AWC 本の感想>『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』   永山


        
#453/476 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  18/05/02  21:14  ( 32)
本の感想>『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』   永山
★内容
・『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』(歌野晶午 角川書店)14/4541
 作家の小囃子萌音は、かつて同棲した男から脅しめいたメールを受け取る。近頃作品
の質が落ちてきているから俺とのコンビを復活させないか、と。かつて男のアイディア
を作品にして世に出た萌音は男のメールを完全には遮断できないが、夫のある身となっ
た今、男とよりを戻せるはずもない。男のメールの内容はエスカレートし、萌音の邸宅
の大きな椅子の中に入り込むまでのくだりを蕩々と語った(「椅子? 人間!」)。軍
艦島を観光するつもりが悪天候で当ての外れた“私”。港でぼーっとしていると、男が
一人でぺらぺら喋っている。どこかおかしいのかと思いきや、男の手にはスマートフォ
ンが。何だと納得しかけた“私”だったが、男にはさらなる秘密があった(「スマホと
旅する男」)。カメラマンを夢見ながら興信所の調査員をこなす“私”は、ある少年・
聖也と顔見知りになる。聖也と一緒にダイニングバーで食事を摂っていると、向かいの
薬局で異変が。殺人が発生したのだ。“私”は独自に推理して一つの結論に辿り着く
(表題作)。
 江戸川乱歩の著名な短編をモチーフに、新本格派の作者が現代風にアレンジすると共
に、いやらしく捻った七編からなる短編集。

 乱歩ワールドと最新テクノロジーの出会い。がんばってうまく融合させていると思い
ます。まあ、江戸川乱歩作品の持つ幻想味やおどろおどろしさは、多かれ少なかれ、ど
うしても減じられてしまっていますが、その分を補う形でテクノロジーを活用し、ま
た、「世にも奇妙な物語」テイストのストーリーを繰り広げてくれている。
 本格の味わいがない訳ではないけれども、それよりもサプライズに重きを置いている
のかな。そしてそれ以上に、後味の悪さが際立っている感じ(苦笑)。
 七編の中でベストは――ベストではないかもしれないけれど、個人的に一番の好み
は、「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」。まず、乱歩の「赤い部屋」と都筑道
夫の評論「黄色い部屋はいかに改装されたか?」を合わせたようなタイトルが、人を食
った感じでよい。中身の方も、舞台劇を題材に、登場人物が面白い(けど珍しくはな
い)試みをするのですが、そこをちゃんと理由付けしてあって、好感が持てました。
 元になった各短編を知らなくても楽しめると思います。どちらかというと、乱歩以外
の推理作家の作品と乱歩作品を合わせようとしたところがあるので、ミステリ全般の基
礎知識があると、にやっとできるかも。

 ではでは。





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