AWC トリック&プロット「斑●高原ホテル事件」【改】 朝霧


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★タイトル (sab     )  18/04/24  10:05  (346)
トリック&プロット「斑●高原ホテル事件」【改】 朝霧
★内容                                         18/04/24 18:11 修正 第2版
hzのトリック既出という事なので、トリック&プロットの改造しました。

登場人物。
栄田      ホームズ役(医師。電脳同人誌メンバー)
朝霧      ワトソン役(売れない作家。電脳同人誌メンバー)

マンション夜間管理員  長谷川(栄田のかつての患者)
            西田
B社専務        小田
B社事務員       アキ子
マンション主任管理員    守屋
コンシェルジュ     若月
清掃員リーダー     川田
清掃員(女性)     田村

その他
アルソック隊員
警部          斉木
巡査
鑑識など。
首になったパートなど(追加)。

(以下物語風にトリックとプロットを書きます。)

時は、2011年3・11の震災後のある日のこと。

私、朝霧(売れない作家)は、電脳同人誌の仲間である
栄田(元法医学者にして骨相学者。現職は八王子医療刑務所の医師)
に誘われて長野県飯山市斑●高原スキー場に行った。
これは、栄田のかつての患者長谷川から誘われた為である。
長谷川は、斑●高原ホテル(スキー場併設のマンション兼ホテル)
で管理人をやっていた。

私と栄田は中央本線等を乗り継ぎ、飯山駅につく。
そこからスキー場まではタクシーを利用した。
そのタクシーのフロントガラスにはメーター類が映し出されていた。
(ヘッドアップディスプレイ)。
栄田は興味深そうに見ていた。
カーラジオからは計画停電をしなければならない理由、
「西日本の電力会社から東日本への電力の供給が出来ないのは
周波数を50ヘルツから60ヘルツに変換するのが困難な為だ」
などのニュースが流れていた。

斑●高原ホテルに到着する。
玄関前には10人程度の男女高齢者が「不当解雇を許さない!」など
どなりながらビラを配っていた。
「不当解雇反対!」と紙にぶっとい字で書かれてあった。
フロントには、主任管理員の守屋が居た。
朝霧「あの騒ぎはなんなんですか?」
守屋「いやあ、今回の震災で、あちこちのゲレンデが閉鎖になりまして。
それにともない、パート社員を一時解雇したんですが、
それに反発しているんですよ」
奥からすぐに夜間管理員の長谷川が顔を出す。
長谷川「もうすぐ夜勤明けだから着替えに行く」
そして長谷川と私、栄田は夜間管理員の更衣室になっているボイラー室に行く。
中では、清掃管理員リーダーの川田がパイプ椅子にふんぞり返り、
床に置いてある箒を他のメンバーが拾い上げるのを見ていた。
長谷川「ああやると、頭を下げる格好になるので、ああやっているのだ。
川田は後から雇われたリーダーなので権力を掌握する為にああやっている」
又、長谷川によれば、このボイラー室は元々は夜間管理員のテリトリーだったが
守屋(主任管理員)と川田(清掃員リーダー)がこのホテルのテリトリー争いを
やっている為に、今は清掃員が入り込んで来ていると言う。

それから私と栄田はホテルの部屋に荷物を置いて来る。
ホテルは震災の影響でがらがらだった。

それから、夜勤明けの長谷川、私、栄田で、ゲレンデに出てスノボをやる。

10時頃になり、休憩の為にホテルに戻ると、フロントで守屋が、
「社長のお土産のお菓子があるので、お茶を飲みに来ませんか。
長谷川君の友達なら、栄田さんも朝霧さんも歓迎ですよ」と言う。
その誘いに乗って、我々はホテルの5階にあるB社の事務室に行った。

事務所の間取りは、東側に和室、西側にリビング、バス、トイレ、
キッチンコーナー、玄関。

その部屋で、私、栄田、長谷川、守屋(主任管理員)、B社専務、
アキ子(B社事務員)、でお茶をする。
川田(清掃リーダー)と田村(清掃員)も来ていた。

お茶を飲みながらB社社長のお土産の本場フランスのボンボンを食べる。
川田(清掃リーダー)は「ピンはねした金でフランスになんて行きやがって」
と不機嫌であった。
専務「あんたは首にならなかったんだから、あんまり文句を言うなよ」
川田「お前さんの今の仕事は、首を切る事だからなぁ」
栄田「…すみません。ここは、ホテルの客室なんじゃないんですか?」
専務「B社は同じ飯山市の西大滝(かなり田舎だが隣町の野沢温泉スキー場
などに近い)に事務所を構えていたが、木造の老朽化した建物だったので
今回の震災で倒壊してしまったのです。
そこで斑●高原のスキーマンションの空き室に事務所ごと引っ越してきたのです」
と言う。
B社から引っ越してきたのは、専務の小田と事務員のアキ子であった。


お茶が終わると、川田(清掃リーダー)は便所掃除を始め、田村(清掃員)
は洗面所の掃除をした。

その後我々はゲレンデに戻り、もうひと滑りする。

昼になって高原ホテルに戻ってくる。
フロントで、B社事務員のアキ子とすれ違った。これから出かけるという。

そしてホテルのレストランに行くと、イクラ丼を食べた。
窓の外に、アキ子と田村(清掃員)が見える。
私「何をしているんだろう」
長谷川「あそこからだと角度的に、事務所を見ているのかな」
長谷川によると、アキ子は専務と不倫関係にあるらしい、との事。
しかし、このマンションに引っ越してきてから、専務はコンシェルジュの
若月(若い)に食指を伸ばし、セクハラ攻撃を仕掛けている。
その事でアキ子はオカンムリ。

昼飯を食べて、そのまま休憩していたら、
守屋(主任管理員)から長谷川に電話が入る。
「事件が起きた。専務がやられた。事務所に来てくれ」との事。
とりあえず私を残して、栄田と長谷川が事務所に向かった。

私が事務所に行った時には、既に、和室に寝ている専務の亡骸にはシーツが
かけられていた。

今ここに居るのは…
長谷川、
夜間管理員・西田(長谷川の次の日がシフト)、
アキ子、
守屋(主任管理員)、
若月(コンシェルジュ)、
川田(清掃員リーダー)、
田村(清掃員)
それから、県警から警部の斉木、
巡査数名、
鑑識など。

鑑識がそこいらにあぐらをかいてアルミの粉をはたいている状態。

部屋には塩素のニオイがまだする。
又紙の焼けた様なニオイもする。
私「これは事件なのか、事故なのか」
栄田はリビングに設置してあったホワイトボードに事件のあらましを書いた。

今朝、出勤してくると、専務は動画サイトで福島原発の様子を見ていて、
アキ子は給料計算をしていた。
10時頃、朝霧、栄田、長谷川、守屋、川田(清掃)、田村(清掃)が
お茶を飲みに来る。
12時頃、アキ子、給料明細を届けに野沢温泉スキー場に。
戻りは午後3時頃。
12時頃、専務は昼食を取ると、ハルシオン2錠を飲んで午睡に入った。
(これは、前夜が夜勤だった為に、ここで仮眠をとって、3時過ぎに起きて
今日の勤務を終わらせると夜勤明けになる、というシフトの為だった。)。
2時頃、アルソック警報がなりアルソック隊員が駆けつける。
リビングのFAX付近で紙が燃えてセンサーが反応した為だった。
勿論人は居ない。
(専務は東側の和室で寝ていた)。
アルソック隊員が、守屋(主任管理員)に連絡、同時に警察にも通報。
その後、栄田らが駆けつけた。
以上がホワイトボードに書かれた内容である。

尚、アキ子は3時過ぎまでの予定をキャンセルして、急いで帰ってきていた。

法医学の経験もある栄田が診たところ、塩素が原因だとの事であった。

さて、ここから栄田の推理が始まる。
栄田「このFAXから排出されてきた紙が焼けたのか…。
あそこの窓のところに水の入ったペットが置いてありますが、
あれはなんなんですか?」
アキ子「暖房費節約の為です」
栄田「あれが虫眼鏡の役目をして、収れん火災を起こしたんだろう」
アルソック隊員「でも、つい2日前にもここで警報がなったんですよね」
栄田「えっ。煙で?」
アルソック隊員「いや、その時には、多分、あのりぼんが反応したんだと」
栄田「時間は同じ時間ですか」
アルソック隊員「いや、1時間ぐらい早かったと思います」
栄田「そうですか…。このリボンですが、これは誰がつけたのですか?」
アキ子「私です。前のは古くて切れそうだったので、応急措置に」
栄田「このリボンが除湿機で揺れてセンサーが反応したのか…」
アキ子「何時も午後から除湿機を入れるんです」
栄田「この除湿機は最近買ったのですか?」
アキ子「倒壊した旧社屋から持ってきました」
栄田「他の電化製品は?」
アキ子「全部、引っ越しに合わせて買いました」
私「混ぜるな危険をやったんじゃないですか。風呂掃除でもしていて」
栄田「いや、布団に寝た状態でかがされていた。ハルシオンを飲んでいたし」

(疑惑1。)
長谷川「だったら、例えばトイレに仕掛けていたっていうのはどうだい。
あそこのトイレのタンクに塩素系を入れておいて、下に酸性のを入れておけば、
流した瞬間に塩素ガスが発生するだろう。
一瞬にして流れてしまわない様に、テッシュでも流しておいて、詰まらせておけば
可能なんじゃないの?。」
そして、栄田、私らは、実際に検証してみた。
結果、可能である事が判明した。
では動機のある者は誰か。
川田(清掃リーダー)など、会社にピンはねされているという不満があったので、
動機はあったのではないか。

(疑惑2。)
西田(夜間管理員)「そんなんだったら、この部屋も下の階も空き室なので、
下の階のパイプに塩素の粉でも詰めておいて、上の階から酸を流せば、塩素ガスが
立ち込めて、ついでに塩素の粉も溶けるので証拠も残らないから
いいんじゃないか」
栄田「しかし、配管内のガスが室内に逆流してくる事はあるのだろうか」
西田「それがこのマンションならあり得る。ここのマンションの便器はTOTO
じゃなくてイナックスなので、トレイのレバーが大と小が逆になっている。
だから、大をしても小の方向にしか流さないので、結構詰まったりする。
つまりと、下部のU字パイプの所に水が貯まらないので、下水管のガスが室内
に入ってくるんだな。
実際このマンションでは、下水管のニオイが部屋の中に入ってくるという
クレームが多いよ。」
我々は、この意見に関しても実際に検証してみたが、多いにあり得る事が
判明した。
栄田「しかし、それをやれるのは誰かとなると、管理員の守屋さん、西田さん
など、上や下の部屋の鍵を管理している人なんだがなあ」

(疑惑その他。)
守屋「そんな事を言うんだったら、同じ事がキッチンの流しでも
出来たんじゃないんですか。
例えばコンシェルジュの若月なんて、専務の居ない日にはここで昼食を
取っているので、何かを仕掛けられたかも知れないし」
川田「そんな事を言うなら、洗面所でも同じ事が出来るな。
あそこを掃除したのは田村さんだからな。掃除しながら仕掛けたかも知れない」

(もろもろの疑惑は以上)。

栄田「ちょっと待ってよ。流しや洗面所に仕掛けたところで、何時誰が使うか
分からないでしょう。
専務は、一人でいる時間帯を狙われたんだから。
そして、FAXのところで紙が焦げてアルソックが第一発見者となる」
アキ子「私にはアリバイがあります」突然アキ子が言う。「私はお昼に出かける
時に、清掃の田村さんと双眼鏡(100均で売っている安いの)でこの部屋を
見たんです。そうしたら、専務が風呂場の窓から手を降っていたんだから。
だから、私が出かけた段階では専務は生きていたのだから…」
田村「そういえば、双眼鏡からちゃんと専務は見えたわよね。
まあ、あれはアキ子さんが押さえていてくれたから見えたのだけれども。
一人で見てもピントが合わなくてよく見えないんですよね」
それを聞いていた栄田の目がキラリと光った。

栄田「ちょっと頭を休めたいのでお茶でも入れてもらえませんかね」
そしてアキ子がお茶を入れた。
その時和室においてある魔法瓶は使わないで、何故か、薬缶でお湯を沸かす。
栄田「あれ。何で魔法瓶を使わないんですか? 除湿機以外の家電は全部
おニューですよね」
アキ子「ああ、あれは初期不良か何かで買った時から壊れているんです」
栄田「そうですか」といいつつ、又フランス製のボンボンを舐めた。
栄田「もしかしたら、このボンボンから誰かがヒントを得て…。このボンボンを
紅茶の中に入れれば溶けて中身が出てきますよね。同じ要領で、湯の中に氷に
包まれた薬品を入れれば…」
長谷川「それじゃあ有栖川有栖の「ロシア紅茶の謎」だな。俺だったらもっと
手の混んだ事をするよ。例えば昼に食ったイクラ。あの中に塩素を入れておけば
食った瞬間に、すし酢の酸と反応して塩素ガスを出すんじゃないのか?」
栄田「何も口の中で混ぜなくてもいいんだよ。例えば、氷で仕切りの付いた容器を
作って、片方に塩素、片方に酸を入れておく。そしてそれを電子レンジに入れて
おく。そしてタイマーでセットして…」
長谷川「でも電子レンジはキッチンにあるんだぞ。専務の寝ていた和室には
遠いな」
栄田「じゃあ、寝室においてある魔法瓶なんじゃないんですか。アキ子さんッ!」
アキ子「えっ」
栄田「あの魔法瓶、本当に壊れているんですか。チェックしてもいいですか」
アキ子「動く時もあるんですよ。接触不良か何かで。
昨夜は動かなかったんです」
栄田「あなた、さっき、清掃の田村さんと双眼鏡で生きている専務を見たから
自分にはアリバイがある、と言いましたね。
本当に専務が見えたんですか。
もしかして、双眼鏡にスマホでもあてて、予め録画しておいた専務の動画を
田村さんに見せたんじゃないんですか」
アキ子「なんでそんな事」
栄田「いや、今朝、ここに来る時に、フロントガラスに映るメーターを見た
ものですからそこから想像したんですがね。
とにかくあなたは、そうやって魔法瓶に塩素ガス発生装置をセットして出かけた。
そして専務が塩素ガスで死んだ頃を見計らって、外部の漫喫か何かから
黒い紙をここにFAXしたんじゃないですか。
そうすれば収れん火災が起こって、センサーが反応して、アルソック隊員が来る。
そうすると、あなたが帰ってくる頃には全てが終わっているというすんぽうだ。
あなたには動機もあるでしょう。
あなたは専務の気持ちがコンシェルジュの若月さんに向かっているので
ムカついていたんじゃないですか。どうですか」
アキ子「そんな、ピタゴラスイッチみたいな装置、私が作るわけないじゃない」
栄田「いいや、あなたが作ったんだ。それにこれが初めての装置じゃない。
あなた、2日前にも実験したでしょう。その時は、除湿機でりぼんを揺らして
アルソックを来させる、という。
まず、和室の魔法瓶が塩素ガスを発生させる。
しばらくすると和室のエアコンが動いてガスを排出する。
それから除湿機が動いて、りぼんを揺らしてアルソック隊員が来る。
そういう実験をしたんでしょう。
でも、上手く行かなかった。
魔法瓶もエアコンもタイマー通りに動くのに、除湿機だけはセットした時間
より早く作動してしまう。
何故だか分かりますか。
あの除湿機は西大滝の倒壊した社屋から持ってきたと言っていましたね。
西大滝の電力の周波数は50khz、この斑●高原ホテルは同じ飯山市でも
60khzなんです。そうすると除湿機のタイマーは思った通りには作動
しないんですよ。
だから、そのピタゴラスイッチは諦めて
今度はFAXを使ったトリックをやったんじゃないんですか」

ここでアキ子は黙秘する。

と、突然、死んでいた筈の専務が起き上がった。
アキ子「きゃー」
専務「俺は死んではいないよ」
栄田「そう。アキ子さん、あなたは重大なミスをした」
言うと栄田は懐から一枚の紙を出した。
『不当解雇反対!』
栄田「これは、首になったパートが配っていたものです。
彼らはそれをこの事務所のFAXにも送りつけたんですよ。
その時間が、あなたが漫喫から黒い紙を送りつける1時間前だったんです。
それで、センサーが反応して、予定よりも早くアルソックの隊員が到着する。
そこで専務を起こす。
その後で、魔法瓶のタイマーが作動して塩素ガスを出したのだった。
勿論、専務とアルソック隊員は、窓を開けて換気をして、事なきを得た。
警察もみんなそれを知っているんですよ」

アキ子、がっくりとうなだれる。「すみません。私がやりました。
上手く行くと思ったんです。」
栄田「やっぱりあなたでしたか。そうですか。わははははは。
今の話は嘘ですよ。
本当は労働者は、こんな紙、ここにFAXなんてしていません。
私がカマをかけました。
本当は、あなたの計画どおり、ちゃんと魔法瓶が作動して
塩素ガスを発生させたんですよ。
ところがガスの量が足りなくて、専務は自力で起き上がると、リビングに逃れた
んですね。それでセンサーがなったんですが」
アキ子「騙したのね」

【終わり】
ーーーーー
以上がトリップ&プロット【改】です。

どなたかこれを作品化する方はいないでしょうか。
(といっても、永山さんしかいないのですが。佐野祭さんなどが
書くとも思えないし。そうなら嬉しいのですが。)

当方の条件は。
オール読物新人賞に提出を予定しているので、それを目指して書いてもらう事、
です。
あと、分け前等は五分五分で。

(もし誰も書いてくれない場合には、小生自ら書こうと思います。
そうすると、オール読物締切まで2ケ月を切っているので、
なるべく早く着手したいのですが。
ですから、このトリック&プロット作品化の参加不参加の返事は
出来れば今週中にいただきたいのですが。
宜しくお願い致します。
何時もの様に乱筆乱文ですみません。)。

追記。「AWC編集室」にupすればとの事ですが、
フレッシュボイスですぐに見えなくなっても、ちょうどいいのです。
オール読物も一応「未発表原稿」というのが要項にありますんで、
あんまりひと目に晒されなくてもいいのかと。




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