AWC 本の感想>『美人薄命』   永山


        
#423/597 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  18/04/12  21:57  ( 31)
本の感想>『美人薄命』   永山
★内容
・『美人薄命』(深水黎一郎 双葉文庫)17/6551
 何をやっても飽きっぽくて長続きしない礒田総司は、社会学部人間科学科の大学生。
老人福祉問題を取り上げたレポートの出来が悪かったおかげで、春休み明けまでに書き
直し提出を条件に、四年生にどうにか選考進級させてもらうことになった。だが、就職
活動本格化を控え、あまりレポートに時間を割いてもいられない。指導教官からなって
ないと指摘されたフィールドワークを手っ取り早くこなすために、独居老人へ定期的に
無料で弁当を配達するボランティアに参加することに。面倒臭がりながら、そして癖の
強い老人達に振り回されながらも、総司は経験を重ねていく。
 そんな配達先の一人、内海カエは片目の視力をなくし、家族もおらず、貧しい日々を
送っていた。口は悪いが機転の利いたギャグを頻発する彼女に、何とはなしに興味を持
つようになった総司は、あるとき、カエの恋愛話を聞いてみた。普段から、総司にモー
ションを掛ける素振りを見せたり、御年八十四にして美人薄命だからもう先は長くはな
いといった意味の軽口を叩くカエのことだから、簡単に話してくれると思っていたら、
意外に口が重い。ようやく語り出したカエの若き日の話は、総司を驚かせるに充分だっ
た。
 そうしたやり取りを経て、後に明らかになるカエの秘密と隠された想いとは。そし
て、カエの恋人は。
 『ウルチモ・トルッコ』でメフィスト賞を受賞しデビューを飾った作者が、その特色
を存分に発揮した長編純愛ミステリー。

 書評を読まなかったら、まず手に取ろうとはしない題名だし、裏表紙に書かれた粗筋
を読んでも、よしすぐにでも読みたい!となるものではありませんでした。読み終わっ
て言えるのは、読んでよかった。そして書評に感謝。
 と言いつつ、本書は可能ならば、ミステリだと意識せずに読んで、最後に来て「お
お」となるのが理想的読書体験ではないかと思います。
 それを踏まえつつ、ぎりぎりの線で紹介するとしたら――謎が姿を現すまでは一般小
説の衣を被っていた物語が、終盤、突如としてミステリの色合いを帯びてくる。暗示や
伏線がしっかり入っており、本格推理にして人間の謎を解くミステリとしても完成して
いる。こんな感じになりましょう。おすすめ。

 ではでは。





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