#602/3021 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 18/09/23 20:38 ( 28)
共犯者でも逃亡者でもなく 永山
★内容
テレビ朝日系で放送のスペシャルドラマ「乱反射」を録画視聴。ネタバレ注意です。
原作は貫井徳郎の同名小説。なかなか好評価の書評を読んだ覚えがありますが、未
読。
序盤の展開とタイトルから、ストーリーのおおよその想像は付くと思います。だか
ら、最後まで観終わって、「あれ? 犬の飼い主と街路樹伐採反対派には何もなし?」
と思ってしまった。幼子の死に関わった可能性のある全ての人物に当たっていくものだ
と予想していたので。
予想が外れたと言えばもう一点、因果応報を象徴する形で、主人公が家庭ゴミを公共
のごみ箱に捨てた行為こそが、樹木診断業者の男が極度の潔癖症になるきっかけだとに
らんでいたのですが、それについては何の言及もなし。軽く薄く匂わせる程度?
で、検索して同名の原作小説を解説しているサイトを当たってみたところ、原作には
ちゃんと記してあるとか。ただし、直に潔癖症の原因になったとかではなく。誰もがや
ってしまいがちな悪意のない、でもちょっとしたずるい行為が積み重なって人の命を奪
うことも起こり得る――そう気付かされた主人公が戦慄する、という形になっている模
様。原作では主人公は気付いたのに対し、ドラマ版では気付かないままというのがポイ
ントか。
他にも、原作の登場人物一覧を見るとドラマよりも多い。各キャラ紹介の詳細さから
推して、ドラマよりもさらに複雑な風が吹けば桶屋が儲かる式の因果関係が構築されて
いるものと思われます。
主人公にして亡くなった子の父親である加山は、新聞記者という立場を利して、息子
の死の責任を誰に取らせればよいのかをぐいぐい踏み込んで調べていきます。その流れ
は自然なんだけれども、たがが外れかけるのが早いような。もっと調べが進んで徐々に
壊れていくんじゃないかと思っていたのが、調査を開始して間もなく言動の端々に荒れ
た感じが出てた。子を亡くしたばかりだから当たり前とも取れますけど、新聞記者なん
だし、ドラマの作法上、もうちょっと長めに冷静な調査を続ける形にする方が、後に爆
発するときのインパクトが強くなっていいんじゃないかなと感じたです。
ではでは。