AWC 画期的な凶器   永山


        
#1583/1629 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  20/10/23  20:17  ( 43)
画期的な凶器   永山
★内容
 映画「屍人荘の殺人」をWOWOWオンデマンドで視聴。ネタバレ注意です。
 原作は今村昌弘の同名小説で、私は序盤を読んだきりで止まってました。ミヨカワ将
による作画のコミック版は映画視聴を挟んで第二巻まで読みました。原作をどの程度変
更しているのか知りませんが、変更があるのは確かなようです。
 原作小説やコミックから受けた印象に比べると、映画はやたらとコミカルな造りにな
っており、うるさい感じ。しかもそのコミカルさのほとんどが無駄になっていると言え
そう。※作品の質の向上に寄与していないという意味で、無駄。主役の一人である神木
隆之介のキャラクターを活かしたという意味では、有効だったかもしれません。
 その辺のとっつきにくさはありましたが、そこを辛抱して観続ければ、本格ミステリ
としてなかなかいい出来映えだったんじゃないかしらん。
 本格ミステリとして推理するための最低限の材料をうまく提出している。コミック版
を見ればより丁寧に提出しているので、その立場から言えば映画ももっと頑張って欲し
い気はしますが。あと、ゾンビを生み出した組織?に関する描写をばっさりそぎ落とし
たのも功を奏しているように思いました。

 疑問点はとりあえず二つ。
 エレベーターの制限重量ぎりぎりの重さにするために、何キログラムの物を運び込
み、また運び出したんだろう? ざっと見積もると、序盤のシーンから二百五十キロを
超えると確実にブザーが鳴りそう。犠牲者の体重を六十キロとして百九十キロ。ゾンビ
の最軽量は……ロックフェスに親子連れが来ている、つまり小さな子供がいる場合も想
定し、二十キロとしておく。だから犯人は百七十キロの重さのある物体をエレベーター
に出し入れしなければならない。銅像一体が百七十キロあるとは思えないし、あったと
しても持ち運びは無理だろうから論外として、作中のあの高さだと四十キロぐらい?
(検索した) 犯人(細腕の女性)が四十キロの銅像を四つ、続けざまに動かすのはち
ょっと厳しい気がするのですが。やりおおせたとしても、床に引きずった痕跡が残りそ
う。
 ついでに言えば、像の血痕を拭き忘れるなんてのはあり得ないと思う。皆を眠らせて
時間には余裕があっただろうから。
 もう一点は、明智の行動。明智は事件が起きるずっと前の段階で、犯人のある行動を
目撃して何らかの犯罪的行為が行われることを予見していた。なのに、ゾンビからその
犯人を助け、犯罪的行為のターゲットがいる紫湛荘に逃がしてやっている。名探偵とし
ていかがなものかと。あの時点では自分も助かって館に逃げ込み、そこで改めてまだ起
きていない事件の犯人を指摘するつもりでいたのか?
 コミック版第一巻のラストでは、明智は女性を逃がすために自ら犠牲になった風な描
き方をされていたので、そのことと相まって、とても違和感を覚えた次第。

 重箱の隅をつつきましたが、本格ミステリの映像化としては及第点に達していると感
じました。この分ならシリーズ第二作『魔眼の匣の殺人』の映像化も期待していいのか
も? どんなトリックが使われているのか知らないけど(汗)。綾辻行人『十角館の殺
人』のトリックみたいに、映像化不可能であろうトリックは存在するので。

 ではでは。書き込みのタイトル、「細腕犯行記」にするつもりでしたが、これ自体ネ
タバレになりかねないと気付いた。





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