●長編 #0526の修正
★タイトルと名前
親文書
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
4 俺は午後からの勤務の為にレガシィでマンションに向かった。 このややこしさから逃れるには、 誰かにフィリピーナをおっつけなければならない、と思っていた。 まず、俺の前に勤務していた加藤という男はどうだろう。 マンションの更衣室で加藤と引き継ぎをする。 「何か変わった事あった?」 「ガンダムのナレーションをやっていた人が死んだ」アニメオタクの加藤が言った。 「そうじゃないよ。業務の事だよ」 「業務では特にないよ。そっちは何か変わった事あった?」 「大ありだよ。まず熊を轢いた」 「どこで?」 「中野町の高架の下だよ。今日は暖かいので冬眠から覚めたのかも知れない」 「冬眠といえば、ガンダムにもコールドスリープというのが出てくるけど、 あれは冬眠とは違って、眠る前に、 血を抜いて不凍液を入れてゆっくりと凍らせて行くんだよ」 「へー。血液交換だな。牛山妹の世界だな。 …まあ、冬眠の話はどうでもいいから。 そんな事よりお前、そろそろ所帯を持ってもいいんじゃないか? お前、外人は嫌いなの?」 「そんな事ないけど」 俺はスマホでツイッターを開くとピーナの名前を入力して画像を表示した。 「こんな女どうだ」 「うーん、原住民っぽいね」 「贅沢言ってんじゃねーよ。おめーにしてみりゃあ、こんな女上玉だろう。 それにフィリピンだったら、常夏だぞ」 「フィリピンに住むの?」 「そうじゃないけど。とにかくお前の顔を写メで撮らせろ。 向こうに送っておくから」 「いいけど」 そして俺は加藤の写真を相手の女に送った。 加藤が帰ると、風呂掃除、巡回、蛍光灯交換、フロント業務などをこなす。 仮眠をとるとすぐに夜中になった。 夜中の三時、朝日、読売、毎日の新聞屋をオートロックを解錠して入れた。 「お前ら、新聞を配る前にちょっといい話し」と全員をフロントの前に集める。「お前 ら、結婚とか考えていないの?」 「え、なにをやぶから棒に」 「いい女がいるんだよ。ちょっとこれを見てみな」 俺はツイッターの画面にピーナの名前を入れて表示して見せた。 「こういう女と結婚してみたいと思わないか」 「今は新聞配達も外人ばっかりだからインターナショナルなのには 慣れているけれども、ピーナとなんか結婚して笑われないかなあ」 「笑われる訳ないだろう、今や角界にも芸能界にもピーナハーフは多い。 時代はピーナだぞ」 「ビザとか問題ないの?」 「だからお前らが身元保証人になって入国させて、 気に入ったら結婚すればいいんだよ」 「成田に行くのかあ。だったら夕刊の休みの日じゃなあいとダメだな」 「とにかくお前らの顔を写メで撮らせろ。向こうに送っておくから」 「いいけど」 朝になって牛山が出勤してくると聞いてきた。 「どうだ、進展はあったか」 「俺は仕事が早いぜ。一晩で四人確保したよ」 「誰よ」 「加藤と新聞屋だよ。これからカミールに会いに行く」 「それは期待が持てそうだな」 それだけ交わすと、俺はそそくさと退社した。
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