AWC ◆シビレ湖殺人事件 最終章


        
#1063/1125 ●連載    *** コメント #1062 ***
★タイトル (sab     )  16/02/12  14:16  ( 31)
◆シビレ湖殺人事件 最終章
★内容
「破水しました」ブルーの手術着を着た看護師がドクターに言った。
壁のタイルもブルーだった。
ライトの明かりが分娩台の女を照らしていた。
女のこめかみにもブルーの静脈が数筋浮かんでいた。
「かんし」と老医師が言った。
「でも、女の子ですよ」
「じゃあ吸盤だ」
若い医師が馬乗りになって腹を押している。
「出てこないな。少し切るか」
老医師は、切開して産道を広げた。
頭は出てきたがまだ生まれない。
吸盤で胎児の吸着し、引っ張り出す。
ずるずるずるっと臍の緒二重巻きにして一人目が誕生した。
二人目は簡単に流れ出てきた。

なかなか泣かないので、看護師は足を持ち上げると尻を叩いた。
やがて、か細い泣き声を上げた。
それは初めて吸った空気が声帯を揺らしているのだろう。
その空気は肺からヘモグロビンとして体内に取り込まれ、
五臓六腑を駆け巡り、涙となって流れてくる。

病棟に戻った母親が回復した頃、看護師がお包みにくるまれた2人の赤ちゃんを
持ってきた。
「この子達の誕生は嬉しいけど4体も減数手術したなんて」と母親は泣いた。
「そんなこと言わないで下さいよ。この二人を生かす為にやったことなんですから。
この二人を育てる事が4体の供養ですよ。この子達に何かあったら申し訳ないわよ」
そんな励ましを聞くまでもなく、母親は乳に張りを覚え、飲ませないと、
と感じていた。
母親は、二人の赤ん坊を抱きかかえて授乳室に消えていった。

【完】




元文書 #1062 ◆シビレ湖殺人事件 第6章・ヒヨリ再びー2
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