AWC ◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー2


        
#1054/1158 ●連載    *** コメント #1053 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:24  ( 68)
◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー2
★内容
下に下りて行ってテラスに出ると、
真ん中へんでヒヨリが芋の芽をナイフでえぐっていて、
手すりの方ではミキが丸椅子に座って湖の方を見ていた。
とりあえずヒヨリのところに近寄って、タオルの上に転がっている芋を覗く。
「あら、芋の芽を取っているのね」
「は?」ヒヨリは顔を上げた。「なに、おねえ言葉使ってんの?」
「じゃが芋も3日目になると芽が出てきちゃうのね」
「つーか、これっきゃねーだろ」
何があったって、オメーは芋しか食えねえだろうが。
それにしても、日に日に黒くなっていくな。
スモーキーマウンテンのフィリピン人だな。
ときめきゼロだよ。

さっとミキの方を向いて、手すりの方に歩いて行くと、
手すりに寄りかかってミキを見下ろした。
丸椅子に腰掛けて湖を見ているんだが、
タンクトップだから、脇の下から広背筋の辺りがよく見える。
既に腋毛が伸びていた。
下はGパンを切ったホットパンツで、
弛緩した筋肉が丸椅子の上でカエルの腹の様に広がっていた。
あそこをぶちゅーっと吸って、
ぶちゅ、ぶちゅ、ぶちゅっとズレて行って奥のピーチ姫を吸いたい。
ちんぽがビクッと脈打って心臓も不整脈を打った。
ペニスと心臓は連動しているのか。
だったら、視覚から脳、心臓、ペニスと伝わっていくのか。
性欲はY遺伝子の仕業ではなくて脳がやっているのか。
いや、そうじゃなくて、溜まっているからこそミキが目に入るんだよ。
中二が竹やぶにエロ本を見付けるみたいに。
「なに見てんのぉ?」ミキが怪訝な表情を向けた。
「なんかオヤジっぽいよ。つーか、なんでGパンなんて履いてんの」
「他のは汚れたんだよ」
「様子が変」言うと、立ち上がった。「さてと。じゃあ、芋でも食うか」
そしてヒヨリも立ち上がって、キャンプ場の方へ移動していった。

「私も行くー」っと踵を返したのだが、
その瞬間、ガラスにオヤジの亡霊が写った、と思ったのだが、それは私だった。
Y遺伝子、というか、オヤジ遺伝子の権化と、
オヤジの視線に耐えていた女子が同居している。

キャンプ場のカマドで芋を茹でながら、ヒヨリ、ミキとで、体育座りで待っていた。
丸で、アリ・マッグローとグレース・ケリーだな。
アリ・マッグローってどこが綺麗なんだろうとふと思う。
「なに見てんの?」ヒヨリがじろりと睨む。
「見てねーよ」
こいつ邪魔だな。

芋が茹ると、ミキと一緒に、どぼどぼーっと湯を捨てた。
鍋を戻すと、底に転がった芋を、3人で棒でつついて取り出す。
ヒヨリは、塩を振って食べていた。
私とミキは砂糖をまぶして食べる。
「もう、最後の芋にしたいよねえ」と私は言った。
「そうだよね」とミキ。
「でも私とミキは、これが最後の芋になるんだよね」と言って、ヒヨリをチラ見。
黙って芋を食っている。
「ねえ、ミキ」私は言った。「あそこのイケスって、
網の底からロープが出ていて、それを引っ張ると、
魚が集まってきて、そこをモリで突くんだよね」
「うん。そうだね」
「それって、ボートの上から突くんだよね」
「そうだね。沖から突くんだね」
「だったら舟に3人も乗っていて突くなんてバランス悪いから、
ミキと二人で舟で行こう。ヒヨリは歩いていって」
「えっ」ヒヨリがぼそぼそ食いながら顔を上げた。
「ヒヨリはどうせ漁なんて出来ないんでしょう?」
ヒヨリは芋を持ったまま焚き火をじーっと見ていた。
「別にいいよ。でも、嫌に指図するじゃん。
ヨーコってこんなに積極的だったっけ」ヒヨリはミキを見た。
「さあ」とミキは首を傾げる。




元文書 #1053 ◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー1
 続き #1055 ◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー3
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