AWC 本の感想>『猫間地獄のわらべ歌』   永山


        
#9139/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  16/12/22  21:35  ( 27)
本の感想>『猫間地獄のわらべ歌』   永山
★内容
・『猫間地獄のわらべ歌』(幡大介 講談社文庫)17/6461
 天明年間、七万石を抱える猫間藩の江戸下屋敷の書庫蔵にて、藩士が切腹した状態で
死んでいた。内側から錠が掛かっており、明らかに自害なのだが、屋敷のことを預かる
藩主の愛妾・和泉ノ方にとって、部下の自害は不祥事に他ならぬ。なればこれを殺人事
件に仕立てよと暗に命じられたのが御使番の藤島内侍之佑。徒目付・水島静馬ととも
に、ありもしない密室殺人を解こうと悪戦苦闘することに。一方、猫間藩の国元では、
首切り殺人が連続して起きており、しかもその事件を予言していたかのような童歌が流
行っていた。
 2013本格ミステリ・ベスト10の第十四位に選ばれた、バカミス時代小説。

 読書感想サイトでの紹介に惹かれ、図書館で借りてきて読みました。タイトルしか知
らなかったらまず手に取らないし、ミステリ時代小説と聞いてもなお食指は動かなかっ
たかもしれません。
 で――読んでよかった。
 確かに時代小説のフォーマットだけれども、本格ミステリのガジェットもこれでもか
とてんこ盛りにしており、両方のファンを楽しませようとする努力と趣向に拍手を送り
ます。あ、いや、時代小説のファンは本書に対して怒るかもしれませんが(笑)。
 また、途中で幾度か唐突に始まるメタなやり取りも、強引ではあるけれどもなかなか
うまく書かれており、楽しい。何せ、時代小説の登場人物がいきなり「密室殺人」とか
「トリック」とか「社会派ミステリ」なんて単語を駆使してミステリ談義を繰り広げる
のだから。
 作中で用いられるトリックはどちらかと言えば大掛かりで、いかにもバカミスです。
現代では成り立ちそうにないトリックを、うまく活用してるなと感心していいレベル。
 事件解決後のおちもきれいに決まって、よくできた話でした。ジャンルについて許容
範囲の広い方におすすめ(苦笑)。

 ではでは。





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