AWC ◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー2


        
#1050/1158 ●連載    *** コメント #1049 ***
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:22  (196)
◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー2
★内容
肌寒さで目を覚ました。うとうとしていたらしい。
開け放たれた窓から小雨が吹き込んでいる。
隣のベッドを見ると、ヒヨリがもぞもぞしていた。
そろそろ起きるな、と思うと、思った通り、あーとあくびをして上半身を起こした。
こっちを見据えて「おはよう」と言う。
そして、クンクン鼻をならして、「なんか変なニオイしない?」
しまった。入念に拭き取って菓子袋に二重に包んでおいたのだが、
多少は残っているのか。
「なんか カビキラーみたいなニオイ」
「昨日、殺虫剤をまいたでしょう。
だから、きっとこの湿気でそれが変なになったんじゃないのかなあ」
「ふーん」といって床を眺める。
廊下の奥からミシミシという足音が響いてくる。
ミキが、通りすがら「おはよう」と言って通り過ぎて行った。
ヒヨリもベッドを降りると、行こうとして、「行こうよ」と言ってくる。
「う、うん。先に行ってて」
「なんで?」
「ちょっと、そこを拭いてから行くから」と濡れた窓際を指した。
「はぁ?」と言って、一瞬、訝しげな表情を向けだ。
しかし、一人で出て行ってしまう。
ベッドから起き上がると、股間のブラシが、ハーパンで太腿に密着しているとはいえ、
肛門を引っ張った。
又、歩く時に脚を曲げると、逆に突き上げてくる。
どうにか抜けないか、と、再度、ハーパンの上から引っ張るが、
括約筋が握って離さない。
はあ、と僕は窓際に立ってため息をついた。
窓の外から苔のニオイが漂ってくる。
もしかしてさっきヒヨリが言っていたのは、僕のザーメン臭ではなくて
外気のニオイだったのかも知れない。
というのも、元々僕の精液にはそんなにザーメン臭はないからだ。
或いは、もしかして、オスが僕一人になったので何かの変化が生じて
ザーメン臭が出てきたのだろうか。
僕は、太腿の内側のブラシをさすった。
これ、見付かったらどうなるんだろう。
でも、もう男は僕だけなんだから、3人で抜いてくれれば野戦病院の3倍
盛り上がるんじゃなかろうか。
そう思った途端にブラシがぴくっぴくっと反応した。

テラスに行くと女子3人が、
手すりから手の平を出して雨の降り具合をチェックをしていた。
「とりあえずは止んでいるみたい」とミキ。
「どうする?」とヒヨリ。「又何時降り出すか分からないから雨天順延にする?」
「えー、また芋じゃあ嫌だ。つーか、2人も死んでんだよ。
どうなの、この状況、斉木君」といきなりこっちにふってきた。
「男の癖に。緊急事態だと思わない?」
「思うよ」サッシに寄りかかると股を閉じて立った。
「じゃあ、音頭とって」
「じゃあ、ちょっと雨が降っているけど、下見にだけ行こうか。
地図に描かれているイケスがあるかどうか。
ついでに、どっか向こう側に脱出出来る道がないかも見てこよう。
とりあえず、2、2で、ボートに2人、歩きで2人で行こうか。
僕がミキとボートで行くよ」
「え、何で?」とヒヨリ。
「折角ボートがあるんだかあれを使わない手はないし。
そうすれば漕ぎ手はミキでしょう。
次に体力があるのは僕だと思うから、一応舵取りは僕がいいかと」
3人はヒソヒソと打ち合わせとした。
「いいよ」とヒヨリが言った。「私とヨーコは歩いて行く」

桟橋に行くと、まずミキがボートに乗り込んで、
それから僕が乗り込んで、船尾に座った。
舵はなかった。
係留してあった丸太からロープを外すと、
手のひらでぐいっと押して、その手をヒヨリ、ヨーコに振って、
「それじゃあ向こうで会おう」としばしの別れを告げる。
ミキが漕ぎ出すと、どんどん桟橋から離れて、2人はだんだんと靄に包まれて行って、
やがて見えなくなった。
ミキの方に向き直って「漕いでもらってわるいね」と僕は言った。
「いいけど…、なんかここ、座りが悪い」
言いつつ、ぐいぐい漕いで行く。
舟は既に湖のただ中にあり、尚も水面の上を滑って行った。
湖畔を見ても、小道は霞んで見えない。
オールが水をかく音と、きしむ音だけが、山水画の様な景色の中で鳴っていた。
この湖面にたった二人なんだなぁ。
ミキは、スピードのエンゼルフィッシュみたいな柄の水着の上にTシャツを着ていて、
ウェストのあたりで縛っていた。
発達した大腿部、大きな腰骨は小便器を連想させる。
平らな腹に、漕ぐたびに腹筋が浮かぶ。薄い水着越しにそれが見えるのであった。
なんて美しいんだろう、と思う。
一体美しい身体を持っているというのはどういう気分なのか。
或る朝起きれば美しく、たまたま行った旅先の朝でも美しいというのは…
と観察していたら、突然、ミキがオールを手放した。
はっとして見ると、こぶしで太腿を叩いた。
「いててて。変な格好したら脚がつりそう。代わりに漕いで」と上目遣いに見る。
「でなければ叩いて」と言って脚を伸ばしてきた。
えっ、と思ったが、躊躇っているとかえってイヤらしいと思って、
平気な顔をして叩いてやった。
案外柔らかいんだな、と思っていたら、
ミキが、ぐっと力んで筋肉を浮かび上がらせた。
チンポがぴくっぴくっ、便所ブラシがくいっくいっ、と反応する。
「あっ」と唸った。
「どうしたの?」
「んー、なんでもない」
ミキはじーっと怪訝そうに見ていたが、又オールをとると漕ぎ出した。

やがて対岸のイケスが見えてくる。
岸から50メートルぐらいのところに、一辺が20メートルぐらいのイケスがあった。
イケスの内側から外までロープが延びている。
あれを引っ張ると、網が狭まって魚が寄ってくるのだろう、
と見ているうちにも、舟はどんどん岸部に迫って行って、
ガリガリガリっと舟底をこすって乗り上げた。
ミキがぴょんと飛び降りると舳先をもった。「早く降りてよ」
股間のブラシを気にしつつ、バランスを崩しつつ、僕も舟を降りた。
そして二人して舟を引っ張り上げたのだった。
辺りを見回すと、岸辺は三日月型をしていて、
真ん中にイケスにつながるロープが杭打ちされていて、
左端と右端は森の傘がせり出していて見えないのだが、
それ以外の場所は小道が見えていた。
「ヒヨリたち、来ないねえ。向こう行ってみよう」と言うと、
ミキは水際を歩き出した。
小さな波が打ち寄せている。
砂に、サンダルの足跡がついた。
少し行くと、ミキは立ち止まって、湖を見た。
今や霧はすっかりとはれ、水面もそれを取り囲む森も、くっきりと見える。
そして蒸し暑かった。
「ここって、巨大なプラネタリウムの中に閉じ込められているみたいな感じ。
その外から神様が覗いている様な感じ」と言ってミキは天空を見上げてた。
「夜になれば、プラネタリウムみたいになるかもね。今夜は無理だろうが」
「今夜は無理、って、ここに居るのが当たり前みたいになっちゃうね」
言うと、手の平でぱたぱたと顔を仰いた。
「あっつ。のぼせちゃった。喉も渇いたし」
「湖の水、飲む?」
「嫌だ。あんなイケスの水」
しかし、三日月型の岸部の突き当たりを見ると、木の槽があって、
脇にはホースがトグロを巻いていた。
「あそこって水場なんじゃない?」と僕は指差した。
そして、二人でイケスの前をザクザク歩いて横切って、槽の傍まで行ってみる。
それは、湧き水が注いでいる桶であり、そこからホースが出ていたのだ。
ミキは、いきなり手ですくって口に含んだ。「おいしい。ミネラルウォーターだよ」
自分もすくって飲んでみると、硬質のミネラルウオーターみたいな水だった。
二人で牛の様に飲みたいだけ飲む。
槽の脇にくっついている蛇口をひねったらホースの先から水が出た。
それを掴むと、ミキの方に向けた。
じゃーーーー。
「水着の上から浴びちゃえば?」
「いいよ。やめとく。でも顔だけ冷やす」
言うと手の平をすぼめて出した。
そこに水を注いでやる。
ミキは、ぺちゃぺちゃと頬を濡らした。
「今度は足」
言うと、僕の肩に手をかけて、裸の足を伸ばしてきた。
僕は、そこに水を注いた。
にょきにょきと指を動かす。
ホースのさきっぽをすぼめて水圧をますと、
彼女は指を動かして指の間の砂を落とそうとする。
「足を洗ってくれるなんて、イエス様みたいじゃない」
突然、肩の重みがとれた、と思って顔を上げると、ミキはシャツを脱いでいた。
やっぱり水浴びをする気なんだろうか。
しかし、槽の縁に手をつくと身を捩って足の裏を見ていた。
背中が大きくくり抜かれた水着で、背骨のくぼみがくねっている。
突然、こっちを見ると、「今度は私がぴちゃぴちゃやってあげる」と言って
ホースを奪った。「上、脱いじゃなよ」
えっ。僕は迷った。自分の華奢な体を見られたくない。
何をいっているんだ、夢が叶いそうじゃないか。僕はシャツを脱いで背中を向けた。
ミキは手を濡らすと、手のひらで肩甲骨のあたりから拭いてくれた。
「すごい。汗でべたべただよ」
脊柱を中心に左右へと水をぴちゃぴちゃと浸して行く。
そして、どんどんと下へ下へとずらしていく。
「腰の方まで汗だくだよ」といって背中の割れ目の下の方までぴちゃぴちゃと
濡らしていく。
今しかない、と僕は思った。
今しかないんだッ。
僕は勢いよくハーパンを下ろすと、「ここも汗だくなんです」と言って、
尻のほっぺを思いっきり広げて、尻を突き出した。
便所ブラシがびーんとおっ勃った。
「ギャーっ」叫ぶと ミキはホースを投げつけてきた。「なんなのよぉー、それは」
ミキは、サンダルの鼻緒を足の指で強く握って、踵を返そうとしていた。
僕が振り向いて、目があった瞬間、逃げようとする。
反射的にミキの水着の背中を引っつかむ。
「離して」と言いつつ無理矢理離れようとする。
が離さないでいたら、尻の割れ目が見えた、と思ったが、
次の瞬間、びりびりーっと裂けて、はっと手を引っ込めた。
ミキは脱兎のごとく逃げ出すと そのまま湖畔の道を走っていった。
その姿が、水着が大きく裂けていて、レスリンググレコローマンの選手みたいで、
ちょっと幻滅かも。

とにかく、その時に思った事は、ミキより先に帰らないと、
なんらかの弥縫策が打てないということだった。
慌てて踵を返すと、岸部のボートを湖に押し出して乗り込んで舟を出した。
しばらく漕いで、湖の中程に出ると、周囲の小道が、
森の間から見え隠れしているのが見えた。
それを見ていて、途中でヒヨリらと会ったら何か言うんだろうな、ブラシのことを、
と思う。
何て言い訳したらいいんだろう。
別にアナルに刺していた訳ではなくて、
背中を洗う積もりで股に挟んで持ち歩いていた、とでも言うか。
だったらズボンから出してみろ、と言われるだろうか。
とか思っている内に、脱力してしまって、オールに手を乗せたままうなだれてしまっ
た。
突然、今だったら抜けるかも知れないと思って、
ベルトを緩めるとハーパンを勢いよく下ろして、
舟底に背中を付けると、開脚して便所ブラシに手足をかけた。
そして、背中が舟底から浮く程、パンタグラフ方式でパカパカやったのだが、
やっぱり抜けなかった。
諦めて脱力した瞬間、コマでも倒れるように体がごろんと横倒しになって、
舟がバランスを崩して、危うく転覆するところだった。




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