AWC 本の感想>『交換殺人はいかが?』   永山


        
#973/3022 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  19/05/24  20:21  ( 38)
本の感想>『交換殺人はいかが?』   永山
★内容
・『交換殺人はいかが?』(深木章子 光文社)15/5451
 五人組が盗みに入るも人に見付かって逃亡。そのときすでに一人は死んでいた? じ
ゃあ五人目の正体は?(「ざしき童は誰?」)。ある殺人事件の被害者から、メモ書き
が見付かる。それを端緒に、すでにこれは見立て殺人の三件目ではないかという推理が
成り立ち、最終的なターゲットであろう大企業のある人物を警護することになるが(
「天使の手毬唄」)。
 元刑事の君原(じいじ)は、孫で推理作家志望の小学六年生の樹来にねだられ、過去
の事件を話して聞かせる。聞き終わると樹来が言う「僕はそんなことじゃないと思うん
だけどなあ」。
 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作家による初の短編集。


 ※一応、ネタバレ注意です。

 かなりいい。本格推理とトリックに対する、作者なりの“型”がよく出ている感じ。
もうちょっと別の(効果的な?)描き方がありそうですが、その辺はスタイルの違い、
好みの違いということで。
 内容は、各短編とも流れは決まっており、孫の樹来の求めに応じて、元刑事のじいじ
が過去の経験から当てはまりそうな事件の顛末を語る。それを聞き終わった樹来が異論
を唱え、よくよく考えてみると孫の推理が当たっているようだ……となる。じいじや警
察があまりにもだめなので、短編集の最後ぐらいは捻ってくるかと思いましたが、それ
もなし。だったらせめて、真犯人を捕らえる展開が一つは欲しかったかも。全部、昔の
事件だから、で済ませちゃってる。
 加えて、小学六年生の樹来が頭よすぎ、使う言葉も大人すぎで、これなら高校精華大
学生にしないと釣り合いが取れない。小学生だからこそ解けたっていうエピソードがあ
ればともなく、なかったと思うし。
 と、「かなりいい」と書いた割に、文句を色々並べていますが、これは期待感の表れ
ってことで。
 編中のベストは……表題作か「ふたりはひとり」かな? 「天空のらせん階段」は謎
の設定は好みだけど、解決がやや偶然頼みというか、結果的にそうなった感が強いよう
な。
 あと、作者の名前の読み方、ずっと「ふかきしょうこ」だと思っていましたが、「み
きあきこ」なのね。失礼をしました。割と多くのサイトで間違ってふりがなを振られて
いるような。
 作者は六十四歳でデビュー、六冊目に当たるこの短編集がその四年後。去年も長編を
出しており、凄く意欲的かつ旺盛で、感心させられます。

 ではでは。





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