AWC ◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー4


        
#1052/1125 ●連載    *** コメント #1051 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:23  (212)
◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー4
★内容
《はい、お疲れー。
とうとう合宿も3日目が終了したね。
そっちでも色々起こっているみたいで、
女に入れあげて自らくびれる、なんてことまで起こっている様だね。
今日は、何故時として科学者はMADになるのか、
ということを話そうと思っていたんだけれども、
彼も女にMADになっていたとも言えるから、
関係あるかも知れないね。
さて、それではまず、前回の復習から。
さあ、みなさん、前頭前野に気合いを入れて聞いて下さいよ。

えー、前回はリンパ球の成熟について言ったんだよね。
B細胞の表面には免疫グロブリンというグローブみたいなのが飛び出していて、
その先っぽで病原菌をキャッチするのだが、
そのグローブを用意するにあって、
まず、皮からグローブを作る様な段階があって、
それは一次リンパ器官、骨髄で行われるんだったよね。
それから、そのグローブが骨髄からリンパ節に移動してきて、
そこで実際に病原菌とボールをキャッチしている内に、
だんだんグローブが柔らかくなって掴みやすくなる。
これは二次リンパ器官における成熟だよね。
この2つを合わせてクローン選択説と言うんだが、
文言としては、リンパ球は“あらかじめ”“ひとそろい”のクローン、
つまりグローブを持っていて、抗原刺激を受けて更に成熟する、
というものだったね。
ただ、そう言ったところで、100億個ものグローブをどうやって用意するんだ、
という疑問もあって、
そこで、利根川進の実験も紹介した。
しかし利根川進はあくまでグローブ縫製の方法を説明しただけであって、
誰がやっているのかは言わなかったんだよね。
いくら“あらかじめ”とか言ったって、自動的に出来るんじゃあ
慣性の法則に反するだろう。
そこで、私は、これも又、宇宙の磁気によるものである、と言ったんだったよね。
つまり第一回では、遺伝子の複製はDNAポリメラーゼに宿った
宇宙の磁気によるものと言ったが、
前回は、骨髄におけるリンパ球の成熟も、宇宙の磁気によるのであり、
これをクーロン選択説と命名したんだったよね。
以上が前回の復習。
えー、さて、それじゃあ、今日話そうと思っていたMADについてだが、
ちょうど今日、またまた昼間の理系進学クラスの話だけれども、
或る生徒が、
彼は将来、研究者になりたいとか言っているんだが、
彼はマウスのゲージの掃除をするのに、手袋をしているんだよね、
糞で手が汚れるとか言って。
ところがその手袋を洗濯機で洗うと、
今度はその汚れが洗濯機のドラムに移るかも知れない、
更にそれがタオルや下着に移るかも知れない、と、
切り無しに伝わって行くと言んだよね。
こうなると、これは汚れではなくケガレだね。
これが一種、MADな状態と言えると思うんだが。

どうしてこんなことになっちゃうのかを、ちょっと考えてみると、
この彼の場合だったら、
洗濯機を回して、洗剤入れたっけ、とドラムを覗くと、
あんまり泡立っていない、とか、
洗濯水がドラムの方まで浸っていくなあ、とか色々考え出すでしょう。
そうやって脳で考えた瞬間に、
完璧に綺麗な状態とか、無限にケガレが伝染していく様子とか、
そういうのを妄想してしまうんだよ。
脳で考えると、完璧とか無限とか、極端なことを言い出すんだよ。
じゃあ、こういう状態から回復するにはどうすればいいかと言うと、
脳と身体とで、脳的になり過ぎているんだから、わざと身体的なことをすればいい。
手洗いで洗うとか、思い切ってマウスの糞にまみれてみる、とか。

で、ここで何が起こっているかを、心理学とかなんとかではなくて、
私が前々から言っていた、過剰と去勢で言うとねぇ、
これは、過剰が枯れてしまって去勢過多になっちゃっているんだね。
前回私は、遺伝子そのもの、とか、病原菌みたいなものは、
過剰なものであって太陽系的なもの、
遺伝子のコピーとか、骨髄やリンパ節に磁気が宿るみたいなのは、
去勢であって銀河系的なもの、と言ったが。
それは、人間全体についても言えるんだが、
食べるとか、排泄するとか、セックスするとか、
副交感神経的なものは太陽系的なもので、
心臓だの脳だの、交感神経系で亢進するものは銀河系的なもの、
と言えると思うのだが。
人間のスケールにおいては、この2つがバランスしていなくちゃいけない。
微細なレベルで言えば、タンパク質の合成という太陽系的な事と
ゴルジ体の去勢という銀河系的な事はバランスしていなくちゃいけない。
或いは、もう少し大きい範囲で言うと、
人間の呼吸の回数は、寄せては返す波の回数と同じというけれども、
臓器としての肺という太陽系のものと、地球の自転という銀河系的なものが
バランスしていなければいけない。
そのバランスが崩れるとどうなるかというと、
微細なレベルだったら、タンパク質もないのにゴルジ体が作用すると、
鍋の空焚きみたいな感じになってしまうんだね。
そうするとゴルジ体から化学物質が出てきてあアレルギーみたいになるかも知れない。
そういうことをもっと大きい範囲で言うと、
心臓だったら、運動という過剰もないのに、
電気的にパチパチしていて不整脈を起こす、とか、
脳でいうなら、恐怖の対象みたいな過剰がないのに、
セロトニンの放出が止まらない、みたいな状態。

このケガレの彼は、まさにこういう状態になっちゃっている。
だって汚れてもいないのに、ケガレていると言っているんだから。

じゃあ、なんで過剰と去勢で去勢過多になると潔癖症になるかというと、
前にも言った様にDNAポリメラーゼとかリンパ節とか脳とか、そういうのは、
宇宙の磁気が宿って去勢するものだから、
宇宙の幾何学的なもの、イデアみたいなものが宿っているんだね。
だから、例えば、本当の三角形は厚さをもたない二次元のものだ、とか言って、
三角定規のイデアを求めだすんだね。

だから、過剰と去勢で去勢だけしかない時の脳というのは、
幾何学的に美しいものを真、と思ってしまうんだよ。
これはもう、MADな状態だと言っていいと思うんだが。
だから、彼が科学者になりたいなら、そういうMADな状態に陥らない為に、
常に実験で世界との連続性をキープしていなければならない。

ところが、過去の偉大な科学者であっても、MADに陥った人は結構多いんだよ。
こっからが今日言いたかったネタなんだが。
例えば、免疫学の巨人と言われて、利根川進の研究所の所長でもあり、
クローン選択説の元になった自然選択説の提唱者でもあった、イエルネ、
その人も又、MADな人だったんだよね。

ここでちょっとイエルネの自然選択説を言いたいんだが、
クローン選択説の元になった説だから、似たようなもので、
やっぱり、100億個のリンパ球が“あらかじめ”用意されている、
というのが前提になっているんだけれども、
それが一つのネットワークでつながっている、というんだね。
どうやってそんなネットワークが出来るのか、というと、
人間の最初の免疫反応というのは、受精4週目ぐらいで母体の血が流れてくるから、
その時に起こるか、
無菌室で育ったとしても、何かを食べるのだから、
どっかで非自己とは接するのだけれども、
とにかく、非自己と接触することで、或るリンパ球が反応するでしょう。
そうするとその反応したリンパ球も他のリンパ球にしてみたら非自己だから、
第二の反応が起こるでしょう。
そうするとそのリンパ球も又別のリンパ球にしてみたら非自己だから
第三の反応が起こる…、という無限ループが100億回繰り返されて、
100億個の個性を持つリンパ球が誕生する、と言うんだね。
しかも、このリンパ球はグロブリンの先っぽ同士が、
ETの指みたいに接触していて、通じ合っていると言うだねえ。
そういう状態の100億個のリンパ球の集合体がある。
そうすると、今、新しい病原菌が接近してきて、それに対応するリンパ球が、
100億個の真ん中へんあったとしても、ピピピッっと連鎖していって
反応出来る、あたかも、ファイル共有ソフトのWinnyでつながっている
100億個のPCがあって、そこに、今、新しいPCを買ってきて、
一番端っこに接続すれば、たとえ隣のPCに目的のファイルがなくても、
インデックス情報で検索していけば、100億個の真ん中へんにある
PCのHDDにあるファイルも検索する事が出来る…、みたいな感じで。

そんな馬鹿な事があるかッ。
ただ、免疫の世界では、
なんかの毒細胞に他のリンパ球から分泌されたグロブリンが2個刺さって、
そのチョキとチョキを橋渡しするように病原菌がくっついて、ショートして、
毒細胞から毒が出て、アレルギーショックを起こす、とかいうのはあるんだが。
だけれども、この場合には、むしろ、イエルネの脳のニューロンの先っぽが
他のニューロンとショートを起こしているから、こんなことを考えるんじゃないの? 
いや、私の場合には、細胞に刺さったレセプターとレセプターの架橋によって
ショートが起こって、化学伝達物質が出てくる、とは考えないで、
あくまでも、ニューロン周辺の或る物質に磁気が宿ることで、
イオンの流れがシャープになる為にキレる、と言いたいのだが。
まぁ、それはともかくとして。
このイエルネの説の前半の、免疫反応の連鎖、なんていうのは、
先の学生のケガレの無限ループ、みたいな感じがしない? 
やっぱり、こういうことを考えるのは、世界との連続性が失われていて、
びんびん脳内に電波が飛んでいるからなんじゃないのか、と思うんだが。
イエルネっていうのは、城に引きこもって考えていた、とか、
教会で思索に耽っていた、とか言われているんだよね。
つまり実験から遠ざかっていた人なんだよねえ。
だからそんなになっちゃったんじゃないのか。
そういう訳で、このイエルネの自然選択説はMADだし、
そこから派生したクローン選択説もMADなんじゃないか、と私は言いたいんだが。

それが、今日言いたかったことでした。

さあ、それじゃあ、今日の犠牲者について少し言及しておこうか。
今日生徒の一人が肛門性愛に目覚めて、
それが原因で死亡するという不幸がありました。
それは、男子生徒の数が減ってきたから、性転換を起した、なんてことじゃあない。
じゃあ何かと言うと、前述のケガレの彼ではないが、ちょっとしたことで、
太陽系と銀河系とで、銀河系が優位になってしまったんだね。
それはどういうことかというと、例えば、くしゃみというのは、
ハクションとやるんだから、自然な事であって、
粘膜的な事であって、それは太陽系的な事だから、いいんだけれども、
それを、見目麗しい女子が、美しい声で歌ったりすると、
その途端に、歌声は脳の事だから、銀河系的な事が優勢になってくる。
そうやって、一回、世界との連続性を欠いてしまうと、
どんなに綺麗な人でもウンコもすれば屁もひるという当たり前のこと、
太陽系的なことを受け入れられなくなってしまうんだね。
そして、銀河系的なものが、どっと出てくる。
さっき言った、三角定規のイデアが出てくる、みたいに、女性のイデアが出てくる。
斉木君はそういう状態に陥ったんだな。

…まぁ、実際には、ニューロン周辺の或る部位に磁気が宿って
イオンの流れがシャープになるんだから、
例えば顔細胞のニューロンの束の内、
輪郭のニューロンだけにさーっとイオンが流れて、
皺のニューロンとか、シミのニューロンとかにはイオンが流れない、
ということが起きる、それで、その女子の顔が綺麗に見える、
ということなのだが。
だから、磁気自体が幾何学的な意味を持っているというよりかは、
磁気によってイオンの流れが早くなると、
曲線的な事を見失って幾何学的な輪郭だけを見る様になる、ということなのだが…。

では、そこからの回復はどうすればいいか、というと、
斉木君がやったみたいに、首を締めて、脳的な再取り込みを阻止する事で
身体的な状態に戻ろうとするのも手かも知れないが、
むしろ、身体的な事をすることで、世界との連続性を回復すればいいのであって、
それは、春田君の様にウンコを食う、というんじゃああまりにも太陽系的すぎて、
今度は脳が留守になる可能性もあるので、中庸をとって、
その女子のオナラでも嗅げば、世界との連続性が回復して、
MADな状態から逃れられたのではないか、と想像するのである。
以上が斉木君に関して思うことだが。

まあ、今日はこんな所なんですが。
比較的短かったね。

じゃあ、次回は、明晩6時スタートです。
バッテリーを交感して、ディスプレイの前で待っていて下さい。
それじゃあみなさんおやすみよ。




元文書 #1051 ◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー3
 続き #1053 ◆シビレ湖殺人事件 第4章・ヨーコー1
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