AWC ◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー6


        
#1048/1158 ●連載    *** コメント #1047 ***
★タイトル (sab     )  16/01/22  18:37  (225)
◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー6
★内容
《はい、皆さん、お疲れー。
今日も又悲劇に見舞われたみたいで、
そのことは、誠に気の毒だとは思います。
しかーし、勉強は勉強でやってもらわないと。
そうは言っても、こんな勉強したところで、今日の自分達に何の関係があるんだ、
と思うんじゃないか、とも思います。
そこで、もし今日最後まで授業を聞いてくれたら、最後には、そうだったのかぁ、
と思える何かがあるかも知れない、ということは言っておきますよ。
そんじゃあ、それを期待して、授業を始めたいと思います。

えー、まず前回の復習から。
前回は、タンパク質の合成とか、遺伝子のコピーとか、
そういうのにも過剰と去勢みたいなのがある、ってことを言ったよね。
例えば、タンパク質の合成というのは過剰であって、
ゴルジ体で調整するというのは去勢である、とか。
遺伝子のコピーに失敗してがん細胞が出来る、というのは過剰であって、
それをリンパ球で退治するのが去勢だ、とか。
或いは又、そのリンパ球に関しても、
造血幹細胞からリンパ球が出来るというのは過剰であり、
リンパ球の中から自己免疫疾患を起こすようなものを取り除く、
というのが去勢である、とも言った。
そして、この過剰と去勢が何に由来するのかも述べたよね。
過剰というのは、地球の表面が泥の川みたいにどろどろしていて、
そこに太陽が差してきて、突然有機体が出来る、みたいな感じで、
つまり太陽に由来している。
もしかしたら最初の遺伝子もそうやって出来たのかも知れない。
一方、去勢というのは、今度はその遺伝子がコピーされる場合のことなんだけれども、
遺伝子の複製の時には電車の上り下りみたいな感じになっているから、
外部の電磁気、つまり宇宙の磁気に由来しているのではないか、
という、一見大胆な説を、述べたよね。

さて、それじゃあ今日は、
そういう、遺伝子のコピーだなんだに関して、過剰と去勢があるとか言っても、
それって現在の定説に比べてどうなのよ、っていうのはあると思うんですが、
そういう諸々に関して、現在の定説と、私の言っている様な、過剰と去勢、
みたいな見方の違いについて、ちょっと比較してみたいと思います。
とりあえず今日は、リンパ球の成熟ということにスポットライトをあててそれを
やってみたいと思います。

リンパ球の成熟に関しては、今、復習に出てきたみたいに、ちょっとは言っている。
まず、造血幹細胞というのが10万個に一個ぐらいあって、
これは骨髄にあって、それがコピーされて、血とかリンパ球が誕生する。
あと、自己免疫疾患を起こす様なリンパ球は阻害される。
そして生き残ったリンパ球は…成熟するんだよね。
というか、その前に、リンパ球でもB細胞、T細胞、とか、
色々あって、今日はB細胞に関して言うんだけれども。
あと成熟っていうのは、リンパ球が相手にする病原菌も、
麻疹とか水疱瘡だとかおたふく風邪だとか色々あるので、
それぞれに対応した形になるということなのだが。
それじゃあ、B細胞に関して、それはどんな感じで成熟していくのかを、
ちょっと簡単に考えて行きたいと思います。
B細胞の成熟には、一次リンパ組織、これは骨髄なんだけれども、
そこで行われるものと、
二次リンパ組織、これは脾臓とかリンパ節とかなんだけれども、
そこで行われるものがあって、
一次リンパ組織で行われるのは、さっき言った、造血と免疫寛容です。
そんで、免疫寛容で生き残ったリンパ球には、
抗原をキャッチする、チョキみたいなレセプターが生えてくる。
免疫グロブリンというんだけれども。
で、この一次リンパ組織での成熟で重要なのは、
まだ抗原に触れていないという事なんだね。
麻疹だ、水疱瘡だの病原菌に触れていない。
触れてないんだけれども麻疹用だ、水疱瘡用だのグロブリンが生えてくる。
あんまりイメージ出来ないと思うんで、模式図的に言うと、
このグロブリンっていうのは、グローブに似ていて、
抗原をその先っぽでキャッチするんだけれども。
グローブにも、野球用、ソフトボール用、クリケット用と色々あるよね。
だけれども、どんなボールが飛んでくるか分らないので、
色々なタイプのグローブが用意される、みたいな感じで、
どんな抗原が飛んでくるか分らないので、色々なグロブリンが用意される、
みたいな感じ。
麻疹用グロブリン、とか、水疱瘡用グロブリンとか。
まぁ、そういうのが一次リンパ組織で行われることなんだけれども。
それから今度は二次リンパ組織だけれども、
今度は、そのグロブリンというかグローブが、
腋だの股だのにあるリンパ節に流れていって、
そこで実際に抗原と出会って、リンパ球の成熟が起きる。
これは、一回ハシカにかかれば二度とかからない、みたいなものだけれども。
これも模式図的に言うと、
野球のグローブも最初は硬くてボールをキャッチしづらくて
落球したりするけれども、
何回も使っている内に、段々馴染んできて、ボールを掴みやすくなるでしょう。
ああいう感じで、リンパ球の表面のグローブリン、じゃなくて、グロブリンも、
一回ハシカにかかれば、段々馴染んできて、ハシカの抗原を掴みやすくなるから、
もうハシカにはならない。
とまぁ、そういう事が、リンパ節で起こる。

以上の様な、一次リンパ組織と二次リンパ組織で行われる成熟を、
クローン選択説と言い、これが現在の定説とされているんだね。
文言としては、リンパ球は、“あらかじめ”“ひとそろいの”クローンを
遺伝子の中にもっていて、「抗原刺激を受けて更に成熟する」と説明されている。
ここでちょっと補足というか、ここで“ひとそろいの”とか言われているけれども、
実際には人間の免疫グロブリンの種類なんて100億以上あるんだよね。
そうすると、それをもしゲノムでまかなおうとすると、
ヒトの遺伝子なんて2万余りなので、全然足りないんだよね。
だから、この100億の多様性はどっから来るんだろうか、
というのがずーっと大問題だった。
それを解決したのが、有名な利根川進の実験で、利根川進は何を証明したのか。
それは、グロブリンの先っぽには、VDJC部と言われる部分があるのだが、


    CC
    CC
    CC
    CC
   C  C
  J    J
 D      D
V        V

こんな感じに。
このグロブリンの先っぽもタンパク質で出来ているので、
リンパ球の中の遺伝子が解けて、mRNAに転写されて、
核外に出てきて、アミノ酸を集めて、グロブリンを作る、って感じなんだけれども。
リンパ球の遺伝子が解けた時に、
VDJに相当する遺伝子の部分にはそれぞれにイントロンがあって、
それが、Ω状に、くるくるっと丸まって、そういうVDJ部にC部がくっついて
鋳型鎖を作る、これをμ鎖というのだが、
そういうふうになっている、というのを利根川進は実験で証明したんだよ。
そういう訳で、μ鎖は色々なタイプにくるくる丸まっているのだから、
それを計算すると、100億以上の免疫グロブリンが出来る、という計算になる。
そして、これは、一次リンパで行われるので、つまり抗原刺激なしに行われるので、
“あらかじめ”という事になる。
そして、これらのリンパ球がリンパ節に流れていって、そこで初めて、
麻疹だ水疱瘡だの抗原と出会って、「抗原刺激を受けて更に成熟する」、
という順番になる。
以上、長々とクローン選択説について喋ってきたが、分かった?
というか、ここからがやっと本番なんだが。
本日の授業の目的は、リンパ球の成熟に関して、クローン選択説と、
過剰と去勢、みたいな見方とを比較することだったよね。
じゃあ、その過剰と去勢、みたいな見方だと、どう違うのか。
それは、グロブリンの先っぽが出来る時のメカニズムに対する考え方が違う。
というか、クローン選択説においては、順番は説明されていても、
メカニズムは言われていなかったんじゃないか。
メカニズムというのは、例えば私は、遺伝子の複製に関して、
それは、鋳型鎖を鋳型にして、DNAポリメラーゼに宿った磁気をエネルギーにして
行われると言ったが、
そういうふうに、何を鋳型にしていて、何のエネルギーで行われる、
ということを言わないと、メカニズムを言った事にはならないんだよね。
だけれども、クローン選択説ではそんなことは全く言われていない。
では、私の説ではどうかというと、まず、二次リンパに関して言うと、
前述のμ鎖から転写されたmRNAを鋳型にして
免疫グロブリンの先っぽが合成されるのだけれども、
その時のエネルギーになるのは何かというと、リンパ節に宿っている磁気だ!、
と、私は言いたいのである。
あと、その時に、mRNAの近くに抗原があると、
mRNAの一部がΩ状に飛び出して、その部分がイントロンになって、
その部分だけはグロブリンの先っぽにはならないので、
それが抗原刺激による成熟ということになる。
それから、一次リンパにおいては、何をエネルギーにしてμ鎖がよじれるのか、
という事だが、やっぱり、リンパ節に宿っている磁気だと思うんだよねぇ。
ただ、μ鎖がよじれる時には、VDJ部からそれぞれ一個だけ選ばれてきて、
他はイントロンとして捨てられる、という選択が行われるんだけれども、
何を鋳型にしてそういう選択をしているのかが、分らないんだよねぇ。
まだ抗原刺激は無い訳だし、…せいぜい言えるのは、
一次リンパ組織というのは骨髄だから、骨髄のどの位置にある時にμ鎖がよじれたか、
によって、磁気の状態も違うからよじれ方も違う、程度しか言えない。
これに関しては、後でもしHOX遺伝子に関して述べることがあったら、
その箇所が参考になるかも知れないんだが。

まぁ、以上が、私の説で、これを、クローン選択説に対抗して、
クーロン選択説と命名したい。
みなさん、私の話を聞いていて、分かった?
随分長々と喋ってしまった気がするが、
しかも、ほとんどがクローン選択説についてであった気もするが。
本当はクーロン選択説だけ言えばよかったんだけれども、
それだと諸君が理解出来ないと思って、
長々とクローン選択説について喋ってしまったけれども、
なんかそうすると、私の授業というよりかは、
人の研究を引き写してきただけじゃないか、と思われそうだけれども。
だけれども、遺伝子がμ鎖に組み変わる場合でも、
μ鎖から出来たmRNAがスプライシングを起こす場合でも、
その原動力が磁気である!、…これはもう、
遺伝子がΩ状に飛び出している格好を見た瞬間に、
こりゃあ磁気ネックレスにそっくりだ、これはもう磁気に違いない、
と私は確信していたのだが、…しかしこれを言うのは本当に勇気の要ることで、
一歩間違えば、教職を追われるどころか、精神病院に入れられかねない、
それぐらいの革命的な意見だと私は思っているんだな。
であるからして、話の前段として、現在の定説を延々引用したとしても、
実は磁気だ! というのがあまりにもコロンブスの卵的なものなので、
全体のオリジナリティは損なわれないと考えるのであーる。
理解してもらえる?
眠くなっちゃったかな。
まあ。これで、今晩の予定は終了なのだが。
…あと、そうそう、約束の春田君との絡みだが、それをちょっと述べておこうか。
これは、なんとなく今晩の講義に関連させて思った事なのだが。
今夜の授業では、免疫グロブリンの先っぽの多様性という、
随分微小な事を話をしたんだけれども、
そんなことと、春田君や牛島君の人格と関係あるの? と思うかも知れないが。
ただ、こう考えれば関係あるんだよ。
つまり、牛島君のごつい体格というのは 遺伝子がそのままそうなった訳ではなく、
遺伝子から何らか物質が出来て、それがタンパク質と結合して、骨を太くしている、
結果として骨髄の磁力を大きくしている、と考える。
同じように、その何らかの物質が作用して、リンパ節も大きくしていて、
結果として、リンパ節の磁力も大きくしていると考える。
そして、そういう事が、恐らく脳においても起こっていて、
その何らかの物質が、ニューロン周辺の或る部位を肥大させていて、
その部分に磁気が宿っていて、
それで、磁気モーメントの影響で電子のスピンが加速するみたいな感じで、
イオンの流れがシャープになる、
だから、牛島の様なごつい奴はキレやすいのだ、と、
そういうふうに考えれば…。
そうすると、免疫グロブリンの多様性という微小な事と、
牛島君の体格や性格といったことは関係があったんだ、と言えるんじゃないのか。
そうすると計らずも、或る生徒の言っている、
牛島君は性染色体が濃いから体格は骨太になり 性格はキレやすく、
春田君は性染色体が薄いから浮腫んでいて、性格は場当たり的、
という考えと、一致するんだよね。
ただ、この生徒は、Y染色体が多いと何故キレやすいのかのメカニズムについては
何も言っていないんだな。
その点、私は、何らかの物質がタンパク質と結合して、
骨も、リンパ節も、脳内の或る部位も肥大させる、
そして、そこに磁気が宿って、磁気モーメント的に、
云々というメカニズム言っているので、
私の方がよりガチなんじゃないか、と思うんだよね。
私は、一番最初の放送で、諸君らのことをガチで知りたい、
本当のところを知りたいと言ったと思うのだが、覚えているだろうか。

さて、それでは今日はこのへんか。
今日は疲れたねぇ。
えー、次回は5時スタートなので、その前にバッテリーをセットして、
ディスプレイの前で体育座りをして待っていて下さい。
別に丸椅子に座っていてもいいのだが。
それじゃあ皆さん、おやすみなさい。





元文書 #1047 ◆シビレ湖殺人事件 第2章・春田ー5
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