AWC 驚きはなくても面白い   永山


        
#618/692 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  18/10/08  22:30  ( 46)
驚きはなくても面白い   永山
★内容
 WOWOWのドラマ「真犯人」第三回をメンバーズオンデマンドで視聴。ネタバレ注
意です。
 平成二十年、現在進行形の須藤勲殺しの捜査は、壁にぶち当たっていた。かつての尾
畑守誘拐殺人の被害者家族である母親に話を聞こうとしたが、折悪しく病に倒れて入
院。同じく遺族である娘(守の姉)が看病に付いているが、守秘義務を盾に捜査の協力
を拒む。遺族らの頑なな態度に疑問を抱いた日下は当時担当刑事だった重藤に問い合わ
せる。すると、重藤の口からは、そこまでに至る紆余曲折が語られる。
 昭和六十三年、三つの線を追う特捜班は、意見の衝突が激しさを増していた。前科者
を追う二人は、米山という元大学生の男を有力容疑者として割り出す。別れた父親であ
る須藤を犯人と目する線でも、須藤が高級車を売ったプロ野球選手とその後もつながり
を持ち、息子の守を練習の見学に連れて行ったことを突き止め、そこから守を密かに連
れ出していたのではないかと推理する。どちらとも決めかねる中、ある地元新聞に、誘
拐殺人の有力容疑者が見付かったとする記事が出る。その内容は米山を示唆するものだ
った。誰が漏洩したのかと特捜班では悶着が起きるが、重藤の取りなしで漏洩の犯人探
しはせず、事件解明に集中することに。
 情報漏洩は、実は県警本部長・榛の差し金だった。同時期に県警絡みのゼネコン汚職
事件が明るみに出、自身の立場が危うくなると考えた榛は、かつて尾畑守誘拐殺人の専
従捜査を率いた寺嶋を通じ、その部下であり特捜メンバーの庄司をそそのかせた。米山
犯人説を捜査の主眼に持って来るべく、マスコミに情報を流せと。このスクープによ
り、汚職の件は目立たなくなるだろうという狙いであった。
 庄司の先輩で彼と共に米山犯人説を追う勝田は、庄司と記者が口論しているところを
目撃し、漏洩したのが庄司と知る。そのことを報告された重藤は、庄司を責めるでな
く、出てしまったものは仕方がない、内容自体は事実であるし、真相究明に傾注するこ
とことが責任の取り方だとする。
 榛の差し金であることを薄々勘付いた重藤だったが、それ以上に捜査にとって障害と
なったのは、記事が出たことで被害者遺族が不信感を抱いたこと。記事の真偽や、事実
であるなら何故先に知らせてくれないのか、秘密情報が漏れたのなら何故そんなことに
なったのか等々。呼び出されて詰問を食らった重藤は、犯人逮捕を誓うことしかできな
かった。
 ――粗筋は以上です。いよいよ県警本部長の余計な力が働いてきた。予想通りとは言
え、待ってました感があって、まあ面白いです。それにしても静岡県を舞台にしている
ことが明確な作品で、ここまで県警を悪く描いて大丈夫なのかと、ちょっと心配に。昔
読んだ佐野洋のエッセイでは、警察の不祥事や警官の犯罪を題材とする作品の場合、ど
この都道府県なのか分からないように描く、という方針を明言していましたが、時代が
変わったと言うべきか(フィクションは飽くまでフィクションとして捉える土壌がだい
ぶ醸成された)。
 今回目立ったのは、重藤のコントロール力かな。上司として非常に魅力的に描いてあ
る。作品の構造上、昭和六十三年時点の捜査が失敗に終わるのは確定的なんですが、ど
うして重藤が失敗したのか、県警本部長のせいだけなのかも気になるところです。
 あと、尾畑守の姉・理恵の動向もポイントとして浮上。昭和六十三年時点で誘拐殺人
のことは記憶が朧気だとしていたのが重藤から聞いた話をきっかけにある違和感を抱い
たようですが、その後の事情聴取は情報漏洩などもあってなされず、平成二十年の段階
では非協力的になっている。このキャラクターがどう転ぶかで、展開がかなり変わって
きそう。

 ではでは。





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