#728/3052 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 19/01/05 21:25 ( 34)
何度目だオリエント 永山
★内容
WOWOWで放送の映画「オリエント急行殺人事件(2017)」を録画視聴。ネタ
バレ注意です。
アガサ・クリスティの小説『オリエント急行の殺人』が原作で、一九七四年にも映画
化、テレビドラマとしても複数回映像化されています。と紹介するのが不要なほどの超
有名作品で、トリックや犯人を知っている人も多いでしょう。
アクションシーンが結構追加され、犯人だと名指しされたり名乗りをあげたりする人
物が出て来ますが、基本ラインは一九七四年版と同じ。あ、一九七四年版や他のドラマ
版では、列車が立ち往生したあと主要人物はみんな列車内に止まっていたと記憶してい
ますが、本作ではやたらと列車外に出ており、変化を付けようと頑張った結果なのかな
あと印象に残ってます。そうそう、もう一点、ポワロが肌身離さず?持ち歩いている女
性の写真に話し掛けるシーンが幾度か挿入されていたのも気になった。これは次作以降
につなげるつもりなのか。ラストでは他の事件の捜査に乗り出すことを示唆していまし
たし。
ところで『オリエント急行の殺人』て、読者に対してフェアかというと微妙だと感じ
ますよね。関係者達の素性が明らかになる過程が、どうしてもポワロの後追いにならざ
るを得ないのがその大きな理由かと。この“意外な犯人”の大技を使うのなら、普通は
端から容疑者と分かる人物達が集結した舞台を用意し、そこからスタート、殺人が起き
てさあ犯人は誰?と持っていくものだろうに。そんな手法を採らずに、実際の誘拐殺人
事件をモチーフにした事件を絡めたところに、クリスティの凄さがあるのかもしれませ
ん。
さて、いくつかの映像作品で『オリエント急行の殺人』を観ましたが、世評ではデヴ
ィッド・スーシェがポワロを演じたテレビドラマシリーズ「名探偵ポワロ」での「オリ
エント急行の殺人」が一番推されているみたい。私も同感ですが、ただこの評価って、
一九七四年の映画版が土台にあって、豪華俳優陣を揃えた娯楽作品という印象が固まっ
ていたところへ、スーシェのドラマ版は強烈な一撃を食らわしたという点を評価する部
分が大きいんじゃないかとも思います。そこを抜きにした評価を今さら下すのは難し
い。映像作品の『オリエント急行の殺人』を全く観たことがない人に、まずスーシェ版
を、次に一九七四年の映画、その次に二〇一七年の映画を見せたら、どんな評価を付け
るのか気になる〜。
娯楽作品としての面白さを基準とするのなら、二〇一五年の三谷幸喜版「オリエント
急行殺人事件」もいい線行っていた気がしますが、記憶が曖昧(苦笑)。
ではでは。