AWC 大型ものすごい小説  「ものすごい熱情」  ゐんば


        
#1549/3137 空中分解2
★タイトル (GVB     )  92/ 3/30   1:34  ( 43)
大型ものすごい小説  「ものすごい熱情」  ゐんば
★内容

 車の通りのものすごく激しい街路ぞいの喫茶店。
 ものすごく苦いコーヒーをものすごい勢いで飲み干して、手児奈はものすごい
伝票を取り上げた。
「だから、もう、会わない」
 ものすごく驚いた喜三郎はミルクティをものすごくこぼし、そのものすごさに
呆然とした。
「じゃあ」
 振り向きもせず出て行く手児奈の後ろ姿はものすごかった。手児奈の後をもの
すごくあわてて追いかける喜三郎。
 喜三郎が喫茶店のものすごいドアを開けると、手児奈はものすごい横断歩道を
渡って通りのものすごい向こう側へ歩いて行った。喜三郎がものすごく追いかけ
ようしたとき、ものすごい信号がものすごい赤になった。
 かまわずにものすごく渡ろうとする喜三郎にものすごいトラックがものすごい
クラクションを鳴らす。後ろにものすごくとびのいた喜三郎は向こう側の手児奈
にものすごい声で呼びかけた。
「なんで」
 手児奈はものすごく無視して歩いて行く。車の量は渡るにはものすごい。手児
奈とものすごく同じ方向に駆け出して、ものすごくすれ違う人々をかきわけて、
次の信号まで先回りしようとする。タイミングがものすごく悪く赤に変わる。も
のすごくあせる喜三郎の目の前を手児奈がものすごく通り過ぎて行く。
「おい」
 ものすごい叫びをあげて走って行く喜三郎はものすごかった。ものすごい歩道
橋をものすごい三段抜かしで駆け上がり、ものすごく細い橋の上をものすごい通
行人を突き飛ばしながら走り抜け、向こう側でものすごい下を見ると手児奈のも
のすごい頭の上が見えた。
「手児奈」
 ものすごかった。喜三郎はものすごく一気に飛び降りた。そのものすごさにも
のすごく驚いて見上げるものすごい人々。ものすごい足から着地はしたが、もの
すごい勢いでものすごい前につんのめると、ものすごく転がった。
 ものすごく体を打って喜三郎はものすごいうめき声を上げた。手児奈はものす
ごくちらりとそれを見て、さすがに立ち止まった。
「て……こ……な……」
 ものすごく回りに集まる野次馬たち。ものすごく立ちつくした手児奈のものす
ごい驚きの表情は、ゆっくりとものすごいあわれみのまなざしに変わっていった。
ものすごくそしてものすごい向きをものすごく変えて、ものすごい人混みのもの
すごい中へものすごい姿をものすごく消していった。
「な……ん……で……」
 ものすごくよろよろと立ち上がる喜三郎の目に手児奈はもうものすごく見えな
くなった。町の広さがものすごかった。とてつもなくものすごかった。どうしよ
うもなくものすごかった。

                      [ものすごい完]




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