AWC 満変万化   永山



#567/3048 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  18/08/19  20:10  ( 23)
満変万化   永山
★内容
 NHKで放送のドラマ「満願・第一夜『万灯』」を録画視聴。ネタバレ注意です。
 原作は米澤穂信による同名短編小説集で、未読です。
 米澤穂信というと、『氷菓』の通しタイトルでアニメ化もされた古典部シリーズや、
単発でドラマ化された『インシテミル』、あるいは季節限定スイーツシリーズ(?)が
有名だと思います。他には、『さよなら妖精』や『追憶五断章』もインパクトがありま
した。甘くないだけの物語構成やキャラ設定、そして本格ミステリのテイストが持ち味
の作家というイメージが強い。
 そんな作品群の中では、『満願』はどちらかと言えば異色作になるのかな? あるい
は、作者にとってターニングポイント的な作品か。今回ドラマ化された一作目を観て、
本格のテイストはほとんど感じられませんでした。と言って面白くなかった訳ではな
く、社会派ドラマや経済小説を思わせる展開に引き込まれたのは確かです。後半になっ
て事件が起きて、あ、やっぱりミステリドラマだったんだと思い出したくらい。
 ただ、信を置いている書評サイトを参照すると、今回の原作は謎めかして終わるよう
なことが記してあったですが、ドラマでは謎めかしてはいない気がする。他の感想集
積?サイトでも高評価だし、何よりも短編集として三冠を獲得してるけれども……うー
ん、そこまでいうほどのものかと。少なくとも、「万灯」はミステリとしては結構あり
がちなアイディアをうまく使ったというレベルでは。オチに関してヒント出し過ぎだ
し。ひょっとすると、映像化に当たって原作を大きく変えてきているのかしらん。
 そう思って調べてみたら、雑誌掲載時と単行本収録時とで大幅に書き換えられている
そうで。さらに粗筋を読んだだけでも、構成から時代設定からドラマ版とはかなり違う
と分かりました。これは原作を読まねば。

 ではでは。




#568/3048 ◇フレッシュボイス2    *** コメント #567 ***
★タイトル (AZA     )  18/08/20  20:52  ( 30)
レンブラントとミステリ   永山
★内容                                         18/08/20 20:52 修正 第2版
 NHKで放送のドラマ「満願・第二夜『夜警』」を録画視聴。ネタバレ注意です。
 第一夜の「万灯」も悪くはなかったですけれども、好みを言えばこの「夜警」の方が
面白かった。
 ドラマや映画、アニメ等を観ていると、登場人物が雨に降られて何もしないで立ち尽
くすシーン、たまにありますよね。あれを見て、大抵は首を傾げてしまう。「あなた
(登場人物)はその程度のことで呆然として雨に濡れても立ち尽くすのか。雨宿りでき
る場所に移動するか、傘を差すのが普通だろう」って思う口です、自分。※雨の中、く
ずおれて地面を叩いて悔しがるとか、悲しみで慟哭するとか、そういうのは割と許容す
る方です。立ち尽くすってのが違和感を覚える。
 で、本ドラマのラストでは、主人公の刑事が降り出した雨の中、しばらく立ち尽くす
んですが、ここは納得できました。推測から辿り着いた事件の真相に愕然として、発端
となった交番の前を動けない。真相を誰にも言い出せないであろう主人公の心情が、
シーンから伝わってくる。
 引っ掛かりを覚えたのは二つほど。まず、工事作業のヘルメットってそんなに頑丈な
の?ってこと。てっきり、跳弾と予想していたのに、直に当たったみたいですからなお
さら。それから、正確な発砲回数を誰も覚えていないなんてことがあるのか? 多分、
視聴した人みんなが感じる引っ掛かりだと思いますが、その辺が気にならないくらいに
作品としてよかった。でもでも、欲を言えば、これらの引っ掛かりを取り除いて、十全
にして欲しかったなあ。

 ドラマの感想を書くついでに何の気なしに検索してみて知ったんですが、レンブラン
ト作とされる絵画「夜警」のタイトルは通称で、実際は昼間の様子を描いたものだと
か。
 ドラマ「夜警」では、夜に起きたと思われた出来事が実は昼間に起きていたという展
開になっていましたが、もしかすると絵画「夜警」のことを知った上で、原作者は小説
のタイトルを『夜警』にしたのかな? 夜警という単語の意味を厳密に解釈するのであ
れば、夜、警察官が要請に応じて出動するのは夜警ではないよなあと感じたので、何と
なく想像してみたです。

 ではでは。




#571/3048 ◇フレッシュボイス2    *** コメント #568 ***
★タイトル (AZA     )  18/08/23  20:06  ( 30)
いいのとよくないのと   永山
★内容
 NHKで放送のドラマ「満願・第三夜『満願』」を録画視聴。ネタバレ注意です。
 最後の最後で膝を打つ物語。終盤に至るまで、ミステリ的には工夫はされているもの
の、比較的容易に想像が及ぶ範囲だし、しかもそれが決め手にはならないと来て、じゃ
あどこが本作品の見せ所なの?と戸惑っているところへ、ボールをずばっと投げ込まれ
た感じ。それまで一度も見せていない球種のボールね。
 アイディアとしては全く新しいという訳ではなく、私も作例を少なくとも二つ知って
おります。一つは古畑任三郎シリーズの一作でオンエアされましたから、記憶している
向きも多いことでしょう。
 それでもなお、本作の使い方はうまい。別のアイディアとしての小道具だと視聴者に
思わせることで、真の狙いを気付かせない巧みさがある。私なんか、<別のアイディア
としての小道具>が終盤で不発(決め手にならなかった)に終わる展開を見せられ、
「大事な本体は前もって外しておいて後から付けたか、取り替えたかしたんじゃない
か」と考えましたから、完全に引っ掛かってます。
 不満を言えば、一時間を支えるにはちょっぴり弱かったかな。よく言えば文学的な心
象描写が多い、悪く言えば間延びした絵面が続いた気がします。

 テレビ朝日系で放送のドラマ「刑事7人シーズン4」第七回を録画視聴。ネタバレ注
意です。結局、感想を書くことに。
 途中まではぎりぎり及第点かなと思ってたんですが、終盤に来て、がたがたっと崩れ
た。病院理事長は女の録音に気付いたから殴ったのに、そのあとも録音されていること
を全く考慮しなかったのは不自然。行方不明の子の父親が、真実を知るであろう男の存
在を聞いて、いきなり直接会おうとするものか? 相手が凶暴極まりない人物かもしれ
ないんだし、ここは常識的な判断が働いて、警察に情報を伝えるものでは。子供の居場
所を聞き出すよりも復讐心が上回っちゃってる。
 もう一つ言えば、二十年前の事件の際に車内で落としたヘアピンが、二十年間ずっと
見付からないままというのは、絶対にないとは言えないけど、普通、ありそうにない。
持ち主は二十年もの間、一度たりとも車を整備に出したり、掃除したりしなかったんだ
ろうか。

 ではでは。




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