2001年第14回AWC大賞部門賞投票・選評 |
いつもお世話になります。
憑木影と申します。
AWC大賞部門賞の投票をさせていただきます。
以下、敬称略です。
1.長編賞
(1)投票@
@作者名/作品名
嘘と疑似感情とココチヨイコト/らいと・ひる
A選考理由・感想
展開に、はらはらさせられるような面白さを感じました。
(2)投票A
@作者名/作品名
【OBORO】 =第4幕・異形胎動= /悠歩
A選考理由・感想
静かな場面での緊迫感が見事だと思いました。
2.短編賞
(1)投票@
@作者名/作品名
「階段」/時 貴斗
A選考理由・感想
エッシャーの絵にあるような幾何学的な美しさを感じました。
(2)投票A
@作者名/作品名
「俺は時計の中」/時 貴斗
A選考理由・感想
不思議の国のアリスにあるようなナンセンスのためのナンセンスを
感じるのですが、そういうのが好みにあうので。
3.連載賞
棄権
4.お題賞
(1)投票@
@作者名/作品名
お題>恩返し/青木無常
A選考理由・感想
ホラーとして完璧な完成度を持っていると思いました。
(2)投票A
@作者名/作品名
お題>誤解/青木無常
A選考理由・感想
ある種の端正な美しさを感じます。
5.文芸賞
棄権
6.HP賞
棄権
投票に当たっては敬称を略しました。
各部門の初めに掲げた二つが票を投じる対象です。それに際して作品毎の一言の前にある記号、*は初読時にいいと感じた作品、・はその他です(HP賞を除きます)。
1.長編賞
つきかげ : お題>誤解 (5452〜5455)
*凄い。様々なエッセンスの詰まった怪作。
悠歩 :【OBORO】 =第4幕・異形胎動= (新30〜46)
・いいところで終わったなぁ。期待感は大。言い回しに癖が出て来てる。
フレボイで引っ張ってきた『【OBORO】 =第4幕・異形胎動=』の感想です。……ここで切りますかっ!(^_^;) まるっきり、連載作品の手法ですね。これはもう、続きを一ヶ月以内に。
展開については最初は、スタンダードな流れだなあと感じていたのですが、途中、真月が麗菜の手に落ちた辺りで、予想を裏切る動きがちらほら出て来て、俄然、面白くなりました。
もっと詳しく書こうと思っていたのですが、旅に出るため、あまり時間が取れませんでした(苦笑)。それに、完結してからの方がいいような気がしてきましたので。
らいとさんの『嘘と疑似感情とココチヨイコト』は、このシリーズの持つ雰囲気やテーマ性は興味深いし、面白いものがあると思うのですが、今回の一編はいかんせん展開が定型過ぎたかなと。『CROSS TALK【改訂版】』は、改訂するのなら、企画物の一編だということを忘れて、思い切った手直しをしてほしかったです。
時さんの『鼻親父と豆腐の美女』は、“おかしの世界”を創り上げた怪作ですが、すでに賞の枠を超えているような気も。
憑木影さんの『最後の物語』は、一種のメタ小説として読みました。まともに受け取ろうとすると、この話し手がどうしてそこまで知ってるのだ?という
疑問が湧くんですが、最後に至って一応、腑に落ちました。エンターテインメントとして読むと、謎の設定は魅力的で話もまずまず面白かったですが、全体に漂う分かりにくさ、伏線や暗示もなく読者の窺いしれぬところで進む物語に、いささかフラストレーションが溜まりもしました。
2.短編賞
多田秀介 :どうして犬は (1307)
*捻りの利いた、なかなか面白い話。
時 貴斗 :「階段」 (1311)
*技を感じさせる作品。
短編賞の常連、祭さんの大型小説三編の内、「春分の発見」「順番法」もよかったんですけど、これまでの傑作を思うと、今回は見送り。
時さんの作品群の中では、「おせちはどこに行った」が次点の位置づけ。途中まで大変引き込まれたものの、オチがいまいち。「オチはどこに行った」とか思ってしまった……いや、これはジョークです。失礼をば。
その他の方では、$フィンさんの二編、陽印月破さんの「停電という名のオマージュ」、已岬さんの『頬』といったところが印象に残りました。
3.連載賞
$フィン :吉外信報 (7467〜 継続中)
*一つを選ぶなら、75。もののけ姫論の枠に留まらず、文明の滅亡に関す
る確認と考察という感じがあってよかった。
佐野祭 :新種のあひる 〜初代佐野祭の生涯〜 (新2〜 継続中)
*待望の復活。AWC史もお願いします〜。(^^;
小説作品が少なかった。いっそ、長編ボードのシリーズ物をこっちに入れたいくらい。長編ボードにUPできるのは完結作品のみ、と決めちゃうのは横暴かな。自作『そばいる』もひっかかるし。(^^;
M.YAMADAさんの『夢飛行』、展開に意外なところを垣間見せたけど、文章の基礎面をもっとしっかりさせてほしい。
4.お題賞
時 貴斗 :お題>誤解 (短編ボード 1319)
*ラスト一行が効いている。
青木無常 :お題>恩返し (新・短編ボード 5)
*真夜中、布団を被って一人で読んだら、きっと恐い。
例年通り、1MSGの作品を優先しています(行数制限の値が変化してるのでフェアでないかもしれませんが)。
と言いつつ、長編型のお題作品にも好みに合う物がたくさんありました。長編賞に推したつきかげさんの『お題>誤解』の他、フランケンシュタインの怪物の変奏曲と言えそうなつきかげさん『お題>失せもの探し』、シリーズ新展開を見せた青木さん『お題>失せもの探し』等など。
逆に今回は、1MSGお題作品の中で、初読時に*マークを付けた物は少なかったです。
5.文芸賞
竹木貝石 :ベルタ おいで (盲導犬と共に) (長編ボード 5382〜5390)
*読みごたえのある手記に仕上がっている。
沖田珂甫 :毒舌ニュース (短編ボード 1327,1328)
・どこまでが本当でどこからが作りなの?
^^;
竹木さんの諸作には他にもよいものがたくさんありました。個人的には、フリー小論 『美しい日本語のために』 にも票を投じたかった。半疑問形の話し言葉を、楽だからと解釈したのは新しい発想かも。
沖田さんの『毒舌ニュース』は小説とそれ以外の物との境界線上に位置すると言えるかもしれませんが、今回は文芸賞に入れてみました。
6.HP賞
ミヤザキ :月刊ノベル
・継続して作品を仕上げていくパワー、傾向の違うメールマガジンの発行、プレゼント企画の実施と、そのバイタリティには脱帽です。
えびす :毒まつたけ
・ネタが自分の好みと重なる部分が多く、共感しやすかったです。写真の使い方もかなり効果的。
最初にお断り。AWC関連のHPの全てを定期的に回っている訳ではありませんし、今回、この賞に投票するに当たり、改めて見て回った訳でもありません。あしからず。
どんな基準で選ぶのがいいか、ちょっとばかり悩みました。「魅力を感じたHP」だけでは漠然としていて、絞り切れません。(^-^;) どのHPも個性があって、それぞれの魅力を有しているのは確かなので。
小説や日記等の面白さ、イラストや写真の使い方、掲示板の盛り上がり、デザイン、表示速度、リンク集の充実度、更新頻度……。いやはや、難しい。
まあ、ぱっと見の印象、見やすさという点は言わずもがなってことになるでしょうけど。
私個人の好みに合ったテキストデータが面白いところは、いくつかあるんですが、折角のHP賞、テキストの面だけで評価するのも何だかな〜と。何故って、テキストによる表現は、AWCのボードでも手軽にできることなんだから。 では、イラストや写真を闇雲に張り付ければいいかっていうと、それだけでは物足りない。何らかの工夫がほしいと思う。あ、挿し絵を否定する訳ではありません。(^^;
そんなこんなで、内容の面白さや充実度を土台に、そこへプラスして、従来のボードでは実現がなかなか難しかった表現方法を取り込んでいるか、工夫はどれだけ盛り込まれているか等に重きを置いて選んでみました。
書いてある内容では、祭さんとことみのうらさんとこが頭抜けてるんですが、この2サイトいずれかが賞を獲ってしまうと面白味がないよーな。(^_^;)
写真の取り入れ方では、らいとさんとこもよかったんですけど、更新頻度でえびすさんとこに軍配を上げました。日記の優位性が出たかな。
悠歩さんとこには私の作品を載せてもらったこともあって、肩入れしてるんですが、9月23日からしばらく止まったままだったのは残念。新作UPに合わせてまた動き出したようなので、楽しみにしてます。徒然の再開も、ぜひ。
あと、去年のことではないみたいですが、泰彦さんとこのリニューアルというかイメージチェンジには、驚愕。最初、変なところにつながったぞ、URLのリストが壊れたかな?と思ってしまったほど。(^^;
末筆になりましたが、毎回の集計お疲れ様です>祭さん。
下の作品に1票ずつ投票します。
作品に対する私の感想は、以前フレッシュボイスにUPした内容と同じになるので省略します。と言って、実は若干時間的にゆとりが無いので、ご容赦ください。
[短編賞]
大型天文小説 「春分の発見」 佐野祭
「胃と壷」 時 貴斗
[連載賞]
@コラム298 我がまま勝手なアメリカと日本 ヨウジ
(長編ボードはほとんど読んでいないので、今回投票を見送ります。)
OAK
ムカシは意地で全作品読んだ上で投票していましたが、そおゆうことを言っているうちにここ何年か投票そのものができづ。よく考えてみればそのほうが100倍イカン。
そういうわけで、全て読んだわけではありませんが投票。
長編賞/柏木 保行 (竹木 貝石)/「ベルタ おいで
(盲導犬と共に)」
題材の重量が二桁ぐらい違ったので。
長編賞/憑木影/「最後の物語」
憑木影さんの作品には共感する部分が多いです。
以前は各部門1作品しか選ばなかったのですが、寂しいので今回は敢えて2作品に。
えびす
短編賞=
佐野祭さんの
大型生活小説 「排水管にあこがれて」
まず、題名が愉快ですね。何階のお内の配水管だろう? ベランダに来るのが可愛い雀で良かった。鳩なら見張役も大変である。
時 貴斗さんの
「胃と壷」
ちょっと怖い…、が、不思議な魔力を感じてつい物語に引き込まれてしまいます。もし誰かの臓器と間違えて入れ替えたらどうなるかな? などと思う。
連載賞=
竹木貝石さんの
フリー小論 『美しい日本語のために』
私も全く同意見です!
短編賞/多田秀介さん/どうして犬は
ひねりが効いております。「ほほう、なるほどねえ」と膝を打つ落ちで
す。
お題賞/青木無常さん/恩返し
少年が祠に入ってから出て来るまでの描写が気に入りました。
連載賞/永山さん/U.L. 〜 the upper limit 〜
主人公が相手のインチキを見ぬき、それを逆手にとって勝つ。「おお
っ」と思います。
HP賞/佐野祭さん/佐野祭の大型小説
面白い! また一つ一つの話が短いので気軽に読める。私がAWCに
来るより前に書かれた話はこのHPで読みました。
HP賞/えびすさん/毒まつたけ
言葉遣いがCool! このネット日記はいいですね。
こんにちは。ジョッシュ改めミヤザキです。
AWC大賞の投票は、今年はほとんど読んでいないのでよっぽど棄権しようかと思いましたが、しかし、白票も1票ということで、いくつか読んだ「短編」部門のみ、投
票します。
短編部門
推薦作:水道管に憧れて(佐野祭さん)
全編を流れるユーモアというか、独特の雰囲気にすっかりはまりました。読み終わってにやりとしてしまう嬉しさ。今年は3作品がありましたが、私にはこれがいちばんビビっと来ました。
その他の部門賞はパスです。もうわけアリマセン。
沖田です。
長編:「OBORO」(悠歩さん)
次の章が早く発表されることを祈って。(^^;
:「嘘と擬似感情とココチヨイコト」(らいと・ひるさん)
らいとさんの独特の世界が好きです。
短編:「階段」(時 貴斗さん)
「VAN滅記念>時々こんな空想をする」(永山さん)
連載:「初代佐野祭の生涯」(佐野さん)
「対決の場」(永山さん)
お題:「すべてを得る者」(青木無常さん)
文中敬称略です。
長編賞
●憑木影 お題>誤解
●時 貴斗 鼻親父と豆腐の美女
だめだ。「おやーじのーせたーけ、さんーめーとる」が耳について離れない。
短編賞
●$フィン 少年について
●時 貴斗 階段
今年は短編と連載はいまいち盛り上がりに欠けたような。短編・連載作家の方、
頑張りましょう(あっ、俺かよ)。
新ボードから行数制限が200から500行になった、これがこの後どうでるか。
連載賞
●永山 対決の場
●竹木貝石 フリー日記
新連載が少なく顔ぶれがあまり前年と変わらなかったが、まあもともとそのため
の連載ボードだからねえ。
お題賞
●憑木影 お題>失せもの探し
●青木無常 お題>恩返し
お題におけるこの二人はとにかく安定していた。
文芸賞
パス。
HP賞
●ミヤザキ 月刊ノベル
●ハンムラビえびす 毒まつたけ
「月刊ノベル」はある意味メールマガジンも含めての評価ということになるが、編
集者不在のネット文芸でこういう試みがあるのはすばらしいことだと思う。
AWC大賞 | 2001年AWC大賞 |