えないから。居住者にせっつかれてつい110番通報する
と、通報センターみたいな所につながって、そこから最寄の交通機動隊みたいなの
につながって、パトカーが来るのだが、結局私有地だから何も出来ない、しかし出
動したのだから、呼んだ奴の免許証を見せろだの、呼んだ側の情報だけ集めていく。
そうすると、クレーマーマンションになりかねないのだった。そういう事情が続い
ていたのだが、実は、110番ではなくて所轄の警察とか交番に電話して、困った
声を出すと、警察所有のデータベースから所有者を特定して、「じゃあ、警察から
所有者に、違法駐車で迷惑している人がいますよ、と連絡してあげる。でも相手が
出なかったらそれっきりだよ」という事をしてくれるのが分かった。それ以来、
堂々と「違法駐車は即110番通報」という張り紙に変えたのだが。それをやって
くれていたのが、このうどの大木か。
「恩着せがましい事を言うな。今日は何で来た。呼んでないぞ」と蛯原は言った。
「119番すれば110番に連動するんだよ」
「だからってこんな所にまで入ってきて粉ぱたぱたはたいていいのか。パトカーは
どこに止めた。あそこは私有地だぞ。勝手に入っていいのか」
「公務じゃないか」
「だったら駐車違反取り締まりだって公務じゃないのか。それともお前は仕事を選
ぶのか」
「まぁまぁまぁ」と、痩せた警官が割って入って「ざーっとでいいから聞かせて欲
しいだけなんですよ。最初に見付けた人は誰だとか、誰が通報してきたのかとか、
その時の様子はどうだったとか」となだめる様に言ったのだが、蛯原はその警官に
矛先を変えて、
「呼んでないのに誰が呼んだと聞くのはおかしい」とか「あの死体が目を覚ました
ら直接聞いてみろ」とか「でなければ管理主任者にきけ」などとほざくのであった。
 管理主任者とは、居住者とマンション管理契約を結ぶ際の、管理会社側の当事者
なのだが。
 痩せた警官は、はーとため息をつきつつ、鑑識らと目配せをした。
 鑑識らがあんまり出ない、みたいに首をふると、「じゃあ引き上げるか」と出て
行った。
 蛯原は、更に追いかけて行って、エレベーターの前で、「防犯ビデオだって裁判
所の命令が無ければ見せないぞ」とか「日本は法治国家だから行政の言いなりには
ならないぞ」などと言っていたのだが。




● 23

 この段階で、部屋に残されたのは、斉木、高橋、ナルソックの隊員だった。
「俺も帰ろうかなぁ」と斉木が呟いた。
「あのー、判子をもらいたいんですけど」とナルソックの隊員が言った。
「シャチハタぐらいだったら押してやってもいいよ」

 斉木はナルソック隊員を連れて管理室に戻った。
 机の一段だけ割り当てられた引き出しからシャチハタを出すと「何処に押しゃあ
いい」と言った。
「ちょっとすみません、作業がありますんで」と言うとナルソック隊員は、なにや
ら作業を開始した。
 何を始めたかというと、まず使用した合鍵の先端部をビニールで覆い、その上を
10桁の数字の書かれたシールで封印し、その番号を報告書に記入した。そしてホ
ワイトボードの後ろの壁に埋め込まれたキーボックスの前に行くと、磁気カードを
かざす。ブーっと音がして、赤いランプが点滅する。素早くキーボックスの扉を開
けて、鍵を元に戻すと、扉を閉める。もう一回ブーっと音がして、ガシャンと扉が
施錠される音がした。
 斉木は、シャチハタをついたらすぐに帰れると思っていたのに、この作業の間、
待たされたものだから、イライラのオーラ全開で、徹夜明けの充血した、文字通り
血眼の目で、ガン見し続けて、早くしろ、早くしろと念を送り続けていた。
 それが余りにも強烈だった為に、ナルソック隊員は、封印の番号を報告書に書き
写す際に間違えていたのだった。
 それは斉木も気付いたのだが、教えてやらない。
 それから警備員は、手が震える程焦りながら報告書を完成させると「あのー」と
言った。「判子もらえないでしょうか」
「判子ぉ? 何の判子だよ、今更。警察だの消防だの七人も八人も来たっていうの
に。それって、おめーがちゃんと仕事しましたーって紙じゃないの?」と嫌味を言
った後、「それに、封印の番号、間違っているぜ」と言った。
 えッ、という顔をすると、隊員は封印台帳から今使用したシールの半券を取り出
して、報告書と比べると、しまった、てな顔をして、慌てて、訂正すると斜線をひ
いて訂正印を押した。
 そういう作業の間にも、例えば封印台帳が入ったアタッシュケースを開ける為に
腰に付いているキーホルダーに手を伸ばすなどして、隊員が体をよじっただけで、
防弾チョッキの様なダウンベストにぶら下がっている警棒だの無線機だのががさが
さ音を立てるのだが、あれは何かロボコップのオムニ社の隊員の様で、クールじゃ
ないか、と斉木は思った。
 自分も紺の上下の制服を着ているが、どっちかというと菜っ葉服っぽい。
 斉木の血眼は羨望の眼差しに変わっていた。
 斉木は、起こっている事を全くオンタイムでは感じられず、眼前で起こっている
事はすべて過去の記憶を呼び覚ますトリガーでしかなかったのだが、今彼の記憶野
からは、かつて警備会社の面接に行った時の事が読み出されていた。
 それはたかがパチンコ屋の警備員の応募だったのだが、その場で採用という訳に
は行かず、一応履歴書から前職等を調べて、その後に4日間の講習があるのだ、と
言われた。
 随分堅苦しい事をするんだな、でもこれは、講習とかいう名目で、警察OBでも
講師で招いて、そうやって金品を渡しているんじゃないか、と斉木は思った。そし
て、その面接の帰りがけに、前回採用分の人達の講習風景を、ドアの羽目ガラス越
しに覗いたのだが、よれよれのTシャツに髭面の老人で、ほとんどホームレスみた
いなのが受講していたので、あれだったらいくら俺でも採用されるだろう、と思っ
たのだが、翌週、不採用の通知が届いた。何故だ。もしかして高校時代に万引きで
捕まった記録がスーパーより警察に提出されていて、今でも残っているんじゃなか
ろうか。
 とにかくその知らせを聞いた日に飯山市内を歩いていたら、偶然、靴の量販店に
警備会社のワンボックスが到着する場面に出くわした。売上金の回収に来たらしく、
警備員の一人がジュラルミンのケースを抱えて店内に入って行くと、もう一人が伸
び縮みする金属製の警棒をカシャ・カシャ・カシャと伸ばして、通行人を威嚇する
ように自分の手の平を打っていた。
 この野郎。警察でもない癖に格好つけやがって。ちょっと因縁つけてやろうか。
そう斉木は思ったが、警備会社の研修にも警察OBが来ていたので、裏でつるんで
いるんだろうと思い止めたのだが。
 それ以来、あの防弾チョッキの様なベストとか、金属製の警棒などを見るとムカ
つくのであった。
「どうもすみませんでした」とナルソックが書類を出すと、
「俺が指摘してやらなかったら、どうなっていたんだよ」とまだシャチハタを押さ
ない。「どうせこんなマンションの管理員なんて馬鹿にしてんだろう」
「まぁまぁ」と蛯原が入って来た。
 いつの間にか戻って来ていて、フロントから管理室の中を見ていたらしい。そし
て入って来ると「彼は今日はよくやってくれたじゃないか。人工呼吸もしたしな」
と言うと斉木の耳元で、「おい、ああいう耳の丸まった奴は、ひょろーっとしてい
ても柔道かなんかやっていて強いんだぜ」
「だからなによ」
「斉木君、疲れてんだろう。イライラしすぎだ。もう帰りなよ」と言うとなれなれ
しく背中をとんとん叩いた。
 時計を見るともう12時近かった。さすがに斉木も馬鹿らしいと感じ、ここで退
場する。


● 24

「徹夜明けだから気が立っているんだろう。俺がサインしてやるよ」言うと、蛯原
は引き出しからシャチハタを出して突いてやる。「ところでさあ」と言うとホワイ
トボードをがらがらーっと移動させてキーボックスを露出させた。「このキーボッ
クスって鍵自体はタキゲンとか栃木屋のだよなあ」
「さあ」
「そりゃあよく知ってんだよ。管理の仕事をしているんだから。だけれども、ぴっ
とカードをかざしたりするだろう。それが無いと開かないんだろ」
「勿論そうですよ」
「じゃあもし、停電とか、電気保安協会とか来た時にだよ、もしその時に非常事態
で居住者のドアを開けなければならない、ってなったらどうする?」
「これは普段はコンセントから110Vを取っているんですよ。でも停電になると
その防災盤のバッテリーから12Vが供給されるんです」
「じゃあ、そのバッテリーが無くなったらどうなるの?」
「そうしたらロックは解除されますが。なんでそんな事聞くんですか?」
「確認だよ。停電の時にゃぁ、どっかから電源供給されるんだろうとは思っていた
けど、どこなのかぁーと思って。だってここの安全をあずかっているんだから、居
住者様に聞かれて答えられなかったらまずいだろ。…計画停電があったら、あんた
ら大変だなぁ。信号もみんな止まるんだぞ」
「はぁ」
 ナルソックを帰してしまうと蛯原は、とにかく井上に連絡しないと、と思い、大
通リビング東京本店に電話したのだが、あいにく昼食で外出中、との事だった。
 井上というのは、斑尾マンション担当の管理主任者で、年齢は29歳である。
  通常、マンション管理会社には、工事部と管理部がある。
  工事部は、小さくは電球の交換、大きくはマンションの大規模修繕などを行う。
管理部は、マンション管理規約の作成、理事会や総会の開催や議事録作成などを行
う。
  この後者の担当者が管理主任者である。









#1073/1158 ●連載    *** コメント #1072 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:12  (432)
斑尾マンション殺人事件 6
★内容


● 25

 井上はその頃、東京本店の近所のカレーハウスにて、アイスコーヒー&カレーを
注文した所だった。
 タオル地の黄色いおしぼりで顔をぬぐってから水を飲むと、正面に座っている同
僚の女性に話し出した。
「斑尾の駐車場だけれども、何でみんな使用料を払うんだろう」
「はぁ?」
「だって、あそこの敷地権は居住者にあるんだよ。自分の土地に車を止めておいて、
何で使用料を払うんだろう。
 あそこら辺の月極駐車場の相場が4千円だからって、みんな4千円払っているけ
ど、あそこら辺のタイムスは売上の何十パーセントかは地主に払うだろう。だった
らあそこの居住者だって、4千円の何十パーセントかは戻ってくるべき、とは思わ
ないのかね。あそこの立体駐車場もマンション購入価格の一部で 毎月ローンを払
っているのだから。そうだろう。そも思わない? なんか、これは叙述ミステリー
的なトリックがあるんじゃなかろうか」
「そういうのは、正しいとか間違っているとかどうでもよくて、契約上の問題なん
ですよ。井上さん、2年連続、宅建落ちたんですって?」
「忙しくって、勉強、出来ないんだよ」
「じゃあ、宅建の練習、っていうか、契約とは何かって感じですけど。いいです
か?
 設問。間違っているものを選びなさい。
 数字の3と4では4の方が大きい」
「ピンポン」
「だから、間違っている方を選べ、って言っているじゃないですか」
「あ、そっか」
「ジャンケンのグーとチョキではチョキの方が弱い」
 少し考えてから「ピンポン」
「間違っている方を選べ、つってんの」
「そっか」
「井上さん、目が点になってますよ。もう、永久に宅建、受からないよ」
 それからアイスコーヒーが運ばれてきたので、井上はガムシロップとクリームを
入れるとストローを差して、ぶくぶくぶくーっと空気を送り込んでかく拌した。
「ちょっと、井上さん。何やってんですか。他のお客さんが見ているじゃないです
か」と言われた。
 井上は頭をかきながらあたりを見渡したが、自分が何をやらかしたのだか、よく
分からなかった。
 それからカレーライスを食べ終わったら、香辛料のせいで血の巡りがよくなった
せいか、井上は鼻血を出した。しかしティッシュもハンカチも持っていなかったの
で、止むを得ず店の黄色いおしぼりを鼻に当てた。
 どんどん血を吸って、みるみる真っ赤になってしまった。
「そんなの置いていったら二度と来られなくなるから、帰りに表のゴミ箱に捨てて
行って下さいね」と女。
「そんな事をしたら泥棒になるじゃないか」
「井上さん、やっぱりちょっと違うのかなぁ」女は呟くように言った。


●26

 社に戻って、自分の机に戻った途端、他のOLが言ってきた。「井上さーん、斑
尾マンションの蛯原さんから電話。3番でーす」
 丸でお酢でも含んだような顔をしながら受話器を取り上げると保留になっている
ボタンを押した。
「井上ですけど」
「井上さん。AMの所長、死にましたよ」いきなりズバっと言った後、蛯原は、占
有部の風呂場で倒れていた、救急が搬送した、警察が来た、病院で死亡が確認され
た、死因は塩素ガスによる吐しゃ物を詰まらせて、等の顛末の詳細を言った。
「混ぜるな危険とかやったんじゃないんですか?」
「多分ね。でもまずいことが数点ありましてね。まず第一に鍵を開けたのはナルソ
ックなんですが、U字ロックが掛かっていて、それを開けたのがうちの斉木なんで
すよ」
「ああ、あの紐で開ける方法でしょ。あれって何かまずいんですか。あれをやんな
きゃ壊すしかないんでしょ」
「まぁそれはいいんですがね。警察が高橋さんとかを、疑っている様な」
「誰ですか、それ」
「AMの事務員ですけれども」
「それってうちに関係あるの。AMの社長とかに電話したんですか?」
「しましたけれどもね。申し訳ない事をしたって言ってましたよ。
 あそこは販売のモデルルームみたいなものだったでしょう。それを井上さんのご
好意で又借りしたのに、そんな所で人が死んだんじゃあ、もういわく付き物件だか
ら売れないかも知れないし」
「ちょっと待って下さいよ。別に僕が紹介した訳じゃないでしょう」
「ですから、ですから、AMから不動産屋に連絡してもいいんですが、そうすれば
不動産屋から施主に連絡が行って、施主から大通リビングに連絡が行くでしょう。
それよりかは井上さんから施主に連絡した方がいいかと思って」
 井上はメモに関係図を書いた。宅建でも民法の問題などでちょっと複雑になると
訳が分からなくなる。







施主・大和通商    斑尾マンション管理組合
↓      ?    ↓
(販売委託)  ?  (管理委託)
↓         ? ↓
不動産屋       大通リビング 井上
↓           ↓
(転貸)       (業務委託)
↓           ↓
AMの事務所     AMの蛯原以下。
   の所長が死亡。

 施主の大和通商というのは大通リビングの親会社だ。
 井上は奥の方で肘掛け付きチェアに座っている役員連中を見た。
 ああいうのはみんな親会社から出向していきている人間だ。
 蛯原の言う通り、不動産屋から施主、そこからあの役員の耳に入るのはまずい気
がする。自分からあそこに座っている役員にほうれん草すればそれで免責になる。
「分った。僕から上司に言ってみる」
「井上さん。来た方がいいと思いますよ。大和通商の営業なんて神出鬼没ですから
ね。何時来るか分からないですよ。その時にまだ管理会社が一回も来てないという
んじゃどうかと。明後日から又雪ですから、来るんだったら今日か明日ですよ」
 井上、スマホのスケジュールを見た。
 今日明日は時間を作れない事もないな、と思った。


● 27

「分かった分かった、とにかく上司に相談します」と言って受話器を置いた後、こ
れって飛んで火に入るなんやらじゃないのか、と思った。
 蛯原の言う通りにすると、何だか知らないが騒ぎに巻き込まれる。
 そう言えばつい先月もそうだった。
 まだ地震の前で、あの頃は居住者も大勢滞在していて、風呂もにぎわっていた頃
だった。
 蛯原が言った。「居住者様の意見として、風呂上りにビールを飲めないのは寂し
いっていうのがあるんですよ。休憩スペースの自販機にビールを入れればいいんじ
ゃないかと。
 それからあそこのスタジオ、あんなところ、誰も使っていないのだから、あそこ
でカラオケが出来たら、という意見も多いんです。
 だってマイクも大型スクリーンもあるのだから、カラオケDVDだけ買ってくれ
ばいいんでしょう?
 どうしてそのぐらいの事が出来ないのか。
 何で、設備の有効利用をしないのだろうって。
 ついでに麻雀も出来たらもっといい。そんな事は公団住宅の集会所でもやってい
る事じゃないですか。
 そうやってみんなが仲良くなれば、居住者同士の交流も広がって、結果、温泉利
用者も増える、共用部の赤字も解消できる。
 これは居住者にとっても管理会社にとっても、WIN・WINの話じゃないです
かね」
「そう言われてみれば、そうですね」
「そうでしょう。設備は全て揃っているんだから、それが金を産むならやらない手
はない」
 というんで、先月の理事会に提案したのだが、一部の理事から猛烈な吊し上げを
食った。
「あの蛯原っていうのはどういう男なんだ。
 あいつ、こう言ったんだぞ。
 ここには露天風呂もサウナもあるのに、垢すりとかないのは寂しいですね。タイ
式垢すりでも、南米人のボディーシャンプーでも入れて、休憩室でビールでも飲め
れば最高なのに。
 …それって、1階がパチンコ屋、2階がサウナみたいな店の話じゃないのか。
 そのタイ式垢すりだって、タイ式マッサージだのタイ式ヘルスだのに近い感じだ
ぞ。
 その上、カラオケだ麻雀だって。
 普通のファミリーが住んでいるマンションにそんなもの作ってどうする積もりだ。
 だいたい、カラオケだの雀荘だのっていうのは、繁華街にしか作っちゃいけない
んじゃないのか。
 あなたはそういうのの専門家だろ、宅建とか。教えてくれないか」と理事会で迫
られて焦った。
 確か一番土地柄の悪いところにキャバレー、ストリップ劇場があって、その周り
に雀荘、パチンコ屋、その周りにカラオケだったような。こんな都市計画法上の用
途規制なんて覚えていられない、とその時には思った。後で調べたら、そもそもあ
のリゾートマンションは都市計画区域外なので、そんな規制は無かったのだが、あ
の場で答えられなかったのはまずかったなぁ。


● 28

 井上は、スマホ片手に、上司である出牛取締役のデスクに行った。
「ジューシさん、斑尾のマンションで事故がありました」
 それから今朝からの顛末を簡単に述べた。
 マンション管理で管理会社が責任を問われるのは、共用部の設備に関して管理員
の不手際で起こった事故、例えばマンホールを開けっ放しで子供が落っこちたとか、
の場合だけなのだが。
「蛯原が、物件がいわく付きになるんじゃないか、とか言っているですが」
「そんなの関係ないよ。でも警察が動いているっていうのはどうなんだろう」と言
うと出牛は椅子を反対側に向けて窓際にいる山田を呼んだ。
 山田は推定年齢55歳の警察OBだ。
 大通リビングではこわーい人対策に、5年に一人の割合で警察OBを受け入れて
いる。
「実はね、斑尾で死亡事故があって、警察が」なんたらかんたらと今の説明をする。
 山田はオデコにぐにゅ〜っと皺を寄せて言った。「そりゃあ一応調書を作るんだ
ろうから、誰っかしら事情を聞かれるかもしんないけど、それがその蛯原とかいう
パートじゃまずいだろう。やっは井上君、行った方がいいんじゃないの?」
「それは、あっちの警察に行けって事ですか?」
「いや、まんず、事情を掴んでおいて、顛末書ぐらい持っていないとまずいんじゃ
ないの? 俺もついていってやろうか?」
「いや、いいです」反射的に井上は断った。
 山田の顔を見ていて思ったのだ。
 ああいう初老の凸っぱちっていうのは、若者を出汁にして自分が生きがいを感じ
るに違いないのだ。
『ロッキー』のマネージャーみたいに。もっともあれは映画の登場人物だが。
『空手キッド』のミヤギみたいに。あれも映画の登場人物だが。
 リアルだったら、エディ・タウンゼントやら、マラソンQちゃんの小出監督など
だ。絶対にそうだ。だいたい蛯原もその傾向があるんじゃないのか。
「私一人で行ってきますよ。まだ斑尾は寒いだろうし」
「じゃあ俺に頻繁に連絡しろ」


●29

 30分後、井上は既に松本行き『あずさ』の車中の人になっていた。
 自由席はがらがらだった。背もたれを思いっきり倒すと、スマホで現場の人員の
チェックをした。

木3月24日 管理員:蛯原、榎本 24時間:大沼 清掃員5名
金3月25日 管理員:蛯原、榎本 24時間:鮎川 清掃員5名
土3月26日 管理員:蛯原、榎本 24時間:斉木 清掃員5名
日3月27日 管理員:蛯原のみ。 24時間:大沼 清掃員午前のみ1名

 松本駅で『しなの』に乗り換え、長野駅で飯山線に乗り換え、そして飯山駅で下
車する。
 プリウスのタクシーに乗ってくねくねした峠を上って行く。
 3時ちょっと過ぎには斑尾マンションに到着した。
 タクシーから降りると蛯原が旅館の番頭みたいに出迎えていた。
「お疲れ様。カバン、お持ちしましょうか」
「いいですよ」
 すぐ脇で、業者がマンホールに塩ビの下水管を運び入れていた。
「何やっているんですか?」
「温泉の水が溢れてくるんですよ。工事部の指示でやっているんですけどね」
「へぇー」
 管理室に入ると、ちょうどフロント側から、清掃の山城が入って来た。肩に20
キロ入りの石灰の袋を担いでる。
 ドサッっとNTTの盤の前に降ろすと、「ボイラー室に置いといたんだが、大沼
がダメだって言うんだよ。ろ過器が錆びるからって」言うと山城は出て行った。
「こんなの買ったんだ」井上はコートをハンガーに掛けながら言った。ハンガーは
パーテーションに引っ掛ける。
 蛯原がキッチンコーナーでインスタントコーヒーを入れて持って来た。
「明後日から又大雪だっていうんで居住者の歩く所だけでもまいておけって、工事
部に言われたんですよ」
「色々大変なんだなぁ」
 井上は油圧式チェアに、蛯原はパイプ椅子に座った。
  二人はコーヒーをすする。
「なーに、冬には冬の事、春には春の事をすりゃあいいんですよ」
  言うと蛯原はカップを煽って、上目遣いで井上を見る。スリや置き引きがター
ゲットを決めた瞬間に見せる狂った意志が浮かび上がる。
「そもそも雪かきなんていうのは、清掃員の仕事には含まれないんですよね」と蛯
原は言った。「規約にも自然災害、土砂等は管理には含まれないって書いてあるし。
まぁ、そうは言っても、こんな雪山のリゾートホテルですってんころりんされたら、
井上さんがお縄になりかねない。だから皆も納得してやっているんですよ。ただ、
手足が冷えちゃって可哀想ですよね。
 実は、このマンションの西に農家があるんですが、ここが建ったら日当たりが悪
くなったと言って、豚小屋にストーブを入れたっていうんですよ。そういうのは清
掃員が外周掃除の時に見て来るんですけどね。それで清掃員がね、『あそこの豚小
屋にはストーブがあるのに、ここの更衣室には何にもない。俺たちゃ豚以下だ』っ
て言うんですよ。とりあえず今はボイラー室で休ませていますけれども、俺たちゃ
豚以下だ、って迫られると私も辛いものがありますよ」
「まあ、そう連呼しないで下さいよ。夏には、『俺たちゃゴミ以下だ』と言って、
スポットクーラーを買わせたじゃないですか」
 このマンションには24時間ゴミ出しOKの屋内ゴミ置き場があって、そこには
臭い防止の為エアコンが設置されていた。
「あの時にはまいりましたよ。理事会から居住者から私の上司にまで『俺たちゃゴ
ミ以下だ』を連呼されて」
「そんなタカリみたいに言われてもなぁ。実際に清掃の皆はシモヤケ作って作業し
てんだから。ストーブなんてたった1万なんですよ」
「じゃあいいですよ、買っても。領収証もらっておいて下さいよ」
 井上は1万ぐらい安い、と思ったのだった。外部の除雪業者に頼んだら1人1時
間で1万円とられる。




● 30

「もう一杯コーヒーを入れましょうか」蛯原が言った。
「いや、もういいですよ。館内巡回して来ますよ。顛末書を作りに来たんだから」
「じゃあ、案内しますよ」
「いやいや、コートとカバンを置いていきますから、見といて下さいよ」

 井上は管理キーを受け取ると、居住棟に入った。
 エレベーター、アルカトロズ風通路を経由してAMの玄関に行くと、アイホンを
押す。
「大通リビングの井上といいますが」
 ドアの隙間から高橋が不信そうな顔を覗かせた。
  しかし明子の顔には、みるみるトキメキの表情が現れた。
 実は、これこれこういう訳で、東京から参ったんですが、と井上が言うと、
「あー、そうですか、そうですか。少々お待ちを」とドアを一旦閉めた。
 所長のローファーを足払いで下駄箱の下に押し込むとスリッパを並べて玄関を開
ける。
「このたびは大変な事で」みたいな挨拶を取り交わした後「ちょっと現場を見てお
きたいんですが」と井上が言った。
「どうぞ、どうぞ」と軒下の仁義みたいなポーズで奥へ奥へと招き入れる。「コー
ヒーでも入れましょうか?」
「いや、今飲んで来たところだから」とトイレ前に立ち止まると、「ここがトイレ
ですか。ちょっと失礼して拝見しますよ」
「どうぞ」
「ここに入っている時に出掛けたんですね」
「ええ。じゃーっと流した後に」
「よく覚えていますね」
「ちょうど大沼さんから電話があったんです」
「うーむ。じゃあちょっと写真を。顛末書に添付しますんで」言うとスマホで一枚
撮る。
 そして洗面所を挟んで反対側の風呂場を開ける。「ここで倒れていたんですね。
怖くないですか?」
「霊感ゼロですから。グロ耐性もゼロなんですよ。井上さんはグロ耐性、ありそう
ですよね」
「どっちかって言うと、そういうのには鈍い方ですね」言いながら風呂場の中を見
回す。「パイプマンにカビキラーか。みんな塩素系ですね。あの桶は温浴施設ので
すよね」
「あれは、カビキラーの中身を清掃の人が持ってくるんですよ。桶に入れて。どっ
かに業務用のが大量にあるらしくて」
「ふーん」と言いながらスマホで一枚。
 洗面所を見渡して「あ、このスイッチは常にオンにしておいて下さいね」と言っ
て、洗面台の横のスイッチを入れた。「これは下水管の換気扇のだから、入れてお
かないと、嫌なニオイがしてきますから」
 それからリビングに移動した。
「ここ、結露、ひどくありません?」
「夜間だけあれを回しておくんですよ。結露しないように」と明子は除湿機を指し
た。
「コンセントのところにぶら下がっているのは何?」
「タイマーですよ。古いやつだから、タイマー内臓じゃないんですよ」
「へー」言いつつスマホで一枚撮影。
  それから奥の方を見て、「あっちが和室ですか。ちょっと失礼して」言うとス
リッパを脱いで上がり込む。窓のところまで行くと障子を開けた。「ゴミ集積場が
見下ろせるんですねえ」
「そうそう、今朝私が出かける時、ここに所長が立っているのが見えたんですよ
ね」
「えっ?」
「今朝、郵便局に用があって出掛けたんですけど、ゴミ集積場から望遠鏡で見たら、
ここで所長が手を振っていたんですよ」
「望遠鏡で?」
「ええ。清掃の人が持っていたやつなんですけど。てか清掃の人と一緒に見たん
だ」
「へー」といいつつ障子をしめて、何気にクローゼットの横の押入の取っ手に手を
かけたが、「ここまで見なくってもいいか」と呟いた。
「はぁ?」
「いえいえ。あ、そうだ。後で聞きたい事があるかも知れないんで、一応携帯の番
号教えて貰えます?」
「あー、全然いいですよ」というと明子は自分の携帯の番号を教えた。
 井上はすぐにその番号に発信すると「それが私の番号ですから」と言った。「じ
ゃあ私はこれで行きますんで」
「そうなんですか。何にもお構いしませんで」
 玄関に行くと井上は中腰になって人差し指で靴を履きながら、「これからぐるり
一周回って、顛末書作って、なるべく早い電車で帰りたい」と唸る様に言った。
 足腰強そう、と明子は思った。
「もしよかったら、私が送っていっても…。どうせ私飯山市内に帰るんです」
「へー、何時頃ですか?」
「だいたい6時頃ですけど」
「じゃあ時間が合えばお願いしようかな。とにかく行ってきますわ」
「行ってらっしゃい」
 井上が出て行くと、明子はべたっと魚眼レンズにへばりついた。井上の背中が見
えなくなると和室に走っていって、障子を数センチ開けて見た。
 丸で家猫が野良猫に発狂するかの様であった。



● 31

 マンションの一階まで非常階段で降りると、井上はサブエントランス脇のドアか
ら外に出た。
 駐車場の西側を回ってゴミ集積場に出る。
「ふむふむ。ここから所長が手を振るのが見えたんだな。今は西日が差しているか
らよく見えるけど、朝方は逆光になって見えないんじゃなかろうか。それに距離も
結構あるので、あれが所長だ、と特定できるのだろうか」思うと井上は、高橋に電
話した。
「もしもし。先程はどうも。ちょっとお願いがあるんですけれども。さっきの和室
からゴミ集積場に向かって手を振ってもらえませんかねぇ」
 言うと同時に4階事務所の障子が開いた。早っ、と思ったが、とにかくそれをス
マホに録画する。
 それから立体駐車場に入ると、ぐるりと反対側に回って、エレベーターで最上階
に行く。
 屋根のない屋上は、全面にグリーンのウレタンが敷いてある。
 辺りを見回しながらスロープの方向へ歩いて行く。
 スロープ手前で、はめ込み式の壁の隙間から西日が漏れているのに気が付いた。
近寄って押してみると、ぐらぐらしている。
  なんだろう、と井上は思った。
  何気に足元を見ると、妙な傷が、ウレタンに付いている。人間の指ぐらいの大
きさで生爪を剥がした様に見える。
  一回剥がしたものを接着剤か何かでくっつけたのだろうか。
  そういう傷が、スロープに差し掛かった所から、壁面に向かって、左側にカー
ブする様に、点々と付いていた。
  床掃除に使うポリッシャーで掃除をしようとしたら左にそれて、壁に激突した
とか。そんな事ぐらいしか思い付かなかった。後で工事部に確認してみよう。

 駐車場を一階まで歩いて降りる。
 ゴミ集積場の前を通って、西の後方入り口から入館した。
 ボイラー室のドアがあったので開けてみた。ろ過器2機、ボイラー2機が轟々と
音をたてて動いていた。コインランドリーの大型乾燥機が空のまま回っているかの
様である。
  その手前にプラスチックの段ボールシートを敷いて、毛布に包まって寝ている
人が居る。
  24時間管理員の大沼さんが仮眠中なのだろう、と思った。
 ボイラー室を後にすると、更にドアを一枚解錠して、共用部のトイレの前に出る。
隣の清掃員更衣室のドアが開け放ってあって、清掃員が談笑しているのが見えた。
  井上が首を突っ込むと、
「今日はもう、ぜーんぶ掃除が終わったんで、時間が余ったんですよ」と額田が言
った。
「いや、いいんですけど」言いながら清掃員の雁首を見回した。4人が扇型に座っ
て居て、要の位置に遠赤ストーブがあった。
「もう買って来たんですか」
「いやあ、どうも」
「もう、俺たちゃ豚以下なんて言わないで下さいよ」
「そんな事言いませんよ」ぶるぶるぶるーっと激しく鼻っ先で手の平を振る。
 それから井上は壁でチカチカしているクリスマスの飾りを指して「あれは、なん
ですか」と聞いた。
「ありゃあ去年のクリスマスからぶら下がっていたんですよ。ストーブと一緒にコ
ンセントを入れたんじゃないの」
「じゃあ、その冷蔵庫は?」
「これも蛯原さんが拾ってきて、ベンダー屋からコーラもらって冷やしているんで
すよ。1本飲みます」言うと冷蔵庫の扉に手を掛けた。
「いや結構です。それじゃあ、火の元にはくれぐれも注意して下さいね」と言って
出て行く。
 井上が出て行くと4人は小声で話した。
  このストーブは斉木君の仕込みが実を結んだのだろうか。自分らがボイラー室
で休む様になった段階で独裁者はハブにされた様なもんだろう。今度は大通リビン
グがストーブを買ってくれたんだから、これは錦の御旗なんだから、自分らはここ
で休まざるを得ない。そうなると今度は独裁者が出て行かざるを得ない。そうして
気が付くとコーラやクリスマスの飾りが飾ってある。これは斉木君によればネオリ
ベのやり口だっていう事だよ。
 再び井上が首を突っ込んできた。「そうだ。今朝、ゴミ集積場で、AMの高橋さ
んに望遠鏡を貸した人っています?」
「私だよ」と大石が言った。
「それ、ちょっと見せてもらえます?」
 言われて、大石はエプロンのポケットから取り出すと渡した。
「これで所長が見えたの?」
「そうよ」
「これ、借りていいですか?」
「やるよ。くれる」
「どうも」と言うとスーツのポケットにしまって、その場を後にした。

 フロントに戻ると、カウンターの中に蛯原が、エントランスの床の上に榎本が立
っていた。
「ストーブ、みんな喜んでいましたよ」と井上。
「そうでしょう」と蛯原。
「それじゃあ、2階を見てきます。今、誰か温泉入ってます?」
「本日の利用者、ゼロでーす」と榎本。
「井上さん、入って来たらいいじゃないですか。自分で首まで浸からないとお客さ
んの気持ちは分かりませんよ」
「でもタオルとか持っていないし」
「タオルだったらありますよ」言うと蛯原は管理室に入ってmyタオルを取って来
た。「はい、これ。冗談ですよ。ちゃんとこっちに綺麗なのがある」と白いタオル
を出す。
「おーっほほほほほ」榎本の笑い声がエントランスの天井にこだました。










#1074/1158 ●連載    *** コメント #1073 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:13  (323)
斑尾マンション殺人事件 7
★内容

● 32

 その頃、2階の休憩スペースでは、山城がソファーに座って、見るでもなくテレ
ビを眺めていた。
 くそー。と山城は思う。
 何で俺の居場所が無いんだ。ボイラー室には大沼が仮眠しているし、清掃員更衣
室では額田以下が時間を潰している。だいたいあいつらは俺の兵隊だったんじゃな
いか。
 テレビのチャンネルは地元のケーブルテレビ局だった。飯山の新幹線新駅が映し
出される。
 山城は、腕組みを解いて身を乗り出した。
 山城はあの近所に2ヘクタールの田んぼを持っていた。
 売れば億になるが売らない。米も売らない。みんな親戚に配る。皆にそう言って
やった事があった。それで皆、俺を妬んでいるのかも知れない、と山城は思った。
 いや、あいつらそれぞれ、土地を持っているものな。
 やっかむとしたら、24時間管理員の中年ぷーたろーどもだ。
 特に斉木だ。
 あいつは、飯山から更にバイクで20分も行った原野でアパート暮らしをしてい
る。
 ああいう、持たざる者は人民主義者の扇動家になったりするんじゃなかろうか。
 そういえば、先月の今頃もそういう事があった。
 AMの懇親会も兼ねて、飯山雪祭りを見物に行ったのだが、俺と斉木が、清掃員
と管理員をそれぞれ代表して、早い時間に行って場所取りをした。俺は行きの電車
の中で、ワンカップと柿ピーで一杯やっていた。
 そうしたら斉木が「こんなに混んでいるのに、目の前に子連れの妊婦が立ってい
るのに、つーっと飲んでんじゃねえよ。丸で朝マックの時間帯に、朝刊を広げる散
歩帰りの年金生活者みたいだ」とかなんとか言ってきやがった。
 俺の方が先に座っていたのに何で譲らないといけない、と俺は思った。
 それにあの女は、豊野駅で急行から乗り継いできたので、県外のよそ者なのだ。
 それが証拠に、ガキの鼻水を拭いたティッシュをそこらに捨てて行ったじゃない
か。
 それを拾って、俺はワンカップの空き瓶と一緒に捨てた。
 すると斉木が「携帯灰皿を持っているだけで迷惑かけていないと思っている勘違
いじじい」とか言ってきやがったな。いちいち。
 会場に着くと、雪中花火大会に備えて俺はビニールシートを広げて場所取りをし
た。
 夜になるとだんだん混んできて、押すな押すなになって来た。
 後から来た奴が羨ましそうに見ていたが、あれは、俺の畑の周りに住んでいる団
地族の視線だ。
 その内、子供を抱っこしていた母親が「すみません、ちょっとここに座ってもい
いですか? 気分が悪くなって」とかなんとか言ってきやがった。
 俺は言ってやった。「あんた甘いんだよ。こっちは昼間っからここで頑張ってい
るのに、今更のこのこ出て来て座れると思ったら大間違いだ」
 そうしたら斉木が「おーい、みんな、ここは誰の土地でもないんだぞー」と言っ
て、回りに居た群衆がざーっとなだれ込んできた。
 それでも、結局、あいつら、飲んだり食ったりしたものを片付けて行かない。最
後に俺が一人で掃除したんだ。
 山城は、ふーっと憤怒の鼻息を吐いた。
 テレビを見ると、飯山の緑の田んぼに、アパート、マンションが迫っているのが
分かる。
 丸で皇居に迫る雑居ビルじゃないか。あんな奴らに俺の田んぼを汚されてたまる
か。お堀でも掘りたいよな。
 ふと人の気配を感じて暖簾の方を見ると、スリーピースを着た長身の若者が、不
動産屋みたいな営業スマイルを浮かべながら迫ってくる。
「どうもー」と言いながら井上が斜め前のソファーに座った。
「もう今日の仕事は終わったよ」チャンネルを変えながら山城は言った。
 液晶画面に韓流スターが現れた。東方神起だと? 正月に紅白に出ていた奴らだ。
「あんたこういうのをどう思う」
「は?」
「大和撫子がこういうのにきゃーきゃーしていたら面白くないんじゃないのかね」
「さぁ」
「実は泉がそうなんだ」と山城は言った。
「イズミ?」
「清掃の泉だよ。あの馬鹿は、紅白にああいうのが出るのはいい事だと言う。ああ
いうのが出ればジャニーズが独占状態のダンスボーカルの世界にブレイクスルーが
起こるとかなんとか。
 泉の小理屈などどうでもいい。
 それに、俺はいけないって言っているんじゃないんだ。紅白に出る事はないだろ
う、って言ってんだ。
 俺だって、コレアンパブでマッコリ飲みながらトロットを聴く事もある。
 だけれども鎮守の祭りでアリラン流す事は無いだろう。
 そうだ、思い出した。
 あの時、泉に説教していたら、又又あの斉木がどっからか湧いて来やがったんだ。
 そして、俺はただ単に、大和撫子から戦艦大和を連想して、戦艦大和の主砲は東
京湾から駿河湾まで飛んだ、と言っただけなのに、あの野郎は、大和の主砲で大和
撫子の貞操を守ろうってか、とか絡んで来やがった。
 斉木はガキの頃、戦艦大和は世界最大級の戦艦であり、本当はもっとでっかい戦
艦を造れたんだけれども、ワシントン海軍軍縮条約で、米英日5対5対3って決め
られていたから、それ以上でっかいのは造れなかった、と学校で教わったと言う。
そして家に帰って『コンバット』を見ていたら、サンダース軍曹がダッダッダッダ
ッーっとドイツ人を撃って居たので、帝国軍人だったらそう簡単にはやられない、
と言ったら、奴の親父が、旧日本陸軍38式は一発ずつしか出ない、と言ったとい
う。
 斉木は言う。一発ずつしか出ない? は? どういう事? 一発ずつっきゃ出な
いんだったら、外れたらどうするんだよ。いきなり降伏かよ。そんなの聞かされた
ら、ワシントン海軍なんたら条約なんて、脳内条約だったんじゃないのってと思え
てくる。考えてみりゃあ、日本なんて帝国主義と関係ないものなあ…。
  そう言うんで、俺は、ただなんとなく、日本は大日本帝国だろう、と言ったん
だよ。
 そうしたら斉木が、
 まさかそれって、日本帝国と、モンゴル帝国とかローマ帝国を一緒に考えていな
いよねえ。まさか、俺、そんな馬鹿と話していた訳じゃないよね。ねえ。
 あの野郎、最初から挑発して俺を誑しこむ積もりで誘導していやがったんだ。
 俺は、かーっとして、
 この野郎、失礼な事いってんなよ。本当に憎らしいんだから。お前気をつけろよ、
みんな言ってるぞ、俺じゃなくてみんながお前んところに行くぞ、と怒鳴ってやっ
た。
 するとあの野郎、
 そんなに興奮する事ないじゃないですか。頭、つるっぱげになる歳なんだから、
とか言いやがって」
 山城は、東方神起など観るのも不愉快という風にチャンネルを変えた。
 今度はサッカー中継だった。
「キリンカップは原発事故を受けて中止となりました。本日は、1970年代、
ヨーロッパサッカーを代表する、カイザー・ベッケンバウワー、ボンバー・ミュー
ラー全盛時代のドイツと南米サッカーの歴史をダイジェストでご覧頂きます。解説
は元日本代表の夜露死苦・アルマンドさんとホセ・愛羅武勇さんです。お二方、ど
うぞよろしく」
「サッカーは点取りゲームかね、それとも陣取りゲームかね」突然山城が井上に言
った。
「うーん。ドイツサッカーなんて、セットプレーで陣取りゲームっぽいですよね。
南米サッカーはコンビネーションプレーで点取りゲーム的かな」
「そうだよなあ。前にワールドカップを見ていたんだよ、蛯原と。勿論休憩時間中
にね。そうしたら、セットプレーに終始して、全然シュートを打たないんで、撃
てー撃てーッって言っていたんだよ。そうしたら又又どこかから斉木が湧いてきて、
絡んできやがる。
 まったくこいつらサッカーというよりかは競馬やボートでも観ている感じだな、
まくれー、まくれー、みたいな。まぁ、サッカーよりかはボクシングが似合いだけ
どな。それもファイティング原田とかジョー・フレージャーみたいに、ひたすら攻
めて行くタイプのがいいんじゃね。しかし、ああいうファイターっていうのは何で
凸っぱちで手足が短いんだろうか。それにしても、日本のサッカーって、どうして
相手がどんなんであろうとも、セットプレーを繰り返すんだろうねぇ。いくらサム
ライ日本つっても、元寇相手に、一騎打ちを臨む鎌倉武士じゃないんだから…
 とかなんとか言い出して、それから又、コンバットがどうの言い出したな。
 本当はサッカーっていうのは、『コンバット』の要塞攻めみたいなもので、足の
速いケリーはあそこの切り株まで走れ、リトルジョンは左の茂みから回りこめ、
カービーは後ろから援護しろ、みたいに、相手に応じて変わるし、仲間は有機的に
繋がっているって感じなんだけれども、日本のサッカーって、ひきこもりの詰め将
棋みたいな感じだな、
  とか何とかなんとか言っていた。
 とにかく俺は、そんな事言ったって、突っ込まないと点を取れないじゃないかっ
て言ったんだよ。そうしたら、
 もしかして、サッカーの事、点取りゲームだと思っていない? あれは陣取り
ゲームなんだよ。だからオフサイドがある。陣地を確保するまでは撃てないんだよ。
まさか知っていたよね。それを知らないんじゃあ、アウェイで日の丸振っている馬
鹿と同じだよ。
 又、こいつは最初から俺を誑しこむ積もりでいたんだな。
 それでかーっとして、
 どうしてお前は、そういう食ったこと言ってくるんだ。最初からおちょくる積も
りで言ってんだろう。一丁スポーツでもするか、表でるか、と怒鳴った。
 そうしたら、
 そんなに吠えないで下さいよ、犬みたいに、と斉木は又又嫌味を言う」
 山城は鼻の穴全開にして、鼻息を荒げている。
「斉木さんの言っている事は適当じゃあありませんね」井上が言った。「『コンバ
ット』の要塞攻めはコンビネーションプレーでも陣取りゲームだったんですよ。そ
もそも、ノルマンディー上陸作戦自体、オフサイドみたいな作戦だったから、アウ
ェイで戦うんだから、コンビネーションプレーをするしかなかったんですが。なん
でそんな事をしていたかっていうと、ソ連と陣取りゲームをしていたからなんです
よ。あれを点取りゲームとは言えませんね」
 何を言っているんだこいつは、と山城は思った。『朝までテレビ』の軍事評論家
の様な奴だ。
  俺は、ノンルマンディー上陸作戦などどうでもいいんだよ。
  そんな事より俺の田畑を守らないと、あのすばしっこいイタチから。まだ早春
だというのに、地震の影響か、ぼちぼち出てきているのだ。あんなの竹やりで突っ
ついても本当に鎌倉武士みたいなものだ。強力な薬品で、一気に駆除してやる。そ
んで、みんな隣の養鶏場に追いやってやる。あそこは、東京から来た奴がペルー人
を使って経営しているから、イタチがペルー人を食ってしまえば、一粒で2度美味
しいじゃないか。そうだ。今夜まいてやる。大々的に。
 そう思うと、山城は腰を上げた。



●33

 30分後、茹だった体にYシャツ、ノーネクタイという格好で井上は戻ってきた。
 管理室の中では、大沼が暇そうに回転椅子を揺らしていた。
「これから朝までこうしているんですか?」
「しょうがないやろ。出前でもとる?」
「そういえば、腹減ったなぁ」
「そば? 中華?」
「そばの方が温泉っぽいですよね」
「じゃあ長寿庵や」言うと引き出しから品書きを出した。「わしゃ、カツ丼や」
「じゃあ僕は」と品書きを見ながら。「カツ丼と天ぷらそば」
「食うねえ。若いから」言うと、管理室の電話で蕎麦屋に電話する。
 フロント側の入り口から私服に着替えた榎本が入って来た。
「帰りまーす」と言いながらホワイトボード横のタイムカードで打刻するとそのま
ま出て行った。
「あの人、足はあるんですかね」
「旦那が迎えにきとるんやろ」
「へー」
 すぐに蛯原も現れる。「じゃあ、私も帰りますんで」
「帰るんだ」
「何か?」
「別にいいですけど。足は?」
「私はバイクで通っているんですよ」
 蛯原もジーっと打刻した。

 同じ頃、4階の事務所で高橋もタイムカードを押したところだった。
 玄関に施錠すると、通路、エレベーターの順番で降りて行った。
 共用棟に移るとエントランスは既に真っ暗だった。
  管理室の扉が開け放たれていて、光が漏れて来ている。
 その中に入りつつ「帰りますけど」と言った。
 回転椅子の大沼と、パイプ椅子の井上が同時にこっちを向いた。
 何だ、あの頭の形は、と明子は思った。丸で、星野一義と鈴木亜久里ではないか。
ヘルメット取っても又ヘルメットって感じ。そういえば、セナもプロストもああい
う感じだった。やっぱりメカに強い人はああいう頭の格好をしているのだろうか。
「なに、見とるんや」大沼が言った。
「私、帰りますけど、井上さん、乗っていかないんですか?」
「出前、頼んじゃなったんですよ」
「泊まってったらええやん」
「しかし…」
「今から東京、帰んのんか」
 確かに言われてみるとすごいかったるく感じがした。
「スタジオで寝ればいいんや。静かやでー」
「奥さん待っているんじゃないですか?」
「え、僕って、そんなに所帯じみて見えます?」
「一人もんや。泊まってったらいいんよ。なんだったら街にでも繰り出して。冗談、
冗談」と笑う。
「じゃあ、僕、泊まってきます」
「じゃあ、私、帰ります」
  と2人を見ていて、大沼はボンドという台詞を思い出した。
  そうだ、試してみようという悪戯心が起こった。
  大沼に近寄ると、明子は「お疲れさま」と言って肩に手を置いた。
  瞬間、ブルース・リー風にあちゃーっと唸って払ってきた。
「なんの真似?」驚いて手を引っ込める。
「いや、一応、一回は一回って事で」
 信じられないと明子は思った。こいつら大人かよ。こういうのが世の中に20%
もいるのか。
 とにかく、そのまま退場したのであったが。


● 34

 2人は出前を食べ終わると、2階の自販機で買ってきた緑茶を飲んだ。
「そう言や、井上さん、顛末書の下書きって出来たの?」
「それはですねえ」
  井上はポケットからスマホを出すと擦った。「こんな感じですよ。今朝の高橋
さんの行動を振り返ると、まず所長が便所で水を流した直後に出掛けて、この管理
室を通過して、ゴミ集積場でみんなと一緒に所長に手を振って、車を出して、大沼
さんを迎えに行って、帰って来て下ろして、駐車場に車を戻して、そして4階事務
所の玄関前から管理室へ電話した、と。以上をホワイトボートに書きますと」言う
と井上は書いた。

8 : 10 大沼から着信
8 : 15 エントランスに高橋、現れる
8 : 20 ゴミ集積場に高橋。所長に手を振る
8 : 25 高橋出発。
8 : 45 高橋帰ってくる。
空白の30分超。
9 : 20 4階より管理室に電話。

 そしてパイプ椅子に戻った。
「この大沼さんから電話っていうのは証明できますか?」
「できるで」大沼は携帯を開いて発信記録を見せた。
「その次の、エントランスに現れるっていうのは防犯カメラに写っていますか?」
 大沼が監視カメラのビデオを巻き戻して時間をチェックすると、確かにその時間
に高橋はエントランスに現れていた。
「じゃあ、8時25分にここを出て45分に戻って来られますかねえ?」
「わしが一緒やったからなあ」
「マンションに帰って来てから、4階の事務所に戻って管理室に電話をするまでが
30分以上もありますよね」
「便所に入ってたんやろ。更衣室の隣の共用部の便所に」
「それはカメラに写っているんですか?」
 またまた大沼が再生して確認する。
「写っとるよ」
「そうすると時間は正しいとして。私の大胆な推理はこうです。所長は便所で死亡
した。トリックは、便所の水溜りにサンポールか何かの酸性の液体を入れておいて、
ウォシュレットのノズルの中に塩素系の液体を入れておく。そしてケツを洗った瞬
間に混ざって塩素ガスが発生する」
「だけれども流した音はしたんやろ。それで流れて証拠隠滅になるかも知らんが、
流したのは本人やから生きていたちゅー事やろ」
「じゃあ、ウォシュレットじゃなくて、便所の水溜りに酸性のもの、タンクの中に
塩素のものを入れておいて、流した瞬間にガス発生、っていうのはあり得るかな
ぁ」
「苦しいなあ。じゃあ仮にそこで死んだとしてやな、その後、望遠鏡で見とるやろ。
大石さんと一緒に。手ぇ振って。それはどう説明するんや」
「今日、ここに来る時、プリウスのタクシーに乗ったんですよ。そうしたら、フロ
ントウィンドウにメーターだのナビだのが映るんですよね」
「なんの話や」
「いや、それで思い付いたんですけど。こうやって予め所長が手を振っているシー
ンを撮影しておいて」言うと、スマホのカムレコーダーを再生して大沼に見せた。
事務所の窓からゴミ集積場に向かって手を振る高橋が映っている。そして井上は望
遠鏡を取り出すと、スマホのディスプレイにくっつけて大沼に覗かせた。「こうや
って、朝のゴミ置き場で大石さんに覗かせれば、あたかも所長が和室から手を振っ
ているように見えないですかねえ」
「ほー」
「まだあるんですよ。実は、高橋さんは、自分が出かけている間に所長が発見され
るように仕組んで行ったんじゃないかと思って」
「どうやって」
「便所で所長が死ぬでしょう。その後高橋さんが所長を風呂場に引きずって行くん
ですよ。洗面所を挟んで隣だから短時間で出来るでしょう。
 そして、自分が出かける時に玄関の鍵を120度ロックして警戒
定するんですよ。
 こうしておいて、高橋さんが市内に行っている間に警報がなってナルソックでも
来てくれれば、アリバイが成立するじゃないですか。
 じゃあ、どうやって警報を鳴らすか、っていうと、これですよ」
  言うとスマホのカメラで撮った除湿機を表示して見せた。「そのコンセントに
タイマーがぶら下がってますよね。それ、8:30にセットしてあったんですよ。
それが夜間なのか朝なのか分からないけれども、朝だとしたら…。その除湿機を見
て下さいよ。吹き出し口の所にリボンがついているでしょう、電気屋に展示してあ
るみたいに。そうすると、8:30になって、除湿機が動き出すと、リボンが舞っ
て、センサーが感知して、警報が鳴ると。ところが作動しなかった。何故なら、そ
のタイマー、50Hzなんですよ。AMの元の事務所って飯山市内にあったんです
よね。あそこって、東北電力だから50Hzなんですよ。ところが斑尾はこんなに
近いのに中部電力だから60Hzなんですよ。それで作動しなかったんじゃないか
と」
「そんなアホな」大沼は笑った。「そんな芸の細かい事、する訳ないやろ。仮に上
手く行ったって、ネタがみーんな残っとるやないか。そんな事せんでもわしやった
らなあ」大沼は自説を語り出した。「あの部屋、下水管の換気扇のスイッチ、切っ
てあったやろ。だいたい引っ越してきて2、3週間はみーんな気付かないんやけど
な。
 そんでな、ここのマンション、安普請やから便器がI社なんよ。世の中の大部分
はT社やろ。T社のは大の時には手前にレバーを引くんや。そやけど、I社は逆な
んや。そうすると大でも小しか流さんやろ。そうするとS字のところで詰まるんや。
しかも換気扇のスイッチが入っていないから、ニオイが逆流してきよる。そういう
クレームが何十件もあったんや。そんで、ニオイが入ってくるっちゅー事は、塩素
ガスも入って来るってことやろ。
 でな、あの事務所の上の階も下の階も空き室なんよ。だから、下の階で下水管に
詰め物してやなあ、上の階からまず塩化カルシウムでも入れて、それからサンポー
ルでも入れてやれば、事務所ん中に塩素ガスがたちこめるやろ。そんで、あとで詰
め物を外せば密室犯罪や。どや」
「可能かも知れませんね。まず下の階の下水管に詰め物をしておく。それからター
ゲットの部屋の水道の元栓を止めてしまう。そうすれば便所の水を流した後、S字
の箇所に水が溜まりませんからね。そこで上の階から塩素と酸を下水管に流し込む。
塩素ガスが発生してターゲットの部屋にたちこめる。ミッションが終了したら、下
の階の詰め物を外す」
「そやな。それで出来るかも知れんな」
 ラクダ頭の二人は密室トリックについて夜遅くまで語っていた。









#1075/1158 ●連載    *** コメント #1074 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:14  (398)
斑尾マンション殺人事件 8
★内容

 35


 その頃、そこから10数キロ離れた信州中野駅の出口の柱に、斉木は寄り掛かっ
て立っていた。
 化繊ダウンのフードを被って、『Can't Buy Me Love』を口ずさみながら。
  can't by meだと思っていがcan't buy meなんだな、と斉木は思った。
  ポールは何時でも他人の事を歌う、とジョンは言うが、ちゃんと環境の中で感
じて歌っている気がする。具体的な環境の中に自分が居て、相手が居て、インター
フェースは金じゃあダメ、と。ジョンの場合、自分の事を歌うと言っても、環境と
は無関係な脳内自己だからなぁ。なんだか商品に興味の無いセールスマンと話しを
しているみたいだ。
 そんな事を考えていたら、いきなり尻の肉をつねられた。
 斉木が振り返ると、カミーラが笑っていた。飯山駅で大沼に抱き付いていた日系
人だ。
 女が頬を突き出して来るので、斉木は一応チュっとやった。

 歩道を横切ると、すぐにタクシーに乗った。
 後部座席で、カミーラは財布からCDのチラシの切れ端を出した。
 小さく折り畳んであって、端っこは擦り切れていた。
  こんなもの後生大事に持ち歩いているんじゃあ本当に欲しいCDなんだろう、
と斉木は思った。
「TSUTAYAに行けばあるかも知れないよ、ラテンのCDも」
  言うとカミーラの横顔を見る。額から鼻のラインが真っ直ぐだった。
  ローマ人の末裔だね、と思う。コインに彫ってあってもおかしくないよ。
  彼女は日系人だが、色々混血していた。インディアだの西洋人だの。
 こんな女が大沼にアモルを感じている訳はない、と斉木は思っていた。
  だいたいそんなに日本語を喋れる訳じゃないので、コミュニケーションが取れ
ないだろう。ただ単に携帯をくれたり、送金したりしてくれるから、便利だから付
き合っているだけだろう。
  しかし、しばらく観察していると、これってアモルがあるんじゃないのか、と
思える場面に遭遇する事があった。例えば、何か美味しいものを口にすると、「美
味しい」と喜んで、同じスプーンで大沼の口に運ぶとか。ガムが一枚あったので大
沼が何の気なしに口に放り込んだら「どうして自分に半分残しておかない」と本気
で怒るとか。ただの便利屋だったら、そんな事するだろうか。
 斉木は、自分はローマ人の末裔に愛される訳がない、と決め付けていた。しかし、
大沼が愛されているのを見ると、あんなのは元設備屋のおっさんだろう、という事
はカミーラなんて設備屋の女じゃないか、だったら俺の方が…と思えてくるであっ
た。
  これってきっと、クラプトンが、芋ジョージに比べりゃぁ…とパティを寝取っ
たのと同じだろう、と斉木は思った。
「何、考えている」カミーラが言った。
「あぁ、あそこの店は大きいけど、でも、田舎だから無いかも知れない」
「そうしたらあなたがインターネットで買ってくれればいい」
「大沼に頼めばいい」
 カミーラは自分の肘をとんとんと叩いて「タカニョ」と言った。
 これはケチ、という意味だ。
  彼女らの生業は養鶏場の労働者だが、小遣い稼ぎに売春もしていた。潰れた映
画館の、コの字になった廊下の左右の喫煙所に布団を敷いて、一発5千円で客をと
っていた。入り口の売店横の喫煙所が置屋みたいになっていて、テーブルの上には
ウィスキーだのペットの天然水だのが置いてあった。一杯やりながら女の品定めを
するのだ。女は4、5人居た。
  ある時女がコップに紙ナプキンを被せて100円玉を乗せて、火の付いたタバ
コで穴を開けるゲームをやろうと言ってきた。
「私が負けたらキスしてあげる。あなたが負けたら千円頂戴」
「何で俺が金を払わなきゃいけないの?」斉木は真顔で言った。
  女が「タカニョ」と言って肘を叩いてきた。
 しかし斉木は、ここで鼻の下を伸ばしてそんなゲームをやったら本当に馬鹿にさ
れるだけだと知っていた。
 こいつらの前ではおまんこ泥棒に徹するべきなのだ。それでこそ一目おかれる。
マラドーナの神の手みたいなのが尊敬されるのだ。映画館では5千円は払うのだが、
あれは入店料みたいなものだ。チップを払った訳じゃない。店外デートでただまん
を決めればおまんこ泥棒は成立するのだ。Can't Buy Me Loveだ。
「これ、素敵だな」斉木はカミーラのピーコートを摘んだ。「大沼が買ってくれた
の?」
「そう」
「その方がずっといいよ。それだったら普通の留学生に見えなくもない」
 もし今夜あの立ちん坊みたいな格好で来られたらどうしようかと思っていたのだ。
 ところが留学生という意味がわからずカミーラは眉間に皺を寄せた。
「スチューデント」と斉木が言う。
 ああ、と言って彼女はにこーっと笑った。
 その表情の表れ方が、スルメを網に乗っけたぐらいの勢いだったので、表情があ
るよなぁ、と思った。これだったら西洋人からしてみれば日本人なんてアルカイッ
クもいいところだろう。
 斉木は前を向いた。
 何の積もりかカミーラが斉木の腕を抱えて身を寄せてきた。
 コートの上からでも胸の膨らみが分かる。
 ちんぽがぴくぴくっと反応した。
 CDの2、3枚も買ってやりゃあ、俺のアパートに来るかも知れない。待て待て。
そんなことして何になる。八百屋の姉ちゃんに余った野菜を貰う様なものじゃない
か。そんな事するぐらいだったらおまんこ泥棒に徹した方がいいのだ。CDは自分
で買わせて、どさくさにまぎれて一発やってやる。

 ビルに入るとエスカレーターに乗った。
  吹き抜けの向こう側の店が、年度末の決算セールとかで、キラキラと飾り付け
されていた。カミーラの目もきらきらしてきた。
 こりゃあ気を付けないとやばいぞ、と斉木は思った。
 エスカレーターを乗り継ぐ時にワゴンセールをやっていて、ちょっと油断をした
隙に、「あそこに風船が浮かんでいる」と言ってカミーラはワゴンに吸い寄せられ
て行った。
 「ちょっと、みるみる」と言って見る。ミロだのミレだのはスペイン語でも『見
る』だ。
 ワゴンの靴を取り上げて、頬ずりすると、「ああ、柔らかい。こんなにソフトな
靴はペルーには無い。お母さんが履いたらベリー・グー」
 斉木は用心した。この先は「でもまだサラリーない。あなた助ける出来ます
か?」となるんだろう。そして買ってやると、レシートも寄こせという。そして養
鶏場で誰かに転売だ。
 そうなる前に、斉木はワゴンから彼女を引き離した。
「ああいうのはみんな4月になれば半値になる。そうしたら大沼に買って貰え」
 こうやってけん制して、マラドーナが肘でけん制しながら5人抜きをするように、
タカニョの肘でけん制しながらただまんにゴールしてやる。

 TSUTAYAには南米のサルサは無かった。それどころか、ラテンのコーナー
すら無く、ワールドミュージックのコーナーに、グロリア・エステファンだのリッ
キー・マーティンだの、超ポピュラーな物が10数枚並んでいるだけった。
 それでもカミーラはしゃがみ込むと、CDの背中をなぞってみたり、唇をつまん
で考えたりしていた。
 何を考えているんだろう、と斉木は思った。養鶏場で転売できる商品はないかな
ぁ、この機会を逃したら次は何時たかれるか分からない、とか?
「無理して買わなくもいいよ」斉木はフランクに言った。「あなたの欲しい曲はイ
ンターネットでダウンロードしてきてあげるよ。その代わりその金でステーキを食
べよう」
「ステーキ?」
「そうだよ。こんなに大きなステーキが1500円なんだ。サラダバーもついてい
る。ビールも」
「ふーん」と言うとカミーラは唾を飲み込んだ。
 斉木は、カミーラの脇の下に手を突っ込んで引っ張り上げると、そのまま売場の
外に引きずり出した。
 ところが、すれ違いに田舎っ臭い男女が、入って来た。
 サルサがどうの言っている。
「あいつら、サルサなんて聴くんだろうか」と斉木は思った。
 目で追って行くと、さっき自分らが見ていた棚を見ている。
 突然斉木は、「やっぱりここまでのタクシー代を考えると、何も買わないで帰る
のは馬鹿馬鹿しい」と言い出した。
 カミーラを引っ張って行って、そいつらの横に並んだ。
  田舎者は「エステファンっていうのは亡命キューバ人を売りにしているんだよ
ねぇ。本当のクーバって言うのはブエナビスタみたいな、ソンみたいな」等々、村
上龍あたりのイベントで仕入れてきた様なネタを話していた。
「こんな所にロクなCDは一枚も無い」突然でかい声で斉木は言った。「甲府まで
行けば、養鶏場で鶏の首を落としているペルー人が沢山居て、そいつらのイベント
に行けばフェンテスのアナログ版をコピーしたのとかが手に入る」と、大沼から仕
入れたネタを、スペイン語混じりの日本語で、まくしたてた。
 その余りのテンションの高さに圧倒されて、田舎者達は退散してしまった。
 そして、対象が居なくなると斉木も白けたのだ。
 斉木は思う、「自分はジョン型だと思っていたが、てんかん気質の衝動みたいな
のも多少入っているじゃなかろうか」と。

 通りに出ると「あそこのビルにステーキハウスがある」と向いのビルを指した。
 その屋上のボーリングのピンを見て、「あれはなに?」とカミーラが聞いた。
「ああ、あれは」と脳内で説明の文章を組み立てようとしたが、なかなか上手く行
かない。
 百聞は一見にしかずだ。そう思うと斉木はカミーラの手を引いて、向いのビルに
入った。
 2階のボーリング場フロアに行くと、ボールの棚の所から、レーンを見る。
 若い男女4人組がボールを投げていた。
 斉木自身、ボーリング場に足を踏み入れるのは10数年振りだった。
 ボールがレーンを滑っていく音や、ピンの砕ける音が迫力があって、全く贅沢な
遊びをしていやがるなぁと感じた。
「あなた、これやった事ある?」カミーラが言った。
「当たり前じゃん」
「だったら私、やってみたい」
「おお、いいよ」
 フロントに行って、申し込みをすると靴を借りた。
 ボールを選びながら斉木は、スコアの計算方法を思い出していた。
 スペアだったら次のを足して、ストライクだったら2つ先まで足すんだったっけ。
 しかし、指定されたレーンに行ってみると、昔は自分で書いたものがプロジェク
ターで映し出されていたのだが、今や、ボールを投げると自動的に計算されてディ
スプレイに表示される様になっている。
 こりゃあ進化している。丸で懲役15年で出て来た奴がパチンコだの公衆電話だ
のの進化ぶりに目を白黒させる様なものなんじゃないのか。
 しかしそんな驚きはおくびにも出さず、「ボールを投げるとあそこに数字が出る。
2回で全部倒せばスペア。スペアだと…」とルールを説明してやった。「さあやっ
てみな」
 しかしカミーラはボールを抱えて、レーンの端まで歩いて行くと、その場にぼと
んと落とすだけ。後はレーンの傾斜でよろよろと転がって行き、ガーターになるだ
けだった。

 ステーキハウスでメニューを見ながら「これ、スパイシー?」とカミーラは聞い
た。
「スカイシーなのは苦手なの?」
「私はスパイシーなのは嫌いだよ」
 何故スパイシーなのが嫌いかというと、昔、ヨーロッパ人は武器をアフリカに運
んで奴隷狩りをし、奴隷を南米に運んで胡椒栽培をし、そして胡椒をヨーロッパに
持ち帰るという三角貿易をしたから、と日西英ごちゃまぜで言った。
 それは胡椒栽培じゃなくて綿花の栽培じゃないのか、思ったが。とにかくそれっ
て、豊かな商品をカミーラに見せびらかして、カミーラを田舎者に見せびらかして、
田舎者の疎外感を見て自分が喜ぶ、という三角貿易を皮肉っているのか、と思った
が、そんなに難しい事を考えられるわけないだろう。
 スパイシーではないステーキが運ばれて来ると、カミーラはそれを頬ばった。
 彼女を見ていて斉木は思う。さっきこの女を田舎者に見せびらかしたのは、ジョ
ン・レノンがジュリエット・グレコのそっくりさん、それがオノ・ヨーコだと思う
のだが、それを大衆に見せびらかした様なものだろう。でも、そんな事したって、
全く当事者感覚に欠ける。
  じゃあ何で、大沼はカミーラの当事者だって思えるんだろう。
「大沼って何なんだよ」
「恋人だよ」カミーラはあっさり言った。
  斉木はびっくりした。
「そんなわけないだろう。あいつは映画館で金を払ってお前を買っていたんだぜ」
「それはあなたも同じ」言うとジッと見据えた。
 この女、ここでそんな事を言うか、と斉木は思った。
 今は俺と居るんだから、大沼の事は棚上げにしておけばいいじゃないか。やっぱ
り、こいつもガムテープなんだな。ガムテープ同士でべっとりくっつけ。
「大沼は、タバコが好きでしょう」斉木が言った。「だから胸が悪い。後でサンタ
マリアかも知れない」サンタマリアとは死ぬという意味だ。「彼がサンタマリアに
なったらお金が入るでしょう。でも、日本人がいないとペルーにお金を持って帰れ
ないでしょう。どうする?」
「あなたが助ける」
「どうして? 俺、ただのお客さんでしょ?」
「友達でしょ」

  養鶏場のアパートは、新幹線新駅の近くにあった。
  近所までタクシーで行くと斉木も一緒に降りた。
  舗装された農道を歩いていると、「アパートまで付いてくる気?」とカミーラ
が言った。
「俺のアパートはここから20分ぐらい離れているんだよ。タクシーで帰る気がし
ないから、朝までバスを待っているよ」
「こんなに寒いのに?」
「しょうがないだろう」
  それから2人は農道を歩いた。
  左手には田んぼ、右手には雑木林があった。真っ直ぐ行けば養鶏場がある筈だ
が、まだ距離があるので、飼料や糞のニオイはしてこない。空気が湿っているから
漂って来ないのかも知れない。
  湿った空気が空中で凍ってしまいそうな冷え込みだった。50メートルおきに
外灯があって光のワッカを作っていた。
  歩きながら斉木はカミーラの顔をチラ見した。これだけ寒いのに、マフラーに
包まれた顔は紅潮している。さっき食ったステーキが血になって体中を巡っている
んだろう。脇の下やおっぱいにも汗をかいるんじゃなかろうか。今ひん剥いてやっ
たら、湯気を立てるんじゃなかろうか。肛門の皺や、膣液に濡れた陰毛が目に浮か
ぶ。
「しょうがないから泊まって行ってもいいよ」彼女が言った。「でも私の部屋には
お姉さんが居るから、社長の部屋で寝ればいいよ。あそこは倉庫になっているか
ら」

  アパートの社長の部屋に入ると斉木は周りを見回した。
  倉庫といっても普通のワンルームでユニットバスもある。
  ここで一発やれる、と思った。
  壁に熊やらキツネの毛皮がぶら下がっていて、部屋の隅には猟銃が立て掛けて
あった。
「あれ、使えんの?」
「イタチを追っ払うんだよ」
「あんな所に放置しておいていいの?」
「何本もある」
 カミーラは一度部屋から出て行って、しばらくすると紅茶を入れて持ってきた。
それにたっぷりとブランデーを入れて飲んだ。
  斉木が「俺はT(tea)も好きだけれどもU(you)の方がもっと好きな
んだぜ」と言った。
「でも、I(愛)よりHが先だと順番が逆だね」
「でも、やって好きになるって事もあるだろう」と言いながらにじりよる。
「分かった、やるよ」とカミーラは言った。
 斉木は黙って服と下着を脱いだ。
「結構太いね。根元のところの絆創膏から血が出ている」とカミーラは言った。
 その太いのをずらすとカミーラは絆創膏をチェックした。
 斉木は痛さで少し顔を歪めた。そして言った。「安心しろよ。人にうつったりす
る病気じゃないから」
「でもシャワー、浴びてきて」
 斉木はユニットバスに入ると、シャワーで絆創膏のべたべたをとった。多少出血
した。
  シャワーから出てくると彼女の姿はなかった。
  体を拭きながら待っていると、ドアが押し開けられた。
  隙間から銃身が差し込まれる。構えている奴の顔は見えなかった。
「こっちに向けるな」と斉木が言った。
 しかしそのままズドンと火を吹いた。
  驚いて身をよじると、胸からどくどくと血が流れ出した。
  斉木は衣服を小脇に抱えると、ベランダに飛び出た。そこにあったサンダルを
突っ掛けると、手すりを乗り越えて、雑木林の中に入った。
  10数分歩いて、農道に出たところで、斉木は失神した。


●36

 翌朝、高橋明子は、マンションに向かう車の中でカーラジオを聞いていた。
  ニュース解説の評論家が興奮しながら喋っていた。
「いっくらねえ、原子炉が十数センチの鋳物で出来ていようと、そっから出ている
配管なんて、原発プラントというよりは、そこいらの水道屋の技術なんだから。そ
こらへんの継ぎ目から、放射線を含んだ湯気がしゅーしゅー漏れていても不思議は
ないんですよ。NYの冬場の景色を思い出して下さいよ。道路のあちこちから水蒸
気がもくもくと漏れてきているでしょう。あれはねぇ、NYの高層ビルにセントラ
ルヒーティングの熱湯を供給している会社があるんだが、その配管があっちこちで
ひび割れていて、それで漏れてきているんですよ。それと同じ技術でスリーマイル
の原子炉を冷やしているんだから、チャイナシンドロームが起こらない訳がないん
ですよ」
『チャイナシンドローム』のジャック・レモンは凸っぱちで蛯原に重なる。
 そう言えば蛯原も、ボイラー室の配管から水が漏れている、と所長に言っていた。
「いっくら大通リビングの工事部に連絡しても動かざること岩の如しなんですよ」
「いいんだよ、そんなの放っておけば。たとえ浴槽の底が抜けて理事長が素っ裸で
落っこちて来ようと、工事部にほうれん草した段階でAMとしては免責」と所長が
言っていた。
 そうなんだ、と明子は思ったものだ。
 いくらマンションの施工や管理がずさんでも、自分の属している会社だけはちゃ
んとしているのだ、と。
 ところがその所長が死んで24時間も経つっていうのに、何の指示も無い。こっ
ちから電話すればいいのだが、そうするまで何も言ってこないというのも不安だ。
 斉木あたりが、残業代がどうとか言ってきたらどうすればいいんだろう。まぁそ
の段階で連絡すればいいのだが。
 …てな事を考えている内にジムニーはマンションに到着した。
 自走式駐車場一番手前に駐車すると、何時もの様に、ゴミ集積場前、後方入り口、
廊下の順番で歩いて行く。
 エントランスに出ると、フロントは無人だったが、開放されたドアから管理室内
の騒がしい気配が伝わってくる。
 なんだろうと思って、勝手にフロントの中に入って管理室の中に半身を入れる。
 ジャック・レモンのようにYシャツに緩めたネクタイをぶら下げた蛯原がホワイ
トボードの日付欄に何やらごちゃごちゃ書き込んでいる。
 それを見詰める作業着姿の大沼と鮎川。
 この鮎川というのは、蛯原みたいな凸っぱちなのだが、イルカほどの俊敏性はな
くスナメリみたいな感じだ。
 その手前にスーツ姿の井上も居た。
 入り口には榎本の丸い背中。
「鮎川ちゃん、大沼さん、鮎川ちゃん、大沼さんで回していける?」と蛯原言った。
 24時間の管理員は3名が交代で行うのだが、2名交代でも行けるか、という問
いかけなんだろう。
 ホワイトボードにも
3月25日金 鮎川
3月26日土 大沼
3月27日日 鮎川
 と書いてある。
「俺は平気だよ」と鮎川。
「大沼さんは」
「ええけど、限度があるで」
「どれぐらい?」
「一週間やろな」
「それまでにAMから誰かくるとしても、ド素人をよこされてもなあ」蛯原が思案
顔で腕組みをする。「そうしたら、俺が24時間に回って、井上さん、フロントお
願い出来ますか?」
「え、僕が?」
「事態が事態だからしょうがないでしょう」
 明子は最後尾にいた榎本の耳元に「何かあったんですか?」と小声で囁いた。
「ちょっと、ちょっと」言いながら、袖を引っ張って明子を連れ出すと、榎本が言
った「斉木さん、撃たれたんですって?」
「は?」
「銃で撃たれたんですって」
「えー」とそっくりかえる。
 榎本はネットのニュースを印字したもの広げると読み上げた。
「昨日、深夜0時過ぎ、大字飯山の雑木林で飯山市上境在住のマンション管理員斉
木さんがイタチに間違われて猟銃で撃たれました。斉木さんは市内の病院に搬送さ
れました。弾は肺にまで達していましたが、一命は取り留めました。銃は近所の養
鶏場の宿泊施設から発射された模様ですが、養鶏場経営者によれば、昨夜はイタチ
狩りをしていないとのことです。警察は被害者の回復を待って事情を聞く予定…で
すって」
「まさかー。それで井上さんにフロントをやらせて、あの3人で24時間管理員を
やるって?」
「もう張り切っちゃってるんですよぉ」
 明子は管理室を覗き込んだ。
 大沼、鮎川、井上を相手に、蛯原が水性マーカーを持った手で身振り手振りで大
げさに指示している。
 何であいつが仕切っているのか、と明子は思う。
 井上がホワイトボードの前で指示を出すべきなのに水性マーカーで指されて「お
前がフロントに立て」とか言われている。
 明子は意を決した様に、管理室に入ると、「井上さん、ちょっといいですか」と
背広の肩をつついた。
「何ですか?」
「ちょっと」と言うと腕を取る。
「ななな、何、何」とヨロヨロしながらも明子に引っ張られてフロントまで出てく
る。更に「何ですか、何ですか」と言いながらも、ラウンジまで引っ張られて行っ
たのだが、しまいには「何なんだ」と大き目の声を出すと乱暴に腕を振り解いた。
 井上は眉間に皺を寄せて小鼻を膨らませていて、如何にも、男の職場に女がちょ
ろちょろするな的オーラを出していた。
 あー、すっかり蛯原の超音波にやられちゃっているんだなぁと明子は思う。
「井上さん、フロントに出る積もりですか」
「いけませんかッ」
「そんな事をして、もし居住者に、あれー、どうしたんですかーって聞かれたらど
うするんですか」
「えっ」
「いやー、ちょっとうちの管理員が銃で撃たれましてね、その交替ですよ、とでも
言うんですか」
「…」
「井上さんがフロントに立つって事は、斉木が撃たれた事はもちろん、日系人と付
き合っていたとか、全部井上さんが承知していた事になるんですよ」
「日系人?」
「聞いてないですか?」
「いや、なんにも」
  なんだ、聞いていないのか。そういう事を知りつつ、蛯原に鼻づら掴まれてい
い様に振り回されているのかと思ったら、そういう訳でも無いんだな。だったら自
分が説明してあげないと、と明子は思った。
「私、見たんですよ。大沼さんが日系人とぶちゅーっとやっているのを。駅前で。
  大沼さんに聞いたら、あれは養鶏場の女で斉木さんも絡んでいるって言ってい
ました」
「え? なに?」井上の目は宙を泳いでいた。「養鶏場の日系人女性が斉木さんを
撃ったって事?」
「そこまでは分からないけれども」
「うーん」井上は床の大理石のアンモナイトを見詰めて考えた。今一状況が掴めな
かった。斉木は養鶏場で撃たれて、大沼は養鶏場の日系人と関係がある、という事
か。だったら大沼に聞いてみようかと思ったが、下手な事を知ると、善意の第三者
では居られなくなってしまう。「本店に電話してみる」言うと管理室に戻ろうとす
る。
「どこに行くんですか」
「会社に電話」
「だめだめだめ。あの管理室に入ったら蛯原の超音波にやられちゃいますよ」
「はぁ?」
「あの人のそばに行くと、おかしくなっちゃうんですよ」
「しかし、こんな所から連絡するのも」と手を広げた
「うちの事務所を使ってもらってもいいんですよ」
「AMの?」
「そう。私も昨日あんな事があったんで、一人で居るのが怖いっていうのもあるし。
それよりなにより、井上さんの耳に入れておきたい事があるんです。でもそれは蛯
原とかにも関わる事なので管理室では話せないんですよ」
「蛯原も絡んでいるんですか?」
「たぶん」
「分かりました。じゃあちょっとカバンを取ってきます」
 そして二人で管理室に一旦戻る。
 まさに舌好調という感じで、蛯原が身振り手振りで大袈裟に「今我々が考えるべ
きことは」などと言っていた。










#1076/1158 ●連載    *** コメント #1075 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:14  (453)
斑尾マンション殺人事件 9
★内容

●36

 AMの事務所に入ると明子は、電気を付けたり、カーテンを開けたり、エアコン
を入れたりした。
 突っ立っている井上に「どうぞそこにお掛けください」とソファを勧める。
 そして井上が座ると、「そこ、昨日まで所長が座っていたんですよ」
「えっ」
「大丈夫ですよ。化けて出たりしないから」
 キッチンコーナーでアイスコーヒーを入れて、それを持って応接セットに戻った。
 コーヒーを飲みながら明子が言う。「蛯原さんって、井上さんをみんなの前で使
って見せて、何かの出汁にする積りなんじゃないですかね」
「実は僕もそう思っていたんですよ」と井上が言った。
 それから、共用部2階の雀荘化計画や、清掃員に遠赤ストーブを買わされた話な
どをした。
「でも遠赤ストーブにしても何にしても、私は策士というか、首謀者がいると思う
んですよね。蛯原さんは、そんなに計画的な事は出来ないと思うから」
「誰ですか。その首謀者って」
「斉木さん」
「だって、斉木さんって撃たれたんでしょ?」
「ですからそれはちょっと話が込み入っているんで、ぐーっと遡って時系列的に話
すしかないと思うんですよ。
  さっき耳に入れておきたいと言ったのもその話なんです」
 そして明子は、ぐーっと遡って時系列的に話した。
「所長や私がこっちに来る前は、24時間管理員は、飯山の事務所に日報を送って
きていたんです。bccで。
 それを印字して所長に渡すのが私の仕事だったんですけど、斉木さんは日報以外
にも、チクリメールも送ってきていたんです。
 それは、所長には現場で何が起こっているのかは分からない、とか、蛯原に聞い
たところで、自分に都合のいいジグソーパズルのピースしか見せないから所長は全
体像を把握出来ない、とか言う愚痴メールだったんですけど。
 でも、去年の春頃だったんですけど、かなり具体的なチクリメールが来ていたん
です。
 それはどういうものかと言うと、鮎川さんの前に草津さんっていう管理員が居た
じゃないですか。あの人は結局蛯原さんにイジメ尽くされて辞めたんですけれども、
それがどういう段階を踏んでなされたかっていうものだったんです。
 で、チクリメールによると、まず第一段階としては、朝の引継ぎの時に、蛯原さ
んが草津さんにこう言うんです。『昨日の3時頃、居住者からどこどこに犬の糞が
落ちているってクレームがあった。それで俺が掃除したが、あんた、気が付かなか
ったのか?』と。
 すると草津さんは『いやあ、気が付きませんでした』と言う。
 でも、実は蛯原さんは防犯カメラを巻き戻していて、草津さんが犬の糞を見て見
ぬふりをしていたのをチェックしていたんです。
 そして、『お前、嘘つくな、ネタは上がってんだぞ』と中学生だって体育館の裏
でやる様な事を引き継ぎの場で延々とやる。
 ここまでが草津イジメの第一段階です。
 第二段階としては、この『草津は嘘つきだ』というイメージの拡散です。所長は
勿論、井上さんにも、更には、居住者との世間話の際にも『いやー、草津がすっと
ぼけて取らなかったんですよ』等々言うんです。
 そして第3弾、というかトドメなんですけど。そうこうしているうちに、イーマ
ンションの口こみ掲示板に『夜の7時とか8時とかにフロントで居眠りをしている
管理員がいる』という書き込みがあったんです。
 そこで蛯原さんは、『草津に決まっている、カメラにも写っている』と言うんで
すよ。
 草津さんは『カウンターの内側のPCをいじっていただけだ。うつむいていたか
ら寝ているように見えるだけだ』と弁明するんですけど、蛯原さんは『また、草津
は嘘をついた』と言う訳です。
 つーか、それが事の真相だ、と、斉木がチクリメールで言ってきていたんです。
 それでですねぇ、こっからが重要な事なんですけど、ちょっと頓珍漢に聞こえる
かも知れないんですけど、その斉木が、夜な夜な、『ビートルズ殺人事件』という
小説も書いていたんですよ。
 それ、ネット上で見られますから、井上さん、スマホでちょっとググってもらえ
ません?」
「え?」井上は怪訝そうな顔をした。
「夕べ殺されかけた斉木が小説を残しているんですよ」明子は強い調子で言った。
「そっか」
  井上はスマホで検索すると『ビートルズ殺人事件』を表示した。
「うん。確かにある」
「じゃあ、それ、長いですから、スッチーで検索して、スッチーの一件だけ読んで
みてくれません?」
「すっちー」
「そうそう。そこの所だけ読んでもらえません?」
「今?」
「そう今。私、コーヒーを入れてきますから、その間に読んでおいて下さい」
 明子は、テーブルの上のグラス等を掴むと、キッチンコーナーに引き上げた。
 横目でちらちら井上を見ながら、ドリップコーヒーを入れる。
 そしてコーヒーカップを持って応接セットに戻った。
「そのスッチーの件って、草津さんお件と似ていると思いません?」と明子は言っ
た。
「どういう点が?」
「まず、ビートルズの場合だったら、バーの客が、ビートルズの誰かが外している、
と言った訳ですよね。でも誰が外したのかは分からない。そこでジョンは自分だと
思われたら困るから、ポールを使ってスッチーだと印象付ける。そしてこれ以上外
したらビートルズ全体が下手だと思われるとなると、いよいよスッチーを刺す。
ポールに『50セント返せ』と連呼させて。同時にスッチーには、『50セントぐ
らいなら友達なら返す必要はない』とでも言ったんじゃないですか?
 それを草津さんの退職に置き換えると、まず居住者が、管理員の誰かが居眠りし
ている、と言う、でも誰だか分からない。そこで斉木は自分だと思われたら困るか
ら、蛯原を使って草津だと印象付ける。そしてこれ以上居眠りしていたら管理員全
体が駄目出しされそうになると、いよいよ草津を刺す。蛯原に『草津は嘘つきだ』
と連呼させて。同時に草津には『休憩時間は休めよ。夜の7時から8時は休憩時間
だろう。お前が休まないと他のメンバーも休めない』とか言ったんじゃないです
か?
 つまり私は、草津さんの件の首謀者は斉木だと思う。斉木が蛯原を使ってやった
んだと」
 そこまで話すと明子は井上の様子をうかがった。自分の話が余りにも頓珍漢なの
で笑っているんじゃないか、と思いつつ。
 しかしそういう雰囲気もないので明子は更に言った。
「実は私、所長の件も首謀者は斉木さんなんじゃないかと思っているんです。エプ
スタイン殺しの首謀者がジョンである様に」
「そんなぁ」井上は苦笑いを噛み殺す。「その、スッチーの件と、草津さんの件が
似ているというのは分かるけれども」
「もっとおかしい事があるんですよ。エプスタインも所長もマネージャーでしょう。
そして二人とも吐しゃ物をノドに詰まらせて死んだじゃないですか。
 その次にジョンと斉木でしょ。二人とも銃で撃たれたじゃないですか。
 これって偶然ですか?
 これって見立てなんじゃないですか?」
「見立て?」
「そうそう、見立てですよ。そうだとすると、エプスタイン、ジョンの後で、ジ
ョージ、リンゴ、ポールの順に死ぬ事になるんですよ。そう書いてあるんです。そ
の小説に」
 井上はスマホをテーブルに置くと「しかし」と言った。「ジョージって肺がんか
何かで死んだんでしょう? それって自然死じゃないですか。それにリンゴとか
ポールってまだ生きているし」
「だから、これはリアルビートルズじゃなくて、『ビートルズ殺人事件』の見立て
って事なんですけど」
「斉木はまだ死んでいないし」
「きっと死にますよ」
「うーん」井上は唸りながら腕組みをした。ハッと思い出した様に、背広の内ポケ
ットから懐中時計を出す。懐中時計…。「あ、こんな時間だ。会社に電話しない
と」
  スマホを持って和室の方に行く。
  数分で戻ってきた。
「なんて言ってました?」
「なんでそんな事高橋さんに言わないといけないんですか」
「ただ、どうしたのかなーと思って」
「状況を把握しておけって言われましたよ。蛯原さんにでも聞いてみるかなぁ」
「だめだめ。それをやったら蛯原に都合のいいジグソーパズルのピースしか出てこ
ないんだから」
「じゃあ誰に聞けと」
「そうですねぇ」
 言いながら明子は立ち上がった。




● 37

 リビング入り口に行くと、タイムカードの上の行先表のホワイトボードを取って、
明子は戻ってきた。。
「所長が救急車で搬送された時に、私、斉木と二人になったんです。その時にあの
人が、ビートルズの誰誰がこのマンションの誰誰に対応するとか言っていたんです
けど、それによると…、
 ジョン=イタチ型が斉木自身、
 ジョージ=ラクダ型が大沼、
 リンゴ=石臼型が山城、
 ポール=イルカ型が蛯原、って事でした。
 所長は薬缶頭だったから山城と同じ石臼型だと思うんですよね。
 そうすると、もし見立て殺人が進行しているのなら…」
 そしてホワイトボードに書いた。

 エプスタイン 所長 死亡
 ジョン    斉木 重傷
 ジョージ   大沼
 リンゴ    山城
 ポール    蛯原
「こういう順番になると思うんですよね。だから、とりあえず大沼さんに聞くべき
じゃないかと」
「いや、別にこれから起こる事件について聞きたい訳じゃなくて、今まで起こった
事について把握しておきたいだけなんですけどね」
「ぞうだとしても、斉木さん銃撃事件にしても、犯人が養鶏場の女かも知れないん
だから、そうしたら大沼さんが絡んでいるのかも知れないし」
「大沼さんか。しょうがないな。あの人に聞くのが常識的なんだろうな」と何やら
ぶつぶつ言ってから、「じゃあ、大沼さん、呼んで」と言った。
 しかし明子がフロントに電話をしたところ、大沼は既に帰宅したとの事だった。
「え、帰った? じゃぁ、しょうがないなぁ。鮎川さんにでも聞くか」
「いや、24時間同士って、あんまり接点ないんですよね、引継ぎだけで。むしろ
横山さんあたりに聞いた方がいいかも」
「横山さん?」
「清掃の横山さん。あの人は大沼さんと仲がいいんですよ。昼ごはんも一緒に食べ
ているし、ペンション村で」
「じゃあその横山さんにインタビューするか」


●38

 明子が再びフロントに電話したところ、横山はマンション外周の拾い掃きをして
いるので昼までは戻ってこない、との事だった。
  昼になって再度電話してみると、今度は横山が出たのだが「ペンション村に昼
食を取りに行く積もりだったのに」などとごねる。しかし長寿庵のカレーライスを
ご馳走するからということで納得してもらって来てもらう。
 そして井上、明子、横田の3人で食べた。
「蕎麦屋さんのカレーってカレーうどんのカレー? とろみを出すのに片栗粉使っ
てるみたい」言ってから横田は笑った。
  声はハスキーなのだが笑うとキャンと犬でも踏み潰した様な音を出す。言葉を
発するというよりは、くしゃみ、とか、あくびの様な生理現象の様である。
 最初明子は、横田を見て、デビルマンレディーみたいだと思っていた。しかし、
近くで見ると純粋なラクダ型というよりは、ラクダとイルカの混合型なのではない
か、と思う。ちょっと古いが秋吉久美子とか原田美枝子、ビートル妻で言うならパ
ティー・ボイドがこのタイプではなかろうか。魔性の女、という感じだ。
 ラクダだのイルカだのと言っても、くっきりラクダになったりする訳ではないの
だ、と思った。
 多分、ホルモンが関節や骨の形成に影響を与えているのだろうが、ジョージみた
いに関節が太いのと、リンゴみたいに全体にずんぐりむっくりしているのとでは、
頭蓋骨はともかくとして、肢体に関してどう違うんだろう。
 例えばモー娘。で言えば、

      −
 イルカ型 −イタチ型
 加護亜衣 −後藤真希      
 ―――――・―――――     
 石臼型  −ラクダ型      
 辻望美  −矢口真里      
      −
 
 だと思うが、矢口と辻だったら関節は矢口の方が太いが筋肉は辻の方が厚いって
事だろうか。
 加護、矢口のラインって、ナチュラルで下ネタOKって感じがする。
 辻、後藤のラインって、ケミカルで下ネタNGって感じがする。
 矢口って、縦ロールにしているな、と思い出した。宝塚とかゴスが好きなんだろ
うか。
 そういえばフローレンス・ジョイナーも縦ロールにしていた気がする。
 そして目の前に居る横田も、髪を後ろで束ねているが縦ロールが入っている。
 やっぱり、ラクダ型なのではなかろうか。
「横田さんって、宝塚とかゴスとか好き?」明子は思わず聞いた。
「え、何で?」
「なんとなく雰囲気が…。髪とか」
「ああ、これは」
 横田の髪型は宝塚って訳ではなくて、『カラフィナ』というマニアックな女性
ボーカルグループが好きでやっているそうだが、そのステージは劇団四季風で、宝
塚に似てなくもないという。
「へー」と明子は納得する。
「ゴスが好きなのは泉ちゃんだよ。飲み会に行く時コスプレしてるし」
「あの子、そんな事するんだぁ」あのイルカがコスプレだって?「へー。みんな、
色々趣味があるんですね」
「じゃあ、まぁお話は尽きない様ですが、そろそろ、大沼さんの話を」と井上が仕
切ってきた。
「ちょっと下ネタ入っちゃうけどいい?」と横田が言った。
 この人やっぱり下ネタOKなんだなあ、と明子は思う。
 明子は蕎麦屋のどんぶりを下げるとお茶を持って来た。
 横田は、大沼さんが言っていた事だけれど、と前置きしてから話し出した。


● 39

  かつて大沼はこう語っていた。
「去年のクリスマスイブの話や。
 中野の営業停止中のフリィピンパブの様子を見に行ったんや。未練たらしく。
  相変わらず営業停止中やったけど、路地の向こうから、通称脂すまし、という
常連が歩いてきよる。
  CPO着て背中丸めて。
「なにやっているんや」
「仕事の帰りだよ」
「クリスマスイブに仕事かい」
  近くに来ると脂すましの顔がネオンに浮かぶ。
  相変わらず、女に縁のなさそうな顔をしている。
  自分じゃあクリストファークロスに似ているとか言うが、お獅子というか、ち
ょっとダウン症みたいな顔や。
「飯でも食う?」というんで、近所の定食屋に行った。
  脂すましは豚のしょうが焼き、俺は刺身定食を食いながら「最近、どこで遊ん
でいるんや」と聞いた。
  フィリピンパブで遊んでいる頃には、テレクラで素人とやりまくっていると豪
語していたが、今は、終電後の駅前をうろついている女をナンパしているという。
「どうやって誘うの」
「カラオケ行かなーい? って」
「それで着いてくるんか」
「くるよ」
「そんでカラオケ、行くのか」
「カラオケ行ってどうするんだよ。直行だよ、直行」
「ホテルに直行か」
「他にどこ行くんだよ」
「ふーん。そんで生でやるんか」
「そんな事やって汁でも漏れたらどうするんだよ。ゴムだよゴム」
「そんで一発やって帰ってくるんか」
「そうだよ」
「金は要求されないんか」
「財布広げて、あれー2千円しかないやー、ごめんねー、又ねー、で終わりだよ」
「それ、たちんぼとちゃうんか」
「素人だよ」
「素人と思えん」
「お前、なんでそうやってケチつけるんだよ」クリストファークロスがお冷を見詰
めて言った。「そっちが教えてくれって言うから教えてやったのに。前もテレクラ
の事を教えてくれいっていうから教えてやったら、そんなにいいんならどうしてフ
ィリピンパブに居る、とか言うし。だったら聞くなよ」
「おーわりーわりー。じゃあその定食はおごったる。情報提供料や」
  脂すましと分かれてから、居酒屋で飲んで、スナックで飲んで、赤提灯で飲ん
だ。
  そうしたら11時や。
  あほらしいと思いつつも駅ビルのシャッターの前へ歩いて行ってみた。
  でも誰もおらんかった。と思ったんやが、白いパーカーを着た女が一人立って
いた。シャッターも白っぽかったんで見えなかった。
  近づいてやり過ごしてから又戻ってくる。
  日本人やない。ハーフかな。へちゃむくれた顔や。ドリュー・バリモアとか、
クリスチーナ・リッチとか。
「自分なにしてる」と俺はきいた。
「人を待っている」
「もう人来ないで。電車終わっているもの」
 女は黙って前を向いていた。
「カラオケでも行くか」と思い切って俺は言った。
「カラオケは行かないけど、裏に映画館があるからそこなら」
「もうやってへんよ」
「でも、あそこなら遊べるよ」言うて人の顔を見てにっと笑った。
  駅前のビルと隣のビルの細い道を抜けると、裏にコンビニと潰れた映画館があ
った。真っ暗で廃墟っていう感じや。こんなところで昼間やったら青姦になるんや
ろう。
「こんなところでなくてホテルに」言うていて、気が付いた「ところで幾らなん
や」
「15分で3千円」という。
  それだったらわざわざホテルに行くのもアホらしいな。
  コの字の廊下の左右の、元は自販機でもあったようなスペースに布団が敷いて
あった。
  窓ガラスはダンボールで目張りがしてあって、LEDのキーホルダーが何個が
ぶら下がっている。
  ここでやるんか。
  3千円渡すと女はそれを財布にしまって、その手でコンドームを出した。
  赤ん坊がおしゃぶりでも銜えるみたいにコンドームを銜えると、萎んだままの
亀頭に吸い付いて、吸い込む力でちんぽを伸ばしながら被せてしまう。
  しかし酒のせいか、萎んだまんまや。
  もういいと言うと、まだ時間がある、と一生懸命しごきよる。
  なんでそんなに熱心なんやろう。
「そんじゃあ話でもするか。どこからきたの?」
「ペルー」
「幾つ?」
「18」
「自分さっき、人を待っている言うてたが、あれはほんまか」
「お姉さんを待っていたの」
「どっから来るんや」
  養鶏場の名前を言うとった。
  彼女は、元々は金沢の水産加工会社で働いていたそうや。
  機械から流れてきて湯に浮いているおでんをひたすら串に刺す作業や。
  最初はきつかったがじきに慣れた。しかし慣れると経営者が機械のスピードを
上げるから又きつくなる。
  そんなの1年もやっとったらこんなになった、と言って手を出す。
  手の皮が足の裏みたいになってたで。
「だから今はお姉さんと一緒に、養鶏場で働いている」言うとごわごわの腕を引っ
込めて、白いパーカーを被ると震えた。
「自分寒そうやなあ。もう帰ったらいいんじゃないの?」
「私、お腹へったよ」
「そしたら、飯でも食いいくか。でもこんな時間やと、深夜営業のファミレスしか
やっていないよ」
「それでいいよ」
  映画館を出る時、売店横のソファにもう2人女がいたんやが、カミーラに二言
三言、スペイン語で話しかけていた。
  それからデニーズに行ったんや。
  あそこはメニューが写真やから、フィリピンの女を連れ出すんでもよく使った。
  カミーラはピザだのハンバーガーだのを食べとった。がつがつ食っているカ
ミーラに俺は言った。
「商売の時、先に金を要求すると白けるで。瞬間恋愛したいんやから」
「そんな事言っても払わない奴がいるから」
  脂すましが脳裏に浮かぶ。
「暴力をふるう奴もいるし、親指の爪を尖らせておいて、入れる寸前にコンドーム
を破く奴もいる」
「そんな奴がおるんか、大変やな」
  デニーズを出てから、結局ホテルに行ったんや。
 部屋毎に建物が別になっている、昔ながらもモーテルや。
 部屋は暖かかった。
 入るなりカミーラはうずくまるようにして腹を押さえるんで、何しているんやと
思ったが、Gパンのボタンを外しとったんや。ぺらぺらぺらと脱ぐとすっぽんぽん
になった。
 俺もぎんぎんやった。それからやったよ。
 終わると、俺の腕を取って、自分の首に巻きつけて、俺の太股に足を絡めて来た。
 何をする気やと思ったら、そのまま俺の胸の中で寝息をたてたんや。
 体が熱かったで。女の体ってこんなに熱を持っているのか。
 雪が降っていたからすごい静かだった。どっかで、しゅーっと、音がしている。
暖房の湯が回っている音やろ。
  それから俺は考えたんや。
  危ない客が多いっていうのは可哀想や。斉木や鮎川や新聞配達なら大人しんと
ちゃうか。そやけどあいつらにやられるのもしゃくやな。あいつらには別の女を宛
がってやりゃあいいんじゃないのか。あの売店横に居たインディアの女でも。それ
にあいつら飢えているから5千円は払うやろ。2千円ピンはねしてやればええんと
ちゃうか。
 朝、彼女はシャワーを浴びていた。髪の毛を後ろでアップにして、スケベ椅子に
腰掛けて。
 それから備え付けの歯ブラシで歯を磨いていた。
 生活の無いのが惨めやった。
 それからデニーズ行って、マンゴーを食っている彼女に、客の件を提案した。
  彼女は目を輝かせていたよ」

「私が知っているのは、そこまで」と横田が言った。「続きは大沼さんに聞いて」
「聞くのが怖いよ。つーか、飯山に住んでいる人って、みんなそんな感じなの?」
「それって酷くありません?」明子が言った。「それって地方を差別していな
い?」


●40

 横田が帰ると同時に電話がなった。
  明子が出るとフロントの榎本からだった。
「警察が来たって言ってますよ。4人も。井上さんに話を聞きたいって」
「えっ、僕に?」
「どうします? 管理室で会います? それともここに来てもらいます?」
「うーん」と言いつつそわそわする。「とりあえず、ここに来てもらおうか」
 明子はその旨伝えた。
「いやー、困ったなあ。まだ顛末書も何も出来ていない」
「それは困りましたねぇ」言うと明子はにやにやした。「実はですねぇ、うちの所
長は、設備の業者から説明を受ける時には、必ずハンディーカムで録画していたん
ですよ。後で、このボタンを押せばいいって言った、いや言っていない、ともめる
から。
 あとパートの面接の時にも、後で言った言わないになるんで必ずICレコーダー
に録音していたんですよ。
 だからって訳じゃないけれども、私もさっきからからの会話を録音していたんで
すよね」
 言うと明子はシャツのポケットからICレコーダーを取り出して井上に差し出し
た。
「これは…。何が入っているんです?」
「だから、私が話した草津さんの件と、あと今の大沼さんの話。これを警察の人に
聞いてもらえば手間が省けるんじゃないですか」
「そうですか。実は私もですね」言うと井上はスーツの内ポケットからICレコー
ダーを出した。「インタビューの際には必ず録音しているんですよ」
「それには何が」
「昨日の夕方の山城さんとの会話と、高橋さんが話した草津さんの件、今の大沼さ
んの件」
「じゃあだぶっちゃいましたね」
  言うと明子はつまらなそうに自分のレコーダーを故金子所長の机の引き出しに
しまった。


●41

 制服警官が4人も入ってくると、部屋の狭さのせいもあるが、かなりの威圧感が
ある。
 井上がソファを勧めて4人は着席した。
 明子が日本茶を入れてテーブルに置いた。
「大通リビング、井上と申します」むにゃむにゃ言いながら井上がそれぞれに名刺
を渡した。
 警官の中の痩せていて人の良さそうなのが、「飯山南警察署の服部です」と自己
紹介した。
 所長の事故の時に来ていた警官だった。
  それから彼が他の警官の紹介もした。
「こちらが、三木警部」太っているが凸っぱちだ。50代だろうか。
「こちらが山本さん」定年再雇用って感じの初老だ。石臼タイプ。
「そしてこちらが何時もお邪魔している須藤」蛯原ともめていたうどの大木だ。
「君さあ」山本が井上に言った。「立ってないで椅子もってきて座ったらいいんじ
ゃないの?」
「えー、つーかですね、今日は勿論、斉木の事と所長の件でいらしたんですよねえ。
 その事に関しては私も色々調査しているんですが、まだまとまっていないという
か、まだ皆から聞いている段階なんですよ。それでですねえ、皆から聞いたものを
こちらに録音してあるんですが。20分ぐらいの録音が、3つ入っているんですが、
とりあえずこれを聞いて貰うって訳には行かないですかねえ」と言ってテーブルに
差し出した。
 服部が受け取って横の三木の顔色を伺う。
「いいんじゃねーの」と三木。
「じゃあ聞かせてもらいます」
「じゃあ私達はお茶でも飲んできましょうよ」明子が口を挟む。「その方がお巡り
さん達も話がしやすいと思うし」
「そ、そうなんですか?」と井上。
「とりあえずは聞かせてもらいますが」
「じゃあ、席を外していますから、用があったらそこに書いてある携帯に電話して
もらえますか」と名刺を指差した。

 そういう訳で、明子と井上は一階ラウンジで待機していた。
 夕方の5時頃、4人の警官は便所を借りに下りてきた。
  それから再び事務所に戻って、更に1時間経過した頃になって下りてきた。
「次に大沼さんが来るのはいつですか?」と服部が聞いてきた。
「今日は鮎川だから、明日の朝には」
 服部はこそこそと相談してから、「じゃあ、明日の昼頃に又連絡しますわ」と言
った。
 そして警官達は帰っていったのだが。









#1077/1158 ●連載    *** コメント #1076 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:15  (477)
斑尾マンション殺人事件 10
★内容

●42

 事務所に戻ると井上が、「あのお巡りさん達、何を話していったんだろうなぁ」
と言った。
「実はですねえ、さっき机にしまったレコーダーはスイッチが入っていたんです
よ」言うと明子は所長の机からICレコーダーを取ってきた。
 そして二人は、警察官のトークが始まる箇所から再生して聞き入った。

服部「今ざーっと聞いてみての感想ですがね。
 まずこの斉木って男ですが、戦艦大和の話をしていて、38式歩兵銃、サンダー
ス軍曹という言葉が出てきますよね。
 それから、サッカーの話題から、鎌倉武士だの、コンバットの要塞攻めだの言っ
ていますよね。
 という事は、目の前で起こっている事をそのままには感じられないで、過去の記
憶を呼び起こすトリガーにしてしまうという感じですよね。
 そして呼び出された記憶も、自己の経験ではなくて、メディアから得たものばか
りだ。
 この斉木に、このテープを聞かせたら、恥ずかしくて死にたくなると思いますよ。
それは、自分の経験でもないのに我が事の様に語っているから、つまり自己が無い
事を見破られるからなんですが。
 自己が無いって事は、出来事をエピソードとして感じられない訳ですから、絶え
ず世の中があっちに行ったりこっちに来たりして感じられる、と思うんですよね。
 例えば我々の持っている拳銃、これを見て最初は、市民を守ってくれている、と
思う、次の瞬間、今朝女房を殴ってきた事を思い出して、自分に向けられるんじゃ
ないか、と思ってみたり」
三木「うーむ。よく分かんねーな」
服部「そうですかぁ。例えばですねぇ、まあ随分前ですけどね、或る事件に関して、
長い調書を書いていたんですよ、私が。非常に興味深い事件だったんですが、全体
の4分の3位まで来たところで、突然白けたんです。何故かっていうと、終わりそ
うだ、と思ったから。その瞬間に、終わらせる事が目的になっちゃっうから、そう
すると事件に関する興味は失われてしまう訳です。
 それが世界があっちに行ったりこっちに来たりする感覚なんですが、まぁ私にも
そういう気はあるんですが、この斉木には日常的にそういう事が起こっているんじ
ゃないですかね。…そう言えば、あの事件に出て来たメンツって、このテープの斉
木、蛯原、大沼、山城に重なるなあ」
三木「なんだ、その事件って」
服部「いや、全く別の事件ですから。もう終わった事件です」
三木「なんだよ、気になるじゃねーか。言ってみろよ」
服部「まぁー、そうですか。じゃあ言いますけど、このマンションとは全く別の話
ですよ。
 やはり甲信越地方で起こった事件だったんですけれどもね、畑の真ん中に東南ア
ジア女性を使った売春宿があったんですよ。何でも常連の間では、8千円で2回や
らせるという噂があったらしいんですよ。そこである男が行き、そいつがこの事件
のホシなんですがね、そいつが行って、入り口で店員に、2回やらせるんだよね、
と確認したそうです。
 店員は、そんなのは、2回って言っても、たまたま早く終わった客が、間が持た
なくてなんとなくもう一回ってやっただけで、別に、2回を売り物にしている訳じ
ゃない、と言ったそうですが。
 じゃ、帰る、と男が、踵を返そうとしたところで、
 やっぱり2回やらせると店員が言ったそうです。
 ところが男が入るなり、東南アジア系の女性に、2回だよなーと迫ったものです
から、そこは向こうも白けてしまって、2回どころか1回もおざなりで済ませられ
た。
 そうして出てくると、2回って言ったじゃねえか、と店員に詰め寄ったそうです。
 そこで店員が、そんな事いったっけーとすっとぼける。
 それで頭にきて、その男は店への嫌がらせとして、警察に匿名の通報をしてきた
んですよ。
 そこで、仕方なく当方の生活安全課が行ってみると女が部屋で死んでいるじゃな
いですか。
 まぁ、これは男の暴力等によるものではなく、元々あった持病がコイタスの後で
悪化して死亡に至った、という事なんですが。
 ところが驚いた事に、その日の内にその男は別件でしょっぴかれてきたんですよ。
 っていうのは、その野郎は、その売春小屋の外に駐車していたんですが、駐禁の
ワッカをはめられていたんですな。
 それを、わざわざ交番に出頭してきて、自分はちゃんと30分以内に移動させて
おいた、だのなんだのごねだした。
 まあ、交番の巡査は、5分でも違法駐車になると説明したのですが、その警官が、
わざわざ出頭するからいけないんだよ、あんなワッカ、ペンチでぶったぎってそこ
らに捨てておけば取りこぼしちゃうんだから、てな事を言ったらしいんですな。
 すると男は、そんな網の目の粗い法律を作るのは不公平じゃないか、などと言っ
てきたらしいんですが。
 そこで又巡査が、法の網の目をくぐるのに、くぐれますかね、と聞いてくる馬鹿
はいない、と言ったらしいです。
 そこで男が警官の襟首を掴んで公務執行妨害の現行犯で逮捕になった訳ですが。
 あとこの事件では、検視の為、遺体を持って帰っていたんですが、その女の女衒
なる人物がふらーっと署に現れて、俺の女を返してくれ、と言ってきたんですよ。
  それからその時にたまたま店にいたこの店の常連で近所の地主にして幼稚園経
営者の男もしょっ引いたんですがね。
 さて、次に、実際に取り調べという段階になって、それぞれの個性が際立ってく
るのですがね。この妙に几帳面な客が斉木、店員が蛯原、女衒が大沼、地主が山城
に相当するんですが。
 まずホシである客ですが。
 こいつは人間を信じられないって奴ですが、そりゃそうでしょう、自己自身が無
いのだから、人間関係の情とか塩梅とか、そういうものには全くのKYなんですよ。
 となると、信じられるのは、約束だの制度だのって事になるのですが。
 そうすると、目の前に、具体的な存在として哀れな売春婦がいても、今ここで助
けようとは思わない。ただし、制度を変えなくてはいけないと思うんですな。
 実際この男は、アムネスティーだかユニセフだかに募金していると言うんですね。
しかし目の前に居る売春婦には、2回やらせるという約束を守れ、と迫るわけです。
 それは警察に対してもそうですから、駐禁の処理が適当だと、法律の運用が恣意
的だ、と切れる訳ですが。
 こういう人間は裁判においても情状酌量なんてものは求めず、裁判官と一緒に自
分の死刑判決を組み立てて行って達成感さえ感じるんですな。まあ、こいつの場合、
重罪ではないですから、死刑になどならなかったのですが。とにかく取り調べにお
いても厳密にやってくれって事だったんですよ。
 次に店員ですが。これは蛯原に相当するんですがね。
 こいつは取り調べの時に、丸で、取調官を喜ばせたいかの様にぺらぺら喋るんで
すな。
 実はこの店員には内縁の妻がおり、DVで悩んでいるという相談が署にもあった
んですよ。しかし店員の身辺を調べてみると、例えば、出入りの酒屋だの、新聞屋
だのにはえらい評判がいい。あの人はいい人だ、あの人には裏表がない、自分らの
ような下層の者にも人間同士として接してくれると。
 店の女にも評判がいいんです。女の為に、昔のコネを手繰っていって、医者だの
警官だのに助けを求めたりするんですな。
 そうすると被害者の妄想ではないのか、とも思えてくるのですが。
 どうもこの店員は、目の前にいる人間にだけ反応して、居なくなれば忘れてしま
うという男らしいんですな。
 目の前に妻が現れれば酷い事をする、居なくなって酒屋が現れれば丸で別の人間
になるという…。
 未解決の通り魔的な犯罪はこの手の輩がやり散らかしているんじゃないか、とい
う話もありましたな。何しろ現場を離れてしまえば本人も忘れてしまうのだから、
尻尾を出さない訳ですから。
 次に、女衒の男。これは大沼に相当するんですが。
 こいつらは、サーカスというか旅芸人の様な集団を形成して全国を移動していた
んですが、その中で、近親相姦はするわ、人が死ねば死体遺棄をするわ、本人らは
それを罪と思っていないわ、という、人間社会とは無関係に生きている奴らなんで
すな。
 それから、地主。こいつが山城に相当するんですが。
 ある時、この地主が店内で女衒と出くわしたそうです。
  この地主も女買いはしても、片方で幼稚園経営者という顔も持っているものだ
から、女衒など気に入らない。そこで、ちょっと説教たらしく、お前は売春を悪い
とは思わないのか、みたいに噛み付いたらしいんですな。
  すると女衒はこう言ったそうです。男が土方で体を使う様に、女が売春で体を
使って何が悪い、と。
  まぁ幼稚園経営者なんてものは人間に良心があって当たり前と思っているから、
こういう動物に出くわすとどうにもならない訳ですな。もっともこの地主とて、何
故セックスのタブーがあるのかなんて分ってはおらず、ただ、人とはそういうもの
だ、と刷り込まれているに過ぎないんですが。
  そこらへんを、ちょっとこの女衒に突っ込まれたらしいんですな。
 犬だって猫だって好き勝手にやっているのにどうして人間だけ好き勝手にやった
らいけないんだ、とその女衒に言われたそうです。
 地主は、人間は犬畜生とは違うからだ、としか言えなかったそうですが、その女
衒はこう言ってきたそうです。
 イワシでもスズメでも選挙なんてしないでもリーダーが決まる、人間のリーダー
も知らない内に決まっている、それだと不安だから、後から選挙だなんて理屈を付
けているだけだ。セックスだって同じだ。人間が好き勝手にやらないのは、ハーレ
ムのボスに殺されるからだ。しかしそれだと動物みたいだから、後から良心だの言
っているだけだ。それがお前が幼稚園でガキに教えている事だ。
 さて、以上を予備知識として、私はこの4人に面接したのですがね。
 面接に先立って私は彼らの身体的特徴をある程度想像していました。
 今日の心理学でも使われているオーソドックスな人格分類に次の3つがあるので
すが、
 分裂気質、これは痩せていて神経質な感じ、
 それから粘着気質、これは関節が太くて、愚鈍な性格、
 それから循環気質、これは肥満で、陽気な性格、というものですが。
 どうも私は、この循環気質なるものにピーンと来ないでいた。どうも、薬缶頭の
頑固オヤジタイプ、と、凸っぱちのヤンチャ坊主タイプの混同があるんじゃないか
と思っていたのですが。
 そこで私は、分裂気質、粘着気質、頑固オヤジ、ヤンチャ坊主の4種類に体格を
分類しているんですよ。
 といってもイメージ出来ないでしょうから、具体例を挙げますと、分裂気質は相
撲で言うと北の湖ですな。これは太っているから分からないが、実は体格はいいと
は言えない。
 粘着気質は、輪島みたいな関節の太い力士ですね。
 頑固オヤジタイプは、貴乃花、北天祐、など四つ相撲の力士ですね。
 ヤンチャ坊主タイプは、舞の海、朝青龍。これは非常にバランスがいいんですな。
 印象としてどうですかね。
 輪島、北の湖というと、本割りと優勝決定戦で2回連続して北の湖が負けた、し
かも同じ下手投げで、というのが印象深いと思いますが。あの瞬間「やっぱ中卒は
駄目だ」と声が上がりましたが、あれは何回やってもああなりますな。押し相撲の
力士が関節の強いのに当たっていけば。
  土俵の上ではそうなるんですが、相撲協会の経営となると、実は北の湖の方が
遥かに上手って事になる。永遠のライバルではあるんですが。
 まぁ、その後の千代の富士、大乃国なども同じですが。柔道でいえば、山下、斉
藤が相当しますね。斉藤も突っ込んで行って闘士型の韓国人選手に肘を折られまし
たが。
 さて、そういう予備知識を持って面接したところ、全くその通りの身体的特徴を
していましたよ、この東南アジア女性事件に関わった4人は。
 ですから、斉木、大沼、蛯原、山城を見れば、やはりそうだと想像しますね。
 つまり、
 分裂気質   几帳面な客  斉木
 ヤンチャ坊主 店員     蛯原
 粘着気質   女衒     大沼
 頑固オヤジ  地主     山城
 という訳ですが」
三木「うーむ。ちょっと待った。ちょっと便所に行きたいな」
服部「あそこにありますよ。それともマンションの入り口に公衆便所みたいなのが
あったと思いますが」
三木「そこ、行こう」
服部「私も行きますよ」
須藤「三木さんって、いっつも、俺が火の用心って言ったらみんなも火の用心って
言っていたら駄目で、バケツを用意するとか、夜回りをするとかしないと駄目だ、
とか言うけれども、結局服部さんがこういう感じだ、って言うから、三木さんがそ
の通りにおふれを出すって感じだな」
山本「余計な事を言うな。とにかく不良外人の犯罪に決まっているのだから。…俺
らも行くぞ」

  以上でテープの再生は終わった。
  聞き終わると明子が、「あのお巡りさん達も4種類に分類出来るの気が付い
た?」と言った。
「つまり…
 分裂気質    几帳面な客 斉木 服部 ジョン
 ヤンチャ坊主  店員    蛯原 三木 ポール
 粘着気質    女衒    大沼 須藤 ジョージ
 頑固オヤジ   地主    山城 山本 リンゴ
  って感じなんだけど」


●43

 井上は、その晩、飯山市内のホテルに泊まる事にした。
 東京に帰りたいのは山々だったが、明朝警察に大沼を引き合わせないとならなか
ったからだ。さりとてマンションのスタジオにもう一泊というのは背中が痛いので。
 ホテルまでは明子がジムニーで送ってくれた。しかし、そこで、それじゃあ又、
と言うのも悪い気がした。今日一日明子は大いに手伝ってくれたのだから。それに
一人で夕食をとるのも寂しいという気もした。そこで、一緒にディナーを、という
話になった。
 地中海風なんとかブイヤベースを肴に2人は白ワインをごくごく飲んだ。
「そんなに飲んだら運転が」と井上は心配したが、
「大丈夫です。私んちこの近所だから、車置いて行きますから」と言って明子は更
にあおった。
 しかし案の定飲みすぎて、
「少しのぼせてしまいました。井上さんの客室でちょっと休ませてもらえないでし
ょうか」と言う。
「はぁ」
 井上は、明子を抱えるようにして客室に運んだ。
 ベッドに横たわると明子は「井上さん、汗びっしょりじゃないですか。どうぞシ
ャワー浴びてきて下さい。私、少し休んでますから」
 15分後、スラックスにYシャツの姿で井上はシャワールームから出て来た。
「これ、クリーニングに出さないと」などとぶつくさ言いながらYシャツをいじっ
ている。
 明子は既に体調を回復していて、ベッドの上で上体を起していた。
「あ、お茶でもいれましょうか。酔い覚ましに」言うと井上はライティングデスク
の上に置いてあった緑茶のティーバッグを茶碗に入れて湯を注いだ。
 机の椅子をベッド方向に向けて座る。
 明子はベッドの上に座り直した。もじもじしながら衣服を整えていたら、ポケッ
トの中にICレコーダーが入っているのに気が付いた。取り出してディスプレイを
何気に見る。
「あれ。まだ再生していない録音が残っている。これ、音声感知で録音していたか
ら、お巡りさんがお手洗いから戻って来たら又動き出したんだ。再生してみま
す?」
「そうですね」
 明子は再生のボタンを押した。

服部「あの風俗店ではトップレスショーをやっていんですよ。東南アジア人女性が
全員出てきてステージで踊るんです。それを見て品定めをして、個室で買春行為に
及ぶ、というシステムだったんですな。
 それで、そのショーの見方でも、客、店員、女衒、地主では、違いがあったんで
す。
 店員と地主は最前列でかぶりつく様にして見ていて、客と女衒は後ろの方で白け
た様に見ていたというんですね。あと、聞き込みで分かったんですが、店員と地主
はオッパイ星人で、客と女衒はケツフェチだったというんですが。
 何でそういう行動の違いが現れるかというと、それぞれに求めているものが違う
からだったんじゃないか、と思われるんですね。
 地主が求めていたのは、女の体という物だったんですね。これは別に幼稚園経営
者だからペドという訳ではないんですが、老人になると女性に対しても、性愛とい
うよりかは猫の肉球でも触るような愛し方になりますよね。老人はよく盆栽とか鯉
にも興味を持ったりしますが。そういう、フェチとか収集癖みたいなものを女性に
求めていたきらいがある。
 それから店員ですが、こいつは女の体というよりかは、プレイそのものを求めて
いた感じなんですね。だから、パラで2人3人と個室に入ったりするそうです。
 几帳面な客ですが、こいつが求めていたのは、抜く事であって女の体ではなかっ
たという事です。そう言うと奇妙に聞こえるかも知れませんが、かぶりつきで見て
いる店員あたりに『お前も前にきてオッパイを揉め』と言われても、
『そんな事をして何になる。抜けないんだったら意味がない』と感じたそうです。
 一度など、個室サービスで射精した後、女がコンドームを外すのにてこずってい
たら、跳ね飛ばして自分で取った事があったという。
 女は驚いて『こんなに優しくない人は始めてだ』と言ったそうですが、その時こ
の客は初めて、『ああ、自分は女が欲しい訳じゃないんだ』と自覚したそうです。
他の常連など、個室で20分も30分も粘って店員に文句を言われるそうですが、
こいつの場合には、射精後は1秒でも早く出てきたかったそうです。 
 女衒はというと、『道』の様なものを求めているんですな。まぁこの男の場合に
は、自分が女衒ですから売る側なんですが、買春する側だったなら、店外まで、更
には売春婦の故郷にまで追いかけて行ったでしょうな。
 じゃあ、そういう彼らの行動の違いが何に由来しているのか、というと、自己の
ある・なし、記憶のある・なしで分類出来るんですな。
 まず最初に、几帳面な客ですが、このタイプは、自己が無い、しかし、記憶があ
る、というタイプですね。
 自己が無いのに記憶がある、となると、経験に根ざした記憶では無い訳ですから、
ぺっこん、ぺっこん変化する。となると、そんなものはアテに出来ない。その時に
心地良かったか、なんていう感覚はあてには出来ず、目的本来的になる訳です。2
回やらせろ、とか、法律は守れとかね。
 じゃあ、こういう男の売春婦に対する考えはどうかというと、店外デートをすれ
ば純愛になる、一歩店の外に出れば素人扱いになる、というものなんですな。だっ
て記憶はあっても経験に根ざしていないから、ぺっこんぺっこん変わる訳です。
 次に、地主にして幼稚園経営者ですが。このタイプは、自己がない、かつ、記憶
がない、というタイプですね。そうするとどうなるか。今ここ、しかないんですな。
自分の土地に被害が及ばない限りは風俗店で何をしていても構わない、その代わり
一歩自分の土地に入ったら、という感じですな。
 ですから、このタイプの売春婦に対する考えは、買春行為はしても自分の家の敷
居はまたがせないというものです。
 次に、店員ですが。このタイプは、自己があり、かつ、記憶がない、というタイ
プですね。となると、無節操になるんです。売春婦に対して無節操もへったくれも
無いだろう、と思われるかも知れませんが、この店員の場合、自分の女房を店で働
かせていたんですな、そして、「俺の女房を買ってくれ」と他の客に勧めていたそ
うです。
 次に、女衒ですが、これは、自己があり、記憶もある、というタイプです。本当
に経験に根ざした記憶があるのはこのタイプだけですな。だから、過去を晒す。そ
うすると売春婦に対する態度はどうなるのか、足を洗っても過去のあやまちを晒す
のか、というとそういう感じじゃない。女は一生において、ある時には玄人にもな
り、又別の時には素人にもなるという、病めるときも健やかなる時も、という考え
方をするんですな」
 ここでテープは止まった。
「分かった?」上目遣いで明子は井上を見た。「こういう事になると思うのよね」
 明子はライティングデスクにあったメモを引き寄せると、こう書いた。

            −
            −
店員          −几帳面な客
女房を買ってくれ    −店外デートをすれば純愛
            −
―――――――――――・―――――――――――
            −
地主          −女衒
売春婦に        −病める時も
家の敷居は跨がせない  −健やかなる時も
            −

「これって、そっくりそのままビートルズにも当てはまるんじゃないかしら。
  この客と店員って、ジョンとポールに相当すると思うのよね。
 ジョンとポールの面白い比較があるの。それは音楽じゃなくて文学に関してなん
だけれども。
 ジョンは若い時に、『小説を書きたい、でもそんな事したって、どうせ、ダヴィ
ンチに敵わないから意味がない』って思ったんだって。
  一方ポールは、『クロスワードパズルで単語を覚えたらクラスで一番難しい単
語が言える様になった』って喜んでいたんだって。
  つまり、ジョンの場合、欲望した瞬間に欠如、これを子宮と言ってもいいと思
うんだけど、それが発生するって感じ。そしてそこに、どんどん、恨み辛みを貯め
ていって、満タンになると、どぼどぼどぼーっと一気に排泄してカタルシスを得る
感じ。これってタナトスっぽいよね。ペニスというよりかはその中にあるシードの
快楽という感じ。つまりは抜く事が目的。
 一方ポールは、クロスワードパズルだから、刹那的なエピキュリアンって感じ。
シードのカタルシスではなく、射精自体の快楽って感じ。抜くのと射精自体とどう
違うのかっていうと、小説とクロスワードパズルの違いだけれども。
 あと、この地主は、リンゴが指輪を収集したりするのに通じる感じがする。こう
いう人は、ペニスが擦れる感覚を欲望していて…」
  ここまで来ると明子は、「ちょっと話が込み入ってきたから、もう一回めもに
描く」と言った。
 そしてメモ帳に以下の図を描いた。


         物質性小
           −
ス ポール(蛯原)  −ジョン(斉木)   ス
ロ 自己あり・記憶無し−自己無し・記憶あり ト
エ 射精自体     −ペニス < シード   ナ
・          −          タ
人  ――――――――・――――――――  ・
星          −          チ
イ リンゴ(山城)  −ジョージ(大沼)  ェ
パ 自己無し・記憶無し−自己あり・記憶あり フ
ッ ペニス > シード  −生まれてこの方の個体ツ
オ          −          ケ
           −          
         物質性大


「この座標の右側の様に、ポールもジョンも、女の物質性にはあまりこだわらない
と思うのよね。
 座標の左側は物質性が重要になってくる。
 リンゴだったら、処女性とか、売春婦には敷居をまたがせないとかいう事が問題
になってくる。
 ジョージの場合には、自分への執着って感じ。『i me mine』だものね。生まれ
てこの方の自分という物質性が重要になってくる。
 横軸はそうだけれども、縦軸について言えば、上の方がエロス、下の方がタナト
スって感じだな。
 どっちかというと、オッパイ星人の方が成熟している感じがする。そう言えば蛯
原とか山城はよく笑うし、ポールやリンゴもよく笑う。
 斉木、大沼は笑わないし、ジョンやジョージにもどこか影がある。
 ついでに、ミステリー作家でいうと、ジョン的なのはクリスティーって感じ。
『オリエント急行』だの、『そして誰も…』だの、狭い空間に大量に詰め込んで、
あんなの『やおい』だと思うんだよね。
 その対極にいるのがパトリシア・ハイスミス、『太陽がいっぱい』。あれはゲイ
そのものだものね。
 ところで、井上さんって、この座標で言うとどこらへんにいるの?」
「うーん」と考えると井上は座標下の左側を指差した。
「やっぱりねえ」
 それから二人はごく自然にベッドインしたのだが、座標下の左右の男女であるの
だから、体位は、69になった。


●44

 その頃、斑尾マンションの管理室では、24時間管理員の鮎川が机に向かって漫
画を描いていた。
 斉木原作の『ビートルズ殺人事件』の漫画化をしていたのだ。
 何故鮎川がそんな事をしているのであろうか。

 鮎川は草津の後に入ってきた管理員で、鮎川に新人教育をしたのは斉木だった。
2010年の春頃の事だった。
 最初、鮎川を見た時、斉木は、「こいつは、ナロードニキか何かじゃないのか」
と思った。その頃の鮎川の見た感じが、髪型は柳生博風1、9分け、顔は山本学の
弟、みたいで、インテリっぽかったからだ。しかし5分話している内に単なるボケ
と分かった。
「お前、なんでこんな仕事に応募してきた」と斉木は聞いた。
「将来、漫画家になりたいから、一人になれる仕事がいい」
「将来? お前、幾つだ」
「武藤と高田と三沢と同い年」
 武藤だのはプロレスラーの名前だ。という事は斉木の一個下という事になる。
「お前に将来なんてあると思ってんの? お前に才能が無いとかじゃなくて、発揮
する時間が無いっつーの。俺らなんて、もう老後を考えないといけない年齢なんだ
ぜ。つい先週も草津さんの送別会で、俺は2回もジジイ扱いされた」そして斉木は、
その詳細について語った。
「まず最初は、清掃の泉に、だよ。あの女って、マンションの周りで草むしりをす
る時には、ゴルフ場のキャディーみたいな格好してんだろ。だから俺は、そんなに
日焼けしたくないんだったら別の仕事に就けばいいのに、って思っていたんだよ。
ところが飲み会の時にゴスロリの格好をして来たんだよなぁ。耳たぶにピアス10
個ぐらいぶら下げて。ありゃあゴスの格好をしたいから日焼けしたくなかったんだ、
って思ったけど。
 ところで俺はよぉ、メタルロックが好きで、メタル→デスメタル→ディル・ア
ン・グレイの京、という文脈で、ゴスにも興味があったんだよ。だから、結構話が
合うんじゃないか、と秘かに期待して、ビールとコップを持って行って泉の隣に割
り込んでよぉ、ディルのアメリカツアーがさあ、とか言ったんだけれども、向こう
にしてみりゃあ、どっかのおっさんが、ナウいねと絡んできた感じだったんじゃね。
酒も入っていたし。若作りしてんじゃねーって思いっきり言われたよ。
 しょうがねえから、草津さんの所に行ってよぉ。
 これからどうやって食って行くの? って聞いたら、
 年金があるから、って言うんだけれども、そっちも年金もらってんの? だって。
 俺、まだ49だぜ。俺ってそんなに老けて見える? あれにゃあ凹んだよ。
 とにかくよぉ、俺ら、もうそんなに若くは無いんだから、お互い無益な争いは避
けて、仲良くやろうや」言うと斉木は鮎川の肩を馴れ馴れしく2回叩いた。
 ここまでが斉木と鮎川の出会った頃の話である。

 さて、それから夏になったのだが、鮎川が柳生博風1、9分けを丸刈りにしたら、
凸っぱちである事が判明した。
「こりゃあイルカだ。泉と同じだ」と斉木は思った。
 それに前後して、他の清掃員から、「泉ちゃんと鮎川は、どうも気が合うらし
い」という話も聞いた。
 途端にカリカリしてきた。
 引継ぎの時に、鮎川に、「お前、泉ちゃんと何か話したりしているの?」と聞く
と、
「オタク同士なもので」と言う。
 よく聞いてみると、オタク同士で自分の創作物、漫画やイラストを見せ合ったり
していると言う。
 鮎川の野郎、生意気だ。
「その漫画、俺にも見せろ」と斉木は言った。
 鮎川が持ってきた漫画は、村人が木に食われるとか、6次元なんとかとか、前半
水木しげる、後半石ノ森章太郎みたいな作品で、今一理解出来なかったが、それよ
りも理解できないのが、数十ページに渡る細かい漫画を、大学ノートに描いている
事だった。
「なんでケント紙に描かないんだよ。これどれぐらいかかった?」
「3ケ月ぐらいかなあ。それは中野のビルの立体駐車場の外にある、電話ボックス
ぐらいのプレハブの中で描いたんだ」
「お前、警備員をやっていたの?」
「そうだよ」
「よく採用されたな。何年ぐらいやっていたんだ」
「15年位かなあ」
「その前は?」
「自衛隊。俺、富士のすそ野で小銃を撃っていたんだ。俺、すごく上手くて大会と
かにも出させられたんだよね」
「何でそんな大事な事を言わないんだ」斉木は大声を出した。こんな野郎でも国家
に寄り添って生きていた時代があったのか、と思えたのだ。
「そもそもお前って、学校出てから何をしていたの?」
「最初はタツノコプロに就職して、そこを辞めて自衛隊に入った」
「ゲーセンでスカウトされたとか?」
「アニメージュの裏に描いてあった」
「自衛官募集って?」
「タツノコプロの募集」
「そうじゃないよ。自衛隊に入った理由だよ」
「それは親に言われて…。たるんでいるからって」
 それから色々根掘り葉掘り聞いてみると、どうも、連続幼女誘拐事件の時期と重
なる。
 なるほど、オタクの息子の扱いに困って、自衛隊に放り込んだんだろう。
「とにかく、そんなんだったら、あんな6次元なんとかじゃなくて、自衛隊時代の
事を描けばいいじゃん」
「それはもう描いたよ。コミケにも出品したんだ。それは大学ノートじゃなくてち
ゃんとケント紙に書いたんだよ。だって印刷して製本したんだから」
 この野郎、俺が盗むとでも思って、出し惜しみしていたんじゃないのか。
「じゃあ、それを持ってこいよ。俺がスキャンして、ムービーにしてyoutub
eにうpしてやるから」
 これは話の流れでそうなったのだが、内心、「泉とくっつかれるぐらいなら、俺
がそのコンテンツを牛耳ってやる」みたいな気持ちが斉木に無かった訳ではない。
それは、大沼とカミーラに割り込んで行ったのと同じ様な心理だろう。ブックオフ
でも人が見ている棚に割り込んだりする。
 しかし24時間勤務の夜中に、鮎川の『自衛隊物語』をスキャンして、ペイント
でコマごとにばらばらにして、ムービーにする、という作業をしている内に、
「鮎川に、俺の『ビートルズ殺人事件』を漫画化させて、ジャンプとかサンデーに
投稿したら漫画原作者になれるんじゃないか」と思いだしたのだ。
 そんなこんなで、鮎川にその作業を始めさせたのが、2010年の晩秋頃だろう
か。










#1078/1158 ●連載    *** コメント #1077 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:15  (372)
斑尾マンション殺人事件 11
★内容

● 45

 ここで又2011年3月26日の深夜の斑尾マンションの管理室に戻る。
  鮎川は『ビートルズ殺人事件』を熱心に描いていたのだが、机の上の目覚まし
時計が2時半になって、カチッと音を立てたので、我に返った。
 24時間管理員は、3時に新聞屋と通す為に、この時間に一度起きるのだった。
 鮎川は防犯カメラの所に行くと、駐車場屋上だのマンション外周だのを表示して、
屋外の様子を伺った。街灯の差している所だけ雪が舞っているのが分かった。
 それから鉄の扉を開けると実際に外を見てみた。既に数センチ積もっていた。
 寒みぃー。
 ぶるっとして扉を閉めた。冷気に反応してエアコンが動き出した。
 腹が減った。
 鮎川は防災盤の中に隠してあった鍋を取り出すと、キッチンコーナーでレトルト
のスパゲティ・ミートソースを温めてた。ココアも入れた。
 それらを食べながら、ネットでAKBの柏木を見る。
 大沼の紹介してくれた日系人とやればこういうのには興味がなくなると思ったが、
それとこれとは別だった。
 スパゲティーを完食して鮎川はゲーっとゲップをした。
 アイホンが馬鹿でかい音で鳴った。
 防犯カメラを見ると、新聞屋が3人、風除室のアイホンに張り付いている。
 鮎川は防災盤の所に行くと、ボタンを操作して自動ドアを開けてやった。
  自分もフロントに出る。
 入って来るなり新聞屋が怒鳴り出した。
 読売 : 一体どういう事なんだよ。
 鮎川 : 雪のこと?
 読売 : 斉木だよ、斉木。誰か知らないのか。
 毎日 : 斉木はペルー人と結婚する予定だったらしいぜ。
 読売 : じゃあ何で撃たれたんだよ。
 毎日 : 朝日が詳しい。
 朝日 : どうも斉木さん、女の写真を流出させたらしんだよ。
 読売 : ネットで?
 朝日 : いや、A4のファイルに入れて持ち歩いていたらしい。
 読売 : なんでそんな事したんだよ。
 朝日 : 自慢したかったんじゃないの? 俺はこんな女とやっているんだぜー、
みたいに。その内、当局の知る所となって、映画館が手入れを食ったって話だよ。
それで4人もたいーほされて、一人当たり300万の借金があったから3×4で1,
200万払えって言われたらしい。
 読売 : 誰に?
 朝日 : あいつらのボスだろ。
 読売 : それって男の日系人かよ。
 朝日 : そうだろう。
 読売 : そんな奴らの言いなりになっているのかよ。
 朝日 : 拒否ったら撃たれたんだろう。
 読売 : 全く、そんな奴ら、追放してやればいいんだよ。
 朝日 : そういう訳には行かないだろう。
 読売 : 何で。
 朝日 : だって、これだけ物が入って来ているんだから人だって入って来るよ。
この新聞紙だって南米の熱帯雨林から出来てんだから。
 読売 : おめー、そんな事考えながら新聞配ってんの? おめーはどうなんだ
よ。
 毎日 : 女だけなら入れてもいい。
 読売 : おめーはユニークだな。
 朝日 : とにかく早く配っちゃわないと。雪がどんどん積もるし。朝になって
固まるとワダチになるんだよ。さっきもハンドルを取られそうになった。
 読売 : 鮎川ッ。雪かきしておけよ。
 鮎川 : はい。
 そして新聞屋は居住棟に入っていった。


●46

 翌朝、明子と井上はジムニーでマンションに向かっていた。
 大粒の雪がフロントグラスに落ちると、すぐにワイパーが拭いて行った。
 歩道には真綿の様な雪が積もっていた。
 カーラジオからは天気予報が流れていた。
「日本付近は、冬型の気圧配置が緩み始めており、朝鮮半島から山陰にかけて弱い
気圧の谷が発生しています。この影響で、妙高山を越えて雪雲が流れ込んでおり、
野沢温泉地方では大雪になっています。午前8時現在の積雪は野沢温泉で52セン
チ、小谷で44センチ、飯山で37センチ」
 ジムニーをマンションの駐車場に止めると、二人は傘も差さずに正面玄関に回っ
た。
 入館すると鮎川がフロントに突っ立って居た。
 明子は、コートの雪を手袋でぱたぱた払いつつそっちに行く。
「まぁ、凄い雪だこと。鮎川ちゃん、そこの内側に、私のICレコーダーがあるん
だけれども、取ってくれない?」
「これですか」鮎川は見付けると渡してきた。
「あんがと」

 二人は、居住棟に入り、エレベーターに乗って、4階のAMの事務所に向かった。
 部屋に入ると、電気をつけ、エアコンを付ける。
「コーヒーにする? ダージリンティーもあるよ」明子が言った。
「じゃあダージリンティーで」
 2人は応接セットで紅茶をすすりながらICレコーダーを再生した。
 夜中の新聞屋の会話がそっくり録音されていた。
 テープを聞きながら、新聞にも気質があるのだ、と明子は思った。
 それはこんな感じだった。

     イルカ − イタチ
     毎日  − 朝日
    ―――――・―――――
     石臼  − ラクダ
     読売  −

 左下はサンケイだろうか、と思う。
 そんな事より、「斉木さんって、日系人のボスに撃たれたって言われているけど、
警察に言わないとまずいんじゃない?」
「そんな事をして、僕らがちくったみたいに思われないだろうか」
「ら、って言わないでくれない?」
「だって、テープを仕掛けておいたのはそっちじゃない」
「そうだけど、管理主任者はそっちなんだから」
 ふーと大きくため息をつくと、井上はソファに身を沈めた。「会社に電話してみ
よっと。警察OBが居るから」そしてスマホを出して掛けようとしたが、「今日っ
て土曜だよな。休みか」と言うとがっくり肩を落とす。
「大沼さんに聞いてみるかしかないよ。もうすぐ引継ぎが始まるから」

 フロントに下りていくと、二人は管理室を覗いた。
 引継ぎはまだ始まっていなかった。
 ホワイトボードの前で、大沼が鮎川に何やら言っている。
  日系人の話でもしているだろうか。
 榎本は何時もの様にドア付近で何事にも関わるまいと背中を丸めている。
 蛯原は居なかった。
 ほら、行ってきな、と、明子は井上の目を見ながら顎で命令した。
 井上は咳払いをしてノドの調子を整えてから、ホワイトボードの方へ進む。
「大沼さん」
「ん?」
「ちょっと言っておきたい事があるんですけど」
「なんや」
「大沼さん、日系人の女性と付き合っているらしいけど、時間外に何をやろうと勝
手ですけど、職場に持ち込まれるのは迷惑なんで、止めてほしいんですけど」
「おお、分った、分った」
「じゃあ、宜しくお願いします」
 言うと井上は戻って来た。
「それだけ?」明子は目を丸くした。「もっと詳しく聞いて、対応しないと」
「馬鹿を相手にしたってしょうがないよ」
「だってその馬鹿が今、問題を起こしているんじゃない。今のじゃあ、お互いの人
生を歩みましょう、って言って来た様なものじゃない」と言いながら明子は管理室
の中を見た。
「私が聞いてくる」言うと明子は大沼の所に歩み寄る。
「大沼さん」
「ん?」
「前に飯山の駅で抱きついていた女性なんですけど、あの人ってどういう人なんで
すか?」
「恋人や」
「恋人?」
「そうや。この歳になっても、惚れられるって分かったよ」
「は?」
「夜勤明けは、駅からアパートまで走って帰るんやで、早く会いたいから。あの気
持ちに嘘はないで」
 それから大沼は、自分が留守中に掃除がしてあるのだが本棚の本が上下あべこべ
になっている、だの、味噌汁の出汁に鶏の足を使うだの言う。
「自分の気持ちは嘘はない。もし間違っていたなら、そう思わせた世界に責任があ
るんや」
「それって、世界の中心で愛を叫ぶ、つーか、自己ちゅー? つーか、大沼さんの
気持ちなんてどうでもいいんですよ。今問題にしているのは入管法とか売春防止法
とかなんですから」
 ここで、知らない間に入って来ていた山城が言った。
「大沼さんよ、溺れちゃあいけないよ」
「なにぬかしとんねん。お前かて、あの映画館で遊んでたやないか。そんなのに、
自分ちの田んぼには入ってくるなってか」
「味噌と糞とを一緒にするなよ。米にかけていいのは塩だけだ。油で炒められてた
まるか」
「お前んちのお節料理かて、みんなペルー人が水産加工の工場で作っているんや
で」
 それを聞いていて、明子は自分が石油缶の蓋みたいに、ぺっこんぺっこんするの
が分かった。
 というのも、ついさっきまで、大沼など、例えば、チリ人妻を手引きする迷惑な
おっさん、という感じだったのだが、ここで山城が登場すると、こいつこそ、清く
清くと言いつつ汚れたオヤジ、と思えて来るのであった。
 うーん、と唸っているところに、今度は蛯原が入ってきた。
「井上さん、ちょうどいいところにいた。今、山城さんに雪かきを手伝ってくれっ
て頼んだんですけど、全然聞いてくれないんですよ。お前に使われているんじゃな
いって言って。井上さんから言ってもらえないですかねえ。これだけ雪が降ってい
るんだから。
 これ、どんどん積もりますよ。このままだと、屋上のスロープから車が滑り落ち
て、一つ下の階の車にぶつかりますよ。そんな事になったら管理会社は関係ないな
んて言ってられないですよ。そりゃあ確かに自然災害は関係ないってなっているけ
れども、ゲレンデ直結のリゾートマンションで雪対策が出来ていないんじゃあ、そ
もそも規約がおかしいって言われますよ。都内のマンションの規約を写してきたん
じゃないかって言われますよ」
「そういうのも含めて、ぜーんぶAMでやってくれないかなぁ。全部一括でお願い
しているんだから」と井上。
「そんなん、言っている間にもやってしまった方が早いん、違うか。これだけ人数
いるんやから」と大沼が言った。
「そうだなあ」言って蛯原は辺りを見回す。
 榎本、蛯原、井上、高橋、山城、鮎川、大沼が居る。
「そうしたら、あんた、誰がどこやるか、決めてんか」
 蛯原は、ホワイトボードに進み出ると、水性マーカーを取った。さっさっさっと、
マンションの周辺図を描く。
「じゃあ、正面は鮎川ちゃんがだいたい終わらせてあるから残りは榎本さん。それ
から、鮎川ちゃんと俺でマンション東南の歩道。井上さんも手伝ってくれるの?」
「いいですよ」
「じゃあ井上さん、大沼さんと、高橋さんも手伝えたら、3人でサブエントランス
周辺を。集積場は清掃がやるだろ」と山城を見る。
 じゃあ全員で取り掛かろう、と管理室から出て行くのと入れ替わりに泉ちゃんが
凸っぱちを覗かせた。
「私の事、呼びました?」
「泉ちゃん、こっちこっち」と蛯原が手招きする。そしてNTT盤の前に置いてあ
る石灰の袋を示しつつ、「あれを、駐車場屋上のスロープに撒いておかないと。そ
うしないと大変な事になるから。流しの所にバケツがあるからそれに入れていって、
撒いておいて」


●47

 大沼を先頭に、井上、高橋と、手に手に長い柄のついたプラの雪かきを持って、
サブエントランスに向かう。
 歩きつつ、明子は、人間のメモリにもタイプがあるのではないか、と考えていた。
 例えば、さっきの管理室の自分は何なんだろう。大沼を見ればチリ人妻を連想し、
山城を見れば水産加工会社のペルー人を連想する。大沼や山城がどうこうではなく
て、それぞれがトリガーになって、過去の記憶がぼろぼろ出てくる。これは丸で、
エクセルみたいなファイルでキーワード検索して、その行に書かれていた記憶が蘇
る様な感じである。
 自分に比べて大沼はどうなんだろうと、明子は先頭を歩いている大沼を見た。
 あの人は、自分の感性を疑わない、つーか、確かに自分はそう感じたんだからと、
その通りにハード、周辺機器を動かそうとする。つまり、ドライバみたいなものな
んじゃないのか。明子の記憶が、空想的なものなら、大沼のは、粘着というよりか
は粘膜という感じがする。ナメクジって粘膜むき出しでのろのろ移動して行くが、
その道だけを世界と思うなら、自分と世界とは粘膜越しに張り付いている訳だから、
リアルといえばリアルだ。
 山城のはメモリというか、プロダクトIDとかシリアルナンバーみたいなものな
んじゃないのか。大沼あたりが長い長い自己の経験から何かを言うと、山城は、そ
の経験は純正品じゃないと判定して駄目出しするという感じ。だからこの手の人が
何かを語っても、それは自分の経験ではなくて、世の中にある臭ーいものに反応し
ているだけだろう。あれも臭い、これも臭いと拒否って行って、残った箇所が彼の
求める清い部分なのだ。
 そして、蛯原は、キャッシュだな。まさに今の出来事に反応しているだけで、事
態が収束すれば全てを忘れる。
 それを図にすればこんな感じじゃないのか。

          動的
          −
小 ポール(蛯原) −ジョン(明子)   大 
は キャッシュ   −エクセル      は
量 刹那主義    −解釈学       量
の ――――――――・――――――――  の
憶 リンゴ(山城) −ジョージ(大沼)  憶
記 プロダクトID −ドライバ      記
  排他主義    −歴史主義
          −
          静的

 右上から左下へのラインが環境主義的で、その逆が解釈学的な感じがする。
 そうすると、こういう4人がコミュニケーションを取るという事は可能なのかと
も思う。だって、自分に何か言われても、エクセルシートのその行がアクティブに
なるだけだし。大沼なんて自分の歩いてきたナメクジ的足跡しか世界がないのだか
ら、例えば大沼と井上が話したとしても、お互いに紙芝居を見せ合っている様なも
ので、自分の意見やら考え方が変わるという事はない。山城に至っては家紋に向か
って話している様なものだ。そう言えば、リンゴ・スターの家には、祖父以外には
誰も座ってはならならない、何故ならそれは祖父の椅子だから、という椅子があっ
たという。格とか筋合いを大事にするのだろうか。
 あと、蛯原は話した瞬間はコミュニケーションが取れたとしても、電源を落とせ
ば消えるんだから。
 だから、そもそも人間が繋がるという事は出来ないんじゃないか、と明子は思っ
た。


●48

 サブエントランスに到着すると、先頭の大沼が言った。
「ここらへんは駐車場の影になっているやろ。西日で溶けて翌朝、又凍結するんや。
まー、今やったところで、今夜遅くまで降るっていうから意味ないが、人が歩く所
だけでもやってしまうか」
 そして、出口付近の雪かきを始めた。
 明子が井上に言った。「私、雪かきしながら、なんとなく大沼さんに聞いてみ
る」
「なにを?」
「だから、斉木が撃たれた事とか」
「ほっときゃあいいよ。昼には警察がくるし、大沼と一緒にICレコーダーを渡す
から」
「でも聞いてみる」と大沼を見る。
 柄の長い雪かきで作業をしている姿は、酪農家が牧草でもつついているように見
える。
 明子は大沼の背後に行くと雪かきを始めた。
「大沼さん」
「なんや」大沼も雪かきしながら返事をした。
「さっきの続きなんですけど、その日系人って結局どういう人なんですか?」
「だから、恋人や」
「恋人といっても日系人でしょう?」
「そうや」
「それって、怪しくありません?」
「何で?」
「だって、集団で売春をしていたり、斉木さんを撃ったりしたんでしょう?」
「斉木君の事は知らないけど、売春なんて昔はみんなやっていたんやろ」
「昔はともかく、今やっていたらまずいでしょう」
  言っている内に飯山で見たカミーラの姿が脳内に蘇ってきた。
  ファー付きダウン、きつきつのGパン、厚底ブーツ、ケバい化粧…。あんな如
何にもな格好に萌えるのだろうか。
「大沼さんって、あの人の事、好きなの?」
「愛しとるがな」
「何で?」
「いい女だから」
  いい女だから萌える、というのに明子は驚いた。
  自分だったら、飢えているから萌える、とか思うんじゃなかろうか。
  石臼だったら、みんながいいと言っているから萌える、とか言いそうだ。
  イルカだったら、そのポーズがいいから萌える、とか。
  愛が何に由来しているかをまとめるとこういう感じになるのではなかろうか、
と明子は思う。

     イルカ    − イタチ
     性行動への反応− 私の欠乏
       ―――――・―――――
     石臼     − ラクダ
     社会の欠乏  − 異性への反応

  そうに違いない、オスに限って言えば。
  明子は、雪かきを雪の塊に突っ立てると、柄に両手を乗せて大沼を見た。
  大沼が「俺がいいと思っているんだから、そう思わせるだけの何かが彼女には
あるんやでー」と言いながら振り返った。
  そして、ばさーっと両手を広げた。丸で怪人20面相がマントでも広げるよう
に。
  ところがそのまま我が身を抱きしめる様に丸まると、その場に倒れこんだ。
「うううう」とうめいている。
 「ひゃーっ。大沼さんが倒れた」明子は後ろを振り返った。
 井上が駆け寄って来る。
 何故かサブエントランスの外側からは蛯原が走って来た。
 途中でタバコを投げ捨てると、蛯原はかがみ込んで、「心臓か」と言った。
「息が苦しい」と言う大沼の顔がみるみる青ざめて行く。
「鼻からゆっくり吸ったらいいよ。しゃべるな。少しは楽になるだろう」
 大沼は微かにうなずいた。
 井上がコートを脱いで「これ、頭の後ろにでも敷いたら」と言う。
「いや、ここだと冷えるから、サブエントランスに連れていこう。二人で抱えるか。
井上さん一人で抱えられる?」
「どうやって?」
「お姫様だっこみたいに」
 井上がだっこしてサブエントランスの風除室に連れて行くと蛯原がコートを敷い
てその上に寝かせる。
 と、ここまでの一連の流れを見ていて、蛯原って頼りになるじゃん、と明子は思
ったのだが。
 しかし、蛯原が、ベルトに通した携帯ケースから、さっそうと携帯を取り出して
119番して、
「こちらは斑尾マンションです。住所は飯山市斑尾高原**番地。目標になる公共
施設等は斑尾高原スキー場のゲレンデです。これは火災ではなく救急車のお願いで
す…」
 というのを聞いている内に、又又、エクセルみたいに、かつての記憶が検索され
て、脳内に、所長が倒れた時の119番通報のシーンが蘇って来た。
「あの時の蛯原は、まるで、スーパーベルズの京浜東北線の歌、みたいな白々しさ
があった」
 そう言えば、これは榎本から聞いたのだが、福島原発の事故の当日にも、竣工以
来一回も使った事のない、全館緊急放送を使って、
「居住者の皆様にお知らせいた致します。温泉が沸きました。オンセンが沸きまし
た。本日、通常通り営業致します」と放送して、
「何か重大な発表があるのかと思えば温泉が沸いただと? ふざけるな」と居住者
に怒鳴られたという。
「もう、張り切っちゃっているんですよォ」と榎本は言っていたが、今も張り切っ
ちゃっているだけなのではないか。


●49

 救急車は約20分で到着した。隊員は大沼をストレッチャーに乗せて格納すると、
一人は運転席で病院に連絡し、一人は大沼をケアし、一人は外に突っ立っていた。
 ここまではスムースに運んだのだが、しかし、行き先がなかなか決まらない。ど
こかの病院に連絡をすると10分ぐらい待たされてから「今、他の救命救急をやっ
ているから」と断られ、又別の病院に電話すると又10分ぐらい待たされてから
「今日は呼吸器循環器の専門医がいない」と断られ。
 だんだん蛯原がいらついて来る。
 そして外にいた隊員に絡み出した。
「なんで、一箇所ずつ電話してんだ。いっぺんに電話して受け入れられる所に行け
ばいいじゃないか。
 それに、何でお前らマスクしているんだ。顔を隠しているのか。公務員には肖像
権がないんだぞ。それとも、自分だけ冷たい空気を吸わないようか。患者から病気
がうつるとでも思っているのか」
「これは、我々がハブになって感染を広げないようにしているんですよ」
「じゃあそのゴム手袋はなんだ。一回ずつ交換するのか」
「そういう訳には」
「やっぱり自分を守っているんじゃないか」
 運転席の隊員が後ろの隊員に何やら言っている。
 蛯原はとんとんとガラスを叩いて中の隊員に言った。
「おい、何時まで待たせる気だ。こんなの、心筋梗塞、脳梗塞だったらとっくに死
んでいるぞ」
 オレンジ色の毛布に包まって安静にしていた大沼がギクッと目を見開いた。
 そして自分で尻のポケットから財布を出すと、診察券を取り出して「ここに連れ
ていってくれ」と言った。「何時もそこにかよっているんや」
「なんだ、診察券持っているのか。ここだとちょっと遠いけれども、普段診てもら
っているんだったら、ここに行きましょう」と救急隊員が言う。










#1079/1158 ●連載    *** コメント #1078 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:16  (394)
斑尾マンション殺人事件 12
★内容

●50

 病院まで蛯原が救急車に便乗し、井上と高橋はジムニーで追いかけた。
 病院に到着すると、救命救急センターは素通りして、病棟の個室に運び込まれる。
 処置をするからと30分ぐらい待たされてから、病室を覗いてみる。
 既に意識不明らしく人工呼吸器が付けられていた。
 中から看護師が出てきて、「ご家族の方ですか?」と聞いてきた。
「違いますけど」と井上。
「どういったご関係の方ですか?」
「職場の同僚ですが」
「ご家族の連絡先は分かりますか?」
「大沼に家族なんていないよ」と蛯原。
「会社に連絡すれば、入社時の連帯保証人とかから分かるかも知れない」と明子。
「あんなの、いい加減だろう」
「これ、お渡ししておきますから、読んでおいて下さい」書類を蛯原に渡すと忙し
そうに看護師は消えた。

 ナースステーションのそばに談話コーナーがあった。
 テーブルが5、6個あって、壁にはドリンクの自販機や公衆電話が設置してある。
 3人は壁際のテーブルに座った。
 看護師の置いていった書類が、蛯原から井上へ、井上から高橋明子へと渡ってく
る。
 明子はぱらぱらめくった。
 人工呼吸器を付ける際ぐらついている歯があると気道に引っかかり危険なので、
巡回歯科医が治療する場合がある、つきましては実費200円をご負担願います
云々。治療上の必要若しくは入院患者の混み具合から差額ベッド代を負担して頂く
場合があります云々。
 こんなの渡されてもなぁ、と明子は思った。そんな事より病名が知りたい。ジ
ョージと同じなんだろうか。
 明子は前に座っている井上と蛯原を見た。
 井上の横顔がよく見えるのだが、妙にもみ上げが長いのに今更気が付いた。
 スーツもキルケゴールというか、リチャード・ブローティガンというか、腰の所
がぎゅーっと括れているスリーピースで、ベストのボタンも10個ぐらい付いてい
る。そこに懐中時計の鎖がぶら下がっている。
 今時懐中時計というのは何なんだろう、と明子は思った。
 ふと自分の腕時計に手を当てる。Gショックだ。
 井上の横に座っている蛯原は、椅子の上であぐらをかいていて、背もたれに肘を
乗せている。
「蛯原さん、おっきい時計してますね」と明子が言った。「それって、ローレック
スですか?」
「そうだよ。香港製の。山城が本物のローレックスを巻いているよ。分解掃除だけ
で8万もするって自慢していが」
 何でそれが自慢になるのだろうか。
 でも分かるけど。幾何学的な正確さに神のみ技を感じるんだろう。猫の下の歯並
びが綺麗だったりすると遺伝子を感じる様に。そういうのをメカに求めるとローレ
ックスになるんだろう。鳩山弟の蝶のコレクションも同じだと思った。
 自分も最初はそうだった。でも、ローレックスだけが時計じゃない、ラドーもチ
ソットもセイコーもある。そうやってどんどんオルタナが出てくると、もはやブラ
ンドではなく、『THE 時計』が欲しくなる。それがカシオだったんじゃないか。
 あと、懐中時計というのは自己への執着を感じる。私の時間、という感じ。『i 
me mine』とジョージは歌った。
 って事は、こういう表が描けないか。

     ポール      − ジョン
     香港製ローレックス− Gショック
         ―――――・―――――
     リンゴ      − ジョージ
     ローレックス   − 懐中時計


 脳内のこの表を見て、明子は「今一だな」と思った。「そんな事より、今は大沼
さんの病状か」。
 ふと顔を上げると蛯原が居ない。
 何処へ行ったんだろう、と見回すと、ナースステーションの前をうろついていた。
カウンターの中を覗いたりしている。
  それから廊下の方に行くと、体重計に乗ったり、身長を計ったり。終いには、
アルミの松葉杖を銃に見立てて構えてみたり。
 ありゃあガキだな、と明子は思った。水族館のイルカみたいに、鞠でも投げれば
そっちに飛んで行くんじゃなかろうか。イルカかぁ…。
 そして蛯原が戻ってくると明子は誰へとも無しに言った。
「うーん、さっきの看護師さんだけど、親族じゃないからって何も教えてくれなか
ったけれども、もし労災だったら、私が立て替えなくちゃならないんだよなぁ。コ
ンビニで下ろしてこなくちゃ。てか、社長に連絡しないと。
 労災じゃないとしても、それはそれでやっかいで、社会保険で、疾病手当金の手
続きとかしなくちゃならないんだよなぁ。もう、今月も26日だし、今月は決算で
忙しいし、来月になれば算定基礎届けもあるし、そこに大沼さんの手続きが重なっ
たらこっちが過労死しちゃう。だから少しでも早く事情を教えてくれれば助かるん
だけれども。どうせ私が社会保険に診断書を提出するんだから、病名なんて分かっ
ちゃうんだから。
 でもいいや。私がサービス残業して土日つぶせばいいんだから。はぁー」とため
息をついて立ち上がると「私、ちょっとお化粧なおして来ます」と言って廊下の奥
に歩いて言った。
 明子の姿が消えてしまうと、蛯原が立ち上がって井上に言った。
「あっしがちょっくら探りを入れてきますわ」
 そして、かすれた口笛を吹きながら、体を揺すりつつナースステーションの方に
歩いて行く。
 ちょうどさっき書類をくれた看護師がナースステーションに戻って来た所だった。
「あー、ちょっと看護師さん」と蛯原は迫って行った。
「今忙しいんですけど」
「3分だけ、2分、1分」とにじり寄る。
「何ですか?」
「大沼の病状なんですけど」
「教えられませんよ」
「そんな事言わないで、労災かどうかだけでも教えて下さいよ。でないと会計の時
に困るでしょう」
「別に払ってくれなくても後で会社に請求するからいいですよ」
「もしかして、“か”に点々?」
「かに点々? あー、がんか」
「やっぱりそっか」
「私は何も言ってませんよ」
「だって普通がんでしょう。ここは、呼吸器科なんだから」
「肺の病気は他にもいっぱいありますよ。肺気腫とか肺炎とか肺結核とか。とにか
く病名なんて絶対に教えられませんよ。本人に告知するかどうかだって予め聞いて
おくぐらいなんだから、単なる通行人に教える訳がないじゃないですか」とけんも
ほろろに言うとナースステーションに入っていった。
 今のは相手が悪かった、と蛯原は思った。
 若過ぎた。もっと、アラフィフ、つーか、上がる寸前の、『ごめんね、お母さん
も女なのよ』シリーズに出てくるようなオバサンがやりやすい。女として相手にさ
れなくなる不安から何にでもしがみ付いて来る。弱き人、汝の名はオバサン。
 蛯原は ふらふらと廊下を進んで行くと、大沼の病室を覗いた。
 見た感じ40後半の看護師が大沼をいじくっていた。
 こりゃあ、おあつらい向きだぜ。
 病室に入ると「どんな具合ですかね」と蛯原は声を掛けた。
「今、痰を吸引しますからねぇ」言うと看護師は人工呼吸器のマウスピースからチ
ューブを挿入した。
 ずずずーという音と共に、大沼が胸だの肩だのをびくびくさせた。
「それって、苦しくないんですか?」
「もちろん感じてませんよ」そしてチューブを抜くと「ご家族の方?」と聞いてき
た。
「いやあ、職場の仲間ですよ。俺ら24時間勤務のマンション管理員でね。徹夜明
けにぶっ倒れたんですよ」
「あら、大変だ」言いながら点滴などチェックしている。
「もしかして看護師さんも徹夜明け?」
「あら、何で?」
「目が真っ赤じゃない」
「ほんと?」
「でもまだ若いからどうって事ないでしょう」
「もう長いんですよ」
「じゃあ大沼も安心だ」と言って蛯原はベッドの柵を握った。「大沼さんよ、安心
しろ。いい看護師さんが付いていてくれているぞ。こいつはねぇ、元は電気工だっ
たんですよ。石綿を大量に吸い込んだのもよくなかったのかもな。あれもがんの原
因になるんでしょう?」
「うーん。むしろ体質の方が」
「体質?」
「ご兄弟にがんの方が居たとか」
「そい言えばこいつは姉をがんで亡くしているって言っていたな」
「じゃあ、がんの家系なのかも知れないわね」
「ついてねえな」蛯原は2、3回鼻をすすると目頭を押さえた。本当に涙が出てき
たので驚いた。「ちょっと失礼」と言って病室から出る。

 談話コーナー戻ってくると、蛯原は明子と井上に報告した。
「やっぱり、大沼はがんですね」
「すごーい、聞き出したんですか」
「なんたって、俺はオマワリに言って、車のナンバーから持ち主に連絡させる男で
すよ」
「そんな事、出来るんですか」
「所轄か交番に電話して頼み込めばね。ところが斉木の馬鹿はいきなり110番通
報して、自分がクレーマー扱いされたとかなんとか騒ぎ出す。今度は一転して、管
理規約に書いて無いからもう警察には連絡しないとかね。あいつは1か0かで使え
ませんよ。
  つーか、あいつはもう本当に使えないんだな。早く所長に言って人の補充をし
てもらわないと。つーか、所長も居ないんだよな。妙に人が減るなぁ」言うと蛯原
は井上の顔を見た。
 井上のスマホが鳴った。
 ディスプレイの番号を見て、「警察からだ」と言ってから出る。
「もしもし。はい、そうです。あー、大沼ですね、入院したんですよ。ええ。事故
じゃなくて病気ですけどね。意識がありませんから事情聴取は無理だと思いますよ。
詳細は病院に直接問い合わせて貰えますかね。ええ。病院は飯山市立三途の川病院、
医事課、0269…」




●51

 帰りは蛯原もジムニーに同乗して、マンションに向かった。
 雪はまだまだ降り続いていた。
 峠のあちこちで、ランクルやパジェロなどの大型4駆車が、自重でスタックして
いた。その脇を、3人が乗ったジムニーがするするとすり抜けていく。
「今日の24時間管理員ってどうするんです?」後部座席で蛯原が言った。
「まだ鮎川さんってマンションに居るんですよね。彼に昼間寝ていてもらって、連
投してもらうっきゃないでしょう。明日になったら本店に電話してみるから」
「今、電話してみればいいのに。上司の携帯ぐらい知っているでしょう?」と明子
が言った。
「電話したところで、僕が主任者なんだから、僕が決めないとならないんだよ」
「だったら今決めればいいじゃない」
「だから、鮎川さんに連投してもらうって決めたじゃない。でなければ、AMの社
長にお願いするしかないよ。高橋さんが電話してみればいいじゃない」
「つーか、そんな事を言っている場合じゃないんじゃない? もう3人も死んだり
病気になったりしているんだよ」
「それは警察の仕事でしょう」
「じゃあ、あんた、何をやるの?」明子はちらりとルームミラーで後部座席を見た。
「まあいいや。事務所で話す」

 事務所に着くなり、コートを脱ぎながらさっそく明子は「見立て殺人が進んでい
る」と言った。
「見立て?」
「だって、所長、斉木、大沼って来ているんじゃない」
 ぼーっとしているので、タイムカードの上に乗っかっている行先ボードを持って
きて表を書いた。

 エプスタイン 所長  吐しゃ物
 ジョン    斉木  拳銃
 ジョージ   大沼  肺がん

「こういう具合に、見立て殺人が進行しているのよ」
「だって斉木も大沼も生きているし」
「そうだけど、一応は関係が成り立っているでしょ」
「じゃあ、次は誰が狙われると?」
「『ビートルズ殺人事件』ではリンゴだから、リンゴに相当するのは山城さんよ」
「誰に?」
「そりゃあ分らないけど。
 ただ『ビートルズ殺人事件』ではエプスタインはジョンが首謀者でポールが実行
犯でしょう。このマンションでは、斉木が首謀者で蛯原が実行犯って感じ」
「だからその斉木は入院しているって」
「首謀者なんて居なくたって、実行犯が居れば勝手に反応するのよ。蛯原なんて、
ずーっと忘れていた癖に、クリスマスが来れば、クリスマスの飾りを思い出すでし
ょう? デスノートみたいに」
「それで、僕にどうしろと」
「だから、生き残っているのは山城と蛯原なんだから、その二人に関して調査しな
いと」
「又インタビューでもしろと?」
「そんな事したって、大沼さんは入院しちゃったんだから、そんな事したって、時
限爆弾の配線をちょん切る様には止まらないんだよね」
「じゃあ、どうする」
「飲み会でもやったら?」と明子は言った。「残りのターゲットは山城、蛯原の2
人なんだから、飲み会でもやって懇親をはかればいいんじゃないの?」
「そうだな」

 という訳で、井上は山城、蛯原の両名を飲み会に誘った。
 最初は難色を示したものの、二人とも、雪の為徒歩で出勤していたので、街まで
送って行ってあげるから、と言ったら、承諾した。
 普段は山城はチャリ、蛯原は原付で通勤していた。


●52

 明子、井上、蛯原、山城の4名は、その晩、飯山市内の居酒屋に行った。
 土間から一段高くなっている座敷に通されると、とりあえずビールで、お疲れさ
まーの乾杯をした。
「すぐにお造りがきますんで」と井上が蛯原、山城に気を遣う。
 明子は付け出しのもずくをすすった。「酸っぱい。ほっぺがぎゅっとなる」
 何気に、カウンター席の方を見る。
  天井からぶらさがっている棚にブラウン管テレビが設置してあった。
 ホリエモンが低線量被曝なんてものはそんなに心配しなくても平気だ、とか言っ
ていた。
「あの人、もうすぐ収監されるっていうのに、よく原発の心配なんてしているよ
な」つられて見ていた山城が言った。
「あの人は凸っぱちじゃないですか。ああいう人はイルカだから、目の前にある事
にしか反応しないんですよ。でも自分で考えているわけじゃなくて誰かに操られて
いるんじゃないのかなぁ」
「誰に?」
「例えばソフトバンクの社長とか。あの人ってイタチみたいなオデコでしょ。ああ
いう人って計算して色々企むんですよ」
「そういえば高橋さんもそんな感じのオデコしているよね」と蛯原。
「そんなあ、私そんなに計算したりしないですよ」
「じゃあ俺は」と山城。
「山城さんは、ホリエモンとか孫社長とかじゃなくて、もっと質実剛健な感じ。経
団連とか農協とか。まあ、IT企業で言ったら、アスキーの西って感じかなぁ。ち
ょっとマニアックですけど」
「まあ俺は昔ながらの男だからな」
「つーかね。うん」明子はビールをごくごくごくーっと飲み干した。「私が言いた
かったのは、例えばですよ、山城さんと蛯原さんが衝突したとしても、それは誰か
イタチが後ろで操っているって事ですよ」
「誰が?」
「斉木さんとか」言うと明子は蛯原と山城の顔を交互に見た。
 山城はなんの事やら分かっていないみたいだが、蛯原は何か思い当たる節でもあ
るやの雰囲気だった。
「因みに僕って今時の経営者で言ったら誰?」と井上が言った。
 ちょうどその時、店員がお造りの大皿を運んで来たので井上が受け取った。
「ワタミの社長かな」と明子が言った。


●53

 その頃管理室では、既に40時間以上も勤務されられている鮎川が、『ビートル
ズ殺人事件』の漫画化を進めていた。
 自分の描いた絵を見て、「なんだが、『ゲゲゲの鬼太郎』になってしまったな」
と鮎川は思った。
 ジョンはねずみ男、ポールは鬼太郎、ジョージはぬりかべ、リンゴは子泣き爺で
ある。
 鮎川は水木しげるを愛していた。

 かつて、斉木が「水木しげるっていうのはおかしい」と鮎川に絡んできた事があ
った。「普通だったら、戦争に行って腕とか失えば、軍部を恨むだろう。何でそこ
で、オカルトに走るんだよ。あと、『銀河鉄道999』って言うのもおかしいだろ
う」
「それは水木しげるじゃないけど」
「それは知っているけど、銀河鉄道なんていうのは無いんだよ。あるのは、西武鉄
道999とかだろう。
 俺が思うに、お前らオタクは制度内で非力だから、オカルトだの銀河鉄道だのっ
て言うんじゃないのか? そんで、制度とは関係の無い、オカルト少女だの戦闘美
少女だのに萌えるんじゃないの?」
「それは全然違うよ。自分は戦闘美少女には萌えないし」
「じゃあアンヌ隊員は?」
「アンヌ隊員は戦闘美少女だよ」
「ラムちゃんは?」
「ラムちゃんはオカルト系だよ」
「ラムちゃんには萌えるの?」
「萌える」オカルトだったら何にでも萌える。崎陽軒の醤油差しで抜けると言う。
「ふーん。って事は、アンヌ隊員に萌える奴っていうのは、まず制度内の弱者とい
う立場があって、それ故に、制服を着たアンヌ隊員に萌えるって事だな。だって、
ロハスな女だったら相手にしてくれる訳ないものな。アンヌ隊員だったらナイチン
ゲールのノリで優しくしてくれるかも知れないけど。
 そんで、ラムちゃんっていうのは、純然たる奇形って訳か。
 じゃあ、ここで話を『ビートルズ殺人事件』に戻すけれども。
 俺は前から、ポールっていうのは、世界には適応しているが要素の倒錯がある、
って思っていたんだよ。それって、絵画で言うとマグリット的だよ。
 偶然にも、アップルレコードの林檎のマークはマグリットが描いていて、あれは
ポールが所蔵していたのだけれども。
 そして、ジョンというのは、世界に倒錯を起こしていて、ムンクの『叫び』状態
なんじゃないかって思っていたんだよ。
 それから、ジョージは、倒錯というよりも疎外されていて、それはゴッホみたい
だと思っていたんだよ。
 あと、リンゴは、エプスタインと似ていて、それらの絵を買いあさる画廊経営者
みたいだなと。
 そのイメージで、ラムちゃんと戦闘美少女の分類も可能なんじゃないのか。つま
りこういう感じだよ」と言うと斉木は図に描いて見せた。


          倒錯
          −
  ポール     −ジョン
  マグリット   −ムンク       
  ラムちゃん   −アンヌ隊員
素 ――――――――・―――――――― 界
要 リンゴ     −ジョージ     世
  画廊経営者   −ゴッホ      
          −ゴス
          −
          疎外

「そうだ。これに違いない。
 この右上から左下のラインがリビドーに関わった欲動であり、その反対が超自我
に関わるんじゃないか。
 だから鮎川よ、そこらへんをよーくイメージして漫画化して欲しいんだよな」

 これはずっと前に斉木が言った事だった。しかし何の事だか分からないままに、
鮎川は『ビートルズ殺人事件』を描いていた。
 さて、鮎川は完成した漫画をスキャンすると、フォト蔵にしまった。
 それから何時もの様に、レトルト食品とココアで腹ごしらえをすると、新聞屋を
待った。
 しかし、その朝、新聞屋が来たのは予定を3時間も超えた6時だった。
 正面玄関の自動ドアを開けてやると、フロントに入って来るなり新聞屋の一人が
怒鳴った。
「鮎川ーッ。雪かきしておけって言っただろう。滑ってしょうがねえ」
 新聞屋が入館すると、鮎川は、ボイラー室からプラの雪かきを取って来て、正面
入り口から雪かきを始めた。
 既に夜は明けていて、雪はやんでいた。

 約2時間使って、やっと歩行者の通れる30センチ幅の通路を確保した。
 鮎川は空を見上げた。
 雲の流れが速く、時々切れ目から青空が見える。
 チャリン、チャリンとベルを鳴らされて視線を水平に戻した。
 山城が自転車でこっちに迫って来る。
「あれ、チャリンコで来たんですか」
「シャッター開けてくれ」と山城。
 鮎川はポケットをまさぐって、シャッターのリモコンを押した。
 山城は、鮎川を通り越して駐車場の方へ消えて行った。


●54

 駐車場に入ると、山城はバックミラーで鮎川を見た。
 又、チャリン、チャリンとベルを鳴らす。
 真っ直ぐ行って突き当たりのスロープを登ると、ぐるりと回って、エレベーター
前に到着する。
 自転車を立ててエレベータに乗り込むと、最上階のボタンを押した。
 AMの自転車置場は最上階のスロープの下にあったのだ。
 屋上に降りると、一面に真綿の様な雪が降り積もっていた。まだ全然足跡が付い
ていない。
 山城は、嬉々として自転車を漕ぎ出した。
 真っ直ぐスロープには向かわずに、あちこちを旋回しながら、オリンピックの輪
の様にタイヤの跡を付けていった。
 何故か、『雨に唄えば』のジーン・ケリーを思い出した。
 あの映画は妻と見に行ったのだった。
 妻は処女だった。雪のように白く清かった。
 『雨に唄えば』を口ずさみながら、山城は雪の上にタイヤの跡を付けて行った。
 俺だけが汚していいのだ、と山城は思った。後で、泉だの横田だのに汚されてた
まるか。あいつらほんとうに豆腐に指を突っ込むようなガキなのだから。
 散々ぐるぐる回ってから、階下に向かうスロープに向かった。
 その時になって、今日は日曜だから泉らは来ないのか、と気が付いた。同時に、
今自分が口ずさんでいるのは『雨に歌えば』じゃなくて、『明日に向かって撃て』
でポール・ニューマンがキャサリン・ロスを籠に乗っけて漕いでいる時の歌だ、と
気が付いた。
 次の瞬間に、自転車の前輪がスロープに差し掛かったのだが、突然、ハンドルを
取られるのが分かった。
 焦って斜面を見ると、積もったばかりの雪の下に薄っすらとワダチが出来ていて、
左側の壁に向かってカーブしている。
 あれッと思った時には、ずずずずーーっと滑り出していた。壁に激突する、と思
ったのだが、壁が外れて、自転車もろとも地上に転落した。
 こりゃあ死ぬぞ、ともがいている内に、自転車と自分が入れ替わり、自分が先に
背中から着地した。かなりの衝撃だったが、雪がクッションになって、助かった、
と思った。しかし次の瞬間、自転車が落ちてきて、ブレーキレバーが右腹部の肝臓
付近をざっくりとえぐった。その衝撃で自分はうつ伏せの状態になり、チャリは回
転して、脇の小道に飛んでいった。











#1080/1158 ●連載    *** コメント #1079 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:16  (451)
斑尾マンション殺人事件 13
★内容


● 55

 正面玄関で雪かきをしていた鮎川は、ぎゃっ、という短い悲鳴の後に、ちゃりー
んという音を聞いた。
 自転車でコケたのかなあ、と考えて、しばらくじっとしていたのだが、ハッと気
が付いた様に、雪かきを持ったまま走り出した。
 駐車場の真ん中を突っ走って、裏側の柵まで行く。
 舗道に自転車が落ちているのを発見した。
 植え込みの手前には、山城が卍みたいな格好をしてへばりついていた。
 鮎川は、柵の扉を開けて、山城に近寄ると、周辺をうろつきながら様子を見た。
 綺麗に雪が積もっている所に落っこちているので、もしかしたら生きているかも
知れない。
 雪かきの柄で、山城の腹部をぐーっと押してみる。腹の下から、どろーっと血が
流れ出してきた。
 フェンスの外側の松の木で、カラスがくっ、くっ、と咽を鳴らせて羽をばたつか
せた。
 鮎川は雪かきを振り回してみたが、カラスは微動だにしなかった。
 雪かきを銃に見立ててカラスを狙う。バーン、バーンと言った。
  小銃があればなぁ、と思った。鮎川は的に命中させて、同じ所にもう一発通せ
た。
 突然雪かきを放り投げると、口をへの字に曲げて頬を膨らませた。
 携帯を取り出して119番通報する。

 救急車よりも先に警察が到着した。服部、三木、山本、須藤の4人と鑑識である。
 鑑識らが、舗道にへばり付いた遺体を取り囲んだ。その中に一人白衣を着ている
のが居て、ひっくり返してくれ、と言った。
 鑑識二人で、一斉のせいでひっくり返す。その拍子に裂けた腹から内臓が飛び出
してきた。
「うわー こりゃあ又ど派手に裂けたもんだ」言うと白衣の警官は、手にはめたゴ
ム手袋を引っ張ってパチンと鳴らした。遺体の脇にしゃがみ込んで、腹の辺りをい
じったり、瞼を持ち上げてみたり、口を開いてみたりする。
 他の鑑識は、写真を撮ったり、メジャーで、駐車場壁面から遺体までの距離、そ
の他を測っている。
 救急隊も既に到着していたが、ストレッチャーの上に、オレンジ色の毛布だの、
オレンジ色のAEDのケースだのを積んだまま、待たされていた。
 4人の警察官は、駐車場の柵の近くから最上階を見上げていた。
「あそこから転落したのか」と山本が言った。それから「おい、君、ちょっとこっ
ちに来て」と鮎川に手招きする。
 そして、山本と須藤とで質問した。
「まず名前は」
「鮎川徹」
「どういう字を書きます?」
「シーナ&ロケッツの鮎川に、渡辺徹の徹」
「それじゃあ分からないよ」
 そこに、井上、高橋、蛯原が現れた。
「鮎川ちゃん、余計な事を言う必要はないぞ」柵の向こうから蛯原が言った。
 須藤巡査がぎろりと睨む。「又、お前か」
 須藤が一歩進み出ると、その隙間から、遺体が見えた。
  明子は口を押さえつつも思わず凝視してしまう。一気に口の中が酸っぱくなっ
た。一階スロープの影に走って行って、げーげーやった。
 蛯原は尚も、「べらべら喋る前に、弁護士を頼んだ方がいいぞ。その前に黙秘権
があるかどうか聞いた?」と鮎川に言った。
「別に彼は被疑者でも何でも無いよ」と須藤が言った。「単なる設備の事故なんだ
ろう?」
 井上がびくっとした。それだったら自分の責任になってしまう。
「鮎川ちゃんはフロントに行ってろ。俺が応対するから」と蛯原。
「あんたは何も知らないだろう」井上が強い口調で言った。「あんたこそ管理室に
行っていろ」
  そう言われて、蛯原は退場した。
 そうこうしている間に、遺体は救急隊員によって搬送された。
 そうすると明子も戻って来る。
  井上と共に柵の扉を開けて舗道に出て来た。
 明子、井上、鮎川、警察官4人の計7名で最上階を見上げた。
 壁面に、タタミ半畳ぐらいの穴が開いていた。
「あそこを見に行きたいんで、案内して貰えますか」服部が言った。

 7人は、2回に分けてエレベーターで最上階に行った。
 北側のスロープの所へ行って現状を確認する。
 スロープの真ん中から左側壁面に向かって、半径1.5メートルぐらいのワダチ
があった。
 壁面を見ると、はめ込みボードは脱落した訳ではなく、下一箇所のボルトでぶら
下がっているのが分かった。
「おーい、下の人。何時壁が落下するか分からないぞ」と服部が地上の鑑識に怒鳴
った。それからワダチを指し示して言う。「ここでハンドルをとられれば落下する
仕掛けになっている」
「こりゃ、一体どういう事なんだ」と三木。
 服部はワダチを見ながら首を捻った。
 山本と須藤が鮎川の両脇に付いていた。
「いっつも、山城という人が最初に出勤するのか」山本が強い調子で聞いた。
「そうです」
「その前にここに来た者は」
「居ません」
「見てたのか」
「そういう訳じゃあ」
「じゃあ何で分かる」
「防犯カメラを再生すれば分かると思います」
「カメラは何処にあるんだ」言うと山本は辺りを見回した。
「あそこにあります」鮎川は屋上南側の監視カメラを指差した。
「何日分録画してあるんだ」
「2週間です」
 やがて、下から鑑識も上がってきて、スロープやら壁面のチェックを始めた。
 そういうのを遠巻きにして見ていた明子が井上に、「もしかしたら斉木が鮎川を
使って細工をしたのかも」と言った。
「え?」
「鮎川は元自衛隊員だから、札幌雪祭りの経験からスロープのアイスバーンを削っ
たのかも」
「そうならそうでいいよ」
 今回のはマンションの設備が絡んでいる。これは、マンホールを開けっ放しにし
ておいて子供が落っこちた、とかと類似のケースだ。下手したら自分がタイーホさ
れてしまう。そんなんだったら鮎川が逮捕されればいいのだ。何れにしても工事部
に連絡しておかないと…、とここまで考えて、前回ここに来た時に見付けたスロー
プのウレタンの傷を思い出した。このワダチに重なるじゃないか。
「一昨日ここに来た時に、あのワダチのちょうど下の箇所に、ウレタンのめくれを
発見したんだよ。何か関係あるんじゃないのかなぁ」
「斉木が何かのトリックを仕掛けておいたんじゃないかしら。やっぱり見立てが進
行しているんじゃないかしら」
 しかし、井上は、『トリック』だの『仕掛け』だの『見立て』だの聞くと、子供
っぽいなぁと思えてくるのであった。
 なんでだろう。自分自身、メカやからくりは大好きなのに。
 トリックとか言うと、健康ランドのマジックショーに嬉々としている老人を連想
する。ああいうのは子供大人みたいな顔をしているよな、と井上は思った。



●56

 スロープのワダチを見ながら、三木警部が服部に言った。
「こういう小細工を見ていると、小学生並のガキの仕業に思えてくるなあ」
「ところが、そうとも言えないんですよ。うちの課にも、宴会でトランプマジック
をやる奴を軽蔑していながら、自分じゃぁ秘かにパズラーに投稿しているって奴が
居るんですよ。
 何て言うんだろう。文化人類学者が、色々分類する癖に、ある一つの事に熱中し
ている人を見ると、実験動物と言ってしまう様な感じでしょうか」
「どうも君の話は分かりづらいな。もっと具体的に言ってくれよ」
「うーむ」考えつつ、服部は壁の穴から地上を見下ろした。「あの、真っ白な雪の
上に広がった血は、カエサルのトーガに散った血に見えますな」
「なんだって?」
「いや、何でもありません。あの血を見ていて、ふと、カエサル暗殺を連想したん
ですが、どうも私には、統合失調患者のシンボル過多みたいな所があって、後で覚
めると、ストーブがいらないぐらい体が熱くなるんですよ」
「いいじゃないか、燃料費の節約になって。言ってしまえよ。途中で止めないで。
でないと、そのカエサルなんたらを言いかけた、とみんなに言いふらすぞ。全部言
ってしまえば黙っていてやる」
「うーん。そうですか。まぁ、複数犯の場合、首謀者は実際的な事を軽蔑している
場合が多い、という話なんですが。
  そういう奴が、誰かをそそのかしてやらせている、というケースが多いんです
よ。歴史的な大事件でも、最近の事件でも。
 たまたまあの雪の血を見ていて、私はカエサル暗殺を思い出したんですが、あの
場合には、『ブルータス、お前もか』のあのブルータス、あれこそ、実際的になれ
ない人で、首謀者だったんですね。
 彼は、私が前に述べた分裂気質にあたるんですが、軍事や政治に興味がもてず、
ひたすらストアの哲学を学んでいたんです。そしてカエサルに、『情熱はあるが自
分探しが終わらない厨2病』とまで言われたんですね。
 このカエサルの方は粘着気質なんです。実際にてんかん発作を起こしたという記
録もあるし、像を見ても、闘士型の体格をしています。
 このカエサルが、ガリア遠征から帰ってくる時に、武装解除しないでルビコン川
を渡ってきたんですなぁ。当時、ローマ市内に入るには、カエサルといえども武装
解除しなければならなかった。しかし大変な戦果を上げたものだから、それをしな
いで入って来た。本当にずうずうしく我が道を進んで来るナメクジ野郎って感じで
すね。
 こういうのは、秩序を重んじるブルータスにしてみれば我慢がならない訳です。
だから暗殺してやろう、しかし自分は実際的な事が出来ない。
 そこで実行犯というか実際的な面で活躍するのが、カシウスです。
 これはもう、当時のコインを見ても凸っぱちだし、エピキュロスに傾倒していた
いというから、これはもう私の言う、ヤンチャ坊主型ですな。
 この首謀者と実行犯、ブルータスとカシウスが、カエサルを暗殺する時に邪魔に
なるんじゃねえか、と気を揉んでいたのが、アントニーですね。アントニーとクレ
オパトラの。こいつはプロの格闘家並の体力があったから。
 ここの対応でも、ブルータスとカシウスの気質の差が出ますね。
 カシウスは、『それではアントニーも殺してしまおう』と言っんですが、ブルー
タスは『我々は殺人集団ではない』とあくまで秩序を保とうとしたんです。実際的
であるが故にカシウスをかっていた癖に、実際的な事を言うと軽蔑するわけです。
それがまあ、飲み会でトランプマジックをする奴と、それを軽蔑するパズラー投稿
者の違いなんですが。
 ですから、ここで話は本件に戻るのですが、このワダチに関しても、仕掛けがガ
キっぽいからといって、首謀者がガキとは限らないんですよ。もし複数犯であるな
らば」
「なるほど」と頷くと、三木はふと山本の方を見た。そして言った。「とろこで、
頑固オヤジタイプというのは出てこないのかよ」
「まあ、それを言うなら、スッラでしょうな。カエサルの前の独裁者ですが、非常
に強欲な奴で、女好きの上に男の妾もいたと言われています。最後は体に蛆がわい
て死んだそうです」


●57

 以上の会話を、スロープから東に数メートル離れた所に居た明子は、耳に全神経
を集中させて聞いていたのだが、本当にエクセルでマクロでも実行した様に、脳内
でセルの中身が、くるくるくるーーっと置換えられるのが分かった。
 それだったら、

 ブルータス=アニュトス 首謀者 イタチ ジョン =斉木 服部
 カシウス =メレトス  実行犯 イルカ ポール =蛯原 三木
 カエサル =ソクラテス 被害者 ラクダ ジョージ=大沼 須藤
 スッラ  =カリクレス 欲張り 石臼  リンゴ =山城 山本

 なんじゃなかろうか。
 ソクラテス事件とカエサル暗殺の構図は実に似ている、と明子は思った。既に誰
かが指摘しているのであろうか。とにかく、そういう構図があるのなら、このマン
ションでの連続殺人も首謀者は斉木であり、実行犯は蛯原なのではないか。それか
ら、所長、斉木、大沼、山城、蛯原という見立ても進んでいるのではないのか。
 その2点を、服部に伝えたいのだが、そんな事を言えば基地外扱いされてしまう。
 明子はスロープの方を見た。服部は三木と一緒に壁面を見てみたり、腕組みをし
て考え事をしたりしている。山本、須藤はまだ鮎川に質問している。その傍に井上
が居る。
 あそこに行って、斉木が首謀者です、なんて言っても、あの石臼の山本あたりに
一喝されて終わりだろう、そう思って、明子はじーっとしていた。
 しばらくして、服部一人が考え事をしながら、明子の方に歩いて来た。
 あの人一人にだったら言ってもいいかも、そう思って明子は、歩いてくる服部に、
にじり寄って行くと、「さっきのカエサルの話、私、聞いてしまいました」と言っ
た。
「えっ」と一瞬驚いた顔をしたが、「理解できました?」と言ってきた。
「できましたよ。つーか、同じ構図がこのマンションにもあるんです。つーか、微
妙に違うんですけれども。とにかく、この山城さんの件に関していえば、首謀者は
斉木で実行犯は蛯原じゃないかと思うんです」
 何を言ってんだこの女は、と服部は思ったが、同時に斉木だの蛯原だのいう名前
から、勝手に所長死亡事故の現場のシーンが蘇ってきた。
 蛯原と言えばあの時自分に噛み付いてきた奴だな。確かにあれは実行犯向きのお
でこをしていた。
「しかし、斉木の方は入院しているんでしょう?」と服部は言った。
「だって首謀者だったら前もって仕込んでおけばいいじゃないですか。
 それだけじゃないんです。実は、斉木はある場所で、
 所長、斉木自身、大沼、山城、蛯原が、それぞれ、
 吐しゃ物で、撃たれて、肺がんで、腹部を裂いて、そして、感電死で死ぬと予言
しているんです。
 大沼さんは昨日肺がんで入院しました。そして今朝、山城さんがこんな事に。
 これって、偶然ですか?」
「なに、なに? 所長、斉木、大沼、山城、蛯原の順番で、吐しゃ物、撃たれて、
肺がんで、腹部を裂いて、感電死で死ぬと予言していると。んー」斉木は脳内で反
芻した。「何れにしても蛯原さんには事情聴取したいんだが、今、どこに?」
「こっちです」言うと明子は服部を連れてエレベーター乗り口の建物に入って、南
側の非常階段に通じるドアを開けた。「共用棟が見えますよね。あのガラスの向こ
うがエントランスになっているんです」
 服部は、目を凝らしてみたが、距離がある上、西日よけのスモークが入っている
為、よく見えない。
 服部はスロープ方向へ怒鳴った。「おーい、三木さん、山本さん、ちょっと来
てー」
 その2人と、井上がやって来た。
「あのガラスの向こうがエントランスで管理室があるんですが、蛯原が感電して死
ぬという脅迫があるらしいんですよ」と服部。
「あそこにはそういう設備があるのか」山本が井上に言った。
「盤があるにはありますが」
「高圧なのか」
「さあ。指の太さぐらいの黒いケーブルがのたくってますけど」
「うーむ」
 唸りながら全員が共用棟を見た。
 その向こうにはゲレンデが見えた。ゲレンデの上には雪山が、更にその上には曇
った空が広がっていた。それが見ている人々の頭上にまで伸びてきている。
 嫌に遠近法を感じるのだが、これは雲が凄い勢いで流れて来ている為だろう。
 雲は積乱雲で、既に、雪山の上の辺りでは、蛍光灯の様にちかちかしていて、ご
ろごろ鳴っている。
「なんか凄い雲行きになってきたなあ」と山本が言った。
「迫力があるじゃねーか」言うと三木は、非常階段の踊り場に出て手すりから身を
乗り出した。
「三木さん、危ないですよ」と服部が言っても、
「大丈夫、大丈夫」と言って、更に身を乗り出す。
「俺も一枚撮っておこう」言うと山本はスマホを取り出して非常階段の踊り場へ出
た。
 なにやってんだ、こいつら、と明子は思ったが。
 そうしている間にも、雲はどんどん流れて来て、マンションの頭上も真っ暗にな
った。
 それを感知して、駐車場の明かりが点灯した。
 ほぼ同時に、ゲレンデの雪山に一発目の落雷があった。雲上から山肌に稲妻が走
った。雷鳴がとどろく。
 非常階段の三木は、目を見開いて、うぉー、と言った。
 山本はスマホを連写している。
 二発目は、すぐ近くに落ちた。光った瞬間につんざく様な雷鳴が響き、ごーーー
っという地響きがしたのだ。
 三木、山本は更に興奮して、チンパンさながらに手すりに捕まって体を揺すって
いる。
 なんなんだ、こいつら、と明子は思った。
 東南アジア人のトップレスショーにかぶり付いている地主と店員ってこいつらな
んじゃないのか。
 こいつら、オッパイ星人なんだ、と明子は思った。
 建屋の中を見ると、服部と井上が壁に寄りかかって何やら話している。
 こいつらケツフェチだな。
「長野県は、落雷による死亡事故が日本一多いんですよ」と服部が言った。
「それは昔の話なんじゃないですか?」と井上。
「最近の話ですよ。ほぼ毎年、死亡事故があります。槍ヶ岳が多いんですけどね」
「まぁ、ここは避雷針があるから大丈夫ですよ」
「ふむ」
 2人は壁に寄りかかったまま南の空を見た。
 次の瞬間、事故は起こった。
 どっかーんという爆音と共に、稲光がマンションを直撃したのだ。
 全ての明かりが落ちて真っ暗になった。共用棟の方から火災報知機のベルが響い
てくる。
「ここには避雷針は無いんですか」服部がでかい声を出した。
「あると思いますよ」
 ドアの外から山本が首を突っ込んで来た。「管理室を見に行くぞ」言ってから三
木と2人で非常階段をすたこら下りて行く。
 その後を服部、井上、明子、そして須藤巡査も付いて行った。

 非常階段で地上まで下りると、駐車場と居住棟の間を通ってゴミ集積場に出る。
 西側の後方入り口から入館して、更にもう一枚ドアを抜けて、エントランスに出
た。
 雲は既に強風に煽られて流れていってしまったらしく、正面玄関の自動ドアから
は、日の光が差していた。
 しかし、扉が開け放たれた管理室の内部は真っ暗で、黒煙が漂ってきている。盤
内のケーブルや機器類が焼けたらしく、プラスチックの焦げる臭いがする。
「ガスを吸わない様に」と服部が言った。
 皆、衣服の袖で口元を覆い、身を屈める。
「換気だ」山本が言った。「君、あそこのドアは開けられないのかね」住居棟入口
を指しながら井上に言う。
 井上が走って行って開けた。
「須藤、そっから出て行って表っから開けてこい」と又山本が言った。
 須藤は正面玄関の自動ドアを手でこじ開けて、一旦外に出ると、外から管理室の
ドアを開けた。
 管理室内に光が差し込む。同時に、すーっと空気が流れていった。
 皆が口元から腕を外した。屈んでいた姿勢も元に戻した。
 三木、山本、服部が管理室に入った。続いて井上、明子も入る。
 ドアの所の明かり先に須藤が突っ立っていた。
 その左側のホワイトボードが避けられた床面に、丸焦げになった蛯原が転がって
いた。
 顔は真っ黒に煤けていて、白目を剥いていた。魚類の磯辺焼きの様であった。
 壁面には、ナルソックのキーボックスがあったが、心なしか、焼死体はそちらの
方に手を伸ばしている様にも見えた。


●58

 前章をもって、事件の顛末に関しては概ね説明した事になる。
 それぞれの事件が、その後どの様に処理されたかを言うと次の如くである。
 金子所長の件は事故として処理された。
 斉木銃撃の件は、事件性はあったものの、斉木自身が「このままここに居ると狙
われる」と言って、強引に退院してしまったので、拘束する訳にも行かず、そのま
まになってしまった。
 斉木の退院に前後して大沼は亡くなった。これは自然死であった。
 山城の件は転落による事故死として処理された。
 蛯原の件は落雷による死亡事故として処理された。

 4月になると、大通リビングにも人事異動があり、斑尾マンションの管理主任者
も井上から他の者に変わった。
 斑尾マンションの管理員の欠員は、(株)AMから補充されたらしい。
 井上は最早受け持ちではなかったので関知しなかったが。
 そんな感じで、全てが風化して行った。
  春になると雪が解けて、初夏になると居住者も戻って来た。
 これは大部分がゴルフ客であった。
 マンション併設のゴルフ場では連日、クラブを振った瞬間の鞭のしなる様な音と、
かしゃーんという卵の殻でも踏み潰した様な音が響いていた。

●59

 或る日の事だった。
 大通リビング本店での昼休み時間、井上は机に突っ伏したままうたた寝していた。
 机の上には、古めのノートPCが広げてあった。以前、斑尾マンションで使用し
ていたもので、壊れたというので引き上げてきて修理に出していたのが戻ってきた
ものだ。
 それで昼休みに接続してみたのだが、その内睡魔に誘われて眠ってしまった。
 PCのデスクトップ上にウィンドウが開くと、スカイプの着信を知らせる音が鳴
った。
 井上は鎌首をもたげると、目を擦りながら応答をクリックした。
 画面にタンクトップ姿の斉木がぼーっと現れた。
 井上は椅子の上で座り直して、スーツのポケットからスマホで使っているマイク
フォンを引っぱり出し、PCのジャックに差し込んだ。
「斉木さん?」
「おー、おー、繋がったか」
「何処にいるの?」
「ロレート」
「ロレート?」
「ペルーのロレートだよ」
「なんで又そんな所に」
「まあ色々事情があって」ここで画面の中の斉木に、ノースリーブのワンピースを
着た女性が皿を運んで来た。女の顔は映っていない。斉木は「グラシアス、グラシ
アス」と言いながら皿を受け取って机の上に置いていた。
「やっとインターネットを出来る環境が出来たんで、繋いでみたら、このスカID
があってんで、掛けてみたんだ。こんな事すりゃあ、飛んで火に入るなんとやらな
んだけれども、俺ってどうなっているかなーと思って」
「あのまま何も言って来ないけど」
「じゃあ、あの連続殺人は事件として片付いたのかなあ」
「連続殺人?」
「所長から始まって、俺、大沼、山城、蛯原っていうやつ」
「それって、斉木さんがやったの?」
「俺がやった訳じゃないけど。まあ誘発させたって言うか…」
「誘発させたとは」
「まぁ、こういう感じだよ。
 俺が誰かを階段から突き落とせば罪になるけれども、例えば、氷点下の日に水を
撒いただけなら過失で済むだろう。更に、水を撒いたのが俺じゃなくて、俺はただ
単に、乾燥しているから水を打っておいた方がいいなーと言っただけで、それを聞
いた誰かが勝手に水を撒いたなら、俺は何らの罪にも問われないだろう。
 まぁ、そんな事したって、必ず誰かがすっ転んで、後頭部を打って死ぬ、という
訳には行かないのだけれども。
 ただ確率としては、300件ひやっとすると一件の重大事故が起こるっていう統
計があるんだよね。ハインリッヒの法則っていうんだけれども。
 という事は、ターゲットの周りに、毎日10件罠を仕掛けておけば、1ケ月で死
亡事故に至る筈なんだよね。
 まあこれは自動車工場で派遣社員をやっていた時に教えてもらったのだけれども。
 俺がこうやってべらべら喋るのも、俺が今居る所が絶対に捕まらない場所だから
なんだぜ。この前も裏山に日本人が入って行って、ヘラクレスカブトムシを採ると
か言っていたけれども、出てこないものね。左翼ゲリラに捕まって。そいつを助け
に行った地元の警察も出てこないし。
 俺が居るのはそんな所だから、今更手配したって捕まる訳ないんだよね。それに、
俺は斉木って名前で来ていないし」
「だったら、所長の件から順番に説明してよ」
「ああいいよ。別に」
 そして斉木は、所長、自分の件、大沼、山城、蛯原について、それぞれ語り出し
た。


●60

 所長の件に関して。
 まず所長の件だけれども、動機っていうのは特に無かったな。
 まぁ、常に不満はあったけれども。
 俺ら、24時間管理員は夕方6時から翌朝9時までは一人勤務になるんだよ。で、
その間に休憩時間が6時間も設定されていたんだよ。おかしいと思わない? 一人
勤務なのにどうやって休むんだよ。その時間に火災警報が鳴ったら無視していてい
いいのかよ。で、インターネットで調べてみたら、大林ファシリティーズ事件と言
うのがあって、住み込みで管理員をやっていた老夫婦が、自分らは起床から消灯ま
での勤務だと言って数十年分請求したら、犬の散歩時間以外は全て勤務時間という
判決が出たんだよね。俺なんて厳密な人間だから当然そういうのは所長に言ったけ
れどもね。勿論無視されたけれどもね。
 まぁそういう不満はあったけれども、それが動機って訳じゃないよ。つーか、今
は手口だろ、今知りたいのは。
 手口はねぇ、まず、所長らが引っ越して来た当初は風呂場はカビだらけだったっ
ていう前提がある。あれだけこびり付いていると一回じゃあ取れないから、家庭用
のカビキラーの容器を渡して、毎日やれ、って言ったんだよ。容器の半分ぐらい撒
け。中身は業務用のが大量にあるから毎日汲んで来てやると。
 そして清掃の山城に、「業務用カビキラーを桶にでも入れて持ってやったらいい
んじゃない? 毎日使うから。俺は3日に一回の勤務だから無理」と言うんだよ。
 それで山城はせっせと運び、所長はそれを撒いていた。
 ところで、あの事務所の風呂って、温泉が回ってっていたんだよ。温泉って、ス
ケール、湯の花ね、それを含んでいるんで、それが下水管にこびり付いていて流れ
づらくなるんだよ。だからカビキラーも配水管の奥の方で詰まっていたんだろうけ
れども。
 大浴場の方はスケール除去剤を温泉に混ぜて循環させていたのだけれども。ボイ
ラー室のろ過器の手前に薬注ポンプがあって、ぽたぽた注入する様になっている。
その薬品は強力な酸だから、塩素系の薬品と混ぜたら塩素ガスが発生するんだけれ
ども。
 そのスケール除去剤なんだけれども、毎回俺が薬注ポンプに補充していたので、
鮎川に文句言ってやったんだよ。何で毎回俺にやらせるんだ、次回はお前がやれよ、
って。
 同時に鮎川の勤務日に、薬注ポンプの減りがちょうど15リットルぐらいになる
様に薬の落ちる速度を調整しておいたんだよ。あと、薬注ポンプの横に風呂桶を一
個置いておくんだよ。そうすると、スケール除去剤は20リットルのビニール入り
だから補充すると余るだろう。ちょうどそこに桶があれば入れるだろう。
 そうとは知らず、山城は、「誰かがカビキラーを汲んでおいてくれたのだろう」
と錯覚して、それを事務所に持って行くだろう。
 これで、あの気密性の高い部屋に、塩素と酸が揃った訳だ。
 その後、所長がどうやって混ぜるな危険をやっちゃったかは不明だけれども。
 多分、何時もの様にカビキラーを噴霧して、温泉スケールでつまった配管にそれ
が溜まって、その後で、桶の中のスケール除去剤を捨てちゃったんじゃなかろうか。
そうすれば塩素ガス発生と同時に温泉スケールも溶けて、証拠も流れてしまうので、
一石二鳥になる訳だが。
 俺としては、あの家庭用カビキラーの容器にスケール除去剤を注げ足しちゃうん
じゃないかと思っていたが、そうはしなかったみたいだなあ。
 とにかく、あの事務所の風呂場で混ざった訳だよ。上手く行くかどうか分からな
かったけれども、こういうのを毎日10個仕掛けておけば統計的には1ケ月で死亡
事故に至るって話ね。
 事件の時、事務所の玄関に鍵だのU字ロックだのが掛かっていたというのは俺に
は分からないな。別段、開けっ放しでもよかった。
  所長が、風呂を洗っている間に賊にでも入られると思って掛けたんじゃなかろ
うか。
 しかし、今思うと、なんであんな事やったんだろうって思うけれどもね。あの頃
は日々ピンはねされていたんで、苛立っていたんだろうなあ。









#1081/1158 ●連載    *** コメント #1080 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:17  (213)
斑尾マンション殺人事件 14
★内容


●61

 次に、何で俺が撃たれたのか、何で撃たれても死なないのか、って話だけれども。
 そもそもあの映画館には大沼に誘われて行ったんだよ。
  5千円が魅力ですぐ常連になったけど。
 大沼が、新聞屋とかも誘ったので、女が足りなくなるんじゃないかと思ったけれ
ど、商売になるというのを聞きつけて、他の養鶏場の女も来たので、何時でも女が
余っている状態だったな。だから、大沼が、どんどん客を連れて来いという。
 だから俺は携帯で写真を撮って、管理室のプリンターで印刷してパウチまでして、
サウナの労務者に見せてやったんだよ。雨の日に飯場に居てもつまらないからって
来る奴らに。演歌歌手みたいな背広を着ちゃって。ロッカーで着替えた後でわざわ
ざ見せびらかしに戻ってくる奴ら。忘れ物をしたとか言って。だから俺も見せびら
かしてやったんだよ。俺は普段こういう女と遊んでいるんだぜーって。
 それが警察の知る所となって、4人もぱくられた。
 俺はそのまま放置しておいて、映画館にも近寄らないようにしていたのだが、カ
ミーラが、これが大沼の女なんだが、あの女が18歳未満で起訴できないから、自
分で家裁に行って少年審判を受けてこいって、警察を追い出されたって言うんだよ
ね。
 俺には信じられない。
 あのパスポートの18歳というのも疑わしいが、売春婦に、自分で裁判所に行け
という警察の感覚が信じられない。
 とにかく、そんなこんなで、人材派遣会社の知る所となったんだよ。養鶏場に日
系人を派遣している会社だけれども。俺はそこの事務所に呼び出された。スカーフ
ェイスの日系人が3人麻雀やっていて「一緒にやらない?」と言う。
「いや、それはちょっと」
 向こうの言い分としてはこうだ。
 ただでさえワールドカップで入国が難しくなっているのに、4人も連れて行かれ
たんじゃあ堪ったもんじゃない。彼女ら一人300万の借金が残っている。カミー
ラは帰って来たからいいとして、300かける3人で900万払ってくれ。それが
嫌ならこれだ、と猟銃をちらつかせる。
 ところで俺は胸に持病があって、前から市立病院に通っていたんだよね。
 この件の後も、何時もの様に病院に行って待合室で待っていた。
 そうしたら隣に大沼が座った。
「何やっての?」
「実はな、お前さんを、一発撃って来いって命令されたんよ。派遣会社の日系人に。
でないと連体責任だって言うんよ。あんたを殺せって言うんじゃない。脚とか腕と
か撃って来いって」
「そんで俺をここまで追いかけて来た訳?」
「そうじゃないよ。わし、肺がんなんよ」
 それから大沼はこう言った。自分はマンションを持っている。ローン2千万が残
っているが自分が死ねばそれは団体生命で支払われて、マンションの名義は親に移
る。しかし親はとうに他界している。自分としてはその名義人をカミーラにして、
彼女が売っ払って、故郷に帰ればいいと思ってる、が、カミーラのパスポートなど
信用出来ない。そこで、誰か信用出来る奴に名義人になってもらって、自分が死ん
だらあのマンションを金に換えて、彼女に渡してもらいたいのだが。もっともそん
な事を引き受ける奴は常識のない奴なんだろうが。
「そんなの俺に聞かせて、どうするの。俺にやれって言うの? 断ったら撃つと
か」
「どっちにしても撃たないと駄目みたいやで。斉木君、どないする」
 しばらく考えて、ふと俺は思い付いた。
「俺はさあ、気胸でここに来ているんだよ」俺はシャツの間からドレーンチューブ
を見せてやった。「何回空気を抜いても脱腸みたいに飛び出してくるから今じゃあ
ずーっと刺しっぱなしなんだよ。これがこの前風呂場で抜けたんだよ。そうすると
胸に風穴が開いたままままになる。
 だから、そこに弾を突っ込んだら、派遣会社の日系人も納得するんじゃなかろう
か。
 例えば、鉄橋の下で、豚肉の塊か何かに撃って、それを俺の胸に入れて、こんな
でかい病院じゃなくて、夜間はアルバイトの研修医がいるみたいな病院に行けば、
撃たれたって事にならないだろうか。医者に感づかれたら逃げてくればいい。銃で
撃たれたってなったら、そういう診断書を書いてもらって、派遣会社に持っていく
よ」

 実際には、銃で撃たれたと診断された段階で、医師は警察に通報する訳だよな。
 それで、イタチ誤射事件に発展してしまったのだが。
 しかし、大沼の死後、マンションを処分して、こうやってカミーラとロレートに
来られたんだから、当初の目的は達成出来たけど。


●62

  次に山城の件に関して。
 あれは別に山城を狙った訳でもなかったのだが。
 あの冬、原チャリで走っていたら、雪のワダチにハンドルを取られて、そのまま
ガードレールに激突しそうになった。
 その時に思い付いたんだよ。マンション駐車場のスロープに半径1.5メートル
ぐらいの左カーブのワダチを作れば壁を突き破って地上に落下するんじゃないか、
って。
 どうすればそんなワダチを作れるだろうと想像したのだが。そして思い付いた事
を、こうすればそうなるんじゃないの? と蛯原に言ったらそうなったのだけれど
も。
 まず、雪の積もった後、半径1.5メートルの左カーブを残して、除雪しておく。
 そうすれば翌日には、そのカーブの箇所だけが凍結するだろう。
 そこで泉あたりに、あの凍った雪をとっておけと命令する。でも、清掃部隊の雪
かきはプラのだから、取れない。
「だったら柄の方でがりがりやれ。あそこで居住者が滑ったりしたら損害賠償10
0万円だぞ」と脅かす。
 それが効いて、泉が必死にこじったら、ウレタンがぺらぺら剥がれてしまった。
 泉は他の清掃員が帰ったあとで蛯原の所に来て、「屋上のウレタン、剥がれちゃ
った」と言ってきた。
「そりゃあ弁償かもしれないな」
「幾ら?」
「張り替えたら何十万もするんじゃない」
「えー、私知らなかったもの、ウレタンだなんて。コンクリの上に緑のペンキを塗
ってあるんだと思ったもの」
「しょうがねえなぁ。だったら俺がアロンアルファで養生しておいてやるよ。そう
やって誤魔化しておいて、春になれば2年点検があるから、そこでばれなきゃあ、
ちゃんと点検したのかよ、って言えるものな。
 だから、春になるまでは、二度とウレタンの剥がれた箇所をこじられない様にし
ないとな。
 それには雪が降る度に、塩化カルシウムを撒いておけばいい。でも、塩化カルシ
ウムにも限りがあるので、スロープ全面にまくってわけには行かない。だから、ウ
レタンがはがれている所にだけまいておきなよ」
 そうすれば、翌日には、ボブスレーのコースみたいに、1.5Rのワダチが壁に
向かって出来てる。
 ついでに鮎川あたりに、「雪が吹雪くと、あそこの壁面にも吹き積もる。それが
凍結して落っこちたら危険だろう。だから、あの枠のところに塩化カルシウムを撒
いておけ」と言っておけば、枠のボルトも錆びるだろう。
 そうしたら、ああなった。


●63

 最後に、落雷の件に関して。
 蛯原は、前から、あそこのマンションの空き室の鍵を欲しがっていたんだよ。飢
えた団地妻としけこむのに。
  未販売の部屋を使ってもよさそうなものだが、それだとコンストラクション
キーで開けられちゃうだろ、他の管理員に。だから、中古の空き室の鍵を欲しかっ
たんだよ。
 それは、管理室の壁面に埋め込まれているナルソックのキーボックスの中にぶら
下がっている。
 キーボックスの鍵自体はタキゲンだの栃木屋だのの市販品なので、簡単に手に入
るのだが、電磁式のロックみたいなのが掛かっていて、ICカードをかざさないと
開かない。
 停電になれば解除されるかも、と思って、電気保安協会の点検とか、計画停電の
時を待っていたのだが、停電になっても、どっかのバッテリーから電源供給される
んだろう。
 だったらそのバッテリーも壊れてしまえばいいんじゃないのか、という話になっ
た。
 ところで俺が勤め出したばかりの頃だけど、あのマンションに落雷があって、F
AXの基板を焼いた事があったんだよ。その時に業者が来て、避雷針から逆流して
いるんじゃないかって言っていたんだけれども。そして、避雷針の土に埋まってい
る、銅のヒラヒラした部分を確認して行ったけれどもね。
 それは管理室前のマンホールの中に埋まっているんだけれども、あのヒラヒラを
下水管のこっち側にもってくれば、落雷の時に鉄骨に逆流して、バッテリーを焼い
てくれるんじゃないかって思ったんだよ。
 その為には、毎日ろ過器を逆洗して、マンホールから湯を溢れさせて、凍結して
危ないから下水管を交換してくれと言って、その時に、ヒラヒラの位置を下水管の
こっち側にもってくればいい…と蛯原に言った。
 そうしたら蛯原が丸焦げになった。
 まあ、そういう訳だよ。それで全部だよ。納得してくれた?


●64

 なんとも性格が悪い奴だ、と井上は思った。
 何れの手口も長い時間をかけて用意されたものなのだが、その苦労が報われる瞬
間は、収穫をするというよりかは、脱糞するかの様である。
 もしかしたら、こうやって喋っている今もカタルシスを得ているのではないか。
 そう思って画面の斉木を眺めていた。
 スカイプだから鮮明ではないのだが、頬はこけ、無精ひげが生えていて、頭も薄
くなってきている。伸びきったタンクトップの胸のあたりには肋骨が透けている。
 逃避行で疲れたのか、糖尿病でも患ったか。
 やがて斉木は机の上の皿から、スプーンですくってピラフの様なものを食べ出し
た。
 その様子は、キッドナッパーに誘拐された商社の駐在員といった感じだった。
 そこへ、さっきのノースリーブの女性が登場した。
 最初の内は、斉木がペラだのプータだの声を荒げていたが、その内、ポルファ
ボールとか言って、命乞いでもする様に手を合わた。
 女が「ベンガ」とドア方に向かって言った。
 すると、機敏な動きの男2人が入って来て、椅子に座っている斉木の肩を両方か
らハーフネルソンで固めて、そのまま、部屋の外に引きずっていった。
 それからワンピースの女がカメラを覗いた。
「アディオース、アスタ、ラ、ビスタ」と言うと、ぷちんとスカイプが落ちた。


●65

 午後1時近くになって、井上は昼食に出た。
 これは斉木の相手をしていたのでずれ込んだ訳ではなく、一緒に食事をする相手
と最初から1時に約束をしていたのだ。
 待ち合わせ場所の交差点に現れたのは高橋明子だった。
 近所にある大手不動産会社のスカート、ベストを着用していて、財布だけ手に握
っている。すっかり東京のOLさん姿が板についていた。
「何食べる?」と明子が言った。「中華でも食べようか」
 10分後、2人はバーミヤンで、フカヒレラーメンと半チャーハンを食べていた。
「そういえば、さっき斑尾の斉木から電話があったよ」
「え? 携帯に?」
「いや、スカイプに」
「あの人、まだ日本に居るの? てか、生きているの?」
「うん。ペルーに居ると言っていた。なんか揉め事が多いみたいだよ」
「そういえば、斑尾で一回だけ大沼さんのお見舞いに行ったのよ。あの居酒屋の飲
み会の後だったけど。そうしたら、カミーラちゃんが来ていたのよ。うん。
 ペルーに帰るけど、大沼と一緒じゃない、別の人だって言っていた。ペルーはす
ごい危険だからって心配していた。左翼ゲリラがあちこちにいて誘拐事件が多発し
ているって。誘拐されるとバラバラにされてアメリカに売られるんだって。心臓と
か目とか。
 そんなんだったら旅行者保険に入っておかないと、あれに入っておけば万一の時
には保険金が下りるから、と言ったら、なんか目をきらきらさせていたなぁ。
 あの女って日本人殺しちゃうんじゃないかしら。大沼さん、行かなくて正解だっ
たよ」
 井上はフカヒレラーメンのスープをレンゲですくうと、ずずずーーッと音を立て
てすすった。
 これは、猫舌の為にこうやって冷ましながら飲まないと本当に口の中の粘膜が火
傷してただれてしまうのだ、と井上は言った。




【完】


参考文献
『ザ・ビートルズ/リメンバー』(クラウス・フォアマン)
『THE BEATLES アンソロジー』











#1082/1158 ●連載
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:18  (438)
【純文学】今夜一緒にいてーな 1
★内容                                         17/04/06 13:51 修正 第2版
 1


 ある初冬の月曜日の午後、俺は中央道を八王子から高井戸方面に向かって走って
いた。ストリップ劇場に行く為に。
 ストリップには10年ぐらい前、95年頃からはまっていた。
 当初は近場の劇場に通っていたのだが、当局の手入れでどんどん潰れて、今では
北関東の方まで行かなければならなくなった。それで、行く時にはいっつも、中央
道、外環道などを使ってひたすら北へ北へと上って行くのだった。
 それでも、平日だったらピストン西沢グルーヴラインとか土日だったらハウス・
ミュージックなどをカーステでがんがんかけて、ノリノリでハンドルを叩いたり手
拍子をしながら運転していくは楽しかったのだが…。
 しかし今日はそういう訳には行かなかった。AIDSの検査を受けたからだ。劇
場に行く途中で保健所に寄って結果を聞くまでは安心出来ない。
 俺が何時も行っているストリップ劇場には個室サービスというのがあって、店の
あちこちにユニットバスぐらいの小部屋があって、一発やらせてくれるのだが。し
かし、厚生省が、AIDSがどれぐらい広がっているのかを調べる為に、そこのコ
ンドームを回収して調べてみたら、なんと80本に2本の割合でHIVが発見され
たのだ。
 それがマスコミ沙汰になったのは、そういう方法でデータを集めていいのかとい
う事が問題になったのだが。
 しかし、80本に2本といえば40人に1人だから、あそこの店が満員になれば
一人ぐらいはHIVに感染しているという計算になる。あの店は、生ではやらせな
いのだが、中には親指の爪を尖らせておいて、入れる瞬間に傷を付けておいて中で
剥けるようにする、というふざけたオッサンもいるから、こっちはこっちで、たま
には勢いで生尺という事もあるから、そうすると間接キスじゃないけれども、その
オッサンのHIVが俺に伝染するという事もあるんじゃないか。そうやって考えて
いると、感染しない方があり得ない、と思えてくるのだ。
 そういう訳で、HIVの検査に行ったのが先週末だった。しかし結果が出るまで、
一週間も待たされる。そうすると、もう、AIDSノイローゼみたいになってしま
って、あの劇場での感染は勿論の事、あんな保健所に来ている連中はモーホーみた
いなのが多いに決まっているから、あそこで感染したかも知れない、もしかしたら
俺の前で採血した奴の注射針から伝染ったかも知れない、みたいにぐるんぐるんし
てしまうのだった。
 そういう訳で、劇場に行く前に保健所に向かっていた。保健所は八王子ではなく
練馬石神井のにした。そうすればついでに北関東の劇場で遊べると思ったから。
 高速を下りると、環八、井荻トンネルを経て、西武池袋線の高架をくぐったとこ
ろで左折した。くねくねとした裏道を行くと、石神井の街に入った。どっか止める
所はなーとしばらくぐるぐるしてから、駅の北側の市営住宅の中に駐車する。そこ
からは歩いて行った。
 保健所はレンガ造りの頑丈そうな建物で、玄関から入ると、受付の発券機で番号
カードを引っ張り出した。
 エントランスホールに入ると妙に採光が良くて、壁も床も薄ピンクに光っていて、
妙に脚の細い椅子やテーブルが設置してあって、そこらへんに、白人のグッドルッ
キングガイ二人組と日本人の幼児、とか、超デブの母親と逸見政孝似の旦那さんと
ハーフの娘、とか、壊れた様な家族が居る。こいつら全員感染してんじゃねーの。
 そいつらと距離を置いて、しばらく待っていると、俺の番号が呼ばれた。
 がらがらがらーと引き戸を開けて診察室に入る。白衣というよりか割烹着みたい
なのを着た若奥さんみたいな保健婦さんがいた。見た瞬間、これだったら大したト
ラブルはなかったんじゃないか、と思う。だって陽性で、いきなり泣き崩れたりし
たら、こんな女じゃあ対応出来ないだろう。
 偽名を書いた申込書を渡して検査結果をもらった。
 ぺろりんと開いてみると…HIV陰性、梅毒陰性、クラミジア陰性。
 俺は結構冷静だった。
 しかし、「質問はありますか?」と聞いてくるので、「キスではうつらないとい
うが、フェラチオではどうなんですか?」とか、「ディープキスをしていて相手の
女に口内炎があったらどうなるんですか?」とか、如何にも激しいセックスをして
いるんだぜ、みたいな事を言ったので、やっぱ俺は興奮していたんだと思う。普段
俺はこんな素人の奥さん相手に下ネタを発せられないから。
 エントランスに出てきた頃には喜びがこみ上げてくるのが感じられた。ほとんど
ガッツポーズしたい程に。しかし陽性の奴に刺されると困るので止めたけど。そし
て笑いを噛み殺して足早に走り去ってきた。
 そして、保健所の外に出た時には「陰性」の横断幕を掲げたい気分だった。なに
しろ一週間も不安に苛まれていたんだから。

 とにかくこんな所に長居は無用だと思って、俺は、石神井のビルの谷間を走った。
高架の向こうに向かって。
 すぐに市営住宅の中に戻って、車のところに戻ると、ポケットに手を突っ込んだ。
キーを出すのももどかしい感じで。
 が、何気バンパーを見ると、チラシが挟まっているのが見えた。…なんなんだろ
う。車検が近いからか。
 しかし、近くに寄って剥がそうとしたら、それは、なんと駐禁の輪っかだった。
 なんじゃ、これは。
 即腕時計を即見たが、まだ20分も経っていない。それに、タイヤにチョークの
跡も無いし。おかしい。
 前後の車を見てみると、ドアミラーには駐禁輪っかが取り付けられていたが、タ
イヤにちゃんとチョークが引いてあって、ちゃんと時間が書かれている。
 ああやって30分以上経っているのが駐禁になるんだよな。30分以内だったら、
ほんの10センチでも移動してしまえば、セーフなんじゃないのか。だからわざわ
ざチョークで線を引いているんだろう。
 だから、これは、前後の車だけが駐禁であって、俺のはただ巻き添えを食っただ
けなんじゃないか。
 こらあ警察に行って話をつけてこないと。

 車を出すと、富士街道に出て、とろとろ北上していった。左右に交番を見付けな
がら。しかし、なかなか見付からない。
 とうとう谷原の交差点まで行って目白通りに入ってしまった。が、すぐに反対車
線に交番を見付けた。Uターンすると、交番の駐車スペースに頭から突っ込んだ。
 下りていって交番の中を覗くと誰も居ない。
「すいませーん」俺は軒下から怒鳴ってみた。
 パトロールにでも行ってんのか。
 しかし、ジャーっとトイレを流す音がしてから、鉄扉が開いて、ヨレヨレの交通
整理みたいなジジイがズボンのチャックを上げながら出てきて、
「はいよ」と言った。
「あれなんですけど」とバンパーを指差す。
「あ、駐禁ね」
 お巡りは鍵を持ってデスクの向こうから出てきた。
 そして、俺と二人でバンパーのところに行って、輪っかを外してもらう。
 それを持って戻ってくると、お巡りは交番内のデスクに座り込んだ。俺もデスク
の前の椅子に座る。
 お巡りは、違反切符の帳面を出すと指を舐め舐めパラパラとめくる。
「そんじゃあ免許証を見せてもらえますか」
「ちょっと待って。その前にちょっと聞きたいんだけれども 俺、20分しか停め
ていなかったんだけど、30分まではいいんでしょう?」
「いやいや、たとえ5分でも駐車違反は駐車違反だよ」
「だって、俺のの前と後ろのには、ちゃんと30分計ってから輪っかが付けられて
いたよ。俺のにはチョークの跡もないんだから、時間は計られていなかったんじゃ
ないの?」
「…」
「つまり、前と後ろのをやったんで、ついでに俺のもやったんじゃないの?」
「いやいやそんな事ないよ」
「そんな事ない事ないよ。とにかく俺は、そんなもの払う気ないから」いきなり、
俺は、ぎーと椅子を鳴らして立ち上がった。
「ちょっと待って、だったらこれを付けさせてよ」
 お巡りは、腰をくねらせて机の向こうから出てくると、駐禁輪っかをヒラヒラさ
せながら車に向かって走った。
 俺も、飛び出して行って、車に飛び乗った。エンジンをかけると、Rに入れてア
クセルを踏み込んだ。
 しかし寸でのところでお巡りが輪っかを付け直したところだった。
 危うくお巡りを引きずるところだった。

 そういう訳で、駐禁輪っかをぶら下げたまま環八に戻ると又北上していった。
 そして川越街道にぶつかると左折して、外環にぶつかると右折して、そのまま外
環の下を北上する。荒川を渡って、浦和、川口、草加とどんどん北上、越谷線にぶ
つかったら左折して更に北上する。
 こんなところまで来ないとメスにありつけないのかよ、と思ったが。
 しかし10キロぐらい行って、北越谷駅を超えると、ターゲットの劇場が見えて
きた。

 送電線の鉄塔がある空き地が駐車場になっていて、そこに車を突っ込んだ。
 そこからは歩いて行くのだが、歩道が無いので壁すれすれにダンプカーがび
ぃーーーうーーーっ、とかすめていく。
 劇場は戸建てのモーテルが2件あるみたいな佇まい。一歩敷地に入ると、あちこ
ちに築山みたいな植木が植えてあったりして、道路の騒音を遮って、竜宮城みたい
な雰囲気を出している。
 俺は、入り口で、会員証を提示して3千円を支払った。
 店員の背後の水槽には、へら鮒ぐらいの金魚が泳いでいる。これは昔、花電車で
こーまんから飛び出してきた金魚が大きくなったものだ。

 防音ドアを押し開けると、黒壁、黒天井の狭い場内にオヤジがズラーッと雁首を
並べていた。
 立ち見は居ないのだが、どっか座れるところないかなぁ、と見渡している、と、
奥の方で、通称カンクンと呼ばれる男が俺に気付いて、こっち、こっち、と手招き
してくれた。
 カンクンは黒田アーサー似のイケメンで、踊り子を連れ出しては食っているとい
う噂なのだが、いかんせん優男なので、こういうガサツな野郎の多いところでは襲
われる可能性があるので、どうも俺を番犬にしているらしい。
 カンクンが作ってくれた隙間に、どっこいしょと腰を下ろした。
 ステージでは、パンツにランニング姿のオッサンがせんべい布団にあぐらをかい
ていた。これから本番まな板ショーが始まるんだろう。もうちょっと早く来れば俺
も参戦出来たのに。
「どうだよ、最近。なんかおもしれーこと、あったかよ」途端に態度がでかくなっ
てカンクンが聞いてきた。
「どうもこうもないっすよ」
 HIVの検査に行って、それは陰性でよかったのだが、出てきたら駐禁の輪っか
がぶらさがっていた、という経緯を説明した。
「俺、20分も停めていなかったんですよ。こりゃぁなんかの間違いだと思って、
交番まで行ったんですけどね。警察は自分の間違いは認めないですね」
「なんでそんな余計な事するんだよ」
「えーっ」
「そんな事しねーで、構わずぶった切ってくりゃいいんだよ」
「そんな事して見付かったら…」
「見つかる訳ねーだろう」
「だって、前の車も後の車もやられていたんですよ」
「そうしたら前のも後ろのもちょん切ってくりゃいいじゃねーか。それが人助けっ
てもんよ」 
 カンクンはランクルにでっかいワイヤーカッター積んでいて、構わずぶった切っ
てそこらへんに捨ててくるんだという。仮に呼びだされても、そんじゃあ誰かが捨
てたんでしょうね、とすっとぼけてくるという。つーか、あんなものはワンクリッ
ク詐欺みたいなもので、大量にばらまいておいて、「本当に払わないといけないん
ですか?」とわざわざ律儀に尋ねてきた奴がターゲットになるんだ、そうやって目
を付けられたら終わりだ、最初っからすっとぼけていないと駄目だ、と言う。
「今からちょん切ってこようかな」
「駄目だよ、今更、そんな事したって」

 ぱら、ぱら、ぱらーっとやる気のない拍手が起こった。
 ステージを見ると、楽屋の袖から浴衣を着た踊り子が現れた。これからあのオッ
サンと本番をやるのだ。日本人の踊り子が本番をやるのは珍しかった。
 しかし、ほとんどの客は人のセックスになんて興味がないので、タバコをぷかぷ
かやりだした。凄い煙だ。禁煙の表示が見えないぐらいだ。
 そういえば俺は禁煙したのだった。AIDSも怖いけどガンも怖くなったのだ。
 それだけではなくて、俺は派遣社員だから、国保なので、社保みたいに傷病手当
金てみたいなのがないので、病気になったら途端に生活に窮するだろうと考えて、
アフラックにも入る事にした。あれだったら、医師の診断不要、誰でも入れます、
という触れ込みなので、高血圧、高脂血症の俺でも入れると思ったのだ。しかし俺
は何時でも自分の寸前でシャッターが閉まる、『シンドラーのリスト』にも俺の名
前は載っていない、みたいな気分があるから、これ、いざとなったら支払われない
んじゃないか、みたいな予感があった。そこでわざわざアフラックに電話して、こ
れこれこういう持病があるんですが、と聞いたら、「そういう場合には告知書にそ
の旨書いていただければ、ガンの場合のみ保証という事になりますから」と言われ
た。そこで俺は告知書に持病がある旨やら市民検診の時のHDL、LDLの値まで
書き込んで、確実にガン保険が支払われる様にしたのだった。
 しかし考えてみれば実際にガン保険なんてもらう頃には、今の俺の病気なんてう
やむやになっているんじゃなかろうか。自殺だって2年もすれば保険金が出るんだ
から。
 そうやって、何時でも俺は、チキンな犯人が犯行現場に現れる様な事をして墓穴
を掘る。

 ステージを見ると、浴衣をハダケた踊り子が跪いて、オヤジのちんぽを入念に拭
いている様がブルーのライトに浮かんでいた。
 曲は、エニグマのサッドネスというオドロオドロしい曲。
 コンドームを被せおわると、オヤジの肩を叩いて促した。
 仰向けになってパンティーを脱ぐと、一瞬、陸上のハードルでも跨ぐ様な格好を
してオヤジのちんぽを導き入れた。
 俺は、即、カシオの腕時計をストップウォッチにして時間を計った。
 オヤジが腰を降りだした。一回、二回、三回…わずか十八回で肛門周囲をビクビ
クっと震わせた。時間にしてわずか30秒。
「はい、おめでとう、コングラチュレーション」というアナウンス。
 ぱら、ぱら、ぱらーっとやる気のない拍手が起こる。
「あの女は具合がいいんじゃないんすかね」と俺は言った。
「なんで?」
「たった30秒で行っちゃったから」
「どうしておめーはそうやって杓子定規に考えるんだよ。オナホールじゃねえんだ
ぞ。溜まっていただけかも知れねーだろう」
「それはそうだけど…」
 女が引き上げると、蛍光灯がついて、場内は薄ピンクの明かりに包まれた。SM
APの『SHAKE』が小さな音で流れている。
 ところで今日の本番と個室サービスは誰なんだろう。
 俺は黙って立ち上がると、劇場の反対側に行った。そこの壁に香盤表が張ってあ
る。

 @★ダイアナ
 A 一色繭
 B★リンダ
 C 金城みゆき
 D エリザベス
 E★青木ひかる
 F★朝霧ケイト

 名前の上に★がついているのが個室サービスありの踊り子だ。
 青木ひかる、と、朝霧ケイトって日本人だろう。日本人が二人も個室をやってい
るのか。円安が進んでいるのだろうか。
 今、ラスト前だから、今、丸本をやったのが青木ひかるか。
 ふとステージを見ると、その踊り子がタッチショーをやっていた。アルコールテ
ィッシュで客の手を消毒しておっぱいを揉ませるのだ。
 本番客は、ステージの奥でステテコを履いていた。
 この女が個室サービスありか、と思って見る。顔は、酒井和歌子とか榊原るみ似
(ちょっと古いが)のキョトーンとしたうりざね顔で歳は27、8歳か。経産婦で
はないらしく張りもいい。何気、保健所の若奥さんを連想したな。
 この女に入ろうかなぁ、次の朝霧ケイトのジャンケンで負けたら。でも日本人っ
て幾らなんだろう。外人なら3千円だが、まさか日本人が3千円ではやらせないだ
ろう。受付に行って聞いてくるか。そんな面倒くさい事しないでも、目の前にいる
女に直接聞けばいいんじゃないか。
「ねえ、ねえ、お姉さん」俺は青木ひかる嬢に呼びかけた。「お姉さんの個室、幾
ら?」
「なーに言ってんのかしら、このお客さん」と女はますます目をキョトーンとさせ
た。「なにを言ってのかしら」
「え、だって この青木ひかるって、お姉さんなんじゃないの?」
「なに言ってんのかしら。変な事を言うお客さんがいるわねぇ」
 何言ってだ、この女、と俺は思った。今、ステージで本番やらせた癖に。堂々と
香盤表にも★がついているのに。
 女は多少不機嫌になって、ウェットティッシュでハタキでもかけるように客を追
い払うと「あー、もう終わり終わり」と言って引き上げて言った。
 ぱら、ぱら、ぱらーっとやる気のない拍手。
 最後列に座っていた、茨木から来ている常連の立松さん(エグザイルのヒロ似)
がぎょろりと見上げて言った。こいつもカンクンに勝るとも劣らないおまんこ泥棒
なのだが。
「有田君よぉ、いくら個室サービスをやってるからって、みんなの前で、『いく
ら?』なんて聞いたら駄目だぞ」
 有田というのは俺の名前だ。
「え、なんで?」俺は立松さんの隣にケツを割りこましつつ言った。
「そりゃあそうだろう。公然と言われたら、恥ずかしいだろう」
 えっ。公然と言われたら恥ずかしい?

 突然、ステージの照明が落ちた。
 音楽がアップテンポのハウス・ミュージックに変わった。
 ステージ正面の暗幕に、スポットライトの赤、青、黄色の明かりがくるくる回っ
た。
 ステージの袖から、大柄な日本人、というよりかはハーフみたいな女が現れた。
二十歳ぐらいか。
「グラインドの女王、朝霧ケイト嬢登場ーーっ!」というアナウンス。
 アマゾネスみたいな腰巻き胸巻きをまとったケイト嬢は、どんどん、どこどこ、
どんどん、どこどこ、と響くハウスのビートにのりながら、ステージ前面にせり出
してきた。
 どんどん、どこどこ、どんどん、どこどこ…… All Aboard Night Train!!!
 ステージの角までせり出してくると、陶酔した様に踊り狂う。
 オヤジどもは、手のひらも裂けんばかりに手拍子をする。
 どんどん、どこどこ……
 ケイト嬢は踊りながら反対側に移動して行った。身を乗り出して、腰と胸をくね
らせる。
 オヤジどもは狂喜乱舞の大はしゃぎ。
 更に数周、踊りながらステージを回る。
「燃えよいい女、燃えよギャラリーっ」という訳の分からないアナウンス。
 オヤジどもは揺れていた。
 突然音楽が止まった。スポットライトも消えた。
 ケイト嬢は「ありがとうございました」とちょこっと頭を下げると楽屋に消えて
いった。
「はい、それではジャンケン、よろしくー。なおジャンケンは公正にね。インチキ
ジャンケンはお断りー」というアナウンス。
 いよいよ本番まな板ショーであった。
 恥ずかしいなんて全然思わなかった。客なんて30人もいないし、カンクンだの
立松さんだの知り合いばかりなので、公然わいせつ的な気分にはならないのだ。
 俺を含めて5人が立ち上がった。
「このままやろう」、「分かれないでやろう」とみんなで協議してから、いざ勝負。
「よーし、ジャンケンポーン、あいこでしょ」と戦いが始まった。
 俺はすかさず、変化する奴、つまりグーを出したら次はグー以外を出す奴を見付
け出し、そいつに負ける様に出していった。つまり、そいつがグーを出したなら、
次に俺はチョキを出す。そうすればそいつは変化をするのだから、パーかチョキし
か出さないのだから、勝つかあいこに持ち込める。
 そうやって、ジャンケンを繰り返している内に、2人脱落、3人脱落していき、
とうとう2人残った。そいつは俺が最初に目をつけたのとは別の奴だったが、本番
の常連で、ちんぽはでかいがジャンケンは弱いというバカで、何時も必ずチョキか
ら出すのを知っていたので、見透かした様にグーを出して、勝つ。
「勝った、勝ったぁ」と宣言すると、俺はステージに這い上がった。他の奴がいち
ゃもんを付けない内に。
「挑戦者は布団を敷いて、パンツ一丁座って待つ」というアナウンス。
 俺は、ステージ横に畳んであったせんべい布団を広げると、パンツとユニクロの
Tシャツ一枚になってあぐらをかいた。
 やがてステージの袖から、ケイト嬢登場。
「はい、握手よろしくー。なお、本番中はお静かにね、そこらへんのメリハリをよ
ろしく」
 ケイト嬢はさっきとは違う、超ビキニのTバッグ姿だった。
 コンドームやらウェットティッシュの入ったポシェットを足元に落とす。
 俺の前につったって、マライア・キャリーの曲に合わせて腰をくねらせながら、
余裕で客を見回していた。
 俺はせっせと、太ももを擦った。
 しばらくそうやってから今度は尻をこちらに向けて腰をくねくねさせる。
 俺は太ももの裏を擦る。少しでもアナルの方に指を伸ばすと払われてしまった。
 又こっちを向いて腰をくねくねさせる。そうしながらブラをとった。白人の様な
でかくてぷっくりした乳輪で、ずぼぼぼぼっと吸いたくなる様な乳首だった。
 曲がセリーヌ・ディオンに変わった。2曲目だ。本番は3曲で終わる。
 女はパンティーの紐を持たせてきた。俺はそのまま引っ張った。上半分はぺろん
と取れたが、陰部がしっとりとしていて張り付いている。更に紐を引っ張ったら絆
創膏でも剥がすみたいにぺろ〜んと剥がれた。陰毛の剃られた割れ目が眼前に。
 ケイト嬢はしゃがみこんで、トランクスの上からちんぽを握ってきた。
 既にびんびんに立っている。
 このまま本番行為に突入すればいいのに、と思ったが、すんなりとは行かない。
 女は鼻息混じりに耳元に囁きかけてきた。
「あたな今日、車?」
「えー、なんで?」
「私、今日、千葉に帰りたいんだけど、送ってってくれる?」
「えー。俺はタクシーの運転手じゃないんだよ」
「私、お金払う」と言うと、ポシェットの中から4つ折りになったボロボロの千円
札の束を出した。厚み的に4千円はあったか。
「ねぇ、お願い、お願いぃ」
 よっぽど帰りたい事情があるんだろう。
「そんなのいらないよ。そこに恋人でも居るの?」
「居ないよ。ただ帰って寝るだけ」
「だったらそのアパートで一回やらせてくれたら、送って行ってもいい」
「ダメだよ。お客さんはアパートに入れらんないよ」
 お客さん、だって。お客さんなんて言わなくったっていいだろう。
 今、俺は本当に、可哀想だと思って送って行ってもいいと思ったのに。劇場が終
わるのは12時だ。そうしたら、ケイト嬢はトリだからぎりぎりまでステージがあ
るから、千葉まで電車で帰るのは無理だ。タクシーなんて銭がもったいないし。あ
の4千円だって、こーまんを酷使して稼いだ金だろう。そんな金は受け取れないし。
だから、俺は本当に人間の同情から、送って行ってもいいって思ったのに、お客さ
んだって。
 お客さんと聞いた途端に、萎えてくるのが分かった。
 それに、以心伝心か、女も急に冷たくなった様に感じられる。
 俺を突き倒すと、ポシェットからウェットティッシュを出してトランクスを引き
ずり下ろして職業的に拭いた。コンドームをおしゃぶりみたいに咥えると、俺のふ
にゃちんをずるずるずるーっと吸い上げながら被せていく。
 そして俺の腰を叩いて合図すると、ごろーんと仰向けになった。
 起き上がって膝立ちになって見てみると、すっかりマグロになっていて、陰部の
カミソリ負けの赤いぷちぷちを爪でカリカリやっている。
 又曲が変わった。最後の曲だ。
 俺はふにゃちんを握って前傾姿勢で、「ねえ、ちょっとぉ」とすがりついていっ
て、太ももを擦った。
 しかし、はぁーとため息一発、女は横を向いてしまった。
「アパートが駄目なら、途中のサービスエリアの便所でやらせてくれるんでもい
い」とか言っても無視。
 何も律儀に交渉しなくても、送って行くと言っておいて、この場だけでもやらせ
てもらって、後はすっとぼけて帰っちゃえばいいのに。
 ダメだ。そんな事をしたら騙した事になる。人間同士、騙しちゃいけない。
 とうとう3曲目のテープが止まった。
「はい、タイムアップ、又にしてね」というアナウンス。
 同時に、軽快なハウスがかかり、色とりどりのスポットライトがくるくる回り出
した。
 hey Yeah Yeah…hey Yeah YeahーーI said hey what's going on!!!
 女は羽でも生えた様に、楽屋に戻って行った。
 すぐにブラ一枚で戻ってきて、オープンショーを始めた。
 ステージの先端に行くと、後ろに手をついM字開脚、指でこーまんを開いて見せ
る。続いて横に寝そべるとL字開脚。ぐるりとうつ伏せになって、バックからこー
まんご開陳。
 それから反対側に飛んで行って、又見せる。
 hey Yeah Yeah…hey Yeah Yeah!!
 それをステージの四方八方に向かってやるのであった。
 俺は、後ろで、布団を畳んだり、ズボンを履いたりしていた。

 やがてステージが終わり、ケイト嬢も楽屋に引き上げて行った。
 ピンクの蛍光灯が点った。
 幕間のけだるい雰囲気が場内に充満した。今の女がトリだった。
 ステージから下りて行くと、立松さんが話しかけてきた。
「随分親しげに話していたな。何話していたんだ? デートの約束でもしたか?」
「いやー、アパートに送ってけって言うんですよ。だから、やらせてくれるんだっ
たら送ってってやってもいい、って言ったら駄目だって」
「有田君よぉ、やらせろなんて言ったら、やらしてくんねーぞ」
「じゃあなんで言えばいいんすか」
「今夜一緒にいてーな、って言うんだよ」
「今夜一緒にいてーな、ですか」
 そんな事言って覆いかぶさったら騙した事にならないか。最初からちゃんと約束
するべきなんじゃないのか。それが杓子定規なのか。
 防音ドアが開くと店員が半身を突っ込んできた。
「はい、朝霧ケイト、1番のお客さんどうぞ。朝霧ケイト1番」
 立松さんは、「俺だぁ」というと、Gパンのポケットからチケットを取り出して
立ち上がった。
 なんだよ。ケイト嬢のチケット持っていたのかよ。あいつが送って行って「今夜
一緒にいてーな」って言うのかな。俺と穴兄弟にならなくてよかったな。
 それにしても、俺はどうするか。今更ケイト嬢を買うのも馬鹿らしいし。ひかる
さんにも嫌われちゃったし。
 と考えていると、茨木さんの消えた向こうに、厚木君が座っていた。
 こいつも常連だが、劇場ではもっとも親しくしている友達だった。
「なんだ、居たのか」
 厚木くんは、アルミの筒に入った何かのタブレットをぼりぼり齧っていた。
「何食ってんの?」
「ビタミンB。これ寝ている間に脂肪を燃やしてくれるんだよね」と、甘そうなタ
ブレットをぼりぼり食う。
 見た感じ、立花隆か和歌山毒入りカレーの犯人みたいな顔をしている。
「食う?」
「いや、いらない。それより、日本人の個室っていくら?」
「5千円」
「5千円かあ。入場料と合わせて8千円コースになっちゃうな」
「俺は一発の単価がもっと安いところ見付けたよ」
「どこだよ」
 厚木君は、チノパンのポケットからティッシュに挟まったピンクちらしを取り出
した。
「ここだよここ。2発で8千円だよ」
 チラシを見ると、萌えヌキ倶楽部、王子駅から徒歩5分、8千円ぽっきり、など
書いてある。
「どこにも2発なんて書いていないじゃない」
「でもやらせるんだよ」腫れぼったい目を瞬かせた。
「女はどんな感じ?」
「若くてさぁ、女子高生か短大生みたいな感じ」
「本当かよ」
「俺が嘘を言った事があるかよ」
 確かにこいつが足で稼いできた情報には、それなりの信頼性があった。この前も、
練馬の花びら3回転という店を教えてもらったのだが。これは、10分ずつ3人の
女が代わる代わる出てきて、生で口の中で受け止めてくれるというものなのだが、
みんな女子高生みたいのが出てきた。それで3000円だというのだから、一体一
発幾らでやっているんだろうと思ったのだが。
 それで、3回射精した後、便所に行ったら、洗面所にイソジンがズラーっと並ん
でいて、「こりゃあ衛生的に問題があるな」と思って、二度とは行かなかったが。
 しかし、情報に嘘はなかった。
 それを思い出して「行ってみるかなあ」と俺は呟いた。
 厚木君からピンクちらしを引っ張り取った。







#1083/1158 ●連載    *** コメント #1082 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:19  (461)
【純文学】今夜一緒にいてーな 2
★内容                                         17/04/06 13:53 修正 第2版
 そういう訳で、俺は鉄塔の駐車場から車を出すと、今度は王子に向かった。
 八王子から80キロも北上して、今度は20キロ南下する。こんな事にガソリン
を使っていいのだろうか。
 カーラジオから、JーWAVEグルーヴラインのエンディングが流れてきて、一
日の終わりを予感させる。まだ一発もやっていないのに。
 この時間帯、都内に向かう上り線はがらがらで、すぐに王子に到着した。駅裏の
コインパーキングに車を突っ込む。
 チラシを見ながらうろつくと、すぐにターゲットの雑居ビルは見付かった。
 ビルに入った途端に、お湯のニオイがする。ビルのテナント全部が風俗店で、各
階にファッションヘルスだのの看板が出ている。
 3階の「萌えヌキ倶楽部」に入った。
「はい、いらっしゃい」角刈りのあんちゃんが、威勢のいい声をかけてくる。「い
い子がいるんですよぉ」
 さっそく、カウンターの上にクリアファイルをひろげると、ぱらぱらめくる。
レースクイーンだのミニスカポリスの格好をした女の写真が見える。
「この子なんてどうすか」
「ちょっと待って。その前に、8千円で2発って聞いたんだけれども、それは本当
なの?」
「そりゃあ旦那、たまたま早く行っちゃって、時間が余ったから話しているうちに
もう一回ってなっただけで、別に2回を売りにしている訳じゃないんですよ」
「そうなんだ…」
 という俺の落胆など意に介さず、女を勧めてくる。「さあ旦那、この子はどうで
すか。この子だったら今すぐ入れますよ」
「これかあ。ビニ本に出てきそうな女だなあ。もっと素人っぽいのがいいんだけ
ど」
「それじゃあ」と店員がぱらぱらめくるのにすかさず指を突っ込んで、
「この子は?」
「この子は、今、入っちゃっているんですよ。だから30分待ちだ。そうだ、旦那
にお勧めなのはこの子だ」
 と店員が勧めてきたのは、109にいそうな茶髪のギャル
「これかあ」唸った。「これで1発8千円だったら、うま味を感じないなあ。2発
やれるんだったらともかく。やっぱ、俺、ちょっと、考えるわ」と踵を返そうとし
たら、
「わー、ちょ、ちょ、ちょっと待って」カウンターから身を乗り出してきて、人の
袖を引っ張る。「分かった、やらせますよ。2回やらせます」
「本当?」
「本当だよ」
「2回やらせるんだったらこの女でもいいかなあ」
「いやあ、もうやらせますよ」
「約束だからな」
「いやあ、もう大丈夫」
「だったら行ってみる」

 待合室で、写真週刊誌をめくっているとすぐにギャルが現れた。タンクトップに
ホットパンツを着用。顔は、ギャル曽根みたいな感じ。
「お待たせしました。こちらへどうぞ」
 女に案内されて中に入って行った。間仕切りで区切られた迷路みたいな通路を歩
いて行く。
 個室に入ると、真っ暗だった。あちこちに、ぶつからない様にLEDのランプが
付いている。
 これじゃあ女の裸が見えないじゃないか。乳首でも黒いのか。
 それからポンチョみたいのを渡されて着替えた。
「ジャワーはここじゃないんです」
 又女に誘導されて、迷路の廊下を歩いて別室のシャワールームに行った。
 そこで、ポンチョを脱いで、女も裸になった。
 浅黒い肌にアーモンド色のびーちく。
 女はさっそく背中を丸めて、ポンプ式のボディーソープをスポンジに染み込ませ
た。
 それでも、蛍光灯の下で見ると生々しいな。
 シャワーを出してスポンジを泡立てる。
「失礼しまーす」と言ってちん洗いを始める。
 すぐに泡の中からちんぽが勃起してきた。
「たつと洗いやすーい」と如何にも低偏差値な事を言いつつ、しごく。
「あー、いいや。このままここで一回目出させて」
「えー。いいんですか。こんなところで行っちゃって」
「いいから」
 女がしごくと、簡単に、ぴゅぴゅぴゅーっと射精した。
 女がザーッとシャワーで流した。
 白濁した液体が排水口に流れ、塩素臭の残り香が立ち上る。
 くらくらする。何しろ八王子から80キロ、越谷から20キロだからなあ。

 シャワーが終わって、真っ黒い部屋に戻るとベッドに腰掛けた。
 女がCDのスイッチを入れるとパラパラが流れ出した。ディスプレイのLEDが
暗闇の中で揺らいでいる。
 超小型冷蔵庫を開けると瓶入りジーマを取り出して1本くれた。
 プルトップを開けて「かんぱーい」
 一口飲んで、「あー、美味しい」
「ところで名前なんていうの?」
「ユカリ」
「こういう曲、好きなんだ」
「好き」
「彼氏とかいる?」
「えー、いたらこんな仕事していないよー」と茶髪の毛先をくるくる指でまるめた。
「髪とか染めない方がいいよ。あと日サロとかもやめた方がいいよ。その方がいい
男が寄ってくる」
「えー、そうなんですかぁ」
「結局男は身持ちの固い女が好きなんだから。いい男を見つけりゃあ働かなくても
家でテレビでも見ていればいいんだし」
「ふーん」
 女はタバコを出した。
「吸っていいですか。吸います?」
「いや、いらない」
 女は火を付けると、深く吸い込んで、フーっと煙を吐き出した。
 煙が漂う。
「話す事なくなっちゃったな。それ、吸い終わったら2回目行こうか」
「は?」
「2回目」
「そんなの、ないよ」
「なんで。あるって聞いたぞ。2回で8千円だって」
「知らねーよ」
「知らねーよじゃねーだろう。つーか、まだ20分もあるし」
「じゃあ、チップくれたらやらせてあげる」
「幾ら?」
「1万円」
「なんでそんな金、要求するんだ…」
 劇場でも、先にチップを渡してサービスを引き出した方が利口だとみんな言う。
よかったら後で渡すなんて愚の骨頂だと。
「そんなの馬鹿らしい。つーか、俺はセックスだけを買っているんじゃなくて、嘘
でもいいから擬似恋愛というか…」
「だったらなんで2回で8千円とか言うんだよ」
「それは…」
「結局安くあげたいだけでしょ。遊び人の癖に金払いが悪いっていうのは、どうな
のかしらねぇ」
 瞬間的に、さっきの「お客さんはアパートに入れらんない」という台詞とか、昔
18歳の踊り子が60のジジイに貢がれて、結婚してもいい、とか言うんで、「あ
のジジイは金を払って個室に入ってくる男じゃないか」と言ったら、「あなただっ
て金を払って私のところに来る。どこが違うのか分からない」とか言われて、俺は
親身になって相談にのっているんじゃないか、どうしてその違いが分からないんだ。
 パラパラを聞きながら、首でリズムをとって、タバコを吸っている、このドン・
キホーテのコスメのコーナーにいそうなあばずれを見ていて、こんな女に払う銭は
ない、と思う。
「話しにならないな」
 ベッドから起き上がると、ポンチョを脱ぎ捨て、Gパンにシャツを着て、化繊ダ
ウンを抱えておん出てきた。

 受付に出てくると カウンターの外から店員に噛み付いた。
「おい、2回目、やらせなかったぞ」
「そりゃあ残念でしたねぇ」角刈りは、蛙の面に小便って感じで、鼻歌交じりにク
リアファイルをめくっていた。
「すっとぼけるな。話が違うじゃないか」
「だから、それはお客さんの持って行きようだ、って言ったじゃないですか」
「お前、2回って確約したじゃないか」
「ふん」と風営法の看板に手をかけると「うちはそもそも本番行為は認めていない
んだよ」
「何言ってんだ、俺はそんな法律の事を言っているんじゃない。さっき約束しただ
ろう。人間と人間の約束だ」
「なにが人間だい。2発やりたかっただけだろう。人間とかいうなら女の子の気持
ちも考えてみろ」
「偉そうな事言うじゃないか。俺がちょっとそこの公衆電話から、お恐れながらと
電話すりゃあ おめーも女も前科一犯になるのがわからないのか」と言って、俺に
正義はないな、と思った。
「やんな。やんな。こっちは風営法の看板出して営業してんだ。中で何をやったか
なんて、おめーが警察に行って説明しなけりゃならないんだぞ。おめーが裁判所で
証言しなけりゃならないんだぞ。そんな度胸あるのか。あーあー、何が人間だよ、
全く。人間のカスだ、おめーは」
 言うと角刈りは、店の入り口の盛り塩をこっちの足元に投げつけてきた。「帰り
やがれ」



 2

 翌日、俺は真面目に会社に行った。
 俺は派遣社員としてT芝日野工場で働いていた。通勤には車を使っていた。工場
のそばに月極駐車場を借りておいて。派遣会社は、勤務地に到着してから仕事は始
まると考えていて、交通費はよこさず、且つ、途中で事故があると雇用者の責任に
なるもんだから、公共機関を使えという。そんなのは無視していた。
 車から下りると、12月の冷たい空気を鼻腔で感じる。ダイソーで買ったポリエ
ステルのネックウォーマーを鼻までずり上げた。
 俺は、作業着の上に化繊ダウンを着込んで、スポーツバッグをたすき掛けにして
いた。
 工場のフェンス沿いを歩いていると、他の社員もみんな丸でミシュランマンの様
に着膨れしているのが見えた。そして西門に吸い込まれて行く。
 西門の前で加藤と出くわした。倉庫で一緒に働いている奴だ。
「いやー、昨日はひでぇ目に…」と会うなり言ったところで、言葉を飲み込んだ。
 こいつは前職不動産屋で、あること無いこと言いふらして人のイメージを毀損す
る、全く信用出来ない奴なのだ。
 黒目の上下に白目が見える。それを気にしてかメガネのレンズに緑色が入ってい
て、ますます変態っぽく見える。
 西門から入ると真ん中の道を構内に入って行った。
 右手の基板工場から、グッドウィルの派遣社員が、台車に基盤を積んで、左手の
プレハブの携帯工場に向かって運んでいた。そいつは作業着も貸与されず、グッド
ウィルのブルーのトレーナーを着ていた。基盤工場の出口の所では、T芝の作業着
を着た正社員が、クリップボードを抱えて、帽子を目深に配って、作業の様子を監
視していた。丸で強制収容所のナチスの兵隊みたいな感じ。あいつらは、T芝の作
業着にプライドをもっていて、俺らがT芝の作業着を貸与された時にも、「どうだ、
T芝の作業着を着れて誇らしいだろう」とかなんとか言っていた。
 朝日の当たっている芝生のところでは、グッドウィルのトレーナーを着た津村記
久子みたいなのが首から休憩中のプラカードを掛けてタバコを吸っていた。
 それを見付けて俺は、「あいつら、雨宮、赤木みたいに戦わないのかねぇ」と言
った。
「あいつらあれで、結構満足しているんだよ。つーか、部品の出し入れとか、組み
立ての段取りとか、そういうのに段々慣れてくると、働く喜びとか感じたりするん
だよ。そういうやる気をグッドとかT芝とかに利用されているんだけれども、そう
いうのは、鵜飼とか、豚にトリュフを採らせる様なものだな。ヒヒッ」と加藤はシ
ニカルな事を言う。
 一瞬、交番に出頭した事とか、アフラックに告知した事とか、俺の正直さを突か
れた様な気がしてカチンとしたが。
 携帯工場が終わったあたりの十字路の左側が出荷場になっていて、ナッパ服を着
たT芝物流の作業員が、木枠梱包されたでっかいパラボラアンテナを、トラックに
積み込んでいた。
 更にその奥に、薄暗くて日が当たらなくて裸電球がぶら下がっている、木枠梱包
だの、ダンボール箱への箱詰めなどをする作業場があって、梱包屋の社員が朝礼を
していた。紺色の作業着を着た、高齢男女なのだが、妙に小柄で、生まれた時から
貧しくて栄養状態が悪かったんじゃないかと思える様な人達で、グッドウィルの奴
らとは又違った感じの底辺さを感じる。一人前で喋っている所長だけは、俺らと同
じ年格好で、色白で、デブっていて、元暴走族の頭という噂だった。昔は集会で活
を入れていたのだろうか。
 その梱包屋の事務所に俺らのタイムカードはあった。
 俺の派遣元は、レインボーという会社なのだが、直接T芝に派遣されている訳で
はなく、レインボー→神本梱包屋→T芝、と二重派遣、つまり二重ピンはねされて
いるのだった。因みに加藤の派遣元はグッドウィルだった。
 さて、交差点の反対側の4階建の工場に俺らは向かった。
 4階の生産管理事務所のロッカーで着替えると、2階の倉庫に行く。
 倉庫といっても元は事務所だったのが今は空き家になっているのを倉庫に使って
いるのだが。
 左右のラックに、カメラ、テレビ、DVRがずらーっと積み上げられていた。こ
こで、この加藤と二人で、全国の営業所から来た伝票をチェックして、製品を出荷
場に持っていくのが俺らの仕事だった。もっとも最近はそれだけではなく、だんだ
ん労働強化されて、ワイヤーハーネスを作っておけ、とか、カメラに電源ケーブル
をつけておけとかいう作業もあったのだが。
 ラックの間から倉庫内部に入ると、真ん中に作業台があって、ネジ回しとか圧着
端子のついたハーネスが散らばっていた。作業台の脇には、ハーネスを取り付け済
みのカメラが4、50台積み上げられていた。
「俺が居なくてもちゃんと作業していたかなぁ」
「まあな」いきなり加藤はあくびを噛み殺す。
 しかし、何気、カメラを取り上げて見てみると、圧着端子はぐらぐらだし、平ワ
ッシャーの向きもまちまちだった。平ワッシャーの向きはバリが出ている方が外側、
とか、ネジはスプリングワッシャーが潰れてから15度ぐらい回したところで正し
いトルクが得られるとか、決まってんのに。
「加藤さん、これじゃあ駄目だよ。ぐらぐらじゃない」
「そんなの適当でいいんだろ。どうせ二重ピンはねされてんだから」
「そういう問題じゃないでしょう。こんな電源部のネジがいい加減だったら、どっ
か地方のコンビニで火事にでもなったらどうするのよ。そういうの平気なの?」
「平気だね」
「平然と言わないでよ、平然と。PL法で責任を追求されたらどうするのよ」
「別に俺達、教育も受けていないし、手当だってもらっていないんだから、責任な
んてないね」
「教わったじゃない」
「あれはやり方を教わっただけで、教育でも資格でもないよ。無資格の俺達に作業
させる会社がいけないんだよ」
 こういう奴が原発を作るから災害が起きるのだ。
「もう全部やり直しだよ。こんな事だったら、何もやってくれない方がよかったよ。
いちいち外すのも面倒臭いし」
「全部やり直すのかよ」
「当たり前だろう、こんなもの出荷出来ないだろう」
「あんた、真面目だな。でも、それがトリュフを採る豚だっていうんだけど。ヒヒ
ッ」
「うるせッ。お前みたいな適当な奴は、テキ屋か不動産屋でもやってろ。俺がやる
からお前は手を出すな」
「そんじゃあお任せします」
 言うと、パイプ椅子を広げて少年マガジンを読みだす。

 それから俺は、黙々と、ハーネスの付け直しをやっていたのだが、黙々と作業を
していると、だんだんムカムカしてくる。
 横目で加藤を見ると、平気で漫画を読んでいやがる。よく平気で読んでいるよな
ぁ、人にやらせておいて、目と鼻の先に居るのに。
 そういえば、あの野郎、俺の事を、トリュフを採る豚だと言った。という事は、
確信犯で俺にやらせているんじゃないのか。俺は、レインボーにもダンボール屋に
もピンはねされているが、その上加藤にまで利用されているって事か?
 ムカつくなあ。
 既に作業台の端には4冊も雑誌が積まれている。ああやっている間にも、あいつ
にも賃金は発生しているのだ。15分で300円ずつ、チャリーンと。300円つ
ったらかまど屋ののり弁が買えてしまう。昼休みになるとかまど屋が売店の前にワ
ゴンを出しているのだが。
 ああ、胸いっぱいに不公平感が広がっていく。
 あいつのパイプ椅子を足払いで蹴飛ばしてひっくり返してやるか。

 しかし午前中は堪えた。
 昼休み、かまど屋ののり弁と売店で別っぱらのスニッカーズを買って、社食に行
った。
 加藤はカレーうどんと稲荷セットを取ってきて食っていた。うどんにカレーの汁
をたっぷりと含ませて、汁ごとずるずるっとすする。唇の周りをカレーだらけにし
て。汁は全部飲み干していた。

 午後になってからは、出荷作業を行った。 
 営業所から回ってきた伝票を、加藤が読んで、俺が棚から製品を降ろす、という
風にやっていく。こうやってやった方が、それぞれが伝票を見ながらやるよりも、
早いのだ。でもこうやってやっていると、加藤に使われている様な気がしてくる。
逆でもいいのだが、そうすると、加藤は、先入れ先出しをしないで、手の届くとこ
ろから適当にとっていくので駄目なのだ。
 俺が這いつくばって奥から出すと、加藤がビンカードにシリアルと数量を書き込
んだ。こ汚い字で1なんだか7なんだか9なんだか分からない。
 そうやって倉庫一周を回って、台車一杯に、カメラだのDVRだのを集めてくる。

 作業台のところに戻ってくると、営業所の伝票を宅急便の伝票に書き写す作業が
あった。
「俺が汗だくになって、製品を出したんだから、そっちが書き写してよ」と加藤に
言った。
 そして俺はノートPCを広げて、エクセルのシートを開いた。
 加藤が書いたこ汚いビンカードなどアテにならないので、自分でエクセルの表を
作って在庫管理しているのだ。
 俺は、台車に積まれたダンボールを見ながら、機種、シリアル、数量をPCにタ
イプして行った
「なんでそんな事やんだよ」今日に限って加藤が言ってきた。「そんなの会社から
やれって言われてないだろう」
「そんな事言ったって、こうやってちゃんとしておかないと在庫が合わないじゃな
い、そっちの書いた字が汚いから」
「そうじゃないだろう。俺の字がどうこうじゃなくて、手書き自体が気に入らない
んだろう」
「ええ?」
「1か0かでやりたいんだろう。時計もデジタルだし」
「えっ」
「あんた、毎日シャワー浴びないだろう。その癖、ウォシュレットがないとうんこ
ができないタイプ」
「なんだよ、そりゃあ」
「ざーっとでいいから毎日入ればいいのに、あんたは局所的に潔癖にしようとする
タイプなんだよ」
「なんだよ、そりゃあ」
「要するに豚のきれい好き、って感じかな、ヒヒッ」
「なんだよ、そりゃあ。つーかおめー、朝から豚、豚、うるせーな」
「興奮するなよ、ヒヒッ」
 加藤は分厚い緑のレンズの向こうで細い目を見開いて、ヒヒッと笑っていた。

 台車を転がして出荷場に行ったら、神本梱包の事務所のガラスの向こうに所長が
船を漕いでいるのが見えた。
 ふと、加藤がいかにいい加減かを相談してみるかと思ったが、全く頓珍漢な事だ
と気付く。
 あの梱包屋は、レインボーに口座を貸して、口座使用料として数%をピンはねし
ているだけなのだ。本屋のマージン取りみたいなものか。
 突然、昔、笹塚のセブンイレブンで買った折りたたみ傘が開けた瞬間にバラバラ
になったので帰りに調布のセブンイレブンに文句を言いに行ったら、えらい威勢の
いい店長で「そんなもの、ロサンゼルスのポロショップで買ったポロシャツを東京
のポロショップで返品する様なものだ」と逆に怒鳴られたのを思い出した。
 こうやって昔の悔しい思い出でを思い出す時っていうのは、脳がかなり沸点に近
づいているんだよな。誰かに相談しないと。

 出荷が終わった後は、一服の時間なのだが、俺は禁煙してしまったので、加藤だ
け工場一階の喫煙所にやった。俺は一人で出荷場の隣の社食に行くと、自販機コー
ナーで、紙コップの粉っぽいコーヒーを飲んだ。
 それから二つ折り携帯を取り出してメールを打ち出した。

 To akiko_takahashi@rainbow_tool.co.jp
 Sub 一緒に働いている他社派遣社員について
 レインボースタッフ殿 高橋亜希子様
 お世話になっています。
 現在一緒に働いているグッドウィル派遣社員が不真面目で困っています。
 電源ケーブルをカメラにネジ止めする作業があるのですが、いい加減です。
 電源ケーブルですから、現地で漏電事故が起こる可能性もあるのに、関係ないと
言います。
 結局、彼には仕事を任せられず 小職が一人でやっている状態です。
 というか、私の真面目さを利用してサボっているのでは、とさえ感じます。
 現場には上長が居ないので誰にも相談出来ません。
 神本の所長に言ったところで無理だと思います。
 レインボー殿から、神本かT芝に言ってもらえないでしょうか。
 よろしくお願い致します。

 俺の担当は、今年大学を出たばかりの女子なので、あんまり言いたくはなかった
のだが。しかし、トリュフを採る豚なんて言われた日にゃかなわないぞ。炭鉱のカ
ナリアならともかく。
 しかし、その日メールの返事は来なかった。

 翌日になってもメールの返事は来なかった。
 あの女子大生にしてみたら、こんな日野の派遣社員なんてどうでもいいのか。
 とにかく、俺は、今日は公平に作業をしようと思っていた。昨日は俺一人が家畜
になって働いていた感じだからなぁ。
 午前中のカメラに電源ケーブルを付ける作業の前に俺は加藤に言った。
「加藤さんよ、今日は、俺が電源ケーブルを付けるから、加藤さん、ダンボールに
しまってくれる?」
「ああ、いいよ」と加藤は言った。
 そしてそういう役割分担で作業を開始した。
 ダンボールにしまうなど、なんのスキルもいらない単純作業に思えるが、ケーブ
ルを束ねたり、ビニール袋に入れたりして、ちゃんとダンボールの蓋が閉まる様に
格納するのは結構面倒なのだ。そういう肉体的負荷を加藤に与える事で、雰囲気的
に公平になる。
 もっともそういう作業は加藤はいい加減なのだが、別に適当に箱に入れたとして
も、ケーブルさえちゃんと付いていれば品質には問題ないので、俺は気にならなか
った。これも豚の綺麗好きなのか。
 そうやって午前中の作業は公平な感じで終わった。

 昼休みは又かまど屋ののり弁を食った
 加藤は又カレーうどんと稲荷セットで、カレーうどんの汁を全部飲み干すと、お
冷を口に含んで、舌で歯の表面の汚れを落とすと、そのまま飲んでしまった。
 見ていてゲーッとする。

 午後からも、作業の公平を期す事を第一とした。
 営業から回ってきた伝票を真っ二つに分けると、それぞれがやる事にした。こう
するとかえって時間がかかるおだが、お互いの体力の消耗が平等だというのがよい。
あと、加藤は先入れ先出しもしないし、ビンカードにも書いたり書かなかったりで
だらしないのだが、最後にエクセルに打ち込むので、在庫はちゃんと把握出来るの
で、豚の綺麗好き的には満足だった。

 そうやって倉出し作業を終えると、何時もの様に出荷も終える。
 その後、加藤は喫煙所に行き、俺は社食の自販機の所に行った。粉っぽいコー
ヒーを飲みながら、それでも今日は公平に仕事が出来たなぁと満足したのだった。
 しかし、今日はまだやる事があった。今日は水曜で掃除があったのだった。

 休憩の後、倉庫に戻ると掃除を始めた。
 これにも、不公平の無い様に、週ごとのローテーションがあって、どっちが雑巾
がけでどっちが掃除機がけというのが決まっていた。
 今日は加藤が掃除機の日だった。
 俺は、作業台やラックの隙間などを乾拭きしながら、加藤の掃除機がけの様子を
見ていたのだが。なんであんなに適当なんだろう。盲人が杖を突くように、或いは、
富士そばの天ぷらでも割り箸で突く様に、ペタペタペタペタ掃除機のノズルを床に
当てている。あれじゃあ全然吸い取らないだろうが。もっと床面にノズルをすべら
せる様にやらないと。
 俺は、ラックの隙間からジーっと見ていたのだが、とうとう我慢出来ず声を発し
た。
「なんだそのかけ方は。もっとちゃんとやってよ」
「いいんだよ。こんなの適当で」
「適当にやろうがちゃんとやろうが労力は同じなんだから、ちゃんとやってよ」
「だったら来週自分の番になったらちゃんとやれば」
 俺は、雑巾投げ捨て、駆け寄っていくと、掃除機を奪った。「お前、何もやらな
くっていいから漫画でも読んでろ」
 加藤は最初目を見開いてびっくりしていたが、表情を緩めると、
「そんじゃあお願いします」と言って、パイプ椅子を引っ張り出して腰を下ろした。
 マガジンを手にとってめくりだす。

 俺は掃除機をかけだした。パレットの周りではポールをどかして、作業台のとこ
ろではパイプ椅子をどかして。
 加藤は平然と漫画を読んでいやがる。何で手伝わない。お前は漫画でも読んでい
ろ、とは言ったものの、拘置所の掃除みたいに、パイプ椅子をどかすとか、コード
捌きをするとか、手伝ってくれればいいじゃないか。
 俺は加藤の方に迫っていって、掃除機のノズルをパイプ椅子の脚をごんごん当て
て、
「ほらあ、どいてくれよ、せめて邪魔しないでよ」と怒鳴る。
 加藤は、ひょいっと立ち上がって、パイプ椅子を移動させると、そこで又漫画を
読みだした。
 結局、俺一人で、全床面に掃除機をかけた。
 やっとこ終わると、へたばって、作業台のパイプ椅子に腰を下ろす。
 フェイスタオルで顔を拭う。
 おもむろにマガジンから顔を上げると、加藤が言った。
「あんたを見ていると死んだ女房を思い出すよ」
「は?」
「いや、俺の死んだ女房は世話焼きでさあ…」加藤は喋った。
「あいつは世話焼きでさぁ。
 俺の酒の肴のコレステロールが高いだの、小便が臭いから糖尿じゃないかだのと、
口から入るものからちんこから出るものまで、色々世話を焼くんだよ。もちろん口
からちんこの間のその他色々に関してもね。
 そして、さんざん世話を焼いておいて、突然キレるんだよ。自分は利用されてい
るーって。
 そのキレ方が半端じゃなくて、向こうの親まで巻き込んで騒ぎ出すので、もうカ
ウンセリングを受けろって話になったんだよ。
 そうしたら、嗜癖だって言うんだよ。
 嗜癖って知っている?
 嗜癖っていうのはね、例えば出汁ってあるだろう、ああいうのは豚骨とか昆布と
か、何かを煮詰めて出てくるものだろう。だけれども、味塩だけを舐める女がいる
んだよ。そういうのを嗜癖って言うんだけれども。
 セックスでも同じでさぁ、映画を見たり食事をしたり、色々な事があって、そう
いうのの一部、というか結果として、セックスあるんだけれども、セックスだけを
求めてくる奴がいるんだよ。セックスを嗜癖にしているんだよ。そういう奴はやた
らと回数をやりたがる。2回やらせろと迫って行ったり。そういうのはセックス依
存症だな。
 まぁ、そういう感じで、俺に関しても、食う寝る遊ぶがあって、俺のダメな所も
あるのに、俺のダメな所だけに注目してくるんだよ。
 そういう感じで俺のダメな所を嗜癖にしている、って言うんだな。
 なんでそんな事するんだろう。不思議だと思わない?
 カウンセラーによれば、自分に自信がないからだって言っていたよ。自分に自信
があれば、愛されて当然と思うから、どーんと俺にぶつかって来るんだけど。自信
が無いもんだから、何か自分を必要とする相手のだらしなさが必要になってくるん
だよ。
 それはちょうど、非モテがさあ、愛されて当然と相手の体を求めていけないから、
金を払って買春を繰り返す、みたいなものかなあ。
 まぁ俺にしてみれば、女房が俺のダメさをケアしてくれる訳だから、断る必要も
なく、ますますダメになっていく、女房はますますダメさをケアする、という負の
スパイラルが起こる訳で、これを共依存関係って言うんだよ。
 そしてその内、自分は利用されているのだとキレる。それにそういうのはやっぱ
りストレスになっていたらしくて、最後には乳がんになって死んだけれどもな。
 まぁ、俺には保険金が入ったけれどもな」
 喋るだけ喋ると、自分で勝手に受けて、ヒヒヒッっと笑う。
 こんな上下三白眼の鶏男にそこまで惚れる女がいるのか、と思う。もっとも加藤
の言う共依存関係とかいう理屈で行けば、ダメさがあるからこそ惹かれて行く訳だ
が。だめんず・うぉ〜か〜、みたいなものか。
 加藤と女房の関係は知らないが、俺と加藤が共依存関係だなんてあり得ない。俺
が加藤を求める訳がない。俺がこの鶏男に惹かれる訳がない。即にでもチェンジし
て貰いたいんだよ。俺はただ公平でありさえすればいいと思っているのだ。
 しかし、加藤の方では、こっちを共依存関係とやらと思っている訳だな。この野
郎、確信犯だな。







#1084/1158 ●連載    *** コメント #1083 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:19  (456)
【純文学】今夜一緒にいてーな 3
★内容                                         17/04/06 13:54 修正 第2版

 その日も又メールを打った。
 To akiko_takahashi@rainbow_tool.co.jp
 Sub グッドウィル社員に関して
 レインボースタッフ殿 高橋亜希子様
 お世話になっています。
 昨日、業務に関して、グッド社員がいい加減だと相談しましたが、
 業務以外にも、掃除などに関してもいい加減で困っています。
 わざといい加減にして、こっちが見るに見かねて手助けするのを待っている感じ
です。
 その事でこっちがストレスを感じてるのも知っています。
 実際結構ストレスが溜まっています。
 どうにかしていただけないでしょうか。

 差出人:akiko_takahashi@rainbow_tool.co.jp
 件名:他社様スタッフに関して
 受信日時:2004/12/08 21:07
 有田様
 毎々お世話になっております。
 忙しくてなかなかそちらにも回れず申し訳ありません。
 近い内に訪問する予定があるので、表題の件神本様に相談してみたいと思います。
 ただ、個人的に思うのは、掃除まで言うのは箸の上げ下げかなーって気もします。
 人間が違うので、有田さんの手足の様には動いてくれないと思いますよ。
 犬だって真っ直ぐ歩かせるのは一苦労でしょう。
 とにかく憎らしがったら人間関係は上手くいきませんよ
 少しおおらかに、気楽に付き合ってみてはいかがでしょうか。

 次の日の朝は、初霜が降りていた。
 携帯工場の前の芝生も真っ白でグッドウィルの派遣社員は休憩していなかった。
 出荷場の奥の神本でタイムカードを押す。
 社食の脇を通り抜けて、工場に向かう。
 一階の軒下の男子トイレと喫煙所をスルーして、防火扉の前を横切って階段に上
ろうとしたら、なんと、その手前のパートタイマー用タイムカードを乗っけた台の
下に、猫の糞を発見してしまった。寒いので湯気が立っている。
 こんなの踏まれたら、この建物中、猫の糞の足あとが付くぞ。どうしたものか、
と腕組みをして、ジーっと見ていた。
 三々五々出勤してきて打刻するパートさんに、「あ、そこ、猫のフンがあります
から。踏まないで」などと注意喚起しつつ。
 やがて、加藤が来た。
「おい、そこに猫の糞がある」
「だから?」
「どうにかしないと」
「は? なんでおルぇが」と巻き舌で言ってきたが、すぐに諦めた様に溜息をつく
と、さっさと階段を上がって行ってしまった。
 俺は、男子トイレからペーパーを取ってくると、ナマコでも摘む様な手触りを感
じつつ糞を摘んで、大便所まで持って行って流した。
 ホースを引っ張ってきて床にこびりついた糞を洗い流す。
 しかも、流した水が薄氷となって通路の上に固まったので、誰かがすってんころ
りんするんじゃないかとしばらく見ていた。
 日が差してきたのでその場を去ったが。

 倉庫に行くと、元はオフィスだったので、既に暖房が効いていた。
 加藤がぬくぬくと、パイプ椅子にふんぞり返ってマガジンを読んでいた。
「おい。そっちは平気で座っているけれども、あの猫の糞があのままだったら、こ
こらへんにも、ニオイが広がったかも知れないんだよ」
「それ、俺に関係があるの?」
「関係あるでしょう。そんな事になっていたら、そっちだってそうやって呑気に漫
画なんて読んでいられないんだから」
「だからって何で俺が掃除するんだよ。この建物には二百人も居るんだぜ」
「じゃあ、ここらへんが、猫の糞の足あとだらけになっていたらどうしていたんだ
よ」
「そうなる前に誰か気が付いて、始末してくれたんじゃない?」
「誰が」
「だから、俺の亡妻とかあんたみたいな気にし屋が」
「は?」
「あんたは、自分に自信がなーい」突然、加藤が言った。「そういうあんたがこの
世界に居場所を見付けようとしたら、世界のダメな所を見付けるしかないんだよ。
それが猫の糞なんだよ。そうやって世界のダメさにつけ込んで、世界に居座るんだ
よ」と言うと、マガジンに目を落とした。
 何言ってんだこいつ、と呆気にとられた。
 しかし俺も椅子に腰を下ろした。
 …俺が、自分に自信がないからって、世界のダメさにつけ込むだって? 奇妙奇
天烈な事を言う奴だよなあ。
 俺が猫の糞が気になるのはそういう感じではない。それは、例えば、ちゃんと手
を洗わないで料理をしたらバイ菌が増殖していく、みたいな不潔恐怖に近い感じだ。
あと、電源ケーブルをちゃんと付けないと地方のコンビニで火事がおきるというの
は、自分の部屋のガス栓を閉めてきたっけ、という強迫神経症みたいな感じだ。
 そして、そういう作業を公平にやらなくちゃいけない、というのは、フロイト博
士の快感原則と涅槃原則で説明出来る。
 人間には快感原則と涅槃原則があって、人間関係が上手く行っている時には快感
原則だが、しくじると涅槃原則に陥って厳密な事を言い出す、という説明だ。
 涅槃というのは、原子の世界だから、幾何学的な秩序があって、手書きのビン
カードではなくてPCのエクセル、みたいな感じなのだが。
 快感原則というのは男女の関係みたいな肉と肉の関係で、有機体的な関係で、結
構適当なものだと思うのだが。
 でも俺みたいに非モテだと、そういう人間関係を上手くキープ出来ないから、つ
い厳密になってしまって、「2回って約束したじゃないか」となる。つまり快感原
則に涅槃原則が入り込む。
 仕事に関しても全てを公平にしないと我慢出来なくなる。
 しかし、ここって、会社だよな。家族でも恋人でもない雇用関係の場だよな。だ
ったら、厳密でいいんじゃないの? 涅槃原則でいいんじゃないの?
 涅槃原則の世界なのだから、それを取り仕切る人が必要だ。
 厳密さを取り仕切る上司がいないのが問題なんじゃないのか。上司さえいれば何
の問題も起こらないんじゃないのか。
「おい」と俺は加藤に言った。「分かったよ」
「何が?」
「上司がいないのが問題なんだよ。上司がいてちゃんと指示してくれれば、そっち
ともそんなに揉めなくて済むんだよ」
「あんた、おかしいんじゃねーの。二重ピンハネされている上に上司にこき使われ
たいなんて、マゾヒストかよ。或いは奴隷だな。奴隷はご主人様に命令されると喜
ぶっていうからな」
「ちがーう。俺が言っているのは、赤木の言っているみたいな、"国民全員が苦し
む平等"を実現する鬼軍曹みたいな上司なんだよ。ソクラテスだって悪平等が人間
にとって良い事だと言っているじゃないか」
「まぁまぁ、興奮するなよ、ヒヒッ、ヒヒッ」
 加藤は、緑のグラスの奥で上下三白眼を見開いて、ヒヒッと笑った。

 誰も居ない午前中の社食の自販機の前で、俺はメールを打った。
 To akiko_takahashi@rainbow_tool.co.jp
 Sub グッドウィル社員に関して(3回目)
 レインボースタッフ殿 高橋亜希子様
 一昨日より、他社派遣社員加藤に関して、仕事がいい加減、掃除がいい加減とい
う事をメールしました。
 そしてそれを小生がフォローしなければならないという事も書きました。
 更に、向こうは人のいいのにつけ込んで、こっちにやらせている感じがある事も
言いました。
 (更に、今日は、猫の糞の始末までしました)。
 そういう事に関して、高橋さんは、おおらかに付き合えとおっしゃいますが。
 しかし考えてみれば、私は契約社員としてここにいるのですから、友達とか家族
みたいに、おおらかに付き合う必要もないのではないかと思います。
 そして契約なのですから、ちゃんと履行されているかどうかをチェックする人、
つまり上司がいなくちゃいけないのではないでしょうか。
 そういう人が居ないのが諸悪の根源ではないでしょうか。
 そもそも、使用者が居ない職場に派遣するというのは、偽装請負にも絡んでくる
と思いますが。
 そこらへんは派遣元としてどう考えているのでしょうか。
 実際に、そういう職場で苦労しているスタッフがいる、という現実を忘れないで
下さい。

 昼休み、社食でかまど屋ののり弁を食っていたら、携帯が震えた。
「もしもし?」
「レインボーの高橋ですけれども。今大丈夫ですか?」
 偽装請負なんて言ったから慌てて電話してきたんじゃあないのか。
「大丈夫ですけど」
「今日、そちらに伺いたいと思うんですけど、定時後、有田さん、時間あります
か?」
「えっ。今日、神本の所長、居なかったですよ。入れないかも…」
「いえ、たまには様子を見てみたいので。外からでも。それに話しておきたい事も
あるんですよ」
「え、なんですか?」
「それは会った時に…。豊田駅のドトールに5時半頃、来られますか?」
「そのぐらいだったらちょうどいいと思いますけど」


 3

 定時後、車は駐車場に置きっ放しにして、T芝のバスで豊田駅まで行った。
 ドトールの入り口の所に、高橋さんは立っていた。
 黒いスーツに、インナーはひらひらの一杯ついたブラウスを着ている。ちょっと
見シミーズみたいに見える。素人の着ているものって、全然分からない。手にはダ
ウンのコートをぶら下げていた。
 店に入って行くと、「あれ、有田さん、車で通っているんですか?」と俺のナリ
を見て言ってきた。
 作業着の上に化繊ダウンで、スポーツバッグをたすき掛けに掛けていたので。
「電車ですよ。今、T芝のバスで来たんですよ」
「凄いですねぇ、作業着で通勤ですか。じゃあ、ドリンク注文しましょうか。有田
さん、何にします?」
「じゃあ、ホットで」
「じゃあ、ホットとエスプレッソ」とカウンターの店員に言った。
 高橋さんが金を払った。レシートを貰っていたから会社から銭は出るんだろう。
 高橋さんは、左手にトートバッグとコートを持ったまま、右手にコーヒーの乗っ
たトレイを持って、操り人形みたいによろよろと椅子の間をすり抜けて行った。
 タイトなスカートにヒールを見ていると、女の人って締め付けられているんだな
ぁと思う。
 席につくと、とりあえず、コーヒーにミルクと砂糖を入れてかき回す。
「お仕事色々大変みたいですね」
「あー、すみませんね。色々メールで愚痴っちゃって」
「どんな感じなんですか?」
「それがですね…」俺はメールに書いた事を蒸し返した。
 …とにかく、グッドの加藤がいい加減で、カメラの電源ケーブルの取り付けとな
ども全くいい加減で、それで現地で火を吹いても平気だと言っている。
 結局、心配性のこっちがやってやっているが、そういう私の性質を、レインボー
も神本も利用していて、それは、豚の習性を利用してトリュフを採る様なものだと
言っている。豚ですよ、豚。
 それだけじゃなくて、掃除とかもいい加減で、それも、こっちが見るに見かねて
手を出すのを知っていてやっている。共依存関係なぞと言っていた。こっちが自分
に自信がないから相手のダメなところを見付けて、居場所を見付けるのだ、とか。
それと同じ方法で、女房を酷使して殺して保険金を手に入れたと言っていた。
 他にも猫の糞を見て見ぬふりをするというのもある。
 そんな奴と仲良くやれと言われても困る。あいつは友達でも家族でもないし、あ
くまで業務でやっているんだから。
 誰か上長がいて、指示を出してくれれば、こんなに揉めないと思うのだが…
「神本はただのマージン取りだから相談出来ないし、高橋さんがT芝に文句を言え
るって立場でもないんでしょう?」
「そうそう、その事で言っておきたい事があったんですけど」と高橋さんが言った。
「今、レインボー、神本って二重派遣になっていますよね。それがなくなるかも知
れないんです。いや、なくなりますね」
「そりゃ又どうして」
「実はですね」と高橋さんは説明してくれた。
 某大手家電量販店で二重派遣があって、ああいう所は、耳にトランシーバーをつ
けさせられて、白物家電に行け、黒物家電に行け、そのテレビは幾らまでまけてい
い、とか、バックヤードから正社員が指図して、もう、コントローラーで動かされ
るゲームキャラみたいにこき使われるので、ノイローゼになったとか、派遣元から
暴力をふるわれたとか。
 別に二重派遣だからそうなった訳ではなくて、派遣元がこわーい会社だったのか
も知れないけど…。
「とにかくその煽りを受けて、うちも二重派遣は原則しないって事になったんで
す」
 なんでそんな事を俺に聞かせるんだろう。日野工場はまだまだマシだとでも言い
たいのだろうか。
「じゃあ、神本が派遣元になるんですか? それともレインボーから直接T芝に派
遣されるんですか?」
「現状、なんとも言えないんですが。でも、レインボー、T芝だったら、現場でト
ラブルがあっても、こっちからもT芝さんの主任などに言ってあげられるんですけ
どね」
「だったら、レインボー、T芝でお願いしたいなぁ」
 俺は梱包場の奥の事務所でふんぞり返っている元暴走族の所長を連想した。
「あの所長は気に入らないんですよ。机のビニールの下にシャコタンの車の写真と
か入れているし。あと子供の七五三の時の写真とか、沖縄の成人式みたいだし。あ
りゃあdqnですよ。あんなのに使われるぐらいだったら辞めますね。…つーか、
私でも生産管理の主任とか購買の担当者とか知っている人がいるから、私からお願
いしてみましょうか」
「えー、有田さんにそんな事出来るんですか。でもいいですよ、そんな事してくれ
なくって。あっ、でも人脈の情報だけはお願いします」
 そういえばレインボーのスタッフの心得にも、派遣先のキーパーソンを見付けて
レインボーに報告、とか書いてあった。
 高橋さんはエスプレッソのカップを薄い唇に付けた。ゴクリと飲み込む。そして
上唇についた泡をピンクの舌の先っぽでぺろりと舐めた。
 見た感じ、綾瀬はるかに似ていて、真面目な感じ。あのファッションヘルスのす
れっからしとは大違い。
 高橋さんはカップを皿に戻すと大きく溜息を付いた。
「疲れませんか?」突然聞いた。
「疲れますね。もう、脚とかパンパン」
「高橋さんって、どこらへんまで回っているんですか?」
「多摩地区は吉祥寺、三鷹辺りから日野、八王子までですね。東西は南武線の鹿島
田辺りから、西は北朝霞辺りまで」
 レインボースタッフは元々は地域密着型の派遣会社だったのだが、今では吉祥寺
にも事務所を構えて、テリトリーを拡大していた。
「どこに住んでいるの?」
「八王子の寺田町」
「へー、じゃあ、私のアパートの近くだ。北野なんですけどね。何でまた寺田なん
かに」
「大学の関係で」
「法政?」
「いえ、家政学院大学というのがあるんです。小さい大学なんですけど」
「引っ越しすればいいのに」
「まだ一年目だし」と高橋さんは言った。
 そういえば、リクルートスーツみたいな感じがする。
 高橋さんは又エスプレッソに口を付けた。
 この人もこき使われているんじゃないか、と思う。でも、今はくつろいでいるに
違いない。今も仕事の延長で、ビジネスライクに済ませる積りだったら、適当に
「ブレンド」とかを飲む筈だ。それをわざわざエスプレッソなんて好きなものを頼
むのは、おざなりに済ませようっていうんじゃなくて、くつろぎの時間を俺と共有
しているんじゃないのか。
「そうだ」と言うと、高橋さんはバックからシステム手帳を出して、ページの間か
らチケットの様なものを取り出した。
「これ、今日の明日で急なんですけど」
 言うと、何やら黒地に赤青黄色で印刷されたチケットをテーブルの上を滑らせて
きた。
『レインボー多摩地区クリスマスパーティー&忘年会 ハウス・テクノナイト D
J名無し 12/17FRI 17:30〜23:00』
「本当は6ケ月以上在籍した人対象なんですけれども、有田さんももうすぐ半年に
なるし、よかったらどうですか?」
「いやー、こういうお洒落なのは」
「全然お洒落じゃないですよ。多摩地区の集まりですから。みんな普段着で来るし。
作業着じゃあこないけど」
「高橋さんも行くんですか?」
「そりゃあ私はホストというか」
「ふーん、面白そうだなあ」
「ぜひ来てくださいよ。ストレス解消にもなるし」
「そうですね」

 結局今日の用事は二重派遣解消の事と吉祥寺のクラブのお誘いか。
 ドトールから出ると、「それじゃあ明日吉祥寺で」と小さく手を振って、高橋さ
んは豊田駅方面に消えていった。
 俺は、夕食を買っていくから、と言って、その場で別れたのだが。しかし、車は
置いていっても、北野まで電車とバスでご一緒した方がよかったか。いやいや、あ
んまり長い時間一緒にいて白けてしまったら元も子もないない。短時間で複数回盛
り上がった方が好印象を与えるんじゃないか。

 アパートに帰ると即厚木に電話した。
「吉報だよ、吉報」
「なに?」
「派遣元の女と喫茶店に行ったんだけれども、俺の目の前でエスプレッソの泡を舐
めたんだよね」
「ほんとかよ、すげーな」
「しかも明日は、クラブでのイベントに誘われたんだよね」
「だったらやっちゃっていいんじゃないの?」
「えー」
「だって2回だろ。普通2回誘われたら、もうOKだぜ」
「しかし、両方とも仕事絡みだしなあ。事務所がないから喫茶店で話しただけだし。
それにクラブのイベントは忘年会みたいなものだし」
「うちの会社でも社内恋愛なんて、大抵は二人っきりで残業して、とかなんだぜ」
「へー」
「それに、これ見よがしに泡を舐めたなんていうのは、サインを送っているんじゃ
ないの? 女は絶対にやらせるとは言わないからなぁ」
「そうだよなあ。劇場の女だってそうだものねえ」
「まして、素人の女だったら、絶対にやっていいとは言わないからな。もう、本当
に森本レオ並の図々しさで迫っていかないと永久に素人童貞だぞ」
 森本レオ? 何故か脳裏に高橋源一郎の顔が浮かぶ。
「何で、強引に行けないのかなあ…」と俺は呟いた。
「そりゃあ、俺達はさ、病める時も健やかなる時も死が二人を分かつまで、という
感じにはなれないからなぁ」
 これは、病める時の自分になんて何の価値も無い、だから前金で払って…、とい
うんじゃない。病める時も健やかなる時も、という変化がダメなのだ。常に病んで
いるのなら、それなりの女を探す事が出来る。つまり原子の様に自分の状態が固定
していればいいのだ。そういうのがアフラックの契約とか2回やらせろ、なんだけ
ど…。
「厚木くん、この前、2回やらせる店とか教えてくれたけれども、酷い目にあった
よ」
 俺は、これこれこういう訳でやらせなかった、という顛末を語った。
「いや、その時だって強引にいきゃあ、やらせてくれたんじゃないの?」
「うーん」
「素人だったらますます強引に行かないとダメだぞ。
 こうすればいいんじゃない? 現地解散ならNGだが、そうでなければOKで。
明らかにOKだろう。現地解散じゃなくてどっかに行くんだったら。そう思わな
い?」
「そうだよなあ」


 4

 翌日、加藤とは一言も喋らないで、業務をこなした。
 定時になったら、すぐに4階のロッカーに行って、体中をギャッツビーのウェッ
トティッシュでごしごしやった。
 シャツは、黒いサテンのデザインシャツで、お兄系というかホストとかバーテン
みたいな感じ。
 仕上げに、昔ドンキで買ったジバンシー、ウルトラマンを脇の下だの頸動脈だの
に噴霧すると、ジャケットを羽織った。
 背後で、「おっ、デートかあ」というオッサンの正社員の声がしたが、答えない
で、キシリトールのガムを口に放り込んだ。
「お先にっ」

 この時間帯、上り線は空いていた。
 裏道を通って、新奥多摩街道に出るとすぐに甲州街道に至る。府中付近で東八道
路に入って、多磨霊園を超えれば三鷹周辺はすぐだった。
 吉祥寺通りに入ると、だんだん気分が高揚してきて、多分こんな曲がかかるんじ
ゃないかなーと思って、劇場のハウス・ミュージック掛けた。♪ライト・イン・
ザ・ナーイと
 吉祥寺の街に入ると多少道が混んできて、俺はゆっくりと流した。丸で地元を流
すジモティーの様に。
 ショップのショーウィンドウや歩道を歩くお洒落な女達が、シートにふんぞり返
っている自分の目線の高さで流れて行く。 
 雨がポツポツ降ってきた。街路樹や街灯にはクリスマスのLEDが蔦のように絡
まっていて、フロントグラスの油膜に滲む。
 俺は更に興奮して、カーステのボリュームを上げるとハンドルを叩きながら運転
した。
 やがて右手にターゲットと思しき、虎マークみたいな黄色地に黒でロゴの描かれ
た看板を発見する。あの近所だったな。
 吉祥寺通りが五日市街道にぶつかったら、クランク状に周って戻って来る。
 反対側のパーキングビルに車を突っ込んだ。
 街に出ると、やっぱり学生が多い感じ。あちこちに男女がたむろっていて、どこ
の居酒屋に入ろうか相談している。
 ティッシュやピンクチラシを配っているあんちゃんもいた。
 人々の間をスケボーに乗った男が高速で走り抜けていった。カラカラカラーっと
いうローラーの音がアーケードにこだました。
 すぐに目的のビルは見付かった。
 ビルに入って、目的の階でエレベータを降りる。
 もぎりの店員は一瞬俺の顔を見て怪訝な表情を浮かべる。しかし、チケットを出
すと、にーっと笑って、入り口に向けて、いらっしゃ〜いのポーズをして招き入れ
る。

 一歩中に入ると、既に宴たけなわで、暗闇の中ミラーボールがクルクル回ってい
て、ハウス・ミュージックがガンガンに鳴り響いていて、ミニスカの女子がカウン
ターの上で踊っていた。
 劇場のチープなスピーカーと違って、天井のあちこちにBOSEのスピーカーが
ぶら下がっていて、フロアの角には冷蔵庫ぐらいのJBLが設置してあって、Ru
nーD.M.C Like Thatみたいな曲が、どんどん地響きの様に響いて
くる
 俺は雰囲気に圧倒されて、壁にへばりついた。
 と、フロアの群衆の中から、高橋さんが現れた。ブカブカのカーゴパンツにTシ
ャツといういでたち。
「きていたんですか」
「えー?」
「きていたんですかー」と耳元で怒鳴る。
「あー、今」
「もう、ビンゴ大会とかイントロ当てクイズが終わっちゃったんですよー」
「あー、そーうですか」
「ドリンクは?」
「えー?」
「ドリンクっ」
「ジンジャエールでも」
「飲まないんですか?」
「下戸なんですよ」
 高橋さんは、バーカウンターに行くと、マッチョな外人からジンジャエールと自
分用の瓶ビールを貰って戻ってきた。
 ビールの飲み口には火炎瓶の様に何かが突っ込んであるのだが、あそこからチ
ューチュー吸うのかと思ったら、それはレモンで、瓶の中に押し込んで飲むのだっ
た。
 とりあえず瓶をぶつけ合って、かんぱ〜い。
 そしてビールをカウンターに置くと、
「踊りましょうーよ」と言ってきた。
「いやー 踊り方が分からない」
「ほら、こうやって、音楽に合わせて体を動かせばいいんですよ」と言って両手を
取って揺すってくれる。
 そうやって、ノリノリで体を揺すりながら、くるくる回る。
 暗いので視線は気にならなかった。音楽がガンガンにかかっているので、踊りな
がらも繭の中に居る感じ。
 ライトが胸元にあたると、体の曲線が分かるのだが、のぞき部屋で覗いているよ
うな感覚。
 しかし、くるくる回ったら、群衆の中に誰かを見付けたらしく、
「ちょっと、あっち行ってきますねー」と言って、フロアの群衆の中に混ざってい
ってしまった。
 俺は手をにぎにぎして、感触を反芻した。素人の手って、カサカサしていなくて
しっとりと柔らかい。他の部分もしっとりしているんだろうなぁ。おっぱいとか、
陰部とか…と想像していたらにわかに勃起してきた。
 やばいと思って、顔を上げる。
 踊る人の群れは、踊るというよりかは、神輿でも担いでいる様に、全員で上下に
身を揺らしていた。
 音楽もハウスからトランスに変わっていて、音楽というよりかはサイレンか雷鳴
に近い感じ。
 場内真っ暗で、ストロボがチカチカしていた。踊る群衆のスケルトンがコマ送り
の様に浮き出る。
 しばらく見ていたが、見ていても面白くないし、いくら劇場で鍛えているとは言
っても、耳が痛くなってきた。
 ドリンクがなくなったところで、とりあえず退避。

 ロビーに出てきてもまだもモワ〜ンと耳鳴りがしていた。
 これじゃあ口説くどころじゃないな。クラブっていうのはひたすら踊るところな
んだなあ。
 しかし、廊下の壁に背を付けて見ていると、カップルになった男女が連れ添って
出てくる。
 あの大音響の中でどうやってひっかけたんだろう。それとも最初っから出来てい
たのか。
 そして、エレベータで降りて行く。
 時計を見ると、9時だった。
 どうすっかな、もう帰ろうかなぁ、と思案していたら、ダウンのコートを着た彼
女が出てきた。
「あれ、有田さんこんなところにいたんですか?」
「いやあ、中はうるさくて。もう帰るんですか?」
「9時からは、フリータイムだから」
「僕も帰ろうかなぁ」
「コートは?」
「車で来たんですよ」
 エレベータに乗ると気まずい雰囲気に包まれた。
「まさか会社にも車で通っている訳じゃないですよね」
「いやあ、今日は雨だったから」
 通りに出ると「雨、ふってないかなぁ」と独り言の様に言って、手のひらをかざ
した。
「送っていってあげようか」
「えー」とこっちを見ないで言うと、さっさと駅の方に歩き出した。
「どうやって帰るんですか?」
「西八からバス」
「西八から寺田までバスっていうのは信じられないなぁ」
 俺は丸でキャッチセールスの様に横にべったりとくっついて行った。嫌がられて
いるんじゃないかと思う。そっちはそっちで帰って下さい、と言われる前に自分か
ら引き下がった方がいいかも。いやいや、それがいけないんだよ。
 ところが、ロフトの少し先の雑居ビル入り口で、何やら揉め事が起こっていて、
2、30人の群衆が車道にまではみ出していた。その周りを、赤のトレーナーに赤
のベレー帽の集団が数珠つなぎに囲んでいたので、群衆が目立って見えたのだが。
「あれ、ガーディアン・エンジェルスじゃないの」
「えっ。あ、そうだ。何かあったんですかね」と高橋さんはトークしてきた。
 真ん中の方で揉めているらしく、その周りで押しくらまんじゅうの様に人が群れ
ていて、更にその周りをガーディアン・エンジェルスが取り囲んでいる。
「ちょっと見に行ってみようか」
「いや、止めた方がいいですよぉ。あっち側から行きましょうよ」と反対側の歩道
を指差す。
 そしてなんとなく共同歩調みたいな感じになって、二人して道路を渡って行った。
「やっぱ、物騒だから、送っていってあげようか」
「えー」
「だってどうせ僕、北野まで帰るんだし」
「じゃあ」








#1085/1158 ●連載    *** コメント #1084 ***
★タイトル (sab     )  17/03/18  18:19  (281)
【純文学】今夜一緒にいてーな 4
★内容                                         17/04/06 13:54 修正 第2版
 人気のないパーキングビルでは、靴音さえこだました。
 高橋さんが助手席に乗ってドアを閉めると、ドスンという音が駐車場に響いた。
 何時もの癖で、ドアロックすると、集中ドアロックなので全部のドアがロックさ
れた。
 高橋さんの緊張が伝わってくる。
「シートベルトしてもらえます?」
 あくまでも安全上の配慮だ、という雰囲気を醸し出す。
 そしてエンジンをかけると、いきなり、♪ライト・イン・ザ・ナーイと、と鳴り
響いた。
 慌てて、カーステのスイッチをオフにする。
「こんなの聞いているんですか?」
「いやいや、これはね、この前妹に車を貸した時に入れられたんですよ」
 立体駐車場のコーナーをきゅきゅーっとタイヤを鳴らしながら下りて行った。
 五日市街道から吉祥寺通りに入ると、さっきのロフトが見えた。
「もう一回さっきの騒ぎ、見に行ってみましょうか」
「いいですよ、君子危うきに近寄らずで」
「そうですね。それにしてもガーディアン・エンジェルスは気に入らないな」
「え? なんで?」
「前にテレビで見たんですけれどもね。あいつら、電柱にテレクラのちらしを張っ
ている様なひ弱な奴を捕まえて、あなたを逮捕します、私人による現行犯逮捕です、
あなた、逮捕されているんですよ、分かってます? 逮捕されているんですよ、と
か。逆にはめてやりたいね」
「え? どうやって」
「そりゃあ、なんかで挑発して、相手に襟首を掴ませて、お前今これやっただろう、
って自分で襟首を摘んで見せるんですよ。
 そんで、今から警察呼ぶからな、やっていないなんて言うなよな、これは傷害罪
じゃなくて暴行罪だからな、こっちが怪我していなくっても罪になるんだからな、
って。
 警察のカウンターでお巡りの襟首を掴んだら即逮捕だろう、一般人同士だって同
じ事が言えるんだからな、って」
「でも、ガーディアン・エンジェルスだって法律をよく勉強しているだろうから、
そんな簡単に襟首を掴んでこないんじゃないですか?」
「いやあ、人間、興奮させれば襟首ぐらい」
「ふーん。襟首を持たせるっていうよりか、美人局みたいな感じですね。最後に本
性を見せるって感じで」
 すぐに車は東八道路に入っていた。喧騒を抜けて、静かな夜の闇に潜り込んでい
く感じ。
「そういえば」と高橋さんは思い出した様に言った。「つい先月、事務所にあった
スポーツ新聞で見たんですけどね。元国家好委員長が警察に逮捕されたんですよ。
 その政治家が渋谷のセンター街にいたんですよ。それで、なんで昼間っから60
のじじいがセンター街にいるんだ、若い格好して、Gパンなんて履いて、って感じ
で。
 そりゃあ本人は、ただモスバーガーのシェイクを飲みたかっただけだ、と言って
いるけれども。
 でも、街には援交女子高生が溢れかえっていて。
 そりゃあ本人はモスバーガーのシェイクを飲みたかっただけだと言っているけど。
 とにかくそれで逮捕されて、署に連れて行かれたんですけど、誰もその人が国家
公安委長だって気が付かないんですって。課長が出てきても気が付かなくて、副所
長が出てきて初めて、これはもしかして先生じゃありませんか、ってやっと気付い
て。
 やっと気が付いたか、もっと早い段階で気が付かないとダメだ、とか。
 だったらモスバーガーで、自分は国家公安委員長だって言えばいいのに」
「ふーん。水戸黄門みたいな感じ?」
「水戸黄門っていうか、後から本性を出すのはずるいですよね」
 と言うと、あーーーと大あくびをした。
「お疲れの様で」
「そうじゃないです。最近眠れなくて」
「なんか悩みでも?」
「そうじゃないんです。アパートの隣の学生がうるさくて。友達を連れてきて、夜
中の2時3時まで話しているんですよ。毎晩」
「そりゃあ文句を言わないと」
「言いましたよ。管理会社に」
「いやー、直接言わないとダメですよ。私がいっちょ、話つけてやりましょうか」
「いいですよ」
 一瞬、学生って、法政の学生じゃないだろうか、と思った。
 あそこらへん、法政のラグビー部で、天山とか佐々木健介みたいな感じの奴が、
原チャリでビュンビュン走っている。
 あんなのにタックルされたらひとたまりもない。
「もしかして学生って法政とか?」
「多分、トヨタの専門学校生だと思うんですけど」
「専門学校生か。だったら余裕だな」
「いいですよ」
 東八道路が終わると、甲州街道を横切って、京王線の向こうまで南下して行った。
 川崎街道〜北野街道はがらがらで時速60キロぐらいで飛ばす。
 北野、寺田はすぐだった。
 アパートは、寺田団地から崖の下の方まで、いろは坂みたいな坂をくねくねと下
って行ったところにあった。
 とりあえず、ゴミ置き場の前に停車した。
「ここかあ、結構僻地ですね」
「…」
 ギーッとサイドブレーキを引くと、下りて行った。
 アパートは軽量鉄骨造りで、前と後に冬の田んぼがあって、擦り切れたブラシの
様に、刈り取られた後の稲が残っていた。
 アパート内の駐車場に入って行くと、足の裏でじゃりじゃり音がする。
「居るかな」と高橋さん。「居る居る、車があるから」と指差したのは、いかにも
自動車修理工が好みそうなハチロクのトレノ。
「いつもここをガレージがわりにしていじくったり、空吹かししたりしいるんで
す」
「へー、こんなポンコツをねぇ」
 バンパーに足をかけて体重をかけてみる。
「やめて、やめて」と声をひそめつつも激しく言った。
 一階の角部屋がトヨタの部屋で、その隣が高橋さんのだった。
 廊下まで来てもシーンとしている。
「静かですよねえ」
「それが、部屋の中だと響くんですよ」
 言うと、高橋さんは、バッグからキーケースを取り出す。
「それじゃあ、ちょっと散らかってますけど…」
 南京錠の鍵みたいな小さな鍵で玄関ドアを解錠した。
 電気をつけると、右側にユニットバス、左側に小型冷蔵庫、ガスコンロ、流し。
 この台所なんだか廊下なんだか分からない板の間を歩いて行ってドアを開けると
6畳のワンルーム。
 狭い。ジョン・ウェインのセットにでも入った気分になる。
 ベッドはなかった。クローゼットの中に布団があるのか。
「壁、薄そうだね」
 言うと、俺はなんとなく左側の壁に寄り添って、耳をそばだてた。
「話し声が聞こえるね」
「でしょう。今日も友達を連れ込んでいるんだ」
 俺は、いきなり、どーんと壁をぶっ叩いた。
「やめてー」と小声で叫ぶと、高橋さんは制する様に手を広げた。
 壁に耳を付けると、話し声は止んでいた。
 しかししばらくすると又話し出す。
「こりゃあ、やっぱ言ってこないとダメだな」
 俺は、ジャケットの前をはだけて両手をポケットに突っ込むと玄関に向かった。
 高橋さんもオロオロしながら付いて来る。
「手荒な真似はしないで下さいよー」
「そんな事はしませんよ」
 廊下に出ると、隣のチャイムを、きんこん、きんこん、きんこん、と連打する。
そしてどん、どん、どん、とドアを叩く。
 すぐにドアが開いて若造が顔を出した。エグザイル系でもジャニーズ系でもなく
吉本のボケ、又吉みたいな感じか。これだったらいざ武力衝突になっても余裕だろ
う。
「隣のもんだけど」と俺は言った。
「は?」
「うるせえんだけれど」
「すみません」
「すみませんじゃねーよ。おめー、トヨタの学生か?」
「はい」
「誰か来てんのか」
「あ、すみません、レポートがあって…」
「なんで修理工になるのに、レポートがいるんだよ」多少声を荒げた。「ここはト
ヨタの合宿所じゃないんだぞ。トヨタのせいでどれだけみんなが迷惑しているのか
知っているのか」
「えっ」
「名古屋の方じゃあ、トヨタがあるから、外国人労働者が殺人や強盗をやらかして、
みんな迷惑してんだぞ。分かってんのかよ」
「はい」
「二度と人を連れてくんな。今日はいいよ。だけれども金輪際人を連れてくるな。
今度連れてきたらトヨタの学校に電話するからな。近隣住民がとーよーたーのせい
で迷惑してますって。おめーの将来なんて電話一本で真っ暗に出来るんだからな。
分かってんのかよ」
「はい」
「じゃあ、今夜は絶対に喋るなよな」
「はい」
「よし、じゃあ、行こうか」と背後の高橋さんに言うと、俺はズボンに手を突っ込
んでつかつかと踵を返した。
 高橋さんも、あたふたしながら付いて来た。
 ワンルームの部屋に上がり込むと、再度、壁に耳をつけてみる。
「あんな言い方したら私がここに住んでいられなくなるじゃない」高橋さんが言っ
た。
「あんぐらい言ってやってちょうどいいんですよ」
 と言って壁から耳を離して振り向く、と、電灯の傘に頭が触れて、傘が揺れた。
 俺の陰も部屋の壁で大きく揺れている。
 なんとなく部屋全体の雰囲気が変わってしまった。
 俺は高橋さんの瞳をジーっと見詰めた。
 高橋さんも離れたタレ目でこっちを見詰めている。唇を真一文字に結んでいる。
 今しかない、と思った。
「今夜一緒にいてーな」と俺は言った
「えっ」
「今夜一緒にいてーな」
「ええっ」
 俺は一歩踏み出した。
 高橋さんは、後付さると踵を引っ掛けて、テレビと三段ボックスの間に尻もちを
ついた。
「今夜一緒にいてーな」俺は膝を付いてにじり寄って行った。
「いやだ、いやだ」
 嫌よ嫌よも好きのうち、俺は両肩を押さえにかかった
「いやっ」膝を抱える様に小さく丸まる。
「なんで。だって2回も外であっているじゃないか」
「ええ?」
「昨日も今日も一緒だったでしょ」
「それは、仕事でしょう」
「だって、ドトールでエスプレッソ飲んだでしょ。あれはくつろいでいたんじゃな
いの?」
「あの時には疲れていたから、甘いカプチーノが飲みたくて…」
「今夜も手に手を取って踊ってくれたじゃない」
「忘年会じゃない」
「そんな事ないっしょ。今夜一緒にいてーな」俺は更に迫って言った。「今夜一緒
にいてーな」
 高橋さんは「いやー」と頭を抱えて身を捩った。
 三段ボックスが揺れて、ドサドサーっと本が落ちてきた。
『100億稼ぐ仕事術』ホリエモン。『渋谷ではたらく社長の告白』サイバーエー
ジェント社長。
「なんじゃ、こりゃあ」プチプチプチっとこめかみで音がした。「てめー、こんな
もの読んでピンはねの勉強をしていたのか」
「…」
「お前も俺を利用していたんだな。このテレビも、ビデオも、俺からピンはねした
金で買ったんだろう」
「…」
「その上、俺を利用して隣の住人と戦わせた」
「…」
「お前、ピンはねされている人間の気持ちが分かるか。時給1200円でこき使わ
れる人間の気持ちが分かるか」
「…」
「お前に、代償を払わせてやる」
 俺はジャケットを脱ぎ捨てて、黒シャツのボタンを外した。
 その状態で覆いかぶさろうと、女の両肩に手を掛けた。
 女は恨めしい顔でこちらを睨むと、「いやなんです」と言った。
 そして、丸で紋甲イカでも網に乗せたみたいに、ぐにゅ〜っと顔の筋肉を歪ませ
ると、瞼を三日月形に持ち上げて、薄い唇をへの字に結んだ
「えッ、えッ、えッ、ひえ〜〜〜〜ん」と泣く。
 泣きながらも、三日月形の瞼の奥から黒目が恨めしそうにこっちを睨んでいる。
「ひえ〜〜〜〜ん」
 その顔が…。ガキの頃、妹をぶん殴ったら泣きながらこういう顔をして俺を睨ん
でいたな。
 突然俺はしんみりいてしまった。
 俺は、両肩を解放した。
 立ち上がって、電灯の傘の下に突っ立った。
 高橋さんは尚も泣いている。
 俺はシャツのボタンをかけるとジャケットを着た。
 泣くのが終わると、ひくひくしゃくりあげながら高橋さんは言った。
「私、隣の人に文句を言ってなんて頼んでいない。有田さんが勝手に、言ってやる
って買って出てきたんじゃない。
 T芝の主任に話を通すとか言っていた時にも、あれー、この人、自分で前へ前へ
と行く人なのかなぁ、って思ったけど。
 だから、グッドの人だって、勝手に前へ前へと行くって感じてんじゃないの? 
グッドの人が言うみたいに、やっぱり、共依存関係なんじゃないの? 弱みにつけ
込むのは自分に自信がないから、とか思った…」
 涙を擦ると、ずずーっと鼻を吸う。
「とにかく今日は帰って下さい」
「えー」
「帰って」毅然と言うと、高橋さん立ち上がった。
 そして、突然、北斗の拳の突きみたいに、「たーーーたったったっ!」っと突い
てきて、一気に玄関の外まで追い出されてしまった。
 転げ落ちる様に玄関から追い出されると、ドアがバタンとしまって、鍵のかかる
音、チェーンの降ろされる音がする。
 えー、っと一瞬呆気にとられたが、とりあえず、靴をちゃんと履き直す。
 それから合板のドアを見つめて、これで終わりかよ、納得出来ない、と思う。
 俺は、ドアノブに手を掛けようとした。が、突然、やばいんじゃないか、と思え
てきた。
 もしかしたら、サツにでも電話されるんじゃないか。
 俺は魚眼レンズを親指で押さえると、中腰になってドアに耳を当ててみた。
「げーっ、うえーっ」という嘔吐の音がしている。ユニットバスで吐いているのか。
 そんなに俺が嫌いなのか。
 ストレスで吐いただけなんじゃない?
 いやー、やっぱ俺の事が嫌だったんだよ。
 ここまでやられれば、すっきりするわい。こっちに勝ち目はなかったのだから。
チップのあるなしに関わらずただまんにはありつけない、という感じ。
 あー、すっきりした。
 俺はすっきりして、その場から踵を返した。

 田んぼの横の道から、アパートが見下ろせる。
 トヨタの自動車学校に、家政なんとか大学か。貧乏くさいアパート。
 しかしまてよ、と思う。俺は、決して、高橋さんが言うみたいに、自分に自信が
ないから隣の専門学校生を脅かして、その代わりにセックスしよう、みたいな取り
引きをした訳じゃない。
 ただ、上手く行くかも知れないしダメかも知れない、という男女の駆け引きは苦
手なのだけれども。職場での加藤との駆け引きが苦手な様に。
 原子みたいに固定した関係なら、かなり強引な事が出来るんだよ。例えば、本番
まな板ショーみたいにね。
 車に乗り込むとキーを回してエンジンをかけた。
 とりあえず明日からはもう会社には行けないな、と思った。
 辞めるっきゃない。だったら、会社都合にして、即、雇用保険を貰わないと。レ
インボーの事務所に行って大声を出せば、会社都合にしてくれるだろう。しかし、
吉祥寺まで行くには、道も混んでいるし、電車代ももったいないから、原チャリで
行く様かな。
 やっぱり、俺は先に先にと考える癖があるのか。
 つーか、明日は土曜だよなあ。明日は劇場に行かなくっちゃ。忘れていた。俺に
は劇場があった。
 何があったって俺には劇場があるじゃないか。
 あそこでジャンケンに勝ちさえすればただまんにありつけるんだ。
 カーステのスイッチを入れると、ハウス・ミュージックが流れだした。
 ♪ライト・イン・ザ・ナーイと 
   ライト・イン・ザ・ナーイと
 俺はオヤジと一緒に手拍子をしていた。
 ライト室からアナウンスが聞こえてきた。
「はい、ジャンケンよろしくー。なおジャンケンは公正にね。インチキジャンケン
はお断りー」
 俺の心は既に劇場にあった。


【了】














#1086/1158 ●連載    *** コメント #1067 ***
★タイトル (AZA     )  17/05/11  20:51  ( 75)
クルーズに行ってみた2>船に“汽船”なし   永山
★内容
 夕食時のハプニングとしては、母が隣のテーブルのご婦人に突然話し掛けたのには、
びっくりしたです(笑)。いえ、私も少し気になってはいたのですが。
 というのも、そのご婦人、テーブルにお一人だけでしたから。言わずもがなですが、
通常、二人で一室だから二人以上で乗っている人が多いんです。一人というのは珍しい
はず。
 話を伺うと、クルーズ慣れしている方らしく、二人旅の予定が急用で一人になって
も、何ら問題なく参加したと。そういう一人旅がこれで二回目だとも。
 そういえばセイルアウェイパーティにて、男性が一人で、見送りの女性に手を振って
おり、近くにいた女性乗客が男性にご関係を尋ねるのが聞こえたんですが、その返答が
「夫婦」とのこと。え、夫婦別々? というか、妻が一人で行くのならまだ想像が付く
んですが、夫が一人で行くというのはちょっと意外。

 食事を終えたのが18:55くらい。出入り口の付近でメニューをもらって退出。
 20:00からのショーにはまだ時間があるので、部屋に戻ります。母は携帯電話が
つながる内にと電話をして、私はメモ書き。終わってから、船内のショップに行きまし
た。クルーズではあとになるほど商品が品薄になり、中には売り切れてしまう物も出る
そうなので、今の内に物色しておこうかと。
 同じ考えの人は大勢いるようで、四つある店はどこも賑わっていました。とりあえ
ず、価格帯が一番手軽なルブルーで、飛鳥チョコレートをまた買っておこうと見て回り
ましたが、ない! 早くも売り切れたか? そんな訳はなく、どうやら今回のクルーズ
では最初から並べていないようで。恐らく、飛鳥ビールと同じ扱いでは?
 ならばと他のお菓子を当たりますが、この時点では決められず。一部は試食できるん
ですけど、味見しようにも、お腹がいっぱいで食指が動かず(笑)。

 19:45になったので、プロダクションショーの行われるギャラクシーラウンジへ
移動。右手の席に座りました。例によって、飲み物等のオーダーはせず。別料金だし、
そもそも入らないし。
 今夜のプロダクションショーは「CINEMA」。一九五〇年代から九〇年代にかけ
ての名作映画をテーマに、その名画とスクリーンミュージックの数々を、ダンスと歌曲
で魅せていく。
 これも前回乗船時に感じたことと同じになりますが、出演者の皆さんが汗一つかかず
に、およそ四十五分間のショーを乗り切るのがまず凄い。
 ショーの構成は、名画の音楽に乗せて、主に、映画のシーンをなぞるようにダンスで
表現するスタイル。分かり易いところで、「雨に唄えば」「フラッシュダンス」。他
に、「ティファニーで朝食を」や「ラマンチャの男」「荒野の七人」「レミゼラブル」
等々。客層に合わせて古めの映画に重きを置くというようなことはなく、満遍なく選
び、ほぼ均等に時間を割いていたと思います。
 あとは、映画のワンシーンの再現で、そこに新たに登場人物が加わる流れを、客席の
通路を歩いて登場する演出が結構多用されてた。うまくすると、現実から映画の世界に
入り込んだような錯覚を生み出せますね。

 四十五分のショーが終わって、席から立つと足下に傾きを感じる。おお、揺れてる。
観ている間に、船が外海に出たようです。このときは天気が悪いせいだと思っていまし
たが、あとで聞いたところでは、太平洋を行くときはだいたいこんなものみたい。
 とは言え、酔いが回ったみたいふらふらしながら歩くのは疲れる。部屋の前の廊下を
行くときなんて、壁に手をつかねばならないほどでした。
 部屋に入っても、揺れは相変わらず。今回、船首寄りの部屋だったんですが、船の構
造上、船首と船尾の付近がより揺れるんだそうで。
 23:00スタートの夜食まで、色々と見て回るつもりでいましたが、ここに来て母
がダウン。船酔いの症状が出ております。薬の類は持ってきていなかったので、レセプ
ションに置いてある酔い止め薬をもらいに、部屋を飛び出しました。
 が、五十メートルほど行ったところで引き返す。慌てていたため、スリッパのままで
歩いてしまいました。船室に備わってあるスリッパは、飽くまで室内用。パブリックス
ペースはちゃんとした靴じゃないといけません。てことで履き直して、再出発。
 レセプションに辿り着くと、グッスミンなる酔い止め薬が置いてありました。説明書
きを読むと、続けて服用するなら少なくとも四時間は空けるとか、一日四錠までとあり
ましたので、とりあえず四錠をもらって部屋に戻りました。
 早速、母に一錠飲んでもらって、ベッドで横に。服用後、三十分は休むようにとあり
ましたので。

 その間に私は予定を変更し、お風呂をもらうことにしました。もちろん、部屋風呂で
はなく、グランドスパへ。夜、グランドスパで入浴するのは初めてです。グランドスパ
のある12デッキに通じているエレベーターは、後方にある三基のみで、今回の部屋か
らはだいぶ歩かねばなりません。長い長い廊下を歩くのは大変ですが、船旅ではいい運
動になるような気がします。
 グランドスパに入ってみると、この時間帯でも利用者はいました。そんなに多くはな
いけど、朝風呂で入ったときと同じくらい。ちゃっちゃと済ませて、湯船に浸かり、窓
の外を覗いてみますと……やっぱり真っ暗でほとんど何も見えません。わずかに、波立
つ白さが確認できる程度。ま、これはこれで悪くありませんが、やはり明るいときに入
って景色を楽しむのがベターでしょう。
 それよりも驚いたのは、湯船のお湯が前後?に結構大きく揺れてた点。いやー、さん
ふらわあで風呂に入ったとき、よく波立つ湯船だなあと思いましたが、太平洋に出れば
飛鳥Uも同じなんですね。さんふらわあには大変失礼をしました。すみません。

 続く。ではでは。




#1087/1158 ●連載    *** コメント #1086 ***
★タイトル (AZA     )  17/06/07  19:43  ( 50)
クルーズに行ってみた2>夜歩く&夜食う   永山
★内容
 グランドスパを出たのが21:50頃。部屋に戻ると、母は眠っていたので、テレビ
を入れてニュースのチャンネルに合わせて音を消して、あとは乗船記のためのメモ書き
をやってました。
 二十分ほどすると、母が起き出しました。船酔いは多少、回復したとのことですが、
船の揺れ自体は収まってないから、油断できません。一応、「夜食どうする?」と尋ね
たところ、少し考えて「今日はもう休んだ方がいいみたい」とのこと。風呂もグランド
スパはやめて、部屋の風呂を使うことに。前回、室内風呂はシャワーだけで、一度も湯
船に湯を張らなかったため、そのやり方を把握するまでに、やや時間を要したです。
 母が入浴中に、夜食がスタートする23:00になりましたが、さすがに食い気より
も心配する気持ちが強いんで、上がるのを待っていました。上がってから身支度が終わ
り、床に就くのを待って、23:50を過ぎていました。夜食タイムはあと四十分ほど
ですが、ここまで来たら急ぐこともあるまい。お休みなさいを言って、ゆっくり歩いて
5デッキの夜食会場へ。

 廊下を行く間も、ずっと揺れを感じていました。大げさに言えば、壁に手をつきなが
らじゃないと少々不安を覚えるくらい。お酒で酔っ払えっている人は、よりきつかった
のでは? ほんと、日本海側と太平洋側とではこうも差があるのかと驚きです。

 さて、階段を降りきって、フォーシーズンダイニングに到着。
 と、何だか、閑散としてます。前に乗った折は超満員だったんですけど。時間帯がや
や遅いせい? それとも、博多発と横浜発とでは客層が違うのかしらん。横浜港が本拠
地だから、慣れた乗客が多いのかな? “夜食なんて焦って食べなくてもいいよ”的
な。私が入った時点で中にいたお客は3,4組程度。人数にして二桁行ってなかったで
しょう。
 夜食は、紙の形ではメニューがありませんが、出入り口のところに掲げてあるので、
写真を撮っておきました。「きつねうどん」「笹おこわ」「揚げ出し豆腐」をメイン
に、ケーキ、フルーツ、ジュース、コーヒー、紅茶と記してあった……んですが、ケー
キとフルーツは既に全部片付いたのか、見当たりません。うむ、やっぱり大勢が早めに
来たんだなと納得(笑)。
 でまあ、うどんとおこわと揚げ出し豆腐をもらって、ほうじ茶を汲んで、一人で大き
なテーブルに着いた。席が空くのを待つ必要がないのはよかったです(笑)。
 さて、お味ですが、きつねうどんは、お椀に予めうどんの麺とかまぼこと細切りにし
た油揚げを入れておいて、そこに温かいつゆを注ぐだけの代物なのですが……これがま
たうまい! 前にも書いたかもしれませんが、何でここまでいい感じに仕上がるのと不
思議に感じます。
 揚げ出し豆腐は、一口サイズで食べ易かった。ただ、大変あっさり味で、濃い味に慣
れた自分には物足りなかったかな。思わず、うどんのつゆを掛けようかと。それはしま
せんでしたけど、揚げ足豆腐を食べた直後に、つゆを呷りました。
 笹おこわは、この日の夜食のベスト。しそが入っており、いいアクセントになってい
る。何よりも、米を食いたかったというが大きい。

 ごちそうさまをしてすぐさま部屋に引き返し、時計を見たら0:08。はやっ。実質
十分ぐらいで食べたことになるかな。あまりに早く戻ったものだから、母がまだ寝付い
ていなかったほど。
 そのあとは、テレビでナショジオチャンネルを小音量でちらちら見つつ、またメモ書
きに精を出し、歯磨きなどを済ませます。そしてアスカデイリーに目を通しながら翌日
(日付はすでに切り替わっていましたけど)の予定を立てたあと、二時ぐらいに寝まし
た。

 続く。ではでは。




#1088/1158 ●連載    *** コメント #1087 ***
★タイトル (AZA     )  17/06/11  20:08  ( 51)
クルーズに行ってみた2>寒くて暖かくて美味しい朝   永山
★内容
5/18(2016)
 そして――4:11に目が覚めた。
 時計を見た瞬間、日の出が4:25となっていた(アスカデイリーに書いてありま
す)のを思い出し、見よう!と急いで、しかし母を起こさないよう静かに着替えて部屋
を出ました。
 11デッキに着くと、寒い! 風が強い! 自転車で全力疾走以上のスピードが出て
いるだろうから、当たり前なんですけど、想像していたよりもずっと寒い。北上したせ
い?
 重ね着する時間が勿体ないので、がんばってそのまま12デッキに上がる。風さらに
強まり、気分的には吹き飛ばされそうな怖さが。
 多少は風がしのげるスペースに身を潜めつつ、太陽の出る方角を見当付けて、カメラ
を構えたものの、そこには厚い雲が。これは期待薄だと思いつつも、そのまま待って、
二枚ほど撮りましたが、やっぱりだめでした。朝焼け程度に終わる。
 冷え切った身体を両腕でさすりつつ、部屋に引き返したのが4:36。寝間着に再び
着替えて、布団に潜り込みました。
 正式に?起きたのが6:00頃。今度は携帯電話のアラームで目覚めました。カーテ
ンの隙間から差し込む光が、やけに眩しい。何だか悔しいぞ。日の出のタイミングでは
見えなかったのに。
 母もほぼ同時に起きました。具合を聞いてみると、少し収まったけど、まだ完全では
ないと。
 そういえば、船の揺れも昨夜に比べればましになったかな。外海からまた内海に近付
いているということでしょうか。入港予定が13:00なので、まだまだ距離はあるは
ずですが。
 女性の身支度に比べると、男は適当に済ますこともできるのでしばし暇。思い立っ
て、またグランドスパに行きました。眺めがいいです。あと、朝風呂に入る人が結構い
ました。
 てきぱきと済ませて、上がったあとは、モーニングコーヒーをやっている11デッキ
のパームコートへ。と言っても、コーヒーはもらわずに、トマトジュースとデニッシュ
一つをいただきました。甘いデニッシュにトマトジュースは変な組み合わせだけど、生
野菜不足を補うため。
 部屋に帰ったのが確か、6:45。旅行中は疎くなる世間の動きを、NHK−BSお
よび日テレ24のニュースで補いつつ、朝食が始まるまで時間を潰します。
 身支度が終わり、7:00ジャストに二人揃って部屋を出て、朝食に向かいます。ま
ずは(笑)和食、5デッキのフォーシーズンダイニングへ。夜食のときは閑散としてま
したが、さすがに朝食の時間帯は結構な人出でした。それでも割と窓際に近い席に座れ
たから、空いていた方かも。
 例によってお品書きをば。

・食前酢 特選十六ブレンド
・小鉢 刺身湯葉 ほうれん草のお浸し 下仁田こんにゃく
・焼き物 豆腐ハンバーグ和風生姜ソース
・汁物 具だくさん根菜汁
・香の物 温泉玉子 納豆
・五穀御飯、白御飯 又は お粥

 食前酢は前回乗船時と同じかな? 食欲増進によい感じ。すっきりします。
 前日は食べ過ぎというほどではなかったので、このくらいの朝食はぺろりと平らげた
です。こんにゃくは苦手なんですけどね。あ、湯葉が美味しく感じた。汁物の根菜も歯
応えが眠気覚ましによい(笑)。

 続く。ではでは。




#1089/1158 ●連載    *** コメント #1088 ***
★タイトル (AZA     )  17/06/21  21:53  ( 38)
クルーズに行ってみた2>撮られた写真を取捨選択   永山
★内容
 和朝食が終わると、続いてビュッフェ形式の洋食、11デッキのリドガーデンへ。
 前回の初乗船時は、こちらの方が大混雑していたのですが、今回はさほどでもなし。
混雑してるけど、大混雑ではないというレベル。そんな中、オムレツを焼いてもらえる
エッグスタンドがどこにあるか忘れちゃって、広いフロアをうろうろ。
 見付からないまま時間が経つのももったいないので、とりあえず別のコーナーで、フ
レンチトーストとパンケーキを一つずつ焼いてもらいます。他にもサラダやらフルーツ
やらスクランブルエッグやらを取ってきて、グレープフルーツジュースにコーヒーなん
かも用意し、二度目の朝食。フレンチトーストとパンケーキは半分ずつ分けて食べまし
た。やっぱり朝食には甘いと思うが、でも美味しい。初乗船時に食べなかったスクラン
ブルエッグは、ホテルのバイキングにあるのと同じ感じで、特別に美味!って訳じゃな
いけれど、火の入れ加減が私好みで、とろとろの仕上がり。食パンと一緒に食べたい、
というか食パンもビュッフェにあるんだけど、もうこれ以上はお腹に入らないので。フ
ルーツはキーウィが美味しかった、気がする。久々に食べたせいかも?
 食べ終わったのが、8:30ぐらいだったっけ? 出て行くときになって、たまたま
エッグスタンドの横を通りましたよ(苦笑)。

 部屋に戻ると、アスカデイリーに目を通す。色々催し物は行われていたんだけど、主
に身体を動かす系だったため、気力がわかず。それ以上に、四時過ぎに起きたつけが今
頃出て来て、眠気が。汁物の根菜による眠気覚ましも、長時間の持続は無理だった。こ
れは少し休まねば。
 母がお土産を確保しておきたいとのことでしたので、私が眠っている間に行ってもら
いました。
 10:00をいくらか過ぎた頃合いに母が戻ってきて、購入したお土産をいくつか見
せてもらう。職場で配るためのお菓子が、適当な数のがなくて迷ったそうで。

 眠気が一応取れたから、10:00から開いているフォトショップを見に行くこと
に。乗船時や食事の際に、飛鳥専属カメラマンがお客を撮って回った写真が張り出され
ており、欲しい物があればピックアップして購入できます。
 前回は、父がカメラを趣味にしているせいもあり、わざわざ購入する必要あるまいと
全く見もしなかったので、フォトショップを覗くのは今回が初めて。“自分達が映って
いるけど不要な写真は、こちらに入れてください”っていう箱が用意されているのを知
りました。確かに、いらない写真(映りの悪い写真とか)をいつまでも張り出されてい
ては恥ずかしいという気持ちは分かる。ただ、このシステム、特にチェックがある訳じ
ゃなく、全然関係ない人が写真をぽいすることもできそう。まあ、クルーズ船に乗って
いて、そんなくだらないいたずらをする人はいないでしょうけど(笑)。
 このときは二枚購入し、買わなかった一枚を箱に入れたです。

 続く。ではでは。




#1090/1158 ●連載    *** コメント #1089 ***
★タイトル (AZA     )  17/07/09  20:18  ( 41)
クルーズに行ってみた2>出発前の腹ごしらえは続く   永山
★内容
 写真を置きにまた部屋に戻って、しばらくすると昼食の時間に。当然、和食から行き
ます。フォーシーズンダイニングに着くと、結構混んでました。朝よりは多い。アスカ
デイリーに牛タン料理とありましたので、皆さんそれに惹かれたのかも。でも、仙台入
港前に牛タンとはちょっと不思議。

・焼き物 牛タン陶板焼き
・小鉢 彩りサラダ
・食事 若布と春雨のスープ/麦御飯 とろろ添え/香の物
・デザート

 デザートが何だったか思い出せない……。お品書きに明記してあるものと思い込んで
いて、油断した(苦笑)。和菓子のはずなんだけど。大福か団子かくずきり?
 品名の区分もよく分からないなあ。“・食事”って、全体で食事じゃないのかしら
ん。
 それはさておき、牛タンはうまかったです。麦御飯とよく合う。あと、母がとろろを
ドレッシングと間違えて、サラダに少し掛けてしまった。とろろの入った器がそれっぽ
かったのだ。まあ、ヘルシーな組み合わせではあります。
 昼食時には、別料金でアルコール飲料を注文できます。ここでも飛鳥ビールがないか
とメニューに目を通しましたが、ありませんでした。用意されているアルコール類は全
て、夕食時のフリードリンクメニューと同じ。要するに、今回のクルーズでは飛鳥ビー
ルを積んでないってことでしょうか。

 昼食が終わったらまた昼食です。11デッキのリドガーデンに行きます。
 この頃になるとぼちぼち入港時間でして、港が近い。クレーンやらドックやらが目に
付きます。海面に目をやると、ブイとか養殖用の筏らしき物がどんどん増えてる。漁船
も多く行き交っていました。中には手を振ってくれる人も。漁師さんと言うより養殖業
者さんかな?
 リドはビュッフェスタイルなので、何を取ってもいいんだけど、やっぱり生野菜が欲
しくなる。他にチーズ。それからスイーツもようやく発見したので、二つほど取りまし
た。ただ、事前にパンフレットなんかで見たのとは、感じが違うな。パンフレットの写
真では、名称の書かれたプレートがあって、しっかりした容器に入っていてディスプレ
イされていたけれど、今目の前にあるのはティータイムのミニケーキなどと同じで、名
前はなし、容器に入ったのはプリンのみ。うーん。やっぱり品切れしてる?
 飲み物にパイナップルジュースとコーヒーを選び、窓際の席に座る。そういえば空い
てるなあ。オプショナルツアーの出発が入港から三十分後だからかな? そんなことを
思っていると、船内アナウンスで着岸したとのこと。時計を見ると12:32でしたか
ら、入港予定よりも三十分近く早い。どうやら「着岸」と「入港」は使い分けがされて
いるようなんですが、よく分かりません。その後、十五分ぐらいして上陸準備が整った
というアナウンスが流れました。

 続く。ではでは。




#1091/1158 ●連載    *** コメント #1090 ***
★タイトル (AZA     )  17/07/15  20:13  ( 36)
クルーズに行ってみた2>初オプショナルツアー   永山
★内容
 アナウンスを機に昼食2を切り上げ、7デッキの港側に出てみると、ウェルカムセレ
モニーが始まるところでした。港を見渡すと、晴天の下、お偉いさんやコンパニオン的
な女性、ゆるキャラ数体が居並び、賑々しくやっている。
 事前に郵船クルーズからもらった資料では、大船渡市に比べて仙台市の歓迎の言葉は
素っ気ない感じだったので、あんまり期待してなかったのですが、思っていたよりずっ
とよかったです。それと同時に感じたのは、震災復興の進捗具合について。セレモニー
をやってる周辺では、ダンプが何台も行き交い、複数のクレーンが首を振り、港湾施設
の復旧が行われています。復興屋台村的な施設も見掛けました。五年でここまで来たと
思えるとこと、五年でまだこれくらいと思えるとこが入り交じってる印象。海に近い地
域は、やはり後者の割合が高かった。
 と、見ている内に、13:00過ぎ。今回は、初めてオプショナルツアーの一つに申
し込んでおり、それが本日これから催されます。
 ツアーの説明書によると、ツアー参加者は13:20までにギャラクシーラウンジに
集合し、説明を受ける必要があるとのこと。まだ二十分近くあるのでのんびり向かう
と、ギャラクシーラウンジ前には既に行列が。自分達が参加するツアーの一つ前のツ
アー説明かなと思いつつ、アナウンスに耳を傾けるとさにあらず。自分達が参加するツ
アーでした。すぐに並んで説明を聞いていると、番号の書かれたバッジを渡すから身に
付けるように云々、そして13:20で受付を締め切ると言ってる。
 え、そうなの? 13:20までにここに来ればいいのかと思ってたよ〜。たまた
ま、早めに来たおかげで問題なかったんですが、四台あるバスの四番目を宛がわれまし
た。満席になったら出発するシステムとのことで、四番目は当然、最後になります。し
かも全員が揃わないといけない。13:20に締め切ると言っても、ぴしゃっと切り捨
てられるはずもなく、漏れがないようにしばらく待つ訳です。
 時計を見るとじりじりすると思ったので見ませんでしたが、実際に全員が揃ったと
き、13:20を過ぎていたと思います。
 それからぞろぞろと歩いて、4デッキの乗下船口を通って上陸です。港には、以前の
境港と同様、物販のテントが立ち並んでいましたが、そちらの方に行く暇は無論なし。
募金箱を持った小さな子達も並んで立って、声を張り上げていたのですが……ごめん。
バスへと向かいます。
 他にもツアーが用意されてるため、すぐには分かりませんでしたが、自分達が参加す
る瑞巌寺と松島遊覧船ツアーのバスは、まだ四台とも停車していました。取り残されて
いないと分かり、ちょっとほっとする(笑)。バスに乗り込んでからも、すぐには全員
揃わず、少し待たされました。が、先行する三台に置いて行かれることなく、ほぼ同時
刻に発車と相成りました。

 続く。ではでは。




#1092/1158 ●連載    *** コメント #1091 ***
★タイトル (AZA     )  17/08/26  21:04  ( 45)
クルーズに行ってみた2>ここから駆け足   永山
★内容
※ここからは記録が充分でなく、記憶も今となっては朧気なため、駆け足でざっと書い
ていきます。

 駐車場を出ると、土の露出した区画の隙間を縫うように仮設の道を進み、ときに誘導
員の手信号に従って、ダンプとすれ違いながら、大きな道路に出ました。ようやく街の
様子が分かる。人の住む場所は復旧を急いだのか、普通の町並みが続く。ただ、やたら
とダンプとすれ違う。その多くが、復興支援の車両だということを示す、プレートのよ
うな物をダッシュボードの辺りに置いていたように見受けられました。
 瑞巌寺に着いたのは、三十五分後ぐらいだったかな。バスガイドの引率で、瑞巌寺の
入口まで来て、何時までに戻るようにとか言われたんだけど、全然覚えてないです(
汗)。とりあえず、他のツアー及びガイドに後方から離れて着いて行き、説明を盗み聞
きしつつ、敷地内を回る(苦笑)。少し修繕中の箇所があって、通路が仕切られていた
ため、やや狭かった。
 あと、写真を結構撮ったんですが、すでにこの時点で左足に痛みが来ていて、歩くの
がしんどくなってます。座れるところを見付けては、少しずつ休んでました。
 売店というか土産物屋兼ドリンクスタンドみたいなところの前のベンチに腰掛け、船
から持って来たお茶を飲んでたとき、その店で売られているソフトクリームの種類がや
たら多くて、しかも名前が変わっていたのが面白かった。写真に撮っておけばよかった
のですが、疲れていて思い付かなかった。
 てことで、検索してみた。やはり有名らしく、「瑞巌寺 ソフトクリーム」だけでヒ
ットしたです。洗心庵というお店で、ソフトクリームには、黒バニラにホワイトコー
ヒー。日本酒、わさび、クラゲ、とうふ、しらず、ゆば等があったようです。元気なら
ば、二つぐらい試したかもしれないな〜。
 その後、土産物屋二軒に入る。特に母は、魚の干物を欲しがっていたので一緒に探し
ましたが、意外と見付からない。自分は菓子と、牛タンのしぐれ煮のレトルトみたいな
のを確か買いました。
 集合時間が来たので、店を出て、道路を前に信号待ちをしていると、海鳥がたくさん
飛んでいて、信号機の上にも何羽も止まっている。東尋坊でトンビにソフトクリームを
狙われたときのことがよぎりましたが、今回は何も食べ物を手にしていなかったので、
大丈夫でした(笑)。
 道路を渡って、オプショナルツアー参加者が揃ったところで、船着き場へ。松島遊覧
船に乗り込むまでは、何だかんだで十分ぐらい待ったかな。船は二階建てみたいになっ
ていて、先に乗り始めた人は大体二階に行った模様。二階の方が眺めが良く、仕切りと
なる窓ガラスもあまりないためか。後ろの方だった私達は、一階へ。
 程なくして出港。マリンゲート塩竃というところまで、約五十分の遊覧スタートで
す。
 詳細にメモを取っていれば、色々書けたんでしょうが、その場の雰囲気を楽しんでお
りましたので、メモは一切なし。松島湾内にある島々を巡るというコースは定番なんで
しょうが、船内ガイドの女性の喋りが達者で、面白かったです。
 このガイドさん、実は船内売店の売り子さんでもあり、ガイドが終わるや土産物の宣
伝に力を入れておりました。この口上がまた愉快で、ガイドの面白さと併せて、確実に
売り上げアップにつながったことでしょう。私達も乾燥?ワカメを二袋ともう一品、つ
まみ系の何かだったかな、買わせていただきました。

 続く。ではでは。




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