AWC ふえーる○かめのようには行かないだろうけど   永山


        
#1967/3055 ◇フレッシュボイス2    *** コメント #1966 ***
★タイトル (AZA     )  21/10/15  17:18  ( 48)
ふえーる○かめのようには行かないだろうけど   永山
★内容
文字数を膨らませる>
 私がやったことのある、もしくはやるとしたら……。
 まずは、朝霧さんも言及されている、人物が初登場する度に容姿等の描写を増やして
みます。髪がどうだの目がこうだのと書いていけば、ちょっとずつ字数を稼げる。さら
に擬態語・擬音語による形容を足せば、わずかながら上乗せできます。「切り揃えられ
た前髪」を、「シャンプーの香りが漂ってきそうな艶のある、さらさらかつふわっとし
た前髪は眉を隠すか隠さない程度に、真っ直ぐに切り揃えられていた」にすれば七倍ぐ
らいになる。(^^; ただ、バリエーションに乏しいのでやがて行き詰まるのと、全部の
登場人物で描写過多になるとさすがに重たくて、読みづらくなる可能性大。

 次に、ミステリだと手掛かりや伏線を出すシーンが必ずと言っていいほどあると思い
ます。その場面の記述を読み返し、手掛かりが剥き出しになっていたら、少し隠せない
かと考えてみる。たとえば犯行現場を第一発見者の視点で記述する場面で、机の下に落
ちているアイスクリームバーを食べたあとの棒が重要な手掛かりだとしたら、その棒だ
け描写するのは論外として、「ライターやリモコン、アイスの棒などが落ちていた」と
記述しても、まだアイスの棒だけ異様で目立つ。そこで、現場には食べさしや飲みさし
の物が散乱していたことにすれば、多少はカムフラージュできる。「カップ麺の空容器
には割り箸がX字に乗っており、机の下には半分ほど残ったお茶のペットボトルにアイ
スの棒、スナック菓子の袋などが転がっている。くずかごの縁に引っ掛かっているの
は、どうやらコンビニおにぎりの包装ラップらしい」ぐらい書き込むと、アイスの棒に
気を留める読者は少なくなるでしょう。

 三つ目は、本筋とはほとんど関係ないが意味ありげなシーンを付け足す。舞台が人里
離れた屋敷なら、おどろおどろし雰囲気を作り出すためにも、夜の嵐の場面を冒頭に設
けたり、いかにも動機絡みになりそうな過去の因縁話を語らせたりする。

 四つ目は、逆に本筋と関係ある場面を新たに作る。ミステリだと、第二第三の殺人を
起こすっていうあれですね。無論、当初の構成がしっかりしていればいるほど、新たな
事件を起こすのは難しくなってくるでしょうから注意が必要かと。二時間サスペンス的
展開でよければ、最初の犯行を目撃した人物がいたとか、そいつが脅迫してきたとかい
うことにして口封じのために殺人を重ねる、というのが定番。

 最後は、場面の先取り挿入(ちゃんとした用語があるのかもしれませんが、知らない
ので)。犯人が指摘される直前のシーンや殺人が今しも行われるシーンを、そのシーン
が実際にあるよりもずっと前の段階で予告的に見せておく。ミステリであれば、予告で
は状況Aと思わせておき、実は状況Bであったと分かるのが理想かな。

 あと付け足し。自分ではやらないし、ミステリに向いているかどうかは分かりません
が、小説投稿サイトで時折見掛ける、すでに描いた場面を、それまでとは異なる描写視
点を取り、「※登場人物Aの視点」と銘打って綴るやり方。あれも結果的には文字数稼
ぎになるはず。やるならやるだけの意味を持たせなければいけないんでしょうけど、ミ
ステリだとどうなんだろ?

 まあ実際のところ、最初からきちんとした組み立てで長いものを書き上げるのがいい
んだと思います。短い物を膨らませると、水増し感がどうしてもにじみ出てしまい、物
語として重みが足りないというか一貫性が弱いとの感触を持たれがちな気がします。

 ではでは。




元文書 #1966 原稿用紙の増やし方 朝霧三郎
 続き #1968 さっそくのコメントありがとうございます。 朝霧三郎
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