AWC ◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー1


        
#1049/1117 ●連載
★タイトル (sab     )  16/02/08  17:21  (267)
◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー1
★内容

夜中過ぎになっても眠れなくて、僕は天井を見詰めて考えていた。
夕べ、女子3人と遺体を運んだ時のことを。
春田君の遺体を、鋤と鍬とGパンで作った担架で運んで、地下室に安置したのだが、
ちょっと離れて見ると、2体並んでいて、
それで、これは偶然じゃないと思ったのだ。
もうスイッチが入っているんだ。
最後の一人が死ぬまで、止まらない。或いは2人は残るのか。
今僕らが置かれている状況は、どんなんだろうか。
普通、こういうのって、『エイリアン』型の、異物が侵入してくるというのと、
『マトリックス』型の、夢落ちタイプがあると思うのだが、そのどっちだろうか。
そのどっちでもなく、外部の何かが作用して内部が変わっているという感じもする。
『アルマゲドン』とか『ディープインパクト』みたいに。
ナベサダが、京王線だか中央線だかは外部からの
電気、磁気で動いているみたいなことを言っていたが、ああいう感じだ。
ただこのタイプだと、地球全体が影響を受けるというよりかは、
電車に乗っている人だけが影響を受けるんじゃなかろうか。
というか、このロッジに関して言えば、男子3人居たのが一人になったのだから、
今まで3人で受けていたエネルギーを、
僕一人で引き受けなければならないのではなかろうか。
その事による自分への影響はなんだろう。
というか、夕べから自分の性欲のあり方が変わっている。
ある種の魚はメスだけになると一匹がオスに性転換するが、
オスが一匹だけになると性欲のあり方が変わる、ということはあるんだろうか。
そもそも最初っから変だったんだよなあ、僕の性欲は。
僕は寝返りをうった。
月は出ていないが、薄暗いならがも、部屋の様子が分かる。
ヒヨリが壁に向かって寝ていて、腰のあたりの膨らみも分かる。
珊瑚礁は満月の夜に産卵するというが、ああいう感じで、
ヒヨリも月に引っ張られて排卵するんじゃないのか、と、
あの膨らんだ腰を見ていて思う。
うちのクリニックでも、新月になると病室ががらがらになる。
あと、新月の出産は難産で、朝まで粘って帝王切開とかが増える。
あれは月に引っ張られる力が弱いからではないのか。
とにかく、ヒヨリは月に引っ張られて排卵し、
今度はその卵に引っ張られてこっちが勃起する、
それが普通の性の連鎖みたいなものだろうと思うのだが。
しかし、自分はそうではなかった。
そもそも精通の時からそうではなかった。
精通したのは中二で、普通よりかは遅かった。
あの頃の僕は性に関しては全く無知だった。
あの頃の僕のペニスは、包皮がカリんところに溜まった恥垢にひっかかって
剥けないでいたのだが、
あれを無理に剥くと、えんどう豆の様に脱落するんじゃないかと思っていた。
そのぐらいの無知で、産婦人科医の息子にあるまじき無知だったのだ。
それでも入浴の度に、少しずつ溶かしていって、そしてとうとうある晩剥け切った。
生後14年にして、とうとう外気に触れた自分の亀頭。
皮を剥いて突っ張らせて膨張させることだけで快楽を得ていた。
ただ、肛門の疼きはあって、自然とアナルをいじるようになった。
それがエスカレートして、ペンやらドライバーを枕元に並べておいて、
夜な夜なアナルへの挿入を楽しむ。
そうしてとうとう或る晩射精したのだが、それは全く物理的な刺激、
包皮を強く剥く事と肛門への刺激のみによる精通だった。
そもそもセックスのピストン運動さえ知らなかったのだから、
センズリという行為も思い浮かばない。
後で、クラスメートが、『中2時代』や富士見ロマン文庫を
ずりねたにしていたのを知って驚いた。
僕の場合は、精通の翌日に学校に行ったら、
スカートを履いた女子が廊下を走っていて、
膝の後ろが白くてちかちかしていて、
それで、あの根元に入れるのかと漠然と思った程だ。
だって、わざわざスカートを履いているのだから、
あの根元にターゲットがあると、普通に思うだろう。
アサガオだのチューリップだのの雌しべが花びらの奥にあるのと同じ構造ではないか。
そう思ってじーっと見ていた女子が僕の視線に気付いて振り返った。
そらがミキだった。
とにかく、決して珊瑚礁の卵に誘導されていた訳ではなく、
先に射精があって、後から卵をターゲットとしたのだ。
もっとも、ミキがセックスの対象というかズリネタになることはなかったが。
クラスも違ったし。
当面のセックスの対象は、エロ本だのAVだのだった。
そして、しばらくの間は、アナニー癖は影を潜めていた。
しかし、二次募集で入った高校でミキと同じクラスになったのだった。
その時のミキといったら、なんなんだろう、
『青い珊瑚礁』のブルック・シールズというか、
『恋愛同盟』のジェニファー・コネリーというか、
体がでかくて、眉毛が濃くて、目がパッチリしていて、
まつ毛が長くて。
性的な生々しさと、清潔さとが同居している感じ。
一方自分は体も小さいし、顔もイケメンじゃなかったし。
そういう僕らが対等に結ばれるというのは、イメージとしては、
グレートデンとかの血統書付きの犬と柴犬が交尾をする様な感じで、
染色体の数が同じなのかヨォ、という萎え方をするのであった。
しかしむしろ、ミキはクラスで圧倒的に美しく、僕の様なチンケな赤犬は勿論のこと、
何人といえども、彼女を恋愛の対象にすることなど出来ない、
彼女は個人の性欲を満たす対象である訳もなく、個人の愛の対象でもありえない、
と考えた方が萌える。
僕も含めて誰も彼女に触れる事は出来ないのだ。
当時、単純にグッドルッキングウーマンが好きで、
『スクリーン』だの『ロードショー』だのを購読していたし、
DVDで昔のハリウッド映画を観ていたが、
自分の好きな映画は『砲艦サンパブロ』で、
好きな恋愛の展開は、キャンディス・バーゲンとスティーブ・マックイーンだった。
キャンディス・バーゲンは、自由とかキリスト教の愛とかを信じて、
揚子江の奥地の修道院に中国人の青年の教育に行くのだが、
そこで義和団事変みたいなのが起こって、内戦状態になって、
マックイーンは彼女を救出に行くのだった。
でもこれは、個人の愛の為ではなく、アメリカの旗の為に、という、
そういうダンディズムの発露を求めてのことなのだ。
最低な展開は、『砲艦サンパブロ』のリチャード・アッテンボローで、
中国人売春婦と恋に落ちて、これがリベラルな愛だ、
とか、鼻の下を伸ばしていて、
あんな個人の欲望とか個人の愛みたいに無様なものはない。
僕の中ではバーゲンとミキが重なった。
どこかこの平和な日本で、僕がミキの為にダンディズムを発揮して
死ねる展開はないだろうか。
僕はミキの為なら死ねる。岩清水弘の様に。
当時、お気に入りの曲でも再生するみたいに、
繰り返し脳内再生していたシーンがあった。
学校の帰りに京王線の中で再生するのだ。
京王八王子から北野で高尾線に乗り換えると何時も連結部の近くに座った。
高尾線は、急勾配を上りながら大きく右にカーブする。
窓の外には北野周辺の平野部と片倉の山々が見えていて、
窓からは春の風が入ってきている。
突然、連結部のシルバーシートのあたりに、脳内ミキが浮き出てくる。
開け放った窓から、片倉の山の方を見ている。
風を受けるミキの横顔は、ローマのコインに彫刻してもいいぐらいの形の良さだ。
髪の毛が風になびいて、目を少し細めていた。
電車はどんどん加速していくと、やがて丘を登りきって、片倉の山をえぐったV溝の
下に入って行った。
一瞬車内に影が差した。
突然連結部のドアが勢いよく開くと、
悪役商会、丹古母鬼馬二と八名信夫が乱入してくる。
丹古母が勢いをつけてミキの隣に座り込む。
そして、匂いでもかぐように顔を近づけて、目をぎょろぎょろさせながら迫っていく。
ミキは体を小さくした。
「よぉ姉ちゃん」つり革にぶら下がっている八名が言う。「真っ直ぐ帰ったって
つまんねーだろう、これから俺たちとどっか行こうじゃねえか、
カラオケでも行こうじゃねえか、よお」
丹古母は考えられる限りの下品な笑い方で笑うと、首筋あたりをめがけて、
舌をべろべろべろと出す。
電車ががくんと揺れた。
八名が、「おっーっと」と言って身を翻すとそのままミキの膝の上に座ってしまう。
「電車が揺れたんだからしょうがねえや」
「やめろーッ」叫ぶと僕は敢然と立ち上がった。
二人は、一瞬あっ気に取られた様にこっちを向く。
そして、なーんだガキか、という感じで、ミキを放置すると
肩をいからせてこっちに迫ってきた。
「なんだこのガキが。スポーツでもするか」言いつつ八名が
こっちの襟を掴みにくる。
すかさず僕は手で払った。
おっ、猪口才な、みたいな顔をして更に手を突っ込んでくる。
それを又払う。
ネオ対エージェント・スミス、みたいな組み手をしばらくやるのだが、
丹古母が、遠巻きに僕の背後に回ると、懐からドスを抜いた。
そして卑怯にも背後からドスで僕の背中を袈裟切りに切り付ける。
白いワイシャツが裂けて背中の肉もざっくりと切れる。
「キャーッ」と悲鳴を上げてミキが顔を覆う。
しかし僕はがっばっと丹古母の方に向き直ると、超人ハルク並のパワーを発揮して、
まるで紙袋でも丸める様にぐしゃぐしゃにるすと放り投げてしまう。
今度は八名に向き直ると、「ちょっと待ってくれ。話せば分かる」
などと泣きを入れてくるのを無視して、同様にぐしゃぐしゃにして放り投げる。

ここらへんまで妄想が進むと、僕は我にかえった。
既に勃起しているし、アナルが疼いている。
アナニーしようかな、とふと思う。
しかしヒヨリに気付かれないだろうか。
首をおこしてヒヨリを見ると、往復のいびきをかいて熟睡している。
あれはノンレム睡眠の真っ最中で起きる事はないだろう。
挿入するものがないなあ、と薄暗い部屋の中を見回す。
そうだ、2階の便所に、柄付きのブラシがあった。
あれだと不潔だろうか。でもブラシの部分を挿入する訳ではないし…。
僕は、ヒヨリを起こさないようにそーっとベッドから下りた。
抜き足、差し足で、廊下に出る。
すぐ左手の便所のドアのところに行くと、蝶番が音を立てないようにそっと開けた。
ターゲットのブラシがコーナーに立てかけてあった。
手に取ると柄の部分の感触を確かめてみる。
握りやすいようにイモムシ状にはなっているのだが、バリなどは出ていない。
これだったらアナルを傷つける事はないだろう。これでやろう。
ついでにハンガーにぶら下がっていた手ぬぐいも失敬してくる。
便所から出ると、ヨーコの部屋もミキの部屋もドアが開放されていて、
暗い廊下に戸外のぼんやりとした薄明かりが差していた。
あそこにはリアルミキが寝ている。
なんだってこんな便所ブラシを肛門に入れないとならないんだ。
僕はブラシの柄を握り締めた。リアルミキにアタックすればいいじゃないか。
でもマックイーンだってキャンディスバーゲンを逃がした後、
中国人に射殺されたじゃないか。
それはあんまり関係ないけれども、とにかく、ミキは決して性の対象ではないのだ。
僕は便所ブラシを抱えると、自分の部屋に戻った。
ベッドに乗っかると、ベッドの横の手すりに手ぬぐいでブラシを縛り付けた。
口の中で唾液をぐじゅぐじゅやって粘度を増したものを柄の部分に垂らすと
指先で入念に塗りつけた。
これで準備オッケーだ。
ベッドに横になって尻を突き出すと、後ろ手に手をまわして柄を掴んで、
少しずつ挿入した。
ヌルッ、ぬるっ、っとイモムシ状の柄がアナルに入って行く。
全部入り切ると両手を前に回して右手でペニス、左手で睾丸を握った。
そういう状態で、腰の動きだけで、柄を出し入れするのだ。
柄の握りの凹凸が括約筋を刺激するたびにペニスがびくびくするのを更に手で揉む。
そして僕は妄想の中へ沈んでいった。
ここはどこだ。野戦病院だ。揚子江の上流のジャングルにある野戦病院だ。
僕は、さっき丹古母鬼馬二に切られた背中の傷の為にここにいるのだ。
暗闇の中からナイチンゲールの格好をしたミキが現れた。
かがみ込んで僕の顔を覗くと、ミキの男前な顔がランプに浮かんだ。
「包帯の交換にきました」
ピンセットやガーゼの乗ったトレイをもったままミキは背後に回った。
それから、かちゃかちゃ音を立てて準備をしていたが、
やがて、傷口に詰め込んであるガーゼを取り出す。
「いたッ」
「我慢して」言うと、ミキは背中で処置を続ける。
それが終わると、二の腕に手を乗せると耳元で
「まだまだ肉が盛り上がってくるまでには時間がかかりそうだわ」とささやいた。
「じゃあ体を拭きます」
ミキに背中を拭かれる。
背後から手を回して、腹、そして下腹部を拭いていく。
「あ、お腹が張っている。うんちしていないでしょう」
僕は小さくうなずいた。
「これだけ固まっていると浣腸では無理ね。カンシで、取り除きます」
ミキは尻のほっぺを広げると肛門を露出させ、クリームをまんべんなく塗った。
そしてカンシを突っ込むと固まった便をつまみ出して、鉄の皿に落とす。
からんと音をたてた。
又カンシを突っ込んで取り除く。から〜んという音がこだまする。
やがて綺麗に取り除かれると、ピンクの直腸粘膜が現れた。
丸で14年ぶりに恥垢が取り除かれた亀頭の様に綺麗なピンク色をしている。
「それじゃあ肛門の内側にクリームを塗りますからね。
必要な処置ですからくすぐったがらないで」
言うとミキは、クリームを乗せた指2本を肛門に滑り込ませてきた。ずぶずぶずぶ。
「ああーっ」
「我慢して」
クリーム擦り込ませるために、肛門の内側にぐるり一周指を這わせた。
ぬるぬるぬる。
更にもう一周、ぬるぬるぬる。
「あーーーッ」
「はい終わりましたよ。今度は奥の前立腺の方にも塗りますからね。
これは、治療上必要なことだから恥ずかしがらないで」
言うと指2本を付け根まで挿入させると、前立腺側を、ぐりぐりぐり。
「あーーーー」
「もう少し我慢して」ぐりぐりぐり〜。
「おおーーーー」
そしてリアルの僕は大量の射精をした。
ぴゅっぴゅっ、とペニスが痙攣する度に括約筋が閉まって、便所ブラシが上下に動く。
しかし既にそれは性的な快楽ではなくて、排便の際の肛門の感覚に成り果てていた。
はぁーと僕はため息をつく。
ベッドの上の精液を見て、こんな事ならトイレットペーパーでも敷いて
射精すればよかった、思う。
まあしょうがない。ヒヨリが起きない内に後始末をするか。
僕は身を捩って尻を突き出すと手でもってブラシを抜きにかかった。
が、抜けない。
あれっ? 抜けない。なんでだろう。
もしかして角度が悪いのだろうか。
直腸というのは胴体に対して垂直にあるわけではないのに、
ブラシは手ぬぐいで固定して垂直に刺さっているので。
そう思って更に身を捩ると手ぬぐいを解いた、
と同時に括約筋の反動で太腿の間にブラシが収まった。
尻を拭く様に手探りで、股にぶら下がったブラシを下方向に引いてみる、が、抜けな
い。
どうにもこうにも、抜けない。
どういうこった。ここ2日の食生活のせいで、体の脂が失われて、
肛門周辺も干からびた感じなのかも。
何か潤滑油になるものはないだろうか。
油とかバターとか、さしすせその中にないだろうか。
或いは、湖畔の泥とか桟橋のぬめりとか。
そんなのは不潔だな。
唾液で挿入したんだから唾液で抜けるんじゃあなかろうか、と思って、
又口内でぐちゅぐちゅやってから指でつまんで肛門の柄の周りに塗ってみる。
そしていきなり抜かないで、回転させてみようと試みるが、
既に性欲が失われている段階では、柄は完全な異物に感じられて痛くて回らない。
段々と焦りを感じている内に、そろそろ空が白々としてきた。
やっばいな。
ヒヨリが、うーん、とか言って寝返りをうった。
ヒヤッとして、毛布で下半身を覆った。
とりあえず床に落ちていたハーパンを膝に通すと履けるかどうかやってみる。
かなりぶかぶかのハーパンだったので、
どうにか便所ブラシはのぞかないですむのだが、
気付かれたらこの膨らみは隠しようがないのでは。
まいったなあ。
それから、あれこれ思案したが、どうにも思い付かない。




 続き #1050 ◆シビレ湖殺人事件 第3章・斉木ー2
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