AWC バランス感覚がおかしいような   永山


        
#1976/3022 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  21/10/21  14:48  ( 40)
バランス感覚がおかしいような   永山
★内容
 NHKで放送の「正義の天秤」第四話を録画視聴。ネタバレ注意です。
 初めて捻りを入れてきた、いい傾向なんじゃないかと思ったのも束の間、最終回手前
で因縁を鮮明にするための演出だったみたい。
 今回は主人公が法廷に立たなかったので、当然、主人公無双はなかった訳ですが、代
わりに主人公の因縁の相手と位置づけられる検事が出て来て、視聴者には手掛かり一つ
与えていない情報を持ち出して来て、伏線も何もないただただ“あっと驚く”展開にな
りました。本ドラマ、一貫して、作劇がうまくない印象を受けてしまってます。
 明かされた真実も、恣意的なものが感じられ、所詮は作り手の都合による構図なんじ
ゃないかと。犯人が娘を殺した元少年らからそんな脅迫を受けたら、娘の秘密が公にな
る自体を懸念したとしても、とりあえず警察に行くと思うんですよね。何でそんな輩に
金払って、なおかつ手を汚して殺さなきゃいけないの。普通に訴えれば簡単に逮捕でき
るだろうし、かつて少年法で守られていた部分も今度は明かされる可能性が高い。
 で、そもそも、警察は犯人がどうやって元少年らの個人情報を知り、居場所を掴み得
たのかについて、ドラマでは全然出て来なかった。そこを突っ込まない・疑問を持たな
い弁護士側がどうかしてるんであって、丁寧にチェックしていればむざむざと検事の独
演会に付き合わされることもなかったでしょうに。
 今回に限らず本ドラマは総体に、肝心要な事柄をぽーんと飛ばして描こうとする傾向
が感じられ、そうすることで視聴者に意外な真相を提示しようとしている。この手法で
は、どんなに意外性溢れる真相が語られても視聴者からすれば面白くないし、舞台裏に
気付けばそれがすなわち綻びになっていることも露呈し、「なーんだ、しょうもない」
って感想しか残らない……と思うんだけど、言い過ぎかしら。原作がどうなっているの
かは知りませんが、ドラマの公式サイトでは法廷推理ミステリーと銘打っているのだか
ら、ちゃんと推理の部分を見せて欲しかった。
 公式サイトと言えば、主人公は“冤罪の悲劇に苦しみながら”ってことになってい
て、私はこのフレーズにより、毎回冤罪事件を扱うものだとばかり思っていましたが、
違うんですね。冤罪の疑いのある事件を調べていた恋人が何者かに襲撃されて長らく意
識不明の状態に陥っていることが、“冤罪の悲劇”らしい。ですが、この状況を“冤罪
の悲劇”と表現するのは牽強付会に思える。客観的に見れば、冤罪疑惑とは無関係に襲
われたのかもしれないし、仮に冤罪疑惑を調べたがために襲われたのだとしてもそれを
冤罪の悲劇とは言わない、普通は。言えるとしたらすべての背景が明らかになったと
き、ああ、冤罪による悲劇だなって言えるかもしれないだけで、これから始まる作品の
テーマであるかのように打ち出すのは、日本語としておかしい気がする。
 さて、最終回につながるシーンの一つとして、恋人が調べてまとめた資料が出て来た
っぽいんですが、恋人が使っていた部屋にあったなんて、安易な。だいたい、どうして
今まで探さなかった? 彼女が冤罪事件を追っていたのを知る人なら、真っ先に調べて
当然なのに。脚本をこしらえた人は読み返して、「自分、変なこと書いてるな」と感じ
なかったのかしらん。もしかしたら、この状況が変ではないストーリーが最終回で待っ
ているのか? だとしたら凄く楽しみなんだけど。

 ではでは。





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